JP2001181130A - 合成界面活性剤を含有しない化粧料用乳化物 - Google Patents

合成界面活性剤を含有しない化粧料用乳化物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成界面活性剤を用いることなく、安定した
乳化物を形成することができ、安全性の高い化粧用クリ
ームおよび乳化液に好適な化粧料用乳化物を提供する。 【解決手段】 N−サクシニルキトサンの水溶液、常温
で液状を呈する脂肪酸エステル、およびカルボキシビニ
ルポリマーのアルカリ中和塩水溶液からなる、合成界面
活性剤を含有しない化粧料用乳化物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種化粧用クリー
ム、乳液類などの化粧品に用いられ、肌荒れの原因とも
なる合成界面活性剤を含まない化粧料用乳化物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、化粧用クリーム、乳液などの乳化
物を得るには、安定化向上のために合成界面活性剤が用
いられている。このような合成界面活性剤としては、大
きく分けてイオン界面活性剤と非イオン界面活性剤があ
るが、皮膚に対する作用が比較的穏やかとされる後者が
多く用いられている。しかし、これら公知の合成界面活
性剤は、これを皮膚に塗布した際、表皮の皮脂膜を部分
的に溶解する相対的能力のために、皮膚に刺激反応を誘
発しやすく(Contact Dermatitis 33,4,217, 1995 )、
また、表皮の角質層蛋白質に界面活性剤が結合して、肌
荒れの原因となることが指摘されている(J. Soc. Cosm
et. Chem. 47,185-200, 1996)。
【0003】したがって、化粧料用乳化物の製造上、従
来の合成界面活性剤は、安定性の高い乳化物は提供でき
るが、皮膚に対して安全性の点から望ましくない物質で
あることが考察される。一方、コレステロールやレシチ
ンのような天然界面活性剤は、皮膚に対しては安全であ
るが、乳化力が弱いので、安定した乳化物を形成させる
ことは困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の合成
界面活性剤を用いることなく、安定した乳化物を形成す
ることができ、安全性の高い化粧用クリームおよび乳液
に好適な化粧料用乳化物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を行った結果、N−サクシニル
キトサンの水溶液と常温で液体の脂肪酸エステル油とを
常温下に高速攪拌すると、均一な乳化物が得られること
を認め、さらにこれに、カルボキシビニルポリマーのア
ルカリ中和塩水溶液を添加するすることによって、その
安定性はさらに増大し、良好な化粧料用乳化物が得られ
ることを知り、本発明を完成するに至った。 すなわ
ち、本発明は、N−サクシニルキトサンの水溶液および
常温で液状を呈する脂肪酸エステルと、カルボキシビニ
ルポリマーのアルカリ中和塩水溶液とからなることを特
徴とし、これに公知の化粧品用配合剤を必要に応じて添
加した化粧料用乳化物である。
【0006】本発明に使用されるN−サクシニルキトサ
ンの水溶液は、カニ甲殻より単離したキチンから得られ
るキトサンを原料とし、これをサクシニル化することに
よって得られるサクシニルキトサンの水溶液である。本
発明において、N−サクシニルキトサンの水溶液は、全
組成中に5〜40重量%、特に15〜30重量%配合す
るのが好ましい。
【0007】本物質は皮膚に対し高い保湿効果を持ち、
したがって、化粧品を製造する際、保湿剤として利用さ
れているが、本物質が界面活性能力を持ち、乳化剤とし
て利用されることについての記載は、現在まで発表され
ていない。たとえば、特開平10−130304号公報
においては、「キトサンの2位のアミノ基を炭素数8〜
16の長さを持った脂肪酸をアミド結合させ、6位炭素
の水酸基に親水基が結合したキトサン誘導体が、高分子
ミセルを形成して良好な乳化性を有する」との記載があ
るが、上記の物質は、本発明のような現在商品化されて
いるサクシニルキトサンとは別個の物質である。
【0008】本発明において使用される常温で液状を呈
する脂肪酸エステルは、ミリスチン酸オクチルドデシ
ル、トリオクタン酸グリセリル、エルカ酸オクチルドデ
シル、イソステアリン酸オクチルドデシル、オレイン酸
オクチルドデシル、リシノレイン酸オクチルドデシル、
トリミリスチン酸グリセリンなどの合成エステル油およ
びホホバ油などの天然エステル油であり、これらのうち
1種または2種以上を用いる。上記脂肪酸エステルの配
合量は、全組成中に5〜40重量%、特に10〜30重
量%配合するのが好ましい。
【0009】次に、本発明に使用されるカルボキシビニ
ルポリマーは、水溶性で溶液は酸性を示す合成鎖状の高
分子体であるが、この水溶液をアルカリで中和すると高
度の増粘性を示し、増粘剤、分散剤、乳化安定剤などを
目的とした化粧品製造用として利用されているが、本物
質が界面活性能力を持ち、乳化剤として利用されること
についての記載は皆無である。上記カルボキシビニルポ
リマーのアルカリ中和塩水溶液の配合量は、全組成中に
5〜40重量%、特に10〜30重量%配合するのが好
ましい。なお、本発明においては、公知の化粧品製造用
の原料、たとえば、流動パラフィン、スクワランなどの
油状物および植物エキスなどの保湿剤、パラベンなどの
防腐剤その他は、目的に応じて適宜に添加配合すること
が可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、実施例を挙げて本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によ
