JP2001179062A - 微多孔膜 - Google Patents

微多孔膜

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JP2001179062A
JP2001179062A JP37023899A JP37023899A JP2001179062A JP 2001179062 A JP2001179062 A JP 2001179062A JP 37023899 A JP37023899 A JP 37023899A JP 37023899 A JP37023899 A JP 37023899A JP 2001179062 A JP2001179062 A JP 2001179062A
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resin
microporous membrane
polyvinylidene fluoride
stretching
plasticizer
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JP37023899A
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English (en)
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Izumi Hojuyama
和泉 宝珠山
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Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリフッ化ビニリデン樹脂を含み、高い突き
刺し強度を有する微多孔膜を提供すること。 【解決手段】 ポリフッ化ビニリデン樹脂を含み、気孔
率が30〜90%、膜厚100μm当たりの突き刺し強
度が4.0N以上である微多孔膜及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウィルスや細菌等
の除去、濃縮、または培地等に利用できる医用分離膜、
薬液や処理水等から微粒子を除去する産業プロセス用フ
ィルター、油水分離や液ガス分離用の分離膜、上下水の
浄化を目的とする分離膜、リチウムイオン電池等のセパ
レーター、及びポリマー電池用の固体電解質支持体等の
広範囲な用途に利用できる微多孔膜に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、微多孔膜はリチウムイオン2次電
池用セパレーターとしての需要が伸びている。このリチ
ウムイオン2次電池には、電解液や正負極活物質等の薬
剤が使用されているため、従来はセパレーターの材質と
しては耐薬品性を考慮し、ポリエチレンやポリプロピレ
ン等のポリオレフィン系ポリマーが使用されてきた。ポ
リオレフィン系セパレーターは高強度という利点を有す
る反面、その耐薬品性故に電解液との親和性に乏しい。
【0003】しかし、近年では電解液との高い親和性を
有するポリフッ化ビニリデン樹脂やポリアクリロニトリ
ル樹脂を材質とする試みが見られるようになった。ポリ
フッ化ビニリデン樹脂等の樹脂をセパレーターの材質と
して使用すると、その高い親和性故に、極めて高いイオ
ン伝導性を期待でき、注目を浴びている。しかし、従来
のポリフッ化ビニリデン製の微多孔膜は強度が低かった
ため、電極と重ね合わせて電池を作製する際に、電極表
面の突起物等により損傷を受け、内部短絡等のトラブル
を起こすことが課題となっていた。したがって、ポリフ
ッ化ビニリデン樹脂本来の高いイオン伝導性という利点
を活かせないのが現状であり、ポリオレフィン系セパレ
ーター並みの高強度微多孔膜の開発が切望されている。
【0004】ポリフッ化ビニリデン樹脂製微多孔膜のそ
の他の用途としては、血漿分画製剤やバイオ医薬品等の
製剤から細菌やウィルス等の病原体を除去する分離膜、
薬液や処理水等から微粒子や固形不純物を除去する産業
プロセスフィルター、油水分離や液ガス分離に用いる分
離膜、上下水の浄化を目的とする分離膜等のように、何
れも高いろ過圧に耐えうる高強度微多孔膜を必要とする
