JP2001183249A - 電動式パワーステアリング装置 - Google Patents

電動式パワーステアリング装置

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JP2001183249A
JP2001183249A JP37311499A JP37311499A JP2001183249A JP 2001183249 A JP2001183249 A JP 2001183249A JP 37311499 A JP37311499 A JP 37311499A JP 37311499 A JP37311499 A JP 37311499A JP 2001183249 A JP2001183249 A JP 2001183249A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】製造コストを低く抑えながら、より検出感度を
向上させたトルクセンサを有する電動式パワーステアリ
ング装置を提供する。 【解決手段】溝部材3Aを薄板部材により形成しても、
表皮効果によって、その表面近傍にのみ自発磁化が生じ
るので、トルクセンサの検出感度が低下することがな
い。一方、溝部材3Aの最も表面から遠い部分において
も、大きな磁界の位相遅れが生じないことから、溝部材
3A全体で発生する自発磁化量を相殺することがないの
で、むしろトルクセンサの検出感度は増大することとな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電動式パワーステア
リング装置に関し、特に高精度に操舵トルクを検出して
操舵制御を行える電動式パワーステアリング装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】車両に装備される電動式パワーステアリ
ング装置においては、モータの駆動制御に用いるために
操舵トルクを検出すべく、トルクセンサが設けられてい
る。かかるトルクセンサの従来例としては、例えば本出
願人が先に提案した特開平8−240491号公報に開
示されたものがある。かかる公報に開示されたトルクセ
ンサは、同軸に配設された入力軸と出力軸をトーション
バーを介して連結するとともに、導電性で且つ非磁性の
材料からなる円筒部材を、前記出力軸の外周面を包囲す
るように、前記入力軸と回転方向に一体とし、更に前記
出力軸の少なくとも前記円筒部材に包囲された部分に
は、磁性材料の軸方向に延びる溝を形成し、前記円筒部
材には、前記出力軸との間の相対回転位置に応じて前記
溝との重なり具合が変化するように窓を形成し、前記円
筒部材の前記窓が形成された部分を包囲するようにコイ
ルを配設してなる。かかるトルクセンサによれば、被包
囲部と円筒部材との位相角度差により、被包囲部に生じ
る自発磁化に基づいて、トルクを検出するようになって
おり、これにより、簡易な構造で高精度のトルク検出が
行え、しかも装置の小型化も図られるという効果が得ら
れる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ここで、トルクセンサ
の検出感度をより向上させようとした場合、被包囲部の
自発磁化を向上させることが考えられる。しかしなが
ら、そのためには磁性材料を、より高透磁率を有しかつ
低導電性の材料に置換するなどの対応が必要であり、そ
れによりコストの増大を招くことになる。
【0004】本発明は、製造コストを低く抑えながら、
より検出感度を向上させたトルクセンサを有する電動式
パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の電動式パワーステアリング装置は、ハウジ
ングと、操舵力を入力する入力軸と、回転力を発生する
電動モータと、操舵機構に連結された出力軸と、前記入
力軸と前記出力軸との間を連結するトーションバーと、
前記トーションバーのネジレ量を検出する検出装置と、
前記電動モータから前記出力軸へ前記回転力を伝達する
動力伝達機構と、を有し、前記検出装置は、前記入力軸
と前記出力軸の一方に設けられ、外周に軸線方向に延在
する複数の凹部を形成した、磁性材料薄板から形成され
た凹部部材と、前記入力軸と前記出力軸の他方に設けら
れ、前記凹部部材の少なくとも一部分を包囲するように
延在する円筒部材と、を有し、前記凹部と前記円筒部材
との重なり状態に基づいて、前記トーションバーのネジ
レ量を検出するようになっている。
【0006】ここで、磁束密度の瞬時値Bzは、素材表
