JP2001182360A - 建物の制振構造 - Google Patents

建物の制振構造

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JP2001182360A
JP2001182360A JP36813099A JP36813099A JP2001182360A JP 2001182360 A JP2001182360 A JP 2001182360A JP 36813099 A JP36813099 A JP 36813099A JP 36813099 A JP36813099 A JP 36813099A JP 2001182360 A JP2001182360 A JP 2001182360A
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partition wall
joint
vibration
vibration damping
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JP36813099A
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Shinji Nakada
信治 中田
Shinichi Kiriyama
伸一 桐山
Joji Saito
錠司 斉藤
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Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、建物の構造躯体に夫々独立して揺
動自在に支持して隣設された外壁パネル間の目地部に弾
性シールジョイント部を設けると共に間仕切り壁や収納
家具等の自立体と建物の構造躯体との間に制振手段を介
在させたことで微小振動から中地震、大地震に対して中
低層建物の振動に対する応答を低減出来る建物の制振構
造を提供することを可能にすることを目的としている。 【解決手段】 建物の構造躯体に夫々独立して揺動自在
に支持して隣設された外壁パネル1間の目地部2にウレ
タン系の弾性シールジョイント部3を設け、更に鉄骨梁
13と間仕切り壁4との間に粘弾性ダンパーAを設けて構
成したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物の制振構造に
係り、特に一般住宅や中低層の商用ビルやアパート等の
建物において地震や交通振動に起因する建物の揺れを抑
制するための制振構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から制振装置を組み込んだ高層建物
の制振構造は良く知られているが、これに対して比較的
小規模で軽量の低中層の鉄骨造や木造の建物に対しては
高層建物ほど効果が得られていない。
【0003】建物の制振構造として、エネルギー吸収型
ダンパーや同調振動系(TMD)型ダンパー、或いは免
震構造等により制振作用を受動的に期待するパッシブ制
振構造や、制振力(AMD,HMD)型や可変構造特性
(AVS)型等のように制御システムを駆動させて制振
作用を能動的に行うアクティブ制振構造が知られてい
る。
【0004】しかしながら、上記エネルギー吸収型ダン
パーは専用ダンパーを多数設置する必要があるため高価
となり、同調振動系(TMD)型ダンパーは建物内に専
用の設置空間を設ける必要があるため建物の利用空間が
制限され、小型の建築物においては設置スペースの確保
が困難であるという問題がある。
【0005】また、免震構造やアクティブ制振構造は一
般に高価であるため大型のビル等には適しているが一般
住宅や中低層ビル等には不経済であるため、特に一般住
宅や中低層の商用ビルやアパート等の建物において地震
や交通振動に起因する建物の揺れを抑制するための制振
構造として普及し難いという問題があった。
【0006】一方、外壁や内壁等の壁パネルが建物の構
造躯体に夫々独立して揺動自在に支持される所謂ロッキ
ング工法では地震等により構造躯体が変形した際に個々
の壁パネルが略同期して揺動することで壁パネルの破損
を防止する構造を提供するが、この際に隣設された壁パ
ネル間の目地部に使用されるシーリング材は、あくまで
建物の防水を目的として設けられているものであり、制
振効果を目的としたものではない。
【0007】例えば、建物の外壁に用いられるカーテン
ウォールをパッシブ制振の質量体として積極的に用いた
