JP2001196200A - 超電導高周波加速空胴およびその製造方法 - Google Patents

超電導高周波加速空胴およびその製造方法

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JP2001196200A JP2000005811A JP2000005811A JP2001196200A JP 2001196200 A JP2001196200 A JP 2001196200A JP 2000005811 A JP2000005811 A JP 2000005811A JP 2000005811 A JP2000005811 A JP 2000005811A JP 2001196200 A JP2001196200 A JP 2001196200A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バルジ加工によりシームレスキャビティを製
作するための金型を、安価かつ容易に製作可能とするこ
とにより、製造コストの低減化に寄与できる、高品質・
高性能で経済的な超電導高周波加速多連空胴の製造方法
を提供する。 【解決手段】 荷電粒子ビームにエネルギーを与える超
電導高周波加速空胴を、空胴の最大径部にて該ビーム軸
に垂直なビーム軸垂直断面により分割された一対の金型
5,5を用いたバルジ加工により製造する。一対の金型
5,5の各々が、ビーム軸方向の異なる位置でビーム軸
垂直断面によりさらに分割された複数の金型要素2〜4
より構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、荷電粒子ビームの
加速器に使用される超電導高周波加速空胴の製造方法
と、それによって製造される空胴に関する。
【0002】
【従来の技術】加速器は、電子、陽子、イオン等の荷電
粒子を電磁力で数十億電子ボルト(数GeV)程度の高
エネルギー状態に加速するための装置であり、もともと
は原子核や素粒子の研究のために開発されてきた。しか
し、近年では、真空中をほぼ光速で伝搬する電子が偏向
磁場によりその軌道が曲げられたときのその軌道の接線
方向に発生する放射光(SOR光と呼ばれる)を利用し
て、超LSI微細加工(リソグラフィ)や物質研究等、
生命科学等の広範な科学技術分野まで適用範囲を広げて
いる。
【0003】加速器には、荷電粒子の加速や、SOR光
として失われたエネルギーを補給するため、そのビーム
ラインに高周波加速空胴が設けられている。高周波加速
空胴内に供給された高周波は、発振によって高電界を発
生させ、荷電粒子ビームを加速する。この場合、高電界
が発生すると高周波加速空胴の内表面に循環電流が流れ
るが、この電流は高周波電流であるため、高周波加速空
胴の内面の材質に応じた表皮深さを流れ、ジュール損失
を生じる。
【0004】ところで、CuやAl等で作られた常電導
高周波加速空胴で荷電粒子ビームの加速に必要な高電界
を得るには、上述したジュール損失が極めて大きくな
り、このジュール損失を補うために大きな高周波電力を
供給できる大出力の高周波発振器が必要となる。しか
し、そのような高周波電力を賄えるだけの高周波発振器
は現存していない。さらに、高周波加速空胴の冷却上で
も問題になり、常電導高周波加速空胴の適用には限界が
ある。
【0005】そこで、高周波加速空胴の内面に電流が流
れてもジュール損失が生じないように、電気抵抗がほぼ
0Ωである超電導材によって高周波加速空胴を形成する
ことが考えられる。超電導高周波加速空胴の使用分野は
多方面に亘るが、特に、荷電粒子ビーム加速器に関して
は、近年になって世界各地で計画、建設が進められてい
る大型電子蓄積リング用として、限られた電力、限られ
た空間の範囲でできるだけ高いエネルギーを持った電子
を得るために、超電導高周波加速空胴の実現が切望され
ている。
【0006】従来、超電導高周波加速空胴は、例えば図
4に示すような方法で製造されている。この方法におい
てはまず、図4(A)に示すように、下型21と上型2
2を用いて平板状の超電導材料23をプレス加工し、図
4(B)に示すような大径開口部と小径底部を有する略
半球形状にする。次いで、図4(C)に示すように、略
半球形状となったその超電導材料23の大径部側と小径
部側にそれぞれ開先加工を施して、図4(D)に示すよ
うなハーフセル25を成形する。
【0007】続いて、図4(E)に示すように2つのハ
ーフセル25,25の開先加工された大径部同士を対向
させ、図4(F)に示すように合わせた後、電子ビーム
