JP2001205416A - ディスクロータの製造方法及びディスクロータ用成形装置 - Google Patents

ディスクロータの製造方法及びディスクロータ用成形装置

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JP2001205416A
JP2001205416A JP2000013380A JP2000013380A JP2001205416A JP 2001205416 A JP2001205416 A JP 2001205416A JP 2000013380 A JP2000013380 A JP 2000013380A JP 2000013380 A JP2000013380 A JP 2000013380A JP 2001205416 A JP2001205416 A JP 2001205416A
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disk rotor
preform
mold
preforms
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JP2000013380A
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Yoshitaka Iwase
義孝 岩瀬
Toru Shinoda
徹 篠田
Keiji Hatsuyama
圭司 初山
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Aisin Takaoka Co Ltd
Original Assignee
Aisin Takaoka Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】プリフォームを用いたディスクロータの製造に
際し、溶湯の未含浸を抑制し、しかも成形後における加
工時の不具合を解消する。 【解決手段】下型11及び上型12の成形面から所定量
突出した状態に押さえピン26,30を維持し、加熱さ
れたプリフォーム4,5を押さえピン26,30にて支
持するとともに、プリフォーム4,5の内部に含浸され
るようアルミニウム溶湯を下型11及び上型12によっ
て構成されたキャビティ内に充填加圧する。プリフォー
ム4,5は、下型11及び上型12の成形面に直接当接
しないため、成形面によって熱が直接奪われず、プリフ
ォーム4,5のほとんどの面がキャビティ空間に露出し
ているため、溶湯はプリフォーム4,5内部に円滑に、
かつ、速やかに含浸される。充填加圧完了に際しては、
押さえピン26,30が成形面から非突出状態とされる
ため、穴等が形成されない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車や鉄道車両
のブレーキ等に用いられるディスクロータの製造方法及
びディスクロータ用成形装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ディスクブレーキ装置に用いられ
るディスクロータは、鋳造(重力鋳造)により製造され
る。また、車両の軽量化が要求される昨今においては、
ディスクロータ用の素材として、旧来使用されていた鋳
鉄からアルミニウムへの移行が進められ、各種開発が行
われている。
【0003】ところで、ディスクロータをアルミニウム
単体で構成した場合には、強度が低い、或いは、摩耗し
やすいといった問題が生じうる。かかる問題を解消する
べく、アルミナ粒子等を加圧固化又は焼成固化等するこ
とにより得られたリング状のプリフォームを用いるとい
う技術が開発されている。
【0004】すなわち、まず、金型の成形面にプリフォ
ームを載置する。次に、金型によって構成されたキャビ
ティ内に金属溶湯(アルミニウム溶湯)を充填加圧す
る。このとき、プリフォームの微細な空隙内に溶湯が含
浸するため、溶湯の固化後にあっては、プリフォーム及
びアルミニウムが一体となった鋳造品が得られる。そし
て、その後、所定のディスクロータ形状となるよう刃具
を用いた切削加工を施す。これにより、最終製品たるデ
