JP2001181819A - ネジ締結部材の表面処理方法 - Google Patents
ネジ締結部材の表面処理方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高温環境下で繰り返し使用される場合にも、
ネジ部の焼付きを効果的に防止することができるネジ締
結部材の表面処理方法を提供する。 【解決手段】 合金鋼製の締付けボルト1に、アルカリ
脱脂洗浄を施した後、真空蒸着によってAlを蒸着す
る。この真空蒸着は、室温において行うことができる。
真空度は、10−2〜10−4Pa程度が適当である。
蒸着膜の厚さは、1〜5μm程度とする。Alの真空蒸
着後、650〜700℃の温度範囲で、蒸着層中に母材
2中のFeを拡散させる。この結果、蒸着層は、FeA
l2を主体とするFe−Al化合物層3に変わる。この
Fe−Al化合物層3は、耐熱性、耐酸化性及び耐焼付
き性に優れている。
ネジ部の焼付きを効果的に防止することができるネジ締
結部材の表面処理方法を提供する。 【解決手段】 合金鋼製の締付けボルト1に、アルカリ
脱脂洗浄を施した後、真空蒸着によってAlを蒸着す
る。この真空蒸着は、室温において行うことができる。
真空度は、10−2〜10−4Pa程度が適当である。
蒸着膜の厚さは、1〜5μm程度とする。Alの真空蒸
着後、650〜700℃の温度範囲で、蒸着層中に母材
2中のFeを拡散させる。この結果、蒸着層は、FeA
l2を主体とするFe−Al化合物層3に変わる。この
Fe−Al化合物層3は、耐熱性、耐酸化性及び耐焼付
き性に優れている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温環境下で繰り
返し使用されるネジ締結部材において、焼付きの発生を
防止するための表面処理方法に係る。
返し使用されるネジ締結部材において、焼付きの発生を
防止するための表面処理方法に係る。
【0002】
【従来の技術】機械装置を組み立てる際に、ボルトやナ
ットなどのネジ締結部材が広く使用されている。機械装
置の使用環境が200℃程度以上になると、一般のグリ
ース類が使用できないので、高温グリース、二硫化モリ
ブデンやボロンナイトライドなどの固体潤滑剤、または
ネジ表面へのCuメッキなどによって、ネジ部の焼付き
を防止している。
ットなどのネジ締結部材が広く使用されている。機械装
置の使用環境が200℃程度以上になると、一般のグリ
ース類が使用できないので、高温グリース、二硫化モリ
ブデンやボロンナイトライドなどの固体潤滑剤、または
ネジ表面へのCuメッキなどによって、ネジ部の焼付き
を防止している。
【0003】(従来技術の問題点)上記の内、高温グリ
ースは適用可能温度に限界がある。また、Cuメッキも
十分な焼付き防止効果を備えてはいない。
ースは適用可能温度に限界がある。また、Cuメッキも
十分な焼付き防止効果を備えてはいない。
【0004】焼付きの防止のため、二硫化モリブデンや
ボロンナイトライドなどの固定潤滑剤を使用した場合、
メンテナンスの際に機械装置を分解すると、これらの固
体潤滑剤がネジ表面に不均一に付着した状態で固形物と
して残る。このため、機械装置を再度組み立てる際、付
着している固形物を取り除き、再度、固定潤滑剤を塗布
しなければならない。この様なネジ表面の洗浄作業には
時間がかかり、メンテナンス作業の所要時間を増やす一
因となっている。
ボロンナイトライドなどの固定潤滑剤を使用した場合、
メンテナンスの際に機械装置を分解すると、これらの固
体潤滑剤がネジ表面に不均一に付着した状態で固形物と
して残る。このため、機械装置を再度組み立てる際、付
着している固形物を取り除き、再度、固定潤滑剤を塗布
しなければならない。この様なネジ表面の洗浄作業には
時間がかかり、メンテナンス作業の所要時間を増やす一
因となっている。
【0005】また、固体潤滑剤をネジ表面に均一に塗布
することは、必ずしも容易ではなく、一部に剥離個所な
どがあると焼付きが発生することがある。
することは、必ずしも容易ではなく、一部に剥離個所な
どがあると焼付きが発生することがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の様
な、高温環境下で繰り返し使用されるネジ締結部材にお
ける従来の焼付き防止方法の問題点に鑑み成されたもの
で、本発明の目的は、高温環境下での使用に十分耐える
とともに、締付け及び弛めの繰り返しにも対応すること
ができるネジ締結部材の表面処理方法を提供することに
ある。
な、高温環境下で繰り返し使用されるネジ締結部材にお
ける従来の焼付き防止方法の問題点に鑑み成されたもの
で、本発明の目的は、高温環境下での使用に十分耐える
とともに、締付け及び弛めの繰り返しにも対応すること
ができるネジ締結部材の表面処理方法を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のネジ締結部材の
表面処理方法は、炭素鋼または合金鋼製のネジ締結部材
の表面に、純度99wt%以上のアルミニウムを10℃
以上100℃以下の温度で真空蒸着し、次いで、このネ
ジ締結部材を、650℃以上700℃以下の温度で0.
