JPH0971837A - 耐炭酸ガス腐食性に優れた電縫管及びその製造方法 - Google Patents

耐炭酸ガス腐食性に優れた電縫管及びその製造方法

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JPH0971837A
JPH0971837A JP7245259A JP24525995A JPH0971837A JP H0971837 A JPH0971837 A JP H0971837A JP 7245259 A JP7245259 A JP 7245259A JP 24525995 A JP24525995 A JP 24525995A JP H0971837 A JPH0971837 A JP H0971837A
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resistance welded
pipe
carbon dioxide
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JP7245259A
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Haruo Mitsutsuji
晴夫 三辻
Masaki Omura
雅紀 大村
Yutaka Nagahama
裕 長浜
Akio Sato
昭夫 佐藤
Kenichi Iwasaki
謙一 岩崎
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭酸ガス腐食環境下において優れた耐全面腐
食性を有し、また、溶接部の選択腐食も起こさない電縫
管及びその製造方法を提供することにある。 【解決手段】 主成分(重量%)として、C:0.2%
以下、Si:0.5%以下、Mn:2%以下、Al:
0.08%以下、Cr:0.2%〜3%を含有し、残部
が実質的にFeからなり、電縫溶接部に溶融凝固組織を
有している。また、製造方法は、(a)上記成分からな
る鋼板を用意する工程と、(b)前記鋼板をオ−プンパ
イプに成形する工程と、(c)前記オ−プンパイプの相
対する両エッジ部を鋼の溶融温度以下に加熱する工程
と、(d)前記オ−プンパイプの相対する両エッジ部を
レ−ザ−ビームを照射して溶融すると共に、アップセッ
トする工程を備えた電縫管の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は炭酸ガスを含む石油
や天然ガスを輸送するパイプライン用鋼管等の、炭酸ガ
スを含む湿潤環境下において優れた耐食性を有する電縫
管及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭酸ガスを含む石油や天然ガスを輸送す
るパイプラインに用いられる鋼管は、炭酸ガスを含む湿
潤環境に曝されるため、その内面が全面腐食を起こすこ
とが知られている。この腐食環境下における耐食性の向
上を目指したものとして、特開平4−341540号公
報には0.5%程度のCr添加鋼が開示されており、優
れた耐食性を持つ継目無鋼管やアーク溶接により製造す
るUOE鋼管が得られている。
【0003】ところで、鋼管の製造上からは、上記の継
目無鋼管及びその製造方法は鋼管の外径に対して肉厚の
厚い場合に適しており、UOE鋼管は外径の大きい鋼管
の製造に適した方法である。UOE鋼管より小径で、継
目無鋼管より肉厚/外径が小さい鋼管の製造方法として
は、鋼帯を連続的に成形してオ−プンパイプとし、その
相対するエッジ部を加熱して溶接して製管する方法があ
る。
【0004】この方法は電縫溶接法と言われており、こ
の方法は他の溶接鋼管の製造法に比較して、高能率であ
るという長所を有しているため、機械構造用鋼管等の用
途に多用されている。なお、溶接部の加熱方法には高周
波加熱又は抵抗加熱が用いられている。
【0005】しかしながら、この電縫溶接法は本質的に
微小な溶接欠陥が発生しやすい溶接方法であり、耐食性
の要求の厳しい用途には不向きとされてきた。図1
(a)に従来の電縫管の溶接部の金属組織の写真を示す
が、溶接部全体にアップセットによる斜めの集合組織が