溶接により溶接し、図4(G)に示すようなシングルセ
ル26を作る。なお、図中27は、ビード線を示してい
る。さらに、図4(H)に示すように、数個のシングル
セル26の開先加工された小径部同士を合わせて、電子
ビーム溶接により連結し、図4(I)に示すようなマル
チセル(多連空胴)28を作る。この後、マルチセル2
8の両端のセルにビームポートとなる直線状の小径円筒
を接続することにより、超電導高周波加速空洞を完成す
る。
【0008】以上の方法でマルチセルを作る場合には、
空胴中に発生する電場分布を平坦とするために、ビーム
ポートに接続する両端のセルのアイリス部(小径部)お
よび赤道部(大径部)の直線部を短くする必要がある。
プレス加工を行った場合、このような直線部の寸法調節
は、図4(C)に示す開先加工の量で行うが、上記のよ
うにプレス後に溶接によりセルを形成させる場合には、
溶接縮みを適切に見積もって開先加工量を決定する必要
がある。
【0009】一方、超電導高周波加速空胴の別の製造方
法としては、例えば、特開平5−266996号公報に
示されるようなものがある。この公報の製造方法は、図
5に示すような方法である。すなわち、図5(A)に示
すように、下型31と上型32を用いて平板状の超電導
材料33をプレス加工し、図4(B)に示すような半割
マルチセル34を2つ一組で成形する。この後、図4
(C)に示すように、2つの半割マルチセルを分割面で
長手溶接により接合して、マルチセル35を製作する。
しかし、この方法でマルチセルを作ると、長尺な溶接部
に溶接欠陥を生じやすいだけでなく、所望数のマルチセ
ル総型の金型を作らねばならないため、金型費が莫大な
ものとなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
超電導高周波加速空胴の製造方法においては、電子ビー
ム溶接が不可欠であるため、安定した品質および性能を
確保することが難しく、また、製作に当たって多大な労
力と時間を要するという問題点が存在している。この点
について以下に説明する。
【0011】まず、溶接部が長尺な場合だけでなく、溶
接部が比較的短い場合であっても溶接欠陥を生じる可能
性があり、そのような溶接欠陥により、超電導状態の破
壊(クエンチ)が生じる可能性がある。さらに、溶接ビ
ードの存在は、キャビティ性能を低下させる。
【0012】また、溶接前には、ハーフセルやビームポ
ートなどの部品を成形する必要があるが、溶接品質を向
上するためには、それらの部品に高い成形精度が要求さ
れる。それらの部品に十分な成形精度が確保できない場
合は、溶接時にその溶接部分が溶け落ちてしまう可能性
もある。その上、溶接後には、キャビティ内面の研磨な
どが必要となる。このように、電子ビーム溶接には、多
大な手間と時間が掛かり、キャビティ製作コストの面で
好ましくない。
【0013】このような電子ビーム溶接に伴う問題点を
解消するために、バルジ加工によりシームレスキャビテ
ィを製作することが望まれている。しかしながら、シー
ムレスキャビティをバルジ加工で成形する場合には、端
部セルの直線部を含めて、全ての部品の金型を設計して
製作する必要がある。また、マルチセルの場合には、所
望数のマルチセル総型の金型を製作する必要がある。こ
のような金型を製作するためには、多大な手間と時間が
掛かり、キャビティ製作コストの面で好ましくない。
【0014】本発明は、上述した従来技術の問題点を解
決するためになされたものであり、その目的は、バルジ
加工によりシームレスキャビティを製作するための金型
を、安価かつ容易に製作可能とすることにより、製造コ
ストの低減化に寄与できる、高品質・高性能で経済的な
超電導高周波加速多連空胴の製造方法を提供することで
ある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するため、バルジ加工によりシームレスキャビティ
を製作するための金型を、複数の金型要素に分割するこ
とにより、安価かつ容易に製作できるようにしたもので
ある。
【0016】請求項1に記載の発明は、荷電粒子ビーム
にエネルギーを与える超電導高周波加速空胴を、空胴の
最大径部にて該ビーム軸に垂直なビーム軸垂直断面によ
り分割された一対の分割金型を用いたバルジ加工により
製造する方法において、前記一対の分割金型の各々が、
該ビーム軸方向の異なる位置でビーム軸垂直断面により
さらに分割された複数の金型構成要素より構成されるこ
とを特徴とするものである。この方法によれば、バルジ
加工によってセルを形成するため、電子ビーム溶接を適
