JP2001196167A - エレクトロルミネッセント基板およびエレクトロルミネッセント素子、ならびにそれらの製造方法 - Google Patents

エレクトロルミネッセント基板およびエレクトロルミネッセント素子、ならびにそれらの製造方法

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JP2001196167A
JP2001196167A JP2000001946A JP2000001946A JP2001196167A JP 2001196167 A JP2001196167 A JP 2001196167A JP 2000001946 A JP2000001946 A JP 2000001946A JP 2000001946 A JP2000001946 A JP 2000001946A JP 2001196167 A JP2001196167 A JP 2001196167A
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fluorescent
layer
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electroluminescent
carrier transport
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JP2000001946A
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Mitsuhiro Kashiwabara
充宏 柏原
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発光材料の種類による制約がなく、得られる
パターンの精度が充分得られるエレクトロルミネッセン
ト基板もしくはエレクトロルミネッセント素子の製造方
法を提供する。 【解決手段】 電極12aを有する基板11上に、パタ
ーン状のキャリア輸送層13、複数の蛍光性物質を含む
蛍光性層14、および電極12bを順に形成し、好まし
くは、複数の蛍光性物質の溶解性の差を利用して、課題
を解決することができた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エレクトロルミネ
ッセント基板もしくはエレクトロルミネッセント素子の
形成に際して、エレクトロルミネッセント層中に複数の
蛍光性物質を含有させておき、これら複数の蛍光性物質
とキャリア輸送層の構成物質の一つとの相互作用によっ
て、特定の蛍光性物質のみを発光させることを可能にし
た、エレクトロルミネッセント基板およびエレクトロル
ミネッセント素子、ならびにそれらの製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】エレクトロルミネッセント素子は、固体
に電圧を印可することにより、発光性を有するものであ
り、このための発光性材料として種々のものが検討され
てきたが、現在では有機化合物もしくは有機高分子から
なる有機系発光材料が主流となっている。
【0003】基本的なエレクトロルミネッセント素子
は、一対の電極間に、有機系発光材料を含む蛍光性層を
有した構造からなっており、これら電極間に電圧を印可
すると、蛍光性層に正孔および電子が注入され、注入さ
れた正孔および電子は、再結合して有機系発光材料を励
起させ、その後の遷移により、蛍光(ルミネッセンス)
が発生するものであり、100〜1,000,000c
d/m2程度の高輝度の面発光が得られる。
【0004】例えば、特開平8−96959号公報に
は、発光スペクトルの異なる複数種の蛍光色素を高分子
バインダー中に分散させてなるとともに、電子輸送性お
よびホール輸送性を有する、単層の蛍光性層を備えた有
機エレクトロルミネッセント素子が記載されている。
【0005】上記の有機エレクトロルミネッセント素子
は、色素の組み合わせにより白色発光が可能であること
が示されているものの、三原色によるマルチカラー表示
の手法の具体的開示を欠いている。には述べられていな
い。それぞれ発光する発光材料を選択して用いることに
より、カラー画像の表示も可能である。また、他の方式
の表示素子と比較し、蛍光性層を薄くでき、ピンホール
等の欠陥も生じにくい利点がある。
【0006】ところで、有機系発光材料を用いてエレク
トロルミネッセント素子を製造する際、特に蛍光性層を
パターン状に形成するには、次のような種々の方式で行
なうことができる。例えば、(1)発光性材料をメタル
マスクを介して蒸着する方法、(2)インクジェットに
よる方法、(3)紫外線照射により特定の発光材料を破
壊する方法、もしくは(4)スクリーン印刷による方法
があり、これらの方法は、パターン発光素子、もしくは
フルカラー発光素子のいずれにも応用が図られている。
また、フルカラー発光素子を得る場合には、(5)白色
発光素子にカラーフィルタを組み合わせるか、もしくは
(6)青色発光素子に色変換フィルタを組み合わせる場
合もある。
【0007】しかし、上記(1)の方法では蒸着のプロ