面からの距離をxとして、数1で表され、表皮深さDは
数2で表される。
【数1】 ただし、 μ:透磁率 H0:磁界 σ:電荷密度
【数2】
【0007】従来技術のトルクセンサにおいて、電動モ
ータの補助操舵力等をに基づくねじりトルクを受ける出
力軸は、その強度を確保するため、及びトルク検出特性
を変化させる錆の発生を抑止するために、磁性ステンレ
ス材料又はメッキされた構造用鋼から形成されることが
多い。ところが、数1によれば、これらの材料は導電性
を有するため、交番磁界中においてはいわゆる表皮効果
が生じ、トルク検出に必要な磁束は、材料の表面近傍に
のみ生じることが判る。又、数1より、磁界の位相も、
材料表面からの距離に応じて遅れることが判る。かかる
位相遅れにより、材料の表面から深い部分では、表面近
傍とは逆向きの自発磁化を生じることとなって、材料全
体で発生する自発磁化量を相殺してしまい、それにより
トルクセンサの検出感度の向上が妨げられるものと考え
られる。
【0008】かかる現象は、材料の表面からの深さが深
いこと、すなわち素材が中実であったり、中空でもある
程度の厚さがあることに起因して発生するものである。
そこで、本発明は、外周に軸線方向に延在する複数の凹
部を形成した凹部部材を、磁性材料薄板部材から形成す
るものである。かかる本発明によれば、凹部部材を薄板
部材により形成しても、表皮効果によって、その表面近
傍にのみ自発磁化が生じるので、トルクセンサの検出感
度が低下することがない。一方、凹部部材の最も表面か
ら遠い部分においても、大きな磁界の位相遅れが生じな
いことから、凹部部材全体で発生する自発磁化量を相殺
することがないので、むしろトルクセンサの検出感度は
増大することとなる。
【0009】尚、本明細書において用いる薄板には、筒
状の板部材と平板部材などを含むがこれらに限られな
い。更に凹部とは、外周に対して半径方向内方に引き込
まれた部分をいい、例えば溝が含まれるがこれに限られ
ず、溝の底がないような仕切られた空間も含む。
【0010】尚、前記磁性材料薄板は、フェライト又は
マルテンサイト系のステンレスであれば、錆の発生を抑
止できるため好ましい。又、前記磁性材料薄板の厚さ
は、表皮深さ√(2/(ωσπ))のπ倍以下である
と、磁束密度の波長の周期が2πDであることから、最
も材料の奥側でもその半周期以下となり、従って逆側の
磁界の位相遅れを防止できるため好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態であ
る電動式のパワーステアリング装置を、入力軸の軸線に
沿って切断して示す断面図である。
【0012】図1において、本体1aと蓋部材1bとか
らなるハウジング1内を、入力軸2および出力軸3が延
在している。中空の入力軸2は、上端を図示しないステ
アリングシャフトに連結されており、更にステアリング
シャフトは図示しないステアリングホイールに連結され
ている。入力軸2は、軸受4によりハウジング1に対し
て回転自在に支持されている。上端を入力軸2にピン結
合され、下端を出力軸3に圧入により連結したトーショ
ンバー5が、入力軸2内を延在している。
【0013】入力軸2の下端周囲において、受けたトル
クに比例してトーションバー5がねじれることに基づ
き、操舵トルクを検出する検出装置すなわちトルクセン
サ6が設けられている。詳細は後述するこのトルクセン
サ6は、非接触トルクセンサであって、トーションバー
5のねじれに基づく入力軸2と出力軸3との相対角度変
位を、所定の磁気回路におけるインピーダンスの変化と
してコイルにより検出し、電気信号として不図示の制御
回路へ出力するものである。
【0014】出力軸3の中央部にはピニオン歯車3aが
形成されており、紙面垂直方向に延在するラック軸11
のラック歯11aと噛合している。ラック軸11は、ラ
ックガイド12a、スプリング12b、ロック部材12
cからなる公知のラックサポート装置12により背面か
ら支持され、ピニオン歯車3aに向かって押圧されてい
る。
【0015】出力軸3の上方端外周には、ウォームホイ
ール13が圧入等により固定的に取り付けられている。
ウォームホイール13は、不図示の電動モータの回転軸
30に連結されたウォーム30aと噛合している。この
電動モータは、不図示の制御回路に連結されているが、
かかる制御回路は、トルクセンサ6の出力や車速等の情
報を入力し、所定の電力を電動モータに供給して適切な
補助トルクを発生させるものである。
【0016】出力軸3は、軸受14,15により回転自
在に支持されている。より具体的には、出力軸3の上方