観察される。
【0006】このような電縫管の耐食性が劣っているも
っとも大きな理由は、上記写真が示すように、その溶接
部が通常の溶融溶接と、圧接の中間とも言える状態であ
り、接合部に明瞭な溶融プ−ルが形成されず、従って溶
接時に酸化により形成される介在物が鋼の内部から排出
されにくく、連続して残存するためとされている。
【0007】そのため、溶接時にオ−プンパイプにアプ
セットを行い、上記の介在物等を可能な限り外部に排出
しようとすることが試みられているが、その結果、溶接
部近傍のメタルフロ−が立ち上がり、言わば、鋼板の圧
延時の断面(圧延時の表面に比較して耐食性が劣る)が
管の内外表面に現われることになり、その部分で腐食が
進行する現象が発生する。
【0008】また、酸化物を完全に排出することは不可
能であり、その相当量が残留し、この酸化物もビードが
研削されると当然鋼管の表面に現れ、耐食性を劣化させ
る。本発明の鋼管の使用の目的である炭酸ガス腐食環境
下においてもこのメタルフロ−の立ち上がりや、介在物
の存在が極めて有害であることは言うまでもない。
【0009】この問題を解決するための対策も、もちろ
ん検討されている。例えば特開昭63−24116号公
報には非酸化性ガスで電縫部をシ−ルドして電縫溶接を
行い、電縫部の欠陥を減少させる方法が提案されてい
る。
【0010】しかし、現実的にはシ−ルド性に優れ、か
つ連続操業に耐え得るシ−ルド装置は開発されていな
い。従来は、以上の様な事情にあり、炭酸ガス環境下に
おいて十分な耐食性を備えた電縫溶接管は製造し得ない
ものとされてきた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記した様に、従来の
技術は炭酸ガス腐食環境下において十分な耐食性を備え
た電縫溶接管を得ると言う目的には必ずしも合致したも
のではない。本発明の目的は炭酸ガス腐食環境下におい
て優れた耐全面腐食性を持ち、また、溶接部の選択腐食
も起こさない電縫溶接管及びその製造方法を提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは炭酸ガス腐
食に対する耐食性に影響を与える要因として、 1)鋼の組成 2)鋼の組織 3)鋼の清浄度 をあげ、これらの要因を明らかにし、研究を重ねて本発
明を完成させたものである。
【0013】即ち、その第一発明は、(a)主成分(成
分組成は重量%)として、 C:0.2%以下、 Si:0.5%以下、 Mn:2%以下、 Al:0.08%以下、 Cr:0.2%〜3%を含有し、残部が実質的にFeか
らなる電縫管であって、(b)前記電縫管の電縫溶接部
に溶融凝固組織を有した特徴を備えた耐炭酸ガス腐食性
に優れた電縫管である。
【0014】また、その第二発明は、(a)主成分(成
分組成は重量%)として、 C:0.2%以下、 Si:0.5%以下、 Mn:2%以下、 Al:0.08%以下、 Cr:0.2%〜3%を含有し、更に Ni:1%以下、 Co:1%以下、 Mo:1%以下、 W:1%以下、 Cu:1%以下、 Nb:0.2%以下、 V:0.2%以下、 Ti:0.1%以下、 Zr:0.1%以下、 REM:0.1%以下、 Y:0.1%以下、 N:0.01%以下、 Ca:0.01%以下、 Mg:0.01%以下、 As:0.1%以下、 Pb:0.1%以下、 Sn:0.1%以下、 Sb:0.1%以下、 の1種又は2種以上を含有し、残部が実質的にFeから
なる電縫管であって、(b)前記電縫管の電縫溶接部に
溶融凝固組織を有した特徴を備えた耐炭酸ガス腐食性に
優れた電縫管である。
【0015】また、その第三発明は、夫々第一及び第二
発明の特徴を有しており、且つ前記電縫溶接部近傍のメ
タルフローの立上がり角度が45°以下である耐炭酸ガ
ス腐食性に優れた電縫管である。
【0016】また、第四発明は、下記の工程を備えたこ
とを特徴とする耐炭酸ガス腐食性に優れた電縫管の製造
方法である。 (a)主成分(成分組成は重量%)として、 C:0.2%以下、 Si:0.5%以下、 Mn:2%以下、 Al:0.08%以下、 Cr:0.2%〜3%を含有し、残部が実質的にFeか