セスをさらに複雑化する、上記(2)の方法では、イン
キ製造上の制約が大きく、上記(3)の方法では、発光
材料が無駄になる、もしくは上記(4)の方法では得ら
れるパターンの精度が不十分である、等の欠点があり、
また、上記(5)もしくは(6)の場合には、カラーフ
ィルタを製作する煩雑さに加えて、発光した光の利用効
率が低い欠点が避けられない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明においては、よ
り簡便で、しかも、異なる発光材料ごとにパターン化し
なくても、結果的に異なる発光材料を塗り分けたのと同
様な効果を与えるエレクトロルミネッセント基板および
エレクトロルミネッセント素子、ならびにこれらの製造
方法を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決する手段】本発明においては、エレクトロ
ルミネッセント基板もしくはエレクトロルミネッセント
素子の蛍光性層形成するのに先立って、まず、電極上に
キャリア輸送層をパターン状に形成しておき、その上
に、発光波長の異なる蛍光性物質を複数含む蛍光性層を
形成し、その際に、蛍光性物質の消光の程度の相違によ
り、発光効率を変化させ、所望の蛍光性物質の発光が選
択的に得られるよう構成して、上記の課題を解決するこ
とができた。
【0010】第1の発明は、上面に少なくとも電極層を
有する基板の上方に、キャリア輸送性の有機化合物を含
有する層の有無によるパターン状のキャリア輸送層が積
層され、前記キャリア輸送層上には、蛍光性樹脂または
蛍光性色素からなる蛍光性物質を含有する蛍光性層が積
層され、前記蛍光性層は、(1)2種以上の前記蛍光性
樹脂、(2)2種以上の前記蛍光性色素、または、
(3)前記蛍光性樹脂および前記蛍光性色素を含むこと
を特徴とするエレクトロルミネッセント基板に関するも
のである。第2の発明は、第1の発明において、前記
(1)および(2)においては、前記蛍光性物質のうち
の一つが前記キャリア輸送層の構成物質の一つとの相互
作用によって消光し、前記(3)においては、前記蛍光
性色素が前記キャリア輸送層の構成物質の一つとの相互
作用によって消光することを特徴とするエレクトロルミ
ネッセント基板に関するものである。第3の発明は、第
1または第2の発明において、前記エレクトロルミネッ
セント基板の前記蛍光性層上に、さらに電極層が積層さ
れていることを特徴とするエレクトロルミネッセント素
子に関するものである。第4の発明は、上面に少なくと
も電極層を有する基板の上方に、キャリア輸送性の有機
化合物を含有する層の有無によるパターン状のキャリア
輸送層を積層する工程、前記キャリア輸送層上に、蛍光
性樹脂または蛍光性色素からなる蛍光性物質を含有する
蛍光性層を積層する工程とを順に行ない、前記蛍光性層
を積層する工程においては、(1)2種以上の前記蛍光
性樹脂、および溶剤、(2)2種以上の前記蛍光性色
素、および溶剤、または、(3)前記蛍光性樹脂、前記
蛍光性色素、および溶剤を各々主体とする蛍光性層形成
用組成物を使用することを特徴とするエレクトロルミネ
ッセント素子の製造方法に関するものである。第5の発
明は、第4の発明において、前記蛍光性層形成用組成物
としては、前記(1)および(2)においては、前記蛍
光性物質のうちの一つが前記キャリア輸送層の構成物質
の一つとの相互作用によって消光し、前記(3)におい
ては、前記蛍光性色素が前記キャリア輸送層の構成物質
の一つとの相互作用によって消光するものを使用するこ
とを特徴とする請求項4記載のエレクトロルミネッセン
ト素子の製造方法に関するものである。第6の発明は、
第4または第5の発明において、前記蛍光性層を積層す
る工程を行なった後に、さらに電極層を積層する工程を
行なうことを特徴とするエレクトロルミネッセント基板
の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のエレクトロルミ
ネッセント基板の断面図である。まず、基板11の上面
に電極層12aが積層されている。次に、電極層12a
の上面には、キャリア輸送性の有機化合物を含有するキ
ャリア輸送層13a積層されている部分と積層されてい
ない部分とからなるパターン状のキャリア輸送層が積層
されている。さらに、パターン状のキャリア輸送層を覆
って、即ち、キャリア輸送層13が積層されている部分
ではキャリア輸送層13上に、また、キャリア輸送層1
3の無い部分では電極層12a上に、蛍光性層14が積
層されているものである。
【0012】図2は、本発明のエレクトロルミネッセン
ト素子の断面図であり、蛍光性層14上に最上層として
電極層12bが積層されており、その他については、図
1を引用して説明したものと同じである。なお、二つの
電極層を区別する必要があるときは、基板11上に積層
してある図では下の方の電極層を第1の電極層と呼び、
最上層に積層してある電極層を第2の電極層と呼ぶこと
とする。
【0013】基板11は、本発明のエレクトロルミネッ
セント基板もしくはエレクトロルミネッセント素子を構
成する各層を支持し得るものであればよく、用途に応じ