端におけるウォームホイール13の近傍に、上方軸受1
4が嵌合している。更に、出力軸3の下方端には下方軸
受15が嵌合している。下方軸受15の外輪は、ねじカ
バー9をハウジング1に対してねじ込むことにより、ハ
ウジング1の段部1dに対して固定されるようになって
いる。一方、下方軸受15の内輪は、ナット17を出力
軸3に対してねじ込むことにより、出力軸3に対して取
り付けられるようになっている。なお軸受15は、アキ
シャルガタの少ないアンギュラコンタクトタイプである
ので、かかる軸受15を用いることにより、出力軸3の
軸線方向の位置決めができる。
【0017】図2は、入力軸2の一部,出力軸3及びト
ーションバー5の分解図である。図2に示すように、出
力軸3の入力軸2に近接した部分の外周面には、出力軸
3と同軸に、星形の溝部材3Aが例えばプロジェクショ
ン溶接などで固定される。凹部部材としての溝部材3A
の厚さは、表皮深さ√(2/(ωσπ))のπ倍以下で
ある。フェライト又はマルテンサイト(すなわち磁性)
ステンレスから形成された溝部材3Aを包囲するよう
に、肉薄の円筒部材10が配設されている。
【0018】かかる円筒部材10は、導電性で且つ非磁
性の材料(例えば、アルミニウム)から形成され、その
上端部が、入力軸2の出力軸3側端部外周面に固定され
ている。
【0019】具体的には、入力軸2の出力軸3側端部に
は、大径部2Aが形成されていて、その大径部2Aの外
周面には、軸方向に延びる複数(この例では、4本)の
軸方向溝11(図2で裏側に位置する二本の溝は図示せ
ず)と、周方向に連続した周方向溝12とが形成されて
いる。
【0020】各軸方向溝11は、互いに周方向に等間隔
(この例では90度)離れて、大径部2Aの上下端部間
にわたって形成されており、また、周方向溝12は、円
筒部材10を固定した際にその円筒部材10の上端部が
位置する付近に形成されている。
【0021】一方、円筒部材10の内周面には、その上
端部から若干入り込んだ位置に、複数(この例では、4
つ)の半球状の突起13が形成されている。これら突起
13の個数及び形成位置は、入力軸2の軸方向溝11に
対応していて、従って、突起13は、互いに周方向に等
間隔(この例では90度)離れている。
【0022】円筒部材10を大径部2Aに固定する際に
は、その突起13を軸方向溝11に嵌合させることによ
り、円筒部材10の入力軸2に対する周方向の位置決め
を行い、それから円筒部材10を押し込み、その端部を
周方向溝12に近接させ、その状態で円筒部材10端部
を内側にかしめて周方向溝12に食い込ませる。つま
り、入力軸2に対する円筒部材10の周方向位置は、軸
方向溝11に突起13が係合することにより固定され、
入力軸2に対する円筒部材10の軸方向位置は、その端
部が周方向溝12に食い込むことにより固定されてい
る。
【0023】また、入力軸2の出力軸3側端部には、メ
スストッパ24(図1)が形成されている。メスストッ
パ24は、例えば内周面が径方向外側に凹んだ四つの凹
部からなる十字形の孔である。
【0024】そして、メスストッパ24に対応して、出
力軸3の端部には、オスストッパ25が形成されてい
る。オスストッパ25は、例えば外周面が径方向外側に
突出した四つの凸部を有する十字形の軸であって、各凸
部の周方向の幅は、メスストッパ24の凹部の周方向の
幅よりも若干小さくなっていて、これにより、入力軸2
及び出力軸3間の相対回転を所定角度範囲(±5度程
度)に規制するようになっている。尚、オスストッパ2
5の軸方向長さは、嵌合部材3Aの全長より長く形成さ
れており、後述するようにして嵌合部材3Aを嵌合させ
たときに、オスストッパ25の上端が突出し、かかる突
出部がメスストッパ24に内包されることとなる。
【0025】一方、円筒部材10を組み付けた状態で、
溝部材3Aを包囲する部分には、突起13に近い側に、
周方向に等間隔離隔した長方形の複数の窓10aが形成
され、突起13から遠い側に、窓10a,・・・,10
aと位相が180度ずれるように、周方向に等間隔離隔
した長方形の複数の窓10bが形成されている。
【0026】図3は、溝部材3Aを軸線方向に見た図で
ある。図3に示すように、凹部部材としての溝部材3A
は薄板部材の円筒をプレスして周方向に凹凸を形成する
ように加工され、それにより軸方向に延びる複数の凹部
すなわち溝3aが等間隔に形成されている。但し、溝3
aの本数は、窓10a,10bのそれぞれの個数と同じ
である。
【0027】本実施の形態によれば、各部材を組み付け
