JPH0971837A - 耐炭酸ガス腐食性に優れた電縫管及びその製造方法 - Google Patents
耐炭酸ガス腐食性に優れた電縫管及びその製造方法Info
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- JPH0971837A JPH0971837A JP7245259A JP24525995A JPH0971837A JP H0971837 A JPH0971837 A JP H0971837A JP 7245259 A JP7245259 A JP 7245259A JP 24525995 A JP24525995 A JP 24525995A JP H0971837 A JPH0971837 A JP H0971837A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 炭酸ガス腐食環境下において優れた耐全面腐
食性を有し、また、溶接部の選択腐食も起こさない電縫
管及びその製造方法を提供することにある。 【解決手段】 主成分(重量%)として、C:0.2%
以下、Si:0.5%以下、Mn:2%以下、Al:
0.08%以下、Cr:0.2%〜3%を含有し、残部
が実質的にFeからなり、電縫溶接部に溶融凝固組織を
有している。また、製造方法は、(a)上記成分からな
る鋼板を用意する工程と、(b)前記鋼板をオ−プンパ
イプに成形する工程と、(c)前記オ−プンパイプの相
対する両エッジ部を鋼の溶融温度以下に加熱する工程
と、(d)前記オ−プンパイプの相対する両エッジ部を
レ−ザ−ビームを照射して溶融すると共に、アップセッ
トする工程を備えた電縫管の製造方法である。
食性を有し、また、溶接部の選択腐食も起こさない電縫
管及びその製造方法を提供することにある。 【解決手段】 主成分(重量%)として、C:0.2%
以下、Si:0.5%以下、Mn:2%以下、Al:
0.08%以下、Cr:0.2%〜3%を含有し、残部
が実質的にFeからなり、電縫溶接部に溶融凝固組織を
有している。また、製造方法は、(a)上記成分からな
る鋼板を用意する工程と、(b)前記鋼板をオ−プンパ
イプに成形する工程と、(c)前記オ−プンパイプの相
対する両エッジ部を鋼の溶融温度以下に加熱する工程
と、(d)前記オ−プンパイプの相対する両エッジ部を
レ−ザ−ビームを照射して溶融すると共に、アップセッ
トする工程を備えた電縫管の製造方法である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は炭酸ガスを含む石油
や天然ガスを輸送するパイプライン用鋼管等の、炭酸ガ
スを含む湿潤環境下において優れた耐食性を有する電縫
管及びその製造方法に関する。
や天然ガスを輸送するパイプライン用鋼管等の、炭酸ガ
スを含む湿潤環境下において優れた耐食性を有する電縫
管及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭酸ガスを含む石油や天然ガスを輸送す
るパイプラインに用いられる鋼管は、炭酸ガスを含む湿
潤環境に曝されるため、その内面が全面腐食を起こすこ
とが知られている。この腐食環境下における耐食性の向
上を目指したものとして、特開平4−341540号公
報には0.5%程度のCr添加鋼が開示されており、優
れた耐食性を持つ継目無鋼管やアーク溶接により製造す
るUOE鋼管が得られている。
るパイプラインに用いられる鋼管は、炭酸ガスを含む湿
潤環境に曝されるため、その内面が全面腐食を起こすこ
とが知られている。この腐食環境下における耐食性の向
上を目指したものとして、特開平4−341540号公
報には0.5%程度のCr添加鋼が開示されており、優
れた耐食性を持つ継目無鋼管やアーク溶接により製造す
るUOE鋼管が得られている。
【0003】ところで、鋼管の製造上からは、上記の継
目無鋼管及びその製造方法は鋼管の外径に対して肉厚の
厚い場合に適しており、UOE鋼管は外径の大きい鋼管
の製造に適した方法である。UOE鋼管より小径で、継
目無鋼管より肉厚/外径が小さい鋼管の製造方法として
は、鋼帯を連続的に成形してオ−プンパイプとし、その
相対するエッジ部を加熱して溶接して製管する方法があ
る。
目無鋼管及びその製造方法は鋼管の外径に対して肉厚の
厚い場合に適しており、UOE鋼管は外径の大きい鋼管
の製造に適した方法である。UOE鋼管より小径で、継
目無鋼管より肉厚/外径が小さい鋼管の製造方法として
は、鋼帯を連続的に成形してオ−プンパイプとし、その
相対するエッジ部を加熱して溶接して製管する方法があ
る。
【0004】この方法は電縫溶接法と言われており、こ
の方法は他の溶接鋼管の製造法に比較して、高能率であ
るという長所を有しているため、機械構造用鋼管等の用
途に多用されている。なお、溶接部の加熱方法には高周
波加熱又は抵抗加熱が用いられている。
の方法は他の溶接鋼管の製造法に比較して、高能率であ
るという長所を有しているため、機械構造用鋼管等の用
途に多用されている。なお、溶接部の加熱方法には高周
波加熱又は抵抗加熱が用いられている。
【0005】しかしながら、この電縫溶接法は本質的に
微小な溶接欠陥が発生しやすい溶接方法であり、耐食性
の要求の厳しい用途には不向きとされてきた。図1
(a)に従来の電縫管の溶接部の金属組織の写真を示す
が、溶接部全体にアップセットによる斜めの集合組織が
観察される。
微小な溶接欠陥が発生しやすい溶接方法であり、耐食性
の要求の厳しい用途には不向きとされてきた。図1
(a)に従来の電縫管の溶接部の金属組織の写真を示す
が、溶接部全体にアップセットによる斜めの集合組織が
観察される。
【0006】このような電縫管の耐食性が劣っているも
っとも大きな理由は、上記写真が示すように、その溶接
部が通常の溶融溶接と、圧接の中間とも言える状態であ
り、接合部に明瞭な溶融プ−ルが形成されず、従って溶
接時に酸化により形成される介在物が鋼の内部から排出
されにくく、連続して残存するためとされている。
っとも大きな理由は、上記写真が示すように、その溶接
部が通常の溶融溶接と、圧接の中間とも言える状態であ
り、接合部に明瞭な溶融プ−ルが形成されず、従って溶
接時に酸化により形成される介在物が鋼の内部から排出
されにくく、連続して残存するためとされている。
【0007】そのため、溶接時にオ−プンパイプにアプ
セットを行い、上記の介在物等を可能な限り外部に排出
