JP2001192749A - 石油系燃焼灰の処理方法 - Google Patents

石油系燃焼灰の処理方法

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Kenji Nozaki
賢二 野崎
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Keiichi Miura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 石油系燃焼灰について、バナジウムやニ
ッケルの浸出効果に優れた処理方法を提供する。 【解決手段】 石油系燃焼灰からバナジウムなどの含有
金属を浸出させる際に、燃焼灰等の水性スラリーにアン
モニアを添加して中性ないしアルカリ性とし、このアン
モニア浸出の際に二段階の酸化処理を行うことによって
浸出効果を高め、また、水浸出およびアンモニア浸出を
おのおの循環処理することによって処理工程の負担を軽
減してその処理効率を高めた石油系燃焼灰の処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油系燃焼灰から
バナジウムやニッケルなどの有価金属を分離回収する方
法において、燃焼灰の水浸出やアンモニア浸出を効果的
に行う処理方法に関し、さらには浸出工程から引き続く
バナジウムやニッケルの抽出工程においてその抽出効果
を高める処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】火力発電所や各種工業プラントのボイラ
ー等は重油や石油コークス等の重質油系燃料を用いるも
のが多く、現在、多量の燃焼灰が排出されている。これ
らの大部分は埋め立て処分されているが、この燃焼灰に
はバナジウム等の有価金属が含有されており、環境汚染
の防止および再資源化の観点から、その有効利用が求め
られている。
【0003】このような重油灰から有価金属を回収する
方法が従来知られている。例えば、特開昭60−469
30号には、石油系燃料の燃焼灰スラリーに硫酸を加え
て灰中の有価金属を浸出させた後に、液性をアルカリ性
に転化して酸化剤を加え、鉄分を沈殿させた後に、液性
を再び強酸性として液中のバナジウムを五酸化バナジウ
ムとして沈殿させ、これを分離回収する方法が記載され
ている。また、特公平4−61709号には、上記方法
において鉄分を除去した後の濾液を冷却してバナジウム
のアンモニウム化合物を沈殿させて分離し、その濾液に
硫酸を添加して硫酸ニッケルアンモニウムを析出させる
方法が提案されている。さらに、特公平5−13718
号にはバナジウムのアンモニウム化合物を沈殿分離した
後に、残渣からアンモニアを分離し、残留するニッケル
スラッジと石膏とをおのおの分離する方法が記載されて
いる。
【0004】上記処理方法は何れも、重油灰スラリーに
硫酸を添加して液性をpH3以下に調整し、液温を40
〜70℃に加温して、灰中に含まれるバナジウムやニッ
ケルなどの有価金属を酸性浸出させる方法である。この
ように上記方法は何れも強酸性下での加温を行うために
浸出槽などの腐蝕が激しい問題がある。また、硫酸浸出
を行った後に、液性をアルカリ性に転化して酸化剤を添
加し、その後に再び酸性にするなど液性の調整が煩雑で
ある。
【0005】
【発明の解決課題】本発明は、重質油などの石油系燃焼
灰の処理方法について、従来の処理方法における上記問
題を解決したものであり、バナジウム等の浸出効果が良
く、しかも設備の腐食が少ない経済的な処理方法を提供
すると共に、そのアルカリ浸出から得た固形分をセメン
ト原料に利用できる処理方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決する手段】本発明は、石油系燃焼灰からバ
ナジウムなどの含有金属を浸出させる際に、燃焼灰等の
水性スラリーを濾過した固形分にアンモニアを添加して
中性ないしアルカリ性とし、このアンモニア浸出の際に
二段階の酸化処理を行うことによって浸出効果を高め、
また、水浸出およびアンモニア浸出をおのおの循環処理
することによって処理工程の負担を軽減してその処理効
率を高めたものである。
【0007】すなわち、本発明の第一の処理方法は、石
油系燃焼灰またはその処理物を水性スラリーにする水浸
出工程と、この固形分にアンモニアを加えて中性ないし
