JP2001190999A - 粉体塗料の塗装方法及び塗装システム - Google Patents

粉体塗料の塗装方法及び塗装システム

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JP2001190999A
JP2001190999A JP2000003346A JP2000003346A JP2001190999A JP 2001190999 A JP2001190999 A JP 2001190999A JP 2000003346 A JP2000003346 A JP 2000003346A JP 2000003346 A JP2000003346 A JP 2000003346A JP 2001190999 A JP2001190999 A JP 2001190999A
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coating
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powder coating
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Saburo Umeda
三郎 梅田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】粉体塗料の貯蔵、輸送、保管を必要とすること
がなく、従って樹脂の軟化温度を低くすることができ、
粉体塗料樹脂粒子の粒子径を小さくすることができる粉
体塗料の塗装方法及び塗装システムを提供すること。 【解決手段】粉体塗料用の粗砕樹脂ペレットを粉砕処理
する粉砕工程、該粉砕処理した粉体を分級処理して所定
の粒径範囲の粉体を取り出す分級工程、該取り出した粉
体を粉体塗料塗装装置を構成する粉体塗料供給タンクに
供給する粉体塗料供給工程、該粉体塗料供給タンクに供
給された粉体塗料により塗装する塗装工程を含む粉体塗
料の塗装方法において、該粉砕工程と該分級工程と該粉
体塗料供給工程とを短時間に連続して実施すること、及
び粉砕工程に一回に供給する粗砕樹脂ペレットの量を粉
体塗料供給タンクに収容可能な量以下にする粉体塗料の
塗装方法、及び塗装システム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は粉体塗料の塗装方法
及び粉体塗料の塗装システムに関し、より詳しくは熱軟
化性樹脂粒子よりなる粉体塗料を塗装するに当たり塗装
前の出来るだけ直前に粉体塗料用の粗砕樹脂ペレットを
粉砕し、分級して粉体塗料化し、直ちに塗装装置に供給
し、塗装することによる粉体塗料の塗装方法及びそのよ
うな塗装方法を実施するための粉体塗料の塗装システム
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、大気中への有機溶剤の拡散が環境
問題等で問題になり、有機溶剤を使用しない塗装法とし
て粉体塗料が広く使用されるようになってきた。また、
この粉体塗料の用途は、従来の防食塗装やパイプ塗装、
構造物塗装などの厚く塗装する分野から、近年は自動
車、自動車部品、オートバイ、二輪車、家電製品、装飾
品等の幅広い分野に薄膜美装用粉体塗料として使用され
るようになり、更には焼付条件についても低温短時間が
要求されるようになってきた。この理由で、従来の粉体
塗料とは大きく異なる要求特性が粉体塗料に課せられる
様になった。その主な要求特性としては、樹脂の軟化温
度を低くする事と、粉体塗料樹脂粒子の粒子径を小さく
することがある。
【0003】従来技術においては、塗料製造工場で粉体
塗料を製造し、その粉体塗料を塗装工場に輸送し、粉体
塗料塗装装置に供給して塗装し、塗膜を形成していた。
しかし、上記のような要求特性を満足する粉体塗料は貯
蔵安定性が悪く、粉体塗料を製造した後の保管や輸送の
間の時間の経過や、温度上昇によって、粉体塗料樹脂粒
子が凝集して、製造直後の1次粒子の状態で分散してい
る状態から、凝集した大きい樹脂粒子の状態になり、そ
の結果として粉体塗料の流動性が低下していた。その対
策として、粉体塗料を製造してから塗装するまでの保管
や輸送の間の温度を低温に管理する必要が生じた。この
ような温度管理は保管費用や輸送経費を増大させること
になる。
【0004】また、粉体塗料樹脂粒子を構成する樹脂成
分の軟化温度及び樹脂粒子の平均粒子径は塗膜の平滑性
に大いに関係する。粉体塗料樹脂粒子を構成する樹脂成
分の軟化温度が低い程、また、焼付加温時の塗料の粘度
低下が大きい程、塗膜は低温で平滑に仕上がる。しかし
ながら、粉体塗料はその軟化温度付近では粉体塗料の重
量による圧力に起因してその軟化温度より低い温度でも
樹脂粒子が融着する。この融着を防止するためには、樹
脂の軟化温度の下限は環境気温プラス30℃程度が限界
であった。粉体塗料の保管や、輸送時の気温が夏期に4
0℃近くまで上昇し、粉体塗料の容器も必然的にこの外
気温度に追随して上昇する。このため内部の粉体塗料樹
脂粒子の温度も同時に上昇する。従って、従来技術にお
いては、粉体塗料の軟化温度の下限は一般的には70℃
程度が限界であった。
【0005】粉体塗料樹脂粒子の平均粒子径が小さい
程、塗装膜厚が薄くても塗装された塗膜は平滑に仕上が
る。自動車外板、自動車部品、オートバイ部品、二輪
車、家電製品、装飾品等の塗装においては、薄膜美装用
粉体塗料の場合、前記の樹脂の軟化温度とも関連する
が、樹脂粒子の平均粒子径の2〜5倍の厚さの塗膜とす
ることにより、溶剤型塗料を塗装した時の塗膜外観と同
様に平滑で均一な塗膜を形成することが出来る。
【0006】一方、粉体塗料の焼付条件についても、塗
膜を形成するのに必要な焼付エネルギーを少なくするた
めに加熱炉の温度を低くする事が要求されるようになっ
た。その結果、焼付温度も溶剤型塗料の焼付温度と殆ど
差が無い温度である150℃〜130℃程度まで低下し
てきた。この様な背景から、粉体塗料の樹脂成分の軟化
温度も50℃を下回る温度に、樹脂粒子の平均粒子径も
