JP2001192361A - S,s−エチレンジアミン−n,n’−ジコハク酸鉄アルカリ塩の製法 - Google Patents

S,s−エチレンジアミン−n,n’−ジコハク酸鉄アルカリ塩の製法

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JP2001192361A
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Nobuyoshi Nanbu
信義 南部
Masanori Furukawa
正法 古川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラクタム環化合物の少ない高純度のS,S−
エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸鉄アルカリ塩
の製法を提供すること。 【解決手段】 S,S−エチレンジアミン−N,N’−
ジコハク酸鉄アルカリ塩水溶液を、pH1.5〜5.0
に調整して鉄イオン過剰の状態とし、ラクタム環化合物
を、溶解度の低いラクタム環化合物の鉄塩として沈殿除
去することにより、ラクタム環化合物の少ない高純度の
S,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸鉄ア
ルカリ塩を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はS,S−エチレンジ
アミン−N,N’−ジコハク酸鉄アルカリ塩の製法に関
し、特に、ラクタム環化合物含量の少ないS,S−エチ
レンジアミン−N,N’−ジコハク酸鉄アルカリ塩を効
率よく製造することのできる方法に関するものである。
本発明によって得られる鉄アルカリ塩は、例えば写真用
薬剤、植物の微量成分肥料、燃焼助剤、研磨促進剤など
として有用である。
【0002】
【従来の技術】S,S−エチレンジアミン−N,N’−ジ
コハク酸(以下、S,S−EDDSと略記する)は、優
れたキレート形成能を有すると共に、生分解性が良好で
環境汚染を起こすことがないことから、洗浄剤(特開昭
63−199295号公報)としての用途が期待されて
おり、またその第二鉄塩は写真用薬剤(特開平6−16
1063号公報)等として使用も試みられている。また
その製法は、例えば「Neal,J.A.およびRose,N.J.,Inorg
anic Chemistry」,第7巻、第11号、1968年11月、第240
5〜2412頁などに開示されている。
【0003】他方、通常のアミノ酸は、その合成工程で
分子内環状アミド化合物であるラクタムを生成する傾向
があり(「大有機化学」第5巻296頁、昭和37年7月30日3
版発行、朝倉書店など)、アミノ酸に属するS,S−E
DDSを製造する際にも、ラクタム環化合物を副生する
ことが確認されている(「ケミカルアブストラクト」レ
コード番号107:103785、1987年など)。
【0004】該ラクタム環化合物(CAS番号:95175-
15-8、以下、ラクタムと略記する)は、生分解性および
キレート形成能に劣ることから、S,S−EDDSやそ
の金属塩を製造する際のラクタムの副生を抑える方法に
ついても検討されている。
【0005】該ラクタムは、S,S−EDDSの分子内
脱水アミド化反応によって生成すること、また、該ラク
タム化の反応速度はpH5以下の水溶液中で加熱すると
促進されることも確認されており、酸化鉄を用いてS,
S−EDDS鉄塩を製造する際には、該反応を促進する
ため反応温度を上げる必要があるので、ラクタムの副生
量が必然的に多くなる。
【0006】そこで、ラクタムの副生量を抑えるための
手段として、主反応の反応速度を高めるために比表面積
の大きい酸化鉄を使用する方法(特開平11−1307
41号公報)や、主反応での消費量に見合ったS,S−
EDDSを分割添加することにより、未反応S,S−E
DDSの高温状態での保持時間を短くする方法(特開平
11−189579号公報)も提案されている。
【0007】しかしながら、S,S−EDDSが酸化鉄
と反応する主反応と、ラクタムの環化反応は並行反応で
あるため、ラクタムの副生量を少なくするには自ずと限
界がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、その目的は、ラク
タム(環化合物)含量の少ない高純度のS,S−EDD
S鉄アルカリ塩を、簡単な方法で効率よく製造すること
のできる方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明の製法とは、S,S−EDDS鉄アルカ
リ塩水溶液中に含まれるラクタムを、ラクタム鉄塩の沈
殿として分離除去するところに要旨を有している。
【0010】この方法を実施するに当たっては、反応に
使用する鉄分含量を、S,S−EDDSとラクタムの合
計当量に対し0〜0.1当量過剰とし、且つ水溶液pH
を1.5〜5.0の範囲に調整してラクタム鉄塩の沈殿
を生成させ、あるいは酸化鉄とS,S−EDDSおよび
アルカリ化合物を原料として用いてS,S−EDDS鉄
アルカリ塩を製造する際に、使用する酸化鉄の鉄当量を
S,S−EDDSに対して1.00〜1.10当量と
し、且つアルカリ化合物の使用量をS,S−EDDSに
対して0.50〜0.95当量の範囲で使用すること
は、ラクタム鉄塩の沈殿をより効率よく生成させて分離
除去し、目的物であるS,S−EDDS鉄アルカリ塩の
純度を一層高める上で好ましい実施態様として推奨され
る。
【0011】またこれらの方法を実施する際には、S,
S−EDDS鉄アルカリ塩水溶液に、無機鉄塩化合物と
酸またはアルカリを添加することは、該水溶液中に含ま
れるラクタムを鉄塩の沈殿として効率よく生成させる上
で極めて効果的である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明者らは前述した課題の解決
を期して鋭意検討を重ねた結果、S,S−EDDSアル
カリ鉄塩水溶液中に含まれるラクタムは、過剰量の鉄イ
オンの存在下でラクタム鉄(3価鉄)塩となること、そ
して該ラクタム鉄塩は、特定pH領域での溶解度が低い
ため水性液系から容易に沈殿として析出することを知
り、こうした現象をうまく利用すれば、S,S−EDD
Sアルカリ鉄塩水溶液中に含まれるラクタムを効率よく
分離除去することができ、ラクタム含量の少ない高純度
のS,S−EDDSアルカリ鉄塩が簡単に得られること
を確認し、上記本発明に想到したものである。
【0013】そして本発明では、S,S−EDDSアル
カリ鉄塩水溶液を鉄イオン過剰で所定のpH領域にする
ための手段として、反応原料の仕込み比率を調整する方
法と、S,S−EDDSアルカリ鉄塩水溶液に鉄化合物
とアルカリ化合物を添加する方法が採用される。
【0014】本発明でラクタム除去のために生成させる
ラクタム鉄塩は、ラクタムと鉄が等モル結合した約6個
の結晶水を有する塩であり、硝酸鉄とラクタムアンモニ
ウムを等モル反応させて得られたラクタム鉄塩の純水に
対するpHと溶解度の関係は図1に示す通りである。
【0015】図1からも明らかな様にラクタム鉄塩の溶
解度は、pHが1.5〜5.0の範囲、特にpH2.0
〜4.5の範囲で極めて小さくなる。従って、不純物と
してラクタム成分と鉄イオンを含むS,S−EDDSア
ルカリ鉄塩水溶液を該pH領域に調整すると、ラクタム
成分は水に難溶性のラクタム鉄塩として析出するので、
この沈殿を除去すれば、ラクタム成分含量の少ない高純
度のS,S−EDDSアルカリ鉄塩水溶液を得ることが
できるのである。
【0016】そして、キレート鉄塩の製造で一般的に採
用される酸化鉄を原料として用いて本発明を実施するに
当たっては、反応に使用するアルカリ化合物をS,S−
EDDSに対して0.50〜0.95当量の範囲に調整
すれば、生成するS,S−EDDSアルカリ鉄塩水溶液
のpHを2.0〜4.5の好適領域に納めることがで
き、ラクタム鉄塩の沈殿分離をより効果的に行なうこと
ができる。この時、鉄成分をS,S−EDDSとラクタ
ムの合計当量に対して過剰量存在させ、S,S−EDD
Sアルカリ鉄塩水溶液に酸またはアルカリを添加してp
Hを2.0〜4.5の範囲に調整すると、共存するラク
タム成分をラクタム鉄塩として一層効率よく沈殿させる
ことができる。
【0017】即ち、S,S−EDDSは鉄と優先的に強
固なキレート結合を形成するので、S,S−EDDSア