た状態で、入力軸2と出力軸3との間に相対回転が生じ
ていない状態(操舵トルクが零の状態)では、各溝3a
の幅方向中心と、窓10aの幅方向中心との位相が90
度となるように位置し、各溝3aの幅方向中心と、窓1
0bの幅方向中心との位相が逆方向に90度となるよう
に位置するようになっている。
【0028】図1に戻って、上側ハウジング1Aの内側
には、円筒部材10を包囲するように、同一規格のコイ
ル20A,20Bが巻き付けられたボビンを内周側に支
持する磁性材料からなるヨーク20が固定されている。
但し、コイル20A,20Bは円筒部材10と同軸にな
っていて、一方のコイル20Aは、円筒部材10の窓1
0a,・・・,10aが形成された部分を包囲し、他方
のコイル20Bは、円筒部材10の窓10b,・・・,
10bが形成された部分を包囲している。
【0029】本実施の形態においては、トルクセンサ6
は、溝部材3Aと、円筒部材10と、コイル20A、2
0Bとから構成される。
【0030】各コイル20A,20Bの端部20aは、
上側ハウジング1Aに形成されたセンサケース21内に
収容された基板22に接続されていて、基板22上に
は、図示しないモータ制御回路が構成されている。モー
タ制御回路の具体的な構成は本発明の要旨ではないた
め、詳細には説明しないが、例えば上記特開平8−24
0491号公報に開示されるように、所定周波数の交流
電流をコイル20A,20Bに供給する発振部と、コイ
ル20Aの自己誘導起電力を整流及び平滑して出力する
第1整流平滑回路と、コイル20Bの自己誘導起電力を
整流及び平滑して出力する第2整流平滑回路と、第1,
第2整流平滑回路の出力の差を増幅して出力する差動ア
ンプと、差動アンプの出力から高周波ノイズを除去する
ノイズ除去フィルタと、ノイズ除去フィルタの出力に基
づいて入力軸2及び円筒部材10の相対回転変位の方向
及び大きさを演算しその結果に例えば所定の比例定数を
乗じて操舵系に発生している操舵トルクを求めるトルク
演算部と、トルク演算部の演算結果に基づいて操舵トル
クを軽減する操舵補助トルクが発生するような駆動電流
を電動モータ(不図示)に供給するモータ駆動部と、を
備えて構成することができる。
【0031】次に、本実施の形態の動作を説明する。
今、操舵系が直進状態にあり、操舵トルクが零であるも
のとすると、入力軸2及び出力軸3間には相対回転は生
じない。従って、入力軸2と円筒部材10との間にも相
対回転は生じない。
【0032】これに対し、ステアリングホイールを操舵
して入力軸2に回転力が生じると、その回転力は、トー
ションバー4を介して出力軸3に伝達される。このと
き、出力軸3には、転舵輪及び路面間の摩擦力やラック
アンドピニオン式ステアリング装置のギアの噛み合い等
の摩擦力に応じた抵抗力が生じるため、入力軸2及び出
力軸3間には、トーションバー5が捩じれることによっ
て出力軸3が遅れる相対回転が発生し、円筒部材10及
び出力軸3間にも相対回転が生じる。そして、その相対
回転の方向及び量は、ステアリングホイールの操舵方向
や発生している操舵トルクに応じて決まってくる。
【0033】円筒部材10及び入力軸2間に相対回転が
生じると、溝3aと、窓10a,・・・,10a、10
b,・・・,10bとの重なり具合が当初の状態から変
化するし、溝10a,・・・,10aと溝10b,・・
・,10bとの位相関係を上記のように設定しているた
め、溝3aと窓10a,・・・,10aとの重なり具合
と、溝3aと窓10b,・・・,10bとの重なり具合
とは、互いに逆方向に変化する。
【0034】その結果、入力軸2及び円筒部材10間の
相対回転に応じて、コイル20Aの自己インダクタンス
と、コイル20Bの自己インダクタンスとは、互いに逆
方向に変化するから、それらコイル20A,20Bの自
己誘導起電力も互いに逆方向に変化するようになる。よ
って、コイル20A,20Bの自己誘導起電力の差を求
めると、その差は、操舵トルクの方向及び大きさに従っ
てリニア(巨視的に見れば正弦波状の変化であるが使用
範囲においては略リニア)に変化するようになる。その
一方で、温度等による自己インダクタンスの変化は、モ
ータ制御回路内の差動アンプにおいてキャンセルされ
る。
【0035】更に、モータ制御回路内のトルク演算部
が、差動アンプの出力に基づいて操舵トルクを求め、モ
ータ駆動部が、その操舵トルクの方向及び大きさに応じ
た駆動電流を不図示の電動モータに供給する。すると、
電動モータには、操舵系に発生している操舵トルクの方
向及び大きさに応じた回転力が発生し、その回転力がウ