20μmを下回る様になった。
【0007】この為、粉体塗料の樹脂ペレットを粉砕
し、分級して粉体塗料化した後の、粉体塗料の貯蔵、輸
送、保管の間、粉体塗料の環境温度を25℃以下に保つ
等の制約を付ける事が必要になった。この制約を満足す
るために、夏期には、粉体塗料を低温貯蔵庫に収納し、
保冷車で輸送し、また使用直前まで低温で貯蔵する必要
があった。
【0008】この低温で貯蔵した粉体塗料を夏期の湿度
の高い環境下で塗装装置に供給すると、その粉体塗料の
低温に起因して樹脂粒子に凝縮水が付着して粉体塗料の
流動性を著しく悪くする傾向があり、管理が大変である
等の問題があった。この様な環境下で塗装装置に粉体塗
料を供給する為の対策としては、粉体塗料を密閉した容
器のまま通常一昼夜程度外気温に曝し、粉体塗料の温度
を低温保管の温度から結露しない温度まで上昇させた後
に塗装装置に供給する必要があった。この外気温に曝す
事と、粉体塗料樹脂粒子の凝集の危険とは密接な関係に
あり、この曝す時間と温度は経験によって管理している
のが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、粉体塗料の
貯蔵、輸送、保管を必要とすることがなく、従って樹脂
の軟化温度を低くすることができ、粉体塗料樹脂粒子の
粒子径を小さくすることができる粉体塗料の塗装方法及
びそのような塗装方法を実施するための粉体塗料の塗装
システムを提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を行った結果、熱軟化性樹脂
粒子よりなる粉体塗料を塗装するに当たり塗装前の出来
るだけ直前に必要量の粉体塗料用の粗砕樹脂ペレットを
粉砕し、分級して粉体塗料化し、直ちに塗装装置に供給
し、塗装することによって、樹脂の軟化温度が低くしか
も粉体塗料樹脂粒子の粒子径が小さい粉体塗料でも安定
に塗装できることを見いだし、本発明を完成した。
【0011】即ち、本発明の粉体塗料の塗装方法は、粉
体塗料用の粗砕樹脂ペレットを粉砕処理する粉砕工程、
該粉砕処理した粉体を分級処理して所定の粒径範囲の粉
体を取り出す分級工程、該取り出した粉体を粉体塗料塗
装装置を構成する粉体塗料供給タンクに供給する粉体塗
料供給工程、該粉体塗料供給タンクに供給された粉体塗
料により塗装する塗装工程を含む粉体塗料の塗装方法に
おいて、該粉砕工程と該分級工程と該粉体塗料供給工程
とを短時間に連続して実施すること、及び粉砕工程に一
回に供給する粗砕樹脂ペレットの量を粉体塗料供給タン
クに収容可能な量以下にすることを特徴とする。
【0012】また、本発明の粉体塗料の塗装方法は、上
記の塗装方法において、粉砕工程と分級工程との間、及
び分級工程と粉体塗料供給工程との間で粉体を滞留させ
ることなしでそれらの諸工程を連続して実施すること、
及び粉砕工程に一回に供給する粗砕樹脂ペレットの量を
一回又は一連の塗装で使い切る量にすることを特徴とす
る。
【0013】更に、本発明の粉体塗料の塗装方法は、上
記の塗装方法において、分級工程で取り出す粉体の平均
粒子径が重量平均径で5μm〜20μmであること、及
び/又は用いる粉体塗料の樹脂成分の軟化温度が40℃
〜200℃であること、及び/又は用いる粉体塗料の樹
脂成分が、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル
樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ブロックイソシア
ネート樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、
ABS樹脂、ノボラック樹脂、ケトン樹脂、ブチラール
樹脂、フェノキシ樹脂、及びポリオレフィン樹脂からな
る群から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴と
する。
【0014】本発明の粉体塗料の塗装システムは、粉体
塗料用の粗砕樹脂ペレットを粉砕処理する粉砕機と、粉
砕処理した粉体を分級処理して所定の粒径範囲の粉体を
取り出す分級機と、取り出した粉体を粉体塗料塗装装置
を構成する粉体塗料供給タンクに供給する粉体塗料供給
装置とが近傍に設置されていることを特徴とする。
【0015】また、本発明の粉体塗料の塗装システム
は、粉体塗料用の粗砕樹脂ペレットを粉砕処理する粉砕
機と、粉砕処理した粉体を分級処理して所定の粒径範囲
の粉体を取り出す分級機と、取り出した粉体を粉体塗料
塗装装置を構成する粉体塗料供給タンクに供給する粉体
塗料供給装置とが直結されているか又はパイプラインで
連結されていることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の粉体塗料の塗装方法にお
ける粉体塗料用の粗砕樹脂ペレットを粉砕処理する粉砕
工程、該粉砕処理した粉体を分級処理して所定の粒径範
囲の粉体を取り出す分級工程、該取り出した粉体を必要
によっては後加工し、表面処理を行った後に粉体塗料塗
装装置を構成する粉体塗料供給タンクに供給する粉体塗
料供給工程、及び該粉体塗料供給タンクに供給された粉
体塗料により塗装する塗装工程の個々の工程は従来技術
の粉体塗料の塗装方法と同じである。
【0017】しかし、従来技術においては、塗料製造工
場において粗砕樹脂ペレットを粉砕処理し、分級して粉
体塗料を製造し、貯蔵した後に、塗装工場に輸送し、保
管した後に塗装装置に供給していた粉体塗料の流通を、
本発明の技術においては、粉体塗料の貯蔵安定性の問題
を解決するために、塗料製造工場において粗砕樹脂ペレ
ットを製造し、貯蔵した後に、粗砕樹脂ペレットの状態
で塗装工場に輸送し、または塗装工場で粗砕樹脂ペレッ
トを製造し、塗装の直前、あるいは出来るだけ短時間前
に所定量の粗砕樹脂ペレットを短時間に連続して粉砕
し、分級し、必要によっては後加工し、表面処理を行っ
て粉体塗料とし、直ちに塗装装置を構成する粉体塗料供
給タンクに供給する。
【0018】即ち、本発明の粉体塗料の塗装方法におい