ルカリ鉄塩水溶液中のラクタム成分を鉄塩に変えるに
は、鉄含有量をS,S−EDDSとラクタム成分の合計
当量に対して過剰量とすることが必要となる。しかし、
余剰分の鉄イオンは水酸化鉄の沈殿となって鉄分使用量
が無駄になるだけであるので、鉄分としての使用量は
S,S−EDDSアルカリ鉄塩とラクタム鉄塩の合計当
量に対して1.1当量以下、望ましくは1.08当量以
下に抑えることが望ましい。
【0018】なお、鉄イオン量がS,S−EDDSより
も過剰でS,S−EDDSとラクタムの合計当量より少
ない場合でも、一部のラクタム成分はラクタム鉄塩とし
て沈殿するが、鉄イオンと結合していないラクタム成分
の水に対する溶解度は高く、処理液系から除去できなく
なる。よって、系中に存在するラクタム成分を効率よく
沈殿除去するには、S,S−EDDSとラクタムの合計
に対して当量以上の鉄分を使用することが必須の要件と
なる。
【0019】そこで、鉄源として酸化鉄を使用するとき
のS,S−EDDSアルカリ鉄塩生成反応では、酸化鉄
の使用量をS,S−EDDSに対して1.00〜1.1
0当量、望ましくは1.00〜1.08当量使用するこ
とにより、該反応工程で副生するラクタム成分の殆ど全
てをラクタム鉄塩として沈殿除去することができる。ま
た、ラクタム成分を含むS,S−EDDSアルカリ鉄塩
水溶液に、該ラクタム成分含量に対して当量以上の鉄化
合物を添加し、ラクタム成分をラクタム鉄塩に変えれ
ば、ラクタム成分を沈殿として分離除去することがで
き、高純度のS,S−EDDSアルカリ鉄塩水溶液を得
ることができる。
【0020】高純度のS,S−EDDSアルカリ鉄塩を
固形物として得たい場合は、上記方法によって得られる
S,S−EDDSアルカリ鉄塩水溶液を、常法、例えば
該水溶液をS,S−EDDSアルカリ鉄塩の飽和溶解度
以上に濃縮して析出させる方法、或いは冷却晶析法など
によって固形化すればよく、それにより高純度のS,S
−EDDSアルカリ鉄塩を固形物として得ることができ
る。
【0021】本発明で使用する酸化鉄としては、三二酸
化鉄、四三酸化鉄、水和酸化鉄などが例示され、これら
は単独で使用してもよく、あるいは2種以上の混合物と
して使用することも可能である。また、鉄塩生成の反応
速度を高めるため、金属鉄粉や適当な還元剤などを併用
することも有効である。また、本発明で使用するアルカ
リ化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等
のアルカリ金属の酸化物や水酸化物、炭酸塩、あるいは
アンモニアや有機アミンなどが例示され、これらも必要
により2種以上を併用することができる。
【0022】また鉄化合物としては、塩化第二鉄、硫酸
第二鉄、硝酸第二鉄、鉄みょうばん等の三価鉄塩が好ま
しく使用されるが、この他、硫酸第一鉄等の二価鉄化合
物を使用し、処理系内で酸化することによって三価鉄に
変えることも可能である。
【0023】本発明でpH調整に使用する酸としては、
塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、あるいはギ酸、酢酸な
どの有機酸を使用することが可能である。
【0024】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
をうけるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、そ
れらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0025】実施例1 攪拌機と温度計を備えた反応容器に、水:567.4
g、S,S−EDDS:200.6g(純度85.3質
量%、0.586モル)、四三酸化鉄:48.6g(鉄
としての純度:72.0質量%、0.627モル、S,
S−EDDSに対して1.07当量倍)、アンモニア
水:31.9g(アンモニア含量25質量%、0.46
9モル、S,S−EDDSに対して0.8当量倍)を添
加し、液温を60℃に保って8時間反応を行なった。反
応終了後、室温まで冷却し、散気管から空気を2時間吹
き込んで反応液中の二価鉄を三価鉄に酸化した。酸化途
中から沈殿が生成し、酸化終了後の反応液のpHは4.