アルカリ性に調整した後に酸化剤を添加して含有金属を
液中に浸出させるアンモニア浸出工程とを有する処理方
法において、水浸出の際に水性スラリーを濾過し、固形
分をアンモニア浸出工程に送る一方、濾液を水浸出工程
に循環して再使用することにより濾液中のバナジウム濃
度を高めることを特徴とする石油系燃焼灰の処理方法で
ある。
【0008】上記処理方法においては、好ましくは、水
性スラリーの濾液のニッケル濃度が100ppm以下およ
びマグネシウム濃度が3000ppm以下となる範囲で、
水性スラリーの濾液を水浸出に循環して再使用するのが
良い。
【0009】また、本発明の第二の処理方法は、石油系
燃焼灰またはその処理物を水性スラリーにする水浸出工
程と、この固形分にアンモニアを加えて液性を中性ない
しアルカリ性に調整した後に酸化剤を添加して含有金属
を液中に浸出させるアンモニア浸出工程とを有する処理
方法において、アンモニア浸出の際、一段目の空気酸化
の後に固液分離し、その固形分に過酸化水素を添加して
二段目の酸化処理を行い、その濾液を空気酸化工程に循
環することを特徴とする石油系燃焼灰の処理方法であ
る。
【0010】上記処理方法において、好ましくは、アン
モニア浸出液をpH7〜9に調整して空気酸化と過酸化
水素による酸化を行い、空気酸化を酸化還元電位100
〜150mVで終了し、過酸化水素による酸化を酸化還元
電位150mV以上で終了するのが良い。
【0011】さらに本発明の第三の処理方法は、石油系
燃焼灰またはその処理物を水性スラリーにする水浸出工
程、水性スラリーの濾液を強酸性に調整して加熱下でバ
ナジウム化合物を析出させ、これを濾別回収するバナジ
ウム回収工程、上記水性スラリーの固形分にアンモニア
水を加えて中性ないしアルカリ性に調整した後に酸化剤
を添加して含有金属を液中に浸出させるアンモニア浸出
工程、アンモニア浸出濾液にバナジウム抽出溶媒を加え
てバナジウムを抽出する工程および/または上記浸出濾
液にニッケル抽出溶媒を加えてニッケルを抽出する工程
を有する処理方法において、(イ)水浸出工程の水性スラ
リーを濾過し、この濾液を水浸出に循環して再使用する
ことによりバナジウム濃度を高めた後にバナジウム回収
工程に送ってバナジウムを回収し、一方、(ロ)上記水性
スラリーの固形分をアンモニア浸出工程に送り、空気酸
化後に固液分離し、その固形分に過酸化水素を添加して
更に酸化処理した後に、その濾液を空気酸化工程に循環
し、(ハ)この空気酸化後の浸出濾液をバナジウムおよび/
またはニッケルの溶媒抽出工程に送ってバナジウムおよ
び/またはニッケルを回収することを特徴とする処理方
法である。
【0012】
【発明の実施の態様】以下、本発明を実施態様に基づい
て詳細に説明する。本発明の処理方法の概略を図1に示
す。図示するように、本発明は石油系燃焼灰からバナジ
ウムやニッケルなどを回収し、さらにはその残渣をセメ
ント原料として利用することができる処理方法に関す
る。本発明に係る第一の処理方法はその水浸出工程に関
し、第二の処理方法はアンモニア浸出工程に関し、第三
の処理方法は水浸出工程、アンモニア浸出工程および溶
媒抽出工程を含む全体の処理系に関する。
【0013】なお、本発明の処理対象である石油系燃焼
灰とは、タール質燃料、アスファルト、およびこれらを
エマルジョン化したもの、重油、石油コークス、石油ピ
ッチ等の石油系燃料を燃焼した際に生じる塵灰である。
具体的は、発電所や各種工業プラントのボイラー等から
排出される集塵灰等である。因みに、通常、燃焼灰には
未燃カーボンが含まれているがこれは除去して処理する
のが好ましい。未燃カーボンは燃焼灰のスラリーを攪拌
して静置すると液面に浮遊し、これを掻き取りあるいは
流し出すことにより容易に除去することができる。
【0014】図示する本発明の処理方法は、石油系燃焼
灰またはその処理物を水性スラリーにする水浸出工程
(A)、水性スラリーの濾液を強酸性に調整して加熱下で
バナジウム化合物を析出させ、これを濾別回収するバナ
ジウム回収工程(B)、上記水性スラリーの固形分にアン
モニア水を加えて中性ないしアルカリ性に調整した後に
酸化剤を添加して含有金属を液中に浸出させるアンモニ
ア浸出工程(C)、アンモニア浸出濾液にバナジウム抽出
溶媒を加えてバナジウムを抽出する工程および/または
上記浸出濾液にニッケル抽出溶媒を加えてニッケルを抽
出する工程(D)を有している。以下、各工程について説
