JP6868721B2 - 押湯システム - Google Patents

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Description

本発明は、鋳型を用いる金属鋳造操作で用いる押湯システム、該押湯システムで用いる押湯スリーブ、および該押湯システムを含む鋳型を作製する方法に関する。
典型的な鋳造プロセスにおいて、溶融金属が、鋳物の形状を規定する予め形成された鋳型キャビティ内に注がれる。しかしながら、金属は凝固時に収縮し、結果として、最終鋳物において許容できない欠陥となる引け巣を生じる。これは、鋳造業界においてよく知られた問題であり、鋳型形成中に、パターンプレートに取り付けることによって、または後でスリーブを形成された鋳型のキャビティに挿入することによって鋳型に一体化された押湯スリーブまたはライザの使用によって対処されている。各押湯スリーブは、鋳型キャビティと連通する追加の(通常、囲まれた)容積またはキャビティを提供するので、溶融金属も押湯スリーブ内に入る。凝固中、押湯スリーブ内の溶融金属は、鋳型キャビティ内に逆流して、鋳物の収縮を補償する。
鋳物の凝固および鋳型材料の除去後、押湯スリーブ内からの不所望の残留金属が鋳物に付着したままであり、除去されなければならない。残留金属の除去を容易にするために、押湯スリーブキャビティは、ネックダウンスリーブと一般的に呼ばれる設計において、その基部(すなわち、鋳型キャビティに最接近することになる押湯スリーブの端部)に向かって先細にされてもよい。強い打撃が残留金属に与えられると、鋳型近傍にある最も弱い部分で分離する(「ノックオフ」として一般的に知られるプロセス)。鋳物上の小さなフットプリントもまた、隣接する特徴部によってアクセスが制限され得る鋳物の領域において押湯スリーブの位置決めを可能にするのに望ましい。
押湯スリーブは、鋳造鋳型キャビティの表面上に直接取付けられてもよいけれども、押湯エレメント(ブレーカコアとしても知れられる)とともにしばしば使用される。ブレーカコアは、通常中心に穴があり、鋳型キャビティと押湯スリーブとの間に位置する、耐火材料から成るディスク(典型的に、樹脂結合砂コア、またはセラミックコア、または押湯スリーブ材料から成るコア)に過ぎない。ブレーカコアを貫通する孔の直径は、押湯スリーブの内部キャビティ(必ずしも先細である必要はない)の直径よりも小さく設計されて、ノックオフが鋳物に近接するブレーカコアにおいて生じる。
鋳物砂は、2つの主要なカテゴリ、化学結合(有機または無機結合剤に基づく)と粘土結合とに分類可能である。化学結合造型結合剤は、典型的に、自己硬化システムであり、該システムでは、結合剤および化学硬化剤が砂と混合されて、結合剤および硬化剤が直ちに反応し始めるが、十分にゆっくりと、砂をパターンプレートの周りに造型させ、その後除去および鋳造のために十分に硬化させる。
粘土結合造型は、粘土と結合剤としての水とを用い、「生」すなわち未乾燥状態で使用可能であり、一般的に生砂と呼ばれる。生砂混合物は、圧縮力下のみにおいては、すぐに流れず、または容易に移動しないので、パターンの周りに生砂を詰め込み、鋳型に十分な強度特性を与えるために、ジョルティング(jolting)、バイブレーティング(vibrating)、スクイージング(squeezing)およびラミング(ramming)の様々な組み合わせが、高い生産性で一様な強度の鋳型を製造するのに適用される。砂は、典型的には、通常1または複数の油圧ラムを用いて高圧で圧縮される(詰め込まれる)。
このような高圧造型プロセスにスリーブを適用するために、通常、押湯スリーブのための装着点として、予め定める位置における造型パターンプレート(鋳型キャビティを規定する)上にピンが設けられる。要求されるスリーブがピン上に設置される(フィーダの基部がパターンプレート上または上方にあるように)と、押湯スリーブが覆われて鋳型枠が充填されるまで、鋳物砂をパターンプレート上にかつ押湯スリーブの周囲に注ぐことによって、鋳型が形成される。鋳物砂およびそれに続く高圧力の適用は、押湯スリーブの損傷および破損を生じ得、特に、打ち固め前に押湯スリーブがパターンプレートと直接接触する場合、鋳物の複雑性および生産性要求が高まるにつれて、より寸法が安定した鋳型が必要とされ、その結果、より高いラミング圧力への傾向および結果としてのスリーブの破損を生じ得る。
出願人は、WO2005/051568、WO2007141446、WO2012110753およびWO2013171439に記載される、押湯スリーブとの組み合わせで用いる様々な折り畳み式押湯エレメントを開発してきた。押湯エレメントは、造型中に圧力を受けると圧縮し、これによって押湯スリーブを損傷から保護する。
US2008/0265129は、内部に押湯キャビティを有するフィーダ本体を含む、鋳造金属のために使用される鋳型に挿入するための押湯インサートを記載している。フィーダ本体の底部側は、鋳型と連通しており、フィーダ本体の上部側には、エネルギ吸収装置が設けられる。
EP1184104A1(Chemex GmbH)は、鋳物砂が圧縮されたときに、順に嵌り込
み、第1(下側)部分の外壁と第2(上側)部分の内壁が面一になる、2部分押湯スリーブ(断熱性または発熱性であってもよい)を記載している。
EP1184104A1の図3a〜図3dは、2部分押湯スリーブ(102)の伸縮動作を示す。押湯スリーブ(102)は、パターン(122)と直接接触しており、これは、不十分な表面仕上げ、鋳物表面の局所的な汚れ、および副次的な鋳造欠陥を生じ得るので、発熱性スリーブが使用されるとき弊害をもたらす。また、たとえ下側部分(104)が先細であったとしても、下側部分(104)は、打ち固め中に受ける力に耐えるように比較的厚くされなければならないので、依然としてパターン(122)上に幅広のフットプリントが存在する。これは、ノックオフおよびパターン上の押湯システムに占有される空間の観点から不十分である。下側の内側部分(104)と上側の外側部分(106)とは、保持要素(112)によって適所に保持される。保持要素(112)は、伸縮動作を行うことを可能にするために折れて取れ鋳物砂内に落下する。保持要素は、時間とともに鋳物砂に蓄積し、鋳物砂を汚す。これは、特に、保持要素が発熱性材料から成る場合に面倒を引き起こす。なぜなら保持要素が反応して、小さな爆発性の欠陥を生じることがあるからである。
US6904952(AS Luengen GmbH & Co. KG)は、管状体が一時的に押湯スリーブの内壁に接着される押湯システムを記載している。鋳物砂が圧縮されるときに押湯スリーブと管状体との間に相対移動が存在する。
