JP2001180932A - 酸化物超電導体およびその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導体およびその製造方法

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JP2001180932A
JP2001180932A JP2000095283A JP2000095283A JP2001180932A JP 2001180932 A JP2001180932 A JP 2001180932A JP 2000095283 A JP2000095283 A JP 2000095283A JP 2000095283 A JP2000095283 A JP 2000095283A JP 2001180932 A JP2001180932 A JP 2001180932A
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oxide superconductor
superconductor
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Shuichi Kobayashi
秀一 小早志
Hideetsu Haseyama
秀悦 長谷山
Shigeo Nagaya
重夫 長屋
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Chubu Electric Power Co Inc
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Chubu Electric Power Co Inc
Dowa Mining Co Ltd
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  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気特性、磁気特性、機械強度および耐環境
性に優れた大型の酸化物超電導体およびこのような酸化
物超電導体を再現性良く且つ歩留まり良く製造できる酸
化物超電導体の製造方法を提供する。 【解決手段】 RE化合物とBa化合物とCu化合物を
含む原料混合体にAgを添加して溶融凝固させ、結晶成
長させることにより酸化物超電導体を製造する方法にお
いて、原料混合体に5〜60%のAgを添加するととも
に、原料混合体のRE、Ba、Cu元素のモル比(R
E、Ba、Cu)をA(0.17、0.35、0.4
8)、B(0.22、0.34、0.44)、C(0.
23、0.3、0.47)、D(0.17、0.32、
0.51)で囲まれる範囲に調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化物超電導体お
よびその製造方法に関し、特に、電流リード、磁気軸受
け、磁気シールド、バルクマグネット等に用いられるR
E系酸化物超電導体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、RE元素(希土類元素)とBa元
素の固溶体を作る元素(La、Nd、Pm、Sm、E
u、Gd、Tb、Dy、Hoまたはこれらの混合物)を
選択して、RE化合物、Ba化合物およびCu化合物を
含む原料混合体を、この原料混合体の融点以上の温度に
加熱溶融した後に、温度勾配を加えながら徐冷工程を行
って結晶を成長させることにより、RE−Ba−Cu−
O系酸化物超電導体を製造する方法として、例えば、特
開平10−53415号公報に記載の方法が知られてい
る。この公報に記載の方法は、RE化合物、Ba化合物
およびCu化合物にAg、Ptを添加して、RE1+p
Ba2+qCu7−x相(123相)対RE2+r
Ba1+sCuO5−y相(211相)のモル比率が
1:0.4になるように混合して焼成し、得られた焼成
粉を成形した後、溶融して、Agを添加していないRE
BaCuO結晶を種結晶として載置し、温度勾配中で徐
冷工程を施して結晶化させることにより、配向した高い
臨界電流密度を有するRE−Ba−Cu−O系酸化物超
電導体を製造する方法である。
【0003】また、Agを添加せずに溶融結晶化を行っ
てRE−Ba−Cu−O系酸化物超電導体を製造する場
合、従来の一般的な手法では、RE1+pBa2+q
7−x相(123相)対RE2+rBa1+s
uO5−y相(211相)および/またはRE4+r
2+sCu10−y相(422相)の最適な混合
比率としてモル比で1:0.4付近にすることにより、
0(零)磁場中においては、最大の臨界電流密度Jcが
得られることが知られている。この組成で混合された原
料を用いて溶融結晶化を行うと、123相中の211相
や422相の体積成分率は、ある断面における面積成分
率と同じであり、27〜29%程度となる。これらの2
11相や422相は、臨界電流密度Jcを高めるピンニ
ングセンターとして働くと共に、マイクロクラックを防
止する効果もある。また、Agを添加して溶融結晶化を
行うことによりRE1+pBa2+q(Cu1−bAg
7−x相中にAgを微細に分散させると、マイ
クロクラックを防止することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、Agを添加し
ない場合の最適な組成である1:0.4付近の組成の材
料中にさらにAgを添加した場合には、実質的な超電導
体の体積分率が極端に下がってしまうためにJc特性が
低下してしまうという問題点があった。また、RE元素
として固溶体を作りやすいLa、Nd、Pm、Sm、E
u、Gd、Tb、Dy、Hoから選ばれる一種以上の元
素を使用して大型の配向結晶を製造する場合には、12
3:211(422)=1:0.4以上に211相また
は422相(混合相の場合は211相と422相の和)
が多い組成で溶融結晶化を行うと、RE元素がBaサイ
トへ過度に置換し、a軸長とb軸長がほぼ等しくなり、
a軸方向やb軸方向とc軸方向との異方性が小さくな
り、大きく配向した結晶を製造した場合に、ab面に垂
直な方向のマイクロクラックが発生し易くなって歩留ま
りが低下し、さらには1〜4T(テスラ)付近の高磁場
中における臨界電流密度特性を低下させてしまうという
問題点があった。
【0005】したがって、本発明は、このような従来の
問題点に鑑み、電気特性、磁気特性、機械強度および耐
環境性に優れた大型の酸化物超電導体およびこのような
酸化物超電導体を再現性良く且つ歩留まり良く製造でき
る酸化物超電導体の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するために鋭意研究した結果、RE化合物(RE
はYを含む希土類元素)とBa化合物とCu化合物を含
む原料混合体にAgを添加して溶融凝固させ、結晶成長
させることにより酸化物超電導体を製造する方法におい
て、原料混合体のRE、Ba、Cu元素のモル比を所定
の範囲に調整することにより、電気特性、磁気特性、機
械強度および耐環境性に優れた酸化物超電導体を歩留ま
り良く製造できることを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0007】すなわち、本発明による酸化物超電導体の
製造方法は、RE化合物(REはYを含む希土類元素)
とBa化合物とCu化合物を含む原料混合体にAgを添
加して溶融凝固させ、結晶成長させることにより酸化物
超電導体を製造する方法において、原料混合体に5〜6
0%のAgを添加するとともに、原料混合体のRE、B
a、Cu元素のモル比(RE、Ba、Cu)をA(0.
17、0.35、0.48)、B(0.22、0.3
4、0.44)、C(0.23、0.3、0.47)、
D(0.17、0.32、0.51)で囲まれる範囲に
調整することを特徴とする。
【0008】上記の製造方法において、原料混合体にさ
らにPt、Pd、Ru、Rh、Ir、Os、Re、Ce
の金属およびこれらの金属の化合物から選ばれる1種以
上を0.05〜5wt%(化合物の場合はその金属のみ
の元素重量で示す)添加するのが好ましい。また、上記
の製造方法において、酸素分圧を10−3%乃至2×1
−1%の範囲にして溶融結晶化を行うのが好ましい。
【0009】また、本発明による酸化物超電導体は、R
1+pBa2+q(Cu1−bAg
7−x(REは1種または2種以上の希土類金属元素、
−0.2≦p≦0.2、−0.2≦q≦0.2、0≦b
≦0.05、−0.2≦x≦0.6)相中に、RE
2+rBa1+s(Cu1−dAg)O5−y相およ
びRE4+ Ba2+s(Cu1−dAg
10−y相(−0.2≦r≦0.2、−0.2≦s≦
0.2、0≦d≦0.005、−0.2≦y≦0.2)
の一方または両方の相とAgが微細に分散した酸化物超
電導体において、ある断面におけるRE1+pBa
2+q(Cu1−bAg7−x相中の上記一方
または両方の相の面積の割合が7%乃至24%であるこ
とを特徴とする(この面積の割合は、混合相の場合には
両方の相の面積の合計の面積の割合とする)。
【0010】また、本発明による酸化物超電導体は、R
1+pBa2+q(Cu1−bAg
7−x(REは1種または2種以上の希土類金属元素、
−0.2≦p≦0.2、−0.2≦q≦0.2、0≦b
≦0.05、−0.2≦x≦0.6)相中に、RE
2+rBa1+s(Cu1−dAg)O5−y相およ
びRE4+ Ba2+s(Cu1−dAg
10−y相(−0.2≦r≦0.2、−0.2≦s≦
0.2、0≦d≦0.005、−0.2≦y≦0.2)
の一方または両方の相とAgが微細に分散した酸化物超
電導体において、RE、Ba、Cu元素のモル比(R
E、Ba、Cu)がA(0.17、0.35、0.4
8)、B(0.22、0.34、0.44)、C(0.
