JP6487533B2 - 押湯システム - Google Patents

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Description

本発明は、鋳型を用いる金属鋳造操作で用いる押湯システム、該押湯システムで用いる押湯スリーブ、および該押湯システムを含む鋳型を作製する方法に関する。
典型的な鋳造プロセスにおいて、溶融金属が、鋳物の形状を規定する予め形成された鋳型キャビティ内に注がれる。しかしながら、金属は凝固時に収縮し、結果として、最終鋳物において許容できない欠陥となる引け巣を生じる。これは、鋳造業界においてよく知られた問題であり、鋳型形成中に、パターンプレートに取り付けることによって、または後でスリーブを形成された鋳型のキャビティに挿入することによって鋳型に一体化された押湯スリーブまたはライザの使用によって対処されている。各押湯スリーブは、鋳型キャビティと連通する追加の(通常、囲まれた)容積またはキャビティを提供するので、溶融金属も押湯スリーブ内に入る。凝固中、押湯スリーブ内の溶融金属は、鋳型キャビティ内に逆流して、鋳物の収縮を補償する。
鋳物の凝固および鋳型材料の除去後、押湯スリーブ内からの不所望の残留金属が鋳物に付着したままであり、除去されなければならない。残留金属の除去を容易にするために、押湯スリーブキャビティは、ネックダウンスリーブと一般的に呼ばれる設計において、その基部(すなわち、鋳型キャビティに最接近することになる押湯スリーブの端部)に向かって先細にされてもよい。強い打撃が残留金属に与えられると、鋳型近傍にある最も弱い部分で分離する(「ノックオフ」として一般的に知られるプロセス)。鋳物上の小さなフットプリントもまた、隣接する特徴部によってアクセスが制限され得る鋳物の領域において押湯スリーブの位置決めを可能にするのに望ましい。
押湯スリーブは、鋳造鋳型キャビティの表面上に直接取付けられてもよいけれども、押湯エレメント(ブレーカコアとしても知れられる)とともにしばしば使用される。ブレーカコアは、通常中心に穴があり、鋳型キャビティと押湯スリーブとの間に位置する、耐火材料から成るディスク(典型的に、樹脂結合砂コア、またはセラミックコア、または押湯スリーブ材料から成るコア)に過ぎない。ブレーカコアを貫通する孔の直径は、押湯スリーブの内部キャビティ(必ずしも先細である必要はない)の直径よりも小さく設計されて、ノックオフが鋳物に近接するブレーカコアにおいて生じる。
鋳物砂は、2つの主要なカテゴリ、化学結合(有機または無機結合剤に基づく)と粘土結合とに分類可能である。化学結合造型結合剤は、典型的に、自己硬化システムであり、該システムでは、結合剤および化学硬化剤が砂と混合されて、結合剤および硬化剤が直ちに反応し始めるが、十分にゆっくりと、砂をパターンプレートの周りに造型させ、その後除去および鋳造のために十分に硬化させる。
粘土結合造型は、粘土と結合剤としての水とを用い、「生」すなわち未乾燥状態で使用可能であり、一般的に生砂と呼ばれる。生砂混合物は、圧縮力下のみにおいては、すぐに流れず、または容易に移動しないので、パターンの周りに生砂を詰め込み、鋳型に十分な強度特性を与えるために、ジョルティング(jolting)、バイブレーティング(vibrating)、スクイージング(squeezing)およびラミング(ramming)の様々な組み合わせが、高い生産性で一様な強度の鋳型を製造するのに適用される。砂は、典型的には、通常1または複数の油圧ラムを用いて高圧で圧縮される(詰め込まれる)。
このような高圧造型プロセスにスリーブを適用するために、通常、押湯スリーブのための装着点として、予め定める位置における造型パターンプレート(鋳型キャビティを規定する)上にピンが設けられる。要求されるスリーブがピン上に設置される(フィーダの基部がパターンプレート上または上方にあるように)と、押湯スリーブが覆われて鋳型枠が充填されるまで、鋳物砂をパターンプレート上にかつ押湯スリーブの周囲に注ぐことによって、鋳型が形成される。鋳物砂およびそれに続く高圧力の適用は、押湯スリーブの損傷および破損を生じ得、特に、打ち固め前に押湯スリーブがパターンプレートと直接接触する場合、鋳物の複雑性および生産性要求が高まるにつれて、より寸法が安定した鋳型が必要とされ、その結果、より高いラミング圧力への傾向および結果としてのスリーブの破損を生じ得る。
出願人は、WO2005/051568、WO2007141446、WO2012110753およびWO2013171439に記載される、押湯スリーブとの組み合わせで用いる様々な折り畳み式押湯エレメントを開発してきた。押湯エレメントは、造型中に圧力を受けると圧縮し、これによって押湯スリーブを損傷から保護する。
US2008/0265129は、内部に押湯キャビティを有するフィーダ本体を含む、鋳造金属のために使用される鋳型に挿入するための押湯インサートを記載している。フィーダ本体の底部側は、鋳型と連通しており、フィーダ本体の上部側には、エネルギ吸収装置が設けられる。
EP1184104A1(Chemex GmbH)は、鋳物砂が圧縮されたときに、順に嵌り込み、第1(下側)部分の外壁と第2(上側)部分の内壁が面一になる、2部分押湯スリーブ(断熱性または発熱性であってもよい)を記載している。
EP1184104A1の図3a〜図3dは、2部分押湯スリーブ(102)の伸縮動作を示す。押湯スリーブ(102)は、パターン(122)と直接接触しており、これは、不十分な表面仕上げ、鋳物表面の局所的な汚れ、および副次的な鋳造欠陥を生じ得るので、発熱性スリーブが使用されるとき弊害をもたらす。また、たとえ下側部分(104)が先細であったとしても、下側部分(104)は、打ち固め中に受ける力に耐えるように比較的厚くされなければならないので、依然としてパターン(122)上に幅広のフットプリントが存在する。これは、ノックオフおよびパターン上の押湯システムに占有される空間の観点から不十分である。下側の内側部分(104)と上側の外側部分(106)とは、保持要素(112)によって適所に保持される。保持要素(112)は、伸縮動作を行うことを可能にするために折れて取れ鋳物砂内に落下する。保持要素は、時間とともに鋳物砂に蓄積し、鋳物砂を汚す。これは、特に、保持要素が発熱性材料から成る場合に面倒を引き起こす。なぜなら保持要素が反応して、小さな爆発性の欠陥を生じることがあるからである。
