JP4666958B2 - 筆記板用マーキングペン - Google Patents
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Description
すなわち、従来のアルコール系顔料インキを使用した筆記板用マーキングペンでは、使用しているインキの顔料分散レベルが低いため顔料粒子が大きいこと、低級アルコールが低比重のために顔料との比重差が大きいこと、非吸収性の筆記媒体(板・ホワイトボード等)に上向きに筆記するために、紙などのように筆記媒体がインキを吸収しないこと、更には重力に逆らって筆記しているために早書にも掠れずに良好な描線を得るにはインキ粘性を低く設計する必要があることなどに起因して、長時間のペン体の放置によりインキ中の顔料が沈降して濃度変化や筆記不良を引き起こすなどの課題がある。
図1及び図2は、本発明の筆記板用マーキングペンの実施形態の一例を示すものであり、図1はその部分縦断面図、キャップを外した状態を示す側面図である。
本実施形態の筆記板用マーキングペンAは、図1及び図2に示すように、筆記板用マーキングインキ組成物(以下、単に「インキ」という場合がある)を貯蔵するインキ貯蔵部10aを有する筆記具本体10と、該筆記具本体10の先端に装着され、上記インキ吸蔵体10aのインキが供給されるペン芯20と、該ペン芯20を包囲し筆記具本体10の前方で着脱自在に装着されるキャップ30とを備えたものであり、インキ貯蔵部10aからのインキは中継芯15、視認性を有するインキ誘導管17を介してペン芯20へ供給される構成となっている。
先軸11は、合成樹脂等から構成されるものであり、先端側がテーパー部を有する小径部11aと、大径部11bとが一体となったものであり、該小径部11a内にはペン先となるペン芯20を嵌着する嵌着部21を有すると共に、大径部11b内はインキ貯蔵部10aを保持する保持部材13の前部及びインキ誘導管17を収容する構造となっている。
また、先軸11は、図2に示すように、その内部を視認できるように視認性を有する樹脂からなる視認部となっている。
また、インキ誘導管17は、図1に示すように、視認性を有すると共に、中継芯15及びペン先となるペン芯20を嵌入する形状を有する筒状(環状)のインキ流路部材となるものであり、視認性を有する樹脂から構成されている。
この繊維束及び/又は多孔性の部材40は、JIS K 6262−1997で規定される圧縮永久歪み率が20%以下から構成され、かつ、キャップを装着した際に圧縮される繊維束及び/又は多孔性の部材の軸方向への厚みが3mm以上となることが必要である。好ましくは、圧縮永久歪み率が0〜15%からなり、キャップを装着した際に圧縮される繊維束及び/又は多孔性の部材の軸方向への厚みが5〜10mmとなるものが望ましい。
この繊維束及び/又は多孔性の部材40の圧縮永久歪み率が20%を超えるものでは、ペン芯20の先端部と部材40との接触が不十分(使い初めはペン芯20の先端部と部材40が十分に接触しているが、2回目以降は接触が不十分)となり、また、キャップを装着した際に圧縮される繊維束及び/又は多孔性の部材の軸方向への厚みが3mm未満であると、ペン芯の圧縮により繊維束及び/又は多孔性の部材の物性が変わってしまうことがあり、また、長期間の下向き放置で顔料の沈降や乾燥によるカスレや筆記不良が生じることとなり、好ましくない。
なお、本発明(後述実施例等を含む)における圧縮永久歪み率は、JIS K 6262−1997で規定する方法(試験片形状:大型試験片、試験温度100±1℃、試験時間168時間、試験片を圧縮する割合25%)に準拠して測定した値をいう。
好ましくは、上記各特性と共に、成形性、耐溶剤性、弾性の点から、羊毛、ナイロン、ポリエチレンテレタレート、ポリウレタン、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレンからなる繊維束及び/又は多孔性の部材が望ましい。
本発明において、圧縮永久歪み率が20%以下の繊維束及び/又は多孔性の部材とするためには、例えば、繊維束で構成する場合は、繊維種、デニール、接着剤、織物方法、気孔率等を好適に組み合わせて製造でき、また、多孔性の部材で構成する場合は、焼結体、発泡体などが使用でき、樹脂種、粒子種又はゴム種、平均粒子径、接着剤、成形温度、発泡条件等を好適に組み合わせて製造することができる。