従来例として特開平6-10535 号公報に開示された技術が
提案されている。
【0008】この技術は、図12に示すように、カーテン
ウォール51の重心Gから上方に所定距離Lだけ離れた位
置を枢軸52を介して揺動可能に建物本体側に取り付け、
カーテンウォール51の枢軸52と重心Gとの間の距離Lを
カーテンウォール51の固有振動数が建物を制振しようと
する振動領域と一致するように予め設定する。
【0009】そして、カーテンウォール51の隣設される
もの同士の間に目地部となる間隙δを設け、この間隙δ
の部分に減衰性を有する塑性材料からなる目地材53を充
填したものである。
【0010】建物の揺動に伴ってカーテンウォール51は
枢軸52を中心に該枢軸52と重心Gとの距離Lにより決定
される所定の固有振動数をもって揺動されるため、この
固有振動数を建物を制振しようとする振動領域に設定す
ることでパッシブ制振の質量体として用いることが出
来、カーテンウォール51の揺動は目地材53により減衰さ
れるとしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
従来例において、図12に示した技術では、カーテンウォ
ール51の固有振動数を建物を制振しようとする振動領域
に設定する必要があるため建築する建物の固有振動数に
合わせてカーテンウォール51の枢軸52と重心Gとの距離
Lを個々に設定する必要があり、設計や施工に手間がか
かる上、カーテンウォール51の種類が増大してコスト高
になるという問題がある。
【0012】本発明の目的とするところは、建物の構造
躯体に夫々独立して揺動自在に支持して隣設された外壁
パネル間の目地部に弾性シールジョイント部を設けると
共に、間仕切り壁や収納家具等の自立体と建物の構造躯
体との間に制振手段を介在させたことで微小振動から中
地震、大地震に対して中低層建物の振動に対する応答を
低減出来る建物の制振構造を提供せんとするものであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明に係る建物の制振構造は、建物の構造躯体に夫
々独立して揺動自在に支持して隣設された外壁パネル間
の目地部に弾性シールジョイント部が設けられ、且つ間
仕切り壁や収納家具等の自立体と建物の構造躯体との間
に制振手段を介在させたことを特徴とする。
【0014】上記構成によれば、建物の構造躯体に夫々
独立して揺動自在に支持して隣設された外壁パネル間の
目地部に弾性シールジョイント部を設け、更に間仕切り
壁や収納家具等の自立体と建物の構造躯体との間に制振
手段を介在させたことで、異なる種類の制振要素を複合
化して振動減衰性能を効率良く発揮することが出来る。
【0015】これによって、建物構造体に入力される微
小振動から中地震、大地震まで各段階の振動に対して振
動減衰性能を発揮することが出来、しかも構造が簡単で
施工が容易で且つ経済的な制振構造とすることが出来
る。
【0016】
【発明の実施の形態】図により本発明に係る建物の制振
構造の一実施形態を具体的に説明する。図1は本発明に
係る建物の制振構造を適用した住宅の間取り構成を示す
平面図、図2は隣設された外壁パネル間の目地部に弾性
シールジョイント部を設けた様子を示す図である。
【0017】また、図3は間仕切り壁の上部と建物の構
造躯体との間に設けられる制振手段の第1実施形態の構
成を示す縦断面説明図、図4は間仕切り壁の上部と建物
の構造躯体との間に設けられる制振手段の第1実施形態
の構成を示す正面説明図、図5は鉄骨梁に設けられる補
強金具の構成を示す斜視図、図6は第1実施形態の間仕
切り壁の下部と建物の構造躯体との固定構造を示す縦断
面説明図、図7は第1実施形態の間仕切り壁の下部と建
物の構造躯体との固定構造を示す正面説明図である。
【0018】本発明に係る建物の制振構造は、図1及び
図2に示すように、建物の構造躯体にロッキング工法等
により夫々独立して揺動自在に支持して隣設された軽量
気泡コンクリート(ALC)パネル等で構成された外壁
パネル1間の目地部2にウレタン系等の弾性シールジョ
イント部3が設けられ、更には、図3及び図4に示すよ
うに自立体となる間仕切り壁4の上部と建物の構造躯体
との間に制振手段として粘弾性ダンパーAを介在させて
該間仕切り壁4が自立して支持されている。
【0019】隣設する外壁パネル1間の目地幅は5mm以
上40mm以下であり、好ましくは5mm以上25mm以下で