増大する要求が、部分的には造型設備の進歩によって、また部分的には製造している新たな鋳物によって高圧造型システムで用いる押湯システムに突きつけられる。ダクタイル鋳鉄のある等級および特定の鋳物形状は、ある金属の押湯エレメントのネックを通して押湯性能の有効性に悪影響を及ぼし得る。また、ある造型ラインまたは鋳物形状は、砂の薄層だけによって分離される鋳物表面に近接しているスリーブの基部に生じる過圧縮(押湯エレメントの圧潰または押湯システムの伸縮)を結果としてもたらし得る。本発明は、金属鋳造で用いる押湯システムを提供し、先行技術の押湯システムに関連する1または複数の課題を克服しようとする、または有用な代替物を提供しようとするものである。
本発明の第1態様に従えば、管状体に装着された押湯スリーブを含み、
押湯スリーブは、実質的に、第1端部と、第2端部と、第1端部と第2端部との間に延びる長手軸とを有し、鋳造中に液体金属を受けるキャビティを規定する、長手軸の実質的に周囲に延びる連続した側壁を含み、該側壁は押湯スリーブの第1端部に基部を有し、
管状体は、キャビティを鋳物に結合するための貫通する開放孔を規定し、
少なくとも1つの切欠きが基部から第1深さまで側壁内に延び、管状体が切欠き内に第2深さまで突出し、管状体は、切欠き内で押湯スリーブの表面と接触する少なくとも1つの摩耗領域を有し、
第2深さは、使用時に力が加わると、摩耗領域が、管状体が第2端部に向かって押されるように接触する押湯スリーブの表面を摩耗させるように、第1深さ以下である、金属鋳造のための押湯システムが提供される。
使用時において、押湯システムは、鋳型パターン上に装着され、典型的にはパターンプレートに取り付けられた成形ピン上に設置されて、管状体を鋳型に隣接するように該システムを適所に保持する。管状体によって規定される開放孔は、押湯スリーブキャビティから鋳型キャビティまでの通路を提供して、鋳物が冷却し収縮するにつれて鋳物を押湯する。造型およびそれに続く打ち固め中、押湯システムは、管状体の長手軸(孔軸)の方向に力を受けることになる。この力は、最初に切欠き内に部分的に突出させる場合(D2<D1)、管状体が切欠きの側面を摩耗させる、または管状体が最初に完全に切欠き内にある場合(D2=D1)、切欠きの基部において押湯スリーブの本体を摩耗させるように、押湯スリーブを管状体上に押し、切欠きを効果的により深くする。したがって、高い圧縮圧力は、鋳造時に欠陥をもたらすかもしれない押湯スリーブの制御されていない破損よりもむしろ、押湯スリーブと管状体との間の相対的な移動を引き起こす。典型的には、押湯システムは、少なくとも30、60、90、120または150N/cmの打ち固め圧力(パターンプレートでの測定時)を受けることになる。
US6904952の図2は、ホットグルーシーム(7)によって押湯スリーブ(1)のキャビティの内部に接着された管状体(3)を示す。造型中、押湯スリーブ(1)は管状体(3)から離れ、管状体上に押し進められる。新たな位置がハッチングで示される。摩耗は生じない。
一実施形態において、切欠きは側壁の溝であり、すなわち押湯スリーブキャビティから離れている。このような一実施形態において、溝は押湯スリーブキャビティから少なくとも5、8または10mmの位置にある。本実施形態において、押湯スリーブと重なる管状体の部分は、側壁内にあり、鋳造中に液体金属と直接接触しない。これは、冷却効果を最小限に抑えるだけではなく、発熱性フィーダが使用されたときに管状体の過加熱をももたらし、金属管状体の両側が発熱性フィーダの重複部分と直接密着し、したがって、押湯金属が鋳物を供給するのに十分に長く液体のままであることを確保する。
他の実施形態において、切欠きとキャビティとは隣接している。このような一実施形態において、切欠きの端部は、側壁の胴蛇腹によって規定される。本実施形態は、製造の容易さの点で利点を提供する。
管状体
管状体は、2つの機能:(i)管状体が押湯スリーブから鋳型までの通路を提供する貫通する開放孔を有すること、および(ii)管状体と押湯スリーブとの相対的移動はさもなければ押湯スリーブの制御されていない破損を生じ得るエネルギを吸収するように作用することを提供する。
一実施形態において、管状体は、切欠き内に完全に突出し、すなわち第2深さは第1深さに等しい。これは、切欠き内のその後の相対移動のための更なる空間がないことを意味する。切欠き内の管状体の端部は、打ち固め時に切欠きの基部において押湯スリーブを摩耗させ、これによって切欠きの深さを増加させる。本実施形態において、摩耗領域が切欠き内にある管状体の端部によって構成されることが理解されるであろう。
他の実施形態において、管状体は、その後の相対移動のために切欠き内に空間があり、すなわち第2深さが第1深さよりも小さいように、切欠き内に部分的に(完全にではなく)突出する。保持手段が、管状体を切欠き内の適所に保持するために用いられてもよく、摩耗領域がこのような保持手段として機能してもよい。このような一実施形態において、切欠きおよび管状体は、保持手段が打ち固め(鋳造のための鋳型を製造するために押湯システムの周囲の鋳物砂の高密度化)前に管状体を適所に保持する摩擦嵌合であるような大きさにされる。また、もしくはあるいは、管状体は、接着剤によって押湯スリーブに着脱可能に固定され、保持手段は接着剤である。
管状体および押湯スリーブが打ち固め中にさらなる相対移動が可能でなければならない(特に、管状体は静止したままであり、押湯スリーブが移動する)ことは理解されるであろう。
一実施形態において、摩耗領域は、切欠き内で押湯スリーブに当接する、少なくとも1つの(半径方向)外向きの突起を含む。このような一実施形態において、摩耗領域は、2〜8または3〜6の外向き突起を含む。一実施形態において、切欠きが溝である場合、管状体は、少なくとも1つの内向き突起を含む。内向き突起は、孔軸に向かって半径方向に延びる。内向き突起が折損し、鋳物内に落下し得る危険性がある場合、外向き突起が内向き突起よりも好ましい。
一実施形態において、突起は、管状体の一体部分であり、すなわち、管状体および突起は、一様な構成を有する。一実施形態において、一体的な突起は、管状体の一部を(内向きにまたは外向きに)折り畳んでつまみまたは重なりを形成することによって形成される。管状体の一部は、管状体の縁を含んでもよく、管状体の縁から間隔をあけてもよい。他の実施形態において、一体的な突起は、管状体の(周縁から離れた)切込みまたは隆起として形成される。他の実施形態において、一体的な突起は、管状体の全周にわたって延びるリブである。リブは、押湯スリーブを切欠き内で把持可能である。突起は、管状体の集壁に設けられるフィンの形態であってもよい。