明する。
【0015】(A)水浸出工程 石油系燃焼灰に水や硫酸を加えて水性スラリーにし、液
中にバナジウム等を浸出させる。この水性スラリーを固
液分離し、その濾液をバナジウム回収工程に送る。本発
明の第一の処理方法は、この水浸出工程において、水性
スラリーを濾過して固形分をアンモニア浸出工程に送る
一方、濾液を水浸出工程に循環して再使用することによ
り濾液中のバナジウム濃度を高める方法である。濾液中
のバナジウム濃度を高めることによってその回収率が向
上する。
【0016】濾液を水浸出工程に循環する基準は、水性
スラリーから固液分離された濾液中のニッケル濃度が1
00ppm以下およびマグネシウム濃度が3000ppm以下
となる範囲内である。マグネシウム濃度がこれより高く
なると硫酸マグネシウムアンモニウム等の影響によりマ
グネシウムが析出するので好ましくない。また、この濾
液はバナジウム回収工程に送られるので、ニッケル濃度
が上記範囲を超えると溶媒抽出工程で回収されるニッケ
ル量が減少する。
【0017】(B)バナジウム回収工程 水浸出工程の上記濾液にアンモニアを加えてpH2〜4
に調整し、好ましくは80〜90℃に加熱することによ
り酸化バナジウムを析出させる。なお、この酸化バナジ
ウムを回収して炭酸ナトリウムや塩素酸ナトリウムを加
え、液性を弱酸性に調整して酸化バナジウムを溶解し、
液中の未溶解物を濾別した後に、この濾液にアンモニア
ないしアンモニア塩を加え、この濾液を75〜85℃程
度に加熱してバナジン酸アンモニウムを再び沈殿させる
ことにより、不純物の少ないバナジウム化合物を回収す
ることができる。
【0018】(C)アンモニア浸出工程 本発明の第二の処理方法は上記水浸出工程後のアンモニ
ア浸出工程に関する。石油系燃焼灰の水性スラリーまた
は水性スラリーを固液分離した固形分に、アンモニアと
水を加えて中性ないしアルカリ性に調整しながら空気酸
化を行うと共に酸化剤を添加して含有金属を液中に浸出
させる。この固形分にはニッケルが含まれ、また水浸出
で分離できなかったバナジウムが含まれている。これを
アンモニア浸出によって液中に溶出させる。石油系燃焼
灰には多量の硫黄分が含まれているので、これを水性ス
ラリーにすると硫黄分が溶出して酸性の溶液となるが、
アンモニアを加えてスラリーを中性〜アルカリ性に調整
する。具体的には、例えば、上記スラリーにアンモニア
水を添加してスラリーのpHを7〜9に調整する。アン
モニアの添加は常温下でよく加熱する必要はない。
【0019】本発明に係る第二の処理方法は、このアン
モニア浸出において二段階の酸化処理を行う。すなわ
ち、アンモニアを添加して中性ないしアルカリ性に調整
したスラリーに先ず空気を導入して攪拌し、スラリーに
含まれるニッケルやバナジウム等を酸化する。この一段
目の空気酸化の後にスラリーを固液分離し、その固形分
に必要に応じてアンモニアを再度添加して液性を中性〜
アルカリ性に調整し、これに過酸化水素を添加して二段
目の酸化処理を行う。過酸化水素を添加したときには必
要に応じてスラリーを攪拌すると良い。
【0020】上記酸化処理において、好ましくは、アン
モニア浸出スラリーの液性をpH7〜9に調整して空気
酸化と過酸化水素による酸化を行い、スラリーの酸化還
元電位が100〜150mVになる範囲で空気酸化で終了
し、次いで過酸化水素を添加して酸化処理を行い、スラ
リーの酸化還元電位が150mV以上になるようにその添
加量を調整する。空気酸化のみでは液の酸化還元電位が
短時間で150mV以上になるのは難しいので、この範囲
まで空気酸化を行い、その次に、スラリーの酸化還元電
位が150mV以上になるまで過酸化水素を加えて酸化す
る。
【0021】二段階の酸化処理を行うことにより、スラ
リーに含まれる酸化し易い状態の金属分が最初の空気酸
化によって液中に浸出する。この空気酸化では浸出せず
に固形分に残留している金属分を次の過酸化水素の酸化
処理によって液中に浸出させる。なお、最初に空気酸化
を行うので過酸化水素による酸化処理の負担が軽減され
る。二段目の過酸化水素による酸化処理の後に固液分離
を行い、その濾液の全量を一段目の空気酸化に循環す
る。この濾液の全量を空気酸化に返送することにより、
アンモニア浸出工程全体の液量を増加せずに浸出効果を
高めることができる。一方、過酸化水素による酸化処理
後の固形分には未燃カーボン、シリカ、アルミナ等が含