用途へ適用できる。ポリフッ化ビニリデン製微多孔膜の
一般的製造方法としては、いわゆる湿式法と呼ばれる非
溶媒誘起型相分離による技術が従来より多数開示されて
おり、例えば特開昭58−91732号公報並びに特開
昭59−16503号公報が挙げられる。しかし、非溶
媒誘起型相分離により形成された微多孔膜は強度が極め
て低いため電池用セパレーターには適さない。
【0005】特開昭54−62273号公報や特開昭5
2−40582号公報には、いわゆるラメラ延伸開孔法
によるポリフッ化ビニリデン樹脂製微多孔膜の製造方法
が開示されている。該公報によれば、ポリフッ化ビニリ
デン樹脂製の非多孔質中空糸又はフィルムに延伸歪みを
与えることにより該樹脂の結晶部と非晶部に界面破壊を
生じせしめて多孔化する技術が開示されているが、多孔
化の度合いが不完全なため透過性能が不十分である。該
公報により製造された微多孔膜の気孔率は30%に満た
ないものであった。
【0006】特開平8−323910号公報には、例え
ば、ポリフッ化ビニリデン樹脂製の微多孔膜をポリメチ
ルペンテン樹脂製の微多孔膜で補強することにより、微
多孔膜の強度を改善する手段が開示されている。しか
し、該公報において開示された微多孔膜の膜厚100μ
m当たりの突き刺しエネルギーは1.9mJと概算さ
れ、ポリメチルペンテン樹脂製の微多孔膜で積層補強さ
れているものの、充分な強度を有していない。該突き刺
しエネルギーに関しては、本発明の実施例において後述
する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリフッ化
ビニリデン樹脂を含み、高い突き刺し強度を有する微多
孔膜を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、突き刺し強度に
代表される膜強度が極めて優れた微多孔膜を得ることに
成功し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は、
(a) ポリフッ化ビニリデン樹脂を含み、気孔率が3
0〜90%、膜厚100μm当たりの突き刺し強度が
4.0N以上である微多孔膜、(b) 膜厚100μm
当たりの突き刺しエネルギーが2.0mJ以上であるこ
とを特徴とする上記(a)記載の微多孔膜、(c) ポ
リフッ化ビニリデン樹脂及び可塑剤を含み、且つ熱誘起
型固液相分離点を有する組成物を加熱して均一溶解し、
50℃/分以上の冷却速度で冷却固化し、該可塑剤の実
質的部分を除去する前、又は後に、少なくとも1軸方向
に少なくとも1回の延伸を施すことを含む微多孔膜の製
造方法において、下記式(1)で定義する相分離点降下
定数が0〜40℃である組成物を使用することを特徴と
する微多孔膜の製造方法、 α=100×(TC 0−TC )÷(100−C) (1) (式中、αは相分離点降下定数(℃)、TC 0はポリフッ
化ビニリデン樹脂の結晶化点(℃)、TC は組成物の熱
誘起型固液相分離点(℃)、Cは組成物中のポリフッ化
ビニリデン樹脂の濃度(重量%)を表す。) (d) 加熱処理を施すことを含む上記(c)記載の微
多孔膜の製造方法、である。
【0009】本発明の微多孔膜の膜厚は、好ましくは1
μm〜10mm、さらに好ましくは5μm〜5mm、そ
して最も好ましくは10μm〜1mmである。膜厚が1
μm未満であると微多孔膜の強度が不十分となり、10
mmを越えると透過性能が不十分となるので好ましくな
い。本発明の微多孔膜の気孔率は、30〜90%である
ことが必須であり、好ましくは35〜85%、そして最
も好ましくは40〜80%である。気孔率が30%未満
であると透過性能が不十分となり、90%を越えると微
多孔膜の強度が不十分となるため望ましくない。
【0010】本発明の微多孔膜の透気度は、好ましくは
10〜10000秒であり、さらに好ましくは20〜5
000秒、そして最も好ましくは50〜2000秒であ
る。該透気度は膜厚100μmに規格化した数値であ
る。透気度が10秒未満であると微多孔膜の強度が損な
われ、10000秒を越えると透過性能が損なわれるた
め好ましくない。本発明の微多孔膜の突き刺し強度は
4.0N以上であることが必須であり、好ましくは4.
