JP2001203003A - 二次電池の状態評価方法 - Google Patents

二次電池の状態評価方法

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JP2001203003A
JP2001203003A JP2000011593A JP2000011593A JP2001203003A JP 2001203003 A JP2001203003 A JP 2001203003A JP 2000011593 A JP2000011593 A JP 2000011593A JP 2000011593 A JP2000011593 A JP 2000011593A JP 2001203003 A JP2001203003 A JP 2001203003A
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electrode mixture
negative electrode
positive electrode
mixture layer
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Yasuaki Kawai
泰明 河合
Shunichi Masuda
俊一 増田
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【課題】 正極活物質を含む正極合材を層状に形成した
正極合材層を有するシート状の正極と、負極活物質を含
む負極合材を層状に形成した負極合材層を有するシート
状の負極とを積層した電極体を備えてなる二次電池の劣
化程度、電極の積層状態を非破壊により迅速かつ簡便に
判断することのできる二次電池の状態評価方法を提供す
る。 【解決手段】 X線コンピュータトモグラフィ(CT)
の撮影原理に基づき、前記二次電池の前記電極体の積層
断面における前記正極合材層および負極合材層の少なく
とも一方の少なくとも1つの領域のCT値を測定し、得
られたCT値により、該二次電池の劣化状態を評価す
る。前記二次電池の前記電極体の積層断面画像データを
取得し、該断面画像データから、該二次電池の電極の積
層状態を評価する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シート状の正極お
よび負極を積層した電極体を有する二次電池の評価方法
であって、その劣化状態または電極の積層状態を非破壊
にて検査評価する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】パソコン、ビデオカメラ、携帯電話等の
小型化に伴い、情報関連機器、通信機器の分野では、こ
れらの機器に用いる電源として、高エネルギー密度であ
るという理由から、例えばリチウム二次電池等の高性能
の二次電池が実用化され広く普及するに至っている。ま
た一方で、自動車の分野においても、環境問題、資源問
題から電気自動車の開発が急がれており、この電気自動
車用の電源としても、リチウム二次電池を始めとする高
性能電池が検討されている。
【0003】例えば、リチウム二次電池は、一般に、正
極、負極の2つのシート状の電極を、捲回あるいは重畳
して積層することで電極体を形成し、この電極体を電池
ケース内に挿設するという構成を採用している。そし
て、シート状の電極では、活物質、結着剤等を含む電極
合材を金属箔製の集電体の表面に層状に形成することに
よって構成されている。
【0004】リチウム電池に限らず、電池は一般に、容
量が低下する等の現象を伴って劣化する。したがって、
電池の劣化を判断するためには、その電池を満充電した
後に放電させ、実際の放電容量を測定し、測定した放電
容量からその劣化の程度を判断すればよい。しかし、充
放電試験により電池の劣化の程度を判断する場合、試験
に相当の時間を要し、迅速性に欠ける。電池の使用とい
う側面から考えた場合、その劣化度を迅速かつ簡便に判
断できる方法は、有用な技術となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】例えば、リチウム二次
電池は、上述したように、活物質を結着剤で結着した電
極合材層を有している。リチウム二次電池の劣化の機構
は完全に解明されているわけではないが、活物質の状態
変化、ないしは電池の充放電に伴う活物質の膨張収縮に
より、活物質の粒子が結着剤からの緊縛を解かれること
で、以後の充放電に寄与しなくなる活物質が電極合材層
中において増加することに起因するものと考えられる。
例えば、電極合材層を微視的に観察した場合、活物質粒
子の崩壊による微細化、活物質粒子と結着剤、活物質と
導電材、あるいは活物質粒子どうしの接触が断たれるこ
とによって電極内の内部抵抗が増大する。また、活物質
自体の何らかの変化により、リチウムイオンの活物質へ