用した場合に比べて、大幅に高品質・高性能の超電導高
周波加速空洞が得られる。また、個々の分割金型を、さ
らに複数の金型構成要素に分割したことにより、各部に
使用する金型構成要素をそれぞれ選択し、適宜組み合わ
せることにより、多様な分割金型を自由に形成可能であ
る。したがって、比較的少ない種類の金型構成要素を用
いて、多種類の分割金型を安価かつ容易に製作すること
ができる。
【0017】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の超電導高周波加速空胴の製造方法において、該ビーム
軸方向に複数個連なる多連空胴のバルジ加工を行う場合
に、前記一対の分割金型の一方が、該ビーム軸方向の両
側に成形面を有するとともに、該ビーム軸方向に分割面
を有するように構成されることを特徴とするものであ
る。この方法によれば、適宜選択した複数の金型構成要
素を適宜組み合わせることにより、ビーム軸方向の両側
に成形面を有する分割金型を容易に形成することができ
る。したがって、マルチセルを製作する場合でも、新た
な金型を製作することなく、比較的少ない種類の金型構
成要素を用いて、多種類の分割金型を安価かつ容易に製
作することができる。
【0018】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載の超電導高周波加速空胴の製造方法において、
前記複数の金型構成要素のうち、最小径部を有する金型
構成要素および最大径部を有する金型構成要素の各成形
面の形状が、いずれも、該ビーム軸方向に向かって等し
い径を有する単純な円筒形状であることを特徴とするも
のである。この方法によれば、成形面のうち、曲率を持
つ比較的複雑な形状部分と、最小径部および最大径部と
いうビーム軸方向に向かって等しい径を有する単純な形
状部分とを別の金型構成要素に分割することにより、複
数種類の金型構成要素中における単純形状の金型構成要
素の割合を高めながら、この単純形状の金型構成要素を
できる限り単純な形状とすることができる。したがっ
て、金型構成要素中のかなりの割合を占める単純形状の
金型構成要素を安価かつ容易に製作することができるた
め、結果的に、分割金型の製作費を低減することができ
る。
【0019】請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の
いずれか一つに記載の超電導高周波加速空胴の製造方法
において、前記複数の金型構成要素のうち、最小径部を
有する金型構成要素の成形面におけるその最小径部の表
面粗さが、最大径部を有する金型構成要素の成形面にお
けるその最大径部の表面粗さよりも平滑であることを特
徴とするものである。この方法によれば、分割金型の成
形面における最小径部の表面粗さが平滑であるため、分
割金型のこの最小径部に対して円筒材料を容易にスライ
ドさせることができ、金型の加圧力および圧力媒体によ
る内圧の低減を図ることができる。
【0020】請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の
いずれか一つに記載の超電導高周波加速空胴の製造方法
において、前記複数の金型構成要素が、前記分割金型の
最小径から最大径に変化する曲率を持つ金型構成要素を
含み、この金型構成要素の成形面における最小径側1/
3以内の部分の表面粗さが、最大径を有する金属構成要
素の金型内面の表面粗さよりも平滑であることを特徴と
するものである。この方法によれば、分割金型の成形面
における最小径側の部分の表面粗さが平滑であるため、
分割金型のこの部分に対して円筒材料を容易にスライド
させることができ、金型の加圧力および圧力媒体による
内圧の低減を図ることができる。
【0021】請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の
いずれか一つに記載の超電導高周波加速空胴の製造方法
において、前記複数の金型構成要素が、最小径部を有す
る金型構成要素および前記分割金型の最小径から最大径
に変化する曲率を持つ金型構成要素を含み、最小径部を
有する前記金型構成要素の成形面表面、および曲率を持
つ前記金型構成要素の成形面における最小径側1/3以
内の部分の表面が、該ビーム軸方向に向かって研磨され
ていることを特徴とするものである。この方法によれ
ば、分割金型の成形面における最小径側の部分の表面が
該ビーム軸方向に向かって研磨されているため、分割金
型のこの研磨部分に対して円筒材料を容易にスライドさ