US6904952(AS Luengen GmbH & Co. KG)は、管状体が一時的に押湯スリーブの内壁に接着される押湯システムを記載している。鋳物砂が圧縮されるときに押湯スリーブと管状体との間に相対移動が存在する。
増大する要求が、部分的には造型設備の進歩によって、また部分的には製造している新たな鋳物によって高圧造型システムで用いる押湯システムに突きつけられる。ダクタイル鋳鉄のある等級および特定の鋳物形状は、ある金属の押湯エレメントのネックを通して押湯性能の有効性に悪影響を及ぼし得る。また、ある造型ラインまたは鋳物形状は、砂の薄層だけによって分離される鋳物表面に近接しているスリーブの基部に生じる過圧縮(押湯エレメントの圧潰または押湯システムの伸縮)を結果としてもたらし得る。本発明は、金属鋳造で用いる押湯システムを提供し、先行技術の押湯システムに関連する1または複数の課題を克服しようとする、または有用な代替物を提供しようとするものである。
本発明の第1態様に従えば、管状体に装着された押湯スリーブを含み、
押湯スリーブは、長手軸を有するとともに、鋳造中に液体金属を受けるキャビティを規定する、長手軸の略周囲に延びる連続した側壁を含み、該側壁は管状体に隣接する基部を有し、
管状体はキャビティを鋳物に接続するための貫通する開放孔を規定し、
溝が基部から第1深さまで側壁内に延び、管状体が溝内に第2深さまで突出し、保持手段によって適所に保持され、
使用時に力が加わると、保持手段が克服され、管状体が溝内にさらに押圧されるように、第2深さは第1深さよりも小さい、金属鋳造のための押湯システムが提供される。
使用時において、押湯システムは、鋳型パターン上に装着され、典型的にはパターンプレートに取り付けられた成形ピン上に設置されて、管状体を鋳型に隣接するように該システムを適所に保持する。管状体によって規定される開放孔は、押湯スリーブキャビティから鋳型キャビティまでの通路を提供して、鋳物が冷却し収縮するにつれて鋳物を押湯する。造型およびそれに続く打ち固め中、押湯システムは、管状体の長手軸(孔軸)の方向に力を受けることになる。この力は、押湯スリーブおよび管状体を一緒に押圧して、保持手段が克服され、既に部分的に溝内に突出する管状体が、さらに一層溝内に突出する。したがって、高い圧縮圧力は、押湯スリーブの破損よりもむしろ、押湯スリーブと管状体との間の相対移動を引き起こす。典型的には、押湯システムは、少なくとも30、60、120または150N/cmの打ち固め圧力(パターンプレートでの測定時)を受けることになる。
US6904952の図2は、ホットグルーシーム(7)によって押湯スリーブ(1)のキャビティ内に接着された管状体(3)を示す。造型中、押湯スリーブ(1)は、管状体(3)から分離しており、管状体にさらに力を加え、新たな位置がハッチングで示される。鋳造中、液体金属は、重なりの領域において、押湯スリーブよりもむしろ管状体と直接接触することになる。管状体は、室温にあり、特に管状体が金属から成るとき、冷却効果を生じ得る。冷却効果は、減少する押湯およびそれに続く鋳物欠陥を結果として生じる押湯スリーブ内の液体金属の早期凝固を生じ得る。US6904952では、管状体は、好ましくは金属、プラスチック、厚紙、セラミック、またはアルミニウムおよび鉄シートと類似の材料から成るといわれる。本発明では、フィーダと重なる管状体の一部は、側壁内にあり、鋳造中に液体金属と直接接触しない。これは、冷却効果を最小にするだけではなく、発熱性フィーダが用いられるとき、管状体の過熱も結果として生じ、金属管状体の両側が発熱性フィーダの重複部分と直接接触し、したがって、押湯金属が鋳物を押湯するのに十分に長く液体のままであることを確保する。
管状体
管状体は、2つの機能:(i)管状体が押湯スリーブから鋳型までの通路を提供する貫通する開放孔を有すること、および(ii)管状体と押湯スリーブの相対移動はさもなければ押湯スリーブの破損を生じ得るエネルギを吸収するように作用することを提供する。
管状体は、次に続く相対移動のために溝内にさらなる空間が存在するように、溝内に部分的に(全体ではなく)突出する。一実施形態において、溝および管状体は、保持手段が打ち固め(鋳造のための型を製造するための押湯システムの周囲の鋳物砂の高密度化)前に管状体を適所に保持する摩擦嵌合であるように、寸法決めされ成形される(たとえば、フィン、リブ、重なりまたは切込みを形成するように)。加えてまたはこれに代えて、管状体は、接着剤によって押湯スリーブに着脱可能に固定され、保持手段は接着剤である。さらなる実施形態において、押湯システム(押湯スリーブまたは管状体)は、保持要素(たとえば、ウイング、タブまたは付勢手段)または打ち固め前に管状体を第2深さにおいて適所に着脱可能に保持する複数の保持要素を含む。
管状体および押湯スリーブは、打ち固め中、さらなる相対移動を可能にしなければならない(実際には管状体は静止したままで押湯スリーブが移動する)ことが理解されるであろう。したがって、解放手段(たとえば、摩擦嵌合、接着剤および/または任意の保持要素)は、管状体および押湯スリーブが使用時に分離することを可能にしなければならない。たとえば、保持要素は、管状体が溝内に移動することを可能にするように変形することができ、または押湯システムから完全に分離することができる。保持要素は、分離するよりもむしろ押湯システムの一部に残ることが好ましい。なぜなら、小片が鋳物砂に、さらに悪いことには鋳物自体に行き着くことになるからである。