1となった。
【0026】酸化終了後の反応液をヌッチェ(No.5
C濾紙使用)で濾過し、50℃で減圧乾燥すると、橙色
の粉末8.5gが得られた。この粉末を成分分析にかけ
たところ、ラクタム分(粉末をアンモニアアルカリにし
て溶解し過剰量の水酸化ナトリウムを加えて水酸化鉄の
沈殿として濾別し、濾液中のラクタム含量を液体クロマ
トグラフィーによって測定、以下、ラクタム分の測定は
この方法で実施)から計算したラクタム鉄塩の分析値
は、含量30.0質量%(0.0078モル)であり、
鉄分含量(粉末をアンモニアアルカリにして溶解し、K
I-ハイポ法による酸化還元滴定で鉄分含量を測定、以
下、鉄分含量の測定はこの方法で実施)から計算したラ
クタム鉄塩の分析値は、含量33.2質量%(0.00
86モル)であり、除去された沈殿中の鉄化合物のうち
90%がラクタム鉄塩であることが確認された。
【0027】一方、得られた濾液は840gであり、該
濾液の一部を採取して水酸化ナトリウム水溶液を滴下す
ることにより液性をアルカリ性とし、鉄分を水酸化鉄と
して除去してから、TAR指示薬と銅標準液を用いたキ
レート滴定分析によってS,S−EDDS含量を求めた
ところ、S,S−EDD含量(以下、S,S−EDDS
含量はキレート滴定で求めた値を示す)から計算した
S,S−EDDSアルカリ鉄塩の分析値(含量25.0
質量%、0.580モル)に対して、鉄含量から求めた
S,S−EDDSアルカリ鉄塩の分析値(含量26.3
質量%、0.610モル)の方が1.05当量倍と多
く、この差が鉄イオンの過剰当量である。
【0028】濾液中のラクタム含量から計算したラクタ
ム鉄含量は0.13質量%(0.0033モル)であっ
た。
【0029】これらの結果より、製造工程で副生した全
ラクタム鉄塩は0.0111モルで、このうち70.3
当量%がラクタム鉄塩の沈殿(0.0078モル)とし
て除去されていた。また、濾液中のラクタム鉄塩は0.
0033モルであり、S,S−EDDSアルカリ鉄塩
(0.580モル)に対して0.57当量%に低減して
いることが確認された。
【0030】実施例2 攪拌機と温度計を備えた反応容器に、水:400g、
S,S−EDDS:321.1g(純度85.3質量
%、0.938モル)、四三酸化鉄:76.4g(鉄と
しての純度72.0質量%、0.985モル、S,S−
EDDSに対して1.05当量倍)、アンモニア水5
1.0g(アンモニア含量25質量%、0.750モ
ル、S,S−EDDSに対して0.8当量倍)を添加
し、液温を60℃に保って12時間反応を行なった。反
応終了後、室温まで冷却し、散気管で空気を4時間吹き
込むことにより反応液中の二価鉄を三価鉄に酸化した。
酸化途中から沈殿の生成が見られ、酸化終了後の反応液
のpHは4.0となった。
【0031】酸化終了後の反応液をヌッチェ(No.5
C濾紙使用)で濾過し、50℃で減圧乾燥すると橙色の
粉末12.7gが得られた。該橙色粉末を成分分析にか
けたところ、ラクタム分から計算したラクタム鉄塩の分
析値は含量46.0質量%、0.0179モルであり、
鉄含量から測定したラクタム鉄塩の分析値は含量52.
0質量%、0.0202モルで、除去された沈殿中の鉄
化合物のうち89質量%がラクタム鉄塩であることが確
認された。
【0032】一方、濾液(835g)の成分分析を行な
ったところ、S,S−EDDS含量から測定したS,S
−EDDSアルカリ鉄塩の分析値(含量40.2質量
%、0.927モル)に対して、鉄含量から求めたS,
S−EDDSアルカリ鉄塩の分析値(含量41.3質量
%、0.953モル)の方が1.03当量倍多く、この
差が鉄イオンの過剰当量である。また、濾液中のラクタ
ム含量から計算したラクタム鉄含量は0.10質量%
(0.0026モル)であり、製造工程で副生した全ラ
クタム鉄塩は0.0205モルで、このうち87.3当
量%がラクタム鉄塩の沈殿(0.0179モル)として
除去された。濾液中のラクタム鉄塩は0.0026モル
であり、S,S−EDDSアルカリ鉄塩(0.927モ
ル)に対して0.28当量%と大幅に低減していること
が確認された。
【0033】比較例1 前記実施例1と同様にして、酸化後に沈殿を生じた反応
液(pH4.2)に、アンモニア水を加えてpH6.2
まで高めたところ、ラクタム鉄塩の沈殿は溶解し、この
pHではラクタム成分を沈殿除去できないことが確認さ
れた。
【0034】比較例2 前記実施例2と同様にして、酸化後に沈殿を生じた反応
液(pH4.0)に、アンモニア水を添加してpH6.