一実施形態において、摩耗領域は、少なくとも1つの鋭い縁(たとえば刃)を含む。鋭い縁は、切欠き内の管状体の端部に設けられてもよく、管状体の外面に設けられるフィンに設けられてもよい。
鋭い縁が設けられる場合、縁は打ち固め時に押湯スリーブを削る/摩耗させるように配向されることは理解されるであろう。したがって、周縁は、スリーブの長手軸に平行である。
一実施形態において、摩耗領域は、少なくとも1つの鋭い先端を含む。鋭い先端は、押湯スリーブ材料を貫通することができ、打ち固め中、チャネルをえぐり取ってもよい。一実施形態において、摩耗領域は、少なくとも3つの鋭い先端を含む。一実施形態において、鋭い先端は、管状体から半径方向外方に延びる。すなわち、鋭い先端は、外向き突起を形成する。
一実施形態において、摩耗領域は、研磨表面を有する。研磨表面は、粗くても滑らかでもよい。研磨表面は曲面でも平面でもよい。
管状体の大きさおよび質量は、用途に依存する。一般的に、可能であるときには管状体の質量を減少させることが好ましい。これは、材料コストを低減し、鋳造中に、たとえば管状体の熱容量を減少させることによって有益でもあり得る。一実施形態において、管状体は、50、40、30、25または20g未満の質量を有する。
管状体は、長手軸、孔軸を有していることが理解される。一般的に、押湯スリーブおよび管状体は、孔軸と押湯スリーブの長手軸とが同じであるように成形される。しかしながら、このことは必須ではない。
管状体の高さは、孔軸に平行な方向に測定されてもよく、切欠きの深さ(第1深さ)と比較されてもよい。いくつかの実施形態において、管状体の第1深さに対する高さの比は、1:1〜5:1、1.1:1〜3:1、または1.3:1〜2:1である。
管状体は、内径および外径を有し、内径および外径(すべて孔軸に平行な面において測定)の差である厚みを有する。管状体の厚みは、管状体が切欠き内に突出することを可能にするようにされなければならない。いくつかの実施形態において、管状体の厚みは、少なくとも0.1、0.3、0.5、0.8、1、2または3mmである。いくつかの実施形態において、管状体の厚みは、5、3、2、1.5、0.8または0.5mm以下である。一実施形態において、管状体は、0.3〜1.5mmの厚みを有する。小さな厚みは、管状体を製造するのに必要とされる材料を減少させて側壁の対応する切欠きを細くすることを可能にし、管状体の熱容量、したがって鋳造時に押湯金属から吸収されるエネルギ量を減少させるなどのいくつかの理由のために有益である。切欠きは、側壁の基部から延び、切欠きが広くなればなるほど、基部は、それを収容するようにより広くしなければならない。
一実施形態において、管状体は、円形断面を有する。しかしながら、断面は、非円形、たとえば長円形、小判(obround)形または楕円形であってもよい。一実施形態において
、管状体は、押湯スリーブ(使用時に鋳物に隣接する)から離れる方向に細い(先細になる)。鋳物に隣接する狭窄部は、フィーダネックとして知られ、フィーダのより良いノックオフを提供する。一連の実施形態において、先細ネックの孔軸に対する角度は、55、50、45、40または35°以下である。
ノックオフをさらに改善するために、管状体の基部は、内向きリップを有して、造型パターンへの装着のための面を提供し、結果として生じる鋳物フィーダネックに切込みを形成してその除去(ノックオフ)を容易にする。
管状体は、金属(たとえば鋼、鉄、アルミニウム、アルミニウム合金、真鍮、銅など)またはプラスチックを含む様々な適切な材料から製造可能である。特定の実施形態において、管状体は、金属から成る。金属管状体は、造型圧力に耐えるのに十分な強度を保持する一方、小さな厚みを有することができる。一実施形態において、管状体は、押湯スリーブ材料から製造されない(断熱性であるか発熱性であるかにかかわらず)。押湯スリーブ材料は、一般的には、小さな厚みで造型圧力に耐えるほど十分に強くなく、一方で、より厚い管状体は、側壁においてより広い切欠きを必要とするので、全体として、押湯システムの大きさ(および関連するコスト)を増大させる。また、押湯スリーブ材料から成る管状体は、鋳物と接触した場合に、乏しい表面仕上げおよび欠陥も生じさせ得る。
ある実施形態において、管状体が金属から成る場合、一定の厚みの単一金属片からプレス成形されてもよい。一実施形態において、管状体は、引き抜き加工によって製造され、これによって金属シートブランクがパンチの機械的作用によって成形型内に半径方向に引き込まれる。このプロセスは、引き込み部分の深さがその直径を超え、一連の型を通してその部分を再び引き込むことによって達成されるとき、深絞りとみなされる。他の実施形態において、管状体は、へら絞りまたは回転成形プロセスによって製造され、これによって金属のブランクディスクまたはチューブがまず回転旋盤に装着されて高速で回転される。次いで、局所的な圧力が、要求される完成部品の内部寸法プロファイルを有するマンドレル上およびそのまわりに金属を流下させる一連のローラまたはツールパスに印加される。
プレス成形またはへら絞りに適するために、金属は、成形プロセス中に引裂きまたは亀裂を防止するように十分に展性があるべきである。ある実施形態において、押湯エレメントは、最小0.02%(グレードDC06、欧州標準EN10130―1999)から最大0.12%(グレードDC01、欧州標準EN10130−1999)までの範囲にある典型的な炭素含有量を有する冷間圧延鋼から製造される。一実施形態において、管状体は、0.05、0.04または0.03%未満の炭素含有量を有する鋼から成る。
押湯スリーブ
上述のように、切欠きは、キャビティと隣接していてもよく、キャビティ(すなわち溝)から分離していてもよい。
切欠きは、切欠きが基部から離れて側壁内まで延びる距離である第1深さ(D1)を有する。典型的には、切欠きは一様な深さを有し、すなわち基部から側壁内までの距離は、どの場所で測定しても同じである。しかしながら、可変深さの切欠き(たとえば、キャステレーテッド)が必要に応じて使用可能であり、第1深さは最小深さであることが理解されるであろう。なぜならこれは、摩耗が生じる前に管状体が切欠き内に突出することができる程度を決定するからである。このように、相対移動を達成するために摩耗されるべき押湯スリーブ材料が少なくなる。