せることができ、金型の加圧力および圧力媒体による内
圧の低減を図ることができる。
【0022】請求項7に記載の発明は、荷電粒子ビーム
にエネルギーを与える超電導高周波加速空胴において、
前記請求項1〜6の中から選択された方法によって製造
されたことを特徴とするものである。この構成によれ
ば、選択された製造方法に応じて、請求項1〜6につい
て前述した作用効果と同様の作用効果を得ることができ
る。
【0023】
【発明の実施の形態】以下には、本発明の実施の形態に
ついて、図面を参照しながら説明する。
【0024】(1)第1の実施の形態 図1は、本発明による超電導高周波加速空胴の製造方法
を適用した第1の実施の形態を示しており、(A)〜
(D)は、シングルセルを製作する場合の一連の工程を
順次示している。
【0025】ここで、図1(A)は、Nbなどの超電導
材料またはCuなどの良熱伝導材料からなる所定形状の
円筒1と、金型の構成要素である大径金型要素2、主要
金型要素3、小径金型要素4を準備する工程を示してい
る。そして、図1(B)は、上記金型要素2〜4を組み
合わせてバルジ成形に用いる一対の金型(分割金型)
5,5を組み立てる工程を示しており、図1(C)は、
円筒1に、バルジ加工に用いる圧力媒体6とシール治具
7を配置する工程を示している。また、図1(D)は、
バルジ工程を示している。これらの工程の詳細は、次の
通りである。
【0026】まず、図1(A)の工程においては、Nb
などの超電導材料またはCuなどの良熱伝導材料からな
る所定形状の円筒1を形成する。具体的には、引抜き加
工、押出し加工などによって製造された単純な円筒形状
の材料を用意し、この円筒材料の両端部に、スウェージ
ング加工などにより、ビームポートとなる部位を形成す
る。ここでは、円筒1の両端の直線部をビームポート、
セルの小径部をアイリス部、セルの大径部を赤道部と称
する。
【0027】一対の金型5,5を構成する金型要素のう
ち、主要金型要素3は、成形面となるその内面によりセ
ルの曲面を形成するように、比較的複雑なビーム軸方向
断面形状を有している。これに対して、大径金型要素2
は、その内面によりセルの赤道部のみを形成するよう
に、比較的単純なビーム軸方向断面形状を有しており、
小径金型要素4は、その内面がビームポートのガイドと
なるように、同じく比較的単純なビーム軸方向断面形状
を有している。
【0028】これらの金型要素2〜4を、図1(B)に
示すように、成形面となるその内面の部位を除いた場所
において、図示していないねじなどの締結要素により互
いに組み立て、一対の半割金型5,5を形成する。この
場合、一対の金型5,5が円筒1の大径中央部を挟むよ
うにして、これらの金型5,5を円筒1の両端部に対向
配置する。
【0029】続いて、図1(C)に示すように、円筒1
の内部に、水、油などの圧力媒体6を充填して、シール
治具7により圧力媒体6が漏れないようにシールする。
ここで、シール治具7としては、例えば、従来から用い
られているOリングによるシール治具を用いることがで
きるが、他にも、例えば、円筒内面とのメタルコンタク
トによる方法などを適用することができる。
【0030】この後、図1(D)に示すように、シール
された状態で、圧力媒体6による内圧を調節しながら対
向配置された金型5,5を寄せることにより、バルジ加
工を行い、アイリス部と赤道部を有するシングルセルを
形成する。なお、図1(D)は、バルジ加工終了となっ
た状態を示している。
【0031】以上のような本実施の形態によれば、バル
ジ加工によってセルを形成しているため、電子ビーム溶
接を適用した場合に比べて、大幅に高品質・高性能の超
電導高周波加速空洞が得られる。また、個々の金型を、
さらに複数の金型要素2〜4に分割したことにより、各
部に使用する金型要素をそれぞれ選択し、適宜組み合わ
せることにより、多様な分割金型を自由に形成可能であ
る。したがって、比較的少ない種類の金型要素を用い
て、多種類の分割金型を安価かつ容易に製作することが
できるため、製造コストの低減化に大きく寄与できる。
この点について以下に説明する。
【0032】まず、通常の場合、キャビティの形状に関
して言及すれば、セル部の曲率などの基本形状は周波数
に応じて決定しており、アイリス部および赤道部の直線
部の長さのみが異なるものである。そこで、上記のよう
に、バルジ加工に用いる金型5,5を、複雑な断面形状
の主要金型要素3と、単純な断面形状の大径金型要素2
および小径金型要素4に分割することにより、アイリス
部および赤道部の直線部のみが異なった形状のキャビテ