って限定されるものではない。
【実施例1】 保湿乳液 (1)N−サクシニルキトサン水溶液 6.30g (2)ミリスチン酸オクチルドデシル 6.30g (3)カルボキシビニルポリマーの中性ゲル 8.60g (4)グリセリン 1.70g (5)還元麦芽糖水飴 1.10g (6)親油型モノステアリン酸グリセリン 1.30g (7)パラオキシ安息香酸メチル 0.10g (8)パラオキシ安息香酸ブチル 0.10g (9)香料 微量 (10)精製水 全体を100gとする量
【0011】上記(3)のカルボキシビニルポリマーの
中性ゲルは、カルボキシビニルポリマー2.0gを精製
水88.6gに溶かし、これに水酸化カリウム0.8g
を精製水8.6gに溶解したものを攪拌しながら加え、
計100gの水性ゲルとしたものである。上記の原料配
合割合で、原料(1)と(2)を混合し、ホモミキサー
(rpm5000,20分間)による攪拌で、常温下で
均質な乳化物が得られる。これに原料(3)を加え、常
温で攪拌後、原料(4)〜(8)および(10)を加
え、80℃で混合加温乳化させる。冷却途上で原料
(9)を加え、30℃まで攪拌冷却して製品とする。
【0012】
【実施例2】 保湿エモリエント・クリーム (1)N−サクシニルキトサン水溶液 5.00g (2)イソステアリン酸オクチルドデシル 5.00g (3)実施例1に記載のカルボキシビニルポリマーの水性ゲル15.00g (4)還元麦芽糖水飴 5.00g (5)親油型モノステアリン酸グリセリン 7.50g (6)ステアリン酸 2.50g (7)パラオキシ安息香酸メチル 0.10g (8)パラオキシ安息香酸ブチル 0.10g (9)香料 微量 (10)精製水 全体を100gとする量 上記の原料配合割合で、原料(1)と(2)を混合し、
ホモミキサー(rpm5000,20分間)により常温
下で攪拌し、均質な乳化物を得て、これに原料(3)を
加え、常温下で攪拌後、原料(4)〜(8)および(1
0)を加え、80℃で混合乳化する。冷却途上で原料
(9)を加え、30℃まで攪拌冷却して製品とする。
【0013】
【実施例3】 保湿コールドクリーム (1)N−サクシニルキトサン水溶液 30.0g (2)エルカ酸オクチルドデシル 30.0g (3)実施例1に記載のカルボキシビニルポリマーの水性ゲル21.0g (4)グリセリン 7.8g (5)サラシミツロウ 11.0g (6)パラオキシ安息香酸ブチル 0.2g 上記の原料配合割合で、原料(1)と(2)を混合し、
ホモミキサー(rpm5000,20分間)により常温
下で攪拌し、均質な乳化物を得て、これに原料(3)〜
(6)を加え、80℃で混合乳化する。30℃まで攪
拌、冷却して製品とする。
【0014】
【実施例4】 保湿クレンジングクリーム (1)N−サクシニルキトサン水溶液 15.0g (2)オレイン酸オクチルドデシル 15.0g (3)実施例1に記載のカルボキシビニルポリマーの水性ゲル22.6g (4)グリセリン 8.0g (5)パラオキシ安息香酸ブチル 0.2g (6)還元麦芽糖水飴 10.0g (7)親油性モノステアリン酸グリセリン 15.0g (8)精製水 全体を100gとする量 上記の原料配合割合で、原料(1)と(2)を混合し、
ホモミキサー(rpm5000,20分間)により常温
下で攪拌し、均質な乳化物を得て、これに原料(3)〜
(8)を加え、80℃で混合乳化する。30℃まで攪
拌、冷却して製品とする。
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、基礎化粧料製造用の原
料として、刺激反応の恐れがあり、肌荒れの原因ともな
る界面活性剤を使用することなく、高度の保湿性を保持
する各種のクリーム、乳液類を容易に製造することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C083 AA121 AA122 AC122 AC242 AC351 AC352 AC421 AC422 AC482 AD091 AD092 AD212 AD321 AD322 CC05 DD31 EE01 EE10

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−サクシニルキトサンの水溶液、常温
    で液状を呈する脂肪酸エステル、およびカルボキシビニ
    ルポリマーのアルカリ中和塩水溶液からなることを特徴
    とする合成界面活性剤を含有しない化粧料用乳化物。
  2. 【請求項2】 常温で液状を呈する脂肪酸エステルが、
    ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセ
    リル、エルカ酸オクチルドデシル、イソステアリン酸オ
    クチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リシノ
    レイン酸オクチルドデシル、トリミリスチン酸グリセリ
    ン、ホホバ油から選ばれる1種または2種以上であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の化粧料用乳化物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007284380A (ja) * 2006-04-17 2007-11-01 Hoyu Co Ltd 酸性染毛料組成物
JP2007297351A (ja) * 2006-05-02 2007-11-15 Pola Chem Ind Inc 毛髪のトリートメント用の化粧料

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