5N以上、さらに好ましくは5.0N以上である。該突
き刺し強度は、突き刺し試験における破壊点で観測され
る最大荷重を膜厚100μmに規格化した数値である。
突き刺し強度が4.0N未満であると、例えば微多孔膜
を電池用セパレーターとして使用する場合に、電極活物
質が突き刺さり内部短絡等の電池トラブルを起こしかね
ない。一方、突き刺し強度はそれ自体が高すぎることに
より特に支障はないが、たとえば10.0Nを越えるよ
うな微多孔膜は実質的に製造しがたい。
【0011】本発明の微多孔膜の突き刺しエネルギー
は、好ましくは2.0mJ以上であり、さらに好ましく
は2.5mJ以上、そして最も好ましくは3.0mJ以
上である。該突き刺しエネルギーは、膜厚100μmに
規格化した数値である。突き刺しエネルギーが2.0m
J未満であると、強度が不十分となり好ましくない。ま
た、突き刺し試験におけるエネルギーはそれ自体が高す
ぎることにより特に支障はないが、例えば100mJを
越えるような微多孔膜は実質的に製造しがたい。
【0012】本発明の微多孔膜の製造方法としては、ポ
リフッ化ビニリデン樹脂及び可塑剤を含み、且つ熱誘起
型固液相分離点を有する組成物を加熱して均一溶解し、
冷却固化し、該可塑剤の実質的部分を除去する前、又は
後に、少なくとも1軸方向に少なくとも1回の延伸を施
すことにより行う。また、該製造方法において、加熱処
理を施すことを含むと寸法安定性に優れた微多孔膜を得
ることができるので好ましい。
【0013】本発明において使用するポリフッ化ビニリ
デン樹脂とは、基本骨格がフッ化ビニリデン単位を含む
フッ素系重合体を指すものであり、一般にはPVDFの
略称で呼ばれる樹脂である。このようなポリフッ化ビニ
リデン樹脂としては、フッ化ビニリデン(VDF)のホ
モ重合体や、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ペ
ンタフルオロプロピレン(PFP)、テトラフルオロエ
チレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CT
FE)、及びパーフルオロメチルビニルエーテル(PF
MVE)のモノマー群から選んだ1種または2種のモノ
マーとフッ化ビニリデン(VDF)との共重合体を使用
することができる。また、該ホモ重合体及び該共重合体
を混合して使用することもできる。本発明においては、
ホモ重合体を30〜100重量%含むポリフッ化ビニリ
デン樹脂を使用すると微多孔膜の結晶性が向上し高強度
となるため好ましく、ホモ重合体のみを使用するとさら
に好ましい。
【0014】本発明において使用するポリフッ化ビニリ
デン樹脂の平均分子量は、5万〜500万が好ましく、
さらに好ましくは10万〜200万、そして最も好まし
くは15万〜100万である。該平均分子量は、GPC
(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定等に
より得られる重量平均分子量を指すものであるが、一般
に平均分子量が100万を越えるような樹脂について
は、正確なGPC測定が困難であるので、その代用とし
て粘度法による粘度平均分子量をあてることができる。
平均分子量が5万より小さいと、溶融成形の際のメルト
テンションが無くなり成形性が悪くなったり、強度が低
くなったりするので好ましくない。平均分子量が500
万を越えると、均一に溶融混練し難くなる傾向があるの
で使用しない方が好ましい。
【0015】本発明においては、本発明の微多孔膜の効
用を阻害しない範囲で、更に熱可塑性樹脂を混合しても
差し支えない。ポリフッ化ビニリデン樹脂と熱可塑性樹
脂の混合比率は、好ましくはポリフッ化ビニリデン樹脂
50〜100重量%及び熱可塑性樹脂50〜0%であ
り、さらに好ましくはポリフッ化ビニリデン樹脂80〜
100重量%及び熱可塑性樹脂20〜0%であり、そし
て最も好ましくはポリフッ化ビニリデン樹脂のみからな
る場合である。
【0016】熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹
脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ4−メチル1−ペンテン
樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチ
レンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹
脂、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート樹
