JP2001199964A - キノリルプロペナールの製造方法 - Google Patents

キノリルプロペナールの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便な方法によってキノリルアクリロニトリ
ル誘導体から3−[2−シクロプロピル−4−(4−フ
ルオロフェニル)−3−キノリル]プロプ−2−エナー
ルを高収率で得る方法を提供する。 【解決手段】 3−[2−シクロプロピル−4−(4−
フルオロフェニル)−3−キノリル]プロプ−2−エン
ニトライトを、ギ酸のアミン塩と有機酸との存在下に
て、ラネーニッケルにより還元する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キノリルアクリロ
ニトリル誘導体からキノリルプロペナール誘導体を製造
する方法に関する。本発明の製造方法によって得られる
キノリルプロペナール誘導体は、例えば、コレステロー
ル低下剤(HMG-CoA還元酵素阻害薬)の合成中間
体として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】従来、キノリルプロペナール誘導体を製
造する方法としては、キノリンアクリル酸エステルを水
素化ジイソブチルアルミニウムで還元してキノリルプロ
ぺノールを得て、これをオキサリルクロライド及びジメ
チルスルホキシド、又は二酸化マンガンを用いて酸化し
てキノリルプロペナールとすることからなる、二工程で
製造する方法が知られている(J.Med.Chem.,34,367(19
91))。また、アクリロニトリル化合物の二重結合を保
持したまま、シアノ基のみを選択的にホルミル基に還元
してプロペナール化合物を製造する方法としては、還元
剤として水素化ジイソブチルアルミニウムを用いる方法
が知られている(Heterocycles,29,691(1989))。し
かしながら、これらのいずれの方法も、取り扱いや後処
理が煩雑となる水素化ジイソブチルアルミニウムや二酸
化マンガンを用いなければならず、工業的な製造法とし
ては不利である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の問題点を解決し、簡便な方法によってキノリルアクリ
ロニトリル誘導体からキノリルプロペナール誘導体を高
収率で製造することが出来る、工業的に有利なキノリル
プロペナール誘導体の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、式
(1)
【0005】
【化3】
【0006】で表わされるキノリルアクリロニトリル誘
導体{3−[2−シクロプロピル−4−(4−フルオロ
フェニル)−3−キノリル]プロプ−2−エンニトライ
ト}を、ギ酸のアミン塩と有機酸との存在下にて、ラネ
ーニッケルにより還元することを特徴とする、式(2)
【0007】
【化4】
【0008】で表わされるキノリルプロペナール誘導体
{3−[2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェ
ニル)−3−キノリル]プロプ−2−エナール}の製造
方法によって解決される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の製造法の出発原料となる
式(1)のキノリルアクリロニトリル誘導体は、新規化
合物であるが、公知の2−シクロプロピル−4−(4−
フルオロフェニル)キノリン−3−カルボアルデヒド
(特開平1−279866号公報、欧州公開特許出願第
304063号公報、米国特許第5011930号明細
書)に、ジエチルシアノメチルホスホネートを、好まし
くは水酸化ナトリウムのような塩基と芳香族炭化水素の
ような溶媒の存在下で反応させることによって製造する
ことができる。
【0010】本発明の製造法において利用される還元反
応で用いるラネーニッケルとは、ニッケルとアルミニウ
ムとを主成分とする合金であり、ニッケル含有量が、好
ましくは10〜90重量%、更に好ましくは40〜80
重量%のものを意味する。通常は、展開されたラネーニ
ッケルが使用されるが、種々の方法によって、前処理さ
れたラネーニッケルや、安定化されたラネーニッケルも
使用することが出来る。更に、ラネーニッケル中に、コ
バルト、鉄、鉛、クロム、チタン、モリブデン、バナジ
ウム、マンガン、スズ、タングステン等のような金属が
含まれているものも使用することが出来る。
【0011】本発明の製造法の還元反応におけるラネー
ニッケルの使用量は、原料のキノリルアクリロニトリル
誘導体に対して、ニッケル原子換算で、好ましくは0.