まれており、これをセメント原料として利用することが
できる。
【0022】このような酸化処理を併用したアンモニア
浸出によって、水浸出では溶出しなかった焼却灰中のニ
ッケルおよびバナジウムが溶出し、その浸出効果が格段
に向上する。具体的には、酸化処理を行わないアンモニ
ア浸出の場合にはバナジウムの浸出率は30〜40%で
あるが、酸化処理を併用したアンモニア浸出ではバナジ
ウムの浸出率は90%以上に大幅に向上する。これはバ
ナジウムの価数が多くなりアルカリ性下でイオン化し易
い形態に転換するためと思われる。またニッケルの浸出
率は、スラリーが酸性(pH3〜5程度)のときには20
〜30%台であるが、中性〜アルカリ性(pH7〜9)で
は約70〜100%に達し、格段に浸出率が向上する。
【0023】なお、以上の酸化処理を併用したアンモニ
ア浸出は加熱下で行う必要はなく、常温下で良い。従来
の処理方法(特公平04-61709号)では、スラリーに加熱下
でアンモニアと酸化剤を添加して金属を酸化することが
知られているが、この酸化処理は金属分の析出を促すた
めであり、これを40℃以下に冷却してバナジウム化合
物を析出させている。一方、本発明のアンモニア浸出処
理では、常温下でバナジウムやニッケルは液中に溶解し
ており析出しない。本発明の処理方法ではアンモニア浸
出工程で液中に浸出させたバナジウムやニッケルをその
まま液中に溶解した状態とし、これを溶媒抽出によって
回収する。
【0024】(D)溶媒抽出工程 (イ)ニッケル抽出 アンモニア浸出工程の空気酸化後の固液分離で得た濾液
にニッケル抽出溶媒を加えて混合し、溶媒中にニッケル
を抽出する。このニッケルイオンを含む有機溶液を浸出
濾液と分離してニッケル析出工程に導く。一方、浸出濾
液にはニッケルと共に浸出したバナジウム等が含まれて
いるのでバナジウム抽出工程に導いて処理する。ニッケ
ルの抽出溶媒としては、キレート剤(2-Hydroxy-5-Nonyl
acetophenone-Oxime)をケロシンで10vol%に希釈した
ものなどを用いることができる。抽出操作は、例えば、
浸出液に対してこの溶媒を1:1の液量で混合し、液性
を中性付近(pH:8前後)に保って行う。なお、一般にニッ
ケル抽出溶媒として用いられている他の溶液を用いても
良い。このニッケル抽出処理はバナジウム抽出処理の後
に行っても良い。
【0025】ニッケルイオンを含む有機溶液を浸出濾液
と分離し、これに硫酸液を加えて硫酸液中にニッケルを
逆抽出する。ニッケルは硫酸ニッケルに転じて溶解す
る。これを加熱して水分を蒸発させ濃縮して回収する。
あるいは硫酸ニッケルの溶解度以下に冷却して析出させ
て回収する。ニッケルが逆抽出された有機相は上記硫酸
液から分離してニッケル抽出工程に循環し、再利用する
ことができる。
【0026】(ロ)バナジウム抽出 上記アンモニア浸出工程の濾液、あるいは上記ニッケル
抽出工程で有機溶媒相と分離した浸出液(水相)にバナジ
ウム抽出溶媒を加えて混合し、溶媒中にバナジウムを抽
出する。抽出手段としてはミキサセトラー等を利用する
と良い。バナジウムの抽出溶媒としては、キレート剤(T
ricaprylyl Methyl Ammonium Chloride)をケロシンで5
vol%に希釈したものなどを用いることができる。抽出
操作は、例えば、浸出液に対してこの溶媒を1:1の液
量で混合し、液性を中性(pH=7.5程度)に保って行う。な
お、一般にバナジウム抽出溶媒として用いられている他
の溶液を用いても良い。
【0027】バナジウムイオンを含む有機溶媒を浸出濾
液と分離し、これに逆抽出液(水相)を加えてバナジウム
を水相に移行させる。逆抽出液としては、塩化アンモニ
ウムとアンモニア水の混合液(NH4Cl:80%、NH4OH:30%)
等を用いることができる。逆抽出液と分離した有機溶媒
はバナジウム抽出工程に循環して再利用することができ
る。この逆抽出液からバナジウム化合物(メタハ゛ナシ゛ン酸アンモ
ニウム等)を析出させ、これを固液分離して回収する。な
お、バナジウム化合物を析出させる際には、アンモニア
等を加えて溶液のpHを9前後に調整し、液温を75℃
前後に加熱すると良い。バナジウムを分離した濾液はマ
グネシウムを含むものはその回収工程に導く。
【0028】以上の溶媒抽出工程において、バナジウム
抽出液として用いられるメチルアンモニウム系キレート
