JPH09328473A - 3,4−ジヒドロカルボスチリルの製造方法 - Google Patents

3,4−ジヒドロカルボスチリルの製造方法

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JPH09328473A
JPH09328473A JP8147533A JP14753396A JPH09328473A JP H09328473 A JPH09328473 A JP H09328473A JP 8147533 A JP8147533 A JP 8147533A JP 14753396 A JP14753396 A JP 14753396A JP H09328473 A JPH09328473 A JP H09328473A
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Japan
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reaction
acid
alkali metal
ammonia
halogenohydrocinnamic
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JP8147533A
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Katsuhisa Isogai
勝久 磯貝
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K I KASEI KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的入手が容易な原料から、煩雑な工程を
経ないで、高品質の3,4−ジヒドロカルボスチリルを
高収率で工業的に製造しうる方法を提供する。 【解決手段】 式(I) 【化1】 (式中、Xは塩素原子又は臭素原子を表わし、Mは水素
原子又はアンモニウム基を表わす。)で表わされるo−
ハロゲノヒドロケイ皮酸又はそのアンモニウム塩にアン
モニアを反応させて、アミノ化と環化反応により3,4
−ジヒドロカルボスチリルを生成するに当り、銅化合物
及びアルカリ金属の塩基の存在下で反応させる3,4−
ジヒドロカルボスチリルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は炎症性及びアレルギ
ー性疾患の治療薬、抗精神病薬、循環器系疾患及び消化
器系疾患の予防ないし治療薬などの医薬中間体として有
用な高品質3,4−ジヒドロカルボスチリルの製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、3,4−ジヒドロカルボスチリル
(別名3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン、あ
るいは1,2,3,4−テトラヒドロ−2(1H)−キ
ノリノンとも呼ばれる。)の合成方法としては以下のよ
うに種々のものが知られている。すなわち、アニリン
と3−クロロプロピオン酸クロリドからω−クロロプロ
ピオン酸アニリドを合成し、これを無水塩化アルミニウ
ムの存在下、140〜160℃に加熱して環化させる方
法(例えば特開平5−320133号公報に記載され
る。)、o−ニトロベンスアルデヒドとエトキシカル
ボニルメチレントリフェニルホスホランからwitti
g反応でo−ニトロケイ皮酸エチルエステルを合成し、
これを接触還元して還元的に環化する方法(マリら(R.
S. Mali etal.), Synthesis (1984), (10), 862 〜86
5)、フェニルプロピオン酸エステルやフェニルプロピ
オン酸クロリドをヒドロキシルアミンと反応させて対応
するヒドロキサム酸とし、これを無水酢酸でN−アセチ
ルオキシアミドとしてからジクロロメタン中、酢酸と無
水塩化第二鉄の存在下に環化させる方法(シェレストら
(M. Cherest et al., Tetrahedron Lett., (1989), 30