ォーム30a及びウォームホイール13を介して出力軸
3に伝達されるから、出力軸3に操舵補助トルクが付与
されたことになり、操舵トルクが減少し、運転者の負担
が軽減される。
【0036】本実施の形態によれば、溝部材3Aを薄板
部材により形成しても、表皮効果によって、その表面近
傍にのみ自発磁化が生じるので、トルクセンサ6の検出
感度が低下することがない。一方、溝部材の最も表面か
ら遠い部分においても、大きな磁界の位相遅れが生じな
いことから、溝部材全体で発生する自発磁化量を相殺す
ることがないので、むしろトルクセンサの検出感度は増
大することとなる。
【0037】更に、溝部材3Aを形成する磁性材料薄板
が、フェライト又はマルテンサイト系のステンレスであ
るので、錆の発生を抑止できる。又、溝部材3Aの厚さ
が、表皮深さ√(2/(ωσπ))のπ倍以下であるの
で、数1に基づき、逆側の磁界の位相遅れを防止でき
る。
【0038】図4は、本実施の形態の変形例を示す図で
ある。図4に示すように、薄板部材から形成された溝部
材103Aは、8個の凹部103aを有している。従っ
て、これに応じて、円筒部材の窓も8個にする必要があ
るが、それ以外の構成については同様であるので、説明
は省略する。
【0039】本実施の形態においては、隣接する溝部1
03aの間には凸部103bが形成されているが、かか
る凸部103bは、略台形形状すなわち、半径方向外方
に向いた2つの角部がとがった形状を有している。かか
る角部が形成されているので、トルクセンサ6の検出感
度がより向上する。
【0040】図5は、第2の実施の形態を示す図2と同
様な図である。図5に示す本実施の形態においては、図
2の実施の形態に対し、溝部材3Aの代わりに凹部部材
203Aを設けている点が異なり、その他の点は共通す
るので共通する部分についての説明は省略する。
【0041】溝部材3Aは、円筒部材を周方向にプレス
することによって形成するが、凹部部材203Aは、一
枚の平板金をプレスで型抜きすることによりより低コス
トに製造できる。
【0042】図6は、凹部部材203Aを軸線方向に見
た図であり、図7は、凹部部材203Aの製造態様を説
明するための図である。図面を参照して、凹部部材20
3Aの製造態様について説明する。まず、薄い平板金を
プレスで型抜きし、図7(a)に示すような梯子状部材
201を形成する。梯子状部材201は、両側に延在す
る連結部201a、201bと、連結部201a、20
1bを連結する複数の柱部201cとからなる。尚、連
結部201a、201bに連結する柱部201cの端部
201dは、より幅が狭くなっている。
【0043】次に、図7(b)に示すように、梯子状部
材201の各柱部201cの長手方向両側を全体にわた
って折り曲げる。その端部201dが狭くなっているの
で、折り曲げは容易である。また、連結部201a、2
01bの端部201e、201fに段差を付ける。最後
に、図7(c)に示すように、梯子状部材201を円筒
状に巻いて、連結部201a、201bの両端を溶接す
る。このとき、一方の端部201e、201fに段差を
付けているので、図6に示す如く、梯子状部材201
は、略真円筒の凹部部材203Aとして形成できる。
【0044】本実施の形態においては、凹部部材203
Aは、出力軸3の外周に圧入されて取り付けられる。こ
のとき、両側を軸線方向に折り曲げられた柱部201c
の奥縁が、出力軸3(図6の一点鎖線)の外周に突き当
たり、溝201sを形成するようになっている。このよ
うに、凹部部材203Aが薄板部材から形成されている
ので、上述した実施の形態と同様に、トルクセンサの検
出感度を向上させることできる。
【0045】図8は、本実施の形態の第1の変形例を示
す図である。図8に示すように、柱状部材の一方の端部
211eをフック形状として、他方の端部に孔211g
を設け、孔211gに端部211eを係合させることに
よって、凹部部材203Bを形成するようにしても良
い。
【0046】図9は、本実施の形態の第2の変形例を示
す図であり、図10は、本実施の形態の第3の変形例を
示す図である。図9の凹部部材203Cは、図6の実施
の形態に対して、柱部の数をより増大したものであり、
図10の凹部部材203Dは、図8の変形例に対して、
柱部の数をより増大したものである。
【0047】図11は、第3の実施の形態を示す図5と
同様な図である。図11に示す本実施の形態において
は、図5の実施の形態に対し、凹部部材203Aの内側
に導電性非磁性の円筒部材401を内挿した点のみが異