30〜2重量倍、更に好ましくは0.4〜1.2重量倍
である。
【0012】本発明の還元反応において使用するギ酸の
アミン塩とは、ギ酸とアミンからなる塩であり、例え
ば、ギ酸アンモニウム;ギ酸モノメチルアンモニウム、
ギ酸モノエチルアンモニウム等のギ酸と一級アミンから
なる塩;ギ酸ジメチルアンモニウム、ギ酸ジエチルアン
モニウム等のギ酸と二級アミンからなる塩;ギ酸トリメ
チルアンモニウム、ギ酸トリエチルアンモニウム等のギ
酸と三級アミンからなる塩が挙げられるが、好ましくは
ギ酸アンモニウム、ギ酸トリエチルアンモニウム、更に
好ましくはギ酸アンモニウムが使用される。
【0013】上記のギ酸のアミン塩の使用量は、原料の
キノリルアクリロニトリル誘導体の使用量に対して、好
ましくは1.0〜5.0倍モルであり、更に好ましくは
1.5〜3.0倍モルである。
【0014】本発明の還元反応において使用する有機酸
としては、特に炭素数2〜5の低級脂肪酸が好ましく、
その例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪
酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸が挙げられるが、好
ましくは酢酸が使用される。
【0015】上記有機酸の使用量は、原料のキノリルア
クリロニトリル誘導体に対して、好ましくは3〜50重
量倍、更に好ましくは5〜30重量倍である。これらの
有機酸は、単独又は二種以上を混合して使用しても良
い。
【0016】本発明の還元反応は、ラネーニッケルの存
在下、式(1)のキノリルアクリロニトリル誘導体とギ
酸のアミン塩とを有機酸中で接触させることが好まし
く、例えば、不活性ガス雰囲気にて、ラネーニッケル、
キノリルアクリロニトリル、ギ酸アンモニウム及び有機
酸を混合して、加熱攪拌する等の方法によって、常圧下
又は加圧下で行われる。その際の反応温度は、好ましく
は20〜110℃、更に好ましくは40〜90℃であ
る。
【0017】また、必要に応じて、無機塩基、有機塩
基、白金塩等を系内に添加することによって、反応性を
調節しても良い(久保松照夫、小松信一郎、ラネー触媒
(川研ファインケミカル株式会社発行)、123〜14
7頁に記載)。
【0018】なお、最終生成物であるキノリルプロペナ
ール誘導体は、例えば、反応終了後に濾過及び抽出し、
蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等による一般
的な方法によって分離・精製される。
【0019】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではな
い。
【0020】[参考例1] 3−[2−シクロプロピル
−4−(4−フルオロフェニル)−3−キノリル]プロ
プ−2−エンニトライトの合成 攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積100m
Lのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、2−シクロプ
ロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−
カルボキシアルデヒド4.98g(17.1ミリモ
ル)、純度98%のジエチルシアノメチルホスホネート
3.10mL(18.8ミリモル)、トリカプリルメチ
ルアンモニウムクロライド(Aliquat 336:Aldrich社
製)0.15mL(0.33ミリモル)及びトルエン3
5mLを加え、液温を25〜35℃に保ちながら、20
重量%水酸化ナトリウム水溶液10.1g(50.5ミ
リモル)を50分間かけてゆるやかに滴下し、同温度で
3時間反応させた。その後、純度98%のジエチルシア
ノメチルホスホネート0.14mL(0.85ミリモ
ル)を加え、同温度で66時間反応させた。反応終了
後、水5mLを加えて30分間攪拌した。得られた反応
液にトルエン50mLを加え、有機層を分離して10重
量%水酸化ナトリウム水溶液10mLで洗浄し、飽和食
塩水10mLを加えた。次いで、1モル/L塩酸5.6
mLを加えて中和した後、有機層を取り出し、攪拌装置
を備えた内容積200mLのガラス製フラスコに移し
た。それに、無水硫酸ナトリウム1.60gを加えて室
温で1時間攪拌させ、更に、活性炭0.14g(粉末
状:和光純薬株式会社製)及びシリカゲル(ワコーゲル
C−200:和光純薬株式会社製)0.62gを加えて
室温で1.75時間攪拌させた後、セライトで濾過し、
セライトをトルエン50mLで洗浄した。得られた反応
液を減圧下で濃縮すると結晶が析出してきたので、結晶
を加熱して溶解させ、次いで、ヘキサン30mLを加え
て30分間加熱還流させた。その後、液温を5℃まで冷
却して2時間攪拌すると結晶が析出してきたので、結晶
を濾過した後、ヘキサン30mLで洗浄し、減圧下、5