ては、粉砕工程と分級工程と粉体塗料供給工程とを短時
間に連続して実施し、且つ粉砕工程に一回に供給する粗
砕樹脂ペレットの量を粉体塗料供給タンクに収容可能な
量以下にし、好ましくは、粉砕工程と分級工程との間、
及び分級工程と粉体塗料供給工程との間で粉体を滞留さ
せることなしでそれらの諸工程を連続して実施し且つ粉
砕工程に一回に供給する粗砕樹脂ペレットの量を一回又
は一連の塗装で使い切る量にする。
【0019】上記のような塗装方法を実施するための本
発明の粉体塗料の塗装システムにおいては、粉体塗料用
の粗砕樹脂ペレットを粉砕処理する粉砕機と、粉砕処理
した粉体を分級処理して所定の粒径範囲の粉体を取り出
す分級機と、取り出した粉体を粉体塗料塗装装置を構成
する粉体塗料供給タンクに供給する粉体塗料供給装置と
が近傍に設置されていても、あるいは粉体塗料用の粗砕
樹脂ペレットを粉砕処理する粉砕機と、粉砕処理した粉
体を分級処理して所定の粒径範囲の粉体を取り出す分級
機と、取り出した粉体を粉体塗料塗装装置を構成する粉
体塗料供給タンクに供給する粉体塗料供給装置とが直結
されていても又はパイプラインで連結されていてもよ
い。
【0020】本発明で用いる粗砕樹脂ペレットは、粉砕
工程、粉砕機に供給する時点で融着状態、凝集状態にな
っていても、粉砕、分級に支障の無い程度であれば何ら
問題は無い。一般的には、粉砕時には粉砕エネルギーに
起因して環境温度が一番高くなり、分級や後加工での環
境温度は粉砕時よりも低いので、樹脂の軟化温度の下限
については、粉砕出来る限界の低温まで許容出来る。
【0021】従来の技術においては、樹脂の軟化温度は
一般的には粉体塗料の貯蔵温度や輸送環境温度によって
制限されるが、本発明の技術においては、粉体塗料樹脂
粒子が粉砕時の環境温度に曝される時間は極めて短時間
であり、通常は数秒程度で直ぐに冷却されるので、樹脂
の軟化温度は粉砕機での粉砕限界温度によって制限され
る。従って、粉体塗料樹脂粒子の軟化温度が40℃以上
であれば、夏期の環境温度である40℃程度でも粉体塗
料として使用が可能である。しかしながら、粉砕効率等
の点から粉体塗料樹脂粒子の軟化温度が45℃以上であ
ることが好ましい。樹脂粒子の軟化温度の上限は何ら制
限されるものでは無いが、近年の低温硬化粉体塗料の要
望や、焼付時の塗膜形成に必要なエネルギーの削減、環
境に放出される二酸化炭素量の削減等の点から250℃
以下であることが好ましく、200℃以下であることが
一層好ましい。
【0022】同様に、塗装に要する粉体塗料の使用量を
削減する為に薄膜美装用粉体塗料の要望も顕著であり、
このため粉体塗料樹脂粒子の平均粒子径が重量平均径で
30μm以下であることが好ましい。更に、溶剤型塗料
と同程度の塗布膜厚で平滑な塗膜を形成する為には平均
粒子径が20μm以下であることが更に好ましい。塗膜
の着色性、防食性、平滑性等を考慮すると、通常は15
μm程度の塗布膜厚が必要であり、この為、粉体塗料樹
脂粒子の平均粒子径の下限は5μm程度である。
【0023】しかしながら、塗布膜厚が薄くてもよい場
合には、粉体塗料樹脂粒子の平均粒子径が5μm以下で
も何ら問題はない。粉体塗料樹脂粒子の平均粒子径や、
粒度分布幅は、要求される塗布膜厚や塗膜外観、平滑
性、塗膜性能から決定すれば良いが、塗装作業性、塗着
効率、オーバースプレー粉末の回収のし易さ等からは出
来るだけ大きい方が好ましい。
【0024】本発明で用いる粉体塗料の粗砕樹脂ペレッ
トの構成は通常の粉体塗料の原料構成と何ら変わる事は
ない。本発明で用いる粉体塗料は塗装され、加熱によっ
て塗膜を形成する。従って、粉体塗料が塗布され、加熱
によって樹脂粒子が軟化または溶融し、均一な塗膜とな
る事が必要である。
【0025】このため、粉体塗料樹脂粒子の軟化温度
は、塗料の焼付硬化条件で均一な塗膜となるためには4
0℃〜250℃であることが必要である。更に好ましい
軟化温度は45℃〜200℃である。粉体塗料樹脂粒子
の軟化温度が40℃よりも低い場合には、夏期の高温時
に、粉体塗料用の粗砕樹脂ペレットを粉砕し粉体塗料に
する場合の粉砕効率が低下したり、装置への融着等の問
題が発生し易くなり、装置を冷却したりする必要が生
じ、本発明の目的の1つであるエネルギーの削減等に反
する為、好ましい事では無い。
【0026】なお、軟化温度が250℃以上となると、
塗膜を形成するため加熱硬化時の温度によって、塗膜が
黄色に変色したり、空気で酸化され、塗膜の柔軟性を失
うことがある。この防止方法として、特殊な例として
は、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気中で成膜させる方法
がある。この方法は、特にオレフィン樹脂や、高分子の
フッ素樹脂を使用した塗料を成膜させる時には有効であ
る。
【0027】この樹脂粒子に使用する樹脂成分として、
アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポ
キシ樹脂、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート樹
脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、ABS樹
脂、ノボラック樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、フ
ェノキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂等を挙げることがで
き、それらは単独で、又は、必要によっては、任意の配
合比率で組み合わせ使用することが出来る。更に必要な
らば、架橋剤として通常の塗料に使用されている多塩基
酸、酸無水物、アミノ化合物、グリシジル基含有化合
物、アミノブラスト樹脂、ジシアンジアミド、ブロック
イソシアネート樹脂、酸ヒドラジド等を使用することが
できる。これらの樹脂について、例えばアクリル樹脂、
ブロックイソシアネート、ポリエステル樹脂について以
