JP2001200548A - 地下構造物壁面の先防水工法 - Google Patents

地下構造物壁面の先防水工法

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JP2001200548A
JP2001200548A JP2000009269A JP2000009269A JP2001200548A JP 2001200548 A JP2001200548 A JP 2001200548A JP 2000009269 A JP2000009269 A JP 2000009269A JP 2000009269 A JP2000009269 A JP 2000009269A JP 2001200548 A JP2001200548 A JP 2001200548A
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polyurethane
adhesive
waterproof layer
wall surface
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JP2000009269A
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Yasutaka Sakumoto
泰隆 作元
Ichiro Kamemura
一郎 亀村
Yukio Matsumoto
幸夫 松本
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Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地下構造物壁面の先防水工法において防水層
と後打ちコンクリート層の接着力を増強する。 【解決手段】 山留壁100の壁面101を可撓性膜体
130aで被覆し、可撓性膜体130aの表面に防水層
160を形成し、ポリウレタン系防水層160の表面に
プライマーを層170を形成し、更にその表面に接着層
180を形成した後、コンクリートを打設して、コンク
リート層190を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、山留壁面に防水層
を形成した後、この防水層に接して地下構造物壁面を構
築する先防水工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、地下鉄駅舎、地下道、地下駐車
場、地下貯槽、地下ピット等の地下構造物を構築する場
合、これら地下構造物の防水工法として、先防水工法と
後防水工法の2種類の工法が知られている。
【0003】後防水工法は、構築される地下構造物の外
径よりも充分に大きな内径の穴を掘り、その穴の中に地
下構造物を構築した後、完成した地下構造物の外壁にポ
リウレタン系防水材等を塗布して防水層を形成し、最後
に構造物周囲に溝状に残った穴を埋め戻す工法であり、
周囲に広い作業面積をとれる場合に採用される。
【0004】一方、先防水工法は、地下構造物がほぼ適
合する程度の大きさの穴を掘り、この穴の内周の山留壁
面にポリウレタン系防水材等を塗布して予め防水層を形
成した後、この防水層の内側にコンクリートを打設して
地下構造物の壁面を構築する工法である。先防水工法
は、例えば市街地等において周辺環境の制約により、地
下構造物の周囲に広い作業面積をとれない場合に、採用
される。
【0005】先防水工法として、以下の工程が広く採用
されている。まず、ソイルセメントミキシングウォール
工法等により山留壁に囲まれた穴を形成する。そして、
その穴の山留壁面に防水層を形成する。次に、前記防水
層で被覆された前記山留壁面に対して所定間隔をおいて
枠板を配置し、山留壁面と枠板との間に鉄筋を配設して
コンクリート型枠を設け、コンクリートを打ちこみ硬化
養生させて地下構造物の壁を形成する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の工程に
より形成した防水層と後打ちコンクリート層との接着力
は弱く、防水層が後打ちコンクリート層から剥離しやす
い問題があった。そして、何らかの原因により防水層の
一部が破損した場合は、地中の水が周囲の圧力に押され
防水層の破損した部分から侵入し、防水層と後打ちコン
クリート層の隙間が浸水し、構造物の全周に水が行き渡
ってしまう虞れがあった。
【0007】そこで、本発明の目的は、防水層と後打ち
コンクリート層の接着力を増強し、高い防水機能を有す
る防水層を形成することができる、地下構造物壁面の先
防水工法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、山留壁面に防水層を形成した後、この防
