JP2001179472A - マルテンサイト系ステンレスレーザ溶接鋼管の製造方法 - Google Patents

マルテンサイト系ステンレスレーザ溶接鋼管の製造方法

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雅仁 鈴木
Kenichi Iwasaki
謙一 岩崎
Yukio Sekine
幸夫 関根
Shuichi Kusaka
修一 日下
Kuniyasu Oishi
邦保 大石
Akio Sato
昭夫 佐藤
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    • B23K2103/00Materials to be soldered, welded or cut
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    • B23K2103/04Steel or steel alloys
    • B23K2103/05Stainless steel

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Abstract

(57)【要約】 【課題】この発明は、マルテンサイト系ステンレス鋼の
レーザ溶接鋼管を溶接品質に優れ、生産性良く製造する
方法を提供する。 【解決手段】マルテンサイト系ステンレス鋼板(板厚t
mm)をロール成形によりオープンパイプに成形し、高
周波加熱法(予熱電力E・IkW)により、前記オープ
ンパイプの両エッジ部を加熱後、下記(1)、(2)式
を満たす条件でレーザ(出力P、速度vm/min)で
照射し、その後、0.35SEC以内にスクイズロール
にてアップセットを行なう。 0.5≦P・exp{(250+E・I)/500}/
v・t (1) レーザ照射位置X(mm):0.7Xa≦X≦1.3X
a (2) 但し、Xa=(20+E・I/15+5U)/exp
(0.5α)、α:V角(°)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、レーザ溶接によ
るマルテンサイト系ステンレス鋼管の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】マルテンサイト系ステンレス鋼管の製造
方法として、特開平4−268019号等でプレス製管
方法、熱間圧延方法、UO成形法、電縫溶接法およびス
パイラル成形法が提案されているが、プレス製管方法、
熱間圧延方法、UO成形法、およびスパイラル成形法で
は生産性が低く、電縫溶接法ではマルテンサイト系ステ
ンレス鋼の場合、シーム接合面にペネトレータと呼ばれ
る酸化物が形成され易く品質上問題であった。
【0003】一方、高能率、高品質な鋼管の製造方法と
して、特開平8−309428号等で低合金鋼を対象に
レーザ溶接の適用が提案されているが、マルテンサイト
系ステンレス鋼管に適用し得るものとは言い難かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はマルテンサイ
ト系ステンレス鋼を対象に、生産性が良く、溶接品質に
優れたレーザ溶接鋼管の製造法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者らはマルテンサイト系ステンレス鋼を用い
て多数のレーザ溶接鋼管を実験製造し、溶接部凝固割れ
等溶接欠陥を防止し、且つ生産性良くレーザ溶接が可能
となる製造条件を把握した。
【0006】すなわち本発明は 1.マルテンサイト系ステンレス鋼板のレーザ溶接によ
る鋼管の製造方法において、前記鋼板を成形ロールで円
筒状のオープンパイプとし、前記オープンパイプの両エ
ッジ部を、下記(1)式を満足する条件で、高周波加熱
法により予熱後、下記(2)、(3)、(4)式を満足
する条件でレーザ照射し、下記(5)式を満足する条件
でスクイズロールにて加圧することを特徴とするマルテ
ンサイト系ステンレスレーザ溶接鋼管の製造方法。
【0007】 90≦E・I≦250 (1) 0.7Xa≦X≦1.3Xa (2) 但し、Xa=(20+E・I/15+5U)/exp(0.5α) v≧0.17X (3) 0.5≦P・exp{(250+E・I)/500}/v・t (4) 0.1≦U≦1.0 (5) E:高周波加熱電圧(kV) I:高周波加熱電流(A) U:スクイズロールでのアップセット量(mm) α:V角(°)予熱前のスクイズロール中心点より40
mm以内での鋼板エッジ部開口部角度 X:レーザ照射位置(mm)スクイズロール中心点から
上流側への距離 P:レーザ出力(kW) v:溶接速度(m/min) t:板厚(mm)
【0008】
【発明の実施の形態】図1は本発明のレーザ溶接管の製
造方法を模式的に示すもので、マルテンサイト系ステン
レス鋼板を円筒状のオープンパイプ1とし、前記オープ
ンパイプの両エッジ部5を、高周波加熱法2により予熱
後、V角6を用いて求めた位置にレーザ照射3し、スク
イズロール4にて加圧する。本発明ではマルテンサイト
系ステンレス鋼の材質および鋼管寸法は特に規定しない
が、低CでNi,Mo等を含有する13%Crマルテン
サイト系ステンレス鋼で板厚2mm〜12mm,外径3
1.8mm〜660.4mmの鋼管の製造で特に好まし
い結果が得られる。
【0009】本発明の製造条件について詳細に説明す
る。
【0010】(1) 高周波加熱電力E・I(kW):
90≦E・I≦250(E:高周波加熱電圧(kV)、
I:高周波加熱電流(A)) 予熱に用いる高周波加熱の電力E・I(kW)が90k
W未満の場合、予熱の効果が不足し、溶接速度が遅くな
るため生産性が低下する。一方、250kWを超えると
入熱が過大となり、突き合わせエッジ面が著しく酸化を
受け溶接品質を損ない、かつエッジ表面の溶融等が発生