下に説明する。
【0028】上記のアクリル樹脂を構成するアクリル系
モノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレ
ート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリ
レート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレ
ート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリ
レート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルア
クリレート、トリデシルアクリレート、ステアリルアク
リレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアク
リレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−
ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピ
ルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2
−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルア
クリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、エチ
ルカルビトールアクリレート、アリルアクリレート、グ
リシジルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレ
ート、アクリル酸、アクリル酸ソーダ、トリメチロール
プロパンアクリレート、1,4−ブタンジオールジアク
リレート、1,6−ヘキサンジオールアクリレート、ネ
オペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリ
トールトリアクリレート等のアクリル酸及びアクリル酸
エステルモノマーを挙げることができる。
【0029】また、上記のアクリル樹脂を構成するアク
リル系モノマーとして、メチルメタクリレート、エチル
メタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメ
タクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチル
ヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ト
リデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、
シクロヘキシルメタクリレート、プロピルメタクリレー
ト、ベンジルメタクリレート、イソプロピルメタクリレ
ート、sec−ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタク
リレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエ
チルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリ
レート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、アリ
ルメタクリレート、エチレングリコールメタクリレー
ト、トリエチレングリコールメタクリレート、テトラエ
チレングリコールメタクリレート、1,3−ブチレング
リコールメタクリレート、トリメチロールプロパンメタ
クリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−
メトキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチル
メチルクロライド塩メタクリレート、メタクリル酸、メ
タクリル酸ソーダ等のメタクリル酸及びメタクリル酸エ
ステルモノマーを挙げることができる。
【0030】更に、該アクリル系モノマーに加えて、ア
クリルアミド、アクリロニトリル、酢酸ビニル、エチレ
ン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレ
ン、クロロプレン等のビニルモノマーを共重合成分とし
て用いることができる。また、グリシジル(メタ)アク
リレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、ア
リルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキ
シルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有エ
チレン性不飽和モノマーを共重合成分として用いること
ができる。
【0031】更に、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、
イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基
含有エチレン性不飽和モノマーや、ヒドロキシエチルメ
タクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート
等の水酸基含有エチレン性不飽和モノマーを共重合成分
として用いることができる。
【0032】それらのアクリル樹脂の製造方法として
は、通常の溶液重合法により高分子量のアクリル樹脂を
合成した後、薄膜加熱減圧法等によって溶媒を除去して
(この溶媒は別途回収する)、固形樹脂を得る方法や、
懸濁重合法によりアクリル樹脂を合成した後、スプレー
ドライ法等により水分を除去して、固形樹脂を得る方法
等がある。
【0033】なお、アクリル樹脂中の反応極性基がグリ
シジル基である場合には、セバチン酸、ドデカンジカル
ボン酸等の多官能カルボキシル基含有化合物や、多官能