形成される。これにより、制振シーリング材の施工が容
易で且つ十分な制振効果が発揮出来る。
【0020】隣設する壁パネル間の目地幅を5mm未満と
した場合には制振シーリング材の施工が困難となり、同
目地幅が40mmよりも大きい場合には制振効果が低下
し、制振シーリング材の施工に手間や時間がかかる上、
該制振シーリング材の量が増大してコストがかかり、更
には意匠上の美観を低下させる。
【0021】また、ウレタン系等の弾性シールジョイン
ト部3が配置される目地ピッチは出隅、入り隅等のコー
ナー部の役物部分を除き、300mm以上1100mm以下
で形成される。これにより、制振シーリング材の施工が
容易で且つ十分な制振効果が発揮出来る。
【0022】隣設する壁パネル間の目地ピッチを300
mm未満とした場合には制振シーリング材の施工に手間や
時間がかかる上、該制振シーリング材の量が増大してコ
ストがかかり、同目地ピッチが1100mmよりも大きい
場合には制振効果が低下する。
【0023】弾性シールジョイント部3は隣設する外壁
パネル1間の各目地部2に充填することでも良いし、飛
び飛びの目地部2に充填することでも良い。また、弾性
シールジョイント部3はウレタン系以外の他の材質でも
良い。
【0024】また、弾性シールジョイント部3は図2に
示すように単位面積当たりの長さ(外壁パネル1及び目
地部2により形成される壁面の面積に対する弾性シール
ジョイント部3の目地方向の長さ)が1m/m2以上3m/m2
以下で、隣設する外壁パネル1の小口面に接着した状態
で充填される。
【0025】これにより十分な制振効果が発揮出来る。
制振シーリング材の単位面積当たりの長さを1m/m2未満
とした場合には制振効果が低下し、制振シーリング材の
単位面積当たりの長さが3m/m2よりも大きい場合には制
振シーリング材の施工に手間や時間がかかる上、該制振
シーリング材の量が増大してコストがかかり、更には意
匠上の美観を低下させる。
【0026】弾性シールジョイント部3の0℃以上50
℃以下における動的貯蔵弾性率(dyn/cm2)の対数(log)
は6より大で10より小さいものを使用する(1dyn =
1g・cm/s2)。
【0027】これにより十分な制振効果が発揮出来、壁
パネルの保全が確保出来る。前記動的貯蔵弾性率の対数
を10以上とした場合には制振シーリング材の変形量が
小さくなり過ぎて振動エネルギー吸収量が低下するため
制振効果が低下し、動的貯蔵弾性率の対数が6以下の場
合には制振シーリング材の変形量が大きくなりすぎて壁
パネル間の拘束力が低下し、制振効果が低減する。
【0028】また、弾性シールジョイント部3の0℃以
上50℃以下における損失正接(tan δ;変形の間に運
動エネルギーが熱エネルギーに変換され、放熱により散
逸されるエネルギー量の尺度)の最低値が0.2以上の
ものを使用する。弾性シールジョイント部3の0℃以上
50℃以下における損失正接の最低値は、0.25以上
であれば好ましく、0.3以上であれば更に好ましい。
【0029】これにより十分な制振効果が発揮出来る。
前記0℃以上50℃以下における損失正接の最低値が
0.2より小さい場合には変形の間に運動エネルギーが
熱エネルギーに変換され、放熱により散逸されるエネル
ギー量が低下するため制振効果が低下する。
【0030】尚、上記「動的貯蔵弾性率」及び「損失正
接」についてはJIS K 7198に記載された定義に準拠する
ものである。
【0031】弾性シールジョイント部3は上記条件を満
たすような材料であれば良く、ウレタン系以外の他の各
種の有機高分子粘弾性体を含む。
【0032】次に図3〜図7を用いて間仕切り壁4の上
部と建物の構造躯体となる鉄骨梁13との間に設けられる
制振手段となる粘弾性ダンパーAの第1実施形態の構成
について説明する。図3及び図6に示すように、間仕切
り壁4は角材等により枠体を構成する下地材5の両面側
に構造用合板6が張り付けられ、更に該構造用合板6の
両面側に石膏ボード7が張り付けられている。
【0033】間仕切り壁4の上部小口面には、図3及び
図4に示すように、該小口面の大きさに応じた大きさを
有する角材からなる固定部材8が接着剤により固着され
ており、該固定部材8には所定の長さを有する断面L字
形状の一対の連結部材9が背中合わせに立設されてボル
ト14、ナット15等により固定されている。
【0034】一対の連結部材9の起立片9aの間には該
連結部材9の長さと略等しい長さを有する断面T字形状
