JP2001192387A - テトラキス(トリメチルシリル)シラン及びトリス(トリメチルシリル)シランの製造方法 - Google Patents

テトラキス(トリメチルシリル)シラン及びトリス(トリメチルシリル)シランの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 テトラクロロシランとクロロトリメチル
シランとを金属リチウムの存在下に反応させた後、反応
液を中性又は酸性条件を保ちながら活性プロトンを有す
る化合物を加え、残存する金属リチウムを処理した後、
得られた有機層からテトラキス(トリメチルシリル)シ
ランを分離することを特徴とするテトラキス(トリメチ
ルシリル)シランの製造方法。 【効果】 本発明によれば、テトラクロロシランとクロ
ロトリメチルシランとを金属リチウム存在下で反応させ
た後、残存する金属リチウムを安全かつ容易に処理し
て、好収率で工業的スケールにおいてテトラキス(トリ
メチルシリル)シラン及びトリス(トリメチルシリル)
シランを製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アモルファス炭化
ケイ素フィルムのためのCVD材料や各種機能材料の製
造中間体として有用なテトラキス(トリメチルシリル)
シラン及び還元剤やヒドロシリル化剤として有用なトリ
ス(トリメチルシリル)シランの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
テトラキス(トリメチルシリル)シランの製造方法とし
ては、テトラクロロシランとクロロトリメチルシランを
金属リチウムの存在下に反応させる方法が知られている
((1)Journal of the Americ
an Chemical Society 86,14
51(1964)及び(2)Journal of O
rganometallic Chemistry
,245−253(1967))。
【0003】しかしながら、上記(1)及び(2)の文
献に記載されている方法は、理論所要量に対して大過剰
の金属リチウムを使用するものであり、この方法では、
必然的に反応液中に活性化された金属リチウムが大量に
残存するため、後処理工程でこれを濾過により反応系か
ら除く必要がある。この作業は煩雑であるばかりでな
く、発火し易い微細な金属リチウムを濾過するため、非
常に危険性が高く、工業的な製造において好ましい方法
ではなかった。
【0004】この危険性を回避するため、濾過分離以外
の方法で残存金属リチウムを処理する方法としては、水
などの金属リチウムと反応して不活性化できる活性プロ
トンを有する化合物を含む別の反応器へ、残存金属リチ
ウムを含む反応液をフィードして金属リチウムを分解さ
せる方法が考えられる。しかし、この方法では反応器が
2つ必要であることや金属リチウム分散液を移送する装
置が必要になるなど、製造設備が複雑になるだけでな
く、移送中の金属リチウム分散液が着火するなどの危険
性を完全に回避することは難しく、やはり工業的な製造
において好ましい方法ではない。
【0005】なお、上記(1)及び(2)の文献に記載
されている方法で収率よくテトラキス(トリメチルシリ
ル)シランを得る場合、金属リチウムを大過剰に用いる
ため、反応終了後、単に水やアルコール等を添加する方
法は安全かつ容易ではあるが、添加の過程で系がアルカ
リ性となり、目的化合物の分解が起こり、収率が著しく
低下する。
【0006】一方、上記文献(2)には、金属リチウム
を残存させないために反応において理論必要量以下の金
属リチウムを使用する方法も記載されている。しかし、
この方法では収率が著しく低下するばかりでなく、反応
系が副生する塩化リチウムなどにより懸濁系となり、吸
着などが起るため、完全に金属リチウムを消失させるこ
とは極めて困難であった。
【0007】従って、本発明はテトラクロロシランとク
ロロトリメチルシランとを金属リチウムの存在下に反応
させた後、安全かつ容易に、そして収率を低下させるこ
となく残存する金属リチウムを処理し、工業的スケール
でテトラキス(トリメチルシリル)シランを製造するこ
とが可能なテトラキス(トリメチルシリル)シランの製
造方法及びトリス(トリメチルシリル)シランの製造方
法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結
果、テトラキス(トリメチルシリル)シランの製造方法
において、反応液を中性又は酸性条件を保ちながら反応
器内に水などの活性プロトンを有する化合物を加えるこ
とにより、金属リチウムの濾過や金属リチウムを含む懸
濁液の別の反応器への移送の必要が無く、安全かつ容易
に残存する金属リチウムを処理することができることを
知見した。またこのようにして得られた、テトラキス
(トリメチルシリル)シランにアルキルリチウム又はア
ルカリ金属アルコキシドを反応させ、次いで酸によって