て、板状の硬いものであっても、柔らかいものであって
もよい。また、基板11は、無色透明、有色透明、もし
くは不透明のいずれの場合もあり得る。
【0014】基板11を構成する素材としては、ガラ
ス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルア
クリレート、もしくはポリカーボネート等が挙げられ
る。これらの素材からなる基板11は、携帯可能なカー
ド状、用途に応じて、その一部もしくは全部を曲げたり
巻き付けたりすることが可能なフィルム状もしくはシー
ト状、フィルムもしくはシートを狭い巾にカットしたテ
ープ状、またはチップ状等である。
【0015】第1の電極層12aは、原則として基板1
1上に、第2の電極層12bは、原則として蛍光性層1
4上に積層されたものである。第1の電極層12aの役
割は通常陽極であり、第2の電極層12bの役割は通常
陰極であるが、必ずしもそれに限定されない。なお、第
1の電極層12aは、第1の電極層自身が十分な強度を
備えている場合には、基板11を兼ねることができ、即
ち、基板11を省くことができる。
【0016】電極層のうち、陽極を構成する材料として
は、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、も
しくは金のような仕事関数の大きな金属、または、ポリ
アニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘
導体、もしくはポリシラン誘導体のような導電性高分子
等が例示される。また、陰極を構成する材料としては、
MgAg等のマグネシウム合金、AlLi、AlCa、
もしくはAlMg等のアルミニウム合金、Li、Caを
始めとするアルカリ金属類、もしくはそれらアルカリ金
属類の合金のような仕事関数の小さな金属等が例示され
る。
【0017】上記の素材を用いて電極層を形成するに
は、蒸着もしくはスパッタリング等によって行なうこと
ができ、また、塗料組成物を調製してコーティングによ
って行なうこともできる。第1の電極層12aは、基板
11に対して全面もしくは大部分に一様に形成するが、
必要に応じ、マスクパターンを介してパターン状に形成
するか、もしくは一様に形成した後に、エッチングする
ことによりパターン状に形成することもできる。
【0018】前記した電極層を構成する材料のうち、ポ
リアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン
誘導体、もしくはポリシラン誘導体のような導電性高分
子を使用する場合は、塗料組成物を調製してコーティン
グによっても電極層の形成を行なうことができ、その他
の材料を使用する場合にも、溶剤で溶解するか、もしく
は樹脂溶液中に分散させることにより塗料組成物を調製
して同様に行なうことができる。電極層は、単一の層か
らなるだけではなく、複数の層の積層構造からなってい
てもよく、複数の層からなるときは、前記した材料の内
から異なる材料を選択して使用し、異なる形成方法によ
ってもよい。
【0019】第1の電極層12a、および第2の電極層
12bの両方を透明な材料で構成すると、直視型エレク
トロルミネッセント素子とすることができ、また、いず
れか一方の電極層を反射電極、他方の電極層を透明電極
とすることにより、反射型エレクトロルミネッセント素
子とすることができる。なお、両電極層を、互いに直行
するストライプパターン状に形成することにより、単純
マトリックス型のエレクトロルミネッセント素子とする
ことができ、一方の電極層を薄膜トランジスタを有する
基板上に形成することにより、アクティブマトリックス
型エレクトロルミネッセント素子としてもよい。
【0020】パターン状のキャリア輸送層13は、例え
ば、金属錯体、特に金属キレート化オキサイド化合物の
ような電子輸送性の有機化合物、アリールアミンのよう
な正孔輸送性の有機化合物をポリマ中に分散したものや
ポリマー化したものを用いて構成される。あるいは、正
孔輸送性のものとして、ポリパラフェニレンビニレンも
しくはその誘導体、ポリアルキルチオフェンもしくはそ
の誘導体等を用いて構成してもよい。
【0021】パターン状のキャリア輸送層13は、上記
の素材を用い、溶剤もしくは希釈剤を用いて溶解もしく
は混合してキャリア輸送層形成用組成物を調製し、この
組成物を公知のコーティング方法のより塗付したもの
を、さらに別の工程によりパターン状とするか、もしく
は、公知の印刷方法により印刷してパターン状とする。
キャリア13の厚みとしては、0.1nm〜20μm、
より好ましくは1.0nm〜2μmである。
【0022】キャリア輸送層13形成のためのコーティ
ング方法としては、スピンナーコーティング、ブレード
コーティング、ディップコーティング、ビードコーティ
ング、もしくはロールコーティング等が利用でき、これ
らのコーティング方法で得られた塗膜のパターン化は、
レーザービーム照射、サンドブラストの物理的な手法
や、フォトレジストを用いたケミカルエッチングや拭き
取り除去等の化学的な手法によればよい。
【0023】キャリア輸送層13形成のための印刷方法
としては、シルクスクリーン印刷やインクジェット方式