ィスクロータが得られ、該ディスクロータのうちのパッ
ドとの摺動面に相当する部分が、プリフォームの露出し
た部分となる。つまり、プリフォームによって耐摩耗性
の向上が図られ、しかも、プリフォームが補強材として
の機能を発揮し、ディスクロータ全体の強度の向上が図
られることとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記技術で
は、プリフォームが直接金型の成形面に載置される。こ
こで、プリフォームの温度よりも金型(の成形面)の温
度が低いと、プリフォームの熱が金型によって奪われる
こととなる。このため、溶湯が充填される際において、
プリフォームの空隙内に十分に含浸する前に溶湯の凝固
が起こってしまう場合が生じる。その結果、溶湯のプリ
フォームへの含浸が不十分となり、未含浸による製品不
良が生じてしまうおそれがあった。また、プリフォーム
が直接金型の成形面に載置されていると、金型との接触
面からの溶湯の十分な含浸を望めず、これも未含浸の起
きる要因となっていた。
【0006】一方、キャビティ内に突出する支持ピンを
金型に設けておいて、該支持ピンにてプリフォームを成
形面から離間した所定位置に支持しておくことも考えら
れる。このような構成とすることで、プリフォームの熱
が金型から奪われにくくなるとともに、プリフォームの
より多くの面から溶湯が含浸しやすくなるため、未含浸
という不具合が起こりにくい。しかしながら、この場合
には、鋳造後において、支持ピンによって形成されたピ
ン穴が鋳造品に残ってしまう。従って、その後に行われ
る切削加工においては、鋳造後のアルミニウムが削ら
れ、一旦ピン穴の部分を通って再度アルミニウムが削ら
れることが起こる。換言すれば、切削加工は、必ずしも
連続加工ではなく、刃具が断続的にアルミニウムに強く
当たる断続加工となる。そのため、切削加工に際し、刃
具の損傷を招きやすく、結果的に刃具の寿命を縮めると
いう不具合を招くおそれがあった。
【0007】本発明は、上述した問題に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、プリフォームを用いたディ
スクロータの製造に際し、溶湯の未含浸を抑制し、しか
も成形後における加工時の不具合を解消することのでき
るディスクロータの製造方法及びディスクロータ用成形
装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明においては、相互に接離可能
に設けられた第1及び第2の金型の少なくとも一方の成
形面から所定量突出した状態に支持手段を維持し、加熱
されたプリフォームを前記支持手段にて支持する工程
と、前記第1及び第2の金型により構成されたキャビテ
ィ内に金属溶湯を充填加圧するとともに、前記プリフォ
ームの内部に金属溶湯を含浸せしめ、かつ、少なくとも
該充填加圧完了に際しては前記支持手段が前記成形面か
ら非突出状態とされるようにする工程と、前記金属溶湯
を固化せしめ、得られた鋳造品を前記第1及び第2の金
型から取り外す工程と、前記鋳造品を所定のディスクロ
ータの形状となるよう加工を施す工程とを備えたディス
クロータの製造方法をその要旨としている。
【0009】上記請求項1に記載の発明によれば、相互
に接離可能に設けられた第1及び第2の金型の少なくと
も一方の成形面から所定量突出した状態に支持手段が維
持され、加熱されたプリフォームが支持手段にて支持さ
れる。また、第1及び第2の金型により構成されたキャ
ビティ内に金属溶湯が充填加圧されるとともに、前記プ
リフォームの内部に金属溶湯が含浸させられる。ここ
で、プリフォームは、金型の成形面に直接当接していな
いため、金型の成形面によってプリフォームの熱が奪わ
れることが抑制される。また、プリフォームのほとんど
の面はキャビティ空間に露出している。これらのことか
ら、金属溶湯はプリフォーム内部に円滑に、かつ、速や
かに含浸されることとなる。さらに、少なくとも充填加
圧完了に際しては支持手段が金型の成形面から非突出状
態とされる。その後、金属溶湯が固化させられ、得られ
た鋳造品が第1及び第2の金型から取り外される。従っ