(6), 715〜718))、キノリンを1−ヒドロキシ−3,
4−ジヒドロカルボスチリルまで導き、これを三塩化チ
タン水溶液で還元する方法(小寺ら(Y. Kodera et a
l., Bull. Chem. Soc. Jpn., (1994), 67(9) 2542 〜25
49))、種々の方法でカルボスチリルを合成した後、
これを接触還元する方法(例えば特開平7−70114
号公報に記載される。)などが知られている。
【0003】しかし、の方法はアニリドの製造工程で
反応溶媒やアミン系触媒の回収が煩雑となり、次の環化
反応の工程でも通常140〜160℃の比較的高温で無
溶媒で反応させることになるため、工業的に実施するに
は好適とは言い難い。の方法は比較的高価なホスホラ
ンを用いなければならない短所がある。の方法は原料
フェニルプロピオン酸の製造工程も含めて工程数が長く
なるため、経済的に不利である。の方法は比較的安価
なキノリンを出発原料とするものの、途中の1−ヒドロ
キシ−3,4−ジヒドロカルボスチリルを製造するため
に水性ガスシフト反応及び過酸化水素による酸化反応を
順次経る必要があり、特に水性ガスシフト反応を実施す
るには特殊な設備が必要となるため、工業的には必ずし
も有利とは言い難い。の方法は接触還元で得られる目
的物の品質が通常では劣るため、精製を繰り返す必要が
あること、原料のカルボスチリルを製造する段階も含め
ると工程数が長くなるという短所がある。
【0004】以上のほかに、o−クロロヒドロケイ皮酸
を銅粉触媒の存在下、アンモニア水中でアンモノリシス
してアミノ化するのと同時に還化させて3,4−ジヒド
ロカルボスチリルを合成する方法(ハンス・メイヤーら
(Hans Meyer and Robert Beer, Monatsh. Chem., (191
3) 34, 1173 〜1179))も公知となっている。
【0005】本発明者らがこのハンス・メイヤーらの方
法を追試した結果、o−クロロケイ皮酸及びo−クロロ
ヒドロケイ皮酸のいずれを原料に用いても、銅粉触媒で
は収率が非常に低いことが確認された。これは0価の金
属銅では触媒種と考えられる銅−アンモニア錯イオンを
形成しないためと考えられる。本発明者らは触媒を銅粉
から1価や2価の銅塩に代えてo−クロロヒドロケイ皮
酸を原料として同様に反応を試みたところ、3,4−ジ
ヒドロカルボスチリルが比較的収率よく結晶性粉末とし
て生成することを確認した。しかしながら、単離して得
られた3,4−ジヒドロカルボスチリルは、淡黄褐色に
着色した粉末となり、純度が91%程度、融点が160
℃以下の低品質のものであり、医薬品の原料として用い
るにはさらに再結晶やカラム精製などの精製操作が必要
となって不十分であった。
【0006】しかし、この方法で原料として用いられる
o−クロロヒドロケイ皮酸などのo−ハロゲノヒドロケ
イ皮酸は、例えば工業的に安価に入手できるo−クロロ
ベンジルクロリドから短い工程数で製造可能である(例
えばR. A. Barnes et al. J.Amer. Chem. Soc., (1949)
71, 2644〜2647) 。あるいは別の方法として、やはり
安価に入手可能なo−クロロベンズアルデヒドからパー
キン(PERKIN) 反応にてo−クロロケイ皮酸となし、こ
れを還元しても製造できる。ハンス・メイヤーらのアン
モノリシスによる方法は、安価な原料からワンポットの
反応で目的とする3,4−ジヒドロカルボスチリルが結
晶として得られるのが利点であり、仮に副反応を抑制す
るなどして所望の品質が確保できるならば意義がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、比較的入手が容易な原料から、煩雑な工程を経ない
方法で、高品質の3,4−ジヒドロカルボスチリルを高
収率で工業的に製造しうる方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題に鑑み鋭意研
究した結果、本発明者らは、o−ハロゲノヒドロケイ皮
酸又はそのアンモニウム塩のハロゲン原子をアンモニア