の連結部材10の垂下片10aが挿入されて配置されてお
り、該連結部材9の起立片9aと連結部材10の垂下片10
aとの間に一対の粘弾性体11を介在して接着剤により固
着し、更に一対の連結部材9の起立片9a相互をボルト
14、ナット15等により固定している。
【0035】連結部材10の水平片10bは、上階の床パネ
ル或いは屋根パネルを構成するALC(軽量気泡コンク
リート)パネル12を載置して支持する建物の構造躯体と
なる鉄骨梁13の下フランジ13aの下面側に当接されボル
ト14及びナット15等により鉄骨梁13に対して固定されて
いる。
【0036】本実施形態では、鉄骨梁13の粘弾性ダンパ
ーAが取り付けられる位置に対応して図5に示す断面L
字形状の取付金具16aにスチフナ16bが溶接して固定さ
れた一対の補強金具16が鉄骨梁13のウエブ13bの両側に
固定されている。
【0037】図5に示すように、補強金具16の取付金具
16aの起立片16a1及び水平片16a2にはボルト穴16a3が形
成されており、鉄骨梁13のウエブ13bの両側に一対の対
称形状の補強金具16を配置して該一対の補強金具16の起
立片16a1に設けられたボルト穴16a3及び鉄骨梁13のウエ
ブ13bに形成された図示しないボルト穴にボルト14を挿
通し、該ボルト14にワッシャ17を挿通した後、ナット15
をボルト14に螺合締着すると共に、補強金具16の水平片
16a2に設けられたボルト穴16a3及び鉄骨梁13の下フラン
ジ13aに形成された図示しないボルト穴及び連結部材10
の水平片10bに形成された図示しないボルト穴にボルト
14を挿通し、該ボルト14にワッシャ17を挿通した後、ナ
ット15をボルト14に螺合締着して鉄骨梁13、連結部材10
及び補強金具16が一体的に固定される。
【0038】本実施形態では、鉄骨梁13の粘弾性ダンパ
ーAに対応する位置に補強金具16を取り付けたことで振
動により間仕切り壁4が揺動する際に受ける捩れや引っ
張り力による応力を補強金具16により受けて鉄骨梁13を
補強する構成としている。尚、鉄骨梁13が十分な強度を
有する場合には補強金具16を省略することでも良い。
【0039】粘弾性体11を介して固定された連結部材
9,10は予め工場等で粘弾性ダンパーユニットとして一
体的に製造されて部品化されており、現場に搬入され
る。本実施形態で採用される粘弾性体11は、例えば、石
油アスファルトと熱可塑性ゴムを主成分として加熱混練
して得られたゴムアスファルト(Bitumen/Rubber Compo
und;略称BRC)により構成される。
【0040】上記ゴムアスファルトは任意の厚さのシー
ト状に成形出来、材料自身が強い接着性を持ち、剪断変
形に対して粘性剪断抵抗力が生じるものである。
【0041】間仕切り壁4の上部の施工手順の一例とし
ては、先ず、粘弾性ダンパーユニットとして一体的にユ
ニット化された連結部材9の水平片9bを固定部材8に
当接してボルト14、ナット15により連結部材9を固定部
材8に固定した後、間仕切り壁4の上部小口面に該固定
部材8を接着等により固定する。
【0042】次に鉄骨梁13のウエブ13bに一対の補強金
具16の起立片16a1をボルト14、ナット15により仮止めし
ておき、鉄骨梁13の下フランジ13aと、補強金具16の水
平片16a2と、連結部材10の水平片10bとをボルト14、ナ
ット15により螺合締着して一体的に固定した後、鉄骨梁
13のウエブ13bと補強金具16の起立片16a1とをボルト1
4、ナット15により螺合締着して固定する。
【0043】尚、粘弾性体11を介して固定された連結部
材9,10からなる粘弾性ダンパーユニットを予め工場等
で間仕切り壁4に固定した状態で現場に搬入して現場で
は鉄骨梁13に間仕切り壁4を取り付ける作業だけにする
ことでも良い。
【0044】一方、間仕切り壁4の下部は、図6及び図
7に示すように、床パネルとなるALCパネル12を載置
して支持する建物の構造躯体となる鉄骨梁13の上フラン
ジ13cに連結部材18がボルト14、ナット15により固定さ
れ、更に間仕切り壁4の下部小口面を構成する下地材5
に接着剤、スクリュー釘及びボルト14、ナット15により
固定された連結部材19が連結部材18に対してボルト14、
ナット15により固定される。
【0045】また、鉄骨梁13のウエブ13bの両側には前
述したと同様に一対の対称的な補強金具16が固定されて
鉄骨梁13を補強している。
【0046】間仕切り壁4の下部の施工手順の一例とし