しようとすることが試みられているが、その結果、溶接
部近傍のメタルフロ−が立ち上がり、言わば、鋼板の圧
延時の断面(圧延時の表面に比較して耐食性が劣る)が
管の内外表面に現われることになり、その部分で腐食が
進行する現象が発生する。
セットを行い、上記の介在物等を可能な限り外部に排出
しようとすることが試みられているが、その結果、溶接
部近傍のメタルフロ−が立ち上がり、言わば、鋼板の圧
延時の断面(圧延時の表面に比較して耐食性が劣る)が
管の内外表面に現われることになり、その部分で腐食が
進行する現象が発生する。
【0008】また、酸化物を完全に排出することは不可
能であり、その相当量が残留し、この酸化物もビードが
研削されると当然鋼管の表面に現れ、耐食性を劣化させ
る。本発明の鋼管の使用の目的である炭酸ガス腐食環境
下においてもこのメタルフロ−の立ち上がりや、介在物
の存在が極めて有害であることは言うまでもない。
能であり、その相当量が残留し、この酸化物もビードが
研削されると当然鋼管の表面に現れ、耐食性を劣化させ
る。本発明の鋼管の使用の目的である炭酸ガス腐食環境
下においてもこのメタルフロ−の立ち上がりや、介在物
の存在が極めて有害であることは言うまでもない。
【0009】この問題を解決するための対策も、もちろ
ん検討されている。例えば特開昭63−24116号公
報には非酸化性ガスで電縫部をシ−ルドして電縫溶接を
行い、電縫部の欠陥を減少させる方法が提案されてい
る。
ん検討されている。例えば特開昭63−24116号公
報には非酸化性ガスで電縫部をシ−ルドして電縫溶接を
行い、電縫部の欠陥を減少させる方法が提案されてい
る。
【0010】しかし、現実的にはシ−ルド性に優れ、か
つ連続操業に耐え得るシ−ルド装置は開発されていな
い。従来は、以上の様な事情にあり、炭酸ガス環境下に
おいて十分な耐食性を備えた電縫溶接管は製造し得ない
ものとされてきた。
つ連続操業に耐え得るシ−ルド装置は開発されていな
い。従来は、以上の様な事情にあり、炭酸ガス環境下に
おいて十分な耐食性を備えた電縫溶接管は製造し得ない
ものとされてきた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記した様に、従来の
技術は炭酸ガス腐食環境下において十分な耐食性を備え
た電縫溶接管を得ると言う目的には必ずしも合致したも
のではない。本発明の目的は炭酸ガス腐食環境下におい
て優れた耐全面腐食性を持ち、また、溶接部の選択腐食
も起こさない電縫溶接管及びその製造方法を提供するこ
とにある。
技術は炭酸ガス腐食環境下において十分な耐食性を備え
た電縫溶接管を得ると言う目的には必ずしも合致したも
のではない。本発明の目的は炭酸ガス腐食環境下におい
て優れた耐全面腐食性を持ち、また、溶接部の選択腐食
も起こさない電縫溶接管及びその製造方法を提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは炭酸ガス腐
食に対する耐食性に影響を与える要因として、 1)鋼の組成 2)鋼の組織 3)鋼の清浄度 をあげ、これらの要因を明らかにし、研究を重ねて本発
明を完成させたものである。
食に対する耐食性に影響を与える要因として、 1)鋼の組成 2)鋼の組織 3)鋼の清浄度 をあげ、これらの要因を明らかにし、研究を重ねて本発
明を完成させたものである。
【0013】即ち、その第一発明は、(a)主成分(成
分組成は重量%)として、 C:0.2%以下、 Si:0.5%以下、 Mn:2%以下、 Al:0.08%以下、 Cr:0.2%〜3%を含有し、残部が実質的にFeか
らなる電縫管であって、(b)前記電縫管の電縫溶接部
に溶融凝固組織を有した特徴を備えた耐炭酸ガス腐食性
に優れた電縫管である。
分組成は重量%)として、 C:0.2%以下、 Si:0.5%以下、 Mn:2%以下、 Al:0.08%以下、 Cr:0.2%〜3%を含有し、残部が実質的にFeか
らなる電縫管であって、(b)前記電縫管の電縫溶接部
に溶融凝固組織を有した特徴を備えた耐炭酸ガス腐食性
に優れた電縫管である。
【0014】また、その第二発明は、(a)主成分(成
分組成は重量%)として、 C:0.2%以下、 Si:0.5%以下、 Mn:2%以下、 Al:0.08%以下、 Cr:0.2%〜3%を含有し、更に Ni:1%以下、 Co:1%以下、 Mo:1%以下、 W:1%以下、 Cu:1%以下、 Nb:0.2%以下、 V:0.2%以下、 Ti:0.1%以下、 Zr:0.1%以下、 REM:0.1%以下、 Y:0.1%以下、 N:0.01%以下、 Ca:0.01%以下、 Mg:0.01%以下、 As:0.1%以下、 Pb:0.1%以下、 Sn:0.1%以下、 Sb:0.1%以下、 の1種又は2種以上を含有し、残部が実質的にFeから
なる電縫管であって、(b)前記電縫管の電縫溶接部に
溶融凝固組織を有した特徴を備えた耐炭酸ガス腐食性に
優れた電縫管である。
分組成は重量%)として、 C:0.2%以下、 Si:0.5%以下、 Mn:2%以下、 Al:0.08%以下、 Cr:0.2%〜3%を含有し、更に Ni:1%以下、 Co:1%以下、 Mo:1%以下、 W:1%以下、 Cu:1%以下、 Nb:0.2%以下、 V:0.2%以下、 Ti:0.1%以下、 Zr:0.1%以下、 REM:0.1%以下、 Y:0.1%以下、 N:0.01%以下、 Ca:0.01%以下、 Mg:0.01%以下、 As:0.1%以下、 Pb:0.1%以下、 Sn:0.1%以下、 Sb:0.1%以下、 の1種又は2種以上を含有し、残部が実質的にFeから
なる電縫管であって、(b)前記電縫管の電縫溶接部に
溶融凝固組織を有した特徴を備えた耐炭酸ガス腐食性に
優れた電縫管である。
【0015】また、その第三発明は、夫々第一及び第二
発明の特徴を有しており、且つ前記電縫溶接部近傍のメ
タルフローの立上がり角度が45°以下である耐炭酸ガ
ス腐食性に優れた電縫管である。
発明の特徴を有しており、且つ前記電縫溶接部近傍のメ
タルフローの立上がり角度が45°以下である耐炭酸ガ
ス腐食性に優れた電縫管である。
【0016】また、第四発明は、下記の工程を備えたこ
とを特徴とする耐炭酸ガス腐食性に優れた電縫管の製造
方法である。 (a)主成分(成分組成は重量%)として、 C:0.2%以下、 Si:0.5%以下、 Mn:2%以下、 Al:0.08%以下、 Cr:0.2%〜3%を含有し、残部が実質的にFeか