等が適しているが、他の印刷方式でもよい。あるいは、
上記のコーティング手法とパターン化、もしくは印刷方
法によってパターン状のキャリア輸送層を転写層として
形成した転写シートを利用して、キャリア輸送層13を
形成してもよい。
【0024】蛍光性層14は、基本的には、色素系発光
材料、金属錯体系発光材料、もしくは高分子系発光材料
等の有機発光材料等を含有し、もしくは、さらに、これ
ら有機発光材料の発光効率を向上させる、および/また
は発光波長を変化させるドーピング物質を含有する蛍光
性層である。
【0025】色素系発光材料としては、シクロペンタジ
エン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフ
ェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾ
ロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチ
リルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環
化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン
誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン
誘導体、オキサジアゾールダイマー、もしくはピラゾリ
ンダイマー等がある。
【0026】金属錯体系発光材料としては、アルミキノ
リノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベ
ンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯
体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、もし
くはユーロピウム錯体等の、中心金属としてAl、Z
n、もしくはBe等、または、Tb、Eu、もしくはD
y等の希土類金属を有し、配位子として、オキサジアゾ
ール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベ
ンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体等
が例示される。
【0027】高分子系発光材料としては、ポリパラフェ
ニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパ
ラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレ
ン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリフルオレノン
誘導体、ポリフルオレン誘導体、もしくはポリキノキサ
リン誘導体等、またはこれらの共重合体等が例示され
る。
【0028】上記の蛍光性層には、ドーピングを行なっ
て、発光効率を向上させる、および/もしくは発光波長
を変化させるドーピング物質を拡散させることが望まし
い。ドーピング物質としては、ペリレン誘導体、クマリ
ン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スク
アリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル色素、
テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、テカシクレン、
フェノキサゾン、キノキサリン誘導体、カルバゾール誘
導体、もしくはフルオレン誘導体等が例示される。
【0029】蛍光性層(蛍光性層)14は、色素系発光
材料、金属錯体系発光材料、もしくは高分子系発光材料
等の有機発光材料、および必要に応じ、上記のドーピン
グ物質とを溶剤もしくは希釈剤を用いて溶解もしくは分
散させて、蛍光性層形成用組成物を調製し、得られた組
成物を用いて、もしくは、別の仮基材上に一旦層を形成
したものを転写することにより、パターン状にキャリア
輸送層13がs形成されている上に一面にコーティン
グ、もしくは転写して形成する。蛍光性層14の厚みと
しては、1nm〜2μm、より好ましくは10nm〜2
00nmである。
【0030】蛍光性層14の形成のためのコーティング
方法としては、スピンナーコーティング、ブレードコー
ティング、ディップコーティング、ビードコーティン
グ、もしくはロールコーティング等が利用できる。な
お、この蛍光性層14は、基本的にはパターン化する必
要はないが、基板11の周辺部に余白を残したい場合、
もしくは基板上に、ある決まった輪郭で形成する等の場
合等においては、これらのコーティング方法で得られた
塗膜のパターン化を、レーザービーム照射、サンドブラ
ストの物理的な手法や、フォトレジストを用いたケミカ
ルエッチングや拭き取り除去等の化学的な手法によって
行なえばよい。
【0031】蛍光性層14中においては、色素系発光材
料、金属錯体系発光材料、もしくは高分子系発光材料等
の有機発光材料、または必要に応じて添加されるドーピ