一実施形態において、保持手段は、少なくとも1つの保持要素を有する管状体を含む。加えてまたはこれに代えて、保持手段は、少なくとも1つの保持要素を有する押湯スリーブを含む。
一実施形態において、保持要素は、打ち固め時に変形する。
一実施形態において、保持要素は、管状体を溝内で適所に保持する付勢手段(たとえば、ばね)を含む。付勢手段は、打ち固め時に克服され、管状体を溝内にさらに移動させる。溝が平行壁によって規定される場合、付勢手段は打ち固め時に変形しない。
一実施形態において、管状体は、押湯スリーブ(たとえば、側壁の基部または溝内)に当接する少なくとも1つの突起を含む。このような一実施形態において、管状体は、2〜8の突起または3〜6の突起を含む。
一実施形態において、管状体は、少なくとも1つの外向き突起を含む。外向き突起は、孔軸から離反して延びる。このような一実施形態において、外向き突起はフィンである。フィンは、管状体および押湯スリーブ間に摩擦嵌合を提供するように使用されてもよく、打ち固め時に変形しない。
一実施形態において、管状体は、少なくとも1つの内向き突起を含む。内向き突起は、孔軸に向かって延びる。このような一実施形態において、管状体は重なりを形成するように、内方に向かって折り畳まれ、または「縮れ」、重なり時に変形しない。内向き突起が折れて取れ鋳物内に落下し得る危険がある場合、外向き突起は、内向き突起よりも好ましい。
一実施形態において、保持要素(たとえば突起)は、一体型保持要素であり、すなわち管状体と保持要素が一様な構成を有している。一実施形態において、一体型突起は、管状体の一部を(内側または外側に)折り曲げてタブまたはウイングを形成することによって形成される。管状体の一部は、管状体の縁であってもよく、または管状体の縁から離れていてもよい。他の実施形態において、一体型突起は、管状体における(周縁から離れた)切込みまたは隆起として形成される。他の実施形態において、一体型突起は、管状体の全周まわりに延びるリブである。リブは溝内で押湯スリーブを把持可能である。
管状体の大きさおよび質量は、用途に依存する。一般的に、可能であるときには管状体の質量を減少させることが好ましい。これは、材料コストを低減し、鋳造中に、たとえば管状体の熱容量を減少させることによって有益でもあり得る。一実施形態において、管状体は、50、40、30、25または20g未満の質量を有する。
管状体は、長手軸、孔軸を有していることが理解される。一般的に、押湯スリーブおよび管状体は、孔軸と押湯スリーブの長手軸とが同じであるように成形される。しかしながら、このことは必須ではない。
管状体の高さは、孔軸に平行な方向に測定されてもよく、溝の深さ(第1深さ)と比較されてもよい。いくつかの実施形態において、管状体の第1深さに対する高さの比は、1:1〜5:1、1.1:1〜3:1、または1.3:1〜2:1である。
管状体は、内径および外径を有し、内径および外径(すべて孔軸に平行な面において測定)の差である厚みを有する。管状体の厚みは、管状体が溝内に突出することを可能にするようにされなければならない。いくつかの実施形態において、管状体の厚みは、少なくとも0.1、0.3、0.5、0.8、1、2または3mmである。いくつかの実施形態において、管状体の厚みは、5、3、2、1.5、0.8または0.5mm以下である。一実施形態において、管状体は、0.3〜1.5mmの厚みを有する。小さな厚みは、管状体を製造するのに必要とされる材料を減少させて側壁の対応する溝を細くすることを可能にし、管状体の熱容量、したがって鋳造時にフィーダから吸収されるエネルギ量を減少させるなどのいくつかの理由のために有益である。溝は、側壁の基部から延び、溝が広くなればなるほど、基部は、それを収容するようにより広くしなければならない。
一実施形態において、管状体は、円形断面を有する。しかしながら、断面は、非円形、たとえば長円形、小判(obround)形または楕円形であってもよい。一実施形態において、管状体は、押湯スリーブ(使用時に鋳物に隣接する)から離れる方向に細い(先細になる)。鋳物に隣接する狭窄部は、フィーダネックとして知られ、フィーダのより良いノックオフを提供する。一連の実施形態において、先細ネックの孔軸に対する角度は、55、50、45、40または35°以下である。
ノックオフをさらに改善するために、管状体の基部は、内向きリップを有して、造型パターンへの装着のための面を提供し、結果として生じる鋳物フィーダネックに切込みを形成してその除去(ノックオフ)を容易にする。
管状体は、金属(たとえば鋼、鉄、アルミニウム、アルミニウム合金、真鍮、銅など)またはプラスチックを含む様々な適切な材料から製造可能である。特定の実施形態において、管状体は、金属から成る。金属管状体は、造型圧力に耐えるのに十分な強度を保持する一方、小さな厚みを有することができる。一実施形態において、管状体は、押湯スリーブ材料から製造されない(断熱性であるか発熱性であるかにかかわらず)。押湯スリーブ材料は、一般的には、小さな厚みで造型圧力に耐えるほど十分に強くなく、一方で、より厚い管状体は、側壁においてより広い溝を必要とするので、全体として、押湯システムの大きさ(および関連するコスト)を増大させる。また、押湯スリーブ材料から成る管状体は、鋳物と接触した場合に、乏しい表面仕上げおよび欠陥も生じさせ得る。
ある実施形態において、管状体が金属から成る場合、一定の厚みの単一金属片からプレス成形されてもよい。一実施形態において、管状体は、引き抜き加工によって製造され、これによって金属シートブランクがパンチの機械的作用によって成形型内に半径方向に引き込まれる。このプロセスは、引き込み部分の深さがその直径を超え、一連の型を通してその部分を再び引き込むことによって達成されるとき、深絞りとみなされる。他の実施形態において、管状体は、へら絞りまたは回転成形プロセスによって製造され、これによって金属のブランクディスクまたはチューブがまず回転旋盤に装着されて高速で回転される。次いで、局所的な圧力が、要求される完成部品の内部寸法プロファイルを有するマンドレル上およびそのまわりに金属を流下させる一連のローラまたはツールパスに印加される。