らなる鋼板を用意する工程と、(b)前記鋼板をオ−プ
ンパイプに成形する工程と、(c)前記オ−プンパイプ
の相対する両エッジ部を鋼板の溶融温度以下に加熱する
工程と、(d)前記オ−プンパイプの相対する両エッジ
部をレ−ザ−ビ−ムを照射して溶融すると共に、スクイ
ズロールでアプセット量を制御し、圧接する工程。
とを特徴とする耐炭酸ガス腐食性に優れた電縫管の製造
方法である。 (a)主成分(成分組成は重量%)として、 C:0.2%以下、 Si:0.5%以下、 Mn:2%以下、 Al:0.08%以下、 Cr:0.2%〜3%を含有し、残部が実質的にFeか
らなる鋼板を用意する工程と、(b)前記鋼板をオ−プ
ンパイプに成形する工程と、(c)前記オ−プンパイプ
の相対する両エッジ部を鋼板の溶融温度以下に加熱する
工程と、(d)前記オ−プンパイプの相対する両エッジ
部をレ−ザ−ビ−ムを照射して溶融すると共に、スクイ
ズロールでアプセット量を制御し、圧接する工程。
【0017】更に、第五発明は、下記の工程を備えたこ
とを特徴とする耐炭酸ガス腐食性に優れた電縫管の製造
方法である。 (a)主成分(成分組成は重量%)として、 C:0.2%以下、 Si:0.5%以下、 Mn:2%以下、 Al:0.08%以下、 Cr:0.2%〜3%を含有し、更に Ni:1%以下、 Co:1%以下、 Mo:1%以下、 W:1%以下、 Cu:1%以下、 Nb:0.2%以下、 V:0.2%以下、 Ti:0.1%以下、 Zr:0.1%以下、 REM:0.1%以下、 Y:0.1%以下、 N:0.01%以下、 Ca:0.01%以下、 Mg:0.01%以下、 As:0.1%以下、 Pb:0.1%以下、 Sn:0.1%以下、 Sb:0.1%以下、 の1種又は2種以上を含有し、残部が実質的にFeから
なる鋼板を用意する工程と、(b)前記鋼板をオ−プン
パイプに成形する工程と、(c)前記オ−プンパイプの
相対する両エッジ部を鋼の溶融温度以下に加熱する工程
と、(d)前記相対する両エッジ部にレ−ザ−ビ−ムを
照射して溶融すると共に、スクイズロールでアプセット
量を制御し、圧接する工程。
とを特徴とする耐炭酸ガス腐食性に優れた電縫管の製造
方法である。 (a)主成分(成分組成は重量%)として、 C:0.2%以下、 Si:0.5%以下、 Mn:2%以下、 Al:0.08%以下、 Cr:0.2%〜3%を含有し、更に Ni:1%以下、 Co:1%以下、 Mo:1%以下、 W:1%以下、 Cu:1%以下、 Nb:0.2%以下、 V:0.2%以下、 Ti:0.1%以下、 Zr:0.1%以下、 REM:0.1%以下、 Y:0.1%以下、 N:0.01%以下、 Ca:0.01%以下、 Mg:0.01%以下、 As:0.1%以下、 Pb:0.1%以下、 Sn:0.1%以下、 Sb:0.1%以下、 の1種又は2種以上を含有し、残部が実質的にFeから
なる鋼板を用意する工程と、(b)前記鋼板をオ−プン
パイプに成形する工程と、(c)前記オ−プンパイプの
相対する両エッジ部を鋼の溶融温度以下に加熱する工程
と、(d)前記相対する両エッジ部にレ−ザ−ビ−ムを
照射して溶融すると共に、スクイズロールでアプセット
量を制御し、圧接する工程。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の基本は高エネルギービー
ム、例えばレ−ザ−ビ−ム照射により鋼板を溶接を行う
ことである。従来、レ−ザ−ビ−ム照射による電縫管の
製造はステンレス鋼管で行われているが、本発明の様に
炭素鋼または低合金鋼において耐食性の向上を目的に行
われた例はない。
ム、例えばレ−ザ−ビ−ム照射により鋼板を溶接を行う
ことである。従来、レ−ザ−ビ−ム照射による電縫管の
製造はステンレス鋼管で行われているが、本発明の様に
炭素鋼または低合金鋼において耐食性の向上を目的に行
われた例はない。
【0019】レ−ザ−ビ−ム照射を用いた最も大きな理
由は、短時間に局部的に鋼を溶融することが可能なこと
にある。また、レ−ザ−ビ−ム照射の持つエネルギ−に
より、鋼を溶融し、溶接部に溶融凝固組織を生ぜしめ、
また、生成する酸化物を細かく砕き、微細に分散させ、
排出させることができることにある。
由は、短時間に局部的に鋼を溶融することが可能なこと
にある。また、レ−ザ−ビ−ム照射の持つエネルギ−に
より、鋼を溶融し、溶接部に溶融凝固組織を生ぜしめ、
また、生成する酸化物を細かく砕き、微細に分散させ、
排出させることができることにある。
【0020】なお、ここで本発明で言う溶融凝固組織と
は、レ−ザ−ビ−ム照射により、鋼が溶融され、再度凝
固した組織を指すものである。この場合の凝固組織は、
アップセットがかけられつつある状態で起こるため、多
少の変形を受けた場合も凝固組織の中に当然含まれるも
のである。図1(b)にレ−ザ−ビ−ム照射により発生
する溶接部の微細な凝固組織を示した。従来の溶接部の
金属組織と異なり集合組織は観察されない。
は、レ−ザ−ビ−ム照射により、鋼が溶融され、再度凝
固した組織を指すものである。この場合の凝固組織は、
アップセットがかけられつつある状態で起こるため、多
少の変形を受けた場合も凝固組織の中に当然含まれるも
のである。図1(b)にレ−ザ−ビ−ム照射により発生
する溶接部の微細な凝固組織を示した。従来の溶接部の
金属組織と異なり集合組織は観察されない。
【0021】レ−ザ−ビ−ム照射により介在物を細かく
砕き球状化することにより、介在物を伝わって腐食の伝
播が阻止される。また、レ−ザ−ビ−ム照射により、上
記のような溶融プ−ルが生成されるため、従来の電縫管
の製造のように、溶接部の健全性を確保するために必要
とした強度のアップセットはもはや必要でない。
砕き球状化することにより、介在物を伝わって腐食の伝
播が阻止される。また、レ−ザ−ビ−ム照射により、上
記のような溶融プ−ルが生成されるため、従来の電縫管
の製造のように、溶接部の健全性を確保するために必要
とした強度のアップセットはもはや必要でない。
【0022】なお、レーザーとしては炭酸ガスレーザ
ー、YAGレーザー、エキシマレーザー等があり、何れ
も応用できるが、炭酸ガスレーザーが経済的である。
ー、YAGレーザー、エキシマレーザー等があり、何れ
も応用できるが、炭酸ガスレーザーが経済的である。
【0023】その結果、メタルフロ−が観察される場合
でもその立ち上がり角度を最小にすることが可能とな
り、炭酸ガス腐食環境下における耐食性を劣化させるメ