23、0.3、0.47)、D(0.17、0.32、
0.51)で囲まれる範囲であることを特徴とする。
【0011】さらに、本発明による酸化物超電導体は、
RE1+pBa2+q(Cu1−bAg7−x
(REは1種または2種以上の希土類金属元素、−0.
2≦p≦0.2、−0.2≦q≦0.2、0≦b≦0.
05、−0.2≦x≦0.6)相を有する酸化物超電導
体において、RE1+pBa2+q(Cu1−b
7−x相のa軸長が3.906<a<3.9
11オングストロームの範囲またはa軸長とb軸長の差
が0.060<a−b<0.064オングストロームの
範囲であることを特徴とする。この場合、RE1+p
2+q(Cu1− Ag7−x相中に、RE
2+rBa1+s(Cu1−dAg)O −y相およ
びRE4+rBa2+s(Cu1−dAg
10−y相(−0.2≦r≦0.2、−0.2≦s≦
0.2、0≦d≦0.005、−0.2≦y≦0.2)
の一方または両方の相が微細に分散した酸化物超電導体
であるのが好ましい。あるいは、RE1+pBa2+q
(Cu1−bAg7−x相中に、RE2+r
1+s(Cu1−dAg)O5−y相およびRE
4+rBa2+s(Cu1−dAg10−y
(−0.2≦r≦0.2、−0.2≦s≦0.2、0≦
d≦0.005、−0.2≦y≦0.2)の一方または
両方の相とAgが微細に分散した酸化物超電導体として
もよい。
【0012】上記の酸化物超電導体において、REがL
a、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho
から選ばれる1種以上の希土類金属元素であるのが好ま
しく、特にSmを用いると超電導転移温度を高める効果
が大きい。また、上記の酸化物超電導体の隣接するRE
1+pBa2+q(Cu1−bAg7−x結晶
間の方位のずれが1°以下であると、高磁場中における
磁気特性が向上する。さらに、上記の酸化物超電導体が
Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Os、Re、Ceの金
属およびこれらの金属の化合物から選ばれる1種以上を
0.05〜5wt%(化合物の場合はその金属のみの元
素重量で示す)含むのが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明による酸化物超電導体の製
造方法の実施の形態では、RE化合物(REはYを含む
希土類元素)とBa化合物とCu化合物を含む原料混合
体にAgを添加して溶融結晶化を行うことによりRE−
Ba−Cu−O系酸化物超電導体を製造する方法におい
て、原料混合体に5〜60%のAgを添加するととも
に、原料混合体のRE、Ba、Cu元素のモル比(R
E、Ba、Cu)をA(0.17、0.35、0.4
8)、B(0.22、0.34、0.44)、C(0.
23、0.3、0.47)、D(0.17、0.32、
0.51)で囲まれる範囲に調整する。
【0014】このような組成範囲で所定の溶融結晶化を
行うと、ある断面におけるRE1+ Ba2+q(Cu
1−bAg7−x相中のRE2+rBa1+s
(Cu1−dAg)O5−y相および/またはRE
4+rBa2+s(Cu1−dAg10−y
の面積成分率が7〜24%となり、 RE1+pBa
+q(Cu1−bAg7−x相の体積分率が最
適な値となり、臨界電流密度および機械強度が向上す
る。
【0015】さらに、原料混合体のRE、Ba、Cu元
素のモル比(RE、Ba、Cu)をA(0.17、0.
35、0.48)、E(0.20、0.34、0.4
6)、F(0.20、0.31、0.49)、D(0.
17、0.32、0.51)で囲まれる範囲に調製する
と、臨界電流密度の高磁場中におけるピーク効果が顕著
になり、補足磁束密度を高める効果が大きい。
【0016】原料混合体のRE、Ba、Cu元素のモル
比(RE、Ba、Cu)において、上記のAとDを結ぶ
組成よりもREを少なくすると、溶融結晶化を行う際に
BaCuO相とCuO相の凝集が起こり、結晶化後に
も不純物として残存してしまい、特性を著しく劣化させ
てしまう。また、上記のAとBを結ぶ組成よりもBaを
多くすると、溶融結晶化後にBa化合物が残存し、特性
を劣化させてしまう。また、上記のBとCを結ぶ組成よ
りもREを多くすると、REがBaサイトに過度に置換
し、特性を劣化させてしまう。さらに、上記のCとDを
結ぶ組成よりもBaを少なくすると、溶融結晶化後にC
u化合物が残存し、特性を劣化させてしまう。
【0017】また、5〜60wt%のAgを添加すると
ともに、種結晶載置後に温度保持を行うことによって径
方向の結晶成長を行い、その後0.5〜1.5℃/hr
の速度で徐冷して軸方向の結晶育成を行えば、上記の酸
化物超電導体の隣接するRE 1+pBa2+q(Cu
1−bAg7−x結晶間の方位のずれを1°以
下にすることができる。
【0018】また、RE元素としてLa、Nd、Pm、
Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Hoから選ばれる1種
以上の希土類金属元素を使用すると、RE元素がBa元
素が各々サイトに部分的に相互置換して、p、qを最適
な範囲である−0.2≦p≦0.2、−0.2≦q≦
0.2の範囲にすることができ、1〜4T付近の高磁場
中におけるJcが向上し、またRE1+pBa
2+q(Cu1−bAg 7−x相におけるa軸
長とb軸長の差を0.060<a−b<0.064オン
グストロームにすることができ、臨界温度、臨界電流密
度が向上し、ab面に垂直な方向のマイクロクラックの
発生を抑制し、歩留まりを向上させることができる。
【0019】なお、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、O
s、Re、Ceから選ばれる一種以上の元素が0.05
〜5wt%の範囲で含まれるように金属および/または
化合物粉末として添加するか、これらの金属の坩堝中で
原料混合体を作製する処理を行うと、RE2(1−q)
Ba1+rCuO5+s相やRE4(1−q)Ba
(1+r)Cu2(5+s)相が微細になり、高特
性を示すことが確認されている。ここで、 RE
2(1−q)Ba1+rCuO5+s相やRE4(1−
q)Ba2(1+r)Cu2(5+s)相を微細に
する効果は、 Pt、Rh、RuおよびReが最も高
く、以下、Ce、Os、Ir、Pdの順に高い。
【0020】また、酸素分圧を10−3〜2×10−1
%の範囲にして溶融結晶化を行うと、RE元素がBaサ
イトへ過度に置換することをさらに抑えて、臨界電流密
度を向上させることができる。
【0021】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明による酸化物
超電導体およびその製造方法について詳細に説明する。
【0022】[実施例1]Sm、BaCO、C
uOの各原料粉末をSm:Ba:Cu=1.4:2.
