JP2001179763A - 液晶樹脂強化等方性フィルムの製造方法 - Google Patents

液晶樹脂強化等方性フィルムの製造方法

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JP2001179763A
JP2001179763A JP36737799A JP36737799A JP2001179763A JP 2001179763 A JP2001179763 A JP 2001179763A JP 36737799 A JP36737799 A JP 36737799A JP 36737799 A JP36737799 A JP 36737799A JP 2001179763 A JP2001179763 A JP 2001179763A
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thermoplastic resin
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Yoshinori Nakano
良憲 中野
Kenji Miyazaki
健次 宮崎
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】寸法安定性・機械的強度にバランスのとれた高
物性の等方性フィルムを高い生産性のもとに製造する。 【解決手段】液晶樹脂とこの液晶樹脂の液晶転移温度よ
りも低い溶融温度を有する熱可塑性樹脂からなる樹脂組
成物を液晶転移温度以上で溶融混練し、その溶融樹脂組
成物を、複数穴のストランドダイまたはTダイから伸長
変形を与えながら押し出して液晶樹脂をフィブリル化し
た後、熱可塑性樹脂の溶融温度以上、液晶転移温度以下
の温度で加圧成形するフィルムの製造方法において、加
圧成形する際に、樹脂組成物に剪断変形を与えながら加
圧成形することにより、フィブリル化した液晶樹脂をほ
ぼ無配向状態に分散させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、 液晶樹脂とこの液
晶樹脂の液晶転移温度よりも低い溶融温度を有する熱可
塑性樹脂からなる液晶樹脂強化等方性フィルムの製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維強化樹脂複合物は、広く知られてお
り、強化用繊維、ガラス繊維、樹脂が熱硬化性樹脂であ
るSMCあるいはガラス繊維に熱可塑性樹脂を含浸させ
たスタンパブルシート等が数多く世に広まっている。最
近では、強化用繊維に天然繊維を用いた天然繊維強化プ
ラスチックも開発されている。
【0003】しかし、このような固形状の繊維による繊
維強化樹脂複合体は、製造に関して問題点が幾つかあ
る。例えば、樹脂と固形状の繊維を混合または配合する
際に固形状の繊維がちぎれたり、また、十分に繊維表面
に樹脂を含浸することができずに、樹脂及び繊維の界面
接着が悪くなり、十分な補強効果が得られない場合があ
る。しかも、強化用の繊維が長い連続ストランドを有す
る複合物は、製造が困難で特殊な方法を用いる必要があ
る上、多大な製造時間を要する。
【0004】これらの問題点を解消するものとして、液
晶樹脂がマトリクスである熱可塑性樹脂中に繊維状とな
って配向している、いわゆる自己強化型の繊維強化複合
物及びその製造方法が開示されており(例えば特開昭6
2−116666号公報)、またマトリクスにポリプロ
ピレンを用いた例も開示されている(例えば特開平5−
86234号公報)。しかし、これら公報に開示されて
いるブレンド品は液晶樹脂の分散が十分ではなく、ま
た、液晶樹脂の繊維形態が悪いため物性は不安定であ
り、十分な補強効果が発現できていないという問題点が
ある。
【0005】さらには、液晶樹脂及び熱可塑性樹脂との
アロイを用いたフィルムについては数多く報告されてい
るが、液晶樹脂は、その分子構造からフィルム成形では
1軸配向しやすいことから、異方性のあるフィルムにな
るという問題点がある。それを解消する目的で、インフ
レーション法においてフィルム成形時に2軸延伸するこ
と、あるいはインフレーション法において、リングダイ
を回転させることにより異方性を解消することが、それ
ぞれ特開昭61−102234号公報、特開昭63−1
73620号公報に開示されている。
【0006】また、1軸配向フィルムを90°積層する
ことにより、異方性を解消することも特開昭62−95
213号公報に提案されているが、成形条件が難しく、
設備が特殊かつ複雑で高価である上、生産性が悪い等の
課題が残されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はそのような実
情に鑑みてなされたもので、熱可塑性樹脂と液晶樹脂を
複合化することにより、液晶フィブリルにより高度に等
方補強された寸法安定性・機械的強度にバランスのとれ
たフィルムを高い生産性のもとに製造することが可能な
液晶樹脂強化等方性フィルムの製造方法を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、液晶樹脂とこの液晶樹脂の液晶転移温度