酸無水物等を硬化剤として使用する事が出来る。また、
アクリル樹脂中の反応極性基が水酸基や、水酸基とカル
ボキシル基との組み合わせの場合には、ブロックイソシ
アネート樹脂、メラミン樹脂等を硬化剤として使用する
事が出来る。
【0034】ブロックイソシアネート樹脂としては、ヘ
キサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシア
ネート、水添キシレンジイソシアネート、トルエンジイ
ソシアネート等のイソシアネートモノマーをトリメチロ
ールプロパンに付加させて樹脂化したイソシアネート樹
脂、多官能化したイソシアネート樹脂又は水添し多官能
化したイソシアネート樹脂をカプロラクトンやオキシム
類でブロックしたブロックイソシアネート樹脂を使用す
ることができる。
【0035】これらのブロックイソシアネート樹脂が粉
体塗料用原料として適したものであるためには、樹脂粒
子の安定性が確保されるように、ブロックイソシアネー
ト樹脂単体でも固形になる樹脂が好ましく、例えば、イ
ソホロンジイソシアネートからの樹脂をε−カプロラク
タムでブロックしたブロックイソシアネート樹脂が好ま
しい。しかし、硬化剤として用いる場合には、液状のブ
ロックイソシアネート樹脂でも、添加量、顔料の配合
量、あるいはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂等のガラ
ス転移温度の高い樹脂との組み合わせによっては使用す
る事が出来る。
【0036】また、ポリエステル樹脂を構成するカルボ
ン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル
酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、
アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、
セバチン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−
デカンジカルボン酸、1、12−ドデカンジカルボン
酸、1,2−オクタデカンジカルボン酸、アイサコサン
ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサン
ジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフ
タル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多価カル
ボン酸、あるいはこれらの低級アルキルエステル及び無
水物、あるいはリンゴ酸、酒石酸、1,2−ヒドロキシ
ステアリン酸、パラオキシ安息香酸等のヒドロキシカル
ボン酸等を用いる事が出来る。
【0037】また、ポリエステル樹脂を構成するアルコ
ール成分としては、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパン
ジオール、1,3−プロパンジオール、、1,3−ブタ
ンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナ
ンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチル
グリコール、スピログリコール、1,10−デカンジオ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,
4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、トリメチ
ロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、
ペンタエリスリトール等を用いる事が出来る。
【0038】ポリエステル樹脂は、上記の酸成分及びア
ルコール成分を原料とし、粉体塗料用ポリエステル樹脂
製造の常法によって製造する事が出来る。例えば、上記
の様な原料から適当な組み合わせで原料を選び、配合量
を決め、常法に従って200〜280℃の温度でエステ
ル化またはエステル交換反応を行った後、5hPa以下
に減圧し、触媒の存在下で230〜290℃で重縮合反
応を行って高重合度の樹脂にした後、アルコール成分で
解重合反応を行ってポリエステル樹脂とする事が出来
る。
【0039】これらのポリエステル樹脂を架橋硬化させ
る場合には、前記のブロックイソシアネート樹脂を使用
する事が好ましく、その場合にはポリエステル樹脂の水
酸基とブロックイソシアネート樹脂の反応に寄与する潜
在的イソシアネート基との比率が、NCO/OH比で
0.6〜1.2であることが好ましく、0.8〜1.0
であることが更に好ましい。
【0040】粉体塗料樹脂粒子は、顔料分を含まないク
リヤー塗料用樹脂粒子であっても、着色顔料を含んだ着
色塗料用樹脂粒子であっても、艶消し顔料を含んだ艶消
し塗料用樹脂粒子であってもよく、あるいは磁性顔料を
含んだ磁性塗料用樹脂粒子であっても、導電性顔料を含
んだ導電性塗料用樹脂粒子であってもよい。
【0041】粉体塗料樹脂粒子は、前記の樹脂成分、硬
化剤の他に、塗膜成分として、着色顔料や防錆顔料、そ
の他の機能を与えるための添加剤等を含有することが有
効である。これらの着色顔料としては、黄色酸化鉄、チ
タン黄、ベンガラ、酸化チタン、亜鉛華、リトポン、鉛
白、硫化亜鉛、酸化アンチモン等の無機系顔料や、ハン
ザイエロ−5G、パーマネントエローFGL、フタロシ
アニンブルー、インダンスレンブルーRS、パーマネン
トレッドF5RK、ブリリアントファーストスカーレッ
トG、パリオゲンレッド3910等の有機顔料等があ
る。
【0042】これら着色顔料の樹脂粒子中への添加量
は、通常はPWCで0.5%〜60%程度であるが、ク
リヤー塗料の様に着色顔料を全く添加しない場合もあ
り、逆に着色顔料の添加量が多い場合もある。着色顔料
の添加量が多い場合には、特に吸油量の高い着色顔料の
場合には、形成される塗膜の平滑性が損なわれる傾向が