液は中性(約pH7.5)で作用し、また、ニッケル抽出液と
して用いられるアセトフェノン系キレート液は中性付近
(約pH8)で作用するので、これらを用いれば浸出濾液の
液性を大幅に調整せずにバナジウムやニッケルの抽出を
行うことができる。
【0029】(E)その他 アンモニア浸出工程において、ニッケルやバナジウムと
共にマグネシウムや硫黄が浸出されている場合には、ニ
ッケル抽出工程で分離した濾液からマグネシウムおよび
石膏を回収することができる。回収方法の一例として
は、ニッケル抽出工程で分離された浸出濾液に酸化カル
シウム(生石灰)や消石灰、またはこれらの混合スラリー
を加え、常温のままpH9〜10前後に調整することに
より石膏をを析出させる。これを濾過分離して回収す
る。あるいは、この濾液に石灰または水酸化ナトリウム
を加え、pH10〜12前後に調整し、沈殿した水酸化
マグネシウムを回収する。あるいはこの濾液を濃縮して
水酸化マグネシウムのスラリーとしても良い。なお、水
酸化マグネシウムを分離した液部はアンモニア浸出工程
に循環して再利用すると良い。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に示
す。なお、%は特に示さない限り重量(質量)%である。
【0031】実施例1 重油をボイラーで燃焼した際に電気集塵機で捕集したE
P灰(V:2.25%、Ni:0.5%含有)8kgに水8kgを加え
てスラリーとし、これを濾過し、その濾液をスラリーに
再度加えて濾過した。表1に示す条件下で、濾液の循環
を繰り返した後にこのスラリーを固液分離し、その濾液
に硫酸を加えてpH2〜4とし、85℃に加熱してバナ
ジン酸アンモニウムの析出物を得た。濾液の循環回数
(バナジウム濃度)に対する析出物量を水浸出条件と共に
表1に示した。この結果、濾液の循環回数(濾過回数)が
多く、バナジウム濃度が高いほど析出量が増加すること
が確認された。
【0032】
【表1】
【0033】実施例2 実施例1と同様のEP灰8kgと水8kgの混合スラリーを
濾過し、その固形分にアンモニア水(濃度20g/l)と水を
加えて固体濃度を25%にしてpHを調整すると共に空
気を導入して酸化処理を行い、これを固液分離した固形
分にさらにアンモニア水(濃度20g/l)を加えてpHを調
整すると共に過酸化水素を加えて混合した。なお、この
酸化処理の際に2時間攪拌した。この過酸化水素による
酸化処理後、固液分離した濾液の全量を空気酸化工程に
返送してそのスラリーに加えることにより、バナジウム
とニッケルを液中に浸出させた。この結果を処理条件と
共に表2に示した。また、本発明の処理条件に外れるも
のを比較例として表3に示した。なお、浸出率は最初の
灰に対する重量比である。また、過酸化水素の添加率
(%)は灰とアンモニア水との合計量に対する重量比であ
る。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】実施例3 実施例2(No.1)の空気酸化後の濾液に、ニッケル抽出
溶媒(2-Hydroxy-5-Nonylacetophenone-Oximeをケロシ
ンで10vol%に希釈したもの)を等量加え、溶液のpH
を8に調整して3分間混合した。このニッケル抽出液を
濾液と分離した後に、該抽出液100mlに硫酸液(濃度20wt
%)100mlを加え、3分間混合してニッケルを逆抽出し、
この硫酸液をさらに新しい抽出液(上記成分)を用いて3
0回繰り返して濃縮した。この硫酸液を蒸発して硫酸ニ
ッケル粉末1.1gを得た。一方、実施例2(No.1)の空
気酸化後の濾液に、バナジウム抽出溶媒(Tricaprylyl
Methyl Ammonium Chlorideをケロシンで5vol%に希釈
したもの)を等量加え、溶液のpHを7.5に調整して
3分間混合した。このバナジウム抽出液を濾液と分離し
た後に、該抽出液25mlに逆抽出液(塩化アンモニウム
75%とアンモニア水25%の混合液)25mlを混合
し、pHを8.5で3分間混合してバナジウムを逆抽出
した。この逆抽出液から濾過してメタバナジン酸アンモ
ニウム粉末0.83gを得た。
【0037】
【発明の効果】本発明の処理方法によれば、石油系燃焼
灰からバナジウムやニッケルを効率よく浸出することが
でき、しかも操作が簡単であり装置の腐食も少ない。さ
らに、得られた浸出液は中性ないしアルカリ性であるの