でアミノ基に置換し、引き続き熱的に環化する際、銅化
合物とともにアルカリ金属の塩基を共存させると、高純
度で高品質の3,4−ジヒドロカルボスチリルが通常は
白色針状結晶として生成することを見出し、この知見に
基づき本発明をなすに至った。すなわち本発明は、
(1)式(I)
【0009】
【化2】
【0010】(式中、Xは塩素原子又は臭素原子を表わ
し、Mは水素原子又はアンモニウム基を表わす。)で表
わされるo−ハロゲノヒドロケイ皮酸又はそのアンモニ
ウム塩にアンモニアを反応させて、アミノ化と環化反応
により3,4−ジヒドロカルボスチリルを生成するに当
り、銅化合物及びアルカリ金属の塩基の存在下で反応さ
せることを特徴とする3,4−ジヒドロカルボスチリル
の製造方法、(2)アルカリ金属の塩基が水酸化アルカ
リである(1)項記載の方法、(3)アルカリ金属の塩
基が炭酸アルカリ、炭酸水素アルカリ及び炭素数1〜4
個を有するアルカリ金属のアルコラートから選ばれる
(1)項記載の方法、(4)アルカリ金属の塩基の量
が、原料o−ハロゲノヒドロケイ皮酸又はそのアンモニ
ウム塩1モルに対して0.2〜1.2モルである
(1)、(2)又は(3)項記載の方法、(5)アルカ
リ金属の塩基を式(I)のo−ハロゲノヒドロケイ皮酸
のアルカリ金属塩として存在させる(1)項記載の方
法、(6)アンモニア水中で加熱することによりアミノ
化及び環化を行う(1)、(2)、(3)、(4)又は
(5)項記載の方法、及び(7)空気遮断下又は不活性
ガス存在下で反応を実施する(1)、(2)、(3)、
(4)、(5)又は(6)項記載の方法を提供するもの
である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明おいて3,4−ジヒドロカ
ルボスチリルの製造方法の原料として用いられるo−ハ
ロゲノヒドロケイ皮酸化合物は、前記式(I)で表わさ
れる化合物で、具体的にはo−クロロヒドロケイ皮酸、
o−ブロモヒドロケイ皮酸である。これらの化合物は通
常、遊離酸として入手でき、アンモニア水中に溶解する
とアンモニウム塩の形で存在する。また、本発明の式
(I)で表わされるo−ハロゲノヒドロケイ皮酸化合物
のベンゼン環上には反応に不活性な基、例えばアルキル
基などが存在していてもよい。本発明におけるアミノ化
の反応、そして引き続き行われる環化反応は、耐圧性の
反応容器を用い、反応触媒も兼ねたアンモニア水中で行
うのが好ましい。アンモニア水の濃度は好ましくは10
〜40wt%、より好ましくは15〜30wt%であ
る。アンモニアの濃度が低すぎると反応系内のpHの低
下が進んで反応容器の耐食性に悪影響を与える。また、
アンモニアの濃度が高すぎる場合には、反応時の圧力が
極めて高くなるため反応容器の仕様に制約が生じたり、
アンモニア水の回収、再使用に不利になったりすること
がある。アンモニアの使用量は、前記式(I)で示され
るo−ハロゲノヒドロケイ皮酸化合物1モルに対して好
ましくは3〜45倍モル、より好ましくは6〜35倍モ
ルである。アンモニアの使用量が少なすぎると攪拌が困
難になり、反応容器の腐食が大きくなることがある。ま
た多すぎても反応結果は向上せず、生産効率が低下す
る。
【0012】本発明において銅化合物とともに共存させ
るアルカリ金属の塩基は、アルカリ金属の水酸化物、具
体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リ
チウムなどであり、さらにアルカリ金属の炭酸塩、具体
的には炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど、そしてアル
カリ金属の炭酸水素塩、具体的には炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素カリウムなどである。また、水と反応して
水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどを実質的に生成
する炭素数1〜4個を有するアルカリ金属のアルコラー
トも、対応するアルコールを生成するためアンモニアの