打ち固め前に、管状体は、切欠き内に第2深さ(D2)まで受容され、すなわちD2≦D1であり、したがって、管状体は切欠き内に部分的にまたは完全に突出する。打ち固め後、管状体は、切欠き内にさらに第3深さ(D3)まで突出し、第3深さは、切欠きの元の深さ(D1)よりも深くてもよい。
切欠き(たとえば溝)は、管状体を受容可能でなければならない。したがって、切欠きの断面(孔軸に垂直な平面における)は、管状体の断面に対応し、たとえば溝は円形溝であり、管状体は円形断面を有する。一実施形態において、切欠きは、単一の連続溝である。他の実施形態において、押湯スリーブと管状体との間の相対移動は、一連のスロットを有する押湯スリーブと対応する形状、たとえばキャステレーティッドエッジを有する管状体とによって達成される。しかしながら、システムが閉鎖されることを確実にするように気を付けなければならず、鋳物砂が、管状体の縁と押湯スリーブとの間の間隙を通して押湯スリーブ内に侵入する危険性がある。
一連の実施形態において、切欠きは、少なくとも20、30、40または50mmの第1深さ(D1)を有する。一連の実施形態において、第1深さ(D1)は、100、80、60または40mm以下である。一実施形態において、第1深さ(D1)は、25〜50mmである。第1深さ(D1)は、押湯スリーブの高さと比較可能である。一実施形態において、第1深さは、押湯スリーブの高さの10〜50%または20〜40%に対応する。
切欠きは、孔軸および/または押湯スリーブ軸に実質的に垂直な方向に測定される最大幅(W)を有するとみなされる。切欠きの幅は管状体が切欠き内に受容可能とするのに十分でなければならないことは理解されるであろう。一連の実施形態において、切欠きは、少なくとも0.5、1、2、3、5または8mmの最大幅を有する。一連の実施形態において、切欠きは、10、5、3または1.5mm以下の最大幅を有する。一実施形態において、切欠きは、1〜3mmの最大幅を有する。これは、管状体がぴったり嵌合するために切欠きが溝である場合に特に有用である。一実施形態において、切欠きは、5〜15mmの最大幅を有する。これは、切欠きがキャビティと隣接している場合に特に有用である。
切欠きは一様な幅を有していてもよく、すなわち切欠きの幅はどの場所で測定しても同じである。あるいは、切欠きは一様ではない幅を有していてもよい。たとえば、切欠きは、内側に向かって先細になる、すなわち押湯スリーブの第2端部に向かって狭くなる溝であってもよい。したがって、最大幅が側壁の基部において測定され、次いで幅が第1深さ(D1)において最小値にまで減少する。これは、打ち固め時に管状体がスリーブ内に突出する両を制御し減少させるある実施形態において用いられてもよい。
一連の実施形態において、第2深さ(D2、管状体が切欠きに受容される深さ)は、第1深さの少なくとも10、15、20、25、30、40または50%である。一連の実施形態において、第2深さは、第1深さの90、80、70、60、50、40、30、20または10%以下である。一実施形態において、第2深さは、第1深さの10〜30%である。他の実施形態において、第2深さは、第1深さの80〜100%である。
典型的には、管状体は、一様な深さまで切欠き内に突出し、すなわち基部から管状体の端部までの距離は、どの場所で測定しても同じである。しかしながら、一様でない周縁(たとえばキャステレーテッドエッジ)を有する管状体が、該距離が変化するように必要に応じて使用可能であり、第2深さが最大深さとされ、鋳物砂の鋳物への侵入を回避するために管状体と側壁の基部との間に間隙がないことを確保することは理解されるであろう。
押湯スリーブ材料の特質は、使用中に管状体によって摩耗され得る限り特に限定されず、たとえば断熱性、発熱性またはそれらの組み合わせであってもよい。その製造方法は特に限定されず、たとえば真空成形プロセスまたはコアショット法のいずれかを用いて製造されてもよい。典型的には、押湯スリーブは、低密度および高密度耐火充填剤(たとえばケイ砂、かんらん石、アルミノケイ酸塩中空微小球および繊維、シャモット、アルミナ、軽石、パーライト、バーミキュライト)と結合剤との混合物から成る。発熱性スリーブは、燃料(通常、アルミニウムまたはアルミニウム合金)と、酸化剤(典型的には、酸化鉄、二酸化マグネシウムまたは硝酸カリウム)と、通常開始剤/増感剤(典型的には氷晶石)とをさらに必要とする。
一実施形態において、従来の押湯スリーブが製造され、次いで押湯スリーブ材料が基部から除去されて、たとえば穿孔または研磨によって切欠きを形成する。他の実施形態において、押湯スリーブが適所に切欠きとともに、典型的には、切欠きを規定するツールを組み込むコアショット法によって製造され、たとえばツールは薄いマンドレルを有し、該マンドレルのまわりにスリーブが形成され、その後スリーブがツールおよびマンドレルから除去される(剥ぎ取られる)。
摩耗の程度は、使用される造型圧力、管状体および押湯スリーブが形成される材料の相対強度、および摩耗領域および押湯スリーブの相対剛性などの印紙に依存する。同じ造型圧力を使用する場合、所定の強度/剛性を有する管状体に対して、より柔らかい押湯スリーブはより硬い押湯スリーブよりもより容易に摩耗する。当業者は、打ち固め時の押湯スリーブおよび管状体の相対移動を可能にするが輸送中の圧縮および不必要な摩耗を回避する組み合わせを選択することができる。
一連の実施形態において、押湯スリーブは、少なくとも5kN、8kN、12kN、15kN、20kNまたは25kNの強度(破砕強度)を有する。一連の実施形態において、スリーブ強度は、25kN、20kN、18kN、15kN、10kNまたは8kN未満である。比較を容易にするために、押湯スリーブの強度は、押湯スリーブ材料から成る50×50mmの円筒試験体の圧縮強度として規定される。201/70EM圧縮試験機(Form & Test Seidner、ドイツ)が用いられ、製造者の指示に従って動作される。試験
体は、下側のスチールプレートの中央部に設置され、下側プレートが20mm/分の速度で上側プレートに向かって移動するにつれて破壊に至る。押湯スリーブの有効強度は、正確な組成、使用される結合剤および製造方法に依存するだけでなく、スリーブの大きさおよび設計にも依存し、これは、試験体の強度が通常、標準平坦上部スリーブのために測定された強度よりも高いという事実によって示される。
一実施形態において、押湯スリーブは、少なくとも20kNの強度を有する。適切な押湯スリーブは、商品名FEEDEX(登録商標)で出願人から市販されている。このような高強度押湯スリーブは、様々な用途において有用である可能性が高い。他の実施形態において、押湯スリーブは8〜12kNの強度を有する。適切な押湯スリーブは、商品名KALMINEX(登録商標)で出願人から市販されている。このような相対的に低い強度のスリーブは、管状体が打ち固め時に切欠きの深さを増加させる(すなわちD3>D1)実施形態において特に有用である。なぜなら管状体が押湯スリーブ材料に切込むのをより容易にするからである。