ィについては、アイリス部および赤道部の直線部寸法に
応じた大径金型要素2および小径金型要素4を製作すれ
ばよい。これにより、金型費用の大幅な削減を図ること
ができる。
【0033】(2)第2の実施の形態 図2は、本発明による超電導高周波加速空胴の製造方法
を適用した第1の実施の形態を示しており、(A)〜
(E)は、マルチセルを製作する場合の一連の工程を順
次示している。なお、本実施の形態は、前述した第1の
実施の形態を基本とし、それを変形した形態に相当する
ため、以下には、本実施の形態に固有の特徴部分のみを
説明する。
【0034】ここで、図2(A)は、Nbなどの超電導
材料またはCuなどの良熱伝導材料からなる所定形状の
円筒1と、ビームポート側の金型5の構成要素である大
径金型要素2、主要金型要素3、小径金型要素4を準備
する工程を示している。そして、図2(B)は、上記金
型要素2〜4を組み合わせてバルジ成形に用いるビーム
ポート側の金型8用の金型要素2〜4に加えて、アイリ
ス部を形成するための金型9の構成要素である大径金型
要素2、主要金型要素3、小径金型要素4を配置して、
それらの金型8,9を組み立てる工程を示している。ま
た、図2(C)は、円筒1に、バルジ加工に用いる圧力
媒体6とシール治具7を配置する工程を示しており、図
2(D)は、バルジ工程を示している。なお、図2
(E)は、上記の(C)、(D)の工程を繰り返して成
形された3セルのマルチセルを示している。これらの工
程の詳細は、次の通りである。
【0035】まず、図2(A)の工程においては、円筒
材料の両端部に、スウェージング加工などにより、ビー
ムポートとなる部位を形成するとともに、アイリス部と
なる部位を形成することにより、所定形状の円筒1を形
成する。そして、ビームポート側の金型5の構成要素で
ある大径金型要素2、主要金型要素3、小径金型要素4
を準備する。この場合、本実施の形態においては、ビー
ムポート側の金型8のうち、ビームポートと接触する小
径金型要素4として、軸方向長さが長いものを用いてい
る。
【0036】次に、図2(B)に示すように、上記のビ
ームポート側の金型8用の金型要素2〜4に加えて、ア
イリス部を形成する金型9の構成要素である大径金型要
素2、主要金型要素3、小径金型要素4を配置し、それ
らの金型8,9を組み立てる工程を示したものである。
この場合、アイリス部を形成する金型9は、ビーム軸方
向の両側に成形面を有するものであり、一対の主要金型
要素4を、その大径部同士を対向させるように配置する
ことにより得られる。アイリス部に直線部を設ける場合
には、図2(B)に示すように、対向配置された主要金
型要素3の間に、所望の寸法の小径金型要素4を配置す
る。また、赤道部に直線部を設ける場合には、所望の寸
法の大径金型要素2を配置する。
【0037】続いて、図2(C)に示すように、円筒1
の内部に、水、油などの圧力媒体6を充填して、シール
治具7により圧力媒体6が漏れないようにシールする。
この後、図2(D)に示すように、シールされた状態
で、圧力媒体6による内圧を調節しながらビームポート
側の金型8とアイリス部を形成する金型9を寄せること
により、バルジ加工を行い、アイリス部と赤道部を有す
るセルを形成する。ここで、マルチセルの場合、アイリ
ス部を形成する金型9は、ビーム軸方向に移動させて取
り外すことができないので、径方向に移動させて取り外
すために、ビーム軸方向にも分割面を有している。
【0038】以上のような(C)、(D)の工程を繰り
返すことにより、図2(E)に示すようなマルチセルを
形成することができる。ここで、図(E)は、(C)、
(D)の工程を繰り返し、所望の平行部長さを有する大
径金型要素2、小径金型要素4を用いて成形した3セル
のマルチセルを示している。
【0039】以上のような本実施の形態によれば、前述
した第1の実施の形態と同様の作用効果に加えて、さら
に、次のような作用効果が得られる。まず、所望のマル
チセル形状に応じて選択した複数の寸法形状の金型要素
2〜4を適宜組み合わせ、特に、一対の主要金型要素3
を対向配置することにより、ビーム軸方向の両側に成形
面を有するアイリス部用の金型9を容易に形成すること
ができる。そのため、マルチセルを製作する場合でも、
新たな金型を製作することなく、比較的少ない種類の金
型要素を用いて、多種類の金型を安価かつ容易に製作す
ることができる。したがって、金型費の大幅な削減を図
ることができ、製造コストの低減化に大きく寄与でき
る。
【0040】また、ビームポート側の金型8に、軸方向