よりも低い溶融温度を有する熱可塑性樹脂からなる樹脂
組成物を液晶転移温度以上で溶融混練し、その溶融樹脂
組成物を、複数穴のストランドダイまたはTダイから伸
長変形を与えながら押し出して液晶樹脂をフィブリル化
した後、熱可塑性樹脂の溶融温度以上、液晶転移温度以
下の温度で加圧成形するフィルムの製造方法において、
加圧成形する際に、樹脂組成物に一定の剪断変形を与え
ながら加圧成形することにより、フィブリル化した液晶
樹脂をほぼ無配向状態に分散させることによって特徴づ
けられる。
【0009】なお、液晶転移温度とは、液晶樹脂が固体
状態から液晶状態に変わる温度のことをいう。
【0010】本発明において、上記した製造方法によ
り、目的とするフィルム厚みよりも厚いフィルムもしく
はシートを成形した後、熱可塑性樹脂の溶融温度以上、
液晶転移温度以下の温度においてカレンダ加工により溶
融圧延を行ってもよいし、また目的とするフィルム厚み
よりも厚いフィルムもしくはシートを成形した後、熱可
塑性樹脂の溶融温度以下の温度において2軸延伸を行っ
てもよい。
【0011】本発明の製造方法の詳細を以下に説明す
る。
【0012】本発明の製造方法に用いる熱可塑性樹脂
は、液晶樹脂の液晶転移温度以下の融点を有するもので
あれば、特に限定されるものではなく、例えば、ABS
樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、フッ素樹脂、ア
セタール樹脂、アミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル
樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリアクリレート、ポリフェニレンオキシド、ポリ
スチレン、熱可塑性ポリウレタン等が挙げられ、またこ
れらの変性材あるいはブレンド材(アロイ材) 等の溶融
成形可能な樹脂が挙げられる。これらのうち、溶融時に
粘度低下の起こりにくい樹脂、すなわちポリオレフィン
樹脂及びそれらの共重合体等が好ましい。
【0013】熱可塑性樹脂は、必要に応じて、架橋され
たものであってもかまわない。架橋の方法は特に限定さ
れるものではなく、例えば、電子線などの電離性放射線
を照射する電子線架橋法、有機過酸化物を用いた化学架
橋法、またはシラン変性樹脂を用いたシラン架橋法など
を挙げることができる。
【0014】また、架橋の方法としては、極性の熱可塑
性樹脂の分子鎖内及び分子末端に存在する極性置換基を
化学的に連結し、樹脂の粘度を向上させる方法であって
もよい。その具体的な方法は、ポリエステルまたはポリ
アミド系樹脂において、分子末端及び分子鎖中のアミノ
基やカルボキシル基と反応する化合物を添加して架橋す
るという方法が挙げられる。
【0015】上記アミノ基やカルボキシル基等の極性置
換基と反応する化合物としては、カルボン酸無水物及び
多官能エポキシ化合物が好ましいが、そのような極性置
換基と反応する官能基を有する化合物であれば特に限定
はされない。カルボン酸無水物としては、ピロメリット
酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物が特
に好ましい。また、多官能エポキシ化合物としては、 4
官能窒化エポキシ(例えば、三菱瓦斯化学社製のTET
RAD−CまたはD)が特に好ましい。
【0016】本発明の製造方法に用いる液晶樹脂は、上
記熱可塑性マトリックス樹脂の融点より、液晶転移温度
が高いものであれば、特に限定されるものではなく、例
えば熱可塑性液晶ポリエステル、熱可塑性ポリエステル
アミド等が挙げられるが、それらのうち、特に熱可塑性
液晶ポリエステルが好ましく、具体的には商品名ベクト
ラ(ポリプラスチック社製)、スミカスーパー(住友化
学杜製)、ザイダー(Amoco社製)、ロッドラン
(ユニチカ杜製)、ノバキュレート(三菱化学牡製)、
シベラス(東レ社製)等の液晶樹脂として市販されてい
る、全芳香族ポリエステル樹脂や半芳香族ポリエステル
樹脂を挙げることができる。
【0017】熱可塑性樹脂の溶融粘度は、温度290
℃、剪断速度100/secの条件下で測定した値が、
1000〜7000poiseであることが好ましく、
より好ましくは、2000〜6000poiseであ
る。溶融粘度が、1000poiseよりも小さい場合
には、液晶樹脂に剪断応力及び伸長応力を十分に伝達す
ることができず、液晶樹脂がマトリクス樹脂中に十分に
分散しないか、あるいはアスペクト比の高いフィブリル
状にならない。溶融粘度が7000poiseよりも大
きい場合には、熱可塑性樹脂と液晶樹脂の2成分の粘度
差があまりに大きいため、2成分を均一に混合すること
が物理化学的にも困難となる。なお、溶融粘度は、JI
S K 7199及び上記条件に準拠して測定した値で
ある。
【0018】本発明の製造方法において、液晶樹脂と熱
可塑性樹脂の混合樹脂組成物には、液晶樹脂、熱可塑性
樹脂の組成に応じて、互いの相容性を改善するために、
相容化剤を成形前もしくは成形時に添加してもよい。そ