タルフロ−が管の表面に高い角度をもって交わるデメリ
ットを無くすることが可能となった。鋼管を製造するも
ととなる鋼板は炭酸ガス腐食環境下において十分な耐食
性を有する物を用いる。
でもその立ち上がり角度を最小にすることが可能とな
り、炭酸ガス腐食環境下における耐食性を劣化させるメ
タルフロ−が管の表面に高い角度をもって交わるデメリ
ットを無くすることが可能となった。鋼管を製造するも
ととなる鋼板は炭酸ガス腐食環境下において十分な耐食
性を有する物を用いる。
【0024】炭酸ガス腐食環境下において電縫管の耐食
性を向上させる基本元素はC,Si,Mn,Al,及び
Crである。以下、まず本発明において鋼の成分組成
(重量%)を上記のように限定した理由について述べ
る。
性を向上させる基本元素はC,Si,Mn,Al,及び
Crである。以下、まず本発明において鋼の成分組成
(重量%)を上記のように限定した理由について述べ
る。
【0025】Cは鋼の強度を上昇させるが、0.2%を
超えて添加すると、溶接性、靱性が劣化する。従って
0.2%を上限とする。なお、強度の確保のためには
0.01%以上の添加が好ましい。
超えて添加すると、溶接性、靱性が劣化する。従って
0.2%を上限とする。なお、強度の確保のためには
0.01%以上の添加が好ましい。
【0026】Siは鋼の脱酸元素であり、望ましくは
0.05%以上添加するが、0.5%を超えて添加する
と、靱性を劣化させる等の悪影響が出てくるため、0.
5%を上限とする。Mnも鋼の強度を上昇させるため望
ましくは0.3%以上添加するが、2%を超えて添加す
ると、溶接性、靱性が劣化する。従って2%を上限とす
る。
0.05%以上添加するが、0.5%を超えて添加する
と、靱性を劣化させる等の悪影響が出てくるため、0.
5%を上限とする。Mnも鋼の強度を上昇させるため望
ましくは0.3%以上添加するが、2%を超えて添加す
ると、溶接性、靱性が劣化する。従って2%を上限とす
る。
【0027】Alも鋼の脱酸元素であり、望ましくは
0.002%以上添加するが、が、0.08%を超えて
添加すると、鋼を硬化させ、また製造コストを高くする
等の悪影響が出てくるため、0.08%を上限とする。
0.002%以上添加するが、が、0.08%を超えて
添加すると、鋼を硬化させ、また製造コストを高くする
等の悪影響が出てくるため、0.08%を上限とする。
【0028】次に、本発明での基本添加元素であるCr
について述べる。Crを0.2%以上添加することによ
り、目的とする耐食性が母材部、溶接部ともに得られ
る。一方、Crは溶接性には有害な元素である。特に3
%以上の添加により、その悪影響が著しくなるためその
添加範囲を0.2〜3%とする。
について述べる。Crを0.2%以上添加することによ
り、目的とする耐食性が母材部、溶接部ともに得られ
る。一方、Crは溶接性には有害な元素である。特に3
%以上の添加により、その悪影響が著しくなるためその
添加範囲を0.2〜3%とする。
【0029】その他の元素は、Crの効果を助けるも
の、鋼のその他の特性、即ち、強度、加工性、靱性、溶
接性、及び炭酸ガス腐食と同時におこる可能性のある腐
食に対する耐食性を考慮して添加してもよい。
の、鋼のその他の特性、即ち、強度、加工性、靱性、溶
接性、及び炭酸ガス腐食と同時におこる可能性のある腐
食に対する耐食性を考慮して添加してもよい。
【0030】特に天然ガスのパイプラインにおいては、
炭酸ガスの他に硫化水素が共存することも多く、硫化水
素によるHIC(水素誘起割れ)及びSSCC(硫化物
応力腐食割れ)は本用途において絶えず考慮する必要が
ある。
炭酸ガスの他に硫化水素が共存することも多く、硫化水
素によるHIC(水素誘起割れ)及びSSCC(硫化物
応力腐食割れ)は本用途において絶えず考慮する必要が
ある。
【0031】次に述べる各種元素の1種又は2種以上を
添加するとよい。先ず、Niは鋼の耐HIC特性を改善
する。またCuの熱間加工性に対する悪影響を低下させ
る作用もある。しかし、これらの元素は高価な元素であ
り、また、著しく多量に添加すると熱処理特性が変化す
るため、上限を1%とする。
添加するとよい。先ず、Niは鋼の耐HIC特性を改善
する。またCuの熱間加工性に対する悪影響を低下させ
る作用もある。しかし、これらの元素は高価な元素であ
り、また、著しく多量に添加すると熱処理特性が変化す
るため、上限を1%とする。
【0032】Coの場合も同様である。 Moは鋼の耐
食性をあげる元素である。又、耐HIC性を改善する。
しかし、高価な元素であり、また、著しく多量に添加す
ると、熱処理特性が変化するため、上限を1%とする。
Wの場合も同様である。
食性をあげる元素である。又、耐HIC性を改善する。
しかし、高価な元素であり、また、著しく多量に添加す
ると、熱処理特性が変化するため、上限を1%とする。
Wの場合も同様である。
【0033】Nは、通常溶解時に鋼に大気中より吸収さ
れる強化元素でもあるが、その含有量が0.01%を超
えると靱性に悪影響をもたらす。従って、上限を0.0
1%とする。
れる強化元素でもあるが、その含有量が0.01%を超
えると靱性に悪影響をもたらす。従って、上限を0.0
1%とする。
【0034】CaはSと結びつき介在物を粒状化し、形
態制御を通じて各種の腐食環境下における耐食性を向上
させる。耐HIC性は0.001%以上の添加により向
上する。一方、0.01%を超えて添加すると鋼の靱性
が劣化するため、上限を0.01%とする。
態制御を通じて各種の腐食環境下における耐食性を向上
させる。耐HIC性は0.001%以上の添加により向
上する。一方、0.01%を超えて添加すると鋼の靱性
が劣化するため、上限を0.01%とする。
【0035】MgもSと結びつき介在物を粒状化し、形
態制御を通じて各種の腐食環境下における耐食性を向上
させる。耐HIC性からは0.001%以上の添加が好
ましい。上限はCaと同様に、鋼の靱性が劣化しない範
囲の0.01%とする。
態制御を通じて各種の腐食環境下における耐食性を向上
させる。耐HIC性からは0.001%以上の添加が好
ましい。上限はCaと同様に、鋼の靱性が劣化しない範
囲の0.01%とする。
【0036】REM、YもSと結びつき介在物を粒状化
し、形態制御を通じて各種の腐食環境下における耐食性
を向上させる。耐HIC性からは0.001%以上の添
加が好ましい。上限は鋼の靱性が劣化しない範囲の0.