ある。
【0043】この他に、塗膜の光沢値を調節したり、塗
膜の堅さを調節したりする目的で体質顔料として、硫酸
バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、クレー、シ
リカ粉、微粉珪酸、珪藻土、タルク、塩基性炭酸マグネ
シウム、アルミナホワイト等を添加する事も出来る。ま
た、塗膜のツヤの調整方法として樹脂粒子中にツヤ消し
用顔料を加える事も可能である。
【0044】また、樹脂粒子を2種類以上混合し、樹脂
粒子間の相溶性や反応速度の差でツヤを調整する事もで
きる。更に、アクリル樹脂、フッ素樹脂の微粒子等もツ
ヤ消し用顔料と同様にツヤを調整したり、摩擦抵抗を低
下させる機能を付与する目的で加える事が出来る。
【0045】また、粉体塗料の表面張力を調整するため
の表面調整剤、紫外線の透過吸収を調整するための紫外
線吸収剤、樹脂の酸化防止剤、硬化反応の調整の為の硬
化促進触媒等を樹脂粒子内に含有させたり、樹脂粒子を
形成した後に後加工で帯電調整剤を加える事も出来る。
【0046】粉体塗料用の樹脂ペレットの製造方法は、
通常の粉体塗料の製造の場合と変わる事は無く、乾式の
溶融練合法で製造しても、あるいは、溶剤型塗料から脱
溶剤を行って製造してもよい。次に、その溶融練合法で
の粗砕樹脂ペレットの製造工程と、粉体塗料の製造、調
整例とを記載するが、本発明はこれらの記載によって制
約されることはない。即ち、(1)樹脂粒子の原料を混
合配合する工程、(2)混合配合した樹脂粒子の原料
を、軟化温度以上の温度で溶融練合し、均一化する工
程、(3)溶融練合し、均一化した樹脂ペレットに粗砕
し、貯蔵し、輸送し、保管する諸工程、(4)粗砕した
樹脂ペレットを樹脂粒子に粉砕する工程、(5)所定の
粒度分布に分級する工程、(6)所望により樹脂粒子表
面の特性を調整して粉体塗料にする工程、(7)粉体塗
料を塗装装置を構成する粉体塗料供給タンクに送付する
工程、からなる。
【0047】上記の工程の内の(1)から(3)までの
工程によって製造した粗砕樹脂ペレットを貯蔵し、注文
に応じて塗装装置近辺の保管場所に輸送し、保管する。
その保管場所から、一回又は一連の塗装に必要な量の樹
脂ペレットを粉体塗料調製機(又は粉体塗料調製機群)
に送付して工程(4)から(6)までの工程を実施す
る。得られた粉体塗料を直ちに工程(7)によって粉体
塗料を塗装装置を構成する粉体塗料供給タンクに送付す
る。その後、その粉体塗料供給タンクに収容されている
粉体塗料を塗装に使用する。また、塗装によって生じた
オーバースプレー粉末は回収して再利用するする事も出
来る。
【0048】本発明の粉体塗料の塗装方法においては、
工程(4)から(7)までを短時間に連続して実施し、
好ましくは工程(4)から(7)までの間で粉体を滞留
させる(一時的に又は長期に保管する)ことなしで連続
して実施し、また、工程(4)の粉砕工程に一回に供給
する粗砕樹脂ペレットの量を粉体塗料供給タンクに収容
可能な量以下にし、好ましくは一回又は一連の塗装で使
い切る量にする。
【0049】本発明の粉体塗料の塗装システムにおいて
は、上記のような塗装方法が実施できるように、粉体塗
料用の粗砕樹脂ペレットを粉砕処理する粉砕機と、粉砕
処理した粉体を分級処理して所定の粒径範囲の粉体を取
り出す分級機と、取り出した粉体を粉体塗料塗装装置を
構成する粉体塗料供給タンクに供給する粉体塗料供給装
置とを近傍に設置し、又はそれらの一部を直結させ、残
りを近傍に設置し、好ましくは粉体塗料用の粗砕樹脂ペ
レットを粉砕処理する粉砕機と、粉砕処理した粉体を分
級処理して所定の粒径範囲の粉体を取り出す分級機と、
取り出した粉体を粉体塗料塗装装置を構成する粉体塗料
供給タンクに供給する粉体塗料供給装置とを直結するか
又はパイプラインで連結する。
【0050】上記の工程(1)〜(7)を更に詳細に説
明する。樹脂粒子の原料を混合配合する工程(1)にお
いては、固形の樹脂原料を中心に着色顔料、硬化剤、添
加剤、更に必要によっては一部液状原料を、できるだけ
均一に混合する。
【0051】混合配合するための装置としては、粉体原
料を混合する通常の装置であるフラッシュミキサー、ス
クリューミキサー、コニカルブレンダ、Vミキサー、タ
ンブリングミキサー、ジェットミキサー、ニーダー、リ
ボンミキサー等を使用することができる。これらの装置
を用いて混合配合し、出来るだけ均一にすることが好ま
しい。
【0052】次に、混合配合した樹脂粒子の原料を、軟
化温度以上の温度で溶融練合し均一化する工程(2)を
実施する。この工程は、樹脂粒子の原料である固形の樹
脂原料、着色顔料、硬化剤、添加剤などを数μm以下レ
ベルで均一に混合する事を目的とする。
【0053】なお、樹脂原料や硬化剤は、輸送や配合時
の取り扱いを容易にする目的と、粉塵の舞い上がりを防
止するために、数mm程度のペレットに加工されてい
る。このペレットを破砕し数百μm程度の混合物にした
原料を、軟化温度以上に加温して機械的に練合する。こ
のための装置としては、ロールミル、スクリューニーダ
ー、マーラー、ニーダー等を使用することが出来る。
【0054】特に好ましい装置としては、作業性、取り
扱い易さの点でロールミル、スクリューニーダーを挙げ
ることができる。これらの装置では、溶融練合後、練合
物を速やかに装置より排出して冷却する事が出来る。特
に架橋型粉体塗料の場合、樹脂粒子中に硬化剤が含まれ
ているので、工程(2)で軟化温度以上に加熱され、練
合される時の滞留時間が長くなると、樹脂の一部が反応
してしまい、塗膜を形成する時に平滑な塗膜にならなか
ったり、光沢不足の欠陥を生じたりする。この為、一方
から連続的に供給して他方から連続的に排出する装置が
適する。
【0055】溶融練合工程(2)で出来たものは塊状に
なっているので、次に、工程(3)において、この塊状
物を樹脂ペレットに粗砕して、次の貯蔵、輸送、保管を
容易にする。樹脂ペレットに粗砕するための装置の例と
してはリングロールミル、エッジランナー、ロールクラ