プレス成形またはへら絞りに適するために、金属は、成形プロセス中に引裂きまたは亀裂を防止するように十分に展性があるべきである。ある実施形態において、押湯エレメントは、最小0.02%(グレードDC06、欧州標準EN10130―1999)から最大0.12%(グレードDC01、欧州標準EN10130−1999)までの範囲にある典型的な炭素含有量を有する冷間圧延鋼から製造される。一実施形態において、管状体は、0.05、0.04または0.03%未満の炭素含有量を有する鋼から成る。
押湯スリーブ
溝は、溝が基部から離れて側壁内まで延びる距離である第1深さ(D1)を有する。典型的には、溝は一様な深さを有し、すなわち基部から側壁内までの距離は、どの場所で測定しても同じである。しかしながら、可変深さの溝が必要に応じて使用可能であり、第1深さは最小深さであることが理解されるであろう。なぜならこれは、管状体が溝内に突出することができる程度を決定するからである。
打ち固め前に、管状体は、溝内に第2深さ(D2)まで受容され、D2<D1であり、したがって管状体は溝内に部分的に突出する。打ち固め後、管状体は、溝内に第3深さ(D3)まで、場合により、溝の全深さまでさらに突出する。
溝は、管状体を受容可能でなければならない。したがって、溝の断面(孔軸に垂直な平面における)は、管状体の断面に対応し、たとえば、溝は円形溝であり、管状体は円形断面を有する。溝は単一の連続した溝であり、これが発明を実施するために必要であることは理解されるであろう。押湯スリーブおよび管状体間の相対移動は、管状体が対応する形状、たとえばキャステレーテッドエッジを有する場合、一連のスロットを有する押湯スリーブによって達成可能である。しかしながら、このような組み合わせは、本発明の範囲外であり、システムが閉じないので実用的ではなく、鋳物砂が管状体の周縁の間隙を通して押湯スリーブ内に入り込むという危険性がある。
一連の実施形態において、溝は、少なくとも20、30、40または50mmの第1深さ(D1)を有する。一連の実施形態において、第1深さ(D1)は、100、80、60または40mm以下である。一実施形態において、第1深さ(D1)は、25〜50mmである。第1深さ(D1)は、押湯スリーブの高さと比較可能である。一実施形態において、第1深さは、押湯スリーブの高さの10〜50%または20〜40%に対応する。
溝は、孔軸および/または押湯スリーブ軸に略垂直な方向に測定される最大幅(W)を有するとみなされる。溝の幅は管状体が溝の内部に受容可能とするのに十分でなければならないことは理解されるであろう。一連の実施形態において、溝は、少なくとも0.5、1、2、3、5または8mmの最大幅を有する。一連の実施形態において、溝は、10、5、3または1.5mm以下の最大幅を有する。一実施形態において、溝は、1〜3mmの最大幅を有する。
溝の最大幅は、管状体の厚みと比較可能である。管状体の厚みは溝の最大幅と同じまたはそれよりも小さくなければならないことは理解されるであろう。管状体が溝よりも薄い場合、さらなる保持要素が必要とされそうである。一連の実施形態において、管状体の厚みは、溝の最大幅の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%である。他の一連の実施形態において、管状体の厚みは、溝の最大幅の95%、80%、70%、60%または50%以下である。
溝は一様な幅を有していてもよく、すなわち溝の幅はどの場所で測定しても同じである。あるいは、溝は一様ではない幅を有していてもよい。たとえば、溝は、側壁の基部から離れて先細であってもよい。したがって、最大幅が側壁の基部において測定され、次いで幅が第1深さ(D1)において最小値にまで減少する。これは、打ち固め時に管状体がスリーブに突出する量を制御し減少させるように、ある実施形態において使用されてもよい。
一連の実施形態において、第2深さ(D2、管状体が溝に受容される深さ)は、第1深さの少なくとも10、15、20、25、30、40または50%である。一連の実施形態において、第2深さは、第1深さの90、80、70、60、50、40、30、20または10%以下である。一実施形態において、第2深さは、第1深さの10〜30%である。
典型的には、管状体は、一様な深さまで溝内に突出し、すなわち基部から管状体の端部までの距離は、どの場所で測定しても同じである。しかしながら、一様でない周縁(たとえばキャステレーテッドエッジ)を有する管状体が、該距離が変化するように必要に応じて使用可能であり、第2深さが最大深さとされ、鋳物砂の鋳物への侵入を回避するために管状体と側壁の基部との間に間隙がないことを確保することは理解されるであろう。
側壁の溝は、押湯スリーブキャビティから離れている。一実施形態において、溝は、押湯スリーブキャビティから少なくとも5、8または10mmの位置にある。
押湯スリーブ材料の特質は特に限定されず、たとえば断熱性、発熱性またはそれらの組み合わせであってもよい。その製造方法は特に限定されず、たとえば真空成形プロセスまたはコアショット法のいずれかを用いて製造されてもよい。典型的には、押湯スリーブは、低密度および高密度耐火充填剤(たとえばケイ砂、かんらん石、アルミノケイ酸塩中空微小球および繊維、シャモット、アルミナ、軽石、パーライト、バーミキュライト)と結合剤との混合物から成る。発熱性スリーブは、燃料(通常、アルミニウムまたはアルミニウム合金)と、酸化剤(典型的には、酸化鉄、二酸化マグネシウムまたは硝酸カリウム)と、通常開始剤/増感剤(典型的には氷晶石)とをさらに必要とする。
