JP2001204276A - 根鉢固定装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】根鉢を土壌に対して強力に固定する支持力を有
し、支持構成部材として用いる鋼材を削減して材料コス
トを低減すると共に、錆びの原因となる鋼材が根鉢に接
触する箇所を極力なくすことによって樹木の成育に悪影
響を与えないようにした根鉢固定装置を提供する。 【解決手段】植穴１０の周辺地盤１１に打ち込む湾曲状
の案内板２と、中心線上に湾曲可能に突出形成したリブ
１２を案内板２に沿わして打ち込むことにより植穴の周
辺地盤に打設する安定板３と、案内板２に一端を固定し
て根鉢９の周囲に延長する支持部材４と、該支持部材４
の他端を固定して根鉢の周囲に立設する丸太５と、該丸
太５の上部に固定して根鉢の周辺肩部に木製合板６を介
して押えるようにした押圧部材７とを備えて成る支持構
成部材８を根鉢の周囲の複数カ所に設けて植穴の周辺地
盤に固定すると共に、夫々の丸太５の上部の各押圧部材
７の下部に掛けたワイヤロープ１６を締め込むことによ
り各丸太５を一括的に締め上げて根鉢と一体化するよう
にした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、地盤に樹木を移植
する際の根鉢固定装置に係り、該装置の鋼材が根鉢に接
触する箇所を減少すると共に装置のコストを低減するよ
うにした根鉢固定装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、地盤に樹木を移植する方法とし
て、樹木を移植した後、この樹木の倒伏等を防止するた
めに、樹木の根鉢を地盤に固定することが行われてい
る。

【０００３】このような根鉢の固定装置について、図４
及び図５に示す従来の例を説明すると、この装置の基礎
体２０は、植穴１０の内径を超過した長さの溝型鋼を十
字形状に形成し、この基礎体２０の十字形状を固定する
ために中央の四方の隅部に鋼板から成る固定板２１を斜
交い状に当てて夫々の端部をボルト２２で固定し、さら
にこの基礎体２０の四方の先端底部に鋼板から成る定置
板２３を溶接した構造を有するものである。

【０００４】このような基礎体２０を設置するには、植
穴１０を所定の深さに掘削すると共に植穴１０の底部の
四方に上記の定置板２３を埋設するための横穴２４、２
４…を掘削し、基礎体２０を植穴１０の底部に設置する
と共に夫々の横穴２４に各定置板２３が収納された状態
にして該横穴２４の隙間を土壌で埋める。

【０００５】また、基礎体２０の四方に延長された途中
には鋼材から成る定置ロット２５、２５…の下端部が固
定されて垂直に立てられ、根鉢９を基礎体２０の上部に
設置したとき、根鉢９の周囲に沿って四方の定置ロット
２５、２５…が立設された状態とする。

【０００６】そして、夫々の定置ロット２５に鋼板から
成る下圧板２６の孔部２７を挿着して該下圧板２６を根
鉢９の肩部に当て、各定置ロット２５の上部に形成され
た雄ネジにナット２５ａをねじ込むことによって下圧板
２６を根鉢９の周辺肩部に定着させると共に、夫々の下
圧板２６に固設された突出部材２８に鋼材から成るワイ
ヤロープ２９を掛けて該ワイヤロープ２９を締めつける
ことにより、根鉢９を定置ロット２５と下圧板２６と基
礎体２０とに一体化させる。

【０００７】さらに、上記の作業が終了した後、植穴１
０内の根鉢９の周囲に掘削土壌を埋め戻して根鉢９を埋
設した状態にする。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の根鉢
固定装置においては、基礎体２０の四方の先端底部に固
定された定置板２３、２３…を植穴底部の横穴２４、２
４…に埋設することによって植栽樹木に作用する風圧等
の外力に対する抵抗力を増強するようにしているが、植
穴底部の周囲に横穴２４を掘削しているため既成土壌が
崩壊されたこととなる。

【０００９】しかるに、この横穴２４に土壌を埋め戻し
はするものの既成土壌の地耐力には及ばず、このために
基礎体２０が強力な支持力を持ち得ないという問題点が
あった。また、この横穴２４を掘削するには手作業によ
る労力を必要とするものである。

【００１０】また、上記の根鉢固定装置において、その
構成部材として用いられている基礎体２０、固定板２
１、定置板２３、定置ロット２５、下圧板２６、ワイヤ
ロープ２９が、すべて鋼材から形成されているため、材
料費がコスト高となり、さらに、構成部材のほとんどが
根鉢の周囲に接触するため、その材料である鋼材の錆び
が樹木の成育には好ましくないという問題点があった。