ッシャー、ディスインテグレータ、ハンマクラッシャ、
インペラブレーカ、ジャイレトリークラッシャ、ジョウ
クラッシャ等を挙げることができる。この工程(3)の
粗砕、貯蔵までは塗料製造工場で実施する。注文に応じ
てその粗砕樹脂ペレットを塗装装置近辺の保管場所に輸
送し、保管する。
【0056】次に、本発明の核心となる粗砕樹脂ペレッ
トの粉砕工程(4)、分級工程(5)、所望により実施
する表面特性調整工程(6)、塗装装置を構成する粉体
塗料供給タンクへの送付工程(7)について説明する。
保管していた粗砕樹脂ペレットが、環境温度の影響や、
自重の圧力により多少凝集していても、クラシャー等の
装置で前処理をすれば何ら問題は無い。
【0057】粗砕樹脂ペレットは、そのまま粉砕機に供
給して粉砕しても良いが、回収粉や後処理で加える表面
調整剤等を同時に加えて一気に処理を進めても良い。粗
砕樹脂ペレットを樹脂粒子に粉砕する装置としては、ハ
ンマクラッシャ、ターボクラッシャ、エアージェットミ
ル等を用いることができる。
【0058】この粉砕工程の次に、あるいは同時に分級
工程を実施して、所定の粒度分布を持つ粉体塗料樹脂粒
子を調製する。分級機としては、網による篩い分け装置
やエアー流による分級機等がある。この後、必要によっ
ては前記した様に、樹脂粒子の表面特性を制御する為に
後加工を実施する。
【0059】次いで、その粉体塗料を塗装装置を構成す
る粉体塗料供給タンクに送付する。その後、その粉体塗
料供給タンクに収容されている粉体塗料を塗装に使用す
る。粉体塗料の塗装装置としては、通常の静電塗装装
置、流動浸漬塗装装置、摩擦帯電塗装装置等を用いるこ
とができる。
【0060】本発明の粉体塗料の塗装方法、塗装システ
ムは、粉体塗料の樹脂を粗砕ペレットの状態で塗装装置
の近傍に供給し、一回又は一連の塗装に必要な量の粗砕
樹脂ペレットを塗装直前の出来るだけ短い時間に粉体塗
料化して塗装機に供給し、塗装に供する塗装方法、塗装
システムである為、塗装装置からオーバースプレーされ
た粉体塗料の樹脂粉末も回収装置を通じて粉砕分級機に
回収する事も容易になり、粉体塗料の塗装に関わる効率
も極めて高い状態で塗装運転する事が出来、その結果、
均一で高い塗膜性能、薄膜美装用粉体塗料の塗装が出来
る。また、粉体塗料の貯蔵安定性も保管期間が無いか、
極めて短い為、焼付条件や粉砕分級時の環境温度で制約
される限界の温度まで許容され、特別に低温に管理する
必要が無くなる。
【0061】
【実施例】以下に、実施例及び比較例により本発明を更
に詳細に説明する。尚、実施例及び比較例において
「部」は質量部である。 実施例1 軟化温度120℃、酸価45のポリエステル樹脂32
部、エポキシ当量910のビスフェノールAタイプのエ
ポキシ樹脂32部、チタン顔料25部、表面調整剤6
部、紫外線吸収剤3部、酸化防止剤1部、及び硬化促進
剤1部をスクリューミキサー中で配合し、さらにフラッ
シュミキサーで均一に混合した。
【0062】フラッシュミキサーで混合した樹脂の原料
を、溶融練合機としての115℃に加熱した2軸スクリ
ューニーダーのフィーダーより供給して溶融練合した。
溶融練合物は、フィーダーより供給された後、約20秒
の滞留、練合分散後に、約120℃の粘性流動体として
2軸スクリューニーダーの先端から排出され、その溶融
練合機の先端に設けた2本ロール冷却機の圧延ロールに
落ち、圧延され、約10秒で常温近くまで冷却された。
【0063】この板状の樹脂粒子原料をハンマクラッシ
ャで約0.5mmの大きさの粗砕樹脂ペレットに一次粉
砕した。この粗砕樹脂ペレットを輸送して塗装工場の貯
蔵タンクに供給し、貯蔵した。この貯蔵した粗砕樹脂ペ
レットを、一回又は一連の塗装に必要な量ずつ、定量的
に粉砕分級機であるエアージェットミルに供給して粉砕
を行い、同時に回転式分級機で所定の粒子径範囲の粉体
塗料樹脂粒子だけを取り出し、塗装装置の塗料供給タン
クに輸送し、塗装に供した。その供給した粉体塗料の平
均粒子径は20μmであった。
【0064】摩擦帯電塗装装置を使用して、アルミニウ
ム部材に膜厚が80μmになるように塗装し、180℃
で20分間焼付けた。この塗膜の外観には全く異常は認
められず、平滑性のある均一な塗膜であった。この塗膜
の光沢値は90であり、鉛筆硬度はHであり、デュポン
衝撃試験(500g、30cm)も全ての膜厚の塗膜で
合格であった。
【0065】実施例2 反応槽中でメチルメタクレート60部、ブチルアクリレ
ート6部、グリシジルメタクレート33部及びアゾイソ
ブチロニトリル1部を攪拌混合し、120℃で均一に溶
解させた。この反応槽内容物を120℃に維持し、攪拌
しつつ、滴下槽よりキシロール100部を1時間で滴下
し、その後2時間保持した。その後、更にアゾイソブチ
ロニトリル0.3部を加え、150℃に約4時間保持
し、重合させて樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を薄膜減
圧乾燥機で処理して溶剤を除去し、固形のアクリル樹脂
を得た。このアクリル樹脂は軟化温度約55℃、エポキ
シ当量430、分子量約7000であった。
【0066】このようにして得たアクリル樹脂77部、
ドデカンジカルボン酸19部、表面調整剤1部及び流展
性付与剤3部を配合し、実施例1と同様にして溶融練合
し、圧延し、冷却し、粗砕して粗砕アクリル樹脂ペレッ
トを調製し、コンテナバッグに500Kg充填して貯蔵
した。
【0067】このコンテナバッッグを塗装工場に運ん
だ。このコンテナバッッグの中の樹脂ペレットは、貯
蔵、輸送中に外気温と自体の圧力によって、下部の樹脂
ペレットが凝集した状態になっていた。この為、樹脂ペ
レットをコンテナバッッグの下部から取り出す時に、最
初は出にくい状態であった為、ハンマーで刺激を与え、
少し破砕した。その後、このコンテナバッッグから粗砕
樹脂ペレットを一回又は一連の塗装に必要な量ずつ、定
量的に粉砕分級機であるエアージェットミルに供給して
粉砕を行い、同時に回転式分級機で所定の粒子径範囲の