の吸蔵・離脱が行いにくい状態ともなりうる。これらの
結果、リチウム二次電池は劣化するものと考えられる。
したがって、このような電極合材層の構造変化を、何ら
かの手段で測定することができれば、そのリチウム二次
電池の劣化を推認できるものとなるとの知見を本発明者
は得た。また、他の二次電池においても、上述したリチ
ウム二次電池の場合と同様な電極合材層の構造変化過程
を経て劣化が進行することが考えられることから、リチ
ウム二次電池に限らず二次電池一般に通ずるものである
との知見を得た。
【0006】一方、非破壊検査の分野では、X線透過に
よって内部構造を検査する手法が一般的に採用してい
る。物質はその物質固有のX線吸収係数を有しており、
二次電池の電極にX線を透過させれば、上記電極合材の
構造変化によって、透過領域のX線吸収程度に何らかの
相違が発見できるとの知見をも本発明者は得た。
【0007】本発明は、それらの知見に基づくものであ
り、電極合材層にX線を透過させることで得られるデー
タにより、リチウム二次電池を始めとするシート状の正
極および負極を積層した電極体を有する二次電池の劣化
程度を非破壊により迅速かつ簡便に判断することのでき
る二次電池の状態評価方法を提供することを課題として
いる。
【0008】また、X線を透過させることによれば、電
池の断面画像データを入手することも可能である。そし
て、本発明は、電池にX線を透過させることで、電池の
内部状態、特に電極の積層状態を非破壊により迅速かつ
簡便に判断することのできる二次電池の状態評価方法を
提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の二次電池の状態
評価方法は、正極活物質を含む正極合材を層状に形成し
た正極合材層を有するシート状の正極と、負極活物質を
含む負極合材を層状に形成した負極合材層を有するシー
ト状の負極とを積層した電極体を備えてなる二次電池の
状態評価方法であって、X線コンピュータトモグラフィ
(CT)の撮影原理に基づき、前記二次電池の前記電極
体の積層断面における前記正極合材層および負極合材層
の少なくとも一方の少なくとも1つの領域のCT値を測
定するCT値測定工程と、測定して得られたCT値によ
り、前記二次電池の劣化状態を評価する劣化状態評価工
程とを含むことを特徴とする。
【0010】上述したように、電池が劣化すれば、例え
ばリチウム二次電池の場合、電極に形成された電極合材
層を構成する活物質の微細化、活物質粒子のそれを結着
している結着剤からの分離等の構造変化が生じていると
考えられる。また、他の二次電池においても、それに類
する電極合材層の構造変化が生じていると考えられる。
X線CT試験によれば、電極体の断面における電極合材
層の特定の領域のCT値を得ることができ、電極合材層
中の上記構造変化は、そのCT値から得られるデータの
変化となって現れる。つまり、二次電池の劣化状態を評
価する本状態評価方法は、このデータの変化から、二次
電池の劣化状態を、非破壊にて、迅速かつ簡便に判断で
きる方法となる。
【0011】また、本発明の二次電池の状態評価方法
は、正極活物質を含む正極合材を層状に形成した正極合
材層を有するシート状の正極と、負極活物質を含む負極
合材を層状に形成した負極合材層を有するシート状の負
極とを積層した電極体を備えてなる二次電池の状態評価
方法であって、X線コンピュータトモグラフィ(CT)
の撮影原理に基づき、前記二次電池の前記電極体の積層
断面画像データを取得する断面画像データ取得工程と、
取得した断面画像データから、前記二次電池の電極の積
層状態を評価する積層状態評価工程とを含むことを特徴
とする。
【0012】断面画像データは変換することにより、例
えば、断層写真として目視にて観察できる態様で取得可
能である。例えば、断層写真であれば、電池の内部を容
易に観察し、電極の積層状態を容易に判断することがが
できる。つまり、本発明の状態評価方法は、断面画像デ
ータにより電極の積層状態を、非破壊にて、迅速かつ簡
便に判断できる方法となる。
【0013】なお、ここで「電極の積層状態」とは、単
に、正極および負極の積層におけるズレのみを意味する
ものではなく、より広義なものを意味する。電極を積層
した電極体自体の電池内部における位置ズレ、電極にお
ける電極合材層の集電体からの剥離、崩落等、画像デー
タから得られる位置情報に基づく電極に関する種々の状
態変化をも含むことを意味する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の二次電池の状態
評価方法について、リチウム二次電池における場合を例
にとって、その代表的な実施形態を掲げてさらに詳しく
説明する。
【0015】〈本状態評価方法の対象となる二次電池〉
本発明の状態評価方法は、正極活物質を含む正極合材を