一実施形態において、押湯スリーブは、側壁の基部から離間した天板を含む。側壁および天板はともに、鋳造中、液体金属を受けるためのキャビティを規定する。このような一実施形態において、天板および側壁は、一体的に形成される。あるいは、側壁および天板は分離可能であり、すなわち天板は蓋である。一実施形態において、側壁および天板の両方とも、押湯スリーブ材料から成る。押湯スリーブは、円筒、長円およびドームを含む多くの形状で利用可能である。そのようなものとして、側壁は、押湯スリーブの長手軸に平行またはそこから角度が付けられている。天板(存在している場合)は、上部が平坦、ドーム状、上部が平坦なドーム状、または他の適切な形状であってもよい。
スリーブの天板は、押湯スリーブキャビティが包囲されるように閉じていてもよく、造型パターンに取り付けられる成形ピン上に押湯システムを装着するのを支援するように、フィーダの上部(基部とは反対側)を通って部分的に延びる凹部(止まり穴)を含んでもよい。あるいは、押湯スリーブは、フィーダキャビティが開いたフィーダ天板の全体を通って延びる開口(開口孔)を有していてもよい。開口は、支持ピンを収容するのに十分に幅が広く、造型中、砂が押湯スリーブキャビティに入るのを回避するのに十分に狭くなければならない。開口の直径は、押湯スリーブキャビティの最大直径と比較されてもよい(両方とも押湯スリーブの長手軸に垂直な平面で測定される)。一実施形態において、開口の直径は、押湯スリーブキャビティの最大直径の40、30、20、15または10%以下である。
使用時において、押湯システムは、典型的には、砂が圧縮され打ち固められる前に、造型パターンプレート上の要求された位置に押湯システムを保持するために支持ピン上に設置される。打ち固め時に、スリーブは造型パターン表面に向かって移動し、固定されている場合、ピンは押湯スリーブの天板に穴をあけてもよく、または単に、スリーブが下方に移動するにつれて開口または凹部を横断してもよい。この移動および天板のピンとの接触は、スリーブの小断片が折れ取れて鋳物キャビティ内に落下するのを生じさせ、乏しい表面仕上げまたは鋳物表面の局所的な汚れをもたらし得る。これは、天板の開口または凹部を、金属、プラスチックまたはセラミックなどの様々な適切な材料から製造されてもよい、中空インサートまたは内部カラーでライニングすることによって解消可能である。したがって、一実施形態において、押湯スリーブは、フィーダの天板の開口または凹部をライニングする内部カラーを含むように修正されてもよい。このカラーは、スリーブが製造された後、スリーブの天板の開口または凹部に挿入されてもよく、またはあるいはスリーブの製造中に組み込まれ、これによって、スリーブ材料がカラーの周囲にコアショットされまたは成形され、その後、スリーブが硬化されてカラーを適所に保持する。このようなカラーは、スリーブを造型および打ち固め中に支持ピンによって生じ得る損傷から保護する。
本発明はまた、第1態様の実施形態に従う押湯システムで用いる押湯スリーブに属する。
本発明の第2態様に従えば、長手軸を有し、長手軸の実質的に周囲に延びる連続した側壁と、長手軸に実質的に交差して延びる天板とを含み、側壁および天板はともに鋳造中に液体金属を受けるためのキャビティを規定し、
側壁は天板から離間した基部を有し、(i)キャステレートされた切欠きが、基部から延びる、または(ii)溝が、基部から側壁内に延びている、金属鋳造で用いる押湯スリーブが提供される。
第1態様に関する上記説明は、第2態様の押湯スリーブが天板を含まなければならず、キャスタレートされた切欠きまたは溝のいずれかを含まなければならないことを除いて、第2態様にも適用される。キャステレートされた切欠き/溝が基部から離れて延び、天板に向かって延びることが理解されるであろう。
一実施形態において、溝は一様な幅を有する。あるいは、溝は一様でない幅を有する。このような一実施形態において、溝は内側に先細になる、すなわち側壁の基部から離れるにつれて狭くなる。先細溝の使用は、ある実施形態において有用であり得る。たとえば、先細溝は、管状体が押湯スリーブ材料を摩耗させるのを助けることができる。
一実施形態において、開口(開放孔)は、フィーダの天板を通って延びる。このような一実施形態において、内部カラーが開口をライニングする。この実施形態は、押湯スリーブが上述のように支持ピンとともに使用されるとき、有用である。
一実施形態において、天板は閉じられ、すなわち開口はフィーダの天板を通って延びない。
本発明の第3態様に従えば、
第1態様の押湯システムをパターン上に設置することであって、該押湯システムは管状体上に装着された押湯スリーブを含み、
押湯スリーブは、実質的に、第1端部と、第2端部と、第1端部と第2端部との間に延びる長手軸を有し、押湯スリーブは、鋳造中に液体金属を受けるためのキャビティを規定する、長手軸の実質的に周囲に延びる連続した側壁を含み、該側壁は押湯スリーブの第1端部に基部を有し、
管状体はキャビティを鋳物に結合するための貫通する開放孔を規定し、
切欠きが基部から第1深さまで側壁内に延び、管状体が切欠き内に第2深さまで突出し、第2深さが第1深さ以下であり、管状体は、切欠き内で押湯スリーブの表面と接触する少なくとも1つの摩耗領域を有する、押湯システムをパターン上に設置することと、
パターンを鋳型材料で取り囲むことと、
鋳型材料を圧縮することと、
パターンを圧縮された鋳型材料から除去して、鋳型を形成することとを含み、
鋳型材料を圧縮することは、摩耗領域が、管状体が第2端部に向かって押されるように接触する押湯スリーブの表面を摩耗させるように、圧力を押湯システムに印加することを含む、鋳型を作製する方法が提供される。
鋳型は、水平分割または垂直分割鋳型であってもよい。垂直分割造型機(DISA Industries A/Sによって製造されたディーサマティック無枠造型機など)で用いられる場合、押
湯システムは、典型的に、通常の鋳型製造サイクル中の水平位置において、揺動(パターン)プレート上に設置される。スリーブは、水平パターンまたは揺動プレート上に、手動でまたはロボットの使用によって自動的に設置されてもよい。