長さが長い小型金型要素4を用いているため、スウェー
ジングなどで形成されたビームポートの内径寸法精度
を、圧力媒体の内圧によって向上することができる。し
たがって、より高品質・高性能の超電導高周波加速空洞
を実現できる。
【0041】(3)第3の実施の形態 図3は、本発明による超電導高周波加速空胴の製造方法
を適用した第3の実施の形態を示している。ここで、図
3(A)は、一対の金型10,10を組み立てた状態を
示しており、図3(B)は、一対の金型10,10を各
構成要素に分割した状態を示している。なお、本実施の
形態は、前述した第1の実施の形態を基本とし、それを
変形した形態に相当するため、以下には、本実施の形態
に固有の特徴部分のみを説明する。
【0042】本実施の形態においては、まず、金型10
の最小径部を有する構成要素である小径金型要素4およ
び最大径部を有する構成要素である大径金型要素2の内
面形状が、ビーム軸方向に向かって等しい径を有する単
純な円筒形状とされている。また、成形面における最小
径部となる小径金型要素4の内面の表面粗さは、最大径
部を有する大径金型要素2の内面の表面粗さよりも平滑
に仕上げられている。そして、金型10の最小径から最
大径に変化する曲率を持つ主要金型要素3の最小径側1
/3以内の部分における内面の表面粗さについても、最
大径部を有する大径金型要素2の内面の表面粗さよりも
平滑に仕上げられている。さらに、小径金型要素4の内
面および主要金型要素3の最小径側1/3以内の部分に
おける内面は、ビーム軸方向に向かって研磨されてい
る。
【0043】以上のような本実施の形態によれば、前述
した第1の実施の形態と同様の作用効果に加えて、さら
に、次のような作用効果が得られる。まず、金型10の
最小径部を有する構成要素である小径金型要素4および
最大径部を有する構成要素である大径金型要素2の内面
形状が、ビーム軸方向に向かって等しい径を有する単純
な円筒形状であるため、金型の製作費を低くすることが
できる。これは、金型における内面断面形状の複雑な部
分と単純な部分を分割し、各構成要素として独立させた
ことにより、達成される。この点について以下に説明す
る。
【0044】すなわち、本実施の形態においては、金型
10の成形面のうち、曲率を持つ比較的複雑な形状部分
と、最小径部および最大径部というビーム軸方向に向か
って等しい径を有する単純な形状部分とを、主要金属要
素3と、大径および小径の金型要素2,4という別の金
型要素に分割することにより、複数種類の金型要素2〜
4中における単純形状の金型要素2,4の割合を高めな
がら、この単純形状の金型要素2,4をできる限り単純
な形状とすることができる。したがって、金型要素中の
かなりの割合を占める単純形状の金型要素を安価かつ容
易に製作することができるため、結果的に、金型の製作
費を低減することができる。
【0045】また、小径金型要素4の内面、および、金
型10の最小径から最大径に変化する曲率を持つ主要金
型要素3の最小径側1/3以内の内面については、その
表面粗さが、いずれも、大径金型要素2の内面の表面粗
さより平滑である上、ビーム軸方向に向かって研磨され
ているため、バルジ加工を行う際に、金型10に対して
円筒1を容易にスライドさせることができ、金型10の
加圧力および圧力媒体6による内圧の低減を図ることが
できる。
【0046】(4)他の実施の形態 なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものでは
なく、他にも、多種多様な変形例が実施可能であり、そ
れらはいずれも本発明に包含される。
【0047】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、バ
ルジ加工によりシームレスキャビティを製作するための
金型を、安価かつ容易に製作可能であるため、製造コス
トの低減化に寄与できる、高品質・高性能で経済的な超
電導高周波加速多連空胴の製造方法を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による超電導高周波加速空胴を適用した
第1の実施の形態を示す説明図であり、(A)〜(D)
は、シングルセルを製作する場合の一連の工程を順次示
している。
【図2】本発明による超電導高周波加速空胴を適用した
第2の実施の形態を示す説明図であり、(A)〜(E)
は、マルチセルを製作する場合の一連の工程を順次示し
ている。
【図3】本発明による超電導高周波加速空胴を適用した