2:3.2(123相:211相の混合比率で1:0.
2)になるように秤量した後、BaCOとCuOのみ
を880℃で30時間焼成して、BaCuOとCuO
の仮焼粉を得た(モル比でBaCuO:CuO=2.
2:1.0)。次に、この仮焼粉に、予め秤量しておい
たSmと0.5wt%のPt粉末(平均粒径0.
01μm)と15wt%のAg粉末(平均粒径0.45
μm)とを加えて混合して、大気中900℃で10時間
焼成した。この仮焼粉をライカイ機で粉砕して、平均粒
径約2μmとした。得られた仮焼粉を粉末X線回折によ
り分析したところ、Sm1+pBa2+q(Cu1−b
Ag7−x相およびSm2+rBa1+s(C
1−dAg)O5−r相が確認された。
【0023】このようにして作製された合成粉を外径5
3mm、厚さ27mmのディスク状にプレス成形して前
駆体を作製した。
【0024】次に、この前駆体をSm粉末を敷い
たアルミナ基板上に載せ、2ゾーン型の炉体内に設置し
て以下の工程を行った。
【0025】まず、室温から50時間で1100℃まで
昇温させ、この温度で20分間保持して半溶融状態にし
た後、前駆体の上部が低温側となるように上下に5℃/
cmの温度勾配を加えて、前駆体の上部温度が1015
℃となるまで10℃/minで降温させた。次いで、予
め溶融法で作製しておいたAgを含まないSm1.8
2.4Cu3.4組成の種結晶を、成長方向がc
軸と平行になるように前駆体の上部に接触させ、102
0℃から0.5℃/hrの速度で1010℃まで降温さ
せた。この温度で40時間保持した後、940℃まで7
0時間かけて徐冷し、ここで、前駆体の上部の温度が9
40℃のままで、上下の温度勾配が0℃/cmになるよ
うに前駆体の下部側を冷却し、そこから室温まで100
時間かけて徐冷して結晶化を行った。
【0026】このようにして結晶化した材料をガス置換
可能な別の炉の中に設置し、ロータリーポンプで13P
aまで炉内を排気した後、炉内に酸素ガスを流し込ん
で、酸素分圧が99%以上である大気圧の雰囲気にし
た。その後も0.5L/minの流量で酸素ガスを炉内
に流しながら、室温から500℃まで10時間で昇温さ
せ、500℃から300℃まで200時間かけて徐冷
し、300℃から200℃まで200時間かけて徐冷
し、室温まで10時間で降温させた。
【0027】得られた材料の外径および厚さは、焼き縮
みのため、外径約45mm、厚さ約23mmとなってい
た。この材料を切断して断面をEPMAで観察したとこ
ろ、Sm1+pBa2+q(Cu1−bAg
7−x相中に0.1〜30μm程度のSm2+rBa
1+s(Cu1−dAg)O5−y相が微細に分散し
ていた。ここで、p、q、r、s、yはそれぞれ−0.
2〜0.2の値であり、xは−0.2〜0.6の値であ
った。また、bは0.000〜0.050の範囲をと
り、平均的には0.030程度であった。さらに、dは
0.000〜0.005の範囲であった。この材料の中
心付近で0.5μm以上に凝集したAgの存在しない部
分を選んで、偏光顕微鏡を用いて倍率1000倍で撮影
した写真を図1に示す。この写真から70×90μmの
範囲を画像解析したところ、Sm2+rBa1+s(C
1−dAg)O5−y相の平均粒径は1.5μmで
あり、全体の面積に占める割合は約11%であった。さ
らに、試料全体にわたって0.1〜100μm程度のA
gが微細に分散していた。また、この材料の中心付近を
偏光顕微鏡を用いて倍率50倍で撮影した写真を図2に
示す。この写真から1.4×1.8mmの範囲を画像解
析したところ、このAgの平均粒径は25μmであり、
空孔を除いた部分の全体の面積に占める割合は16%で
あった。さらに、粒径5〜200μm程度の空孔が全体
の面積に対して7%分散して存在していた。また、種結
晶を反映してディスク状材料の軸方向がc軸であるよう
に材料全体が配向し、隣接する結晶間の方位のずれが1
°以下であり、小傾角粒界の無い実質的に単結晶状の超
電導材料が得られた。また、この材料の中心付近を50
μm程度の粉末に砕き、粉末X線回折の測定を行って格
子定数を測定したところ、a軸長が3.9094オング
ストローム、b軸長が3.8466オングストローム、
c軸長が11.744オングストローム(a軸とb軸と
の差は0.0628オングストローム)であった。
【0028】次に、この材料の種結晶設置部から下に向
かって1mmのところでスライス加工し、切断表面側に
ロードセルの先端に取り付けた直径39.2mm、内径
16mm、厚さ49mmのNd−Fe−B系磁石(表面
最大磁束密度0.53T)を近づけて、オートグラフに
よって以下のように磁気反発力を測定した。まず、リン
グ磁石の軸方向とディスク状超電導体の軸方向がほぼ一
致するように、磁石を超電導体から300mm離して設
置した。超電導体を液体窒素中に漬けて温度77Kに冷
却した後、磁石を軸方向に沿って速度5mm/minで
超電導体に近づけた。超電導体と磁石との間隔が0.1
mmとなるまで磁石を近づけて、この時発生する反発力
を測定したところ、超電導体と磁石との間隔が0.1m
mのとき、216Nの磁気反発力が得られた。
【0029】次に、このディスク状材料から2.5×
2.5×2mmの試料を切り出して、振動試料型磁力計
により磁化率を測定した。得られた磁化率曲線よりBe
anモデルを適用して、温度77K、外部磁場2Tにお
ける臨界電流密度Jcを見積もったところ、図3に示す
ように高磁場付近において臨界電流密度の上昇があり、
3.3×10A/cmであった。また、同じ試料を
用いて、外部磁場10Oeを加えて臨界温度を測定した
ところ、図12に示すように約95.2Kから鋭く超電
導に転移していた。
【0030】次に、この超電導体に外部磁場2.1Tを
加えながら室温から温度77Kまで冷却した後、磁場を
取り去って超電導体中に捕捉される磁束密度を測定し
た。この測定は、ホール素子をXYステージに取り付け
て超電導体表面から約1mmの距離で超電導体表面に沿
って移動させ、ディスク状材料の軸方向の磁束密度分布
を測定することによって行った。その結果、図4に示す
ように最大1.45Tの捕捉磁束密度が得られた。
【0031】また、結晶のc軸に平行に力を加えた場合
の機械強度を3点曲げ試験によって評価した。全長20
mmの試料を用いて、測定上の長さL=14.2mm、
幅W=3.5mm、厚さt=1mm、最大負荷をPとす
ると、曲げ強度σはσ=3PL/(2wt)から求め
ることができる。ここで、クロスヘッドの速度は0.5
mm/minとした。この試料の機械強度は81MPa
であった。
【0032】[実施例2]Nd、BaCO、C
uOの各原料粉末をNd:Ba:Cu=1.2:2.