て、得られた鋳造品に関し、支持手段による穴等が形成
されることがない。そして、鋳造品が所定のディスクロ
ータの形状となるよう加工が施される。ここで、鋳造品
には、穴等が存在しないため、加工に際し、断続加工と
はならず、加工治具の損傷等が抑制される。
【0010】また、請求項2に記載の発明では、請求項
1に記載のディスクロータの製造方法において、前記支
持手段は、充填加圧された金属溶湯からの圧力に基づき
前記成形面から非突出状態とされるようにしたことをそ
の要旨としている。
【0011】上記請求項2に記載の発明によれば、請求
項1に記載の発明の作用に加えて、支持手段が、充填加
圧された金属溶湯からの圧力に基づき金型の成形面から
非突出状態とされる。このため、別途の装置等を用い
て、支持手段を非突出状態とする必要がなく、設備の簡
素化、エネルギーの節約が図られる。
【0012】さらに、請求項3に記載の発明では、請求
項1又は2に記載のディスクロータの製造方法におい
て、前記充填加圧完了に際しては、前記支持手段の支持
面が前記成形面とほぼ面一となるようにしたことをその
要旨としている。
【0013】上記請求項3に記載の発明によれば、請求
項1、2に記載の発明の作用に加えて、前記充填加圧完
了に際しては、支持手段の支持面が金型の成形面とほぼ
面一となる。従って、得られる鋳造品の支持手段に対応
する部分が、その周囲の部分と面一となる。そのため、
その後の加工がより容易に行われる。
【0014】併せて、請求項4に記載の発明では、相互
に接離可能に設けられ、金属溶湯を充填するためのディ
スクロータ用キャビティを形成可能な第1及び第2の金
型と、前記第1及び第2の金型の少なくとも一方に設け
られ、前記金属溶湯を加圧する加圧手段と、前記金属溶
湯が含浸可能な構成を有するプリフォームを、前記第1
及び第2の金型の少なくとも一方の成形面から離間した
所定位置において支持するための支持手段とを備えたデ
ィスクロータ用成形装置であって、少なくとも前記キャ
ビティ内に金属溶湯が充填される前段階にあっては、前
記プリフォームが前記支持手段によって支持された状態
となるよう維持し、前記キャビティ内に金属溶湯が充填
加圧された後にあっては、前記支持手段が前記成形面か
ら非突出状態とされるよう維持する構造を有してなるこ
とをその要旨としている。
【0015】上記請求項4に記載の発明によれば、相互
に接離可能に設けられた第1及び第2の金型によってデ
ィスクロータ用キャビティが形成され、ここに金属溶湯
が充填される。また、キャビティ内に金属溶湯が充填さ
れる際には、第1及び第2の金型の少なくとも一方に設
けられた加圧手段により、金属溶湯が加圧されて充填加
圧される。このとき、支持手段によって、プリフォーム
が第1及び第2の金型の少なくとも一方の成形面から離
間した所定位置において支持され、充填加圧によってプ
リフォームに金属溶湯が含浸されうる。ここで、プリフ
ォームは、少なくともキャビティ内に金属溶湯が充填さ
れる前段階にあっては、プリフォームが支持手段によっ
て支持された状態に維持されるため、金型の成形面に直
接当接しない。このため、金型の成形面によってプリフ
ォームの熱が奪われにくく、また、プリフォームのほと
んどの面はキャビティ空間に露出している。従って、金
属溶湯はプリフォーム内部に円滑に、かつ、速やかに含
浸されることとなる。さらに、キャビティ内に金属溶湯
が充填加圧された後にあっては、支持手段が金型の成形
面から非突出状態とされるよう維持される。従って、そ
の後、得られた鋳造品の加工が行われるに際し、支持手
段による穴等が形成されていないため、断続加工とはな
らず、加工治具の損傷等が抑制される。
【0016】加えて、請求項5に記載の発明では、請求
項4に記載のディスクロータ用成形装置において、前記
構造として、空圧シリンダを備えていることをその要旨
としている。
【0017】上記請求項5に記載の発明によれば、請求
項4に記載の発明の作用に加えて、空圧シリンダによっ
て、支持手段を、プリフォームを支持した状態に維持す
ることができ、しかも、金属溶湯の充填加圧時には、金
属溶湯からの圧力が空圧を上回り、自動的に支持手段を