の相容化剤には、例えば、熱可塑性樹脂がオレフィン樹
脂の場合、オレフィン成分とスチレン成分や芳香族ポリ
エステル成分を共重合したもの、マレイン酸成分やアク
リル酸成分を有するオレフィン樹脂、グリシジルメタク
リレート成分を有するオレフィン樹脂共重合体等が挙げ
られる。なお、相容化剤を添加する場合、同じ液晶樹脂
が相容化剤として添加されてもかまわない。また、相容
化剤の添加部数は、混合系の組成・割合に応じて適宜選
択すればよい。
【0019】熱可塑性樹脂に対する液晶樹脂の混合割合
は、0.5〜50重量部、好ましくは1〜25重量部、
より好ましくは3〜20重量部の範囲が適当である。液
晶樹脂の混合割合が0.5重量部未満であると、液晶樹
脂の補強効果が十分に発現できない。また、 50重量部
を超える混合系では、液晶樹脂を熱可塑性樹脂中に均一
に分散することができない。
【0020】また、相容化剤を使用する場合、その混合
割合は、熱可塑性樹脂及び液晶樹脂の混合樹脂組成物1
00重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましい。
0.1重量部未満では、 相容化効果が十分に発現するこ
とができない。また、5重量部を超えると、相容化剤の
混入比率が大きくなるため、相容化剤自体の物性が反映
されやすくなり、結果的に混合樹脂組成物の機械的物性
の低下につながる。なお、相容化剤の種類及び添加部数
は、混合系の組成・割合に応じて適宜選択すればよい。
【0021】そして、本発明の製造方法で製造する液晶
樹脂強化等方性フィルムには、本発明の効果が損なわれ
ない範囲で、難燃剤、充填剤、抗酸化剤、造核剤、顔料
などの添加剤を、必要に応じて配合してもよい。このよ
うな添加剤は広く知られている。例えば、難燃剤として
は、ヘキサブロモビフェノールエーテル、デカブロモジ
フェニルエーテル等の臭素系難燃剤、ポリ燐酸アンモニ
ウム、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェー
ト等の含燐系難燃剤、メラミン誘導体、無機系難燃剤等
がある。
【0022】ここで、本発明の製造方法において、液晶
樹脂と熱可塑性樹脂とを含有する樹脂組成物を液晶樹脂
の転移温度以上の温度で溶融混練する工程は、特に限定
されず、任意の工程を採用することができる。その代表
例を以下に説明する。
【0023】まず、熱可塑性樹脂樹脂と液晶樹脂及び相
容化剤をドライブレンドする。次に混合樹脂組成物を押
出機に供給し、液晶樹脂の液晶転移点以上の温度で溶融
混練する。これにより液晶樹脂がマトリクスである熱可
塑性樹脂中に均一に分散し、その界面接着が良好な液晶
樹脂複合樹脂組成物を得ることができる。このとき溶融
混練する際に与える剪断速度は、1×10-1〜1×10
4 sec-1であることが好ましく、より好ましくは1×
101 〜1×10-1secである。剪断速度が、上記範
囲にない場合には、剪断応力が液晶樹脂に十分に伝達さ
れず、液晶樹脂が微細化されないので、マトリクスであ
る熱可塑性樹脂中に均一に分散しない。なお、相容化剤
の添加のタイミングとしては、熱可塑性樹脂及び液晶樹
脂を溶融混合した後に、逐次的に添加してもよいし、溶
融時に混合しても構わない。
【0024】次いで、以上の溶融混練により得られた溶
融樹脂組成物(混合物)を、複数穴のストランドダイま
たはTダイから押し出すことにより、金型出口付近にて
伸長変形を与えた後、熱可塑性樹脂の融点以上液晶転移
温度以下に冷却することにより、液晶樹脂がフィブリル
状に分散し、熱可塑性樹脂のみが溶融した液晶樹脂複合
物を得る。
【0025】溶融樹脂組成物の押出に用いるTダイ及び
複数穴ストランドダイは、特に限定はされないが、複数
穴ストランドダイとしては、例えば図1〜図3に示すよ
うな放射線状多穴ストランドダイ21、矩形直列多穴ス
トランドダイ22、あるいは矩形3列直列多穴ストラン
ドダイ23を挙げることができる。
【0026】以上の押出工程において、金型出口付近に
て与える伸長変形速度は、1×10 -1〜1×105 se
-1であることが好ましい。より好ましくは1×101
〜1×104 sec-1である。伸長変形速度が、1×1
-1sec-1よりも小さいと、液晶樹脂のアスペクト比
が小さくなって補強効果を示す繊維状にならなず、1×
105 sec-1よりも大きくなると、マトリクスである
熱可塑性樹脂がこの伸長応力に耐えきれず、切れてしま
い、連続的に成形することが困難となる。
【0027】また、溶融樹脂組成物を、熱可塑性樹脂の
融点以上、液晶転移温度以下に冷却する方法は、この温
度領域に制御できれば特に限定はされないが、その一例
として水冷却が挙げられる。
【0028】なお、フィブリル状の液晶樹脂とは、 熱可
塑性樹脂中に分散している液晶樹脂のアスペクト比(分
散長/分散径)が1.5以上の状態であることを示す。
【0029】フィブリル状の液晶樹脂(以下、液晶フィ
ブリルという)のアスペクト比としては、 50〜500
0の範囲が好ましく、より好ましくは100〜3000
の範囲である。アスペクト比が5000よりも大きい
と、マトリクス樹脂中における液晶フィブリル数が少な