1:3.1(123相:211相の混合比率で1:0.
05)になるように秤量した後、BaCOとCuOの
みを880℃で30時間焼成して、BaCuO とCu
Oの仮焼粉を得た(モル比でBaCuO:CuO=
2.1:1.0)。次に、この仮焼粉に、予め秤量して
おいたNdと0.5wt%のPt粉末と30wt
%のAg粉末とを加えて混合して、大気中900℃で1
0時間焼成した。得られた仮焼粉をライカイ機で粉砕し
て、平均粒径約2μmとした。
【0033】このようにして作製された合成粉を外径5
3mm、厚さ27mmのディスク状にプレス成形して前
駆体を作製した。
【0034】この前駆体をNd粉末を敷いたアル
ミナ基板上に載せ、2ゾーン型の炉体内に設置した。
次いで、ガス排気口から炉体内部のガスを排気し、炉内
を13Paの真空状態にした後、ガス導入口よりO
0.1%とAr99.9%の混合ガスを流し込んで大
気圧にした。その後も0.2L/minの流量で混合ガ
スを流しながら以下の工程を行った。
【0035】まず、室温から50時間で1100℃まで
昇温させ、この温度で20分間保持して半溶融状態にし
た後、前駆体の上部が低温側となるように上下に5℃/
cmの温度勾配を加えて980℃まで10℃/minで
降温させた。次いで、予め作製しておいたAgを含まな
いNd1.8Ba2.4Cu3.4組成の溶融体の
種結晶を、成長方向がc軸と平行になるように前駆体の
上部に接触させ、980℃から0.5℃/hrの速度で
970℃まで降温させた。この温度で60時間保持した
後、900℃まで70時間かけて徐冷し、ここで、前駆
体の上部の温度が900℃のままで、上下の温度勾配が
0℃/cmとなるように前駆体の下部側を冷却し、そこ
から室温まで100時間かけて徐冷して結晶化を行っ
た。
【0036】このようにして結晶化した材料をガス置換
可能な別の炉の中に設置し、ロータリーポンプで13P
aまで炉内を排気した後、炉内に酸素ガスを流し込ん
で、酸素分圧が95%以上である大気圧の雰囲気にし
た。その後も0.5L/minの流量で酸素ガスを炉内
に流しながら、室温から700℃まで10時間で昇温さ
せた。この温度で80時間保持し、700℃から500
℃まで100時間で降温させ、500℃から300℃ま
で200時間かけて徐冷し、300℃から200℃まで
200時間かけて徐冷し、その後、室温まで10時間で
降温させた。
【0037】得られた材料の外径および厚さは、焼き縮
みのため、外径約45mm、厚さ約23mmとなってい
た。この材料を切断して断面をEPMAで観察したとこ
ろ、Nd1+pBa2+q(Cu1−bAg
7−x相中に0.1〜30μm程度のNd4+rBa
2+s(Cu1−dAg10−y相が微細に分
散していた。 ここで、p、q、r、s、yはそれぞれ
−0.2〜0.2の値であり、xは−0.2〜0.6の
値であった。また、bは0.000〜0.050の範囲
をとり、平均的には0.030程度であった。さらに、
dは0.000〜0.005の範囲であった。この材料
の中心付近で0.5μm以上に凝集したAgの存在しな
い部分を選んで、偏光顕微鏡を用いて倍率1000倍で
撮影し、70×90μmの範囲を画像解析したところ、
Nd2+rBa1+s(Cu1−dAg)O5−y
の平均粒径は3.6μmであり、全体の面積に占める割
合は約9%であった。さらに、試料全体にわたって0.
1〜100μm程度のAgが微細に分散していた。ま
た、この材料の中心付近を偏光顕微鏡を用いて倍率50
倍で撮影し、1.4×1.8mmの範囲を画像解析した
ところ、このAgの平均粒径は34μmであり、全体の
面積に占める割合は29%であった。さらに、粒径5〜
200μm程度の空孔が全体の体積に対して8%分散し
て存在していた。また、種結晶を反映してディスク状材
料の軸方向がc軸であるように材料全体が配向し、隣接
する結晶間の方位のずれが1°以下である実質的に単結
晶状の超電導材料が得られた。 また、この材料の中心
付近を50μm程度の粉末に砕き、粉末X線回折の測定
を行って格子定数を測定したところ、a軸長が3.91
94オングストローム、b軸長が3.8586オングス
トローム、c軸長が11.764オングストローム(a
軸とb軸との差は0.0608オングストローム)であ
った。
【0038】次に、この材料の種結晶設置部から下に向
かって1mmのところでスライス加工し、切断表面側に
ロードセルの先端に取り付けた直径39.2mm、内径
16mm、厚さ49mmのNd−Fe−B系磁石(表面
最大磁束密度0.53T)を近づけて、オートグラフに
よって以下のように磁気反発力を測定した。まず、リン
グ磁石の軸方向とディスク状超電導体の軸方向がほぼ一
致するように、磁石を超電導体から300mm離して設
置した。超電導体を液体窒素中に漬けて温度77Kに冷
却した後、磁石を軸方向に沿って速度5mm/minで
超電導体に近づけた。超電導体と磁石との間隔が0.1
mmとなるまで磁石を近づけて、この時発生する反発力
を測定したところ、超電導体と磁石との間隔が0.1m
mのとき、206Nの磁気反発力が得られた。
【0039】次に、このディスク状材料から2.5×
2.5×2mmの試料を切り出して、振動試料型磁力計
により磁化率を測定した。得られた磁化率曲線よりBe
anモデルを適用して、温度77K、外部磁場2Tにお
ける臨界電流密度Jcを見積もったところ、高磁場付近
において臨界電流密度の上昇があり、2.4×10
/cmであった。
【0040】次に、この超電導体に外部磁場2.1Tを
加えながら室温から温度77Kまで冷却した後、磁場を
取り去って超電導体中に捕捉される磁束密度を測定し
た。この測定は、ホール素子をXYステージに取り付け
て超電導体表面から約0.1mmの距離で超電導体表面
に沿って移動させ、ディスク状材料の軸方向の磁束密度
分布を測定することによって行った。その結果、最大
1.2Tの捕捉磁束密度が得られた。
【0041】[実施例3]RE(REはモル比で
Dy50%、Gd50%)、BaCO、CuOの各原
料粉末をRE:Ba:Cu=1.4:2.2:3.2
(123相:211相の混合比率で1:0.2)になる
ように秤量した後、BaCOとCuOのみを880℃
で30時間焼成して、BaCuOとCuOの仮焼粉を
得た(モル比でBaCuO:CuO=2.2:1.