5時間以上2時間以下、拡散処理することを特徴とす
る。
表面処理方法は、炭素鋼または合金鋼製のネジ締結部材
の表面に、純度99wt%以上のアルミニウムを10℃
以上100℃以下の温度で真空蒸着し、次いで、このネ
ジ締結部材を、650℃以上700℃以下の温度で0.
5時間以上2時間以下、拡散処理することを特徴とす
る。
【0008】本発明のネジ締結部材の表面処理方法によ
れば、ネジ表面に蒸着されたアルミニウム層は、後続の
拡散処理によって母材中のFeと化合してFeAl2を
主体とする金属間化合物に変わる。この金属間化合物
は、耐熱性、耐酸化性を備えるとともに、耐焼付き性に
優れているので、ネジ締結部材の焼付き防止に効果があ
る。
れば、ネジ表面に蒸着されたアルミニウム層は、後続の
拡散処理によって母材中のFeと化合してFeAl2を
主体とする金属間化合物に変わる。この金属間化合物
は、耐熱性、耐酸化性を備えるとともに、耐焼付き性に
優れているので、ネジ締結部材の焼付き防止に効果があ
る。
【0009】なお、蒸着されるアルミニウムの純度が9
9wt%以上であれば、拡散処理によって形成される金
属間化合物層の機械的特性及び耐焼付き性を確保するこ
とができる。
9wt%以上であれば、拡散処理によって形成される金
属間化合物層の機械的特性及び耐焼付き性を確保するこ
とができる。
【0010】好ましくは、前記アルミニウムの蒸着膜の
厚さを1μm以上5μm以下とする。蒸着膜の厚さを1
μm以下にすると、拡散処理によって生成されるFe−
Al化合物層が薄く、多数回使用するとFe−Al化合
物層が摩滅し、焼付きが生じ易くなる。一方、蒸着膜の
厚さを5μm以上にすると、Fe−Al化合物層は比較
的脆いので、締付けの際に作用する剪断応力によって剥
離が起こり、焼付きが生じ易くなる。
厚さを1μm以上5μm以下とする。蒸着膜の厚さを1
μm以下にすると、拡散処理によって生成されるFe−
Al化合物層が薄く、多数回使用するとFe−Al化合
物層が摩滅し、焼付きが生じ易くなる。一方、蒸着膜の
厚さを5μm以上にすると、Fe−Al化合物層は比較
的脆いので、締付けの際に作用する剪断応力によって剥
離が起こり、焼付きが生じ易くなる。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明の方法に基づくネジ
締結部材の表面処理工程の一例について説明する。
締結部材の表面処理工程の一例について説明する。
【0012】合金鋼製の締付けボルトに、先ず、アルカ
リ脱脂洗浄を施す。次に、真空蒸着によって純Alを蒸
着する。この真空蒸着は、一般に、被処理材の温度が室
温まま行われるが、被処理材を100℃程度まで加熱し
て行っても良い。真空度は、10−2〜10−4Pa程
度が適当である。蒸着時間を調整して、蒸着膜の厚さを
制御する。なお、蒸着膜の厚さは、後述する理由によ
り、1〜5μm程度とする。
リ脱脂洗浄を施す。次に、真空蒸着によって純Alを蒸
着する。この真空蒸着は、一般に、被処理材の温度が室
温まま行われるが、被処理材を100℃程度まで加熱し
て行っても良い。真空度は、10−2〜10−4Pa程
度が適当である。蒸着時間を調整して、蒸着膜の厚さを
制御する。なお、蒸着膜の厚さは、後述する理由によ
り、1〜5μm程度とする。
【0013】Alの真空蒸着の後、上記ボルトを電気炉
内に収容し、650〜700℃の温度範囲で母材中のF
eを蒸着層中に拡散させる。この結果、蒸着層は、Fe
Al 2を主体とするFe−Al化合物層に変わる。この
Fe−Al化合物層は、耐熱性及び耐酸化性を備え、且
つ耐焼付き性に優れている。図1に、表面処理終了後の
締付けボルト1の概要を示す。図中、2は母材部分、3
はFe−Al化合物層である。
内に収容し、650〜700℃の温度範囲で母材中のF
eを蒸着層中に拡散させる。この結果、蒸着層は、Fe
Al 2を主体とするFe−Al化合物層に変わる。この
Fe−Al化合物層は、耐熱性及び耐酸化性を備え、且
つ耐焼付き性に優れている。図1に、表面処理終了後の
締付けボルト1の概要を示す。図中、2は母材部分、3
はFe−Al化合物層である。
【0014】(確性試験結果)SCM440(JIS
G 4105)製の市販のボルト(サイズ:M16)
に、下記の方法によって表面処理を施し、その耐焼付き
性を調べた。
G 4105)製の市販のボルト(サイズ:M16)
に、下記の方法によって表面処理を施し、その耐焼付き
性を調べた。
【0015】上記のボルトにアルカリ洗浄液中で超音波
洗浄を施した後、真空蒸着装置にセットし、室温におい
て真空度10−2Paで30分間、純Al(純度99%
以上)を蒸着した。その結果、ボルトのねじ山部分にお
いて厚さ約2μmの蒸着膜が均一に形成された。次い