ては、先ず、予め工場等で間仕切り壁4の下部小口面の
下地材5に連結部材19の水平片19aを接着剤により固着
すると共にボルト14、ナット15を螺合締着し、スクリュ
ー釘を打ち込んで固定した後、該連結部材19の起立片19
bと連結部材18の起立片18bとをボルト14、ナット15に
より螺合締着して固定した後、下地材5の両面側に構造
用合板6及び石膏ボード7が張り付けられた状態で間仕
切り壁4が現場に搬入される。
【0047】次に鉄骨梁13のウエブ13bに一対の補強金
具16の起立片16a1をボルト14、ナット15により仮止めし
ておき、鉄骨梁13の上フランジ13cと、補強金具16の水
平片16a2と、連結部材18の水平片18aとをボルト14、ナ
ット15により螺合締着して一体的に固定した後、鉄骨梁
13のウエブ13bと補強金具16の起立片16a1とをボルト1
4、ナット15により螺合締着して固定する。
【0048】上記の制振構造を適用した図1に示す間取
りの住宅において、制振効果を実測した一例を以下に説
明する。建物の固有振動数は3.9Hzであり、震源とし
ては高架道路の交通振動を対象とし、振動方向は図1の
上下方向である。その交通振動波は、継続時間が300
secで、振動加速度の最大値は1.01galと測定され
た。
【0049】外壁パネル1の長尺方向の長さは2870
mm、厚さが75mmで、幅が610mmであり、隣設する外
壁パネル1間の目地幅が10mmで、弾性シールジョイン
ト部3は図2に示す位置に設けて制振効果を実測した。
【0050】外壁パネル1間の目地部2に弾性シールジ
ョイント部3が無く、且つ鉄骨梁13と間仕切り壁4との
間に粘弾性ダンパーAを設けない従来の構造の場合の振
動の減衰定数hは0.026である。
【0051】また、外壁パネル1間の目地部2にウレタ
ン系の弾性シールジョイント部3を設け、且つ鉄骨梁13
と間仕切り壁4との間に粘弾性ダンパーAを設けない場
合の振動の減衰定数hは0.052である。
【0052】また、外壁パネル1間の目地部2にウレタ
ン系の弾性シールジョイント部3を設け、且つ鉄骨梁13
と間仕切り壁4との間に粘弾性ダンパーAを設けた場合
の振動の減衰定数hは0.156である。これは、従来
の構造の6倍(0.156/0.026=6)の減衰定
数となっている。
【0053】また、外壁パネル1間の目地部2に弾性シ
ールジョイント部3が無く、且つ鉄骨梁13と間仕切り壁
4との間に粘弾性ダンパーAを設けない従来の構造の場
合の振動の加速度の最大値Amaxは4.34(gal)であ
る。
【0054】また、外壁パネル1間の目地部2にウレタ
ン系の弾性シールジョイント部3を設け、且つ鉄骨梁13
と間仕切り壁4との間に粘弾性ダンパーAを設けない場
合の振動の加速度の最大値Amaxは2.98(gal)であ
る。
【0055】また、外壁パネル1間の目地部2にウレタ
ン系の弾性シールジョイント部3を設け、且つ鉄骨梁13
と間仕切り壁4との間に粘弾性ダンパーAを設けた場合
の振動の加速度の最大値Amaxは1.40(gal)である。
【0056】従って、外壁パネル1間の目地部2に弾性
シールジョイント部3が無く、且つ鉄骨梁13と間仕切り
壁4との間に粘弾性ダンパーAを設けない従来の構造の
場合の振動の加速度の最大値Amaxを1とした場合の外
壁パネル1間の目地部2にウレタン系の弾性シールジョ
イント部3を設け、且つ鉄骨梁13と間仕切り壁4との間
に粘弾性ダンパーAを設けない場合の振動の減衰率比は
0.68(2.98/4.34=0.68)であり、外
壁パネル1間の目地部2にウレタン系の弾性シールジョ
イント部3を設け、且つ鉄骨梁13と間仕切り壁4との間
に粘弾性ダンパーAを設けた場合の振動の減衰率比は
0.32(1.40/4.34=0.32)である。
【0057】上記構成によれば、建物の構造躯体に夫々
独立して揺動自在に支持して隣設された外壁パネル1間
の目地部2にウレタン系等の弾性シールジョイント部3
を設け、更に自立体となる間仕切り壁4が建物の構造躯
体となる鉄骨梁13との間に粘弾性ダンパーAを介在させ
て自立して設けられたことで、異なる種類の制振要素を
複合化して振動減衰性能を効率良く発揮することが出来
る。
【0058】これによって、建物構造体に入力される微
小振動から中地震、大地震まで各段階の振動に対して振
動減衰性能を発揮することが出来、しかも構造が簡単で
施工が容易で且つ経済的な制振構造とすることが出来
る。
【0059】次に図8〜図11を用いて間仕切り壁4の上