し、エッジ面形状が維持できなくなり安定したレーザ溶
接が維持できない。尚、エッジ面としては両エッジ面突
き合わせ後、I型となる形状が望ましい。
【0011】(2) レーザ照射位置X(mm):0.
7Xa≦X≦1.3Xa 但し、Xa=(20+E・I/15+5U)/exp
(0.5α) 本発明ではレーザ照射位置を規定する。Xaは最適なレ
ーザ照射位置を示し、エッジ突き合わせ部に僅かなギャ
ップが生じている状態の位置で、高周波予熱による入熱
とスクイズロールによるアップセット量の影響を受け
る。本発明者らの多数の実験の結果、E.I,U,αの
関係式として求められた。
【0012】式中、αはスクイズロール中心から上流側
40mm以内でのエッジ開口角として求められるもの
で、電縫鋼管の製造において一般に用いられているVシ
ェープ角(フィンパスロールもしくはシームガイドロー
ルカリバー、フィンパスロールもしくはシームガイドロ
ールフィン、スクイズロール胴径、及びフィンパスロー
ルもしくはシームガイドロール中心とスクイズロール中
心もしくはV収束点の距離により決まるVシェープ角)
とは相違するものである。
【0013】実操業におけるレーザ照射位置Xは品質上
許容される0.7Xa≦X≦1.3Xaの範囲とする。
スクイズロール中心から1.3Xaを超える位置では、
突き合わせ部のギャップが広すぎ、レーザが突き抜け、
溶接欠陥を生じる場合がある。
【0014】一方、0.7Xa未満の位置ではギャップ
がなく、予熱、スクイズアップセットの影響でエッジ部
近傍の増肉が大きく、内面側の溶融が不十分なところが
発生する。尚、最適照射位置Xa,照射位置Xはスクイ
ズロール中心から上流側への距離とする。
【0015】 (3) 溶接速度v(m/min):v≧0.17X 本発明者らは多数の実験結果から、マルテンサイト系ス
テンレス鋼のレーザ溶接部凝固割れがレーザ照射からス
クイズロールでのアップセットまでの時間を0.35s
ec以内とした場合、防止できることを知見した。従っ
て、前述のレーザ照射位置X(mm)と上記知見より溶
接速度v(m/min)は0.17X以上としなければ
ならない。
【0016】(4) 0.5≦P・exp{(250+
E・I)/500}/v・t 本パラメータはレーザ照射による溶け込み状況を決定す
るもので、レーザ出力P(kW)、高周波予熱電力E・
I(kW)、溶接速度v(m/min)、鋼板厚t(m
m)より構成され、0.5未満の場合、溶け込み不足を
生じるため、0.5以上とする。一方、本パラメータよ
り、レーザ出力を設備能力の最大値とし、溶接速度を健
全な溶接部が得られる範囲において最速値に設定するこ
とが可能である。
【0017】(5) アップセット量U(mm):0.
1≦U≦1.0 スクイズロールでのアップセット量は、0.1mm未満
の場合、レーザ照射による溶融金属中にブローホールが
残存する恐れがあり、また、溶接後、ビードを研削した
際、アンダーカットが生成され易い。一方、1.0mm
を超えるとメタルフローの立ち上がり角度が大きくな
り、ビード切削後フッククラック等の欠陥が生じやすく
なるため、0.1≦U≦1.0(mm)とする。
【0018】本発明によれば生産性良く、溶接品質に優
れたマルテンサイト系ステンレス鋼のレーザ溶接鋼管の
製造が可能であるが、開先面の錆等が原因で発生するガ
スが溶融金属中に残存し、スクイズロールでのアップセ
ットにより、ブローホールとなる恐れが皆無とは言え
ず、切削することが好ましい。
【0019】
【実施例】 表1に示す化学成分の熱延鋼板を用い、外
径273.0mm管厚6.2mm,外径168.3mm
管厚5.0mm,外径406.4mm管厚9.5mmの
3種類の鋼管を表2に示す条件でレーザ溶接し、その
後、溶接部全長20mを放射線透過試験(JISZ31
04),超音波探傷試験(JISG0582)により検
査した。表2に試験結果を示す。
【0020】放射線透過試験結果はブローホールが0.
4mm径以下で5個未満のものをA、0.4mm径以下
で5個以上10個未満のもの、0.8mm径以下で5個未
満のものをB、0.4mm径以下で10個以上のもの、
0.8mm以下で5個以上10個未満のものをC、0.
8mm径以下で10個以上のもの、0.8mm径超えの
ブローホールがあるもの、割れがあるもの、溶け込み不
足があるものをDとした。
【0021】超音波探傷試験結果は1.6mm径のドリ
ルホールの人工欠陥に対し、ピーク指示高さが10%以
下のものをA、20%以下のものをB、40%以下のも
のをC、40%超えのものをDとした。本発明により製
造された鋼管の溶接部品質が非常に優れていることが確
認された。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
レーザ溶接により、溶接品質に優れたマルテンサイト系
ステンレス鋼管を生産性良く製造することが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザ溶接管の製造方法を模式的に示
す図
【符号の説明】
1…オープンパイプ 2…予熱用高周波電源 3…レーザビーム 4…スクイズロール 5…突合わせエッジ部 6…V角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 関根 幸夫 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 日下 修一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 大石 邦保 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 佐藤 昭夫 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4E068 AA02 AJ03 BC02 BG01 DA15 DB01