層状に形成した正極合材層を有するシート状の正極と、
負極活物質を含む負極合材を層状に形成した負極合材層
を有するシート状の負極とを積層した電極体を備えてな
る二次電池を対象とする。この構成を有する二次電池
は、リチウム二次電池を始めとして、ニッケル水素電池
等が挙げられる。リチウム二次電池の場合の一般的なも
のを例示して、以下に詳しく説明する。
【0016】リチウム二次電池の場合、正極は、リチウ
ムイオンを吸蔵・離脱できる正極活物質に導電材および
結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極
合材としたものを、アルミニウム等の金属箔製の集電体
表面に塗布乾燥することで正極合材層を形成させて、シ
ート状のものを作製することができる。また、必要に応
じて電極密度を高めるべくその正極合材層を圧縮しても
よい。
【0017】正極活物質には、4V級の電池が構成でき
るものとして、基本組成をLiCoO2、LiNiO2
LiMn24等とするリチウム遷移金属複合酸化物粉状
体を用いることができる。導電材は、正極の電気伝導性
を確保するためのものであり、例えば、カーボンブラッ
ク、アセチレンブラック、黒鉛等の炭素物質粉状体の1
種又は2種以上を混合したものを用いることができる。
結着剤は、活物質粒子を繋ぎ止める役割を果たすもの
で、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化
ビニリデン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピ
レン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いることがで
きる。これら活物質、導電材、結着剤を分散させる溶剤
としては、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を
用いることができる。
【0018】負極は、正極同様、リチウムイオンを吸蔵
・離脱できる負極活物質に結着剤を混合し、適当な溶剤
を加えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔集
電体の表面に塗布乾燥することで負極合材層を形成させ
て、シート状のものを作製することができる。また、正
極同様、必要に応じて電極密度を高めるべくその負極合
材層を圧縮してもよい。
【0019】負極活物質には、例えば、天然黒鉛、人造
黒鉛、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体、コークス
等の炭素物質の粉状体を用いることができる。負極結着
剤としては、正極同様、ポリフッ化ビニリデン等の含フ
ッ素樹脂等を、これら活物質および結着剤を分散させる
溶剤としてはN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤
を用いることができる。
【0020】上記シート状の正極とシート状の負極とを
重ね合わせて積層させて電極体を形成させるが、正極と
負極との間には、正極と負極とを分離し電解液を保持す
る機能を果たすセパレータを挟装する。セパレータに
は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い微多孔膜を
用いることができる。
【0021】電極の積層方式には、大きく分けて2種の
方式があり、その1つは、ほぼ同じ大きさのを有する正
極および負極を、交互に幾重にも重畳するように積層さ
せるものであり、角型電池に用いられる積層方式である
(以下、この方式の電極体を重畳型電極体と呼ぶ)。ま
たもう1つは、長い帯状の正極および負極をそれぞれ1
枚ずつ用い、これらを対向させてロール状に捲回する方
式のものであり、円筒型電池に用いられる積層方式であ
る(以下、この方式の電極体を捲回型電極体と呼ぶ)。
本発明の状態評価方法は、重畳型電極体、捲回型電極体
のいずれの電極体を有するリチウム二次電池にも適用で
きる。
【0022】リチウム二次電池は、上記電極体を、所定
の電池ケース内に非水電解液とともに挿設し、電池ケー
スを密閉して完成する。なお、非水電解液は、電解質と
してのリチウム塩を有機溶媒に溶解させたものである。
リチウム塩としては、LiBF4、LiPF6、LiCl
4、LiCF3SO3、LiAsF6、LiN(CF3
22、LiN(C25SO22等を用いることがで
き、有機溶媒には、非プロトン性の有機溶媒、例えば、
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメ
チルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチ
ルカーボネート等を用いることができる。