この顔料の含有量が1%未満であると、描線濃度が不十分となり、一方、20%を超えると、筆記性が悪くなったり、消去性が悪くなったりし、好ましくない。
これらの特性を有する溶剤は、夫々単独で又は2種以上混合して使用することが可能であり、その含有量は、インキ組成物全量に対して、好ましくは、50〜90%、更に好ましくは、70〜85%が望ましい。
これらは単独で又は2種以上混合して使用することができる。これらの剥離剤の含有量は、インキ組成物全量に対して、4〜20%、好ましくは、5〜16%、更に好ましくは、6〜14%とすることが望ましい。
更に、本発明に用いるマーキングインキ組成物には、上記各成分の他、例えば、アニオン系、ノニオン系、カチオン系などの界面活性剤、リン酸エステルなどの可塑剤、無機塩類、乾燥防止剤、防錆剤、防黴剤などを適宜必要に応じて含有することができる。
この粘度が3mPa・s未満であると、インキの直流を起こしたり、滲んだ描線となり、更には、描線乾燥性も低下することとなり、一方、8mPa・sを超えると、描線がかすれたりして、好ましくない。
上記粘度範囲とするためには、用いる顔料の含有量、溶剤、分散剤の種類及びその含有量、剥離剤量などを好適に組み合わせて、調製することにより行うことができる。
なお、本発明(後述実施例等を含む)における粘度は、温度25℃において、E型粘度計により測定した値をいう。
なお、本発明の筆記板用マーキングペンAは、図1に示すように、インキ貯蔵体10aに含浸されたインキは中継芯15を介して視認性を有するインキ誘導管17内をとおりペン先となるペン芯20に供給される構造であるので、筆記によりインキ貯蔵体10aに含浸されたインキが減少して終了する場合には、視認性を有するインキ誘導管17内のインキの通過が無くなることにより判るものとなる。すなわち、本実施形態では、インキ貯蔵体10aからのインキ終了サインを視認部となる先軸11を介してインキ誘導管17を視認することにより検知することができるものとなる。従って、ぺン先となるペン芯20でのインキのカスレがペン芯20での乾燥によるものか、または、インキの消費による本来の終了によるのかを視覚により明確に、かつ簡単に判断することができるものとなる。
例えば、図3(a)〜(c)に示すように、従来と同様に視認性を有しない筆記板用マーキングペンBとしてもよいものである。すなわち、用いるマーキングインキ組成物の粘度を3〜8mPa・sとし、かつ、キャップ30内に装着される繊維束及び/又は多孔性の部材40をJIS K 6262−1997で規定される圧縮永久歪み率が20%以下から構成すると共に、キャップ30を装着した際に圧縮される繊維束及び/又は多孔性の部材の軸方向への厚みが3mm以上に設定されるものであればよいものである。なお、上記実施形態Aと同様の構成は、同一の図示符号を表示してその説明を省略する。
下記に示す各配合組成及び各粘度の筆記板用マーキングインキ組成物A〜D(配合単位重量%)を調製した。
また、マーキングペンは、下記構成となる図1及び図2に準拠するマーキングペンを使用し、キャップ内には装着される繊維束及び/又は多孔性の部材は、下記各構成のものを用いた。
得られたマーキングペンに下記筆記板用マーキングインキ組成物A〜D(各4ml)を充填し、また、キャップ内には各構成の繊維束及び/又は多孔性の部材を装着して、下記各評価方法により、下向き放置(2週間)、再装着後下向き放置(2週間)の濃度変化、筆記性、消去性について評価した。
これらの結果を下記表1及び表2に示す。
顔料:カーボンブラック 5
樹脂:ポリビニルブチラール(BL−1、積水化学工業社製) 5
剥離剤:イソオクタン酸セチル(CIO、日光ケミカルズ社製) 10
可塑剤:リン酸エステル混合物(RB410、東邦化学工業社製) 2
溶剤:無変性エタノール 78
粘度値:6.0mPa・s
(インキB:青色)
顔料:インダンスレンブルー 5
樹脂:ポリビニルブチラール(BL−1、積水化学工業社製) 4
剥離剤:ミリスチン酸2−ヘキシルデシル
(ICM−R、日光ケミカルズ社製) 10
可塑剤:リン酸エステル混合物(ML220、東邦化学工業社製) 2
溶剤:無変性エタノール 79
粘度値:5.5mPa・s
顔料:ピグメントC.I.112 4
樹脂:ポリビニルブチラール(BL−1、積水化学工業社製) 3