非突出状態に維持しうる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明をベンチレーショ
ンタイプのディスクブレーキ用ディスクロータに具体化
した一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】図4(b)に示すように、本実施の形態に
おけるディスクロータ1は、有底円筒状の本体部2と、
鍔状のリング部3とからなっている。本体部2はアルミ
ニウムによって構成されている。また、リング部3のア
ウタ側及びインナ側のパッドが当接(摺動)する部分に
は、それぞれアルミナ製のプリフォーム4,5が設けら
れている。また、プリフォーム4,5は、アルミナ粒子
により構成されたものであって、当初の体積率(Vf)
は例えば30%程度であり、空隙内には、本体部2を構
成するアルミニウムが含浸されている。
【0020】本実施の形態におけるプリフォーム4,5
(アルミニウム含浸前)は次のようにして得られる。す
なわち、まず、アルミナ粒子を水中に分散させた上で、
フィルターを備えた吸引濾過装置を用いてアルミナ粒子
の分散溶液を吸引濾過する(濾過する際に加圧する場合
もある)。前記吸引濾過装置のフィルター上には型がセ
ットされており、吸引濾過が完了すると略所定形状(リ
ング状)のアルミナ粒子体が得られる。その後、アルミ
ナ粒子体を乾燥させてから、焼成することにより、上述
した所定形状のプリフォーム4,5が得られる。
【0021】かかるプリフォーム4,5の存在により、
ディスクロータ1の強度の向上及び耐摩耗性の向上が図
られている。さらに、図4(a)に示すように、リング
部3の、アウタ側及びインナ側のプリフォーム4,5で
挟まれた部位には、所定間隔毎に複数のフィン(空間
部)6が形成されている。
【0022】上記のように構成されてなるディスクロー
タ1は、図3に示すような鋳造品1Aを切削加工に供す
ることにより得られる。すなわち、まず、所定の成形装
置を用いて鋳造品1Aを鋳造し、その後、図示しない刃
具を用いて余分なアルミニウム部分を切削することによ
り、図4(a),(b)に示すようなディスクロータ1
が製造される。
【0023】次に、上記鋳造品1Aを得るための成形装
置の構成について説明する。
【0024】図1に示すように、成形装置10は、第1
の金型としての下型11及び該下型11に対し、接離可
能に設けられた第2の金型としての上型12を備えてい
る。下型11は、ベース下型13と、該ベース下型13
に固設された外周下型14、中間下型15及び内周下型
16とによって構成されている。内周下型16の中央部
には挿通孔16aが形成されており、該挿通孔16aに
は加圧手段としての下加圧パンチ17が図の上下方向に
摺動可能に配設されている。そして、成形時には、当初
下加圧パンチ17が下方へ移動した状態に維持され、下
加圧パンチ17と挿通孔16aとによって形成される空
間が湯溜まりとなり、ここにアルミニウム溶湯が貯留さ
れた状態となる。その後、下加圧パンチが17が図の上
方へ移動させられることにより、キャビティ内に溶湯が
充填加圧されるようになっている。
【0025】また、外周下型14には第1段差部14a
及び第2段差部14bが形成されており、第1段差部1
4aには、上述したフィン6を形成するための複数の置
中子18が設置されるようになっている。より詳しく
は、複数の置中子18の各先端部がキャビティ内の中心
方向へ突出するようにして放射状に配置され、各基端部
が前記第1段差部14aに嵌め込まれる。さらに、該置
中子18を上方から支持するようにして押さえリング1
9が第2段差部14bに設置されるようになっている。
そして、押さえリング19は、複数のリング固定治具2
1によって上方から押さえられ、さらにリング固定治具
21は、固定用のボルト22で外周下型14に対し締め
付けられるようになっている。これにより、成形に際
し、置中子18は、完全に移動不能な状態で維持される
ようになっている。
【0026】さらに、前記中間下型15には、アウタ側
のプリフォーム4を支持するための支持装置23が設け
られている。より詳しく説明すると、支持装置23は、