脂等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66、
ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイ
ロン12、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリフッ
化ビニリデン樹脂、エチレン/テトラフルオロエチレン
樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂等のフッ素
系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、及びポリアセタ
ール樹脂等が使用できる。
【0017】本発明において使用する可塑剤は、ポリフ
ッ化ビニリデン樹脂と混合した際に樹脂の結晶融点以上
において均一溶液を形成しうる不揮発性溶媒を用いる。
可塑剤の形態は、概ね常温20℃において、液体であっ
ても固体であっても差し支えない。また、樹脂との均一
溶液を冷却した際に、熱誘起型固液相分離点を持つよう
ないわゆる固液相分離系の可塑剤を用いることが必須で
ある。また、本発明において使用する可塑剤としては、
下記式(1)で定義する相分離点降下定数が0〜40℃
であることを必須とし、1〜35℃であると好ましく、
5〜30℃であるとさらに好ましい。相分離点降下定数
が40℃を越えると、突き刺し強度に代表される微多孔
膜の強度が低下したり、又は延伸さえ不可能となってし
まうため望ましくない。 α=100×(TC 0−TC )÷(100−C) (1) (式中、αは相分離点降下定数(℃)、TC 0はポリフッ
化ビニリデン樹脂の結晶化点(℃)、TC は組成物の熱
誘起型固液相分離点(℃)、Cは組成物中のポリフッ化
ビニリデン樹脂の濃度(重量%)を表す。) 熱誘起型固液相分離点を測定する方法は、予め所定の濃
度で溶融混練した樹脂と可塑剤とからなる混合物を試料
として用い、熱分析(DSC)により該樹脂の発熱ピー
ク温度を測定することにより求めることができる。ま
た、該樹脂の結晶化点を測定する方法は、予め該樹脂を
溶融混練したものを試料として用い、同様に熱分析によ
り求めることができる。
【0018】このような可塑剤としては、例えば、フタ
ル酸ジシクロヘキシルまたはフタル酸ジアミルが好まし
い。また、2種以上の可塑剤を混合して使用することも
可能であり、以下に列挙する第一群より選択した1種以
上の可塑剤と、第二群より選択した1種以上の可塑剤を
混合して使用することができる。第一群は、フタル酸ジ
メチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタ
ル酸ジイソプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイ
ソブチル、フタル酸ジアミル、フタル酸ジシクロヘキ
ル、トリメリット酸トリメチル、トリメリット酸トリプ
ロピル、トリメリット酸トリブチル、マロン酸ジメチ
ル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸
ジイソプロピル、マロン酸ジブチル、コハク酸ジメチ
ル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジプロピル、コハク酸
ジイソプロピル、コハク酸ジブチル、コハク酸ジアミ
ル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピ
ン酸ジプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン
酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジメ
チル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、リン
酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、
リン酸トリアミル、トリアセチン、トリプロピオニン、
トリブチリン、トリカプロイン、ジメチルスルフォキシ
ド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ε
−カプロラクタム、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラ
クトン、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノン、炭
酸エチレン、炭酸プロピレン、アセトフェノン、エチレ