【００１１】本発明は上記の問題点を解消するために成
されたもので、根鉢を土壌に対して強力に固定する支持
力を有し、構成部材として用いる鋼材を削減して材料コ
ストを低減すると共に、錆びの原因となる鋼材が根鉢に
接触する箇所を極力なくすことによって樹木の成育に悪
影響を与えないようにした根鉢固定装置を提供すること
を目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の請求項１の根鉢固定装置は、地盤に掘削
した植穴の周辺地盤に打ち込む湾曲状の案内板と、中心
線上に湾曲可能に突出形成したリブを前記案内板に沿わ
して打ち込むことにより植穴の周辺地盤に湾曲状に変形
して打設する安定板と、前記案内板に一端を固定して根
鉢の周囲に延長する支持部材と、該支持部材の他端を固
定して根鉢の周囲に立設する丸太と、該丸太の上部に固
定して根鉢の周辺肩部に木製合板を介して押えるように
した押圧部材とを備えて成る支持構成部材を根鉢の周囲
の複数カ所に設けて植穴の周辺地盤に固定すると共に、
夫々の丸太の上部の各押圧部材の下部に掛けたワイヤロ
ープを締め込むことにより各丸太を一括的に締め上げて
根鉢と一体化するようにしたことを特徴とする。

【００１３】また、本発明の請求項２の根鉢固定装置
は、請求項１記載の根鉢固定装置において、前記安定板
に設けられたリブの反対側であって打設の際に上側とな
る端部にストッパを固設することにより、該安定板を打
設する際に該ストッパが前記案内板に固設された支持部
材に当接して前記安定板の打設深度を制限するようにし
たことを特徴とする。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について図
面を参照しながら説明する。

【００１５】本発明による根鉢固定装置は、図１または
図２に示すように、案内板２と安定板３と支持部材４と
丸太５と木製合板６と押圧部材７とを組み合わせて成る
支持構成部材８を有し、この支持構成部材８を根鉢９の
周囲の複数カ所（本実施例においては根鉢９の周囲に等
間隔で４か所）に設けて植穴１０の周辺地盤１１に固定
するようにしている。

【００１６】上記の支持構成部材８をより詳細に述べる
と、図３に示す分解斜視図において、案内板２は長尺の
板部材を湾曲状に形成して成り、先端部２ａを鋭利にし
て植穴１０の周辺地盤１１の内壁から打ち込むようにし
たものである。

【００１７】安定板３は中心線上にリブ１２が突出さ
れ、該リブ１２の長手方向の複数カ所に切込部１３、１
３…を設けて湾曲可能とし、両側の平板部１４、１４に
は複数の開口１５、１５…を設けて地盤に対する食い込
みを強化し、さらに平板部１４、１４の両側下端は傾斜
状１７に切り欠くことによって安定板３の先端部を尖っ
た形状にしている。

【００１８】また、この安定板３のリブ１２の反対側で
あってその上端、即ち安定板３を打設する際に上側とな
る端部にストッパ１８を固設することにより、安定板３
を打ち込んだときに該ストッパ１８が案内板２に固設さ
れた支持部材４の上端に当接することによって打設深度
を制限するようにしている。

【００１９】このような安定板３は、図１に示すように
根鉢９の周辺地盤１１に打ち込まれた案内板２の上方に
安定板３のリブ１２を嵌めて該案内板２の上端を加圧す
ることにより、安定板３が各切込部１３、１３…で折曲
しつつ案内板２の背部に沿って変形しながら地盤に進入
し、ストッパ１８が支持部材４の上端に当接すると該安
定板３の地盤への進入が停止され、この状態で安定板３
は図１に示すような湾曲形状となって外力に対する抵抗
力を発揮することができる。

【００２０】また、図３において、支持部材４は鋼板か
ら成り、その一端を案内板２に溶接して案内板２と一体
化されると共に、その他端を環状に変形して成る環部４
ａとして該環部４ａに後述する丸太５を挿入するように
している。

【００２１】丸太５は廃材を使用することができ、上記
の支持部材４の環部４ａに挿入し得る外径を有する。

【００２２】また、支持部材４の環部４ａには孔部４ｂ
が形成され、該環部４ａに丸太５を挿入した状態で孔部
４ｂに打込金具１９を打ち込むことによって支持部材４
を丸太５に固定することができる。

【００２３】また、丸太５の上部には押圧部材７を固定
する。この押圧部材７は、長尺の鋼板を略中央で湾曲し
て該湾曲部の下部を環状に形成した環部７ａとして、そ
の内径に丸太５を挿入することができる。この環部７ａ
には孔部７ｂが形成され、環部７ａの内径に丸太５を挿
入した状態で孔部７ｂに打込金具１９を打ち込むことに
よって押圧部材７を丸太５に固定することができる。

【００２４】さらに、押圧部材７の下辺には木製合板６
を介挿して、該押圧部材７の鋼材が根鉢９に接触しない
ようにしている。

【００２５】本実施例においては、以上のような支持構
成部材８を図２に示すように根鉢９の周囲の四カ所に設
けて植穴１０の周辺地盤１１に固定する。

【００２６】そのための施工方法としては、図１または
図２において、地盤に植栽樹木の植穴１０を所定深度で
掘削し、該植穴１０の内壁四カ所に案内板２、２…を打
ち込んで該案内板２の上部を周辺地盤１１の内壁から露
出した状態にすると共に、支持部材４を略水平方向にし
て植穴１０の中心を向くようにする。