0)。次に、この仮焼粉に、予め秤量しておいたRE
および0.5wt%のPt粉末を加えるとともに、
Ag元素量で20wt%となるようにAgO粉末を加
えて混合して、大気中900℃で10時間焼成した。得
られた仮焼粉をライカイ機で粉砕して、平均粒径約2μ
mとした。
【0042】このようにして作製された合成粉を外径5
3mm、厚さ27mmのディスク状にプレス成形して前
駆体を作製した。
【0043】この前駆体をGd粉末を敷いたアル
ミナ基板上に載せ、2ゾーン型の炉体内に設置して以下
の工程を行った。
【0044】まず、室温から50時間で1100℃まで
昇温させ、この温度で20分間保持して半溶融状態にし
た後、前駆体の上部が低温側となるように上下に5℃/
cmの温度勾配を加えて1045℃まで10℃/min
で降温させた。次いで、予め作製しておいたAgを含ま
ないGd1.8Ba2.4Cu3.4組成の溶融体
の種結晶を、成長方向がc軸と平行になるように前駆体
の上部に接触させ、1045℃から0.5℃/hrの速
度で1035℃まで降温させた。この温度で40時間保
持した後、965℃まで70時間で降温させ、ここで、
前駆体の上部の温度が965℃のままで、上下の温度勾
配が0℃/cmになるように前駆体の下部側を冷却し、
そこから室温まで100時間かけて徐冷して結晶化を行
った。
【0045】このようにして結晶化した材料をガス置換
可能な別の炉の中に設置し、ロータリーポンプで13P
aまで炉内を排気した後、炉内に酸素ガスを流し込ん
で、酸素分圧が95%以上である大気圧の雰囲気にし
た。その後も0.5L/minの流量で酸素ガスを炉内
に流しながら、室温から500℃まで10時間で昇温さ
せ、500℃から300℃まで200時間かけて徐冷
し、300℃から200゜Cまで200時間かけて徐冷
し、室温まで10時間で降温させた。
【0046】得られた材料の外径および厚さは、焼き縮
みのため、外径約45mm、厚さ約23mmとなってい
た。この材料を切断して断面をEPMAで観察したとこ
ろ、RE1+pBa2+q(Cu1−bAg
7−x相中に0.1〜30μm程度のRE2+rBa
1+s(Cu1−dAg)O5−y相が微細に分散し
ていた。ここで、p、q、r、s、yはそれぞれ−0.
2〜0.2の値であり、xは−0.2〜0.6の値であ
った。また、bは0.000〜0.050の範囲をと
り、平均的には0.030程度であった。さらに、dは
0.000〜0.005の範囲であった。この材料の中
心付近で0.5μm以上に凝集したAgの存在しない部
分を選んで、偏光顕微鏡を用いて倍率1000倍で撮影
し、70×90μmの範囲を画像解析したところ、RE
2+rBa1+s(Cu1−dAg)O5−y相の平
均粒径は1.1μmであり、全体の面積に占める割合は
10%であった。さらに、試料全体にわたって0.1〜
100μm程度のAgが微細に分散していた。また、こ
の材料の中心付近を偏光顕微鏡を用いて倍率50倍で撮
影し、1.4×1.8mmの範囲を画像解析したとこ
ろ、このAgの平均粒径は41μmであり、全体の面積
に占める割合は約20%であった。さらに、粒径5〜2
00μm程度の空孔が全体の体積に対して4%分散して
存在していた。また、種結晶を反映してディスク状材料
の軸方向がc軸であるように材料全体が配向し、隣接す
る結晶間の方位のずれが1°以下であり、小傾角粒界の
無い実質的に単結晶状の超電導材料が得られた。また、
この材料の中心付近を50μm程度の粉末に砕き、粉末
X線回折の測定を行って格子定数を測定したところ、a
軸長が3.9024オングストローム、b軸長が3.8
399オングストローム、c軸長が11.715オング
ストローム(a軸とb軸との差は0.0621オングス
トローム)であった。
【0047】次に、この材料の種結晶設置部から下に向
かって1mmのところでスライス加工し、切断表面側に
ロードセルの先端に取り付けた直径39.2mm、内径
16mm、厚さ49mmのNd−Fe−B系磁石(表面
最大磁束密度0.53T)を近づけて、オートグラフに
よって以下のように磁気反発力を測定した。まず、リン
グ磁石の軸方向とディスク状超電導体の軸方向がほぼ一
致するように、磁石を超電導体から300mm離して設
置した。超電導体を液体窒素中に漬けて温度77Kに冷
却した後、磁石を軸方向に沿って速度5mm/minで
超電導体に近づけた。超電導体と磁石との間隔が0.1
mmとなるまで磁石を近づけて、この時発生する反発力
を測定したところ、超電導体と磁石との間隔が0.1m
mのとき、216Nの磁気反発力が得られた。
【0048】次に、このディスク状材料から2.5×
2.5×2mmの試料を切り出して、振動試料型磁力計
により磁化率を測定した。得られた磁化率曲線よりBe
anモデルを適用して、温度77K、外部磁場2Tにお
ける臨界電流密度Jcを見積もったところ、高磁場付近
において臨界電流密度の上昇があり、2.9×10
/cmであった。
【0049】次に、この超電導体に外部磁場2.1Tを
加えながら室温から温度77Kまで冷却した後、磁場を
取り去って超電導体中に捕捉される磁束密度を測定し
た。この測定は、ホール素子をXYステージに取り付け
て超電導体表面から約1mmの距離で超電導体表面に沿
って移動させ、ディスク状材料の軸方向の磁束密度分布
を測定することによって行った。その結果、最大1.3
5Tの捕捉磁束密度が得られた。
【0050】[実施例4]実施例1において、Sm
、BaCO、CuOの各原料粉末の組成を(A)S
m:Ba:Cu=1.2:2.1:3.1(123相:
211相の混合比率で1:0.1)、(B)Sm:B
a:Cu=1.6:2.3:3.3(123相:211
相の混合比率で1:0.3)および(C)1.02:
2.01:3.01とし、いずれの組成の試料について
もAg粉末の代わりに平均粒径5μmのAgOをAg
元素のみの換算で10wt%となるように添加して、そ
の他の工程は実施例1と同様にして、溶融結晶化、アニ
ール工程を行った。
【0051】得られた材料の外径および厚さは、
(A)、(B)、(C)のいずれの材料も焼き縮みのた
め、外径約45mm、厚さ約23mmとなっていた。こ
の材料を切断して断面をEPMAで観察したところ、い
ずれもSm1+pBa2+q(Cu 1−bAg
7−x相中に0.1〜30μm程度のSm2+rBa
1+s(Cu1−dAg)O5−y相が微細に分散し
ていた。ここで、p、q、r、s、yはそれぞれ−0.