一実施形態において、従来の押湯スリーブが製造され、次いで押湯スリーブ材料が基部から除去されて、たとえば穿孔または研磨によって溝を形成する。他の実施形態において、押湯スリーブが適所に溝とともに、典型的には、溝を規定するツールを組み込むコアショット法によって製造され、たとえばツールは薄いマンドレルを有し、該マンドレルのまわりにスリーブが形成され、その後スリーブがツールおよびマンドレルから除去される(剥ぎ取られる)。この実施形態において、先細のマンドレルを用いて形成されたスリーブを剥ぎ取るのを容易にし、スリーブの基部に先細の溝を与えることが好ましい。
一連の実施形態において、押湯スリーブは、少なくとも5kN、8kN、12kN、15kN、20kNまたは25kNの強度(破砕強度)を有する。一連の実施形態において、スリーブ強度は、25kN、20kN、18kN、15kN、10kNまたは8kN未満である。比較を容易にするために、押湯スリーブの強度は、押湯スリーブ材料から成る50×50mmの円筒試験体の圧縮強度として規定される。201/70EM圧縮試験機(Form & Test Seidner、ドイツ)が用いられ、製造者の指示に従って動作される。試験体は、下側のスチールプレートの中央部に設置され、下側プレートが20mm/分の速度で上側プレートに向かって移動するにつれて破壊に至る。押湯スリーブの有効強度は、正確な組成、使用される結合剤および製造方法に依存するだけでなく、スリーブの大きさおよび設計にも依存し、これは、試験体の強度が通常、標準平坦上部スリーブのために測定された強度よりも高いという事実によって示される。
一実施形態において、押湯スリーブは、側壁の基部から離間した天板を含む。側壁および天板はともに、鋳造中、液体金属を受容するためのキャビティを規定する。このような一実施形態において、天板および側壁は、一体的に形成される。あるいは、側壁および天板は分離可能であり、すなわち天板は蓋である。一実施形態において、側壁および天板の両方とも、押湯スリーブ材料から成る。押湯スリーブは、円筒、長円およびドームを含む多くの形状で利用可能である。そのようなものとして、側壁は、押湯スリーブの長手軸に平行またはそこから角度が付けられている。天板(存在している場合)は、上部が平坦、ドーム状、上部が平坦なドーム状、または他の適切な形状であってもよい。
スリーブの天板は、押湯スリーブキャビティが包囲されるように閉じていてもよく、造型パターンに取り付けられる成形ピン上に押湯システムを装着するのを支援するように、フィーダの上部(基部とは反対側)を通って部分的に延びる凹部(止まり穴)を含んでもよい。あるいは、押湯スリーブは、フィーダキャビティが開いたフィーダ天板の全体を通って延びる開口(開口孔)を有していてもよい。開口は、支持ピンを収容するのに十分に幅が広く、造型中、砂が押湯スリーブキャビティに入るのを回避するのに十分に狭くなければならない。開口の直径は、押湯スリーブキャビティの最大直径と比較されてもよい(両方とも押湯スリーブの長手軸に垂直な平面で測定される)。一実施形態において、開口の直径は、押湯スリーブキャビティの最大直径の40、30、20、15または10%以下である。
使用時において、押湯システムは、典型的には、砂が圧縮され打ち固められる前に、造型パターンプレート上の要求された位置に押湯システムを保持するために支持ピン上に設置される。打ち固め時に、スリーブは造型パターン表面に向かって移動し、固定されている場合、ピンは押湯スリーブの天板に穴をあけてもよく、または単に、スリーブが下方に移動するにつれて開口または凹部を横断してもよい。この移動および天板のピンとの接触は、スリーブの小断片が折れ取れて鋳物キャビティ内に落下するのを生じさせ、乏しい表面仕上げまたは鋳物表面の局所的な汚れをもたらし得る。これは、天板の開口または凹部を、金属、プラスチックまたはセラミックなどの様々な適切な材料から製造されてもよい、中空インサートまたは内部カラーでライニングすることによって解消可能である。したがって、一実施形態において、押湯スリーブは、フィーダの天板の開口または凹部をライニングする内部カラーを含むように修正されてもよい。このカラーは、スリーブが製造された後、スリーブの天板の開口または凹部に挿入されてもよく、またはあるいはスリーブの製造中に組み込まれ、これによって、スリーブ材料がカラーの周囲にコアショットされまたは成形され、その後、スリーブが硬化されてカラーを適所に保持する。このようなカラーは、スリーブを造型および打ち固め中に支持ピンによって生じ得る損傷から保護する。
本発明はまた、第1態様の実施形態に従う押湯システムで用いる押湯スリーブに属する。
本発明の第2態様に従えば、長手軸を有し、長手軸の略周囲に延びる連続した側壁と、長手軸に略交差して延びる天板とを含み、側壁および天板はともに鋳造中に液体金属を受容するためのキャビティを規定し、
側壁は天板から離間した基部を有し、溝が基部から側壁内に延びている、金属鋳造で用いる押湯スリーブが提供される。
第1態様に関する上記説明は、第2態様の押湯スリーブが天板を含まなければならないことを除いて、第2態様にも適用される。溝が基部から離れて延び、天板に向かって延びることが理解されるであろう。
一実施形態において、溝は一様な幅を有する。あるいは、溝は一様でない幅を有する。このような一実施形態において、溝は、側壁の基部から離れて先細である。先細の溝の使用は、ある実施形態において有用であり得る。たとえば、先細の溝は、保持要素の変形を誘導することができる。
一実施形態において、開口(開放孔)は、フィーダの天板を通って延びる。このような一実施形態において、内部カラーが開口をライニングする。この実施形態は、押湯スリーブが上述のように支持ピンとともに使用されるとき、有用である。
一実施形態において、天板は閉じられ、すなわち開口はフィーダの天板を通って延びない。