くなり、複合体を均一に補強することが困難となる。逆
に、アスペクト比が50未満であると、液晶フィブリル
自体の強度・剛性があまりないため補強効果が小さくな
り、本発明の効果を発現することが困難となる。
【0030】また、液晶フィブリルの径は10μm以下
であることが好ましい。液晶フィブリルの径が10μm
以下であると、複合樹脂組成物中における液晶フィブリ
ルの分散が良好となり、またフィブリル数が多くなるた
め、複合樹脂組成物(フィルム)の表面が良好なものと
なり、また、物性も安定したものとなる。
【0031】本発明の製造方法において、熱可塑性樹脂
のみを溶融した液晶樹脂複合物を、熱可塑性樹脂の融点
以上、液晶転移温度以下の温度で加圧成形しフィルムを
得る加圧工程は、複数穴のストランドから押し出された
ストランドをフィルム化もしくは所望厚みのフィルムを
得ることができれば特に限定はされないが、例えば、ダ
イから押し出された、熱可塑性樹脂のみが溶融した液晶
樹脂複合物を、耐熱性材料からなる上下一対の無端連続
ベルト間に供給し、その外側に設けた加圧機構によって
加圧・融着・一体化してもよいが、図4に示すように、
押出機1によって複数穴のストランドダイ2(またはT
ダイ)から押し出された溶融樹脂組成物を、適宜間隙を
あけて設置された上下一対の加圧ロール3、4間に供給
して加圧冷却しフィルム化する方法を採用することが、
装置的に問題がなく、また生産性が高い点で最も好まし
い。
【0032】この場合、加圧ロールは必要により複数対
設けても構わない。加圧ロールの材質は特に限定されな
いが、溶融樹脂組成物と接着性を持たないものが好まし
い。より好ましくは、ロール表面に、表面抵抗の小さい
Crメッキが施されていることが好ましい。また、加圧
ロールの冷却方法は特に限定はされないが、その一例と
して水冷却が挙げられる。加圧ロールの温度は、30℃
〜熱可塑性樹脂の溶融温度以下であることが好ましい。
加圧ロールの温度が30℃未満であると、溶融樹脂が急
激に冷却され、フィルムの厚み精度・外観等が低下す
る。また、熱可塑性樹脂の溶融温度を超えると、溶融樹
脂と冷却ロールとの剥離が悪い等の理由により連続的に
成形できなくなる。
【0033】本発明の製造方法において、加圧成形する
際に樹脂組成物に与える一定の剪断変形速度は、1×1
-1〜1×102 sec-1であることが好ましい。剪断
変形速度が、1×10-1sec-1よりも小さいと、熱可
塑性樹脂の融点以上、液晶転移温度以下の温度におい
て、マトリクスである溶融した熱可塑性樹脂中に押出及
び伸長変形により一定方向に配向した液晶フィブリルの
配向性を十分に乱すことができない。また剪断変形速度
が、1×102 sec-1よりも大きいと、マトリクス中
の液晶フィブリルを切断及び微細化してしまうため、本
発明の効果を十分に発現できなくなる。
【0034】また、加圧成形の際に剪断変形を与える方
法は特に限定されないが、例えば溶融樹脂組成物を上下
一対の加圧ロール間に供給し加圧冷却してフィルム化す
る際の溶融樹脂組成物の厚み・幅方向への変形により剪
断変形を与える方法、あるいは溶融樹脂組成物の押出速
度よりも遅い線速でロールを回転させることにより、溶
融樹脂組成物をロール上に滞留(バンク)させることに
より剪断変形を与える方法などを挙げることができる。
【0035】特に高強度・高剛性の等方性フィルムを製
造する場合には、以上のようにして得られた樹脂組成物
を、窒素等の不活性ガス流中や真空下で、全芳香族液晶
樹脂のガラス転移温度以上で高温処理することが望まし
い。特に好ましくは200℃以上の高温で処理すること
が望ましい。こうすることにより液晶樹脂は固相重合さ
れ、液晶樹脂は不溶融化する。このような処理により、
等方性フィルムの強度が向上する。
【0036】また、芳香族ポリエステル液晶樹脂の不溶
融化には、末端カルボキシル基と付加反応しうる2官能
性化合物で鎖延長してもかまわない。2官能性化合物と
しては、 オキサゾリン誘導体が好ましい。
【0037】本発明の製造方法において、以上のような
加圧成形により得られたフィルムもしくはシートを、熱
可塑性樹脂の溶融温度以上、液晶転移温度以下の温度に
おいてカレンダ加工により溶融圧延する際に用いるカレ
ンダとしては、図5(a)〜(e)に示すような、逆L
型、Z型、直立2本型、L型あるいは傾斜3本型を挙げ
ることができ、いずれの型式のカレンダを採用しても構
わないが、フィルムの成形では厚み精度が優れたZ型カ
レンダを用いることが好ましい。なお、圧延の際には、
通常、ロールにたわみが生じることがあるが、その補正
方法については、代表的なロールクラウン法、ロールク
ロシング法等が挙げられる。
【0038】溶融圧延する際の温度は、熱可塑性樹脂の
溶融温度以上、液晶転移温度以下の温度であることが好
ましい。液晶転移温度以上であると、液晶フィブリルの
形状が緩和してしまい、十分な補強効果が得られない。
【0039】本発明の製造方法において、加圧成形によ
り得られたフィルムもしくはシートを、熱可塑性樹脂の
溶融温度以下で2軸延伸する工程に用いる延伸装置は、
バッチ型、連続型のいずれでも構わないが、その生産性