2〜0.2の値であり、xは−0.2〜0.6の値であ
った。また、bは0.000〜0.050の範囲であ
り、平均的には0.030程度であった。さらに、dは
0.000〜0.005の範囲であった。この材料の中
心付近で0.5μm以上に凝集したAgの存在しない部
分を選んで、偏光顕微鏡を用いて倍率1000倍で撮影
し、この写真から70×90μmの範囲を画像解析した
ところ、Sm2+rBa1+s(Cu1−dAg)O
5−y相の平均粒径は、(A)では1.7μm、(B)
では1.4μm、(C)では1.5μmであった。ま
た、各々の全体の面積に占める割合は、(A)では7
%、(B)では24%、(C)では4%であった。さら
に、いずれも試料全体にわたって0.1〜100μm程
度のAgが微細に分散していた。また、これらの材料の
中心付近を偏光顕微鏡を用いて倍率50倍で撮影し、こ
の写真から1.4×1.8mmの範囲を画像解析したと
ころ、Agの平均粒径はいずれも25μmであり、空孔
を除いた部分の全体の面積に占める割合はいずれも6%
であった。さらに、いずれも粒径5〜200μm程度の
空孔が全体の体積に対して6%分散して存在していた。
また、いずれも種結晶を反映してディスク状材料の軸方
向がc軸であるように材料全体が配向し、隣接する結晶
間の方位のずれが1°以下であり、小傾角粒界の無い実
質的に単結晶状の超電導材料が得られた。また、この材
料の中心付近を50μm程度の粉末に砕き、粉末X線回
折の測定を行って格子定数を測定したところ、(A)で
はa軸長が3.9073オングストローム、b軸長が
3.8448オングストローム、c軸長が11.738
オングストローム(a軸とb軸との差は0.0625オ
ングストローム)であり、(B)ではa軸長が3.90
89オングストローム、b軸長が3.8463オングス
トローム、c軸長が11.742オングストローム(a
軸とb軸との差は0.0626オングストローム)であ
った。
【0052】次に、この材料の種結晶設置部から下に向
かって1mmのところでスライス加工し、切断表面側に
ロードセルの先端に取り付けた直径39.2mm、内径
16mm、厚さ49mmのNd−Fe−B系磁石(表面
最大磁束密度0.53T)を近づけて、オートグラフに
よって以下のように磁気反発力を測定した。まず、リン
グ磁石の軸方向とディスク状超電導体の軸方向がほぼ一
致するように、磁石を超電導体から300mm離して設
置した。超電導体を液体窒素中に漬けて温度77Kに冷
却した後、磁石を軸方向に沿って速度5mm/minで
超電導体に近づけた。超電導体と磁石との間隔が0.1
mmとなるまで磁石を近づけて、この時発生する反発力
を測定したところ、超電導体と磁石との間隔が0.1m
mのとき、それぞれ(A)216N、(B)206N、
(C)206Nの磁気反発力が得られた。
【0053】次に、このディスク状材料から2.5×
2.5×2mmの試料を切り出して、振動試料型磁力計
により磁化率を測定した。得られた磁化率曲線よりBe
anモデルを適用して、温度77K、外部磁場2Tにお
ける臨界電流密度Jcを見積もったところ、それぞれ図
5に示すように高磁場付近で臨界電流密度が上昇し、
(A)3.5×10A/cm、(B)2.4×10
A/cm、(C)3.2×10A/cmであっ
た。また、同じ試料を用いて、外部磁場10Oeを加え
て臨界温度を測定したところ、図12に示すように
(A)では約94.3K、(B)では約94.0Kから
鋭く超電導に転移していた。
【0054】次に、この超電導体に外部磁場2.1Tを
加えながら室温から温度77Kまで冷却した後、磁場を
取り去って超電導体中に捕捉される磁束密度を測定し
た。この測定は、ホール素子をXYステージに取り付け
て超電導体表面から約1mmの距離で超電導体表面に沿
って移動させ、ディスク状材料の軸方向の磁束密度分布
を測定することによって行った。その結果、図6、図7
および図8に示すように、それぞれ(A)最大1.8
T、(B)最大1.1T、(B)最大1.35Tの捕捉
磁束密度が得られた。
【0055】[比較例1]Sm、BaCO、C
uOの各原料粉末をSm:Ba:Cu=1.8:2.
4:3.4(123相:211相の混合比率で1:0.
4)になるように秤量した後、BaCOとCuOのみ
を880℃で30時間焼成して、BaCuO とCuO
の仮焼粉を得た(モル比でBaCuO:CuO=2.
4:1.0)。次に、この仮焼粉に、予め秤量しておい
たSmと0.5wt%のPt粉末と20wt%の
Ag粉末とを加えて混合して、大気中900℃で10時
間焼成した。得られた仮焼粉をライカイ機で粉砕して、
平均粒径約2μmとした。
【0056】このようにして作製された合成粉を外径5
3mm、厚さ27mmのディスク状にプレス成形して前
駆体を作製した。
【0057】この前駆体をSm粉末を敷いたアル
ミナ基板上に載せ、2ゾーン型の炉体内に設置して以下
の工程を行った。
【0058】まず、室温から50時間で1100℃まで
昇温させ、この温度で20分間保持して半溶融状態にし
た後、前駆体の上部が低温側となるように上下に5℃/
cmの温度勾配を加えて前駆体の上部温度が1015℃
になるまで10℃/minで降温させた。次いで、予め
溶融法で作製しておいたAgを含まないSm1.8Ba
2.4Cu3.4組成の種結晶を、成長方向がc軸
と平行になるように前駆体の上部に接触させ、1020
℃から0.5℃/hrの速度で1010℃まで降温させ
た。この温度で40時間保持した後、940℃まで70
時間かけて徐冷し、ここで、前駆体の上部の温度が94
0℃のままで、上下の温度勾配が0℃/cmになるよう
に前駆体の下部側を冷却し、そこから室温まで100時
間かけて徐冷して結晶化を行った。
【0059】このようにして結晶化した材料をガス置換
可能な別の炉の中に設置し、ロータリーポンプで13P
aまで炉内を排気した後、炉内に酸素ガスを流し込ん
で、酸素分圧が99%以上である大気圧の雰囲気にし
た。その後も0.5L/minの流量で酸素ガスを炉内
に流しながら、室温から500℃まで10時間で昇温さ
せ、500℃から300℃まで200時間かけて徐冷
し、300℃から200℃まで200時間かけて徐冷
し、室温まで10時間で降温させた。
【0060】得られた材料の外径および厚さは、焼き縮
みのため、外径約45mm、厚さ約23mmとなってい
た。この材料を切断して断面をEPMAで観察したとこ
ろ、Sm1+pBa2+q(Cu1−bAg
7−x相中に0.1〜30μm程度のSm2+rBa
1+s(Cu1−dAg)O5−y相が微細に分散し
ていた。ここで、p、q、r、s、yはそれぞれ−0.