ング物質等の発光物質を2種類以上用い、下層にキャリ
ア輸送層13の有無、または/および、これらの発光物
質の溶解状態の良否の制御によって、特定の発光物質の
発光を抑制することができ、エレクトロルミネッセント
素子の各部に同じ電位を印加しながらも、異なる発光を
得ることができる。
【0032】特定の発光物質の発光を抑制するために、
本発明では、蛍光性層14の下層にキャリア輸送層13
のある部分と無い部分とを形成する、即ち、キャリア輸
送層をパターン状に形成する。エレクトロルミネッセン
ト素子の上下の電極層12a〜12b間に、所定の電位
を印加すると、蛍光性層中の発光物質が蛍光を発する。
【0033】本発明においては、特定の蛍光性物質の発
光を抑制するために、キャリア輸送層の構成物質のうち
の一つと蛍光性物質とが相互作用を起こし、消光するこ
とを利用している。
【0034】例えば、電極上に、第1の層として、消光
剤を含むキャリア輸送層等の第1の層、および第2の層
として蛍光性層とを、順に、いずれも塗付によって形成
する場合、第2の層の形成時に第1の層が溶解、膨潤等
を引き起こさないときは、消光剤が第1の層中にあった
としても、第2層の発光には影響を与えない。しかし、
このとき、第1の層が溶解、膨潤等を引き起こすと、第
2の層を形成するための塗付液に含まれる蛍光性物質が
第1の層内に拡散して行く。このとき、高分子の蛍光性
物質よりも低分子の蛍光性物質の方が拡散しやすく、結
果として、低分子のものの方が消光しやすくなる。この
ため、蛍光性物質を選択する際に、充分、分子量の差を
付けるよう選択する。あるいは、一方の蛍光性物質に対
してのみ消光効果がある消光剤を第1の層中に配合して
おくことにより、蛍光性物質の拡散性の差を考慮しなく
ても、選択的な消光が実現できる。キャリア輸送層を構
成するのに好ましいイオン性の高分子は低分子の蛍光性
物質に対しては消光剤となるが、高分子の蛍光性物質を
消光する能力が小さいので、選択的な消光が可能にな
る。なお、キャリア輸送層側にイオン性の高分子を使用
し、蛍光性層中の蛍光性物質として、高分子のものと低
分子のものを選択すると、より一層、選択的な消光が可
能になる。
【0035】上記のように消光が起こるためには、キャ
リア輸送層の溶解、膨潤が前提になるので、キャリア輸
送層上に蛍光性層を形成する際に用いる蛍光性層形成用
の組成物中の溶媒としては、キャリア輸送層を溶解もし
くは膨潤させる溶媒を選択使用することが好ましい。
【0036】このようにして、蛍光性物質のうち長波長
に発光ピークを有する低分子の蛍光性物質を消光するこ
とができ、発光色を変化させることができる。従って、
キャリア輸送層を事前に任意の公知の方法によってパタ
ーニングすることにより、キャリア輸送層のない部分で
は消光が起こらないために、長波長に発光ピークを有す
る低分子の蛍光性物質からの発光が得られ、キャリア輸
送層のある部分では消光の影響を受けない短波長に発光
ピークを持つ高分子の蛍光性物質からの発光が得られる
ので、蛍光性層のパターニングをせずに、発光のパター
ンを作り出すことができる。
【0037】本発明のエレクトロルミネッセント基板1
0aもしくはエレクトロルミネッセント素子10におけ
る蛍光性層14は、正孔注入層(またはバッファー
層)、正孔輸送層、電子注入層(またはバッファー
層)、および電子輸送層から選択した一様連続な層の一
層以上を伴なっていてもよい。これらの層には、適当な
有機または無機の添加剤を加えることができ、正孔輸送
性、電子輸送性、もしくは発光色の調整を行なうことが
できる。上記の正孔輸送層、および電子輸送層は、パタ
ーン状のキャリア層13とは別に形成してよい。
【0038】正孔注入層(バッファー層)は蛍光性層1
4と第1電極層12aとの間に形成し、構成する材料と
しては、蛍光性層を構成するものとして例示した化合物
以外に、フェニルアミン系、スターバースト型アミン
類、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化ルテニウ
ム、酸化アルミニウム等の酸化者、アモルファスカーボ
ン、ポリアニリン、もしくはポリチオフェン等の誘導
体、またはそれらにFeCl3等のルイス酸をドープし
たものが使用できる。
【0039】電子注入層(バッファー層)は蛍光性層1
4と第2電極層12bとの間に形成し、構成する材料と
しては、蛍光性層を構成するものとして例示した化合物
以外に、AlLi、フッ化リチウム、ストロンチウム、
酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロ
ンチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、酸化ア
ルミニウム、酸化ストロンチウム、カルシウム、ポリメ
チルメタクリレートポリスチレンスルホン酸ナトリウ
ム、リチウム、セシウム、もしくは、フッ化セシウム等
のように、アルカリ金属類および、アルカリ金属類のハ
ロゲン化物、またはリチウムキノリノール等の有機金属
錯体等が使用できる。
【0040】
【実施例】(実施例1)縦横が、25.4mm×25.