空圧シリンダ24と、空圧シリンダ24から出没可能に
設けられたロッド25と、ロッド25の先端に固定され
た支持手段としての押さえピン26とによって構成され
ている。押さえピン26は、中間下型15の摺動穴15
aを摺動可能に設けられており、前記キャビティ内に突
出可能となっている。
【0027】同様に、前記上型12には、インナ側のプ
リフォーム5を支持するための支持装置27が設けられ
ている。該支持装置27も、空圧シリンダ28、ロッド
29及び支持手段としての押さえピン30により構成さ
れている。押さえピン30は、上型12の摺動穴12a
を摺動可能に設けられており、前記キャビティ内に突出
可能となっている。
【0028】次に、上記成形装置11を用いて鋳造品1
Aを成形し、ディスクロータ1を製造するための方法に
ついて説明する。まず、図1に示すように、下型11か
ら上型12を離間した型開き状態において、下加圧パン
チ17を下方へ移動した状態に維持する。また、このと
きには、上述した置中子18、押さえリング19、リン
グ固定治具21及びボルト22を下型11から外してお
く。さらに、支持装置23,27の空圧シリンダ24,
28を作動させ、ロッド25,29を延出せしめ、押さ
えピン26,30の先端面が中間下型15及び上型12
の成形面から突出した状態に維持しておく。併せて、下
型11及び上型12の温度を200℃〜500℃に昇温
しておく。
【0029】次に、予め加熱しておいたアウタ側のプリ
フォーム4(400℃〜800℃:但し、下型11、上
型12の温度よりも高いのが望ましい)を所定位置にセ
ットする。すなわち、押さえピン26の上端面上にプリ
フォーム4を載置する。その後、200℃〜500℃に
昇温した置中子18を外周下型14にセットし、それを
押さえリング19で押さえ、さらにリング固定治具21
を載置した上で、ボルト22を外周下型14に螺着す
る。これにより、アウタ側のプリフォーム4は、押さえ
ピン26で支持された状態で、かつ、該押さえピン26
及び置中子18により挟持された状態となる。
【0030】その後、インナ側のプリフォーム5を所定
位置にセットする。すなわち、置中子18上に、上記と
同様加熱しておいたプリフォーム5を載置する。
【0031】次に、挿通孔16a及び下加圧パンチ17
により形成された湯溜まりに、750℃〜850℃のア
ルミニウム溶湯を注ぎ込んでおく。そして、下型11に
対し上型12を当接させ、型締めする。これにより、図
2に示すように、インナ側のプリフォーム5は、押さえ
ピン30及び置中子18により挟持された状態となる。
このように、プリフォーム4,5は、共に、下型11及
び上型12から離間した位置において押さえピン26,
30で支持されることとなり、下型11及び上型12が
直接接触することによって熱が急激に奪われてしまうと
いうことがない。さらに、下加圧パンチ17を上方に移
動させる。すると、図5に示すように、下加圧パンチ1
7に押された溶湯は、上記鋳造品1Aを得るためのキャ
ビティに充填され加圧される。このとき、下型11及び
上型12に近い部分に存在する溶湯は、これら下型11
及び上型12によって熱が奪われる。従って、キャビテ
ィの外周縁部の溶湯は速やかに凝固することとなり、該
凝固したアルミニウムによって、前記設置されていたプ
リフォーム4,5は、押さえピン26,30の存在がな
くとも移動しない状態となる。
【0032】一方、キャビティ内は溶湯が充填され、加
圧状態が維持される。そして、溶湯は、プリフォーム
4,5及び押さえピン26,30間にも入り込む。この
とき、それまでキャビティ内に突出していた押さえピン
26,30は、単に空圧シリンダ24,28の空気圧に
よって突出状態が維持されているだけである。従って、
前記加圧により溶湯の圧力が空気圧を上回ると、押さえ
ピン26,30は、溶湯の圧力によって押さえられ、空
気圧に抗して摺動穴15a,12a内へと没入する。こ
こで、没入の程度は予め設定されており、押さえピン2
6,30の支持面が、中間下型15及び上型12の成形
面とちょうど面一になる位置まで没入する。この没入に
より、押さえピン26,30をはじめとする支持装置2