1%とする。
し、形態制御を通じて各種の腐食環境下における耐食性
を向上させる。耐HIC性からは0.001%以上の添
加が好ましい。上限は鋼の靱性が劣化しない範囲の0.
1%とする。
【0037】Tiは脱酸元素であり、また強化元素であ
るが、0・1%を超えて添加すると靱性を劣化させる等
の悪影響が出てくるため、0.1%を上限値とする。Z
rもTiと同様に脱酸元素であり、また強化元素である
が、0・1%を超えて添加すると靱性を劣化させる等の
悪影響が出てくるため、0.1%を上限値とする。
るが、0・1%を超えて添加すると靱性を劣化させる等
の悪影響が出てくるため、0.1%を上限値とする。Z
rもTiと同様に脱酸元素であり、また強化元素である
が、0・1%を超えて添加すると靱性を劣化させる等の
悪影響が出てくるため、0.1%を上限値とする。
【0038】Nb,Vは鋼の強度を増加させるが、いず
れも0.2%を超えて添加すると靱性を劣化させるた
め、上限を0.2%とする。
れも0.2%を超えて添加すると靱性を劣化させるた
め、上限を0.2%とする。
【0039】Asは鋼の炭酸ガス腐食環境耐食性に有効
である。その効果は0.005%程度より顕著となる。
上限値は溶接性より0.1%とする。Snも鋼の炭酸ガ
ス腐食環境耐食性に有効である。その効果は0.005
%程度より顕著となる。上限値は溶接性より0.1%と
する。
である。その効果は0.005%程度より顕著となる。
上限値は溶接性より0.1%とする。Snも鋼の炭酸ガ
ス腐食環境耐食性に有効である。その効果は0.005
%程度より顕著となる。上限値は溶接性より0.1%と
する。
【0040】Sbも鋼の炭酸ガス腐食環境耐食性に有効
である。その効果は0.005%程度より顕著となる。
上限値は溶接性より0.1%とする。Pbも鋼の炭酸ガ
ス腐食環境耐食性に有効である。その効果は0.005
%程度より顕著となる。上限値は溶接性より0.1%と
する。なお、Sについては、通常、鋼に含まれる0.0
3%程度は含有してもよい。
である。その効果は0.005%程度より顕著となる。
上限値は溶接性より0.1%とする。Pbも鋼の炭酸ガ
ス腐食環境耐食性に有効である。その効果は0.005
%程度より顕著となる。上限値は溶接性より0.1%と
する。なお、Sについては、通常、鋼に含まれる0.0
3%程度は含有してもよい。
【0041】従来方法による電縫管の製造時における溶
接は、ア−ク溶接に比較すると入熱が小さい溶接である
ため接合部の冷却速度は速い。このため、加熱時に一度
固溶したMnSの一部はFeSとMnSとして再析出す
るが、完全には再析出できず大部分は過飽和に固溶した
ままとなる。その結果、電縫溶接部は母材部に比較して
固溶Sの濃度が高く、このため浸漬電位が母材部より卑
になる。これが電縫溶接部の耐食性が劣る最も大きな理
由である。
接は、ア−ク溶接に比較すると入熱が小さい溶接である
ため接合部の冷却速度は速い。このため、加熱時に一度
固溶したMnSの一部はFeSとMnSとして再析出す
るが、完全には再析出できず大部分は過飽和に固溶した
ままとなる。その結果、電縫溶接部は母材部に比較して
固溶Sの濃度が高く、このため浸漬電位が母材部より卑
になる。これが電縫溶接部の耐食性が劣る最も大きな理
由である。
【0042】一方、電縫溶接部近傍のメタルの立ち上が
り部には、Sを主原因とする別種の腐食が進行する。こ
の部分の腐食は、起点がMnSやFeSと言ったA系介
在物であることが多く、初期段階では介在物に沿って腐
食が進行する。母材部ではこれらの介在物は圧延方向に
沿って平行(L方向)に伸び、板の表面には露出してい
ない。
り部には、Sを主原因とする別種の腐食が進行する。こ
の部分の腐食は、起点がMnSやFeSと言ったA系介
在物であることが多く、初期段階では介在物に沿って腐
食が進行する。母材部ではこれらの介在物は圧延方向に
沿って平行(L方向)に伸び、板の表面には露出してい
ない。
【0043】しかし、電縫溶接管の製造においては、ア
ップセットを行う必要があり、メタルフロ−が立ち上が
り、板の横断面に相当する面が鋼管の内外表面に現れる
ことになり、ここより腐食が進行する。この面からS量
は低いほど好ましいことになる。
ップセットを行う必要があり、メタルフロ−が立ち上が
り、板の横断面に相当する面が鋼管の内外表面に現れる
ことになり、ここより腐食が進行する。この面からS量
は低いほど好ましいことになる。
【0044】このメタルフロ−の立ち上がり部分に腐食
が進行すると選択腐食となるが、電縫溶接部の選択腐食
は次式で示される指標α値で評価した。なお、α=1.