で、このボルトを電気炉内に収容し、温度670℃で1
時間、蒸着層中へのFeの拡散処理を行った。
洗浄を施した後、真空蒸着装置にセットし、室温におい
て真空度10−2Paで30分間、純Al(純度99%
以上)を蒸着した。その結果、ボルトのねじ山部分にお
いて厚さ約2μmの蒸着膜が均一に形成された。次い
で、このボルトを電気炉内に収容し、温度670℃で1
時間、蒸着層中へのFeの拡散処理を行った。
【0016】この様にして製作されたボルトを、試験装
置に10本取り付け、温度300℃の雰囲気下で3ヶ月
間使用した後、取り外したところ、焼付きが発生するこ
となく、全てのボルトを容易に緩めることができた。更
に、同じ条件を4回繰り返して、1年間使用したが、焼
付きが発生することはなかった。
置に10本取り付け、温度300℃の雰囲気下で3ヶ月
間使用した後、取り外したところ、焼付きが発生するこ
となく、全てのボルトを容易に緩めることができた。更
に、同じ条件を4回繰り返して、1年間使用したが、焼
付きが発生することはなかった。
【0017】なお、比較のため、未処理のボルトに固体
潤滑材(二硫化モリブデン)を塗布したものについて
も、同じ条件で1年間使用したところ、約10%のボル
トに、焼付きが発生した。
潤滑材(二硫化モリブデン)を塗布したものについて
も、同じ条件で1年間使用したところ、約10%のボル
トに、焼付きが発生した。
【0018】
【発明の効果】本発明のネジ締結部材の表面処理方法に
よれば、高温環境下で繰り返し使用した後でも、焼付き
が発生しない。ネジ締結部材に本発明の表面処理方法を
施すことによって、高温環境下で使用される装置のメン
テナンスの際の手間を軽減することができる。
よれば、高温環境下で繰り返し使用した後でも、焼付き
が発生しない。ネジ締結部材に本発明の表面処理方法を
施すことによって、高温環境下で使用される装置のメン
テナンスの際の手間を軽減することができる。
【図1】本発明の方法に基づいて表面処理が施されたネ
ジ締結部材の部分断面図。
ジ締結部材の部分断面図。
1・・・締付けボルト(ネジ締結部材)、 2・・・母材、 3・・・Al−Fe化合物層。
Claims (2)
- 【請求項1】 炭素鋼または合金鋼製のネジ締結部材の
表面に、純度99wt%以上のアルミニウムを10℃以
上100℃以下の温度で真空蒸着し、次いで、このネジ
締結部材を、650℃以上700℃以下の温度で0.5
時間以上2時間以下、拡散処理することを特徴とするネ
ジ締結部材の表面処理方法。 - 【請求項2】 前記アルミニウムの蒸着膜の厚さを、1
μm以上5μm以下とすることを特徴とする請求項1に
記載のネジ締結部材の表面処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36291299A JP2001181819A (ja) | 1999-12-21 | 1999-12-21 | ネジ締結部材の表面処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36291299A JP2001181819A (ja) | 1999-12-21 | 1999-12-21 | ネジ締結部材の表面処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001181819A true JP2001181819A (ja) | 2001-07-03 |
Family
ID=18478046
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP36291299A Pending JP2001181819A (ja) | 1999-12-21 | 1999-12-21 | ネジ締結部材の表面処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001181819A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018500504A (ja) * | 2014-09-30 | 2018-01-11 | リシー・エアロスペース | 潤滑締まり嵌めを使用するファスナ |
-
1999
- 1999-12-21 JP JP36291299A patent/JP2001181819A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018500504A (ja) * | 2014-09-30 | 2018-01-11 | リシー・エアロスペース | 潤滑締まり嵌めを使用するファスナ |
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