回収操作が若干煩雑になるものの、使用可能である。こ
れらは具体的にはナトリウムメチラート、ナトリウムエ
チラート、カリウムメチラート、カリウムtert−ブ
チラートなどである。以上のアルカリ金属の塩基のうち
で特に好ましいのは、安価で取扱いやすい水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物で
ある。
【0013】アルカリ金属の塩基の使用量は、前記式
(I)で示されるo−ハロゲノヒドロケイ皮酸化合物1
モルに対してアルカリ金属のモル数で0.4〜1.2モ
ル、好ましくは0.8〜1.1モルであり、水酸化物、
炭酸水素塩又は金属アルコラートではそれぞれ0.4〜
1.2モルであり、好ましくは0.8〜1.1モルであ
る。炭酸塩では0.2〜0.6モル、好ましくは0.4
〜0.55モル用いる。これらアルカリ金属の塩基の使
用量が少なすぎると製品の品質が低下し、逆に多すぎる
とアミノ化反応及び環化反応の反応速度がともに遅くな
り、収率が大幅に低下する。例えば、前記のモル比で表
わして、アルカリ金属の塩基を1.5モル以上まで増量
すると銅塩触媒がアンモニアと錯体をほとんど形成せず
触媒活性を示さなくなって、原料の反応転化率は極端に
低下する。
【0014】アルカリ金属の塩基の使用方法は、前記式
(I)で示されるo−ハロゲノヒドロケイ皮酸化合物と
は別々に反応容器に投入してもよいが、あらかじめ塩基
を水溶液としておき、これにo−ハロゲノヒドロケイ皮
酸を加えて中和した水溶液あるいはo−ハロゲノヒドロ
ケイ皮酸化合物が未溶解の懸濁液としてから反応容器に
投入するのが好ましい。したがって本発明は、前記式
(I)で表わされる化合物をアルカリ金属塩として反応
させる場合も包含する。なお、この際、アルカリ金属の
塩基として水酸化物を用いると、中和、溶解時に炭酸塩
や炭酸水素塩でみられる二酸化炭素の発生による発泡が
ないため、作業的にはより好ましい。
【0015】本発明において、アンモニア水に可溶性の
銅化合物を触媒として用いるのが好ましく、具体的には
塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅などの1価の銅
塩、硫酸銅、酢酸銅、塩化第二銅、水酸化第二銅などの
2価の銅塩及び酸化銅(酸化第一銅、酸化第二銅)を挙
げることができる。これらは反応後に触媒がアンモニア
水中に溶解するので、製品の取り出しが容易となる。ま
た、これらの中では酸化第一銅が製品の品質上特に好ま
しい。銅化合物としては無機銅化合物が好ましく、オキ
シキノリン銅などのアンモニア水に難溶性の有機銅化合
物は、反応後も触媒が析出したままなので適当ではな
い。触媒としての銅化合物の使用量は、前記式(I)で
示されるo−ハロゲノヒドロケイ皮酸化合物1モルに対
して、1価及び2価の銅化合物とも銅原子に換算して
0.001〜0.5グラム原子、好ましくは0.03〜
0.2グラム原子である。触媒量が少なすぎると反応速
度が遅くなり、未反応原料が多く残る。また多すぎると
タール状の不純物が副生して品質が低下するので好まし
くない。
【0016】本発明のアミノ化反応及び環化反応は同一
反応器内で一貫して行われ、反応温度は通常140〜2
20℃、好ましくは160〜200℃、より好ましくは
170〜190℃である。反応温度が低すぎると反応速
度が遅くなり、高すぎると反応容器に耐食性や耐圧性に
ついての制約が生じることがある。反応圧力はアンモニ
ア水の濃度や反応温度などに依存するが、通常15〜3
5kg/cm2 Gである。また反応時間は通常3〜30
時間、より好ましくは6〜24時間である。
【0017】以上のような反応により、原料o−ハロゲ
ノヒドロケイ皮酸化合物の転化率は90〜100%に到
達する。転化率99〜100%のとき、製品の単離収率
は85%程度となる。さらに収率換算で通常5%程度が
製品濾過後の濾液中に未環化のo−アミノヒドロケイ皮
酸化合物として、あるいは濾液溶解度分の3,4−ジヒ
ドロカルボスチリルとして残存することから、アミノ化
反応までの選択率は90%強にものぼる。これらに関し
ては高速液体クロマトグラフィーにより定量が可能であ