2〜0.2の値であり、xは−0.2〜0.6の値であ
った。また、bは0.000〜0.050の範囲であ
り、平均的には0.030程度であった。さらに、dは
0.000〜0.005の範囲であった。この材料の中
心付近で0.5μm以上の凝集したAgの存在しない部
分を選んで、偏光顕微鏡を用いて倍率1000倍で撮影
し、70×90μmの範囲を画像解析したところ、図9
に示すようにSm2+rBa1+s(Cu1−d
)O5−y相の平均粒径は2.1μmであり、全体
の面積に占める割合は約29%であった。さらに、試料
全体にわたって0.1〜100μm程度のAgが微細に
分散していた。この材料の中心付近を偏光顕微鏡を用い
て倍率50倍で撮影し、1.4×1.8mmの範囲を画
像解析したところ、このAgの平均粒径は52μmであ
り、全体の面積に占める割合は19%であった。さら
に、粒径5〜200μm程度の空孔が全体の面積に対し
て4%分散して存在していた。また、種結晶を反映して
ディスク状材料の軸方向がc軸であるように材料全体が
配向し、隣接する結晶間の方位のずれが1°以下であ
り、小傾角粒界の無い実質的に単結晶状の超電導材料が
得られた。また、この材料の中心付近を50μm程度の
粉末に砕き、粉末X線回折の測定を行って格子定数を測
定したところ、a軸長が3.9045オングストロー
ム、b軸長が3.8459オングストローム、c軸長が
11.737オングストローム(a軸とb軸との差は
0.0586オングストローム)であった。
【0061】次に、この材料の種結晶設置部から下に向
かって1mmのところでスライス加工し、切断表面側に
ロードセルの先端に取り付けた直径39.2mm、内径
16mm、厚さ49mmのNd−Fe−B系磁石(表面
最大磁束密度0.53T)を近づけて、オートグラフに
よって以下のように磁気反発力を測定した。まず、リン
グ磁石の軸方向とディスク状超電導体の軸方向がほぼ一
致するように、磁石を超電導体から300mm離して設
置した。超電導体を液体窒素中に漬けて温度77Kに冷
却した後、磁石を軸方向に沿って速度5mm/minで
超電導体に近づけた。超電導体と磁石との間隔が0.1
mmとなるまで磁石を近づけて、この時発生する反発力
を測定したところ、超電導体と磁石との間隔が0.1m
mのとき、186Nの磁気反発力が得られた。
【0062】次に、このディスク状材料から2.5×
2.5×2mmの試料を切り出して、振動試料型磁力計
により磁化率を測定した。得られた磁化率曲線よりBe
anモデルを適用して、温度77K、外部磁場2Tにお
ける臨界電流密度Jcを見積もったところ、図10に示
すように高磁場付近での臨界電流密度の上昇がみられ
ず、2.2×10A/cmであった。また、同じ試
料を用いて、外部磁場10Oeを加えて臨界温度を測定
したところ、図12に示すように約93.1Kとやや転
移温度が低かった。
【0063】次に、この超電導体に外部磁場2.1Tを
加えながら室温から温度77Kまで冷却した後、磁場を
取り去って超電導体中に捕捉される磁束密度を測定し
た。この測定は、ホール素子をXYステージに取り付け
て超電導体表面から約1mmの距離で超電導体表面に沿
って移動させ、ディスク状材料の軸方向の磁束密度分布
を測定することによって行った。その結果、a軸および
b軸に沿った方向にマイクロクラックが発生し、図11
に示すように最大0.6Tの捕捉磁束密度しか得られな
かった。
【0064】また、結晶のc軸に平行に力を加えた場合
の機械強度を3点曲げ試験によって評価した。全長20
mmの試料を用いて、測定上の長さL=14.2mm、
幅W=3.5mm、厚さt=1mm、最大負荷をPとす
ると、曲げ強度σはσ=3PL/(2wt)から求め
ることができる。ここで、クロスヘッドの速度は0.5
mm/minとした。この試料の機械強度は、マイクロ
クラックにより5MPa程度の低い部分が存在してい
た。
【0065】[比較例2]実施例1において、Sm
、BaCO、CuOの各原料粉末の組成をSm:B
a:Cu=1:2:3(123相:211相の混合比率
で1:0)とし、その他の工程は実施例1と同様にし
て、溶融結晶化、アニール工程を行った。
【0066】得られた材料の外径および厚さは、焼き縮
みのため、外径約45mm、厚さ約23mmとなってい
た。この材料を切断して断面をEPMAで観察したとこ
ろ、Sm1+pBa2+q(Cu1−bAg
7−x相中に0.1〜30μm程度のSm2+rBa
1+s(Cu1−dAg)O5−y相が比較的凝集し
て存在するとともに、BaCuO相、CuO相が分散
していた。ここで、p、q、r、s、yはそれぞれ−
0.2〜0.2の値であり、xは−0.2〜0.6の値
であった。また、bは0.000〜0.050の範囲で
あり、平均的には0.030程度であった。さらに、d
は0.000〜0.005の範囲であった。また、液相
成分であるBaCuO相、CuO相の析出により、種
結晶が部分的に溶融し、種結晶を反映せず、多結晶状の
超電導材料が得られた。また、この材料の中心付近を5
0μm程度の粉末に砕き、粉末X線回折の測定を行って
格子定数を測定したところ、a軸長が3.9051オン
グストローム、b軸長が3.8484オングストロー
ム、c軸長が11.7399オングストローム(a軸と
b軸との差は0.0567オングストローム)であっ
た。
【0067】次に、この材料の種結晶設置部から下に向
かって1mmのところでスライス加工し、切断表面側に
ロードセルの先端に取り付けた直径39.2mm、内径
16mm、厚さ49mmのNd−Fe−B系磁石(表面
最大磁束密度0.53T)を近づけて、オートグラフに
よって以下のように磁気反発力を測定した。まず、リン
グ磁石の軸方向とディスク状超電導体の軸方向がほぼ一
致するように、磁石を超電導体から300mm離して設
置した。超電導体を液体窒素中に漬けて温度77Kに冷
却した後、磁石を軸方向に沿って速度5mm/minで
超電導体に近づけた。超電導体と磁石との間隔が0.1
mmとなるまで磁石を近づけて、この時発生する反発力
を測定したところ、超電導体と磁石との間隔が0.1m
mのとき、磁気反発力が15Nであり、磁気反発力が低
かった。
【0068】次に、このディスク状材料から2.5×
2.5×2mmの試料を切り出して、振動試料型磁力計
により外部磁場10Oeを加えて臨界温度を測定したと
ころ、図12に示すように約92.0Kと転移温度が低
く、転移幅も広かった。
【0069】実施例1、4および比較例1、2において
得られたa軸長およびc軸長の1/3を図13に比較し
て示すとともに、b軸長を図14に比較して示す。RE
系の酸化物超電導体では、a軸長とb軸長の差が大きい
方が臨界温度や臨界電流密度の特性が高くなるが、図1
3および図14からわかるように、123相と211相
の組成比率を1:0.1〜1:0.3とした実施例1お
よび実施例4では、a軸長が延びてb軸長が縮んでお
り、a軸長とb軸長の差が大きくなるので、臨界温度や
臨界電流密度の特性が高くなる。また、実施例1、4お
よび比較例1、2における臨界温度を比較して図16に
示す。この図からわかるように、a軸長とb軸長の変化
に伴って実施例1および実施例4では高い臨界温度を示
している。
【0070】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
RE化合物(REはYを含む希土類元素)とBa化合物
とCu化合物を含む原料混合体にAgを添加して溶融凝
固させ、結晶成長させることにより酸化物超電導体を製
造する方法において、原料混合体に5〜60%のAgを
添加するとともに、原料混合体のRE、Ba、Cu元素
のモル比(RE、Ba、Cu)をA(0.17、0.3
5、0.48)、B(0.22、0.34、0.4
4)、C(0.23、0.3、0.47)、D(0.1
7、0.32、0.51)で囲まれる範囲に調整するこ
とにより、電気特性、磁気特性、機械強度および耐環境
性に優れた酸化物超電導体を歩留まり良く製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において製造した超電導材料を偏光顕
微鏡により倍率1000倍で撮影した写真。
【図2】実施例1において製造した超電導材料を偏光顕
微鏡により倍率50倍で撮影した写真。
【図3】実施例1において製造した酸化物超電導体の臨
界電流密度の磁場依存性を示す図。
【図4】実施例1において製造した酸化物超電導体の捕
捉磁束密度を示す図。
【図5】実施例4において製造した酸化物超電導体の臨
界電流密度の磁場依存性を示す図。
【図6】実施例4において製造した酸化物超電導体
(A)の捕捉磁束密度を示す図。
【図7】実施例4において製造した酸化物超電導体
(B)の捕捉磁束密度を示す図。
【図8】実施例4において製造した酸化物超電導体
(C)の捕捉磁束密度を示す図。
【図9】比較例1において製造した超電導材料を偏光顕
微鏡により倍率1000倍で撮影した写真。
【図10】比較例1において製造した酸化物超電導体の
臨界電流密度の磁場依存性を示す図。
【図11】比較例1において製造した酸化物超電導体の
捕捉磁束密度を示す図。
【図12】実施例1、4および比較例1、2で製造した
試料について測定した超電導転移温度を示す図。
【図13】実施例1、4および比較例1、2で製造した
試料についてa軸とc軸の格子定数を比較して示す図。
【図14】実施例1、4および比較例1、2で製造した
試料についてb軸の格子定数を比較して示す図。
【図15】実施例1、4および比較例1、2で製造した
試料について超電導転移温度を比較して示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 39/12 ZAA H01L 39/12 ZAAC (72)発明者 長谷山 秀悦 東京都千代田区丸の内一丁目8番2号 同 和鉱業株式会社内 (72)発明者 長屋 重夫 愛知県名古屋市緑区大高町字北関山20番地 の1 中部電力株式会社電力技術研究所内 Fターム(参考) 4G047 JA02 JB01 JB05 JC03 KA01 KB01 KB04 KB17 LA02 LB01 LB04 LB10 4G048 AA05 AB01 AC04 AD01 AE05 5G321 AA01 AA02 AA04 DB28

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 RE1+pBa2+q(Cu1−bAg
    7−x(REは1種または2種以上の希土類金
    属元素、−0.2≦p≦0.2、−0.2≦q≦0.