本発明の第3態様に従えば、
第1態様の押湯システムをパターン上に設置することであって、該押湯システムは管状体上に装着された押湯スリーブを含み、
押湯スリーブは鋳造中に液体金属を受容するためのキャビティを規定する連続した側壁を含み、該側壁は管状体に隣接する基部を有し、
管状体はキャビティを鋳物に接続するための貫通する開放孔を規定し、
溝が基部から第1深さまで側壁内に延び、管状体が第2深さまで溝内に突出し、保持手段によって適所に保持され、第2深さは第1深さ未満である、押湯システムをパターン上に設置することと、
パターンを鋳型材料で取り囲むことと、
鋳型材料を圧縮することと、
パターンを圧縮された鋳型材料から除去して、鋳型を形成することとを含み、
鋳型材料を圧縮することは、保持手段が克服され、管状体が第3深さまで溝内にさらに押圧されるように押湯システムに圧力を印加することを含む、鋳型を作製する方法が提供される。
鋳型は、水平分割または垂直分割鋳型であってもよい。垂直分割造型機(DISA Industries A/Sによって製造されたディーサマティック無枠造型機など)で用いられる場合、押湯システムは、典型的に、通常の鋳型製造サイクル中の水平位置において、揺動(パターン)プレート上に設置される。スリーブは、水平パターンまたは揺動プレート上に、手動でまたはロボットの使用によって自動的に設置されてもよい。
第1および第2対応に関する上記説明は、第3態様にも適用される。
一連の実施形態において、管状体がさらに第3深さ(D3)まで溝内にさらに押圧されるように、保持手段が克服され、第3深さは、第1深さの少なくとも50、60、70、80または90%である。一連の実施形態において、第3深さは、第1深さの95、90、80または70%以下である。特定の実施形態において、第3深さは、第1深さの60〜80%である。
一実施形態において、保持手段は、管状体が溝内にさらに移動するのを可能にするように変形する(が管状体から分離しない)少なくとも1つの保持要素を有する管状体を含む。このような一実施形態において、保持要素は一体的な保持要素である。一実施形態において、保持要素は、外方に突出するタブまたは切込みである。
一実施形態において、管状体または押湯スリーブの変形なしで保持手段が克服される。このような一実施形態において、保持手段は、管状体および溝間の摩擦嵌合を含む。たとえば付勢手段の一様な幅内での使用がある。
一連の実施形態において、鋳型材料を圧縮することは、少なくとも30、60、90、120または150N/cmの打ち固め圧力を印加することを含む。
一実施形態において、鋳型材料は、粘土結合砂(通常、生砂という)であり、典型的には、ナトリウムまたはカルシウムベントナイトなどの粘土と、水と、炭塵および穀粉粘結剤などの添加剤との混合物を含む。あるいは、鋳型材料は結合剤を含有する型砂である。
本発明の実施形態が、添付の図面を参照して一例としてだけ説明される。
本発明の実施形態に従う押湯システムの斜視図である。 打ち固め前(図2a)および打ち固め後(図2b)の本発明の実施形態に従う押湯システムを示す図である。 本発明の実施形態に従う保持要素の変形の概略図である。 本発明の実施形態に従う押湯システムで用いる管状体を示す図である。 本発明の実施形態に従う押湯システムで用いる管状体を示す図である。 本発明のさらなる実施形態で用いる管状体を示す図である。 図6の管状体を組み込む押湯システムを示す図である。 本発明の実施形態で用いるフィンを有する管状体を示す図である。 本発明の実施形態で用いる重なりを有する管状体を示す図である。 本発明の実施形態に従う付勢手段を含む押湯システムを示す図である。 本発明の実施形態に従う保持要素を含む押湯システムを示す図である。
図1は、管状体14に装着された押湯スリーブ12を含む押湯システム10を示す。押湯スリーブ12は、発熱性材料(断熱材料であってもよい)から成り、管状体14は、鋼板からプレス加工される。管状体14は円形断面を有し、押湯スリーブ12を支持し、接着剤によって着脱可能に取り付けられる4つの一体ウイング16を含む。
図2は、打ち固め前(図2a)および打ち固め後(図2b)の造型パターンプレート6上の図1の押湯システムの一部の断面である。長手軸Zは、押湯スリーブ12および管状体14を通過する。図2Aを参照して、連続した側壁18は、軸Zのまわりに延び、鋳造中に液体金属を受容するためのキャビティを包囲する。管状体14は、液体金属が押湯スリーブキャビティから鋳物まで移動するための通路を形成する、軸Zに沿う孔を規定する。
管状体14は、押湯スリーブ12から離れて先細に(細く)なり、フィーダネック15を形成する。先細のネックの軸Zに対する角度θは、約45°である。管状体14は、ウイング(タブとしても知られる)16を含む。各ウイング16は、一対の切込みを管状体14の縁に形成し、切込み間の部分を外方に折り曲げる(孔軸Zに対して約90°)ことによって形成される。そのようなものとして、ウイング16は一体的に形成される外向き突起である。ウイング16は、側壁18の基部22に当接する。
側壁18は、側壁内にその基部22から延びる円形溝20(一様な幅)を有する。溝20は、管状体14の一部を受容する。ウイング16の場所は、管状体14が溝20内にどの程度まで突出するのかを決定し、したがってウイングは保持手段である。
図2bを参照して、打ち固め後の同様の押湯システムが示される。押湯スリーブ12は、ウイング16を変形する管状体14上に押圧される(保持手段が克服される)。ウイング16は、管状体14の残余の部分と面一となり、もはや管状体14を適所に保持しない。これに代えて、管状体14は、溝20内でさらに押圧される。この場合、溝20は、管状体14の残余の部分に密着するとウイングを収容するのに十分に幅が広い。