る。本発明による3,4−ジヒドロカルボスチリルの製
造方法によれば、反応温度が比較的高く厳しい条件であ
るにも関わらず副反応が起こる割合が少なく、製品中に
混入する不純物はほとんど存在しなくなる。この理由は
原料及び生成物が熱的に安定なことのほかに、銅化合物
触媒にアルカリ金属の塩基を共存させることによりアミ
ノ化反応での副反応が抑制され、なおかつ環化反応の進
行とともに3,4−ジヒドロカルボスチリルが通常は長
さ1〜数mm程度の大きさの高品質の白色針状結晶とし
て成長しながらアンモニア水中に析出するためと推測さ
れる。このようにアルカリ金属の塩基を一定量共存させ
るだけで副反応が抑制でき、製品結晶中への不純物の混
入が避けられることは全く予想外のことであった。
【0018】一方、アルカリ金属の塩基を共存させない
で反応を実施すると、生成する3,4−ジヒドロカルボ
スチリルは、通常、淡黄褐色に着色した粉末状となり、
タール状及びその他の不純物を含む純度91%程度、融
点が160℃以下の低品質のものとなる。本発明の方法
で得られた反応生成物は、3,4−ジヒドロカルボスチ
リルが析出したスラリー液状となるので、反応生成物を
冷却した後、反応容器から抜き出してそのまま濾過ある
いはデカンテーションなどの方法により固液分離して取
り出すことができる。結晶に付着した銅−アンモニア錯
イオン及び無機塩を希薄アンモニア水で結晶の青色がな
くなるまで洗い流してから水洗、乾燥することにより容
易に製品化が可能である。製品は通常、白色針状結晶で
あり、純度98.5%以上、融点(融け終わり)166
℃以上の高品質のものが得られる。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、比較的入手が容易なo
−ハロゲノヒドロケイ皮酸化合物を原料として、高品質
の3,4−ジヒドロカルボスチリルを煩雑な工程を経ず
にワンポットで、高収率で得ることができ、工業的に実
施する方法として好適である。
【0020】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。なお、実施例中の融点は、FP62型自動融点測定
装置(メトラー・トレド社製)を用いて測定した。
【0021】実施例1 300ml容のオートクレーブに22%水酸化カリウム
水溶液51g(0.20モル)及びo−クロロヒドロケ
イ皮酸36.9g(0.20モル)を加え、かき混ぜて
溶液とした。26%アンモニア水145g(2.21モ
ル)及び触媒として酸化第一銅1.0g(0.007モ
ル)を加えて密閉した。窒素で内部の空気をパージした
後、190℃で14時間攪拌し反応させた。反応時の内
圧は32〜30kg/cm2 Gであった。反応後、25
℃まで冷却してオートクレーブを開け、反応混合物を吸
引濾過した。結晶に付着した銅−アンモニア錯イオンの
青色が抜けるまで5%アンモニア水で結晶を洗浄後、水
洗、乾燥すると、白色針状結晶の3,4−ジヒドロカル
ボスチリル25.0g(収率85.0%)を得た。純度
99.5%、m.p.166.3〜166.6℃。
【0022】実施例2 300ml容のオートクレーブに10%水酸化ナトリウ
ム水溶液48g(0.12モル)、o−クロロヒドロケ
イ皮酸36.9g(0.20モル)、26%アンモニア
水145g(2.21モル)及び硫酸銅5水和物3.5
g(0.014モル)を加えて密閉した。窒素で内部の
空気をパージした後、170℃で24時間攪拌し反応さ
せた。反応時の内圧は23〜20kg/cm2 Gであっ
た。反応後、25℃まで冷却してオートクレーブを開
け、実施例1と同様に処理すると、白色針状結晶の3,
4−ジヒドロカルボスチリル24.5g(収率83.3
%)を得た。純度98.9%、m.p.165.5〜1
66.0℃。
【0023】実施例3 300ml容のオートクレーブに27%炭酸カリウム水
溶液56.2g(0.11モル)を加え、かき混ぜなが
らo−クロロヒドロケイ皮酸36.9g(0.20モ
ル)をゆっくり加えて溶解した。26%アンモニア水1
45g(2.21モル)及び酸化第一銅1.0g(0.