0は電縫部の選択腐食は全く起こっていないことを示す
が、実用的には α≦1.2であれば電縫部の選択腐食
のトラブルは殆ど起こらない。
が進行すると選択腐食となるが、電縫溶接部の選択腐食
は次式で示される指標α値で評価した。なお、α=1.
0は電縫部の選択腐食は全く起こっていないことを示す
が、実用的には α≦1.2であれば電縫部の選択腐食
のトラブルは殆ど起こらない。
【0045】α=d1 /d2 d1 :電縫部の腐食の深さ(mm) d2 :母材部の腐食の深さ(mm)
【0046】本発明においては、レーザビ−ム照射を行
うため、通常の電縫管に比較して、多量の入熱を電縫溶
接部に与える。従って、冷却速度は通常の電縫管に比較
して遅く、Sは冷却時に析出しやすく、従って母材部に
比較して卑となる程度は少ない。
うため、通常の電縫管に比較して、多量の入熱を電縫溶
接部に与える。従って、冷却速度は通常の電縫管に比較
して遅く、Sは冷却時に析出しやすく、従って母材部に
比較して卑となる程度は少ない。
【0047】溶接後、電縫部のビードは切削されるの
で、メタルフローの立上がり角度が大きいほど、上に述
べた介在物が電縫部の表面への露出点が多くなる。この
露出点が腐食の起点となりかつ進行経路となる。そこ
で、メタルフローの立上がり角度は低い方が望ましい。
で、メタルフローの立上がり角度が大きいほど、上に述
べた介在物が電縫部の表面への露出点が多くなる。この
露出点が腐食の起点となりかつ進行経路となる。そこ
で、メタルフローの立上がり角度は低い方が望ましい。
【0048】そこで、種々実験した結果、メタルフロー
の立上がり角度を45°以下と限定すると電縫部の表面
への露出点が少なく、湿潤炭酸ガス環境中での電縫部の
選択腐食が少ないことが判明した。メタルフローの立上
がり角度45°以下の場合は比較的に低く、実質的にM
nSやFeSが鋼管の内外表面に現われる確率が高くな
るため、メタルフロ−の立ち上がり角度を45°以下と
限定した。
の立上がり角度を45°以下と限定すると電縫部の表面
への露出点が少なく、湿潤炭酸ガス環境中での電縫部の
選択腐食が少ないことが判明した。メタルフローの立上
がり角度45°以下の場合は比較的に低く、実質的にM
nSやFeSが鋼管の内外表面に現われる確率が高くな
るため、メタルフロ−の立ち上がり角度を45°以下と
限定した。
【0049】これらの理由により、優れた耐炭酸ガス腐
食性が得られるが、勿論S量は低い方が望ましいことは
言うまでもない。例えば、S量を0.015%以下にす
ることにより、更に優れた性能が得られる。
食性が得られるが、勿論S量は低い方が望ましいことは
言うまでもない。例えば、S量を0.015%以下にす
ることにより、更に優れた性能が得られる。
【0050】これに対して、Pの耐食性に与える影響は
無視し得る程度であり、その上限は0.3%程度であ
る。なお、耐HIC性、耐SSCC性をあわせて持たせ
るためには、S量の上限値は0.01%とすることが望
ましい。以上が組成の限定理由である。
無視し得る程度であり、その上限は0.3%程度であ
る。なお、耐HIC性、耐SSCC性をあわせて持たせ
るためには、S量の上限値は0.01%とすることが望
ましい。以上が組成の限定理由である。
【0051】本発明においては、高エネルギービーム、
例えばレーザ照射ビ−ムを行い溶接部を溶融し、溶接部
を溶融凝固組織とする。このような組織であれば介在物
は細かく分散しており、電縫溶接部の介在物を排出する
必要性がないため、アップセット量を大きくとる必要は
ない。
例えばレーザ照射ビ−ムを行い溶接部を溶融し、溶接部
を溶融凝固組織とする。このような組織であれば介在物
は細かく分散しており、電縫溶接部の介在物を排出する
必要性がないため、アップセット量を大きくとる必要は
ない。
【0052】なお、従来の方法と同一のアップセット量
とした場合も、溶融部が存在するため、メタルフロ−の
立ち上がり角度は当然小さくなる。ここでアプセット量
とは次の定義による。 アプセット量(mm)=造管前のコイル幅(mm)−管
外周長さ(mm)
とした場合も、溶融部が存在するため、メタルフロ−の
立ち上がり角度は当然小さくなる。ここでアプセット量
とは次の定義による。 アプセット量(mm)=造管前のコイル幅(mm)−管
外周長さ(mm)
【0053】
【実施例】表1に示す化学組成の鋼を溶解した。表中の
A〜N鋼は実験室で真空溶解し、50kgインゴットに
鋳造した。いずれも、本発明の範囲内の組成を有する鋼
である。(O〜Q鋼については後述する)
A〜N鋼は実験室で真空溶解し、50kgインゴットに
鋳造した。いずれも、本発明の範囲内の組成を有する鋼
である。(O〜Q鋼については後述する)
【0054】また、表2に本発明の範囲外の組成を持つ
比較例の鋼の組成を示した。F鋼は先のA〜N鋼と同様
に実験室で真空溶解し、50kgインゴットに鋳造した
ものである。(R,S鋼については後述する)これらの
鋼を1200℃、に加熱し、板厚50mmまで圧延した
後空冷した。
比較例の鋼の組成を示した。F鋼は先のA〜N鋼と同様