粉体塗料樹脂粒子だけを取り出し、塗装装置の塗料供給
タンクに輸送し、塗装に供した。その供給した粉体塗料
の平均粒子径は15μmであった。
【0068】メタリックベース塗料を下層に塗装した自
動車部材に膜厚が40μmになるように静電塗装機で塗
装し、150℃で20分間焼付けた。この塗膜外観には
全く異常は認められず、平滑性のある均一な塗膜であっ
た。また、塗装作業性にも支障無く、自動的に連続して
塗装することができた。
【0069】比較例1 実施例2における中間物質である粗砕アクリル樹脂ペレ
ットを製造した後、引き続いて粉砕し、分級して実施例
2の場合と同一の平均粒子径15μmの粉体塗料にし
た。この粉体塗料150kgを200Lの粉体塗料用オ
ープンドラムに充填し、環境温度30℃の条件下で5時
間トラック輸送して屋内倉庫に運び、その屋内倉庫に3
日貯蔵した。その後、実施例2と同じ塗装装置に供給し
て、同様に塗装した結果、塗膜表面にブツ状の細かいフ
クレが多数発生した。この原因を調査した所、200L
のオープンドラムに充填された粉体塗料の内、下部の樹
脂粒子が圧力と温度の影響で凝集して凝集物を形成し、
これが塗膜表面で流展不良で異常を発生させていた事が
判明した。
【0070】
【発明の効果】本発明の粉体塗料の塗装方法、塗装シス
テムにおいては、粉体塗料の貯蔵、輸送、保管を必要と
しないので、樹脂の軟化温度を低くすることができ、粉
体塗料樹脂粒子の粒子径を小さくすることができ、粉体
塗料の塗装に関わる効率も極めて高い状態で塗装運転す
る事が出来、その結果、均一で高い塗膜性能、薄膜美装
用粉体塗料の塗装が出来る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粉体塗料用の粗砕樹脂ペレットを粉砕処理
    する粉砕工程、該粉砕処理した粉体を分級処理して所定
    の粒径範囲の粉体を取り出す分級工程、該取り出した粉
    体を粉体塗料塗装装置を構成する粉体塗料供給タンクに
    供給する粉体塗料供給工程、該粉体塗料供給タンクに供
    給された粉体塗料により塗装する塗装工程を含む粉体塗
    料の塗装方法において、該粉砕工程と該分級工程と該粉
    体塗料供給工程とを短時間に連続して実施すること、及
    び粉砕工程に一回に供給する粗砕樹脂ペレットの量を粉
    体塗料供給タンクに収容可能な量以下にすることを特徴
    とする粉体塗料の塗装方法。
  2. 【請求項2】粉砕工程と分級工程との間、及び分級工程
    と粉体塗料供給工程との間で粉体を滞留させることなし
    でそれらの諸工程を連続して実施すること、及び粉砕工
    程に一回に供給する粗砕樹脂ペレットの量を一回又は一
    連の塗装で使い切る量にすることを特徴とする請求項1
    記載の粉体塗料の塗装方法。
  3. 【請求項3】分級工程で取り出す粉体の平均粒子径が重
    量平均径で5μm〜20μmであることを特徴とする請
    求項1又は2記載の粉体塗料の塗装方法。
  4. 【請求項4】用いる粉体塗料の樹脂成分の軟化温度が4
    0℃〜200℃であることを特徴とする請求項1、2又
    は3記載の粉体塗料の塗装方法。
  5. 【請求項5】用いる粉体塗料の樹脂成分が、アルキド樹
    脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、
    メラミン樹脂、ブロックイソシアネート樹脂、フッ素樹
    脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、ABS樹脂、ノボラッ
    ク樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、フェノキシ樹
    脂、及びポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれる少
    なくとも1種からなることを特徴とする請求項1、2、
    3又は4記載の粉体塗料の塗装方法。
  6. 【請求項6】粉体塗料用の粗砕樹脂ペレットを粉砕処理
    する粉砕機と、粉砕処理した粉体を分級処理して所定の
    粒径範囲の粉体を取り出す分級機と、取り出した粉体を
    粉体塗料塗装装置を構成する粉体塗料供給タンクに供給
    する粉体塗料供給装置とが近傍に設置されていることを
    特徴とする粉体塗料の塗装システム。
  7. 【請求項7】粉体塗料用の粗砕樹脂ペレットを粉砕処理
    する粉砕機と、粉砕処理した粉体を分級処理して所定の
    粒径範囲の粉体を取り出す分級機と、取り出した粉体を
    粉体塗料塗装装置を構成する粉体塗料供給タンクに供給
    する粉体塗料供給装置とが直結されているか又はパイプ
    ラインで連結されていることを特徴とする粉体塗料の塗
    装システム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2016152856A1 (ja) * 2015-03-26 2017-12-14 新日鉄住金化学株式会社 繊維強化プラスチック成形用材料、その製造方法及び成形物
US20210047763A1 (en) * 2019-08-13 2021-02-18 Seiko Epson Corporation Bonding material and method for manufacturing the same and fiber molded article and method for manufacturing the same

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JPWO2016152856A1 (ja) * 2015-03-26 2017-12-14 新日鉄住金化学株式会社 繊維強化プラスチック成形用材料、その製造方法及び成形物
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