4mmで、厚みが1.1mmの透明ガラス板の片面の表
面に酸化インジウム錫(ITO)の透明電導性膜(第1
電極)を有するITO基板を準備して洗浄を行なった
後、ITO膜上の中心に、後記「化1」の化学構造を有
するポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェン/ポ
リスチレンスルホネートの水分散液(略称;PEDT/
PSS、樹脂分1.5質量%、バイエル社製、商品名;
Baytron PTP AI 4083)0.1ml
を滴下し、スピンナーを用い、1900回転/分の回転
数で10秒間保持し、その後、水平状態に保って10分
間乾燥後、水で湿らせた綿棒で、周囲の不要部を拭って
除去し、さらに、全体を200℃で5分間乾燥させて、
基板の中心に、縦横が、10mm×10mmの四角形パ
ターン状の第1薄膜を得た。
【0041】上記で得られた基板の、四角形パターン状
の第1薄膜を有する側に、下記組成の蛍光性層形成用組
成物0.1mlを滴下し、スピンナーを用い、1550
回転/分の回転数で、3秒間保持し、厚み100nmの
第2薄膜を形成した。 (蛍光性層形成用組成物) ・ポリビニルカルバゾール(下記「化2」) 70質量部 ・オキサジアゾール化合物(下記「化2」) 30質量部 (2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4’’−ビフェニ ル)−1,3,4−オキサジアゾール) ・クマリン6(下記「化2」) 1質量部 ・シクロヘキサノン 4900質量部
【0042】
【化1】
【0043】
【化2】
【0044】上記で得られたITO基板上に二層の薄膜
を有する基板上に、第2電極としてMgAg合金(M
g:Ag=10:1)を厚み150nmになるよう蒸着
し、さらにその上に、保護層としてAgを200nmの
厚みになるよう蒸着して、エレクトロルミネッセント素
子を得た。
【0045】得られたエレクトロルミネッセント素子の
ITO電極を負極に接続し、ソースメーターにより直流
電流を印加したところ、10Vの電位を印加したときに
発光が認められ、その発光スペクトルをスペクトロフォ
トメーター(大塚電子(株)製、IMUC−7000)
で発光特性を測定したところ、第1の薄膜のある中央の
四角形パターン部において、第1の薄膜中にあるポリビ
ニルカルバゾール、およびオキサジアゾール化合物に由
来するところの、460nm付近の波長をピークに持つ
青色の発光が認められ、第1の薄膜の無い部分では、ク
マリン6に由来するところの、501nmをピークに持
つ緑色の発光が認められた。
【0046】(実施例2)実施例1と同様にして、第1
の薄膜を形成した後、第1の薄膜上にフォトレジスト
(東京応化工業(株)製、OFPR−800)を塗布
し、80℃でベークした後、紫外線照射アライナーでフ
ォトマスクを介してパターン露光し、パターン露光後に
0.1NのNaOHでフォトレジストの現像を行なうと
共に、フォトレジストが剥離した部分の、PEDT/P
SSも溶解除去した。PEDT/PSSのパターン化が
終了した後に、パターン上のフォトレジストをアセトン
で洗浄し、完全に除去した。
【0047】第2薄膜の形成および以降の工程は、実施
例1におけるのと同様に行なって得られたエレクトロル
ミネッセント素子は、実施例1で得られたものと同様の
発光特性を有していた。
【0048】(比較例)実施例1と同様にして、ただ
し、第2薄膜を形成する際の「蛍光性層形成用組成物」
として、組成物中のシクロヘキサノンを同じ質量部のト
ルエンに変更したものを用いて、エレクトロルミネッセ
ント素子を得た。この比較例のエレクトロルミネッセン
ト素子は、実施例1のエレクトロルミネッセント素子と
同様に、10Vの電位を印加したときに発光が認められ
たが、第1の薄膜の有無にかかわらず、基板のどの位置
においても、クマリン6に由来するところの、501n
mをピークに持つ緑色の発光のみが認められた。
【0049】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、複数の発光材
料を含む一様な層に、下層のキャリア輸送層の有無に応
じて異なる発光状態を生じさせることが可能で、塗り分