部と建物の構造躯体となる鉄骨梁13との間に設けられる
制振手段となる粘弾性ダンパーAの第2実施形態の構成
について説明する。図8は間仕切り壁の上部と建物の構
造躯体との間に設けられる制振手段の第2実施形態の構
成を示す縦断面説明図、図9は間仕切り壁の上部と建物
の構造躯体との間に設けられる制振手段の第2実施形態
の構成を示す正面説明図、図10は第2実施形態の間仕切
り壁の下部と建物の構造躯体との固定構造を示す縦断面
説明図、図11は第2実施形態の間仕切り壁の下部と建物
の構造躯体との固定構造を示す正面説明図である。尚、
前記第1実施形態と同様に構成されたものは同一の符号
を付して説明を省略する。
【0060】本実施形態では、図8及び図9に示すよう
に、間仕切り壁4の上部小口面を構成する断面C字形状
の鉄骨下地材5に溶接により断面C字形状の突出部5a
が立設され、鉄骨梁13の下フランジ13aに固定される連
結部材10の垂下片10aに一対の粘弾性体11を介して固定
された一対の平板22が下地材5の突出部5aにボルト1
4、ナット15等により固定されている。
【0061】本実施形態における間仕切り壁4の上部の
施工手順の一例としては、先ず、間仕切り壁4の上部小
口面の下地材5に突出部5aが溶接して固定された後、
該下地材5の両側面に構造用合板6、石膏ボード7を張
り付けて固定し、粘弾性体11を介して固定された連結部
材10と一対の平板22からなる粘弾性ダンパーユニットと
して一体的にユニット化された平板22を下地材5の突出
部5aの両側面に当接してボルト14、ナット15等により
螺合締着することで平板22を連結部材21に固定する。
【0062】次に鉄骨梁13のウエブ13bに一対の補強金
具16の起立片16a1をボルト14、ナット15により仮止めし
ておき、鉄骨梁13の下フランジ13aと、補強金具16の水
平片16a2と、連結部材10の水平片10bとをボルト14、ナ
ット15により螺合締着して一体的に固定した後、鉄骨梁
13のウエブ13bと補強金具16の起立片16a1とをボルト1
4、ナット15により螺合締着して固定する。
【0063】尚、粘弾性体11を介して固定された連結部
材10、平板22からなる粘弾性ダンパーユニットを予め工
場等で間仕切り壁4に固定した状態で現場に搬入して現
場では鉄骨梁13に間仕切り壁4を取り付ける作業だけに
することでも良い。
【0064】一方、本実施形態では、図10及び図11に示
すように、間仕切り壁4の下部小口面を構成する断面C
字形状の鉄骨下地材5に連結部材19の水平片19aが溶接
等により固定されている。
【0065】本実施形態における間仕切り壁4の下部の
施工手順の一例としては、先ず、予め工場等で間仕切り
壁4の下部小口面の下地材5に連結部材19の水平片19a
を溶接して固定した後、該連結部材19の起立片19bと連
結部材18の起立片18bとをボルト14、ナット15により螺
合締着して固定し、下地材5の両面側に構造用合板6及
び石膏ボード7が張り付けられた状態で間仕切り壁4が
現場に搬入される。
【0066】次に鉄骨梁13のウエブ13bに一対の補強金
具16の起立片16a1をボルト14、ナット15により仮止めし
ておき、鉄骨梁13の上フランジ13cと、補強金具16の水
平片16a2と、連結部材18の水平片18aとをボルト14、ナ
ット15により螺合締着して一体的に固定した後、鉄骨梁
13のウエブ13bと補強金具16の起立片16a1とをボルト1
4、ナット15により螺合締着して固定する。
【0067】他の構成は前記第1実施形態と同様に構成
され、前述と同様な効果を得ることが出来るものであ
る。
【0068】尚、前記各実施形態では、建物の構造躯体
となる鉄骨梁13と間仕切り壁4の上部との間に粘弾性ダ
ンパーAを設けた構成であったが、建物の構造躯体とな
る柱や梁等と間仕切り壁4の側面部や下部との間に粘弾
性ダンパーAを設ける構成でも良い。
【0069】また、前記各実施形態では制振手段を構成
する粘弾性体11として、石油アスファルトと熱可塑性ゴ
ムを主成分として加熱混練して得られたゴムアスファル
ト(Bitumen/Rubber Compound;略称BRC)を採用し
た一例について説明したが、他の材質の粘弾性体を採用
しても良い。
【0070】また、粘弾性体以外の制振手段の一例とし
ては、図3及び図8に示す粘弾性体11の代わりに連結部
材10の垂下片10aと、一対の連結部材9の起立片9a或