3,27の役割は終了する。
【0033】さらに、下加圧パンチ17による加圧を継
続する。この間、プリフォーム4,5の空隙内に、溶湯
が含浸される。かかる含浸に際し、プリフォーム4,5
は、下型11及び上型12の成形面に接しておらず、ほ
とんどの面はキャビティ空間に露出している。このた
め、溶湯は、プリフォーム4,5内部に円滑に、かつ、
速やかに含浸されることとなる。
【0034】その後、溶湯が固化するまで加圧を継続
し、その後、上型12を下型11から離間させる(型開
きをする)。次に、ボルト22及びリング固定治具21
を外し、押さえリング19を取り外す。さらに、下型1
1に設けられた図示しない押し出しピンを押し出すこと
により、鋳造品1Aを成形装置10から取り外し、置中
子18を側方へ引き抜く。これにより、上述したような
鋳造品1A(図3参照)を得ることができる。
【0035】続いて、得られた鋳造品1Aに関し、上述
したディスクロータ1の形状となるよう、刃具を用いた
切削加工を施す。これにより、図4(a),(b)に示
すようなディスクロータ1が得られる。ここで、前記鋳
造品1Aには、押さえピン26,30による穴等が形成
されていない。このため、加工に際し、断続加工とはな
らず、刃具の損傷が起こりにくい。
【0036】以上詳述したように、本実施の形態によれ
ば、主として本体部2がアルミニウムによって構成され
ているため、ディスクロータ1の著しい軽量化を図るこ
とができる。また、プリフォーム4,5の存在により、
強度の低下を抑制でき、耐摩耗性の向上を図ることがで
きる。
【0037】また、成形に際し、プリフォーム4,5
は、押さえピン26,30等によって支持され、下型1
1及び上型12の成形面に直接当接していない。このた
め、金型の成形面によってプリフォーム4,5の熱が奪
われることが抑制される。その結果、プリフォーム4,
5の空隙内に十分に含浸する前に溶湯の凝固が起こって
しまうことによる未含浸等の不具合を抑制することがで
きる。
【0038】さらに、プリフォーム4,5のほとんどの
面がキャビティ空間に露出しているため、溶湯はプリフ
ォーム4,5内部に円滑に、かつ、速やかに含浸され
る。従って、溶湯の未含浸をさらに抑制することができ
る。また、含浸が速やかに行われることから、体積率V
fの高いプリフォームを用いたとしても十分な含浸を期
待することができる。そのため、種々の体積率を有する
プリフォームを用いることができ、各種ニーズに応じて
適用範囲の拡張を図ることができる。
【0039】併せて、溶湯の充填加圧完了に際しては、
押さえピン26,30が成形面から非突出状態とされ
る。従って、得られた鋳造品1Aに関し、押さえピン2
6,30による穴等が形成されることがない。その結
果、刃具を用いた切削加工に際しては、断続加工とはな
らず、刃具の損傷を抑制することができ、ひいては加工
治具の長寿命化が図られ、長期使用が可能となる。
【0040】特に、本実施の形態では、充填加圧完了に
際しては、押さえピン26,30の支持面が下型11及
び上型12の成形面と面一となる。従って、得られる鋳
造品1Aの押さえピン26,30に対応する部分が、そ
の周囲の部分と面一となる。そのため、その後の切削加
工がより容易に行われる。
【0041】加えて、押さえピン26,30が空圧シリ
ンダ24,28の空気圧によって支持されることとし、
これにより、押さえピン26,30が、充填加圧された
溶湯からの圧力に基づきいわば自動的に成形面から非突
出状態とされるようにした。このため、別途の駆動装置
等を用いて、押さえピン26,30を非突出状態(没入
状態)とする必要がなく、ひいては設備の簡素化、エネ
ルギーの節約を図ることができる。
【0042】尚、上記実施の形態の記載内容に限定され
ず、例えば次のように実施してもよい。
【0043】(a)上記実施の形態では、下型11(内
周下型16)に下加圧パンチ17を設けることとした
が、図6に示すように、上型12に加圧手段としての上
加圧パンチ31を設け、該上加圧パンチ31を下方向へ
移動させることにより、溶湯をキャビティ内に充填加圧
するような構成としてもよい。また、下型11及び上型