なり、その他の点は共通するので共通する部分について
の説明は省略する。
【0048】すなわち、凹部部材203Aの内側に、導
電性非磁性の円筒部材401を内挿すると、出力軸3が
円筒部材401により磁気的にシールド状態に維持さ
れ、それにより、凹部部材203Aと出力軸3とによっ
て形成される溝の底における自発磁化を抑制して、凹部
部材203A全体に生じる磁束密度を増大させて、トル
クセンサの感度を上昇させることができる。
【0049】尚、出力軸3と溝部材3A又は凹部部材2
03Aとを一体で形成しようとすると、センサとしての
強磁性と耐食性と、操舵軸の強度とを満足させるため、
高価なマルテンサイト系ステンレス鋼を用い、熱処理を
行って形成する必要があったが、本実施の形態によれ
ば、出力軸3は、操舵軸の強度のみを満足すれば足りる
ため、安価な構造用鋼を用い、熱処理することなく冷間
鍛造による加工硬化によって強度を確保できるので、製
造コストをより低減できる。又、嵌合部材3Aは、強度
を必要としないため、磁気特性の良好な材料を用いて形
成でき、検出感度の向上を図ることができる。
【0050】以上、実施の形態を参照して本願発明を詳
細に説明してきたが、本願発明は上記実施の形態に限定
して解釈されるべきでなく、その趣旨を損ねない範囲で
適宜変更、改良可能であることはもちろんである。たと
えば、溝部材や凹部部材の固定は、溶接や圧入に限ら
ず、カシメなど他の態様でも良い。
【0051】
【発明の効果】本発明のトルクセンサによれば、製造コ
ストを低く抑えながら、より検出感度を向上させたトル
クセンサを有する電動式パワーステアリング装置が提供
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である電動式のパワーステ
アリング装置を、入力軸の軸線に沿って切断して示す断
面図である。
【図2】入力軸2(端部のみ),出力軸3及びトーショ
ンバー4を各別に分解した状態の斜視図である。
【図3】溝部材3Aを軸線方向に見た図である。
【図4】本実施の形態の変形例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態を示す図2と同様な図であ
る。
【図6】凹部部材203Aを軸線方向に見た図である。
【図7】凹部部材203Aの製造態様を説明するための
図である。
【図8】本実施の形態の第1の変形例を示す図である。
【図9】実施の形態の第2の変形例を示す図である。
【図10】本実施の形態の第3の変形例を示す図であ
る。
【図11】第3の実施の形態を示す図5と同様な図であ
る。
【符号の説明】
1 ハウジング 2 入力軸 3 出力軸) 3A 溝部材 3a 溝 203A 凹部部材 203s 溝 5 トーションバー 6 トルクセンサ 10 円筒部材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジングと、 操舵力を入力する入力軸と、 回転力を発生する電動モータと、 操舵機構に連結された出力軸と、 前記入力軸と前記出力軸との間を連結するトーションバ
    ーと、 前記トーションバーのネジレ量を検出する検出装置と、 前記電動モータから前記出力軸へ前記回転力を伝達する
    動力伝達機構と、を有し、 前記検出装置は、 前記入力軸と前記出力軸の一方に設けられ、外周に軸線
    方向に延在する複数の凹部を形成した、磁性材料薄板か
    ら形成された凹部部材と、 前記入力軸と前記出力軸の他方に設けられ、前記凹部部
    材の少なくとも一部分を包囲するように延在する円筒部
    材と、を有し、 前記凹部と前記円筒部材との重なり状態に基づいて、前
    記トーションバーのネジレ量を検出するようになってい
    る電動式パワーステアリング装置。
  2. 【請求項2】 前記磁性材料薄板は、フェライト又はマ
    ルテンサイト系のステンレスである請求項1に記載の電
    動式パワーステアリング装置。
  3. 【請求項3】 前記磁性材料薄板の厚さは、表皮深さ√
    (2/(ωσπ))のπ倍以下である請求項1又は2に
    記載の電動式パワーステアリング装置。
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CN109398083A (zh) * 2018-12-20 2019-03-01 苏州能斯达电子科技有限公司 一种用于电动出行工具的新型压感踏板控制装置

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