いは一対の平板22との間に滑り材を介在させると共にボ
ルト、ナットを螺合して挟み込んだ摩擦ダンパー等によ
り構成することでも良い。
【0071】また、前記各実施形態では、自立体として
間仕切り壁4と、建物の構造躯体となる鉄骨梁13との間
に粘弾性ダンパーA等の制振手段を介在させて自立させ
た構成の一例について説明したが、他の自立体として収
納家具や他の種々の部材と、建物の構造躯体との間に制
振手段を介在させて自立させて構成しても同様の効果を
得ることが出来るものである。
【0072】
【発明の効果】本発明は、上述の如き構成と作用とを有
するので、建物の構造躯体に夫々独立して揺動自在に支
持して隣設された外壁パネル間の目地部に弾性シールジ
ョイント部を設け、更に間仕切り壁や収納家具等の自立
体と建物の構造躯体との間に制振手段を介在させたこと
で、異なる種類の制振要素を複合化して振動減衰性能を
効率良く発揮することが出来る。
【0073】これによって、建物構造体に入力される微
小振動から中地震、大地震まで各段階の振動に対して振
動減衰性能を発揮することが出来、しかも構造が簡単で
施工が容易で且つ経済的な制振構造とすることが出来
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る建物の制振構造を適用した住宅の
間取り構成を示す平面図である。
【図2】隣設された外壁パネル間の目地部に弾性シール
ジョイント部を設けた様子を示す図である。
【図3】間仕切り壁の上部と建物の構造躯体との間に設
けられる制振手段の第1実施形態の構成を示す縦断面説
明図である。
【図4】間仕切り壁の上部と建物の構造躯体との間に設
けられる制振手段の第1実施形態の構成を示す正面説明
図である。
【図5】鉄骨梁に設けられる補強金具の構成を示す斜視
図である。
【図6】第1実施形態の間仕切り壁の下部と建物の構造
躯体との固定構造を示す縦断面説明図である。
【図7】第1実施形態の間仕切り壁の下部と建物の構造
躯体との固定構造を示す正面説明図である。
【図8】間仕切り壁の上部と建物の構造躯体との間に設
けられる制振手段の第2実施形態の構成を示す縦断面説
明図である。
【図9】間仕切り壁の上部と建物の構造躯体との間に設
けられる制振手段の第2実施形態の構成を示す正面説明
図である。
【図10】第2実施形態の間仕切り壁の下部と建物の構造
躯体との固定構造を示す縦断面説明図である。
【図11】第2実施形態の間仕切り壁の下部と建物の構造
躯体との固定構造を示す正面説明図である。
【図12】公知例を説明する図である。
【符号の説明】
1…外壁パネル 2…目地部 3…弾性シールジョイント部 4…間仕切り壁 5…下地材 5a…突出部 6…構造用合板 7…石膏ボード 8…固定部材 9…連結部材 9a…起立片 9b…水平片 10…連結部材 10a…垂下片 10b…水平片 11…粘弾性体 12…ALCパネル 13…鉄骨梁 13a…下フランジ 13b…ウエブ 13c…上フランジ 14…ボルト 15…ナット 16…補強金具 16a…取付金具 16a1…起立片 16a2…水平片 16a3…ボルト穴 16b…スチフナ 17…ワッシャ 18,19…連結部材 18a,19a…水平片 18b,19b…起立片 22…平板 A…粘弾性ダンパー
フロントページの続き (72)発明者 斉藤 錠司 東京都北区西ヶ原2−38−8 オーパスハ ウジング Fターム(参考) 2E002 EA01 EB12 EB13 FB02 FB05 FB16 GA14 GA16 JA01 JA02 JB12 JB16 MA11 MA12 MA13

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建物の構造躯体に夫々独立して揺動自在
    に支持して隣設された外壁パネル間の目地部に弾性シー
    ルジョイント部が設けられ、且つ間仕切り壁や収納家具
    等の自立体と建物の構造躯体との間に制振手段を介在さ
    せたことを特徴とする建物の制振構造。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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CN111502031A (zh) * 2020-04-29 2020-08-07 南宁学院 一种梁和墙的连接结构

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