から考えると連続型が好ましい。連続型には、テンダー
法またはダブルバブル法があり、テンダー法には、逐次
延伸法と同時延伸法があるが、生産性から考えると同時
延伸法を適用することが好ましい。
【0040】延伸温度は、(熱可塑性樹脂の融点温度−
70℃)〜(熱可塑性樹脂の融点温度−10℃)の範囲
であることが好ましい。延伸温度が(熱可塑性樹脂の融
点温度−10℃)よりも高くなると、熱可塑性樹脂が柔
らかくなりすぎるため、延伸が安定的に行えない。ま
た、(熱可塑性樹脂の融点温度一70℃) よりも低くな
ると、フィルムの白化等による外観不良になる。<作用
>本発明の製造方法の作用を図6を参照しつつ説明す
る。まず、液晶樹脂とこの液晶樹脂の液晶転移温度より
も低い溶融温度を有する熱可塑性樹脂からなる樹脂組成
物を液晶転移温度以上で溶融混練し、その溶融樹脂組成
物を、複数穴のストランドダイまたはTダイから伸長変
形を与えながら押し出すことにより、液晶樹脂はフィブ
リル化する。このように溶融混練・押出を行うことによ
り、溶融した熱可塑性樹脂中に液晶フィブリルが、ほぼ
一軸配向した状態となる。
【0041】次に、溶融伸長変形をかけながら加圧成形
する。この際に樹脂組成物に一定の剪断変形を与えなが
ら加圧−冷却成形することにより、液晶フィブリルはそ
のフィブリル形態を保ったまま無配向状態となって熱可
塑性樹脂中に固定されフィルム化される。その結果とし
て、無配向状態に分散された液晶フィブリルにより、異
方性なく補強された等方性フィルムを成形することがで
きる。
【0042】また、上記した製造方法により、目的とす
るフィルム厚みよりも厚いフィルムもしくはシートを製
造した後、熱可塑性樹脂の溶融温度以上、液晶転移温度
以下の温度でカレンダ加工により溶融圧延することによ
り、溶融した熱可塑性樹脂中に存在する液晶フィブリル
は、その分子鎖が引き延ばされ、これにより配向性が向
上する結果、補強度合いが向上する。さらに、上記した
製造方法により、目的とするフィルム厚みよりも厚いフ
ィルムもしくはシートを製造した後、 熱可塑性樹脂の溶
融温度以下の温度で2軸延伸することによっても、液晶
フィブリルや液晶樹脂分子鎖が引き延ばされる結果、補
強度合いが向上する。
【0043】
【実施例】本発明の実施例を、以下、比較例とともに説
明する。 <実施例1>ポリプロピレン(日本ポリケム社製、商品
名:ノバテックEA9 密度0.9g/cm3 、290
℃−剪断速度100sec-1における溶融粘度5580
poise)80重量部と、全芳香族液晶ポリマー(ポ
リプラスチック社製、商品名:ベクトラA950 液晶
転移温度280℃)20重量部、及び、それらポリプロ
ピレンと全芳香族液晶ポリマーの混合樹脂組成物100
重量部に対して、半芳香族液晶ポリマー2重量部とアク
リル酸変性PP1重量部とをドライブレンドした。
【0044】こうして得られたドライブレンド物を、2
軸の混練押出機(池貝機工社製、商品名:PCM−3
0)で溶融混練し、14穴(直径3mm)の矩形ストラ
ンドダイから押出量14kg/hで押し出した後、ブロ
ワーにより冷却し、2本の加圧ロール(ロール間隙15
0μm、圧力10kg/cm2 、ロール温度40℃、線
速10m/min)により冷却することにより、厚み1
50μmのフィルムを得た。ただし、成形時のバレル温
度及び金型温度はともに290℃に設定した。なお、ダ
イから押し出された溶融樹脂組成物は、フィルム状に成
形される際に厚み・幅方向へ加圧され、その際に16s
ec-1の剪断変形を受けていた。
【0045】得られたフィルムを押出方向(MD)と押
出垂直方向(TD)に冷凍破断し、破断面を走査型電子
顕微鏡で観察したところ、フィルム内のほとんどの液晶
樹脂はフィルブル化していた。また、液晶フィブリル
は、MD方向及びTD方向の双方に配向していた。
【0046】以上の実施例1で得られたフィルムについ
て、以下の項目の評価を行った。その評価結果を下記の
表1に示す。 [機械的物性評価]得られた液晶ポリマー/ポリプロピ
レン複合フィルムを、幅10mm、長さ150mmにカ
ットした後、スパン(引張つかみ間距離)80mm、歪
み速度10mm/minにて引張試験を行って引張強度
と引張弾性率を測定した。ただし、引張試験の測定方向
は、押出方向(MD)と押出垂直方向(TD)の2方向
とした。その測定結果を下記の表1に示す。 [線膨張率評価]得られた液晶ポリマー/ポリプロピレ
ン複合フィルムを、150mm×150mm×0.15
mmにカットした後に恒温槽に入れ、雰囲気温度を5℃
(T1 )から80℃(T2 )に昇温し、5℃の状態の長
さL1と、80℃の状態の長さL2における液晶フィブ
リル配向方向の寸法変化を測定し、その長さの変化率を
温度差及び試料の初期長さL0 で割ることにより線膨張
率を求めた。
【0047】線膨張率(α)=((L2 −L1 )/L0
)/(T2 −T1 ) ただし、測定方向は、押出方向(MD)と押出垂直方向
(TD)の2方向とした。その測定結果を下記の表1に
示す。 <実施例2>ポリプロピレン(日本ポリケム社製、商品
名:ノバテックEA9 密度0.9g/cm3 、290