剥離剤:ミリスチン酸2−ヘキシルデシル
(ICM−R、日光ケミカルズ社製) 10
可塑剤:リン酸エステル混合物(RS710、東邦化学工業社製) 1
溶剤:無変性エタノール 82
粘度値:5.5mPa・s
(インキD:緑色)
顔料:フタロシアニングリーン 4
樹脂:ポリビニルブチラール(BL−1、積水化学工業社製) 3
剥離剤:ビス(2−エチルへキシル)セバケート
(DOS、大八化学工業社製) 8
可塑剤:リン酸エステル混合物(RS−610、東邦化学工業社製) 1
溶剤:無変性エタノール 84
粘度値:5.5mPa・s
(1)先軸11、後軸12
先軸11は、ポリプロピレン製(透明:全光線透過率約85%)、全長36mm
後軸12は、ポリプロピレン製(着色、非視認性)、全長90mm
(2)インキ貯蔵体10a
ポリエチレンテレフタレート(PET)製の中綿から構成(気孔率80%)、直径12mm、長さ65mm
(3)中継芯15
PET製から構成(気孔率60%)、直径2.9mm、長さ22.5mm、後端部分がインキ貯蔵体10aに嵌入する長さ9.5mm
(4)インキ誘導管17
長さ36mm、直径6mm、ポリプロピレン製(透明:全光線透過率約85%)
(5)ペン芯(ペン先)
アクリル繊維のスライバー芯から構成(気孔率55%)、長さ15mm
(6)キャップ
ポリプロピレン製、全長32mm
PET製の繊維束からなる部材(実施例1,2及び比較例1,4)
3デニールのPET(ポリエチレンテレフタレート)の繊維をフェルト様加工し、繊維本数と接着剤量により各圧縮永久歪み(10%、15%、30%)、各厚さ(2mm、5mm)の繊維束部材(6.0×8.0mm)を作製した。
ポリウレタン製の多孔性部材(実施例3〜7及び比較例2、5〜7)
発泡剤、整泡剤、触媒、着色剤等を混合し、樹脂化させながら発泡せしめてなる各圧縮永久歪み(10%、15%、30%)、厚さ(5mm)の多孔性部材(6.0×8.0mm)を作製した。
得られたキャップをして各マーキングペンを下向きに2週間放置した後、下記評価基準等により、濃度変化、筆記性、消去性について評価した。
また、得られたキャップをして各マーキングペンを下向きに2週間放置し、下記評価基準等により評価した後、キャップを再装着し、更に下向きに2週間放置後、下記評価基準等により評価した後、際濃度変化、筆記性、消去性について評価した。
筆記描線を目視で確認し、下記基準で評価した。
○:初期とほとんど変化なし。
△:濃度変化若干あり。
×:濃度変化が大きい。
筆記描線を目視で確認し、下記基準で評価した。
○:良好。
△:若干カスレあり。
×:カスレまたは筆記不良。
ホーロー製のボードに螺旋書きし、イレイザー(RA−22、コクヨ社製)にてすばや消去し、下記基準で評価した。
○:良好。
△:消えにくい。
×:汚れ発生。
20 ペン芯
30 キャップ
40 繊維束及び/又は多孔性の部材
Claims (1)
- 少なくとも顔料、樹脂、消去性を付与する剥離剤及び、エチルアルコール、プロピルアルコール及びイソプロピルアルコールの群から選ばれる単独又は2種以上混合される、低級アルコールを主成分とする溶剤を含有する筆記板用アルコール系顔料マーキングインキ組成物を貯蔵するインキ貯蔵部を有する筆記具本体と、該筆記具本体の先端に、中継芯に嵌着した筒状のインキ流路部材のさらに先端に嵌着され、上記インキ貯蔵部のインキが供給されるペン芯と、該ペン芯を包囲し筆記具本体の前方で着脱自在に装着されるキャップとを備え、該キャップを筆記具本体に装着した際にペン芯先端の筆記部分がキャップ内に装着した繊維束及び/又は多孔性の部材に接触する構造となる筆記板用マーキングペンであって、上記マーキングインキ組成物の粘度が3〜8mPa・sであり、上記インキ貯蔵部を構成するインキ貯蔵体の気孔率>上記中継芯の気孔率>上記ペン芯の気孔率の関係にあり、上記キャップ内に装着した繊維束及び/又は多孔性の部材の毛管力が上記ペン芯の毛管力よりも大きく、かつ、キャップ内に装着される繊維束及び/又は多孔性の部材がJIS K 6262−1997で規定される圧縮永久歪み率が20%以下から構成されると共に、キャップを装着した際に圧縮される繊維束及び/又は多孔性の部材の軸方向への厚みが3mm以上であることを特徴とする筆記板用マーキングペン。
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