加水分解することにより、安全かつ容易にトリス(トリ
メチルシリル)シランを得ることができることを知見
し、本発明をなすに至った。
【0009】即ち、本発明は、テトラクロロシランとク
ロロトリメチルシランとを金属リチウム存在下に反応さ
せた後、反応液を中性又は酸性条件を保ちながら活性プ
ロトンを有する化合物を加え、残存する金属リチウムを
処理した後、得られた有機層からテトラキス(トリメチ
ルシリル)シランを分離することを特徴とするテトラキ
ス(トリメチルシリル)シランの製造方法、及びこの方
法で、テトラキス(トリメチルシリル)シランを製造し
た後、これにアルキルリチウム又はアルカリ金属アルコ
キシドを反応させ、次いで酸によって加水分解すること
を特徴とするトリス(トリメチルシリル)シランの製造
方法を提供する。
【0010】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明においてテトラクロロシランとクロロトリメチル
シランとを金属リチウムの存在下反応させる場合、
(A)金属リチウムとテトラクロロシランを含む反応器
にクロロトリメチルシランを滴下し反応させる方法、
(B)金属リチウムとクロロトリメチルシランを含む反
応器にテトラクロロシランを滴下し反応させる方法、
(C)金属リチウムを含む反応器にテトラクロロシラン
とクロロトリメチルシランの混合液を滴下し反応させる
方法の何れも可能である。しかし、テトラクロロシラン
及びクロロトリメチルシランは何れも高濃度、高温では
単独で金属リチウムと反応して、テトラクロロシランと
リチウムの反応で得られるケイ素含有オリゴマーやポリ
マー、クロロトリメチルシランとリチウムの反応で得ら
れるヘキサメチルジシラン等望ましくない生成物を与え
るため、低温あるいは低濃度で反応を行う必要がある
(A)及び(B)の方法より、より常温に近い温度で反
応させることができる(C)の方法がより好ましい。
【0011】また、反応は無溶媒でも可能であるが、テ
トラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル系
溶媒のほか、ペンタン、ヘキサンなどの炭化水素系溶媒
などの非プロトン性溶媒を使用することが好ましい。な
お、反応温度などの反応条件は、公知の反応条件とする
ことができる。
【0012】本発明においては、上記反応後、反応液を
中性又は酸性条件、好ましくはpH7以下の条件を保ち
ながら、反応液に活性プロトンを有する化合物を加え、
残存する金属リチウムを処理する。
【0013】本発明において、反応液を常に中性又は酸
性条件に保ちながら金属リチウムを処理する方法として
は、まず、反応液へ活性プロトンを有する化合物として
実質的に水を含まない酸を添加する方法が挙げられ、こ
の場合における酸としては、塩化水素、臭化水素などの
無機酸、ギ酸、酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ
メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸な
どが挙げられる。
【0014】また、別の方法としては、反応後、金属リ
チウムとは直接反応しないが、活性プロトンと反応して
酸を発生させることが可能かあるいは水酸化リチウムや
リチウムアルコキシドなどを即座に中和することが可能
な化合物である無水酢酸などの酸無水物や五酸化二リン
などの酸性酸化物を添加した後、活性プロトンを有する
化合物を添加する方法が挙げられる。この場合における
活性プロトンを有する化合物としては、水、メタノール
等のアルコール類、塩酸、臭化水素酸、硫酸などの無機
酸、ギ酸、酢酸などの有機酸が挙げられる。
【0015】更に別の方法としては、反応に使用するテ
トラクロロシランとクロロトリメチルシランの総クロル
当量を金属リチウムの当量以上として反応を行い、反応
後、反応液へ活性プロトンを有する化合物を添加する方
法が挙げられる。この方法では、テトラクロロシランと
クロロトリメチルシランの総クロル当量が金属リチウム
の当量以上であれば、それぞれの使用量は任意である
が、収率及び経済性を考慮してテトラクロロシランを1
モル(クロル当量は4モル)使用する場合のクロロトリ
メチルシランの使用量は、4〜8モル(クロル当量は4
〜8モル)が好ましく、この際の総クロル当量は、8〜
12モルとなるため、金属リチウムの使用量は総クロル
当量、即ち8〜12グラム原子以下の任意量であるが、
テトラクロロシラン1モルに対する理論所要量である8
グラム原子以上であることが好ましい。この方法におけ
る活性プロトンを有する化合物も、水、メタノール等の
アルコール類、塩酸等の酸類等、活性プロトンを有する
化合物ならば任意である。
【0016】上記反応液を常に中性又は酸性条件を保つ
方法の中でも、最後に記載した方法が最も簡便で好まし
い。