水層に接してコンクリート層からなる地下構造物壁面を
構築する先防水工法において、前記山留壁面に可撓性膜
体を被覆する工程と、前記可撓性膜体の表面にポリウレ
タン系防水層を形成する工程と、前記ポリウレタン系防
水層の表面にプライマー層を形成する工程と、前記プラ
イマー層の表面に接着層を形成する工程と、前記接着層
に接してコンクリート層を形成する工程とを含むことを
特徴とする地下構造物壁面の先防水工法を提供するもの
である。
【0009】本発明によれば、ポリウレタン系防水層と
コンクリート層との間の表面に予めプライマー層及び接
着層を形成しておくことにより、ポリウレタン系防水層
とコンクリート層とを強く接着することができる。その
ため、防水層がコンクリート層から剥離し、その隙間が
浸水してしまう虞れの無い、防水性に優れた地下構造物
壁面を構築することができる。
【0010】更に、山留壁面に可撓性膜体を被覆するこ
とにより、ポリウレタン系防水層を形成する面が平滑と
なるため、部分的な破損の虞れがない、均一な強度を有
するポリウレタン系防水層を形成することができる。
【0011】本発明の好ましい態様によれば、前記山留
壁面は、鋼材面とソイルセメント面とが交互に露出した
面であって、かつ、鋼材面からはセパレータが突出した
面であり、この山留壁面に前記可撓性膜体を被覆して前
記ソイルセメント面に固定具により固定すると共に、前
記可撓性膜体の所定箇所に開口を設けて前記鋼材から突
出するセパレータを該開口から突出させ、次いで前記可
撓性膜体の上からポリウレタン系防水材を塗布し、硬化
させることにより、前記開口を通して前記鋼材面に直接
接合したポリウレタン系防水層を形成する。
【0012】この態様によれば、可撓性膜体の上からポ
リウレタン系防水材を塗布し、硬化させることにより、
可撓性膜体に形成した開口を通して鋼材面に接合したポ
リウレタン系防水層を形成できる。そのため、可撓性膜
体がポリウレタン系防水層と鋼材面との接合箇所で固定
されることになり、可撓性膜体及びポリウレタン系防水
層のずれ落ちを防止できる。なお、ポリウレタン系防水
層と鋼材面との接着力は、不織布などの可撓性膜体と鋼
材面との接着力よりも、一般に強固である。
【0013】本発明の更に好ましい態様によれば、前記
接着層を形成するための接着剤として、樹脂と骨材を含
有する接着剤を用いる。
【0014】この態様によれば、樹脂と骨材を含有する
接着剤を用いることにより、プライマー層とコンクリー
ト層に対し、充分に強い接着力を有する接着層を形成す
ることができる。また、前記混合物は適度な粘性を有す
るため、塗布作業をスムーズに行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1及び図2には、本発明による
地下構造物壁面の先防水工法の一実施形態が示されてい
る。図1は後打ちコンクリート層を施工した後の施工部
分の平面断面図、図2はポリウレタン系防水層を形成す
る前の山留壁の要部を示す斜視図である。
【0016】図1に示すように、本発明の先防水工法に
よる施工部分は、山留壁100の壁面101に敷設され
た可撓性膜体130aと、前記膜体130aの表面に形
成されたポリウレタン系防水層160と、前記ポリウレ
タン系防水層160の表面に形成されたプライマー層1
70と、前記プライマー層170の表面に形成された接
着層180と、前記接着層180に接するように形成さ
れたコンクリート層190とから構成されている。
【0017】図2に示すように、前記山留壁100は、
側部の凹面113が対向し長手方向が直立するように所
定の間隔、例えば0.5〜1mの間隔で打ち込まれた複
数のH鋼110(本発明における鋼材に該当する)と、
前記複数のH鋼110の対向する側部の凹面113の隙
間に充填されたソイルセメント120とからなる。前記
H鋼110の露出面111からは、所定の間隔を有する
複数のセパレータ112が突出している。また、前記ソ
イルセメント120の露出面121(本発明におけるソ
イルセメント面に該当する)と、前記H鋼110の露出
面111(本発明における鋼材面に該当する)とが交互
に配置されて、山留壁面101を構成している。露出面
121の幅は、0.2〜0.5mであり、露出面111
の幅は0.2〜0.3mである。なお、セパレータ11
2は、山留壁面101の内側に地下構造物の壁となるコ
ンクリート層を形成する際に、型枠を形成するのに用い
られる。すなわち、枠板を山留壁面101の内側に所定
間隔をおいて配置しそれらの隙間に鉄筋を配設して型枠
を形成するが、その際、該枠板及び鉄筋の支持棒として
セパレータ112は利用される。その後、型枠内にコン