【0023】〈劣化状態を評価する状態評価方法〉劣化
状態を評価する状態評価方法は、X線コンピュータトモ
グラフィ(CT)の撮影原理に基づき、二次電池の電極
体の積層断面における正極合材層および負極合材層の少
なくとも一方の少なくとも1つの領域のCT値を測定す
るCT値測定工程と、測定して得られたCT値により、
前記二次電池の劣化状態を評価する劣化状態評価工程と
の、2つの工程を含む。
【0024】CT値測定工程において使用するX線CT
測定装置は特に限定するものではなく、測定する電池を
載せ回転するテーブル、電池に透過させるX線を発生さ
せるためのX線発生器、電池を透過したX線を検出する
X線検出器、透過X線から電池断面の所定領域のCT値
を演算することのできるコンピュータ等を備えた、通常
のX線CT測定装置を用いることができる。対象物とな
る電池の回転とX線の走査を組み合わせ、電池の内部断
面における任意の領域のCT値を測定できるものであれ
ばよい。
【0025】CT値とは、その物質のX線質量吸収係数
および密度から導き出されるX線吸収係数によって関係
づけられる値で、その物質のX線を吸収する度合を示
す。例えば、特定の単一エネルギーのX線を用いた場合
において、空気を−1000、水を0として換算される
値で表される。参考として、下記表1に、100keV
の単一エネルギーを有するX線による種々の物質の質量
吸収係数、線吸収係数およびCT値を示す。
【0026】
【表1】
【0027】上記構成をもつ二次電池の正極合材層およ
び負極合材層は、それぞれの構成に応じたCT値を有す
る。リチウム二次電池を始めとする二次電池は、上述し
たように、劣化により正極合材層および負極合材層が構
造変化を生じる。そして、この構造変化によりそのCT
値は変化する。本発明の状態評価方法は、このCT値の
変化の程度を測定することにより、電池の劣化程度を評
価するものである。
【0028】CT値を測定する電池の内部断面における
領域は、上述した構成の二次電池の電極体の積層断面に
おける正極合材層あるいは負極合材層の一部の領域であ
る。初期において同じ構成を有する二次電池であって劣
化程度の異なる種々の二次電池の電極体の同じ位置の正
極合材層あるいは負極合材層のCT値を比較すれば、そ
のCT値はそれぞれ異なるものとなる。
【0029】評価においては、正極合材層に該当する領
域のみを測定しそのCT値から評価するものでもよく、
また、負極合材層に該当する領域のみを測定しそのCT
値から評価するものでもよい。さらに、両者を測定し、
両者のCT値に基づいて評価するものであってもよい。
【0030】上述したように、本評価方法では、CT値
測定工程で測定して得られたCT値により、二次電池の
劣化状態を評価する。具体的には、例えば、電池の経時
的な放電容量の低下を電池の劣化とすれば、容量低下の
進行程度の異なるいくつかの二次電池のそれぞれのCT
値を基準ととして、CT値に対するその二次電池の劣化
曲線を作成し、その劣化曲線を用いて評価対象となる二
次電池のCT値からその劣化程度を評価することができ
る。
【0031】CT値を測定する領域の大きさは、正極合
材層、負極合材層の厚さによって任意に決定できる。1
つの測定領域における測定点(以下「測定ドット」とい
う)は、X線CT測定装置の分解能(画像データでは単
位面積当たりの画素数に相当)によって異なるが、例え
ば、0.1mm×0.1mmの面積をもつ領域において
は、1024画素×1024画素の場合であれば、10
0〜200ドット程度となる。したがってその領域にお
けるCT値は、その領域における全測定ドットのCT値
を平均した値とすることができる。
【0032】評価は、その領域におけるCT値の絶対値
によってのみならず、それぞれの測定ドットのCT値の
平均値からのバラツキつまりその領域のCT値の標準偏
差によって行うこともできる。上記電極合材層の構造変
化は、非常に微少であるため、絶対値よりも標準偏差の
ほうが、その構造変化をより顕著に示すからである。構
造変化が進行し劣化程度の大きな二次電池となるにつれ
て、1つの領域内のそれぞれの測定ドットのCT値はバ
ラつき、標準偏差は大きくなる。したがって、電池の劣
化状態を評価するに際しては、この標準偏差を用いて評
価することが望ましい。
【0033】これらのことから、本明細書中でいう「C
T値」とは、その絶対値のみを意味するのではなく、上
記「標準偏差」を含めた広い概念であり、絶対値データ
を加工して得られる種々のCT値に関する測定データで
あることを意味する。
【0034】CT値を測定する領域は、電極体の積層断
面における1箇所でもよく、また、2以上の箇所であっ
てもよい。電池の部位によってX線の透過長が異なるこ
とから、電極体の積層断面において広く分散する数箇所
以上の領域のCT値を測定し、異なる部位のいくつかの
領域のCT値の平均を求め、その平均値によって評価す