12双方に加圧パンチを設けることとしてもよい。
【0044】(b)上記実施の形態では、アウタ側及び
インナ側にプリフォームを設ける構成としたが、片方の
みに設けることとしてもよい。
【0045】(c)上記実施の形態では、所定間隔毎に
フィン6を有するディスクロータ1について具体化した
が、フィン6を有しないタイプのディスクロータにも適
用することができる。この場合、置中子18等は省略さ
れる。
【0046】(d)プリフォーム4,5の製造方法とし
ては、上記実施の形態において説明した方法に限定され
るものではなく、例えばアルミナ粒子を加圧固化或いは
焼成固化することにより得ることとしてもよい。また、
強度向上、耐摩耗性の向上を図ることのできる素材であ
れば、セラミック繊維等の他の素材により構成すること
としてもよいし、アルミナ粒子以外のセラミック粒子に
より構成することとしてもよい。また、プリフォームの
体積率についても、上記実施の形態の数値に何ら限定さ
れるものではなく、種々の体積率を有するプリフォーム
を採用しうる。
【0047】(e)上記実施の形態では、鋳造品1Aの
成形後に置中子18を抜き取るような構成としたが、油
圧シリンダ等により、金型内に移動中子を設けておき、
該中子を作動させる構成としてもよい。
【0048】(f)上記実施の形態では、押さえピン2
6,30を空圧シリンダ24,28で支持する構成とし
たが、別途の駆動手段にて突出状態を維持させることと
してもよい。例えば、押さえピン26,30を、油圧シ
リンダで上下動させるような構成としてもよい。
【0049】(g)本体部2等を構成する素材として、
アルミニウム以外にも、アルミニウムに炭化珪素を混入
した複合材料等を用いてもよい。
【0050】(h)上記実施の形態では、下型11を、
ベース下型13と、該ベース下型13に固設された外周
下型14、中間下型15及び内周下型16といった各パ
ーツによって構成することとした。これに対し、これら
13〜16或いは14〜16を一体的に構成してもよ
い。
【0051】また、上記実施の形態から把握できるさら
なる技術的思想の創作について記載する。
【0052】(1)請求項1〜3のいずれかにおいて、
少なくとも前記充填直前においては、前記プリフォーム
の温度を、第1及び第2の金型の温度よりも高く設定し
ておくことを特徴とするディスクロータの製造方法。
【0053】(2)請求項1〜3、上記付記(1)のい
ずれかにおいて、前記充填加圧に際しては、前記プリフ
ォームが前記金属溶湯にほぼ埋設されるようにし、前記
加工に際しては前記プリフォームの少なくとも一部の面
が露出するようにしたことを特徴とするディスクロータ
の製造方法。
【0054】(3)上記付記(2)において、前記プリ
フォームが露出した面が、パッドとの摩擦面となるよう
にしたことを特徴とするディスクロータの製造方法。
【0055】(4)請求項1〜3、上記付記(1)〜
(3)のいずれかにおいて、前記加工は、刃具を用いた
切削加工を含んでいることを特徴とするディスクロータ
の製造方法。
【0056】(5)請求項4又は5において、前記構造
として、前記キャビティ内に金属溶湯が充填加圧された
後にあっては、前記支持手段の支持面が前記成形面とほ
ぼ面一となるようにしたことを特徴とするディスクロー
タ用成形装置。
【0057】(6)請求項1〜5、上記付記(1)〜
(5)のいずれかにおいて、前記プリフォームは、セラ
ミック粒子又はセラミック繊維によって構成されている
ことを特徴とする。
【0058】(7)請求項1〜5、上記付記(1)〜
(6)のいずれかにおいて、前記金属溶湯は、アルミニ
ウムによって構成されていることを特徴とする。
【0059】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のディスク
ロータの製造方法及びディスクロータ用成形装置によれ
ば、プリフォームを用いたディスクロータの製造に際
し、溶湯の未含浸を抑制し、しかも成形後における加工
時の不具合を解消することができるという優れた効果を
奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態におけるディスクロータの鋳造用