    2、0≦b≦0.05、−0.2≦x≦0.6)相中
    に、RE2+rBa1+s(Cu1−dAg)O
    5−y相およびRE4+rBa2+s(Cu 1−dAg
    10−y相(−0.2≦r≦0.2、−0.2
    ≦s≦0.2、0≦d≦0.005、−0.2≦y≦
    0.2)の一方または両方の相とAgが微細に分散した
    酸化物超電導体において、ある断面におけるRE1+p
    Ba2+ (Cu1−bAg7−x相中の前記
    一方または両方の相の面積の割合が7%乃至24%であ
    ることを特徴とする酸化物超電導体。
  2. 【請求項2】 RE1+pBa2+q(Cu1−bAg
    7−x(REは1種または2種以上の希土類金
    属元素、−0.2≦p≦0.2、−0.2≦q≦0.
    2、0≦b≦0.05、−0.2≦x≦0.6)相中
    に、RE2+rBa1+s(Cu1−dAg)O
    5−y相およびRE4+rBa2+s(Cu 1−dAg
    10−y相(−0.2≦r≦0.2、−0.2
    ≦s≦0.2、0≦d≦0.005、−0.2≦y≦
    0.2)の一方または両方の相とAgが微細に分散した
    酸化物超電導体において、RE、Ba、Cu元素のモル
    比(RE、Ba、Cu)がA(0.17、0.35、
    0.48)、B(0.22、0.34、0.44)、C
    (0.23、0.3、0.47)、D(0.17、0.
    32、0.51)で囲まれる範囲であることを特徴とす
    る酸化物超電導体。
  3. 【請求項3】 RE1+pBa2+q(Cu1−bAg
    7−x(REは1種または2種以上の希土類金
    属元素、−0.2≦p≦0.2、−0.2≦q≦0.
    2、0≦b≦0.05、−0.2≦x≦0.6)相を有
    する酸化物超電導体において、RE1+pBa
    2+q(Cu1−bAg7−x相のa軸長が
    3.906<a<3.911オングストロームの範囲で
    あることを特徴とする酸化物超電導体。
  4. 【請求項4】 RE1+pBa2+q(Cu1−bAg
    7−x(REは1種または2種以上の希土類金
    属元素、−0.2≦p≦0.2、−0.2≦q≦0.
    2、0≦b≦0.05、−0.2≦x≦0.6)相を有
    する酸化物超電導体において、RE1+pBa
    2+q(Cu1−bAg7−x相のa軸長とb
    軸長の差が0.060<a−b<0.064オングスト
    ロームの範囲であることを特徴とする酸化物超電導体。
  5. 【請求項5】 前記RE1+pBa2+q(Cu1−b
    Ag7− 相中に、RE2+rBa1+s(C
    1−dAg)O5−y相およびRE +rBa
    2+s(Cu1−dAg10−y相(−0.2
    ≦r≦0.2、−0.2≦s≦0.2、0≦d≦0.0
    05、−0.2≦y≦0.2)の一方または両方の相が
    微細に分散した酸化物超電導体であることを特徴とす
    る、請求項3または4に記載の酸化物超電導体。
  6. 【請求項6】 前記RE1+pBa2+q(Cu1−b
    Ag7− 相中に、RE2+rBa1+s(C
    1−dAg)O5−y相およびRE +rBa
    2+s(Cu1−dAg10−y相(−0.2
    ≦r≦0.2、−0.2≦s≦0.2、0≦d≦0.0
    05、−0.2≦y≦0.2)の一方または両方の相と
    Agが微細に分散した酸化物超電導体であることを特徴
    とする、請求項3または4に記載の酸化物超電導体。
  7. 【請求項7】 前記REがLa、Nd、Pm、Sm、E
    u、Gd、Tb、Dy、Hoから選ばれる1種以上の希
    土類金属元素であることを特徴とする、請求項1乃至6
    のいずれかに記載の酸化物超電導体。
  8. 【請求項8】 前記REが主にSmであることを特徴と
    する、請求項1乃至7のいずれかに記載の酸化物超電導
    体。
  9. 【請求項9】 前記酸化物超電導体の隣接するRE
    1+pBa2+q(Cu1−bAg7−x結晶
    間の方位のずれが1°以下であることを特徴とする、請
    求項1乃至8のいずれかに記載の酸化物超電導体。
  10. 【請求項10】 前記酸化物超電導体がPt、Pd、R
    u、Rh、Ir、Os、Re、Ceの金属およびこれら
    の金属の化合物から選ばれる1種以上を0.05wt%
    乃至5wt%(化合物の場合はその金属のみの元素重量
    で示す)含むことを特徴とする、請求項1乃至9のいず
    れかに記載の酸化物超電導体。
  11. 【請求項11】 RE化合物(REはYを含む希土類元
    素)とBa化合物とCu化合物を含む原料混合体にAg
    を添加して溶融凝固させ、結晶成長させることにより酸
    化物超電導体を製造する方法において、前記原料混合体
    に5wt%乃至60wt%のAgを添加するとともに、
    前記原料混合体のRE、Ba、Cu元素のモル比(R
    E、Ba、Cu)をA(0.17、0.35、0.4
    8)、B(0.22、0.34、0.44)、C(0.
    23、0.3、0.47)、D(0.17、0.32、
    0.51)で囲まれる範囲に調整することを特徴とする
    酸化物超電導体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記原料混合体にさらにPt、Pd、
    Ru、Rh、Ir、Os、Re、Ceの金属およびこれ
    らの金属の化合物から選ばれる1種以上を0.05wt
    %乃至5wt%(化合物の場合はその金属のみの元素重
    量で示す)添加することを特徴とする、請求項11に記
    載の酸化物超電導体の製造方法。
  13. 【請求項13】 酸素分圧を10−3%乃至2×10
    −1%の範囲にして溶融結晶化を行うことを特徴とす
    る、請求項11または12に記載の酸化物超電導体の製
    造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003095653A (ja) * 2001-09-21 2003-04-03 Dowa Mining Co Ltd 酸化物超電導体およびその製造方法

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