に実験室で真空溶解し、50kgインゴットに鋳造した
ものである。(R,S鋼については後述する)これらの
鋼を1200℃、に加熱し、板厚50mmまで圧延した
後空冷した。
【0055】空冷後の鋼板から50×150×400m
mの板を切出し、加熱温度1200℃、圧延終了温度8
20℃で板厚12mmまで圧延した。圧延終了直後にミ
ストスプレーで冷却速度約10℃/sec で550℃まで
冷却した後、前もって550℃に加熱しておいた電気炉
に挿入後炉冷した。これらの工程は熱間圧延による鋼帯
の製造条件をシミュレートしたものである。
mの板を切出し、加熱温度1200℃、圧延終了温度8
20℃で板厚12mmまで圧延した。圧延終了直後にミ
ストスプレーで冷却速度約10℃/sec で550℃まで
冷却した後、前もって550℃に加熱しておいた電気炉
に挿入後炉冷した。これらの工程は熱間圧延による鋼帯
の製造条件をシミュレートしたものである。
【0056】
【表1の1】
【0057】
【表1の2】
【0058】
【表2の1】
【0059】
【表2の2】
【0060】室温まで冷却された鋼板から6×35×1
00mmの試験片1を切出し、電縫シミュレータを用い
て溶接した。この装置は図2に示すように多段の成形ガ
イドロールから2枚の鋼板を送り込み、相対する鋼板の
エッジ部をコンタクトチップ2から供給する高周波電流
で抵抗加熱した後、スクイズロール3で圧接するに際し
エッジ接合部に炭酸ガスレーザビーム4を照射する機能
を備えている。
00mmの試験片1を切出し、電縫シミュレータを用い
て溶接した。この装置は図2に示すように多段の成形ガ
イドロールから2枚の鋼板を送り込み、相対する鋼板の
エッジ部をコンタクトチップ2から供給する高周波電流
で抵抗加熱した後、スクイズロール3で圧接するに際し
エッジ接合部に炭酸ガスレーザビーム4を照射する機能
を備えている。
【0061】溶接条件は溶接速度15m/min、コン
タクトチップ2からの投入電力200kwであり、アプ
セット量は0〜4mmの範囲で変化させた。またレーザ
出力は5kw、焦点位置でのビーム径は0.5mmで、
鋼板の垂直上方からエッジ接合点に焦点を合わせて照射
した。製造条件を表3に示した。
タクトチップ2からの投入電力200kwであり、アプ
セット量は0〜4mmの範囲で変化させた。またレーザ
出力は5kw、焦点位置でのビーム径は0.5mmで、
鋼板の垂直上方からエッジ接合点に焦点を合わせて照射
した。製造条件を表3に示した。
【0062】
【表3の1】
【0063】
【表3の2】
【0064】
【表3の3】
【0065】上記の方法で製造した溶接部から3.5×
30×60mmの試験片5を切り出し、表面を研磨した
後、図3に示す装置で炭酸ガス腐食試験を行った。試験
溶液は炭酸ガスを飽和させた人工海水で溶液の温度は8
0℃、液の流速は3m/sec、試験時間は300hr
である。
30×60mmの試験片5を切り出し、表面を研磨した
後、図3に示す装置で炭酸ガス腐食試験を行った。試験
溶液は炭酸ガスを飽和させた人工海水で溶液の温度は8
0℃、液の流速は3m/sec、試験時間は300hr
である。
【0066】腐食試験前後の試験片5の重量を測定し
て、単位面積あたりの腐食減量としてC値(mg/cm
2 )を求めた。なお、湿潤炭酸ガス環境下で使用するに
はC≦80mg/cm2 である必要があることが必要で
ある。
て、単位面積あたりの腐食減量としてC値(mg/cm
2 )を求めた。なお、湿潤炭酸ガス環境下で使用するに
はC≦80mg/cm2 である必要があることが必要で
ある。
【0067】また、試験後に試験片5の断面を検鏡し、
電縫部の選択腐食の程度を調べた。電縫部の選択腐食の
評価には、先に示した指標であるα値を用いた。試験結
果を表3に示すが、本発明の実施例はいずれもC値が8
0mg/cm2 以下であり、またα値は1.2以下と優
れた性能を示している。
電縫部の選択腐食の程度を調べた。電縫部の選択腐食の
評価には、先に示した指標であるα値を用いた。試験結
果を表3に示すが、本発明の実施例はいずれもC値が8
0mg/cm2 以下であり、またα値は1.2以下と優
れた性能を示している。
【0068】これに対して、組成は本発明の範囲内にあ
るが、レ−ザ−ビ−ム照射を行っていない比較例のC値
は80mg/cm2 以下を満足するが、α値は1.2よ
り大幅に大きく、選択腐食が起こっていることを示して
いる。
るが、レ−ザ−ビ−ム照射を行っていない比較例のC値
は80mg/cm2 以下を満足するが、α値は1.2よ
り大幅に大きく、選択腐食が起こっていることを示して
いる。
【0069】表1中のO〜Q鋼、および表2中のR,S
鋼は、工場で溶解し、ホットストリップミルで厚さ7.
5mmの熱延鋼帯とし、その鋼帯を用いて76.3φ
(直径)×7.5t(厚み)mmの電縫管を製造した。
レ−ザ−ビ−ム照射を行った場合と行わなかった場合に
ついて試験を行った。アプセット量はほぼ一定としてい
る。
鋼は、工場で溶解し、ホットストリップミルで厚さ7.