らなる鋼板を用意する工程と、(b)前記鋼板をオ−プ
ンパイプに成形する工程と、(c)前記オ−プンパイプ
の相対する両エッジ部を鋼板の溶融温度以下に加熱する
工程と、(d)前記オ−プンパイプの相対する両エッジ
部をレ−ザ−ビ−ムを照射して溶融すると共に、スクイ
ズロールでアプセット量を制御し、圧接する工程。
【0017】更に、第五発明は、下記の工程を備えたこ
とを特徴とする耐炭酸ガス腐食性に優れた電縫管の製造
方法である。 (a)主成分(成分組成は重量%)として、 C:0.2%以下、 Si:0.5%以下、 Mn:2%以下、 Al:0.08%以下、 Cr:0.2%〜3%を含有し、更に Ni:1%以下、 Co:1%以下、 Mo:1%以下、 W:1%以下、 Cu:1%以下、 Nb:0.2%以下、 V:0.2%以下、 Ti:0.1%以下、 Zr:0.1%以下、 REM:0.1%以下、 Y:0.1%以下、 N:0.01%以下、 Ca:0.01%以下、 Mg:0.01%以下、 As:0.1%以下、 Pb:0.1%以下、 Sn:0.1%以下、 Sb:0.1%以下、 の1種又は2種以上を含有し、残部が実質的にFeから
なる鋼板を用意する工程と、(b)前記鋼板をオ−プン
パイプに成形する工程と、(c)前記オ−プンパイプの
相対する両エッジ部を鋼の溶融温度以下に加熱する工程
と、(d)前記相対する両エッジ部にレ−ザ−ビ−ムを
照射して溶融すると共に、スクイズロールでアプセット
量を制御し、圧接する工程。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の基本は高エネルギービー
ム、例えばレ−ザ−ビ−ム照射により鋼板を溶接を行う
ことである。従来、レ−ザ−ビ−ム照射による電縫管の
製造はステンレス鋼管で行われているが、本発明の様に
炭素鋼または低合金鋼において耐食性の向上を目的に行
われた例はない。
【0019】レ−ザ−ビ−ム照射を用いた最も大きな理
由は、短時間に局部的に鋼を溶融することが可能なこと
にある。また、レ−ザ−ビ−ム照射の持つエネルギ−に
より、鋼を溶融し、溶接部に溶融凝固組織を生ぜしめ、
また、生成する酸化物を細かく砕き、微細に分散させ、
排出させることができることにある。
【0020】なお、ここで本発明で言う溶融凝固組織と
は、レ−ザ−ビ−ム照射により、鋼が溶融され、再度凝
固した組織を指すものである。この場合の凝固組織は、
アップセットがかけられつつある状態で起こるため、多
少の変形を受けた場合も凝固組織の中に当然含まれるも
のである。図1(b)にレ−ザ−ビ−ム照射により発生
する溶接部の微細な凝固組織を示した。従来の溶接部の
金属組織と異なり集合組織は観察されない。
【0021】レ−ザ−ビ−ム照射により介在物を細かく
砕き球状化することにより、介在物を伝わって腐食の伝
播が阻止される。また、レ−ザ−ビ−ム照射により、上
記のような溶融プ−ルが生成されるため、従来の電縫管
の製造のように、溶接部の健全性を確保するために必要
とした強度のアップセットはもはや必要でない。
【0022】なお、レーザーとしては炭酸ガスレーザ
ー、YAGレーザー、エキシマレーザー等があり、何れ
も応用できるが、炭酸ガスレーザーが経済的である。
【0023】その結果、メタルフロ−が観察される場合
でもその立ち上がり角度を最小にすることが可能とな
り、炭酸ガス腐食環境下における耐食性を劣化させるメ
タルフロ−が管の表面に高い角度をもって交わるデメリ
ットを無くすることが可能となった。鋼管を製造するも
ととなる鋼板は炭酸ガス腐食環境下において十分な耐食
性を有する物を用いる。
【0024】炭酸ガス腐食環境下において電縫管の耐食
性を向上させる基本元素はC,Si,Mn,Al,及び
Crである。以下、まず本発明において鋼の成分組成
(重量%)を上記のように限定した理由について述べ
る。
【0025】Cは鋼の強度を上昇させるが、0.2%を
超えて添加すると、溶接性、靱性が劣化する。従って
0.2%を上限とする。なお、強度の確保のためには
0.01%以上の添加が好ましい。
【0026】Siは鋼の脱酸元素であり、望ましくは
0.05%以上添加するが、0.5%を超えて添加する
と、靱性を劣化させる等の悪影響が出てくるため、0.