押湯システムが水平分割鋳型で使用されるとき、押湯スリーブを管状体上で平衡させることが可能である。しかしながら、便宜上、輸送中、使用前に部品を適所に保持するために接着剤を使用することが望ましい。同様に、押湯スリーブが垂直分割鋳型で使用されるとき、一般的には、打ち固め前に、押湯スリーブと管状体との間の接触を維持するために、接着剤を使用することが望ましい。
第1および第2対応に関する上記説明は、第3態様にも適用される。
一実施形態において、第2深さは、第1深さよりも小さくされ、すなわち管状体は切欠き内に部分的に突出する。管状体は切欠きの側面を摩耗させ、切欠き内をさらに移動する。一連の実施形態において、管状体は、切欠き内で第3深さ(D3)までさらに押され、第3深さは、第1深さの少なくとも50、60、70、80または90%である。一連の実施形態において、第3深さは、第1深さの100、90、80または70%以下である。
一実施形態において、第2深さは、第1深さに等しくされ、すなわち管状体は切欠き内に完全に突出する。管状体は、切欠きの基部において押湯スリーブの本体を摩耗させ、切欠きを効果的により深くする。一連の実施形態において、管状体は、第3深さ(D3)まで押湯スリーブ内に押され、第3深さは第1深さの少なくとも101、105または110%である。摩耗は押湯スリーブと管状体との相対移動を生じさせるために必要とされるが、可能性のある鋳造欠陥を回避するために制御されるべきであることは理解されるであろう。
一連の実施形態において、鋳型材料を圧縮することは、少なくとも30、60、90、120または150N/cmの打ち固め圧力を印加することを含む。
一実施形態において、鋳型材料は、粘土結合砂(通常、生砂という)であり、典型的には、ナトリウムまたはカルシウムベントナイトなどの粘土と、水と、炭塵および穀粉粘結剤などの添加剤との混合物を含む。あるいは、鋳型材料は結合剤を含有する型砂である。
本発明の実施形態が、添付の図面を参照して一例としてだけ説明される。
本発明の実施形態に従う押湯システムの概略図である。 図2aは、本発明の他の実施形態に従う押湯システムの概略図であり、図2bは、図2aの押湯システムの管状体である。 図3aは、図3bおよび図3cの押湯システムで使用される管状体である。 本発明に従う押湯システムで使用される管状体である。 図5aは、図5bの押湯システムで使用される押湯スリーブを示す。
図1を参照して、管状体14に装着された8〜12kNの強度を有する押湯スリーブ12を含む押湯システム10が示される。押湯スリーブ12は、長手軸Zの実質的に周囲に延びる連続した側壁16を有し、側壁は、使用中に溶融金属を受けるためのキャビティを規定する。側壁は、基部16aを有し、基部16aから平行な側面を有する溝18が深さD1まで延びる。溝18は、キャビティとは分離している。
管状体14は、鋼板からプレス成形され、それを貫通する開放孔を規定する(孔軸は長手軸Zに沿って位置する)。管状体14は、押湯スリーブから離れた端部において先細になり、造型パターンプレート22と接触するフィーダネック20を形成する。管状体の反対側の端部24は、鋭利にされて、溝18内に突出し押湯スリーブ12と接触する円形刃を形成する。管状体14は、溝の全深さまで突出する(D2=D1)。打ち固め時に、管状体14の鋭利な端部24は、押湯スリーブ12内に切込み、これによって溝の深さをD3まで増加させ(点線で示される)、押湯スリーブを鋳物により近づけることができる。
成形ピン26の上部は、スリーブ12の天板30に相補う凹所28内に配置され、打ち固め時に、スリーブ12が下方に移動すると、成形ピン26の上部が天板30の上部において薄い部分を貫通する。必要に応じて、カラーが凹所28に嵌め込まれて、ピン26が天板30に孔をあけたときにスリーブの破片が折れて取れる危険性を回避することができた。あるいは、狭い開口が、凹所28の代わりに天板30を通って延び、それによって支持ピン26を収容することができた。この場合、開口は、押湯スリーブキャビティの最大直径の約15%に対応する直径を有していた。
図2aを参照して、管状体36に装着された少なくとも20kNの強度を有する押湯スリーブ34を含む押湯システム32が示される。押湯スリーブ34は、長手軸Zの実質的に周囲に延びる連続した側壁38を有し、押湯スリーブキャビティを規定する。側壁は、基部38aを有し、先細溝40が基部から第1深さD1まで延びる。溝40は、基部38aにおいて最大幅を有する。
管状体36は、鋼板からプレス成形され、それを貫通する開放孔を規定する(孔軸は長手軸Zに沿って位置する)。管状体36は、押湯スリーブから離れた端部において先細になり、フィーダネック42を形成し、その基部において、パターンプレート22の表面上に位置する内向きのリップまたはフランジ44を有する。使用時において、これは結果として生じる金属フィーダネックの切込みを生成し、その除去(ノックオフ)を容易にする。管状体の反対側の端部46は、溝40内に第2深さD2まで突出する。管状体36は、管状体の側面から突出し溝40ないで押湯スリーブ34と接触する4つのフィン48によって適所に保持される。管状体36の断面は、図2bに示される。フィン48は、摩耗領域を提供し、保持手段としても機能するように鋭利にされる。
打ち固め時に、力が軸Zの方向に印加され、フィン48が溝40内で押湯スリーブの側面を削る。管状体36は、溝40内に深さD3(D3<D1)までさらに押される。
図3aを参照して、本発明の押湯システムで使用される管状体50が提供される。管状体50は、第1端部において内側に先細になり、フィーダネック52を形成する。管状体の主側壁56は、円錐台状であり、第2端部54に向かって外側にテーパ状になっている。端部54は使用時に摩耗領域として機能し、必要に応じて鋭利にされてもよい。
図3bを参照して、押湯スリーブ34(図2のように)は、管状体50に装着されて、押湯システムを提供する管状体50の外側にテーパ状の端部は、溝40内に深さD2まで突出する。外側テーパは、管状体50が溝40の側面に接触し、これによって摩擦嵌合を提供することを確保する。打ち固め時に、管状体50は溝40内に深さD3(D3<D1)までさらに押され、溝40内で押湯スリーブ34の表面を摩耗させる。
図3cを参照して、押湯スリーブ58は、管状体50に装着されて押湯システムを提供する。押湯スリーブ58は、長手軸Zの実質的に周囲に延びる連続した側壁60を有し、側壁16は、使用時に溶融金属を受けるためのキャビティを規定する。側壁は、基部60aを有し、基部60aから切欠き62が深さD1まで延びる。切欠き62の端部は、胴蛇腹34aによって規定される。切欠き62は押湯スリーブキャビティに隣接しており、軸Zから半径方向に測定された幅Wを有する。管状体の外側にテーパ状の端部54は、切欠き34内に深さD2まで突出する。外側テーパは、管状体50が切欠き34の側面に接触し、これによって摩擦嵌合を提供することを確保する。打ち固め時に、管状体50は切欠き34内に深さD3(D3<D1)までさらに押され、切欠き内で押湯スリーブ58の表面を摩耗させる。