クリートを打込み養生しコンクリート層を形成する。
【0018】前記山留壁面101は、前記セパレーター
112に対応する部分に開口132を有する可撓性膜体
130aにより被覆され、前記可撓性膜体130aは、
前記ソイルセメント120の露出面121を被覆する部
分が、固定具140により部分的に固定されている。な
お、図1に示すように、前記固定具140は、前記可撓
性膜体130aを貫通し、前記ソイルセメント120の
内部に達し、前記可撓性膜体130aを前記ソイルセメ
ント120の露出面121に固定している。
【0019】前記可撓性膜体130aは、前記山留壁面
101に対して横長に敷設され、1枚の可撓性膜体13
0aで被覆できない場合には、例えばその下方に別の横
長の可撓性膜体130bが配置され、上下に隣接する2
枚の可撓性膜体130a、130bの長辺部が部分的に
重なるように敷設される。
【0020】前記隣接する可撓性膜体130a、130
bの重なりあった部分は、粘着テープ131により接合
され、更に、前記可撓性膜体130a、130bの開口
132の周縁部は、別の粘着テープ131により前記H
鋼110の露出面111に接合されている。
【0021】再び図1を参照すると、前記可撓性膜体1
30aの表面には、ポリウレタン系防水材を塗布し(好
ましくは吹き付け塗布し)、硬化させてなるポリウレタ
ン系防水層160が形成されている。前記ポリウレタン
系防水材は、前記セパレーター112の周辺において
は、前記可撓性膜体130aの開口132を通して、前
記H鋼110の露出面111に直接塗布されるので、ポ
リウレタン系防水層160はH鋼110の露出面111
に強固に接合される。なお、上記開口132から露出す
るH鋼110の露出面111には、予めH鋼に塗布する
H鋼用プライマー150が塗布されているが、このH鋼
用プライマー150は、前記ポリウレタン系防水層16
0の前記H鋼110の露出面111に対する接着性を高
めるためのものである。
【0022】次に、上記実施形態の図を参照しながら、
本発明の地下構造物壁面の先防水工法について説明す
る。
【0023】まず、地下構造物を構築すべき場所を囲む
ように、ドリル等を用いて溝を掘り、所定の間隔、例え
ば0.5〜1mの間隔でH鋼110を挿入し設置し、H
鋼110の周りにソイルセメント120を流し込み、H
鋼110の周囲を固める。その後、H鋼110の平面1
11に沿った場所を掘削して、山留壁100で囲まれた
地下の空間を形成する。このとき、前記H鋼110どう
しの間隙には前記ソイルセメント120が充填されてい
るため、開削により崩壊することはない。こうして形成
された地下の空間を囲む山留壁100は、側部の凹面1
13が対向し長手方向が直立するように所定の間隔で打
ち込まれた複数のH鋼110と、前記複数のH鋼110
の対向する側部の凹面113の隙間に充填されたソイル
セメント120とからなる。
【0024】次に、上記H鋼110の露出面111にセ
パレータ112を取り付け、その後該セパレータ112
周辺のケレンを行い、浮き錆や泥を除去する。なお、前
記ケレンを行う範囲は、例えば、前記セパレータ112
を中心として一辺の長さが前記H鋼110の幅と同一と
なる正方形領域程度でよく、H鋼110の露出面111
全面に行う必要はない。
【0025】続いて、上記ケレンを行った部分であっ
て、少なくとも可撓性膜体130a、130bの開口1
32から露出する部分に、H鋼用プライマー150を例
えば0.10〜0.20kg/m2の割合で、ローラー
及びハケ等を用いて塗布する。
【0026】前記H鋼用プライマー150は、H鋼とポ
リウレタン系防水材を接着できるものであれば特に限定
されないが、エポキシ系金属専用タイプが好ましい。
【0027】前記H鋼用プライマー150が硬化した
後、長尺の可撓性膜体130a、130bを横方向に広
げながら、隣接する可撓性膜体130a、130bどう
しが例えば20〜70mmの幅の重なり部分を有するよ
うに、前記山留壁面101上に敷設し、前記ソイルセメ
ント120の露出面121を被覆する部分に所定間隔
で、固定具140を、前記可撓性膜体130a及び前記
膜体130bを貫通するように打設し、前記可撓性膜体
130a及び前記膜体130bを前記ソイルセメント1
20の露出面121に対して固定する。
【0028】前記可撓性膜体130aは、可撓性で、好
ましくは非透水性の材質からなり、山留壁面101を被
覆し平滑化できるものであれば特に限定されないが、例
えば合成樹脂フィルム、合成樹脂シート、不織布 、織
布、及び合成樹脂フィルム又は合成樹脂シートと不織布
又は織布との積層シートなどが好ましい。特に、ポリウ
レタン系防水材との接着力が強く、防水性の信頼性向上