【0017】なお、上記活性プロトンを有する化合物の
添加量は、残存金属リチウムを除去し得る有効量であ
り、通常残存金属リチウム量の1〜50倍モル量、好ま
しくは1〜10倍モル量である。
【0018】金属リチウムの処理後、得られた有機層か
ら目的とするテトラキス(トリメチルシリル)シランを
分離する方法は、任意であるが、有機層を濃縮後、メタ
ノールなどのアルコールを添加して結晶化する方法が典
型的であり、更に再結晶や昇華により精製することがで
きる。
【0019】上記の方法で製造されたテトラキス(トリ
メチルシリル)シランは、ケイ素−ケイ素結合を切断す
ることによってトリス(トリメチルシリル)シランを製
造することができる。
【0020】この場合、このケイ素−ケイ素結合の切断
によるトリス(トリメチルシリル)シランの製造方法
は、公知の方法(例えば、Org.Synth.70
164−168(1992;Eur.J.Inorg.
Chem.221−226(1998))に従って行う
ことができ、テトラキス(トリメチルシリル)シランに
アルキルリチウム又はアルカリ金属アルコキシドを反応
させた後、酸によって加水分解させることが好ましい。
【0021】具体的には、テトラキス(トリメチルシリ
ル)シランの溶媒溶液にメチルリチウム、ブチルリチウ
ム等のアルキルリチウムを加えて反応させた後、反応液
を酸に滴下して加水分解を行い、有機層を分取・濃縮し
て減圧蒸留することによりトリス(トリメチルシリル)
シランが得られる。ここでアルキルリチウムの使用量は
テトラキス(トリメチルシリル)シランに対して通常1
〜1.5当量であり、反応温度は通常10〜30℃の常
温で行うことが好ましい。使用される溶媒はテトラヒド
ロフランやジエチルエーテルなどに代表されるエーテル
系溶媒や、ヘキサン、ペンタンなどの炭化水素系溶媒及
びそれらの混合溶媒等から任意に選択されるが、アルキ
ルリチウムの溶解性を考慮した場合、エーテル系溶媒の
使用が好ましい。加水分解反応には、例えば塩酸、硫酸
などの無機酸、ギ酸、酢酸などの有機酸やその水溶液等
を用いることができる。使用する酸の量は、アルキルリ
チウムの1〜50倍モル量、好ましくは1〜5倍モル量
の範囲である。なお、加水分解時には反応温度を常温以
下に保つことが好ましい。
【0022】また、本発明の製造方法により得られたテ
トラキス(トリメチルシリル)シランは、Eur.J.
Inorg.Chem.221−226(1998)に
記載されている方法でもトリス(トリメチルシリル)シ
ランへ変換することができる。テトラキス(トリメチル
シリル)シランの溶媒溶液にカリウムtert−ブトキ
シド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムメト
キシド、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属アルコ
キシドを加えて反応させた後、反応液を酸に滴下して加
水分解を行い、有機層を分取・濃縮して減圧蒸留するこ
とによりトリス(トリメチルシリル)シランが得られ
る。この反応においてもエーテル系溶媒や炭化水素系溶
媒の使用が可能であるが、アルカリ金属アルコキシドの
溶解度が大きいジメトキシエタンやテトラヒドロフラン
などを用いることが好ましい。アルカリ金属アルコキシ
ドの使用量はテトラキス(トリメチルシリル)シランに
対して1当量以上、特に1〜1.1当量の使用が好まし
い。反応温度は通常10〜30℃の常温で行うことが好
ましい。加水分解反応には、例えば塩酸、硫酸などの無
機酸、ギ酸、酢酸などの有機酸やその水溶液等を用いる
ことができ、酸の使用量は、用いたアルカリ金属アルコ
キシドの1〜50倍モル量、好ましくは1〜5倍モル量
の範囲である。なお、加水分解時には反応温度を常温以
下に保つことが好ましい。
【0023】本発明の製造方法により得られたテトラキ
ス(トリメチルシリル)シランをトリス(トリメチルシ
リル)シランの原料として用いることにより、安全かつ
容易にトリス(トリメチルシリル)シランを製造するこ
とができる。このトリス(トリメチルシリル)シラン
は、還元剤やヒドロシリル化剤等として有効に用いられ
る。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例によって更
に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例の記載に
何ら制約されるものではない。
【0025】[実施例1]滴下ロート、還流冷却器、温
度計、撹拌機を備えた四つ口フラスコを窒素置換した。
テトラクロロシラン79.0g(0.465mol)と
クロロトリメチルシラン247.6g(2.28mo
l、テトラクロロシランに対する理論所要量の1.22
5倍量)を均一に混合して滴下ロート内に仕込み、フラ
スコには金属リチウム(ショット状)27.1g(3.