℃−剪断速度100sec-1における溶融粘度5580
poise)80重量部と、全芳香族液晶ポリマー(ポ
リプラスチック社製、商品名:ベクトラA950 液晶
転移温度280℃)20重量部、及び、それらポリプロ
ピレンと全芳香族液晶ポリマーとの混合樹脂組成物10
0重量部に対して、半芳香族液晶ポリマー2重量部とア
クリル酸変性PP1重量部とをドライブレンドした。
【0048】こうして得られたドライブレンド物を、2
軸の混練押出機(池貝機工社製、商品名:PCM−3
0)で溶融混練し、ダイリップ200μmのTダイから
押出量14kg/hで押し出した後、ブロワーにより冷
却し、2本の加圧ロール(ロール間隙150μm、圧力
10kg/cm2 、ロール温度40℃、線速22m/m
in)にて冷却することにより、厚み150μmフィル
ムを得た。ただし、成形時のバレル温度及び金型温度は
ともに290℃に設定した。なお、ダイから押し出され
た溶融樹脂組成物は、フィルム状に成形される際に厚み
・幅方向へ加圧され、その際に10sec-1の剪断変形
を受けていた。
【0049】得られたフィルムを押出方向(MD)と押
出垂直方向(TD)に冷凍破断し、破断面を走査型電子
顕微鏡で観察したところ、フィルム内のほとんどの液晶
樹脂はフィルブル化していた。また、液晶フィブリル
は、MD方向及びTD方向の双方に配向していた。
【0050】以上の実施例2で得られたフィルムについ
て、実施例1と同じ評価を行った。その評価結果を下記
の表1に示す。 <実施例3>ポリプロピレン(日本ポリケム社製、商品
名:ノバテックEA9 密度0.9g/cm3 、290
℃−剪断速度100sec-1における溶融粘度5580
poise)80重量部と、全芳香族液晶ポリマー(ポ
リプラスチック社製、商品名:ベクトラA950 液晶
転移温度280℃)20重量部、及び、それらポリプロ
ピレンと全芳香族液晶ポリマーとの混合樹脂組成物10
0重量部に対して、半芳香族液晶ポリマー2重量部とア
クリル酸変性PP1重量部とをドライブレンドした。
【0051】こうして得られたドライブレンド物を、2
軸の混練押出機(池貝機工社製、商品名:PCM−3
0)で溶融混練し、14穴(直径3mm)の矩形ストラ
ンドダイから押出量14kg/hで押し出した後、ブロ
ワーにより冷却し、2本の加圧ロール(ロール間隙30
0μm、圧力10kg/cm2 、ロール温度40℃、線
速5m/min)にて冷却することにより、厚み300
μmのフィルムを得た。ただし、成形時のバレル温度及
び金型温度はともに290℃に設定した。なお、ダイか
ら押し出された溶融樹脂組成物は、フィルム状に成形さ
れる際に厚み・幅方向へ加圧され、その際に8.0se
-1の剪断変形を受けていた。
【0052】得られたフィルムを押出方向(MD)と押
出垂直方向(TD)に冷凍破断し、破断面を走査型電子
顕微鏡で観察したところ、フィルム内のほとんどの液晶
樹脂はフィルブル化していた。また、液晶フィブリル
は、MD方向及びTD方向の双方に配向していた。
【0053】そして、以上の300μm厚みのフィルム
を、図7に示すように、Z型カレンダ5を用いて170
℃でカレンダ加工することにより、厚み150μmのフ
ィルムを得た。得られたフィルムについて、実施例1と
同じ評価を行った。その評価結果を下記の表1に示す。 <実施例4>ポリプロピレン(日本ポリケム社製、商品
名:ノバテックEA9 密度0.9g/cm3 、290
℃−剪断速度100sec-1における溶融粘度5580
poise)80重量部と、全芳香族液晶ポリマー(ポ
リプラスチック社製、商品名:ベクトラA950 液晶
転移温度280℃)20重量部、及び、それらポリプロ
ピレンと全芳香族液晶ポリマーとの混合樹脂組成物10
0重量部に対して、半芳香族液晶ポリマー2重量部とア
クリル酸変性PP1重量部とをドライブレンドした。
【0054】こうして得られたドライブレンド物を、2
軸の混練押出機(池貝機工社製、商品名:PCM−3
0)で溶融混練し、14穴(直径3mm)の矩形ストラ
ンドダイから押出量14kg/hで押し出した後、ブロ
ワーにより冷却し、2本の加圧ロール(ロール間隙30
0μm、圧力10kg/cm2 、ロール温度40℃、線
速4m/min)にて冷却することにより、厚み300
μmのフィルムを得た。ただし、成形時のバレル温度及
び金型温度はともに290℃に設定した。なお、ダイか
ら押し出された溶融樹脂組成物は、フィルム状に成形さ
れる際に厚み・幅方向へ加圧され、その際に8.0se
-1の剪断変形を受けていた。
【0055】得られたフィルムを押出方向(MD)と押
出垂直方向(TD)に冷凍破断し、破断面を走査型電子
顕微鏡で観察したところ、フィルム内のほとんどの液晶
樹脂はフィルブル化していた。また、液晶フィブリル
は、MD方向及びTD方向の双方に配向していた。
【0056】そして、以上の300μm厚みのフィルム
を、図8に示すように、テンダー型2軸同時延伸装置6
を用いて120℃の温度で、押出方向(MD)と押出垂
直方向(TD)に、それぞれ1.5倍に同時2軸延伸し
て、厚み150μmのフィルムを得た。得られたフィル
ムについて、実施例1と同じ評価を行った。その評価結