5%を上限とする。Mnも鋼の強度を上昇させるため望
ましくは0.3%以上添加するが、2%を超えて添加す
ると、溶接性、靱性が劣化する。従って2%を上限とす
る。
【0027】Alも鋼の脱酸元素であり、望ましくは
0.002%以上添加するが、が、0.08%を超えて
添加すると、鋼を硬化させ、また製造コストを高くする
等の悪影響が出てくるため、0.08%を上限とする。
【0028】次に、本発明での基本添加元素であるCr
について述べる。Crを0.2%以上添加することによ
り、目的とする耐食性が母材部、溶接部ともに得られ
る。一方、Crは溶接性には有害な元素である。特に3
%以上の添加により、その悪影響が著しくなるためその
添加範囲を0.2〜3%とする。
【0029】その他の元素は、Crの効果を助けるも
の、鋼のその他の特性、即ち、強度、加工性、靱性、溶
接性、及び炭酸ガス腐食と同時におこる可能性のある腐
食に対する耐食性を考慮して添加してもよい。
【0030】特に天然ガスのパイプラインにおいては、
炭酸ガスの他に硫化水素が共存することも多く、硫化水
素によるHIC(水素誘起割れ)及びSSCC(硫化物
応力腐食割れ)は本用途において絶えず考慮する必要が
ある。
【0031】次に述べる各種元素の1種又は2種以上を
添加するとよい。先ず、Niは鋼の耐HIC特性を改善
する。またCuの熱間加工性に対する悪影響を低下させ
る作用もある。しかし、これらの元素は高価な元素であ
り、また、著しく多量に添加すると熱処理特性が変化す
るため、上限を1%とする。
【0032】Coの場合も同様である。 Moは鋼の耐
食性をあげる元素である。又、耐HIC性を改善する。
しかし、高価な元素であり、また、著しく多量に添加す
ると、熱処理特性が変化するため、上限を1%とする。
Wの場合も同様である。
【0033】Nは、通常溶解時に鋼に大気中より吸収さ
れる強化元素でもあるが、その含有量が0.01%を超
えると靱性に悪影響をもたらす。従って、上限を0.0
1%とする。
【0034】CaはSと結びつき介在物を粒状化し、形
態制御を通じて各種の腐食環境下における耐食性を向上
させる。耐HIC性は0.001%以上の添加により向
上する。一方、0.01%を超えて添加すると鋼の靱性
が劣化するため、上限を0.01%とする。
【0035】MgもSと結びつき介在物を粒状化し、形
態制御を通じて各種の腐食環境下における耐食性を向上
させる。耐HIC性からは0.001%以上の添加が好
ましい。上限はCaと同様に、鋼の靱性が劣化しない範
囲の0.01%とする。
【0036】REM、YもSと結びつき介在物を粒状化
し、形態制御を通じて各種の腐食環境下における耐食性
を向上させる。耐HIC性からは0.001%以上の添
加が好ましい。上限は鋼の靱性が劣化しない範囲の0.
1%とする。
【0037】Tiは脱酸元素であり、また強化元素であ
るが、0・1%を超えて添加すると靱性を劣化させる等
の悪影響が出てくるため、0.1%を上限値とする。Z
rもTiと同様に脱酸元素であり、また強化元素である
が、0・1%を超えて添加すると靱性を劣化させる等の
悪影響が出てくるため、0.1%を上限値とする。
【0038】Nb,Vは鋼の強度を増加させるが、いず
れも0.2%を超えて添加すると靱性を劣化させるた
め、上限を0.2%とする。
【0039】Asは鋼の炭酸ガス腐食環境耐食性に有効
である。その効果は0.005%程度より顕著となる。
上限値は溶接性より0.1%とする。Snも鋼の炭酸ガ
ス腐食環境耐食性に有効である。その効果は0.005
%程度より顕著となる。上限値は溶接性より0.1%と
する。
【0040】Sbも鋼の炭酸ガス腐食環境耐食性に有効
である。その効果は0.005%程度より顕著となる。
上限値は溶接性より0.1%とする。Pbも鋼の炭酸ガ
ス腐食環境耐食性に有効である。その効果は0.005
%程度より顕著となる。上限値は溶接性より0.1%と
する。なお、Sについては、通常、鋼に含まれる0.0
3%程度は含有してもよい。
【0041】従来方法による電縫管の製造時における溶
接は、ア−ク溶接に比較すると入熱が小さい溶接である
ため接合部の冷却速度は速い。このため、加熱時に一度
固溶したMnSの一部はFeSとMnSとして再析出す
るが、完全には再析出できず大部分は過飽和に固溶した
ままとなる。その結果、電縫溶接部は母材部に比較して
固溶Sの濃度が高く、このため浸漬電位が母材部より卑
になる。これが電縫溶接部の耐食性が劣る最も大きな理
由である。
【0042】一方、電縫溶接部近傍のメタルの立ち上が
り部には、Sを主原因とする別種の腐食が進行する。こ
の部分の腐食は、起点がMnSやFeSと言ったA系介
在物であることが多く、初期段階では介在物に沿って腐
食が進行する。母材部ではこれらの介在物は圧延方向に
沿って平行(L方向)に伸び、板の表面には露出してい
ない。
【0043】しかし、電縫溶接管の製造においては、ア
ップセットを行う必要があり、メタルフロ−が立ち上が
り、板の横断面に相当する面が鋼管の内外表面に現れる
ことになり、ここより腐食が進行する。この面からS量
は低いほど好ましいことになる。
【0044】このメタルフロ−の立ち上がり部分に腐食
が進行すると選択腐食となるが、電縫溶接部の選択腐食
は次式で示される指標α値で評価した。なお、α=1.