ることが、評価精度を向上させるという観点から望まし
い。
【0035】また、円筒型電池では、その円筒断面の中
心を回転中心にして回転させてCT値を測定した場合、
半径方向に整列して位置する複数の領域において、測定
の都合上、それぞれCT値が異なる。しかし、円周方向
に位置する複数の領域では、中心からの距離が概ね等し
い場合に、それぞれの領域のCT値はほぼ同じ値を示
す。このことに鑑み、円筒型電池では、ロール状に積層
した電極体の全断面にわたってCT値を測定する必要が
なく、電極体の積層断面において、中心角を180°と
する扇形(半円)、あるいは中心角が180°以下(例
えば60°とか30°等)の中心角をもつ扇形の範囲の
CT値を測定し、その測定範囲にある領域のCT値で評
価することによっても、精度的に遜色のない評価が可能
である。したがって、円筒型二次電池においては、上記
のように測定範囲を小さくすることで、CT値測定工程
にかかる時間を短縮でき、より迅速な評価方法となる。
【0036】〈電極の積層状態を評価する状態評価方
法〉電極の積層状態を評価する方法は、X線コンピュー
タトモグラフィ(CT)の撮影原理に基づき、前記二次
電池の前記電極体の積層断面画像データを取得する断面
画像データ取得工程と、取得した断面画像データから、
前記二次電池の電極の積層状態を評価する積層状態評価
工程との2つの工程を含む。
【0037】断面画像データ取得工程において使用する
X線CT画像装置は特に限定するものではなく、測定す
る電池を載せ回転するテーブル、電池に透過させるX線
を発生させるためのX線発生器、電池を透過したX線を
検出するX線検出器、透過X線強度から電池の断面画像
データを演算によって構成することのできるコンピュー
タ、画像データを断面画像として表示するモニター等を
備えた、通常のX線CT画像装置を用いることができ
る。
【0038】後の実施例において、X線CTによる断層
写真を紹介するが、一般には、上述したCT値の大きな
部分は画像上白く現れ、CT値の小さな部分は黒く現れ
る。正極および負極は、それぞれの集電体、電極合材層
によってCT値が異なり、断層写真には正極および負極
が明瞭に写し出される。本評価方法においては、取得し
た断面画像データをこのような断層写真等の目視によっ
て観察できる態様で表示し、これを観察することで、電
極の積層状態を容易に観察評価することができる。
【0039】また、断層写真等の目視可能な態様だけで
なく、画像データのままコンピュータ等により解析し、
評価することもできる。例えば、負極集電体のCT値の
みに着目してその画像データを解析すれば、電極体にお
ける負極集電体の間隔が算出できる。負極集電体の間隔
がバラつくようであれば、その電極体は負極が等間隔に
積層されていないことが判る。基準となる積層間隔をあ
らかじめ入力しておけば、この基準積層間隔と得られた
積層間隔とをコンピュータに比較させることで、目視観
察に頼らない自動判別システムを構築することができ
る。
【0040】断面画像データからは、上述したように、
電極の積層間隔だけでなく、電極における電極合材層の
集電体からの剥離、崩落、電極体の電池ケース内部にお
ける偏り等をも発見することも可能である。また、電極
体の積層端面付近の画像データを得ることで、電極の電
極体からの飛び出し等をも発見することが可能である。
【0041】なおこれまでに説明した劣化状態を評価す
る状態評価方法および電極の積層状態を評価する状態評
価方法の実施形態は例示に過ぎず、本発明の二次電池の
状態評価方法は、上記実施形態を始めとして、当業者の
知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施す
ることができる。
【0042】
【実施例】以下に、捲回型電極体を有する18650型
円筒リチウム二次電池について実際に行った電池の劣化
状態の評価および電極の積層状態の評価の一例を、実施
例として掲げる。
【0043】〈電池の劣化状態の評価〉評価に供したリ
チウム二次電池の構成は、以下のものである。正極は厚
さ15μmのアルミニウム箔製集電体の両面に、正極合
材層を形成させたものである。正極合材層は正極活物資
にリチウムマンガン複合酸化物を用い、導電材として黒
鉛を、結着剤にポリフッ化ビニリデンを用いている。正
極合材層の形成は、正極活物質90重量部に、導電材を
5重量部、結着剤を5重量部混合し、さらに溶剤として
N−メチル−2−ピロリドンを添加し、充分混練してペ
ーストを調製し、このペーストを集電体表面に塗布、乾
燥し、その後プレスにて正極合材層の密度を高めるよう
にして行った。ちなみに、正極合材層の密度は2〜30
g/cm3、正極合材の目付量は15〜20mg/cm2
の範囲で、数枚のシート状の正極を作製した。
【0044】負極は、厚さ15μmの銅箔製集電体の両