果を下記の表1に示す。 <実施例5>ポリプロピレン(日本ポリケム社製、商品
名:ノバテックEA9 密度0.9g/cm3 、290
℃−剪断速度100sec-1における溶融粘度5580
poise)80重量部と、全芳香族液晶ポリマー(ポ
リプラスチック社製、商品名:ベクトラA950 液晶
転移温度280℃)20重量部、及び、それらポリプロ
ピレンと全芳香族液晶ポリマーとの混合樹脂組成物10
0重量部に対して、半芳香族液晶ポリマー2重量部とア
クリル酸変性PP1重量部とをドライブレンドした。
【0057】こうして得られたドライブレンド物を、2
軸の混練押出機(池貝機工社製、商品名:PCM−3
0)で溶融混練し、14穴(直径3mm)の矩形ストラ
ンドダイから押出量14kg/hで押し出した後、ブロ
ワーにより冷却し、2本の加圧ロール(ロール間隙60
0μm、圧力10kg/cm2 、ロール温度40℃、線
速2m/min)にて冷却することにより、厚み600
μmのフィルムを得た。ただし、成形時のバレル温度及
び金型温度はともに290℃に設定した。なお、ダイか
ら押し出された溶融樹脂組成物は、フィルム状に成形さ
れる際に厚み・幅方向へ加圧され、その際に4.0se
-1の剪断変形を受けていた。
【0058】得られたフィルムを押出方向(MD)と押
出垂直方向(TD)に冷凍破断し、破断面を走査型電子
顕微鏡で観察したところ、フィルム内のほとんどの液晶
樹脂はフィルブル化していた。また、液晶フィブリル
は、MD方向及びTD方向の双方に配向していた。
【0059】そして、以上の600μm厚みのフィルム
を、図9に示すように、Z型カレンダ5を用いて170
℃の温度でカレンダ加工することにより、厚み300μ
mのフィルムを得た。次いで300μm厚みのフィルム
を、テンダー型2軸同時延伸装置6を用いて120℃の
温度で、押出方向(MD)と押出垂直方向(TD)にそ
れぞれ1.5倍に同時2軸延伸して、厚み150μmの
フィルムを得た。得られたフィルムについて、実施例1
と同じ評価を行った。その評価結果を下記の表1に示
す。 <比較例1>液晶樹脂を用いなかったこと以外は、実施
例1と同じとして、フィルムを成形した。 <比較例2>ポリプロピレン(日本ポリケム社製、商品
名:ノバテックEA9 密度0.9g/cm3 、290
℃−剪断速度100sec-1における溶融粘度5580
poise)80重量部と、全芳香族液晶ポリマー(ポ
リプラスチック社製、商品名:ベクトラA950 液晶
転移温度280℃)20重量部、及び、それらポリプロ
ピレンと全芳香族液晶ポリマーとの混合樹脂組成物10
0重量部に対して、半芳香族液晶ポリマー2重量部とア
クリル酸変性PP1重量部とをドライブレンドした。
【0060】こうして得られたドライブレンド物を、2
軸の混練押出機(池貝機工社製、商品名:PCM−3
0)で溶融混練し、ダイリップ150μmのTダイから
押出量14kg/hで押し出した後、ブロワーにより冷
却し、2本の加圧ロール(ロール間隙150μm、圧力
10kg/cm2 、ロール温度40℃、線速32m/m
in)により冷却することにより、厚み150μmのフ
ィルムを得た。なお、ダイから押し出された溶融樹脂組
成物は、フィルム状に成形される際には、ほんど剪断変
形を受けていなかった。
【0061】得られたフィルムを押出方向(MD)と押
出垂直方向(TD)に冷凍破断し、破断面を走査型電子
顕微鏡で観察したところ、フィルム内のほとんどの液晶
樹脂はフィブリル化していたが、そのほとんどの液晶フ
ィブリルは、MD方向のみに配向していた。得られたフ
ィルムについて、実施例1と同じ評価を行った。その評
価結果を下記の表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】以上の表1に示す評価結果から明らかなよ
うに、実施例1、2では、液晶フィブリルは、無配向状
態に近づいているため、比較例2と比較すると異方性は
解消されていることがわかる。また、実施例3、4で
は、実施例1、2と比較して、液晶フィブリルの配向度
が向上しているので、機械的物性・寸法安定性のバラン
スのとれた高い物性のフィルムが得られている。
【0064】さらに実施例5においては、カレンダ加工
による溶融圧延に加えて、2軸延伸を行っているので、
液晶フィブリルは無配向状態であり、しかも、そのフィ
ブリルの配向が実施例3、4と比較して向上しているた
め、異方性が解消された高い物性のフィルムが得られて
いる。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
液晶樹脂とこの液晶樹脂の液晶転移温度よりも低い溶融
温度を有する熱可塑性樹脂からなる樹脂組成物を液晶転
移温度以上で溶融混練し、その溶融樹脂組成物を、複数
穴のストランドダイまたはTダイから伸長変形を与えな
がら押し出して液晶樹脂をフィブリル化した後、熱可塑
性樹脂の溶融温度以上、液晶転移温度以下の温度で加圧
成形するフィルムの製造方法において、加圧成形する際
に、樹脂組成物に一定の剪断変形を与えながら加圧成形
することにより、フィブリル化した液晶樹脂をほぼ無配