0は電縫部の選択腐食は全く起こっていないことを示す
が、実用的には α≦1.2であれば電縫部の選択腐食
のトラブルは殆ど起こらない。
【0045】α=d1 /d2 d1 :電縫部の腐食の深さ(mm) d2 :母材部の腐食の深さ(mm)
【0046】本発明においては、レーザビ−ム照射を行
うため、通常の電縫管に比較して、多量の入熱を電縫溶
接部に与える。従って、冷却速度は通常の電縫管に比較
して遅く、Sは冷却時に析出しやすく、従って母材部に
比較して卑となる程度は少ない。
【0047】溶接後、電縫部のビードは切削されるの
で、メタルフローの立上がり角度が大きいほど、上に述
べた介在物が電縫部の表面への露出点が多くなる。この
露出点が腐食の起点となりかつ進行経路となる。そこ
で、メタルフローの立上がり角度は低い方が望ましい。
【0048】そこで、種々実験した結果、メタルフロー
の立上がり角度を45°以下と限定すると電縫部の表面
への露出点が少なく、湿潤炭酸ガス環境中での電縫部の
選択腐食が少ないことが判明した。メタルフローの立上
がり角度45°以下の場合は比較的に低く、実質的にM
nSやFeSが鋼管の内外表面に現われる確率が高くな
るため、メタルフロ−の立ち上がり角度を45°以下と
限定した。
【0049】これらの理由により、優れた耐炭酸ガス腐
食性が得られるが、勿論S量は低い方が望ましいことは
言うまでもない。例えば、S量を0.015%以下にす
ることにより、更に優れた性能が得られる。
【0050】これに対して、Pの耐食性に与える影響は
無視し得る程度であり、その上限は0.3%程度であ
る。なお、耐HIC性、耐SSCC性をあわせて持たせ
るためには、S量の上限値は0.01%とすることが望
ましい。以上が組成の限定理由である。
【0051】本発明においては、高エネルギービーム、
例えばレーザ照射ビ−ムを行い溶接部を溶融し、溶接部
を溶融凝固組織とする。このような組織であれば介在物
は細かく分散しており、電縫溶接部の介在物を排出する
必要性がないため、アップセット量を大きくとる必要は
ない。
【0052】なお、従来の方法と同一のアップセット量
とした場合も、溶融部が存在するため、メタルフロ−の
立ち上がり角度は当然小さくなる。ここでアプセット量
とは次の定義による。 アプセット量(mm)=造管前のコイル幅(mm)−管
外周長さ(mm)
【0053】
【実施例】表1に示す化学組成の鋼を溶解した。表中の
A〜N鋼は実験室で真空溶解し、50kgインゴットに
鋳造した。いずれも、本発明の範囲内の組成を有する鋼
である。(O〜Q鋼については後述する)
【0054】また、表2に本発明の範囲外の組成を持つ
比較例の鋼の組成を示した。F鋼は先のA〜N鋼と同様
に実験室で真空溶解し、50kgインゴットに鋳造した
ものである。(R,S鋼については後述する)これらの
鋼を1200℃、に加熱し、板厚50mmまで圧延した
後空冷した。
【0055】空冷後の鋼板から50×150×400m
mの板を切出し、加熱温度1200℃、圧延終了温度8
20℃で板厚12mmまで圧延した。圧延終了直後にミ
ストスプレーで冷却速度約10℃/sec で550℃まで
冷却した後、前もって550℃に加熱しておいた電気炉
に挿入後炉冷した。これらの工程は熱間圧延による鋼帯
の製造条件をシミュレートしたものである。
【0056】
【表1の1】
【0057】
【表1の2】
【0058】
【表2の1】
【0059】
【表2の2】
【0060】室温まで冷却された鋼板から6×35×1
00mmの試験片1を切出し、電縫シミュレータを用い
て溶接した。この装置は図2に示すように多段の成形ガ
イドロールから2枚の鋼板を送り込み、相対する鋼板の
エッジ部をコンタクトチップ2から供給する高周波電流
で抵抗加熱した後、スクイズロール3で圧接するに際し
エッジ接合部に炭酸ガスレーザビーム4を照射する機能
を備えている。
【0061】溶接条件は溶接速度15m/min、コン
タクトチップ2からの投入電力200kwであり、アプ
セット量は0〜4mmの範囲で変化させた。またレーザ