ングリコールジアセテート、エチレングリコールジプロ
ピオネートである。
【0019】第二群は、フタル酸ジヘプチル、フタル酸
ジn−オクチル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタ
ル酸ジn−ノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジ
イソデシル、フタル酸ジトリデシル、トリメリット酸ト
リ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ2−エチルヘキシ
ル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシ
ル、アゼライン酸ジ2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ
n−オクチル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、リン
酸トリ2−エチルヘキシルである。
【0020】本発明において使用するポリフッ化ビニリ
デン樹脂含有熱可塑性樹脂と可塑剤を含む組成物は、該
樹脂10〜90重量%及び該可塑剤90〜10重量%を
使用することが好ましく、さらに好ましくは該樹脂15
〜80重量%及び該可塑剤85〜20重量%、そして最
も好ましくは該樹脂20〜60重量%及び該可塑剤80
〜40重量%である。該樹脂の濃度が10重量%未満で
あると突き刺し強度に代表される膜強度が低下し、90
重量%を越えると多孔構造の微多孔膜を得難くなる傾向
にあり透過性能に劣るものとなるため好ましくない。
【0021】本発明において、ポリフッ化ビニリデン樹
脂含有熱可塑性樹脂と可塑剤を含む組成物を均一溶解さ
せる第一の方法は、該樹脂を押出機等の連続式樹脂混練
装置に投入し、樹脂を加熱溶融させながら任意の比率で
可塑剤を導入してスクリュー混練することにより、均一
溶液を得る方法である。投入する樹脂の形態は、粉末
状、顆粒状、ペレット状の何れでも良い。また、このよ
うな方法によって均一溶解させる場合は、可塑剤の形態
は常温液体であることが好ましい。押出機としては、単
軸スクリュー式押出機、二軸異方向スクリュー式押出
機、二軸同方向スクリュー式押出機等が使用できる。
【0022】樹脂と可塑剤を含む組成物を均一溶解させ
る第二の方法は、ヘンシェルミキサー等の撹拌装置を用
いて、樹脂と可塑剤を予め混合して分散させ、得られた
組成物を押出機等の連続式樹脂混練装置に投入して混練
することにより、均一溶液を得る方法である。投入する
組成物の形態については、可塑剤が常温液体である場合
はスラリー状とし、可塑剤が常温固体である場合は粉末
状や顆粒状等とすれば良い。
【0023】樹脂と可塑剤を含む組成物を均一溶解させ
る第三の方法は、ブラベンダーやミル等の簡易型樹脂混
練装置を用いる方法や、その他のバッチ式混練容器内で
溶融混練する方法である。該方法によれば、バッチ式の
工程となるため生産性は良好とは言えないが、簡易でか
つ柔軟性が高いという利点がある。本発明において、冷
却固化させて成形する第一の方法は、樹脂と可塑剤を含
む均一溶液をTダイ等を介して平膜状に押し出し、熱伝
導体に接触させて熱誘起型固液相分離点より充分に低い
温度まで冷却することにより行う。熱伝導体としては、
金属、水、空気、あるいは可塑剤自身が使用できるが、
特に金属製のロールに接触させて冷却する方法が加工性
が高く好ましい。また、金属製のロールに接触させる際
に、ロール間で挟み込む等してカレンダー成形または熱
間圧延を施すと、更に熱伝導の効率が高まり、平膜の表
面平滑性も向上するため好ましい。
【0024】冷却固化させて成形する第二の方法は、樹
脂と可塑剤の均一溶液を平膜状に成形したものを冷媒浴
中に投入するか、または冷却プレス機等で圧縮すること
により冷却する方法である。本発明において、冷却固化
させる際の冷却速度は50℃/分以上であることが必須
であり、好ましくは100〜1×105 ℃/分、さらに
好ましくは200〜2×104 ℃/分である。冷却速度
が50℃/分未満であると、強度が低下してしまうため
望ましくない。
【0025】本発明においては、可塑剤を除去するため
に抽出溶剤を使用する。抽出溶剤は樹脂に対して貧溶媒
であり、かつ可塑剤に対して良溶媒であり、沸点が微多
孔膜の融点より低いことが好ましい。このような抽出溶
剤としては、例えば、ヘキサンやシクロヘキサン等の炭
化水素類、塩化メチレンや1,1,1−トリクロロエタ
ン等のハロゲン化炭化水素類、エタノールやイソプロパ
ノール等のアルコール類、ジエチルエーテルやテトラヒ