91g−atom、テトラクロロシランに対する理論所
要量の1.05倍量)、テトラヒドロフラン(THF)
560mlを仕込んだ。総クロル当量は金属リチウムに
対して1.06当量である。フラスコを氷浴で冷却し、
滴下ロートよりクロロトリメチルシランとテトラクロロ
シランの混合液を6時間かけて滴下した。滴下に伴い発
熱がみられ、白色の固体が析出した。フラスコの内温は
4〜12℃であった。
【0026】滴下終了後、5〜10℃で30分間撹拌し
た後、氷浴をはずして内容物を室温に戻した。ガスクロ
マトグラフィー(GC)用標準物質としてオクタン5
3.1g(0.465mol)を反応混合物に添加し
た。反応混合物を室温で一晩撹拌した後、溶媒還流温度
で2.5時間熟成した。この時点で反応を終了した。テ
トラキス(トリメチルシリル)シランのGC内部標準収
率は79.8%であった。
【0027】反応混合物を再度氷浴で冷却し、メタノー
ル74.2g(2.32mol)を6〜9℃で1時間か
けて滴下した。滴下に伴い、発熱と発泡がみられた。室
温で6時間、更に溶媒還流下で2時間撹拌を続けたとこ
ろ、残存していた金属リチウムは消失した。テトラキス
(トリメチルシリル)シランのGC内部標準収率は7
9.3%であった。
【0028】混合物を水浴で冷却し、10%塩化アンモ
ニウム水溶液920gを1時間かけて滴下した。滴下初
期には大きな発熱がみられ、水層のpHは約1であっ
た。有機層を分離し、微量の不溶固体を濾過して除い
た。濾液をロータリーエバポレーターで減圧濃縮した。
析出した固体を濾過し、メタノール500mlで洗浄し
た。濾液を再度減圧濃縮し、析出した固体を濾過してメ
タノール150mlで洗浄した。2度の濾過で得られた
白色の固体を減圧乾燥して、白色固体117.9gを得
た。GC、核磁気共鳴スペクトル及び質量スペクトルに
より、この白色固体がテトラキス(トリメチルシリル)
シランであり、99%以上の純度を有していることが確
認された。使用したテトラクロロシランに対する収率は
79.0%であった。
【0029】[実施例2]金属リチウム28.9g
(4.16g−atom、テトラクロロシランに対する
理論所要量の1.25倍量)、テトラクロロシラン7
0.7g(0.416mol)、クロロトリメチルシラ
ン324.7g(2.99mol、テトラクロロシラン
に対する理論所要量の1.625倍量)、THF870
mlを用いた以外は実施例1と同様に反応を行った(総
クロル当量は金属リチウムに対して1.05当量であ
る)。反応終了時のテトラキス(トリメチルシリル)シ
ランのGC内部標準収率は93.7%であった。
【0030】実施例1と同様にして後処理を行った結
果、水層のpHは約1であり、白色固体としてテトラキ
ス(トリメチルシリル)シランを得た。収量は113.