向状態に分散させているので、その液晶フィブリルによ
り高度に等方補強され寸法安定性・機械的強度にバラン
スのとれた高物性の等方性フィルムを高い生産性をもっ
て製造することができる。従って、本発明の製造方法で
製造された液晶樹脂強化等方性フィルムは、自動車関連
部材及び住宅関連部材等の各種高機能面材として好適に
用いることができる。
【0066】ここで、上記した製造方法により、目的と
するフィルム厚みよりも厚いフィルムもしくはシートを
製造した後、熱可塑性樹脂の溶融温度以上液晶転移温度
以下の温度において、カレンダ加工により溶融圧延する
ことにより、溶融した熱可塑性樹脂中における液晶フィ
ブリルは、その分子鎖が引き延ばされ、これにより配向
性が向上する結果、補強度合いが向上する。また、上記
した製造方法により、目的とするフィルム厚みよりも厚
いフィルムもしくはシートを製造した後、 熱可塑性樹脂
の溶融温度以下において2軸延伸することによっても、
液晶フィブリルや液晶樹脂の分子鎖が引き延ばされる結
果、 補強度合いが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法に用いる放射線状多穴ストラ
ンドダイの例を模式的に示す正面図である。
【図2】本発明の製造方法に用いる矩形直列多穴ストラ
ンドダイの例を模式的に示す正面図である。
【図3】本発明の製造方法に用いる矩形3列直列多穴ス
トランドダイの例を模式的に示す正面図である。
【図4】本発明の製造方法を実施するのに用いる装置の
概略構成図である。
【図5】本発明の製造方法に用いるカレンダの例(5型
式)を模式的に示す図である。
【図6】本発明の製造方法の作用説明図である。
【図7】本発明の実施例3で用いた装置の概略構成図で
ある。
【図8】本発明の実施例4で用いた装置の概略構成図で
ある。
【図9】本発明の実施例5で用いた装置の概略構成図で
ある。
【符号の説明】
1 押出機 2 複数穴のストランドダイ(またはTダイ) 3,4 加圧ロール 5 Z型カレンダ 6 テンダー型2軸同軸延伸装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101/00 C08L 101/00 101/12 101/12 // B29K 67:00 B29K 67:00 101:12 101:12 B29L 7:00 B29L 7:00 Fターム(参考) 4F071 AA14 AA15X AA22 AA24 AA26 AA28X AA32 AA40 AA43 AA48 AA50 AA51 AA53 AA54 AA57 AA77 AA80 BB04 BB06 BB08 BC01 4F204 AA11 AA24 AA26 AC07 AE01 AG01 FA07 FB02 FF01 FG01 FN22 4F207 AA11 AA24 AA26 AC07 AE01 AG01 KA01 KA17 KF01 KK04 KL64 KW41 4F210 AA11 AA24 AA26 AC07 AE01 AG01 QA02 QC05 QD13 QG01 QG18 4J002 AA011 BB011 BB061 BC031 BD031 BD121 BF031 BG001 BN151 CB001 CF001 CF162 CF182 CG001 CH071 CK021 CL001 CL082 FD010 FD070 FD090 FD130 FD200

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶樹脂とこの液晶樹脂の液晶転移温度
    よりも低い溶融温度を有する熱可塑性樹脂からなる樹脂
    組成物を液晶転移温度以上で溶融混練し、その溶融樹脂
    組成物を、複数穴のストランドダイまたはTダイから伸
    長変形を与えながら押し出して液晶樹脂をフィブリル化
    した後、熱可塑性樹脂の溶融温度以上、液晶転移温度以
    下の温度で加圧成形するフィルムの製造方法において、
    加圧成形する際に、樹脂組成物に一定の剪断変形を与え
    ながら加圧成形することにより、フィブリル化した液晶
    樹脂をほぼ無配向状態に分散させることを特徴とする液
    晶樹脂強化等方性フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の製造方法により、目的と
    するフィルム厚みよりも厚いフィルムもしくはシートを
    成形した後、熱可塑性樹脂の溶融温度以上、液晶転移温
    度以下の温度においてカレンダ加工により溶融圧延する
    ことを特徴とする液晶樹脂強化等方性フィルムの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の製造方法によ
    り、目的とするフィルム厚みよりも厚いフィルムもしく
    はシートを成形した後、熱可塑性樹脂の溶融温度以下の
    温度において2軸延伸することを特徴とする液晶樹脂強
    化等方性フィルムの製造方法。
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