の点から、遮水性のある合成樹脂フィルムの両面に不織
布を積層したシートであり、総厚みが1〜3mmの積層
シートが好ましい。例えば、厚さ10〜200μmのポ
リエチレンフィルムの両面にポリエステル不織布を積層
してなる積層シートなどが好ましく使用される。
【0029】前記固定具140には、ワッシャ付釘、傘
釘、ピン、ステーブルが用いられるが、押し付け面積の
広いワッシャー付き釘や傘釘の使用が特に好ましい。な
お、ソイルセメントには部分的に軟弱な場所があるが、
前記固定具による固定はあくまで膜体の仮留めが目的で
あり、取り付け強度の発現が主目的ではないので問題は
ない。また、前記固定具140は、可撓性膜体130a
の少なくとも上下縁部であってソイルセメント120が
下地となっている部分に設置することが好ましく、可撓
性膜体130aどうしが重なっている部分においては、
その重なり部分に複数本設置することが好ましい。ま
た、ソイルセメント120の各列に対して上下に1個ず
つ設ければ充分であるが、上下の中間部等に設けてもよ
い。
【0030】なお、可撓性膜体130a、130bに
は、予め前記セパレータ112に対応する部分に開口1
32を設けておいてもよいが、可撓性膜体130a、1
30bを敷設した後、可撓性膜体130a、130bの
セパレータ112周辺部を、該セパレータ112を中心
とする所定幅を有する正方形状等に切り抜いて、開口1
32を形成してもよい。なお、前記開口132の幅は、
例えば、前記開口132の幅をaとし、H鋼の幅をWと
すれば、W>a>0.2W(特に0.8W>a>0.3
W)の関係が成り立つ範囲とすることが好ましい。ま
た、Wは通常0.2〜0.3mである。Wが0.2mの
場合aは約0.1mが好ましく、Wが0.3mの場合a
は約0.2mが好ましい。
【0031】続いて、前記可撓性膜体130a、130
bの開口132の周縁部とH鋼110の露出面111と
の間に粘着テープ131を貼り付けて、前記可撓性膜体
130a、130bの開口132周縁部を前記H鋼11
0の露出面111に密着させる。また、前記可撓性膜体
130a、130bどうしが重なる部分にも、前記粘着
テープ131を貼り付けて、それらの接続部の段差を無
くし、防水層施工後の平滑性を保ち、良好な仕上がりに
なるようにする。なお、粘着テープ131としては、特
に限定されないが、ウレタン樹脂との接合性、防水性等
の理由から、不織布にフィルムを積層してさらに該フィ
ルムの上に粘着剤を塗布したものが特に好ましい。な
お、粘着テープ131を用いる代りに接着剤で接着する
方法を採用してもよい。
【0032】こうして可撓性膜体130a、130bを
敷設した後、例えば高圧スプレーガンを備えた2液型衝
突混合方式のスプレー塗装装置を用いて、ポリウレタン
系防水材を上部より下部へ順次吹き付け塗布することに
より、ポリウレタン系防水層160を形成する。なお、
前記ポリウレタン系防水材としては、例えば、無溶剤型
ポリイソシアネートプレポリマーと、無溶剤型ポリオー
ル及び/又は無溶剤型ポリアミンとの2液からなる無溶
剤型超速硬化2液型ポリウレタン系防水材が好ましい。
このような防水材は、揮発成分による大気汚染の恐れが
ない無溶剤型であり、高圧スプレー装置で混合すると速
やかに反応する。
【0033】また、ポリウレタン系防水材を塗布し形成
されるポリウレタン系防水層160の厚さは1〜3mm
が好ましい。ポリウレタン系防水層160の厚さが1m
m未満では、防水層の不均一による漏水の危険性が生
じ、また3mmを超えると、防水の信頼性は向上する反
面、材料消費量が多くなりコストアップとなる。
【0034】次いで、前記ポリウレタン系防水層160
に塗布するプライマーを塗布する。該プライマ−は、ポ
リウレタン系防水層160と接着層180とを強く接着
するプライマー層170を形成できるものであれば限定
されないが、ウレタン系溶剤タイプのものであって、特
にイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含有す
る溶液からなる一液型プライマーが好ましい。
【0035】ポリウレタン系防水層160に塗布したプ
ライマーが硬化しプライマー層170が形成された後、
接着層180を形成する。接着層180を形成する接着
剤は樹脂と骨材とを含有する接着剤が好ましい。樹脂と
しては、例えば、ウレタン樹脂、NBR、SBR、クロ
ロプレンゴム、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、エチ
レン−酢酸ビニル系樹脂などが使用できる。水系エマル
ジョン型または溶剤に溶解した溶液型であることが好ま
しく、水系エマルジョン型であることが特に好ましい。