ドロフラン等のエーテル類、アセトンや2−ブタノン等
のケトン類、あるいは水が挙げられる。
【0026】本発明において、可塑剤を除去する第一の
方法は、抽出溶剤が入った容器中に所定の大きさに切り
取った微多孔膜を浸漬し充分に洗浄した後に、付着した
溶剤を風乾させるかまたは熱風によって乾燥させること
により行う。この際、浸漬の操作や洗浄の操作を多数回
繰り返して行うと微多孔膜中に残留する可塑剤が減少す
るので好ましい。また、浸漬、洗浄、乾燥の一連の操作
中に微多孔膜の収縮を抑えるために、微多孔膜の端部を
拘束することが好ましい。
【0027】可塑剤を除去する第二の方法は、抽出溶剤
で満たされた槽の中に連続的に微多孔膜を送り込み、可
塑剤を除去するのに充分な時間をかけて槽中に浸漬し、
しかる後に付着した溶剤を乾燥させることにより行う。
この際、槽内部を多段分割することにより濃度差がつい
た各槽に順次微多孔膜を送り込む多段法や、微多孔膜の
走行方向に対し逆方向から抽出溶剤を供給して濃度勾配
をつけるための向流法のような公知の手段を適用する
と、抽出効率が高められ好ましい。第一、第二の方法に
おいては、何れも可塑剤を微多孔膜から実質的に除去す
ることが重要である。また、抽出溶剤の温度を、溶剤の
沸点未満の範囲内で加温すると、可塑剤と溶剤との拡散
を促進することができるので抽出効率を高められ更に好
ましい。
【0028】本発明の微多孔膜の製造方法においては、
可塑剤の実質的部分を抽出することにより除去する工程
の前又は後に、少なくとも1軸方向に少なくとも1回の
延伸を施すことを必須とする。少なくとも1軸方向と
は、機械方向1軸延伸、幅方向1軸延伸、同時2軸延
伸、又は逐次2軸延伸を指すものである。また、少なく
とも1回とは、1段延伸、多段延伸、多数回延伸のこと
を指す。尚、本発明では、抽出工程の前に行う延伸を抽
出前延伸、抽出工程の後に行う延伸を抽出後延伸と呼
ぶ。
【0029】本発明における抽出前延伸は、可塑剤が微
多孔膜の微孔内部、結晶間隙、及び非晶部に高次に分散
された状態で延伸するので、可塑化効果により延伸性が
良くなるとともに、微多孔膜の気孔率の増大を抑制する
効果があり、高倍率延伸が実現できるため高強度化が可
能である。さらに高強度を実現するためには2軸延伸が
好ましく、特に同時2軸延伸が工程の簡略化ができるの
で最も好ましい。延伸温度は、樹脂の結晶融点TM 0に対
し、好ましくは(TM 0−100)〜(TM 0)℃、更に好
ましくは(TM 0−50)〜(TM 0−5)℃、そして最も
好ましくは(T M 0−30)〜(TM 0−10)℃で行う。
延伸温度が(TM 0−100)℃未満であると延伸性が悪
くなり、また延伸後の歪み成分が残り、寸法安定性が低
下するので好ましくない。延伸温度が(TM 0)℃を越え
ると、微多孔膜が融解し透過性能を損なうので好ましく
ない。延伸倍率は任意の倍率に設定できるが、1軸方向
の倍率で好ましくは1.5〜20倍、さらに好ましく2
〜10倍、また、2軸方向の面積倍率で好ましくは2〜
400倍、さらに好ましくは4〜100倍である。
【0030】本発明における抽出後延伸は、可塑剤を微
多孔膜から実質的に除去した状態で延伸するので、延伸
に伴って微多孔膜の気孔率や孔径を増大させて透過性能
を高める効果がある。さらにこれに加えて高強度を実現
するためには2軸延伸が好ましく、特に同時2軸延伸が
工程の簡略化ができるので最も好ましい。延伸温度は、
樹脂の結晶融点TM 0に対し、好ましくは(TM 0−10
0)〜(TM 0)℃、更に好ましくは(TM 0−50)〜
(TM 0−5)℃、そして最も好ましくは(TM 0−30)
〜(TM 0−10)℃で行う。延伸温度が(TM 0−10
0)℃未満であると延伸性が悪くなり、また延伸後の歪
み成分が残り、寸法安定性が低下するので好ましくな
い。延伸温度が(TM 0)℃を越えると、微多孔膜が融解
し透過性能を損なうので好ましくない。延伸倍率は任意
の倍率に設定できるが、1軸方向の倍率で好ましくは
1.5〜20倍、さらに好ましく2〜10倍、また、2
軸方向の面積倍率で好ましくは2〜400倍、さらに好
ましくは4〜100倍である。
【0031】本発明においては、加熱処理を施すことが
好ましく、これにより可塑剤を除去した際の微多孔膜の
寸法安定性の向上、強度の向上、及び耐熱性の向上とい
った効果が得られる。抽出前延伸の場合には、延伸後及
び/または抽出後に加熱処理を施すことが好ましく、抽
出後延伸の場合には、抽出前及び/または延伸後に加熱
処理を施すことが好ましい。加熱処理の方法としては、
熱風中に微多孔膜を配して行う方法、熱媒中に微多孔膜
を浸漬して行う方法、または加熱温調した金属製のロー