9gで、使用したテトラクロロシランに対する収率は8
5.3%であった。
【0031】[実施例3]滴下ロート、還流冷却器、温
度計、撹拌機を備えた500mlの四つ口フラスコを窒
素置換し、フラスコ内に実施例に従って合成したテトラ
キス(トリメチルシリル)シラン80.2g(0.25
mol)とTHF190mlを仕込んだ。フラスコを水
浴で冷却し、内容物を撹拌しながら、滴下ロートよりカ
リウムtert−ブトキシド29.5g(0.263m
ol)を130mlのTHFに溶解した液を内温31〜
33℃で1時間かけて滴下した。その後、30℃にて5
時間撹拌を続けたところテトラキス(トリメチルシリ
ル)シランの反応率は99%以上に達した。
【0032】次に滴下ロート、還流冷却器、温度計、撹
拌機を備えた1000mlの四つ口フラスコを窒素置換
した。上記の方法で得られたオレンジ色の溶液を滴下ロ
ート内に仕込み、フラスコには酢酸16.5g(0.2
75mol)及び水25mlを仕込んだ。
【0033】フラスコを氷浴で冷却し、内容物を撹拌し
ながら滴下ロート内の溶液を1.5時間かけて滴下し
た。フラスコの内温は6〜9℃に保った。滴下終了後、
5〜10℃で30分間撹拌した後、氷浴をはずして内容
物を室温に戻し、ヘキサン125mlを加えて静置し
た。分液し、有機層を濃縮、蒸留して無色透明液体5
6.2gが得られた。GC、核磁気共鳴スペクトル及び
質量スペクトルにより、この液体はトリス(トリメチル
シリル)シランであることが確認された。使用したテト
ラキス(トリメチルシリル)シランに対する収率は9
0.3%であった。
【0034】[比較例1]テトラクロロシラン70.2
g(0.413mol)、クロロトリメチルシラン21
5.2g(1.982mol、テトラクロロシランに対
する理論所要量の1.2倍量)、金属リチウム25.5
g(3.68g−atom、テトラクロロシランに対す
る理論所要量の1.11倍量)、THF870mlを用
いた以外は実施例1と同様に反応を行った(総クロル当
量は金属リチウムに対して0.989当量である)。反
応終了時のテトラキス(トリメチルシリル)シランのG
C内部標準収率は79.0%であった。
【0035】実施例1と同様にして残存した金属リチウ
ムの後処理を行ったところ、水層のpHは約11であっ
た。有機層から白色固体としてテトラキス(トリメチル
シリル)シランを得た。収量は57.9gで使用したテ
トラクロロシランに対する収率は43.7%であった。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、テトラクロロシランと
クロロトリメチルシランとを金属リチウム存在下で反応
させた後、残存する金属リチウムを安全かつ容易に処理
して、好収率で工業的スケールにおいてテトラキス(ト
リメチルシリル)シラン及びトリス(トリメチルシリ
ル)シランを製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金生 剛 新潟県中頸城郡頸城村大字西福島28−1 信越化学工業株式会社合成技術研究所内 (72)発明者 長谷川 幸士 新潟県中頸城郡頸城村大字西福島28−1 信越化学工業株式会社合成技術研究所内 (72)発明者 渡辺 武 新潟県中頸城郡頸城村大字西福島28−1 信越化学工業株式会社合成技術研究所内 Fターム(参考) 4H039 CA92 CD20 4H049 VN01 VP04 VP05 VQ02 VQ76 VR11 VR23 VS12 VT03 VT32 VT33 VW02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テトラクロロシランとクロロトリメチル
    シランとを金属リチウムの存在下に反応させた後、反応
    液を中性又は酸性条件を保ちながら活性プロトンを有す
    る化合物を加え、残存する金属リチウムを処理した後、
    得られた有機層からテトラキス(トリメチルシリル)シ
    ランを分離することを特徴とするテトラキス(トリメチ
    ルシリル)シランの製造方法。
  2. 【請求項2】 反応に使用するテトラクロロシランとク
    ロロトリメチルシランの総クロル当量を、金属リチウム
    の当量以上とすることを特徴とする請求項1記載のテト
    ラキス(トリメチルシリル)シランの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の方法でテトラキス
    (トリメチルシリル)シランを製造した後、これにアル
    キルリチウム又はアルカリ金属アルコキシドを反応さ
    せ、次いで酸によって加水分解することを特徴とするト
    リス(トリメチルシリル)シランの製造方法。
JP2000328137A 1999-11-04 2000-10-27 テトラキス(トリメチルシリル)シラン及びトリス(トリメチルシリル)シランの製造方法 Expired - Lifetime JP3915872B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016540868A (ja) * 2013-12-20 2016-12-28 ブルースター・シリコーンズ・フランス・エスアエス ヒドロシリル化を阻害するための新規な光活性化系

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