けで起こりがちな、重なりや隙間がないエレクトロルミ
ネッセント基板を提供することができる。請求項2の発
明によれば、更に上部に電極層が追加されていて、請求
項1の発明の効果と同様な効果を持つエレクトロルミネ
ッセント素子を提供することができる。請求項3の発明
によれば、パターン状のキャリア輸送層を形成し、その
上に、複数の発光材料を含む層を形成することにより、
請求項1の発明の効果を生じるエレクトロルミネッセン
ト基板を、容易に製造できる方法を提供できる。請求項
4の発明によれば、さらに上部に電極層を形成する工程
を追加することにより、請求項2の発明の効果を生じる
エレクトロルミネッセント素子を、容易に製造できる方
法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエレクトロルミネッセント基板の断面
図である。
【図2】本発明のエレクトロルミネッセント素子の断面
図である。
【符号の説明】
10 エレクトロルミネッセント素子 10a エレクトロルミネッセント基板 11 基板 12 電極層(12a;第1電極層、12b;第2電
極層) 13 キャリア輸送層 14 蛍光性層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上面に少なくとも電極層を有する基板の
    上方に、キャリア輸送性の有機化合物を含有する層の有
    無によるパターン状のキャリア輸送層が積層され、前記
    キャリア輸送層上には、蛍光性樹脂または蛍光性色素か
    らなる蛍光性物質を含有する蛍光性層が積層され、前記
    蛍光性層は、(1)2種以上の前記蛍光性樹脂、(2)
    2種以上の前記蛍光性色素、または、(3)前記蛍光性
    樹脂および前記蛍光性色素を含むことを特徴とするエレ
    クトロルミネッセント基板。
  2. 【請求項2】 前記(1)および(2)においては、前
    記蛍光性物質のうちの一つが前記キャリア輸送層の構成
    物質の一つとの相互作用によって消光し、前記(3)に
    おいては、前記蛍光性色素が前記キャリア輸送層の構成
    物質の一つとの相互作用によって消光することを特徴と
    する請求項1記載のエレクトロルミネッセント基板。
  3. 【請求項3】 前記エレクトロルミネッセント基板の前
    記蛍光性層上に、さらに電極層が積層されていることを
    特徴とする請求項1または2記載のエレクトロルミネッ
    セント素子。
  4. 【請求項4】 上面に少なくとも電極層を有する基板の
    上方に、キャリア輸送性の有機化合物を含有する層の有
    無によるパターン状のキャリア輸送層を積層する工程、
    前記キャリア輸送層上に、蛍光性樹脂または蛍光性色素
    からなる蛍光性物質を含有する蛍光性層を積層する工程
    とを順に行ない、前記蛍光性層を積層する工程において
    は、(1)2種以上の前記蛍光性樹脂、および溶剤、
    (2)2種以上の前記蛍光性色素、および溶剤、また
    は、(3)前記蛍光性樹脂、前記蛍光性色素、および溶
    剤を各々主体とする蛍光性層形成用組成物を使用するこ
    とを特徴とするエレクトロルミネッセント素子の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記蛍光性層形成用組成物としては、前
    記(1)および(2)においては、前記蛍光性物質のう
    ちの一つが前記キャリア輸送層の構成物質の一つとの相
    互作用によって消光し、前記(3)においては、前記蛍
    光性色素が前記キャリア輸送層の構成物質の一つとの相
    互作用によって消光するものを使用することを特徴とす
    る請求項4記載のエレクトロルミネッセント素子の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記蛍光性層を積層する工程を行なった
    後に、さらに電極層を積層する工程を行なうことを特徴
    とする請求項4または5記載のエレクトロルミネッセン
    ト基板の製造方法。
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