ル等に微多孔膜を接触させて行う方法がある。
【0032】本発明において、加熱処理の温度は、樹脂
の結晶融点TM 0に対し、(TM 0−100)〜(TM 0)℃
が好ましく、さらに好ましくは(TM 0−50)〜(TM 0
−5)℃、そして最も好ましくは(TM 0−30)〜(T
M 0−10)℃である。加熱処理の温度が(TM 0−10
0)℃未満であると加熱処理の効果が得られず、一方
(TM 0)℃を越えると微多孔膜の細孔が閉塞して透過性
が失われるため、いずれも好ましくない。
【0033】本発明においては、本発明の利点を害さな
い範囲内で、さらに付加的処理を施してもよい。付加的
処理としては、例えば、電離性放射線等による架橋処
理、化学的表面修飾による官能基導入などが挙げられ
る。本発明において使用する組成物には、さらに目的に
応じて、酸化防止剤、結晶核剤、帯電防止剤、難燃剤、
滑剤、紫外線吸収剤等の添加剤を混合しても差し支えな
い。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を詳細
に説明する。実施例において示される試験方法は次の通
りである。 (1)膜厚 ダイヤルゲージ((株)尾崎製作所製 ピーコックN
O.25)を使用して測定した。 (2)気孔率 微多孔膜の体積(cm3 )と重量(g)を測定し、得ら
れた結果から次式を用いて、気孔率(%)を計算した。 気孔率=100×(1−重量÷(樹脂の密度×体積)) (3)突き刺し強度 カトーテック社製圧縮試験機KES−G5を用いて、針
先端の曲率半径0.5mm、突き刺し速度2mm/秒、
測定温度23±2℃の試験条件で突き刺し試験を行い、
荷重と深さの相関曲線を観測した。該相関曲線における
破壊点での最大荷重(N)及び膜厚(μm)より、次式
の通りに膜厚100μmに規格化して突き刺し強度
(N)とした。 突き刺し強度=100×最大荷重÷膜厚 (4)突き刺しエネルギー 前記突き刺し試験において観測された荷重(N)と深さ
(mm)の相関曲線において、試験開始点から破壊点ま
での領域を積分し、エネルギー(mJ)として定義し
た。
【0035】(5)透気度 JIS P−8117に準拠し、ガーレー式透気度計を
用いて測定した。試料面積6.45cm2 の微多孔膜
を、100cm3 の空気が透過するのに要する透気時間
(秒)を求め、膜厚100μmに規格化して透気度
(秒)とした。 (6)冷却速度 冷却固化の際に水のような冷媒浴中で固化させる場合の
冷却速度は、赤外線温度計を用い、次のようにして求め
た。無色透明な溶融状態の組成物を冷風をあてて冷却
し、組成物が結晶化を伴って固化して白色に変化する温
度を赤外線温度計を用いて測定し、固化温度(℃)を決
定した。次に、該組成物を冷媒浴中に引き込んで冷却固
化させる際に、冷媒浴に接触する直前の組成物の温度を
赤外線温度計を用いて測定し、初期温度(℃)とした。
さらに、該組成物を冷媒浴に接触させた瞬間から、該組
成物が固化して白色に変化するまでの固化時間(秒)を
計測して、次式の通りに冷却速度(℃/分)を算出し
た。冷却速度=60×(初期温度−固化温度)÷固化時
間また、冷却固化の際に、冷却プレス機のような金型を
利用する場合には、熱電対センサーを溶融状態の組成物
の中に差し込んで、温度と時間を計測することで冷却速
度を求めることができる。
【0036】(7)相分離機構の同定 (株)東洋精機製作所製ラボプラストミル(型式30C
150)に2軸スクリュー(型式R100H)を装着し
たものを混練装置として使用した。ポリフッ化ビニリデ
ン樹脂、可塑剤等を所定の比率で混合した組成物をラボ
プラストミルに投入し、スクリュー回転数50rpmと
して、所定の温度で溶融混練した。この際の混練時間は
自由に選択できるが、混練トルクが安定するまでに必要
とする時間や、樹脂の分解劣化の防止を考慮すると、5
〜10分が好ましい。次にスクリュー回転数を10rp
mに設定し、スクリュー混練を継続したままヒーターを
切断して混練物を空冷することにより、混練温度(℃)
と混練トルク(J)との相関を測定し特性図を得た。特
性図において、冷却に伴って混練トルクが急上昇する温
度を固液相分離に伴う変曲点とみなすことができる。概
ね、ポリフッ化ビニリデン樹脂と可塑剤からなる混合物
は、後述する参考例1および図1に記載の通り、約10
0℃〜約170℃の範囲に前記固液相分離に伴う変曲点
が存在する。ただし、特性図において、前記固液相分離
に伴う変曲点より高い温度範囲において、冷却に伴って
混練トルクが急降下する温度を有する場合が有り、この
ような場合は液液相分離系と同定することができる。し
たがって、冷却に伴って混練トルクが急上昇する温度を