面に、負極合材層を形成させたものである。負極合材層
は、負極活物資に、黒鉛を用い、結着剤にポリフッ化ビ
ニリデンを用いている。負極合材層の形成は、負極活物
質95重量部に、結着剤を5重量部混合し、さらに溶剤
としてN−メチル−2−ピロリドンを添加し、充分混練
してペーストを調製し、正極同様、このペーストを集電
体表面に塗布、乾燥し、その後プレスにて負極合材層の
密度を高めるようにして行った。ちなみに、負極合材層
の密度は1〜15g/cm3、負極合材の目付量は5〜
10mg/cm2の範囲で、数枚のシート状の負極を作
製した。
【0045】セパレータには、厚さ25μmのポリエチ
レンシートを用い、非水電解液には、エチレンカーボネ
ートとジエチルカーボネートとを体積比で1:1に混合
した混合溶媒に、LiPF6を1Mの濃度で溶解したも
のを用いた。
【0046】リチウム二次電池は、上記正極および負極
を組み合わせて、数個作製し、これらの二次電池を、6
0℃において、電池電圧4.1〜3.0Vの範囲で、電
流密度2mA/cm2の定電流で行う、100サイクル
の充放電サイクル試験に供した。
【0047】試験により、それぞれの二次電池の100
サイクル後容量維持率(100サイクル時の放電容量/
初期放電容量×100(%))を求めた。何が原因であ
るのか判らないが、容量維持率は電池によってバラつい
た。充放電サイクル試験後、これらの中でサイクル容量
維持率の良好であったもの(約90%)と、サイクル容
量維持率が不良であったもの(約70%)とを、それぞ
れX線CT装置による劣化状態の評価に供した。
【0048】X線CT装置は、そのハードおよびソフト
の構成を、次のものとした。X線源:マイクロフォーカ
スX線(X−TEX社製)225kV(60W)、検出
器:ラインセンサ(TOMPSON社製)、CTソフ
ト:オフセット第3世代方式(BIO−IMAGING
社製)、画像再構成:1024×1024ピクセル(ド
ット)、記録表示:レーザプリンタ(128階調)。
【0049】上記装置による電極体の一部の断層写真
と、その電極体におけるCT値測定領域とを、図1に示
す。図1において、最も白く見える部分は、銅製の負極
集電体である。そして、負極集電体の両側に黒く見える
部分は負極合材層である。この負極集電体および負極合
材層とで負極が構成されている。負極の間に介在する灰
色に見える部分は正極である。正極は正極集電体とその
両側にある正極合材層から構成されているが、正極集電
体であるアルミニウムのCT値と、正極合材層とのCT
値が近い値となっているためその区別が明瞭にはなって
いない。
【0050】図1において、負極合材層中に白い線で囲
まれた領域が、負極合材層のCT値を測定する領域であ
り、電極体の外周部分から内周部分にかけて、10箇所
を選定した。それぞれの領域の大きさは、概ね0.05
mm×0.5mmの大きさで、この範囲にある測定ドッ
ト数(画素数)は、約300である。本評価では、負極
合材層だけでなく、正極合材層についてもそのCT値を
測定した。正極合材層における測定領域は、上記負極合
材層における測定領域に対向する箇所であり、負極合材
層と同様、10箇所を選定した。正極合材層の領域のそ
れぞれの大きさは、概ね0.05mm×0.5mmの大
きさで、この範囲にある測定ドット数は、約300であ
る。
【0051】容量維持率が良好であった二次電池および
容量維持率が良好でなかった二次電池の、測定した正極
合材層の各領域における最大CT値、最小CT値、平均
値およびその領域内におけるCT値の標準偏差、さらに
すべての領域の標準偏差の平均値を、下記表2に、そし
て、測定した負極合材層の各領域における最大CT値、
最小CT値、平均値およびその領域内におけるCT値の
標準偏差、さらにすべての領域の標準偏差の平均値を、
下記表3に、それぞれ示す。
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】上記表2および上記表3に示す各領域の標
準偏差の平均値を比較すれば、正極合材層における標準
偏差は、容量維持率の良好な二次電池が27.5である
のに対して、容量維持率が良好でないものは35.2で
あった。また、負極合材層における標準偏差は、容量維
持率の良好な二次電池が41.4であるのに対して、容
量維持率が良好でないものは60.2であった。
【0055】この結果から、正極合材層あるいは負極合
材層のある領域のCT値の標準偏差の大きいもの、つま
りある領域においてCT値のバラツキの大きいものは、
劣化が進んだリチウム二次電池であることが判る。つま
り、電池の劣化に伴う電極合材層の構造変化は、そのC
T値から得られるデータの変化となって現れることが確
認できた。
【0056】〈電極の積層状態の評価〉上記のように作
製したいくつかのリチウム二次電池の種々の部位の断層