出力は5kw、焦点位置でのビーム径は0.5mmで、
鋼板の垂直上方からエッジ接合点に焦点を合わせて照射
した。製造条件を表3に示した。
【0062】
【表3の1】
【0063】
【表3の2】
【0064】
【表3の3】
【0065】上記の方法で製造した溶接部から3.5×
30×60mmの試験片5を切り出し、表面を研磨した
後、図3に示す装置で炭酸ガス腐食試験を行った。試験
溶液は炭酸ガスを飽和させた人工海水で溶液の温度は8
0℃、液の流速は3m/sec、試験時間は300hr
である。
【0066】腐食試験前後の試験片5の重量を測定し
て、単位面積あたりの腐食減量としてC値(mg/cm
2 )を求めた。なお、湿潤炭酸ガス環境下で使用するに
はC≦80mg/cm2 である必要があることが必要で
ある。
【0067】また、試験後に試験片5の断面を検鏡し、
電縫部の選択腐食の程度を調べた。電縫部の選択腐食の
評価には、先に示した指標であるα値を用いた。試験結
果を表3に示すが、本発明の実施例はいずれもC値が8
0mg/cm2 以下であり、またα値は1.2以下と優
れた性能を示している。
【0068】これに対して、組成は本発明の範囲内にあ
るが、レ−ザ−ビ−ム照射を行っていない比較例のC値
は80mg/cm2 以下を満足するが、α値は1.2よ
り大幅に大きく、選択腐食が起こっていることを示して
いる。
【0069】表1中のO〜Q鋼、および表2中のR,S
鋼は、工場で溶解し、ホットストリップミルで厚さ7.
5mmの熱延鋼帯とし、その鋼帯を用いて76.3φ
(直径)×7.5t(厚み)mmの電縫管を製造した。
レ−ザ−ビ−ム照射を行った場合と行わなかった場合に
ついて試験を行った。アプセット量はほぼ一定としてい
る。
【0070】鋼管を製造後に電縫溶接部を切り出し、更
に、3.5×30×60mmの試験片5を加工し、先の
実験室溶解材と同様の試験を行った。結果を表4に示す
が、組成範囲が本発明の範囲内であり、且つレ−ザ−照
射を行った場合は優れた耐食性を示していることがわか
る。
【0071】これに対して、Cr量が不足する鋼はC値
が80mg/cm2 を超えており、炭酸ガス腐食環境下
で使用不可能であることがわかる。僅かであるが、S量
の高いP,Q鋼のα値は高い。
【0072】なお、表3中の、試験■32〜37,40
〜43は、O〜Q鋼、R,S鋼の厚さ7.5mmの熱延
鋼帯から、鋼片を採取し実験室で溶接して、試験した結
果であるが、同様の傾向が認められる。
【0073】
【表4】
【0074】
【発明の効果】本発明により、母材、電縫溶接部共に湿
潤炭酸ガス腐食環境下における、耐食性に優れた電縫管
が得られる。また本発明方法により製造した電縫管は、
電縫溶接部、母材部共に腐食減量が少なく、電縫溶接部
近傍の選択腐食も認められないラインパイプ用電縫鋼管
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の電縫管の溶接部の金属組織(a)と比較
して本発明に係る電縫管の溶接部の金属組織(b)を示
した図面代用写真である。
【図2】本発明の実施例で使用した溶接シミュレータの
概略図である。
【図3】本発明の実施例で使用した炭酸ガス腐食試験装
置を示す概略を示す断面図である。
【符号の説明】
1 試験片 2 コンタクトチップ 3 スクイズロール 4 レーザビーム 5 試料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 昭夫 東京都千代田区丸の内一丁目1番地2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 岩崎 謙一 東京都千代田区丸の内一丁目1番地2号 日本鋼管株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の特徴を備えた耐炭酸ガス腐食性に
    優れた電縫管。 (a)主成分(成分組成は重量%)として、 C:0.2%以下、 Si:0.5%以下、 Mn:2%以下、 Al:0.08%以下、 Cr:0.2%〜3%を含有し、 残部が実質的にFeからなる電縫管であって、(b)前