5℃にて乾燥させて、白色結晶として3−[2−シクロ
プロピル−4−(4−フルオロフェニル)−3−キノリ
ル]プロプ−2−エンニトライト4.81gを得た(収
率90%)。
【0021】得られた3−[2−シクロプロピル−4−
(4−フルオロフェニル)−3−キノリル]プロプ−2
−エンニトライトの物性値を次に記す。 融点:175〜176℃、EI−MS(m/e):31
3(M−1)、CI−MS(m/e):315(M+
1)
【0022】[実施例1] 3−[2−シクロプロピル
−4−(4−フルオロフェニル)−3−キノリル]プロ
プ−2−エナールの製造 攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積200m
Lのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、参考例1で合
成した3−[2−シクロプロピル−4−(4−フルオロ
フェニル)−3−キノリル]プロプ−2−エンニトライ
ト4.0g(12.7ミリモル)、ギ酸アンモニウム
1.6g(25.4ミリモル)、含水展開ラネーニッケ
ル(川研ファインケミカル(株)製:NDHT−90:
ニッケル含有量50重量%品)4.4g(ニッケル原子
として37.5ミリモル)及び酢酸40mLを加え、6
5℃で4時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却
し、エタノール20mLを加えた後、触媒をセライトで
濾過した。次いで、濾液を減圧下で濃縮し、酢酸エチル
40mLを加え、1モル/L塩酸5mL、水10mL、
1モル/L水酸化ナトリウム水溶液20mL、DL−酒
石酸のアルカリ水溶液(DL−酒石酸1.0gを1モル
/L水酸化ナトリウム水溶液14mLに溶解)14m
L、飽和食塩水20mLの順で洗浄した後、有機層を無
水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、減圧下で濃縮
し、薄黄色結晶として純度98%(高速液体クロマトグ
ラフィーによる面積百分率)の3−[2−シクロプロピ
ル−4−(4−フルオロフェニル)−3−キノリル]プ
ロプ−2−エナール3.4gを得た(収率82%)。
【0023】3−[2−シクロプロピル−4−(4−フ
ルオロフェニル)−3−キノリル]プロプ−2−エナー
ルの物性値を次に記す。 CI−MS(m/e):318(M+1)1 H−NMR(CDCl3、δ(ppm)):1.07〜
1.13(2H,m)、1.40〜1.45(2H,
m)、2.32〜2.37(1H,m)、6.43(1
H,dd,J=7.8,16.2Hz)、7.22〜
7.26(4H,m)、7.35〜7.38(2H,
m)、7.55(1H,d,J=16.2Hz)、7.
64〜7.69(1H,m)、7.97(1H,d,J
=8.4Hz)、9.51(1H,d,J=7.5H
z)
【0024】
【発明の効果】本発明の製造方法により、簡便な方法に
よって前記式(1)のキノリルアクリロニトリル誘導体
から前記式(2)のキノリルプロペナール誘導体を高収
率で製造することが出来る。従って、工業的に有利なキ
ノリルアクロレインの製造法を提供することが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西野 繁栄 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内 (72)発明者 島 秀好 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内 (72)発明者 原田 崇司 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内 (72)発明者 岡田 尚子 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内 Fターム(参考) 4C031 BA07 4H039 CA42 CB40

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1) 【化1】 で表わされるキノリルアクリロニトリル誘導体を、ギ酸
    のアミン塩と有機酸との存在下にて、ラネーニッケルに
    より還元することを特徴とする、式(2) 【化2】 で表わされるキノリルプロペナール誘導体の製造方法。
  2. 【請求項2】 ギ酸のアミン塩がギ酸アンモニウムであ
    ることを特徴とする請求項1に記載のキノリルプロペナ
    ール誘導体の製造方法。
  3. 【請求項3】 有機酸が炭素原子数2〜5の低級脂肪酸
    であることを特徴とする請求項1もしくは2に記載のキ
    ノリルプロペナール誘導体の製造方法。
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