図4aを参照して、管状体64の断面が提供される。上述のように、管状体は、一端部において先細になり、フィーダネック66を形成する。管状体64の反対側の端部は、内側に折り畳まれ、重なり68を形成する。重なり68は、摩耗領域を提供する。図4bは、円形断面を示す管状体の上面図を提供する。管状体64は、溝(平行または先細を含む)を有する押湯スリーブとともに使用することができ、部分的に溝内に突出する。
図5aは、押湯システムに使用される押湯スリーブ70の下方からの図を示す。押湯スリーブは、円形断面を有し、キャビティを規定する連続した側壁72を含む。側壁の基部72aは、一様でない深さの切欠き74を有し、キャステレートされる。交番する第1領域74aおよび第2領域74bは、基部72aから測定すると、それぞれD1および(D1+x)の深さを有する。
図5bは、管状体76に装着された押湯スリーブ70を含む押湯システムを示す。一端部において、管状体76は、2段階で先細になり、フィーダネック78(他の実施形態において示されるものとは異なるプロファイルを有する)を形成する。フィーダネック78は、管状体に追加の剛性を提供すると考えられる。管状体の反対側の端部は、押湯スリーブ内に突出する鋭利な端部80を有し、鋭利な端部80は第1領域74aを深さD1で当接する。打ち固め時に、管状体68は押湯スリーブ材料をさらに削り、より深い切欠きの存在は、押湯スリーブをより容易に摩耗させる。
以下の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を要約している。
[実施例1]
管状体に装着された押湯スリーブを含み、
押湯スリーブは、実質的に、第1端部と、第2端部と、第1端部と第2端部との間に延びる長手軸とを有し、鋳造中に液体金属を受けるためのキャビティを規定する、長手軸の実質的に周囲に延びる連続した側壁を含み、該側壁は押湯スリーブの第1端部に基部を有し、
管状体は、キャビティを鋳物に結合するための貫通する開放孔を規定し、
少なくとも1つの切欠きが基部から第1深さまで側壁内に延び、管状体が切欠き内に第2深さまで突出し、管状体は、切欠き内で押湯スリーブの表面と接触する少なくとも1つの摩耗領域を有し、
第2深さは、使用時に力が加わると、摩耗領域が、管状体が第2端部に向かって押されるように接触する押湯スリーブの表面を摩耗させるように、第1深さ以下であることを特徴とする金属鋳造のための押湯システム。
[実施例2]
切欠きおよびキャビティは、隣接していることを特徴とする、実施例1に記載のシステム。
[実施例3]
切欠きは、側壁の溝であることを特徴とする、実施例1に記載のシステム。
[実施例4]
溝は、押湯スリーブの第2端部に向かって内側に先細になることを特徴とする、実施例3に記載のシステム。
[実施例5]
切欠きは、キャステレートされていることを特徴とする、実施例1〜4のいずれか1つに記載のシステム。
[実施例6]
切欠き内で第2深さにおいて管状体を適所に保持するために保持手段が使用されることを特徴とする、実施例1〜5のいずれか1つに記載のシステム。
[実施例7]
(i)摩耗領域は保持手段を構成し、(ii)切欠きおよび管状体は、保持手段が摩擦嵌合であるような寸法にされ、かつ/または(iii)管状体は接着剤によって押湯スリーブに着脱可能に固定されることを特徴とする、実施例6に記載のシステム。
[実施例8]
摩耗領域は、切欠き内で押湯スリーブに当接する少なくとも1つの外向き突起を含むことを特徴とする、実施例1〜7のいずれか1つに記載のシステム。
[実施例9]
突起はフィンであることを特徴とする、実施例8に記載のシステム。
[実施例10]
摩耗領域は、(i)少なくとも1つの鋭利な縁または(ii)少なくとも1つの鋭利な先端を含むことを特徴とする、実施例1〜9のいずれか1つに記載のシステム。
[実施例11]
管状体は、金属管状体またはプラスチック管状体であることを特徴とする、実施例1〜10のいずれか1つに記載のシステム。
[実施例12]
金属は、0.05重量%未満の炭素含有量の鋼であることを特徴とする、実施例11に記載のシステム。
[実施例13]
押湯スリーブは、長手軸に沿って測定した高さを有し、第1深さは、高さの10〜40%に対応することを特徴とする、実施例1〜12のいずれか1つに記載のシステム。
[実施例14]
押湯スリーブは、少なくとも20kNの破砕強度を有することを特徴とする、実施例1〜13のいずれか1つに記載のシステム。
[実施例15]
実施例1に記載の押湯システムにおいて使用される押湯スリーブであって、
長手軸を有し、長手軸の実質的に周囲に延びる連続した側壁と、長手軸に実質的に交差して延びる天板とを含み、側壁および天板はともに鋳造中に液体金属を受けるためのキャビティを規定し、
側壁は天板から離間した基部を有し、
(i)キャステレートされた切欠きが、基部から延びる、または
(ii)溝が、基部から側壁内に延びていることを特徴とする押湯スリーブ。
[実施例16]
実施例1に記載の押湯システムをパターン上に設置することであって、該押湯システムは管状体上に装着された押湯スリーブを含み、
押湯スリーブは、実質的に、第1端部と、第2端部と、第1端部と第2端部との間に延びる長手軸を有し、押湯スリーブは、鋳造中に液体金属を受けるためのキャビティを規定する、長手軸の実質的に周囲に延びる連続した側壁を含み、該側壁は押湯スリーブの第1端部に基部を有し、
管状体はキャビティを鋳物に結合するための貫通する開放孔を規定し、
切欠きが基部から第1深さまで側壁内に延び、管状体が切欠き内に第2深さまで突出し、第2深さが第1深さ以下であり、管状体は、切欠き内で押湯スリーブの表面と接触する少なくとも1つの摩耗領域を有する、押湯システムをパターン上に設置することと、
パターンを鋳型材料で取り囲むことと、
鋳型材料を圧縮することと、
パターンを圧縮された鋳型材料から除去して、鋳型を形成することとを含み、
鋳型材料を圧縮することは、摩耗領域が、管状体が第2端部に向かって押されるように接触する押湯スリーブの表面を摩耗させるように、圧力を押湯システムに印加することを含むことを特徴とする鋳型を作製する方法。
[実施例17]