溝20は深さD1を有する。打ち固め前、管状体14は、溝20内に第2深さD2、溝の深さD1の約12%まで突出する。打ち固め後、管状体は、溝内20に第3深さ、深さD1の約75%まで突出する。したがって、打ち固めは、押湯スリーブ12の破損よりもむしろ押湯スリーブ12および管状体14の相対移動を引き起こす。
図3は、図1および図2に示されるようなウイング16の変形の概略図である。図3aは、孔軸Zに対して約90°の角度で外方に延びるウイング16を示す。図3bは、管状体14の残余の部分に向かって押圧されたウイング16を示す。図3cは、管状体に対して折り返されたウイング16を示し、この位置において、管状体14が溝20内をさらに移動可能である。
図4は、本発明の他の実施形態で用いる管状体24の一部を示す。管状体24は、切込み26の形態の複数の一体型保持要素を有する(1つだけ図示される)。切込み26は、管状体24に一対の平行な切込みを周縁から離間した領域に形成し、金属を伸ばすように金属を外方に押圧することによって形成される。管状体24は、上述の押湯スリーブ12とともに使用可能である。打ち固め前に、切込み26が溝20内で管状体24から外方に突出し、側壁18を把持して、管状体24を所望の位置に保持する(摩擦嵌合)。摩擦嵌合は打ち固め中に克服され、管状体を、一様な幅を有する溝20内にさらに移動させる。先細の溝を有する押湯スリーブが使用された場合、打ち固め中、切込み26は押湯スリーブによって内方に押圧されて、管状体24が溝内にさらに移動することを可能にし、新たな位置に保持され、すなわち保持要素が変形することになる。
図5は、本発明の他の実施形態で用いる管状体28の一部を示す。管状体28は、成形された切込みウイング30の形態の一体型保持要素を有する(1つだけ図示される)。ウイング26は、周縁から離間した領域において、タブを管状体から切断することによって形成される。タブは、外方に押圧されて図示されるように、すなわちウイングの上部30aが略下方に延びるように成形され、「v字状」に波形にされる。ウイングの下部30bは、孔軸に対して約90°外方に屈曲される。管状体28は、上述の押湯スリーブ12とともに使用されてもよく、切込みウイングの上部30aは、Vの点30cが側壁18の内面を把持した状態で溝20内に配置され、下部30bが基部22と接触して押湯スリーブ12を支持することになる。有翼切込み30は、押湯スリーブ12に当接し、したがって打ち固め前に管状体28を所望の位置に保持する。打ち固め中、上部30aは内方に押圧され、下部30bは管状体28の残余の部分に対して折り畳まれて、管状体28を溝20内にさらに移動させることを可能にする。
図6は、本発明のさらなる実施形態に従う管状体32を示す。一体型リブ34は、管状体32を取り囲み、金属を外方に押圧し伸ばすことによって形成される。管状体32は、使用時に型パターン6の表面に設置する基部に内向き管状リップまたはフランジ36を有し、結果として生じる金属フィーダネックに切込みを生成してその除去(ノックオフ)を容易にする。
図7は、図6の管状体32と押湯スリーブ40とを含む押湯システム38である。押湯システム38は、打ち固め前にパターンプレート6および成形ピン42上に設置される。スリーブ40は、スリーブの基部において最大幅から狭くなる溝44を有する。管状体32はスリーブ40に挿入され、リブ30は溝44の側面に対して管状体32を適所に把持し保持する。打ち固め時、圧力が印加されると、スリーブ40は下方に移動し、リブ30が圧縮され、管状体32を狭くなる溝44内にさらに移動させ、すなわち一体型リブ30が変形する。成形ピン42の上部は、スリーブ40の天板48に相補う凹所46内に配置され、打ち固め時に、スリーブが下方に移動すると、成形ピン42の上部が天板48の上部において薄い部分を貫通する。必要に応じて、カラーが凹所46に嵌め込まれて、ピン42が天板48に孔をあけたときにスリーブの破片が折れて取れる危険性を回避することができた。あるいは、狭い開口が、凹所46の代わりに天板48を通って延び、それによって支持ピン42を収容することができた。この場合、開口は、押湯スリーブキャビティの最大直径の約15%に対応する直径を有していた。
図6の管状体32が、先細の溝44の代わりに、一様な幅の溝を有する押湯スリーブとともに使用されてもよいことは理解されるであろう。管状体32が一様な溝20を有する押湯スリーブ12とともに使用された場合、打ち固め時に変形が生じない。リブ30は、管状体を溝20の側面に対して第2深さで適所に把持し保持する(摩擦嵌合)。打ち固め時に圧力が印加されたとき、スリーブ12は下方に移動し、摩擦が克服され、管状体を溝20内にさらに移動させる。
図8aは、押湯スリーブとの使用のための鋼板からプレス加工された管状体50の断面である。図8bは、管状体50の横断面であり、管状体が円形断面を有し、4つの一体型フィン52を含む。使用時に、フィン52は、押湯スリーブの溝内の適所に管状体50を保持する(摩擦嵌合)。管状体50は、一様な幅の溝(たとえば押湯スリーブ22)または先細の溝(たとえば押湯スリーブ40)を有する押湯スリーブとともに使用されてもよい。両方の場合において、フィン52と溝との間の摩擦嵌合は、打ち固め時に克服され、管状体50が溝内をさらに押圧されるのを可能にする。フィン52は押湯スリーブ材料よりも硬いプレス鋼から成り、打ち固め時に変形しない。
図9aおよび図9bは、押湯スリーブとの使用のための鋼板からプレス加工された管状体54の断面である。図9aを参照して、管状体54の一端部は、先細にされて内向きリップまたはフランジ58によってフィーダネック56を形成し、他端部は折り返されて重なり60の部分を提供する。図9bは、管状体54が円形断面を有することを示す。