骨材としては、例えば、川砂、硅砂等の天然珪酸質、ガ
ラスビーズ、フライアツシュなどの無機系骨材などが使
用できる。接着剤は水硬性セメントを含有するものであ
ればさらに好ましい。それは、水硬性セメントは水と混
合することにより硬化するからである。なお、接着剤と
しては、樹脂系水系エマルジョン、硅砂等の天然珪酸
質、水硬性セメント及び水を含有する接着剤が最も好ま
しい。この接着剤を、例えばゴムヘラ、金コテにより、
前記プライマー層170の表面に、例えば1〜2mmの
均一の厚みに塗布し、硬化させ接着層180を形成す
る。
【0036】上記接着層180の形成後、前記接着層1
80に接するようにコンクリート層190を形成する。
この工程では、まず、山留壁面101の内側に所定間隔
をおいて図示しない枠板を配置し、それらの間に鉄筋を
配設する。なお、前記枠板及び鉄筋は前記セパレーター
112により支持される。そして、前記山留壁面101
と枠板との隙間に、生コンクリートを打ち込み、強度発
現まで養生して硬化させ、前記コンクリート層190を
形成する。
【0037】
【実施例】図3に示すように、平行に対置した一対のス
レート板310の一方の内面に、縦幅150mm、横幅
300mmの防水シートを両面テープで部分接着し、ポ
リウレタン系防水層160を形成した。なお、上記防水
シートは、ポリエチレンフィルムの両面にポリエステル
不織布を積層したシートに、予めポリウレタン系防水層
が形成されたものである。
【0038】次に、前記ポリウレタン系防水層160の
表面に、イソシアネート基端末ウレタンプレポリマー溶
液からなる1液プライマ−をハケ及びローラーを用い
て、0.15(kg/m2)の量で塗布し、完全乾燥さ
せ、プライマー層170を形成した。
【0039】そして、前記プライマー層170の表面
に、接着剤として、エチレン−酢酸ビニル樹脂系エマル
ジョンと水硬性セメントと水と硅砂とからなる接着剤を
3(kg/m2)の量で、金コテ及びゴムヘラにより均
一の厚みに塗布し、乾燥させ、1.5mmの厚みを有す
る接着層180を形成した。なお、前記接着剤は、塗布
前に、撹拌機により3〜5分撹拌して使用した。
【0040】続いて、上記ポリウレタン系防水層16
0、プライマー層170、及び接着層180が形成され
ていないもう一方のスレート板310の一方の表面をビ
ニールシートで被覆し、そのビニールシートで被覆され
た面を上記接着層180に対向させ、前記ビニールシー
トで被覆された面と接着層180との間の空隙の底部及
び両側部が閉塞されるように1cmの厚みを有するバッ
カー320を取付け、接着層180とスレート板310
のビニールシートで被覆された面を内側に有する枠体を
構成した。そして、前記枠体の内部に、水硬性セメント
と硅砂が1対3のモルタルを注入し、温度20℃の環境
で7日間養生し、コンクリート層190を形成した。そ
して最後に、上記枠体を解体し、先防水工法によるコン
クリート壁面を形成した。
【0041】こうして形成したコンクリート壁面の防水
層について、180度剥離強度、建研式剥離強度及び水
密性剥離強度を測定した。なお、180度剥離強度はプ
ッシュフルゲージを使用し測定した。建研式剥離強度は
建研式試験機を用い、剥離強度として49(N/25m
m)以上を目標とし測定した。水密性剥離強度は、図4
に示す装置を使用し、294(kPa)以上、すなわ
ち、地下30m施工相当の耐水圧を保持する事を目標と
し測定した。ここで、図4は、上記水密剥離強度の測定
に使用した装置の正面断面図である。
【0042】図4に示すように、水密剥離強度の測定に
使用した装置200は、試験片210と圧力容器220
とから構成されている。前記試験片210は、上記の実
施例により形成したコンクリート壁面であり、ポリウレ
タン系防水層160、プライマー層170、接着層18
0、コンクリート層190とからなり、前記ポリウレタ
ン系防水層160の表面から、該ポリウレタン系防水層
160、前記プライマー層170及び前記接着層180
を貫通し、前記コンクリート層190の表面に達する孔
211を有している。また、前記圧力容器220は、水
を内包することができ、上側に開口面を有する箱状の本
体222と、枠状の蓋221とからなっている。
【0043】前記試験片210は、前記ポリウレタン系
防水層160を下にして、前記蓋221の上に圧接され
ており、前記本体222に水を満たした場合、その水は
前記孔211を通って前記コンクリート層190表面に
達し、前記ポリウレタン系防水層160と前記蓋221
の接面からは漏洩しない構造となっている。また、前記
本体222にはバルブ231を有する給水管230が接
続されており、前記バルブ231で量を調整しながら給