5mmの熱延鋼帯とし、その鋼帯を用いて76.3φ
(直径)×7.5t(厚み)mmの電縫管を製造した。
レ−ザ−ビ−ム照射を行った場合と行わなかった場合に
ついて試験を行った。アプセット量はほぼ一定としてい
る。
【0070】鋼管を製造後に電縫溶接部を切り出し、更
に、3.5×30×60mmの試験片5を加工し、先の
実験室溶解材と同様の試験を行った。結果を表4に示す
が、組成範囲が本発明の範囲内であり、且つレ−ザ−照
射を行った場合は優れた耐食性を示していることがわか
る。
に、3.5×30×60mmの試験片5を加工し、先の
実験室溶解材と同様の試験を行った。結果を表4に示す
が、組成範囲が本発明の範囲内であり、且つレ−ザ−照
射を行った場合は優れた耐食性を示していることがわか
る。
【0071】これに対して、Cr量が不足する鋼はC値
が80mg/cm2 を超えており、炭酸ガス腐食環境下
で使用不可能であることがわかる。僅かであるが、S量
の高いP,Q鋼のα値は高い。
が80mg/cm2 を超えており、炭酸ガス腐食環境下
で使用不可能であることがわかる。僅かであるが、S量
の高いP,Q鋼のα値は高い。
【0072】なお、表3中の、試験■32〜37,40
〜43は、O〜Q鋼、R,S鋼の厚さ7.5mmの熱延
鋼帯から、鋼片を採取し実験室で溶接して、試験した結
果であるが、同様の傾向が認められる。
〜43は、O〜Q鋼、R,S鋼の厚さ7.5mmの熱延
鋼帯から、鋼片を採取し実験室で溶接して、試験した結
果であるが、同様の傾向が認められる。
【0073】
【表4】
【0074】
【発明の効果】本発明により、母材、電縫溶接部共に湿
潤炭酸ガス腐食環境下における、耐食性に優れた電縫管
が得られる。また本発明方法により製造した電縫管は、
電縫溶接部、母材部共に腐食減量が少なく、電縫溶接部
近傍の選択腐食も認められないラインパイプ用電縫鋼管
が得られる。
潤炭酸ガス腐食環境下における、耐食性に優れた電縫管
が得られる。また本発明方法により製造した電縫管は、
電縫溶接部、母材部共に腐食減量が少なく、電縫溶接部
近傍の選択腐食も認められないラインパイプ用電縫鋼管
が得られる。
【図1】従来の電縫管の溶接部の金属組織(a)と比較
して本発明に係る電縫管の溶接部の金属組織(b)を示
した図面代用写真である。
して本発明に係る電縫管の溶接部の金属組織(b)を示
した図面代用写真である。
【図2】本発明の実施例で使用した溶接シミュレータの
概略図である。
概略図である。
【図3】本発明の実施例で使用した炭酸ガス腐食試験装
置を示す概略を示す断面図である。
置を示す概略を示す断面図である。
1 試験片 2 コンタクトチップ 3 スクイズロール 4 レーザビーム 5 試料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 昭夫 東京都千代田区丸の内一丁目1番地2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 岩崎 謙一 東京都千代田区丸の内一丁目1番地2号 日本鋼管株式会社内
Claims (5)
- 【請求項1】 下記の特徴を備えた耐炭酸ガス腐食性に
優れた電縫管。 (a)主成分(成分組成は重量%)として、 C:0.2%以下、 Si:0.5%以下、 Mn:2%以下、 Al:0.08%以下、 Cr:0.2%〜3%を含有し、 残部が実質的にFeからなる電縫管であって、(b)前
記電縫管の電縫溶接部に溶融凝固組織を有する。 - 【請求項2】 下記の特徴を備えた耐炭酸ガス腐食性に
優れた電縫管。 (a)主成分(成分組成は重量%)として、 C:0.2%以下、 Si:0.5%以下、 Mn:2%以下、 Al:0.08%以下、 Cr:0.2%〜3%を含有し、 更に Ni:1%以下、 Co:1%以下、 Mo:1%以下、 W:1%以下、 Cu:1%以下、 Nb:0.2%以下、 V:0.2%以下、 Ti:0.1%以下、 Zr:0.1%以下、 REM:0.1%以下、 Y:0.1%以下、 N:0.01%以下、 Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下、 As:0.1%以下、 Pb:0.1%以下、 Sn:0.1%以下、 Sb:0.1%以下、 の1種又は2種以上を含有し、残部が実質的にFeから
なる電縫管であって、(b)前記電縫管の電縫溶接部に
溶融凝固組織を有する。 - 【請求項3】 前記電縫溶接部近傍のメタルフローの立
上がり角度が45°以下である請求項1又は請求項2記
載の耐炭酸ガス腐食性に優れた電縫管。 - 【請求項4】 下記の工程を備えたことを特徴とする耐
炭酸ガス腐食性に優れた電縫管の製造方法。 (a)主成分(成分組成は重量%)として、 C:0.2%以下、 Si:0.5%以下、 Mn:2%以下、 Al:0.08%以下、 Cr:0.2%〜3%を含有し、 残部が実質的にFeからなる鋼板を用意する工程と、
(b)前記鋼板をオ−プンパイプに成形する工程と、
(c)前記オ−プンパイプの相対する両エッジ部を鋼板
の溶融温度以下に加熱する工程と、(d)前記オ−プン
パイプの相対する両エッジ部にレ−ザ−ビ−ムを照射し
て溶融すると共に、スクイズロールでアプセット量を制
御し、圧接する工程。 - 【請求項5】 下記の工程を備えたことを特徴とする耐
炭酸ガス腐食性に優れた電縫管の製造方法。 (a)主成分(成分組成は重量%)として、 C:0.2%以下、 Si:0.5%以下、 Mn:2%以下、 Al:0.08%以下、 Cr:0.2%〜3%を含有し、 更に Ni:1%以下、 Co:1%以下、 Mo:1%以下、 W:1%以下、 Cu:1%以下、 Nb:0.2%以下、 V:0.2%以下、 Ti:0.1%以下、 Zr:0.1%以下、 REM:0.1%以下、 Y:0.1%以下、 N:0.01%以下、 Ca:0.01%以下、 Mg:0.01%以下、 As:0.1%以下、 Pb:0.1%以下、 Sn:0.1%以下、 Sb:0.1%以下、 の1種又は2種以上を含有し、残部が実質的にFeから
なる鋼板を用意する工程と、(b)前記鋼板をオ−プン
パイプに成形する工程と、(c)前記オ−プンパイプの
相対する両エッジ部を鋼板の溶融温度以下に加熱する工
程と、(d)前記相対する両エッジ部にレ−ザ−ビ−ム
を照射して溶融すると共に、スクイズロールでアプセッ
ト量を制御し、圧接する工程。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7245259A JPH0971837A (ja) | 1995-08-31 | 1995-08-31 | 耐炭酸ガス腐食性に優れた電縫管及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7245259A JPH0971837A (ja) | 1995-08-31 | 1995-08-31 | 耐炭酸ガス腐食性に優れた電縫管及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0971837A true JPH0971837A (ja) | 1997-03-18 |
Family
ID=17131028
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7245259A Pending JPH0971837A (ja) | 1995-08-31 | 1995-08-31 | 耐炭酸ガス腐食性に優れた電縫管及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0971837A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101845593A (zh) * | 2010-05-19 | 2010-09-29 | 首钢总公司 | 20控Cr核电用钢及其生产方法 |
EP2808411A4 (en) * | 2012-01-25 | 2015-10-21 | Jfe Steel Corp | CORROSION RESISTANT STEEL FOR HOLDING A CARBON VESSEL OR A COAL / ERZ VESSEL |
-
1995
- 1995-08-31 JP JP7245259A patent/JPH0971837A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101845593A (zh) * | 2010-05-19 | 2010-09-29 | 首钢总公司 | 20控Cr核电用钢及其生产方法 |
EP2808411A4 (en) * | 2012-01-25 | 2015-10-21 | Jfe Steel Corp | CORROSION RESISTANT STEEL FOR HOLDING A CARBON VESSEL OR A COAL / ERZ VESSEL |
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