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マルテンサイト系ステンレス鋼板のレー
    ザ溶接による鋼管の製造方法において、前記鋼板を成形
    ロールで円筒状のオープンパイプとし、前記オープンパ
    イプの両エッジ部を、下記(1)式を満足する条件で、
    高周波加熱法により予熱後、下記(2)、(3)、
    (4)式を満足する条件でレーザ照射し、下記(5)式
    を満足する条件でスクイズロールにて加圧することを特
    徴とするマルテンサイト系ステンレスレーザ溶接鋼管の
    製造方法。 90≦E・I≦250 (1) 0.7Xa≦X≦1.3Xa (2) 但し、Xa=(20+E・I/15+5U)/exp(0.5α) v≧0.17X (3) 0.5≦P・exp{(250+E・I)/500}/v・t (4) 0.1≦U≦1.0 (5) E:高周波加熱電圧(kV) I:高周波加熱電流(A) U:スクイズロールでのアップセット量(mm) α:V角(°)予熱前のスクイズロール中心点より40
    mm以内での鋼板エッジ部開口部角度 X:レーザ照射位置(mm)スクイズロール中心点から
    上流側への距離 P:レーザ出力(kW) v:溶接速度(m/min) t:板厚(mm)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011115852A (ja) * 2009-10-30 2011-06-16 Jfe Steel Corp レーザ溶接鋼管の製造方法

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