第2深さは、鋳型材料を圧縮することによって、管状体に切欠きの側面を摩耗させ、切欠き内を第3深さまでさらに移動させるように、第1深さよりも小さくされることを特徴とする、実施例16に記載の方法。
[実施例18]
第2深さは、鋳型材料を圧縮することによって、管状体に切欠きの基部において押湯スリーブを摩耗させ、切欠きを効果的により深くするように、第1深さに等しくされることを特徴とする、実施例16に記載の方法。
[実施例19]
鋳型材料を圧縮することは、少なくとも30N/cmの打ち固め圧力を印加することを特徴とする、実施例16〜18のいずれか1つに記載の方法。

Claims (17)

  1. 管状体に装着された押湯スリーブを含み、
    押湯スリーブは、第1端部と、第2端部と、第1端部と第2端部との間に延びる長手軸とを有し、鋳造中に液体金属を受けるためのキャビティを規定する、長手軸の周囲に延びる連続した側壁を含み、該側壁は押湯スリーブの第1端部に基部を有し、
    管状体は、キャビティを鋳物に結合するための貫通する開放孔を規定し、
    少なくとも1つの切欠きが基部から第1深さまで側壁内に延び、管状体が切欠き内に第2深さまで突出し、管状体は、切欠き内で押湯スリーブの表面と接触する少なくとも1つの摩耗領域を有し、
    第2深さは、使用時に力が加わると、摩耗領域が、管状体が第2端部に向かって押されるように接触する押湯スリーブの表面を摩耗させるように、第1深さ以下であり、切欠きは側壁の溝であることを特徴とする金属鋳造のための押湯システム。
  2. 溝は、押湯スリーブの第2端部に向かって内側に先細になることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
  3. 切欠きは、一様でない深さを有することを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム。
  4. 切欠き内で第2深さにおいて管状体を適所に保持するために保持手段が使用されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム。
  5. (i)摩耗領域は保持手段を構成し、(ii)切欠きおよび管状体は、保持手段が摩擦嵌合であるような寸法にされ、かつ/または(iii)管状体は接着剤によって押湯スリーブに着脱可能に固定されることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
  6. 摩耗領域は、切欠き内で押湯スリーブに当接する少なくとも1つの外向き突起を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシステム。
  7. 突起はフィンであることを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
  8. 摩耗領域は、(i)少なくとも1つの鋭利な縁または(ii)少なくとも1つの鋭利な先端を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシステム。
  9. 管状体は、金属管状体またはプラスチック管状体であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のシステム。
  10. 金属は、0.05重量%未満の炭素含有量の鋼であることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
  11. 押湯スリーブは、長手軸に沿って測定した高さを有し、第1深さは、高さの10〜40%に対応することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のシステム。
  12. 押湯スリーブは、少なくとも20kNの破砕強度を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載のシステム。
  13. 請求項1に記載の押湯システムにおいて使用される押湯スリーブであって、
    長手軸を有し、長手軸の周囲に延びる連続した側壁と、長手軸に交差して延びる天板とを含み、側壁および天板はともに鋳造中に液体金属を受けるためのキャビティを規定し、
    側壁は天板から離間した基部を有し、
    溝が、基部から側壁内に延びていることを特徴とする押湯スリーブ。
  14. 請求項1に記載の押湯システムをパターン上に設置することであって、該押湯システムは管状体上に装着された押湯スリーブを含み、
    押湯スリーブは、第1端部と、第2端部と、第1端部と第2端部との間に延びる長手軸を有し、押湯スリーブは、鋳造中に液体金属を受けるためのキャビティを規定する、長手軸の周囲に延びる連続した側壁を含み、該側壁は押湯スリーブの第1端部に基部を有し、
    管状体はキャビティを鋳物に結合するための貫通する開放孔を規定し、
    切欠きが基部から第1深さまで側壁内に延び、管状体が切欠き内に第2深さまで突出し、第2深さが第1深さ以下であり、管状体は、切欠き内で押湯スリーブの表面と接触する少なくとも1つの摩耗領域を有する、押湯システムをパターン上に設置することと、
    パターンを鋳型材料で取り囲むことと、
    鋳型材料を圧縮することと、
    パターンを圧縮された鋳型材料から除去して、鋳型を形成することとを含み、
    鋳型材料を圧縮することは、摩耗領域が、管状体が第2端部に向かって押されるように接触する押湯スリーブの表面を摩耗させるように、圧力を押湯システムに印加することを含むことを特徴とする鋳型を作製する方法。
  15. 第2深さは、鋳型材料を圧縮することによって、管状体に切欠きの側面を摩耗させ、切欠き内を第3深さまでさらに移動させるように、第1深さよりも小さくされることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
  16. 第2深さは、鋳型材料を圧縮することによって、管状体に切欠きの基部において押湯スリーブを摩耗させ、切欠きを効果的により深くするように、第1深さに等しくされることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
  17. 鋳型材料を圧縮することは、少なくとも30N/cmの打ち固め圧力を印加することを特徴とする、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
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