写真を撮影した。断層写真の撮影は、上記電池の劣化状
態を評価する場合に使用したX線CT装置を使用した。
撮影した断層写真の内、電極の積層状態が良好ではない
ものの写真を図2に示す。
【0057】図2から明らかなように、捲回型電極体の
外周付近と内周付近とを比較すれば、内周付近の電極捲
回状態に乱れがあることが判る。内周付近では、正極活
物質が集電体から剥離し、崩落した部分が存在している
ことが判り、これが原因で電極の捲回状態が乱れている
ことも確認できる。さらに、電極体自体が、電池ケース
の中で中心に存在せず、電池ケースの一部に接触するよ
うに偏って存在していることも確認できる。
【0058】このように、X線CT画像データによれ
ば、電極体の位置、集電体からの電極合材の剥離、崩
落、電極どうしの積層間隔のズレ等、電極の積層状態
が、手に取るように観察できる。このことから、X線C
T画像データによる電極の積層状態を評価する方法は、
非破壊で、迅速かつ確実な方法であり、二次電池を検査
するために極めて有効な方法であることが確認できる。
【0059】
【発明の効果】本発明は、二次電池において、X線CT
装置により得られる電極合材層のCT値、電池の断面画
像データにより、その二次電池の劣化状態、その二次電
池の電極の積層状態を評価するものである。このような
方法によれば、二次電池を非破壊で、また、充放電試験
といった時間を要する試験を施すことなく、迅速かつ簡
便にその二次電池の状態を評価できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 X線CT装置による電極体の一部の断層写真
と、その電極体におけるCT値測定領域とを示す。
【図2】 X線CT装置による電極の積層状態が良好で
はないものの断層写真を示す。
フロントページの続き (72)発明者 増田 俊一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 5H029 AJ14 AK03 AL06 AL07 AM03 AM07 BJ04 CJ00 5H030 AA06 AA10 AS08 FF51

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極活物質を含む正極合材を層状に形成
    した正極合材層を有するシート状の正極と、負極活物質
    を含む負極合材を層状に形成した負極合材層を有するシ
    ート状の負極とを積層した電極体を備えてなる二次電池
    の状態評価方法であって、 X線コンピュータトモグラフィ(CT)の撮影原理に基
    づき、前記二次電池の前記電極体の積層断面における前
    記正極合材層および負極合材層の少なくとも一方の少な
    くとも1つの領域のCT値を測定するCT値測定工程
    と、 測定して得られたCT値により、前記二次電池の劣化状
    態を評価する劣化状態評価工程とを含む二次電池の状態
    評価方法。
  2. 【請求項2】 正極活物質を含む正極合材を層状に形成
    した正極合材層を有するシート状の正極と、負極活物質
    を含む負極合材を層状に形成した負極合材層を有するシ
    ート状の負極とを積層した電極体を備えてなる二次電池
    の状態評価方法であって、 X線コンピュータトモグラフィ(CT)の撮影原理に基
    づき、前記二次電池の前記電極体の積層断面画像データ
    を取得する断面画像データ取得工程と、 取得した断面画像データから、前記二次電池の電極の積
    層状態を評価する積層状態評価工程とを含む二次電池の
    状態評価方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102598392A (zh) * 2009-04-20 2012-07-18 锂电池科技有限公司 电池的运行方法
KR101767707B1 (ko) 2013-10-08 2017-08-11 주식회사 엘지화학 전해액 함침성 측정방법
JP2018036131A (ja) * 2016-08-31 2018-03-08 株式会社日産アーク 構造複合体の状態推定方法及びシステム
CN111562512A (zh) * 2020-04-23 2020-08-21 清华-伯克利深圳学院筹备办公室 电池老化程度评估方法和装置
WO2021060043A1 (ja) * 2019-09-27 2021-04-01 株式会社Adeka 硫黄変性ポリアクリロニトリル
JP7425812B2 (ja) 2022-02-03 2024-01-31 プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社 蓄電デバイスの評価方法

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