成形装置を示す断面図である。
【図2】成形装置の主要部を示す部分断面図である。
【図3】成形装置を用いて鋳造された鋳造品を示す部分
断面図である。
【図4】(a)はディスクロータのフィンのある部分
を、(b)はディスクロータのフィンのない部分をそれ
ぞれ示す部分断面図である。
【図5】溶湯の充填加圧時の作用を説明するための成形
装置の部分断面図である。
【図6】別の実施の形態におけるディスクロータの鋳造
用成形装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1…ディスクロータ、1A…鋳造品、4,5…プリフォ
ーム、10…成形装置、11…第1の金型を構成する下
型、12…第2の金型を構成する上型、17…加圧手段
としての下加圧パンチ、23、27…支持装置、24,
28…空圧シリンダ、26,30…支持手段としての押
さえピン、31…加圧手段としての上加圧パンチ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 初山 圭司 愛知県豊田市高丘新町天王1番地 アイシ ン高丘 株式会社内 Fターム(参考) 3J058 AA43 AA48 AA53 CB23 EA05 EA08 EA14 FA01 FA21 GA33 GA49

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相互に接離可能に設けられた第1及び第
    2の金型の少なくとも一方の成形面から所定量突出した
    状態に支持手段を維持し、加熱されたプリフォームを前
    記支持手段にて支持する工程と、 前記第1及び第2の金型により構成されたキャビティ内
    に金属溶湯を充填加圧するとともに、前記プリフォーム
    の内部に金属溶湯を含浸せしめ、かつ、少なくとも該充
    填加圧完了に際しては前記支持手段が前記成形面から非
    突出状態とされるようにする工程と、 前記金属溶湯を固化せしめ、得られた鋳造品を前記第1
    及び第2の金型から取り外す工程と、 前記鋳造品を所定のディスクロータの形状となるよう加
    工を施す工程とを備えたことを特徴とするディスクロー
    タの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記支持手段は、充填加圧された金属溶
    湯からの圧力に基づき前記成形面から非突出状態とされ
    るようにしたことを特徴とする請求項1に記載のディス
    クロータの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記充填加圧完了に際しては、前記支持
    手段の支持面が前記成形面とほぼ面一となるようにした
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のディスクロー
    タの製造方法。
  4. 【請求項4】 相互に接離可能に設けられ、金属溶湯を
    充填するためのディスクロータ用キャビティを形成可能
    な第1及び第2の金型と、 前記第1及び第2の金型の少なくとも一方に設けられ、
    前記金属溶湯を加圧する加圧手段と、 前記金属溶湯が含浸可能な構成を有するプリフォーム
    を、前記第1及び第2の金型の少なくとも一方の成形面
    から離間した所定位置において支持するための支持手段
    とを備えたディスクロータ用成形装置であって、 少なくとも前記キャビティ内に金属溶湯が充填される前
    段階にあっては、前記プリフォームが前記支持手段によ
    って支持された状態となるよう維持し、前記キャビティ
    内に金属溶湯が充填加圧された後にあっては、前記支持
    手段が前記成形面から非突出状態とされるよう維持する
    構造を有してなるディスクロータ用成形装置。
  5. 【請求項5】 前記構造として、空圧シリンダを備えて
    いることを特徴とする請求項4に記載のディスクロータ
    用成形装置。
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