水し、水圧を調整できる構造となっている。更に、前記
本体222には連結管241を介して圧力計240が取
付けられ、前記本体222内の水圧を計測できる構造と
なっている。
【0044】上記180度剥離強度、建研式剥離強度及
び水密性剥離強度の測定結果を表1に示す。表1中の例
3は、上記実施例により形成したコンクリート壁面(プ
ライマー層及び接着層あり)を試験片として用いた結果
であり、例2は、上記実施例においてプライマー層を設
けないで接着層だけ設けて形成したコンクリート壁面を
試験片として用いた結果である。更に、例1は、上記実
施例において接着層を設けないでプライマ−層だけ設け
て形成したコンクリート壁面を試験片として用いた結果
である。
【0045】
【表1】
【0046】表1に示されるように、例3では、180
度剥離強度が69(N/25mm)以上、建研式剥離強
度が690(kPa)以上であり、充分な接着力を有す
ることが確認できた。また、水密性剥離試験によれば、
水圧294(kPa)でも剥離しないことが確認でき
た。したがって、本発明による先防水工法によれば、地
下30mにおける防水施工も可能であることがわかる。
【0047】また、例2では、180度剥離強度は4.
9(N/25mm)で、建研式剥離強度は49(kP
a)で、水密性剥離強度は98(kPa)以下で、ポリ
ウレタン系防水層160が接着層180から剥離してし
まうことが確認された。更に、また、例1では、180
度剥離強度は3.0(N/25mm)で、建研式剥離強
度は30(kPa)で、水密剥離強度は98(kPa)
以下で、プライマ−層170がコンクリート層190か
ら剥離してしまうことが確認された。したがって、本発
明による先防水工法においては、ポリウレタン系防水層
とコンクリート層との間に、接着層とプライマー層とを
形成することが必要であり、接着層のみ或いはプライマ
−層のみでは、強い接着力は得られないことが確認され
た。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による地下
構造物壁面の先防水工法によれば、防水層と後打ちコン
クリート層の接着力を増強し、高い防水機能を有する防
水層を形成することができる。しかも、本先防水工法に
よれば、地下30mの施工においても充分な接着力を有
する防水層を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンクリートを施工した後の壁面の断面図であ
る。
【図2】ポリウレタン系防水層を形成する前の山留壁の
要部を示す斜視図である。
【図3】実施例の試験片の作成方法を示すの側断面図で
ある。
【図4】水密剥離強度の測定に使用した装置の正面断面
図である。
【符号の説明】
100 山留壁 110 H鋼 112 セパレーター 120 ソイルセメント 130a、130b 可撓性膜体 140 固定具 150 H鋼用プライマー 160 ポリウレタン系防水層 170 プライマー層 180 接着層 190 コンクリート層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 山留壁面に防水層を形成した後、この防
    水層に接してコンクリート層からなる地下構造物壁面を
    構築する先防水工法において、 前記山留壁面に可撓性膜体を被覆する工程と、 前記可撓性膜体の表面にポリウレタン系防水層を形成す
    る工程と、 前記ポリウレタン系防水層の表面にプライマー層を形成
    する工程と、 前記プライマー層の表面に接着層を形成する工程と、 前記接着層に接してコンクリート層を形成する工程とを
    含むことを特徴とする地下構造物壁面の先防水工法。
  2. 【請求項2】 前記山留壁面は、鋼材面とソイルセメン
    ト面とが交互に露出した面であって、かつ、鋼材面から
    はセパレータが突出した面であり、この山留壁面に前記
    可撓性膜体を被覆して前記ソイルセメント面に固定具に
    より固定すると共に、前記可撓性膜体の所定箇所に開口
    を設けて前記鋼材から突出するセパレータを該開口から
    突出させ、次いで前記可撓性膜体の上からポリウレタン
    系防水材を塗布し、硬化させることにより、前記開口を
    通して前記鋼材面に直接接合したポリウレタン系防水層
    を形成する請求項1に記載の地下構造物壁面の先防水工
    法。
  3. 【請求項3】 前記接着層を形成するための接着剤とし
    て、樹脂と骨材を含有する接着剤を用いる請求項1又は
    2記載の地下構造物壁面の先防水工法。
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