5まで高めたところ、ラクタム鉄塩の沈殿は溶解し、こ
のpHではラクタム成分の沈殿除去ができなかった。
【0035】実施例3 pH6.0のS,S−EDDSアルカリ鉄塩水溶液
(S,S−EDDS含量から計算したS,S−EDDS
アルカリ鉄含量:22.8質量%、鉄含量から計算した
S,S−EDDSアルカリ鉄塩含量:23.0質量%、
ラクタム鉄塩含量:0.32質量%)に、硝酸鉄(III)
九水和物:1.33gを水:0.89gに溶解した水溶
液を添加した。ここで添加した硝酸鉄の鉄含量は、S,
S−EDDSに対して1.06当量倍になる。
【0036】硝酸鉄水溶液を添加した後の液pHは2.
3に低下し、ラクタム鉄塩の沈殿が生じた。これに、2
5質量%のアンモニアを含むアンモニア水0.2gを加
えてpHを3.8に調整し、1時間攪拌してからラクタ
ム鉄塩沈殿を濾別し、濾液として得られたS,S−ED
DSアルカリ鉄塩水溶液の成分分析を行なったところ、
S,S−EDDS分から計算したS,S−EDDSアル
カリ鉄含量は22.5質量%、鉄含量から計算したS,
S−EDDSアルカリ鉄塩含量は22.6質量%、ラク
タム鉄塩含量は0.086質量%であった。
【0037】この分析結果より、最初のS,S−EDD
Sアルカリ鉄塩水溶液中のラクタム鉄含量は、S,S−
EDDSアルカリ鉄塩に対して1.55当量%(S,S
−EDDSアルカリ鉄塩分子量:362、ラクタム鉄分
子量:327、計算式[(0.32/327)/(2
2.8/362)])と高いのに対し、濾液中のラクタ
ム鉄塩は0.42当量%(計算式[(0.086/32
7)/(22.5/362)])に低減していることが
確認された。
【0038】比較例3 上記実施例3と同様にして得た硝酸鉄添加後の液に、同
濃度のアンモニア水0.6gを添加して液のpHを5.
3にしたところ、ラクタム鉄塩の沈殿は全て溶解した。
従って、このpHではラクタム成分の沈殿除去はでき
ず、S,S−EDDSアルカリ鉄塩の純度を高めること
はできないことが確認された。
【0039】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、
S,S−EDDS鉄塩の製造工程で不可避的に副生する
ラクタム成分を、その反応工程、或いは後処理工程でラ
クタム鉄塩の沈殿として効率よく分離除去することがで
き、ラクタム成分含量の少ない高純度のS,S−EDD
S鉄塩を簡単な処理で収率よく製造し得ることになっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラクタム鉄塩の水に対する溶解度とpHの関係
を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古川 正法 三重県四日市市日永東3丁目3−3 中部 キレスト株式会社四日市工場内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC90 AD17 AD33 BA02 BA29 BA30 BA32 BA50 BB31 BC31 BC53 BS10 BU32 NB26

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 S,S−エチレンジアミン−N,N’−
    ジコハク酸鉄アルカリ塩水溶液中に含まれるラクタム環
    化合物を、ラクタム環化合物の鉄塩沈殿として分離除去
    することを特徴とする、高純度のS,S−エチレンジア
    ミン−N,N’−ジコハク酸鉄アルカリ塩の製法。
  2. 【請求項2】 鉄分量を、S,S−エチレンジアミン−
    N,N’−ジコハク酸とラクタム環化合物の合計当量に
    対し0〜0.1当量過剰とし、且つ水溶液pHを1.5
    〜5.0の範囲に調整してラクタム環化合物鉄塩を沈殿
    させる請求項1に記載の製法。
  3. 【請求項3】 酸化鉄とS,S−エチレンジアミン−
    N,N’−ジコハク酸およびアルカリ化合物を原料とし
    て使用し、S,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコ
    ハク酸鉄アルカリ塩を製造する際に、使用する酸化鉄の
    鉄当量をS,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハ
    ク酸に対して1.00〜1.10当量とし、且つアルカ
    リ化合物の使用量をS,S−エチレンジアミン−N,
    N’−ジコハク酸に対して0.50〜0.95当量とす
    る請求項1または2に記載の製法。
  4. 【請求項4】 S,S−エチレンジアミン−N,N’−
    ジコハク酸鉄アルカリ塩水溶液に、無機鉄塩化合物と酸
    またはアルカリを添加し、前記水溶液中に含まれるラク
    タム環化合物を鉄塩として沈殿させる請求項1または2
    に記載の製法。
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