【００２７】次いで、夫々の案内板２の上端に安定板３
のリブ１２を嵌めて安定板３の上端を打ち込むと、該安
定板３は案内板２の背部に沿って変形しながら進入し、
植穴１０の周辺地盤１１に湾曲状態で打設され、安定板
３のストッパ１８が案内板２に固設された支持部材４に
当接したとき安定板３の打設を終了する。

【００２８】次に、夫々の支持部材４、４…の環部４ａ
に丸太５を挿入して環部４ａの孔部４ｂに打込金具１９
を打ち込んで支部部材４を固定すると、植穴１０の周囲
に４本の丸太５、５…が立設した状態となる。

【００２９】次いで、これらの丸太５、５…の内方に根
鉢９を挿入して植穴１０の底面に設置すると、根鉢９の
外周を丸太５、５…が囲繞した状態となる。この状態に
おいて、夫々の丸太５、５…の上部に押圧部材７の環部
７ａを挿入して根鉢９の中心に向け、押圧部材７の下部
に木製合板６を介挿することによって鋼材である押圧部
材７が根鉢９に接触しないようにし、さらに根鉢１の周
辺肩部に押圧部材７を加圧した状態で該押圧部材７の孔
部７ｂに打込金具１９を打ち込んで固定状態にする。

【００３０】さらに、夫々の丸太５、５…の各押圧部材
７、７…の下部に掛けたワイヤロープ１６を締め込むこ
とにより、各丸太５を一括的に締め上げて根鉢９と一体
化し、植穴１０の隙間に土壌を埋め戻して植栽樹木の移
植を終了する。

【００３１】上記の根鉢固定装置においては、根鉢９に
接触する丸太５と木製合板６とは木材であって安価な廃
材等を利用することができ、鋼材である案内板２と安定
板３とは根鉢９の外周から離間しており、鋼材である支
持部材４の端部が根鉢９にわずかに当たるが、根の育成
にはほとんど影響を及ぼすことがない。

【００３２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の根鉢固定
装置は、その構成部材である丸太と木製合板とは木材で
あって安価な廃材等を利用することができ、材料コスト
が非常に安価となる。しかも、根鉢に接触するのは木材
である丸太と木製合板であって、錆びが発生する鋼材が
根鉢に接触するのは支持部材のわずかな部分であるた
め、根の育成にはほとんど悪影響を及ぼすことがなく、
植栽樹木の成育上の信頼性を得ることができる。

【００３３】また、本発明の根鉢固定装置を施工する
際、従来のように既成土壌に横穴を設ける必要がなく、
案内板と安定板は既成土壌に打設されるため、強力な支
持力を有し、しかもワイヤロープの締付けによって周囲
に複数設けられた支持構成部材は根鉢と一体化された状
態で地盤に強力に固定され、これによって強風等の外力
に対しても倒伏することのない強固な植栽樹木の自立補
助を実現することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による根鉢固定装置を植穴内の根鉢に装
着した状態を示す平面図である。

【図２】本発明による根鉢固定装置を植穴内の根鉢に装
着した状態を示す側面図である。

【図３】本発明による根鉢固定装置の支持構成部材の分
解斜視図である。

【図４】従来の根鉢固定装置を植穴内の根鉢に装着した
状態を示す平面図である。

【図５】従来の根鉢固定装置を植穴内の根鉢に装着した
状態を示す側面図である。

【符号の説明】

２…案内板 ３…安定板 ４…支持部材 ４ａ…環部 ４ｂ…孔部 ５…丸太 ６…木製合板 ７…押圧部材 ７ａ…環部 ７ｂ…孔部 ８…支持構成部材 ９…根鉢 １０…植穴 １１…周辺地盤 １２…リブ １３…切込部 １４…平板部 １５…開口 １６…ワイヤロープ １８…ストッパ １９…打込金具

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】地盤に掘削した植穴の周辺地盤に打ち込む
   湾曲状の案内板と、中心線上に湾曲可能に突出形成した
   リブを前記案内板に沿わして打ち込むことにより植穴の
   周辺地盤に湾曲状に変形して打設する安定板と、前記案
   内板に一端を固定して根鉢の周囲に延長する支持部材
   と、該支持部材の他端を固定して根鉢の周囲に立設する
   丸太と、該丸太の上部に固定して根鉢の周辺肩部に木製
   合板を介して押えるようにした押圧部材とを備えて成る
   支持構成部材を根鉢の周囲の複数カ所に設けて植穴の周
   辺地盤に固定すると共に、夫々の丸太の上部の各押圧部
   材の下部に掛けたワイヤロープを締め込むことにより各
   丸太を一括的に締め上げて根鉢と一体化するようにした
   ことを特徴とする根鉢固定装置。
2. 【請求項２】前記安定板に設けられたリブの反対側であ
   って打設の際に上側となる端部にストッパを固設するこ
   とにより、該安定板を打設する際に該ストッパが前記案
   内板に固設された支持部材に当接して前記安定板の打設
   深度を制限するようにしたことを特徴とする請求項１記
   載の根鉢固定装置。