第3の実施の形態を示す説明図であり、(A)は、一対
の金型10,10を組み立てた状態を示しており、
(B)は、一対の金型10,10を各構成要素に分割し
た状態を示している。
【図4】従来の超電導高周波加速空胴の製造方法の一例
を示す説明図である。
【図5】従来の超電導高周波加速空胴の製造方法の別の
一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1…円筒 2…大径金型要素 3…主要金型要素 4…小径金型要素 5,8〜10…金型 6…圧力媒体 7…シール治具
フロントページの続き (72)発明者 高石 和年 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 澁谷 純市 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 Fターム(参考) 2G085 AA13 BA05 BE10 EA02 EA04

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 荷電粒子ビームにエネルギーを与える超
    電導高周波加速空胴を、空胴の最大径部にて該ビーム軸
    に垂直なビーム軸垂直断面により分割された一対の分割
    金型を用いたバルジ加工により製造する方法において、 前記一対の分割金型の各々が、該ビーム軸方向の異なる
    位置でビーム軸垂直断面によりさらに分割された複数の
    金型構成要素より構成されることを特徴とする超電導高
    周波加速空胴の製造方法。
  2. 【請求項2】 該ビーム軸方向に複数個連なる多連空胴
    のバルジ加工を行う場合に、 前記一対の分割金型の一方が、該ビーム軸方向の両側に
    成形面を有するとともに、該ビーム軸方向に分割面を有
    するように構成されることを特徴とする請求項1記載の
    超電導高周波加速空胴の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記複数の金型構成要素のうち、最小径
    部を有する金型構成要素および最大径部を有する金型構
    成要素の各成形面の形状が、いずれも、該ビーム軸方向
    に向かって等しい径を有する単純な円筒形状であること
    を特徴とする請求項1または2記載の超電導高周波加速
    空胴の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記複数の金型構成要素のうち、最小径
    部を有する金型構成要素の成形面におけるその最小径部
    の表面粗さが、最大径部を有する金型構成要素の成形面
    におけるその最大径部の表面粗さよりも平滑であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の超電
    導高周波加速空胴の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記複数の金型構成要素が、前記分割金
    型の最小径から最大径に変化する曲率を持つ金型構成要
    素を含み、この金型構成要素の成形面における最小径側
    1/3以内の部分の表面粗さが、最大径を有する金属構
    成要素の金型内面の表面粗さよりも平滑であることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の超電導高
    周波加速空胴の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記複数の金型構成要素が、最小径部を
    有する金型構成要素および前記分割金型の最小径から最
    大径に変化する曲率を持つ金型構成要素を含み、最小径
    部を有する前記金型構成要素の成形面表面、および曲率
    を持つ前記金型構成要素の成形面における最小径側1/
    3以内の部分の表面が、該ビーム軸方向に向かって研磨
    されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一
    つに記載の超電導高周波加速空胴の製造方法。
  7. 【請求項7】 荷電粒子ビームにエネルギーを与える超
    電導高周波加速空胴において、前記請求項1〜6の中か
    ら選択された方法によって製造されたことを特徴とする
    超電導高周波加速空胴。
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