007モル)を加えて密閉した。窒素で内部の空気をパ
ージした後、170℃で24時間攪拌し反応させた。反
応時の内圧は23〜21kg/cm2 Gであった。反応
後、25℃まで冷却してオートクレーブを開け、実施例
1と同様に処理すると、白色針状結晶の3,4−ジヒド
ロカルボスチリル24.8g(収率84.3%)を得
た。純度99.6%、m.p.166.3〜166.7
℃。
【0024】比較例1 300ml容のオートクレーブに26%アンモニア水1
58g(2.41モル)を加え、かき混ぜながらo−ク
ロロヒドロケイ皮酸36.9g(0.20モル)を加え
て乳濁液とした(アルカリ金属の塩基を共存させず)。
酸化第一銅1.0g(0.007モル)を加えて密閉し
た。窒素で内部の空気をパージした後、170℃で24
時間攪拌し反応させた。反応後、25℃まで冷却してオ
ートクレーブを開け、実施例1と同様に処理すると、淡
黄褐色に着色した粉末状の3,4−ジヒドロカルボスチ
リル25.7g(粗収率87.4%)を得たが、純度9
1.2%、m.p.158.2〜160.0℃であっ
た。
【0025】比較例2 300ml容のオートクレーブに30%水酸化カリウム
水溶液57g(0.30モル)及びo−クロロヒドロケ
イ皮酸36.9g(0.20モル)を加え、かき混ぜて
溶液とした(KOH/原料モル比=1.5)。26%ア
ンモニア水145g(2.21モル)及び酸化第一銅
1.0g(0.007モル)を加えて密閉した。窒素で
内部の空気をパージした後、170℃で24時間攪拌し
反応させた。反応後、25℃まで冷却してオートクレー
ブを開けたところ、3,4−ジヒドロカルボスチリルの
析出は全くみられず、酸化第一銅が赤色粉末のまま残っ
ていた。反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析す
ると、未反応原料が27.0g存在した(転化率26.
8%)。
【0026】比較例3 300ml容のオートクレーブに22%水酸化カリウム
水溶液51g(0.20モル)及びo−クロロヒドロケ
イ皮酸36.9g(0.20モル)を加え、かき混ぜて
溶液とした。26%アンモニア水145g(2.21モ
ル)及びアンモニア水に対して難溶性のオキシキノリン
銅4.9g(0.014モル)を触媒として加え密閉し
た。窒素で内部の空気をパージした後、170℃で24
時間攪拌し反応させた。反応後、25℃まで冷却してオ
ートクレーブを開け、実施例1と同様に処理すると、黄
褐色に強く着色した3,4−ジヒドロカルボスチリル2
5.1g(粗収率85.3%)を得たが、純度84.9
%と低く、オキシキノリン銅を含んでいた。
【0027】比較例4 300ml容のオートクレーブに26%アンモニア水1
41g(2.15モル)、o−クロロヒドロケイ皮酸3
0.0g(0.162モル)及び銅粉3.0g(0.0
47グラム原子)を加えて密閉した。窒素で内部の空気
をパージした後、160℃で30時間攪拌し反応させ
た。反応後、25℃まで冷却してオートクレーブを開け
ると、内容液中には銅粉の他に鱗片状結晶が少量存在し
た。空気中に放置して銅粉を溶解させた後、実施例1と
同様に処理すると青褐色に着色した鱗片状結晶6.9g
を得た。m.p.110〜130℃。濾液を高速液体ク
ロマトグラフィーで分析すると、未反応原料が23.5
g存在した(転化率21.7%)。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 【化1】 (式中、Xは塩素原子又は臭素原子を表わし、Mは水素
    原子又はアンモニウム基を表わす。)で表わされるo−
    ハロゲノヒドロケイ皮酸又はそのアンモニウム塩にアン
    モニアを反応させて、アミノ化と環化反応により3,4
    −ジヒドロカルボスチリルを生成するに当り、銅化合物
    及びアルカリ金属の塩基の存在下で反応させることを特
    徴とする3,4−ジヒドロカルボスチリルの製造方法。
  2. 【請求項2】 アルカリ金属の塩基が水酸化アルカリで
    ある請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 アルカリ金属の塩基が炭酸アルカリ、炭
    酸水素アルカリ及び炭素数1〜4個を有するアルカリ金
    属のアルコラートから選ばれる請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 アルカリ金属の塩基の量が、原料o−ハ
    ロゲノヒドロケイ皮酸又はそのアンモニウム塩1モルに
    対して0.2〜1.2モルである請求項1、2又は3記
    載の方法。
  5. 【請求項5】 アルカリ金属の塩基を式(I)のo−ハ
    ロゲノヒドロケイ皮酸のアルカリ金属塩として存在させ
    る請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 アンモニア水中で加熱することによりア
    ミノ化及び環化を行う請求項1、2、3、4又は5記載
    の方法。
  7. 【請求項7】 空気遮断下又は不活性ガス存在下で反応
    を実施する請求項1、2、3、4、5又は6記載の方
    法。
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