管状体54は、一様な幅の溝(たとえば押湯スリーブ12)または先細の溝(たとえば押湯スリーブ40)を有する押湯スリーブとともに使用されてもよい。両方の場合において、重なり60と溝との間の摩擦嵌合は、管状体を溝内の適所に第2深さで保持する。この摩擦嵌合は、打ち固め時に克服され、管状体54を溝内にさらに押圧させる。重なり60は補強され、打ち固め時に変形しない。重なり48は、特に先細の溝で使用される場合、押湯スリーブ材料の摩耗を引き起こす。
図10は、管状体64と、ばね66と、一様な幅の溝20を有する押湯スリーブ12(上述のもの)とを含む押湯システム62を示す。管状体64は、鋼板からプレス加工され、押湯スリーブ12から離間して細くなり、内向きリップまたはフランジ70によってフィーダネック68を形成する。ばね66は、管状体64を溝20内に第2深さで保持する付勢手段を提供する。打ち固め時、付勢手段は克服され、管状体64を溝20内にさらに押圧させる。
図11は、管状体74と、先細の溝44を有する押湯スリーブ40とを含む押湯システム72を示す。管状体74は、二段階で先細となってフィーダネック76を形成し、内向きリップまたはフランジ78を有する。管状体74は、膠(接着剤)80hによって押湯スリーブ40の溝44内に固定される。膠80は、打ち固め時に管状体74および/または押湯スリーブ40から離脱し、管状体74を溝内にさらに移動させる。

Claims (17)

  1. 管状体に装着された押湯スリーブを含み、
    押湯スリーブは、長手軸を有するとともに、鋳造中に液体金属を受けるキャビティを規定する、長手軸の略周囲に延びる連続した側壁を含み、該側壁は管状体に隣接する基部を有し、
    管状体はキャビティを鋳物に接続するための貫通する開放孔を規定し、溝が基部から第1深さまで側壁内に延び、管状体が溝内に第2深さまで突出するように管状体が保持手段によって保持され、
    使用時に力が加わると、保持手段が解除され、管状体が溝内にさらに押圧されるように、第2深さは第1深さよりも小さいことを特徴とする金属鋳造のための押湯システム。
  2. 保持手段は、管状体を適所に第2深さまで着脱可能に保持する1または複数の保持要素を含むことを特徴とする、請求項1に記載の押湯システム。
  3. 保持手段は、少なくとも1つの一体型保持要素を有する管状体を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の押湯システム。
  4. 少なくとも1つの一体型保持要素は、管状体からの突起であることを特徴とする、請求項3に記載の押湯システム。
  5. 突起は外向き突起であることを特徴とする、請求項4に記載の押湯システム。
  6. 突起は、ウイングまたはリブであることを特徴とする、請求項4または5に記載の押湯システム。
  7. 管状体は、3mm以下の厚みを有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の押湯システム。
  8. 管状体は、金属またはプラスチックから成ることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の押湯システム。
  9. 金属は、0.05重量%未満の炭素含有量の鋼であることを特徴とする、請求項8に記載の押湯システム。
  10. 第1深さは、少なくとも20mmであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の押湯システム。
  11. 管状体は、孔軸に沿って測定された高さを有し、第1深さは、管状体の高さの20〜80%であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の押湯システム。
  12. 溝は、孔軸に略垂直な方向に測定された、10mm以下の最大幅を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の押湯システム。
  13. 第2深さは、第1深さの50%以下であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の押湯システム。
  14. 溝は、押湯スリーブキャビティを規定する側壁の内周面から少なくとも5mmの位置に配置されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の押湯システム。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の押湯システムをパターン上に設置することであって、該押湯システムは管状体上に装着された押湯スリーブを含み、
    押湯スリーブは鋳造中に液体金属を受容するためのキャビティを規定する連続した側壁を含み、該側壁は管状体に隣接する基部を有し、
    管状体はキャビティを鋳物に接続するための貫通する開放孔を規定し、
    溝が基部から第1深さまで側壁内に延び、管状体が第2深さまで溝内に突出するように管状体が保持手段によって保持され、第2深さは第1深さ未満である、押湯システムをパターン上に設置することと、
    パターンを鋳型材料で取り囲むことと、
    鋳型材料を圧縮することと、
    パターンを圧縮された鋳型材料から除去して、鋳型を形成することとを含み、
    鋳型材料を圧縮することは、保持手段が解除され、管状体が第3深さまで溝内にさらに押圧されるように押湯システムに圧力を印加することを含むことを特徴とする鋳型を作製する方法。
  16. 管状体が第3深さまで溝内にさらに押圧されるように保持手段が解除され、第3深さは第1深さの少なくとも50%であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  17. 鋳型材料を圧縮することは、少なくとも30N/cmの打ち固め圧力を印加することを含むことを特徴とする、請求項15または16に記載の方法。
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