    記電縫管の電縫溶接部に溶融凝固組織を有する。
  2. 【請求項2】 下記の特徴を備えた耐炭酸ガス腐食性に
    優れた電縫管。 (a)主成分(成分組成は重量%)として、 C:0.2%以下、 Si:0.5%以下、 Mn:2%以下、 Al:0.08%以下、 Cr:0.2%〜3%を含有し、 更に Ni:1%以下、 Co:1%以下、 Mo:1%以下、 W:1%以下、 Cu:1%以下、 Nb:0.2%以下、 V:0.2%以下、 Ti:0.1%以下、 Zr:0.1%以下、 REM:0.1%以下、 Y:0.1%以下、 N:0.01%以下、 Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下、 As:0.1%以下、 Pb:0.1%以下、 Sn:0.1%以下、 Sb:0.1%以下、 の1種又は2種以上を含有し、残部が実質的にFeから
    なる電縫管であって、(b)前記電縫管の電縫溶接部に
    溶融凝固組織を有する。
  3. 【請求項3】 前記電縫溶接部近傍のメタルフローの立
    上がり角度が45°以下である請求項1又は請求項2記
    載の耐炭酸ガス腐食性に優れた電縫管。
  4. 【請求項4】 下記の工程を備えたことを特徴とする耐
    炭酸ガス腐食性に優れた電縫管の製造方法。 (a)主成分(成分組成は重量%)として、 C:0.2%以下、 Si:0.5%以下、 Mn:2%以下、 Al:0.08%以下、 Cr:0.2%〜3%を含有し、 残部が実質的にFeからなる鋼板を用意する工程と、
    (b)前記鋼板をオ−プンパイプに成形する工程と、
    (c)前記オ−プンパイプの相対する両エッジ部を鋼板
    の溶融温度以下に加熱する工程と、(d)前記オ−プン
    パイプの相対する両エッジ部にレ−ザ−ビ−ムを照射し
    て溶融すると共に、スクイズロールでアプセット量を制
    御し、圧接する工程。
  5. 【請求項5】 下記の工程を備えたことを特徴とする耐
    炭酸ガス腐食性に優れた電縫管の製造方法。 (a)主成分(成分組成は重量%)として、 C:0.2%以下、 Si:0.5%以下、 Mn:2%以下、 Al:0.08%以下、 Cr:0.2%〜3%を含有し、 更に Ni:1%以下、 Co:1%以下、 Mo:1%以下、 W:1%以下、 Cu:1%以下、 Nb:0.2%以下、 V:0.2%以下、 Ti:0.1%以下、 Zr:0.1%以下、 REM:0.1%以下、 Y:0.1%以下、 N:0.01%以下、 Ca:0.01%以下、 Mg:0.01%以下、 As:0.1%以下、 Pb:0.1%以下、 Sn:0.1%以下、 Sb:0.1%以下、 の1種又は2種以上を含有し、残部が実質的にFeから
    なる鋼板を用意する工程と、(b)前記鋼板をオ−プン
    パイプに成形する工程と、(c)前記オ−プンパイプの
    相対する両エッジ部を鋼板の溶融温度以下に加熱する工
    程と、(d)前記相対する両エッジ部にレ−ザ−ビ−ム
    を照射して溶融すると共に、スクイズロールでアプセッ
    ト量を制御し、圧接する工程。
JP7245259A 1995-08-31 1995-08-31 耐炭酸ガス腐食性に優れた電縫管及びその製造方法 Pending JPH0971837A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101845593A (zh) * 2010-05-19 2010-09-29 首钢总公司 20控Cr核电用钢及其生产方法
EP2808411A4 (en) * 2012-01-25 2015-10-21 Jfe Steel Corp CORROSION RESISTANT STEEL FOR HOLDING A CARBON VESSEL OR A COAL / ERZ VESSEL

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