で、液性を大幅に調整することなく一般に使用されてい
るバナジウム抽出溶媒やニッケル抽出溶媒を使用するこ
とができ、かつ抽出効果も良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の処理方法の概略を示す工程図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22B 3/20 C22B 3/00 Q 7/02 H 23/00 23/04 (72)発明者 プーパッキ メラニ 千葉県佐倉市大作二丁目4番2号 太平洋 セメント株式会社佐倉研究所内 (72)発明者 三浦 啓一 千葉県佐倉市大作二丁目4番2号 太平洋 セメント株式会社佐倉研究所内 Fターム(参考) 4D004 AA36 BA05 CA13 CA34 CA35 CA36 CA40 CB05 CB44 CC02 CC04 CC06 CC11 DA02 DA03 DA10 DA20 4K001 AA19 AA28 BA14 CA02 DB07 DB09 DB23 DB26 JA01 JA03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石油系燃焼灰またはその処理物を水性ス
    ラリーにする水浸出工程と、この固形分にアンモニアを
    加えて中性ないしアルカリ性に調整した後に酸化剤を添
    加して含有金属を液中に浸出させるアンモニア浸出工程
    とを有する処理方法において、水浸出の際に水性スラリ
    ーを濾過し、固形分をアンモニア浸出工程に送る一方、
    濾液を水浸出工程に循環して再使用することにより濾液
    中のバナジウム濃度を高めることを特徴とする石油系燃
    焼灰の処理方法。
  2. 【請求項2】 水性スラリーの濾液のニッケル濃度が1
    00ppm以下およびマグネシウム濃度が3000ppm以下
    となる範囲で、水性スラリーの濾液を水浸出に循環して
    再使用する請求項1の処理方法。
  3. 【請求項3】 石油系燃焼灰またはその処理物を水性ス
    ラリーにする水浸出工程と、この固形分にアンモニアを
    加えて液性を中性ないしアルカリ性に調整した後に酸化
    剤を添加して含有金属を液中に浸出させるアンモニア浸
    出工程とを有する処理方法において、アンモニア浸出の
    際、一段目の空気酸化の後に固液分離し、その固形分に
    過酸化水素を添加して二段目の酸化処理を行い、その濾
    液を空気酸化工程に循環することを特徴とする石油系燃
    焼灰の処理方法。
  4. 【請求項4】 アンモニア浸出液をpH7〜9に調整し
    て空気酸化と過酸化水素による酸化を行い、空気酸化を
    酸化還元電位100〜150mVで終了し、過酸化水素に
    よる酸化を酸化還元電位150mV以上で終了する請求項
    3に記載する処理方法。
  5. 【請求項5】 石油系燃焼灰またはその処理物を水性ス
    ラリーにする水浸出工程、水性スラリーの濾液を強酸性
    に調整して加熱下でバナジウム化合物を析出させ、これ
    を濾別回収するバナジウム回収工程、上記水性スラリー
    の固形分にアンモニア水を加えて中性ないしアルカリ性
    に調整した後に酸化剤を添加して含有金属を液中に浸出
    させるアンモニア浸出工程、アンモニア浸出濾液にバナ
    ジウム抽出溶媒を加えてバナジウムを抽出する工程およ
    び/または上記浸出濾液にニッケル抽出溶媒を加えてニ
    ッケルを抽出する工程を有する処理方法において、(イ)
    水浸出工程の水性スラリーを濾過し、この濾液を水浸出
    に循環して再使用することによりバナジウム濃度を高め
    た後にバナジウム回収工程に送ってバナジウムを回収
    し、一方、(ロ)上記水性スラリーの固形分をアンモニア
    浸出工程に送り、空気酸化後に固液分離し、その固形分
    に過酸化水素を添加して更に酸化処理した後に、その濾
    液を空気酸化工程に循環し、(ハ)この空気酸化後の浸出
    濾液をバナジウムおよび/またはニッケルの溶媒抽出工
    程に送ってバナジウムおよび/またはニッケルを回収す
    ることを特徴とする処理方法。
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