有し、かつ、混練トルクが急上昇する温度より高い温度
範囲に、混練トルクが急降下する温度を有さない相分離
系を熱誘起型固液相分離と定義した。
【0037】(8)熱誘起型固液相分離点TC 、結晶化
点TC 0、及び結晶融点TM 0 ポリフッ化ビニリデン樹脂、可塑剤等を所定の比率で混
合した組成物をラボプラストミルに投入し、スクリュー
回転数50rpmとして、所定の温度で溶融混練して混
合物を調製して測定用試料とした。パーキンエルマー社
製熱分析装置(DSC−Pyris1)を用い、試料重
量5〜10mg、冷却速度10℃/分、および20〜3
00℃の範囲より任意に選択できる走査温度の条件下
で、冷却過程における発熱ピーク温度を観測し、これを
熱誘起型固液相分離点TC (℃)と定義した。ポリフッ
化ビニリデン樹脂の結晶化点TC 0(℃)についても熱誘
起型相分離点の測定と同様にして測定した。ポリフッ化
ビニリデン樹脂の結晶融点T M 0(℃)については、昇温
速度及び冷却速度を10℃/分とし、2サイクル目の昇
温過程における吸熱ピークを観測し、これを結晶融点T
M 0と定義した。
【0038】〔参考例1〕ポリフッ化ビニリデン樹脂
(ホモ重合体、重量平均分子量25万、密度1.78g
/cm3 、TM 0=173℃、TC 0=148℃)40重量
%、及びフタル酸ジシクロヘキシル60重量%を混合
し、ラボプラストミルに投入した。混練温度240℃、
スクリュー回転数50rpmで5分間の溶融混練を行
い、樹脂温度並びに混練トルクが安定するのを待った。
次にスクリュー回転数を10rpmに設定し、スクリュ
ー混練を継続したままヒーターを切断して、開始温度2
40℃から混練物を空冷することにより、温度低下に伴
う混練トルクの変化を観察し、相分離機構の評価を行っ
た。図1に記載の特性図より、該混合物の相分離機構は
熱誘起型固液相分離であると判明した。
【0039】
【実施例1】ポリフッ化ビニリデン樹脂(ホモ重合体、
重量平均分子量25万、密度1.78g/cm3 、TM 0
=173℃、TC 0=148℃)40重量%、フタル酸ジ
シクロヘキシル60重量%からなる組成物をラボプラス
トミルを用い、混練温度200℃、スクリュー回転数5
0rpmで10分間混練して混合物を得た。尚、該混合
物の熱誘起型固液相分離点は136℃であり、これより
相分離点降下定数は20.0℃と算出された。得られた
混合物を200℃の加熱プレス機で平膜状に成形した
後、これを20℃の水中に投入して冷却速度約1000
0℃/分で冷却固化させた。その後、ヘキサンを使用し
てフタル酸ジシクロヘキシルを抽出除去し、付着したヘ
キサンを乾燥除去した後、試験2軸延伸機を用いて、延
伸温度150℃、延伸倍率4×4倍の同時2軸延伸を施
し、微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性は、膜厚
が82μm、気孔率が75%、透気度が70秒、突き刺
し強度が5.3N、及び突き刺しエネルギーが5.3m
Jであり高強度であった。
【0040】
【実施例2】ポリフッ化ビニリデン樹脂(ホモ重合体、
重量平均分子量25万、密度1.78g/cm3 、TM 0
=173℃、TC 0=148℃)40重量%、フタル酸ジ
シクロヘキシル60重量%からなる組成物をラボプラス
トミルを用い、混練温度200℃、スクリュー回転数5
0rpmで10分間混練して混合物を得た。尚、該混合
物の熱誘起型固液相分離点は136℃であり、これより
相分離点降下定数は20.0℃と算出された。得られた
混合物を200℃の加熱プレス機で平膜状に成形した
後、これを20℃の水中に投入して冷却速度約1000
0℃/分で冷却固化させた。その後、試験2軸延伸機を
用いて、延伸温度150℃、延伸倍率4×4倍の同時2
軸延伸を施し、続いてヘキサンを使用してフタル酸ジシ
クロヘキシルを抽出除去し、付着したヘキサンを乾燥除
去した後、微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性
は、膜厚が40μm、気孔率が51%、透気度が190
0秒、突き刺し強度が7.5N、及び突き刺しエネルギ
ーが7.1mJであり高強度であった。
【0041】
【比較例1】ポリフッ化ビニリデン樹脂(ホモ重合体、
重量平均分子量25万、密度1.78g/cm3 、TM 0
=173℃、TC 0=148℃)40重量%、フタル酸ジ
シクロヘキシル60重量%からなる組成物をラボプラス
トミルを用い、混練温度200℃、スクリュー回転数5
0rpmで10分間混練して混合物を得た。得られた混
合物を200℃の加熱プレス機で平膜状に成形した後、
これを20℃の水中に投入して冷却速度約10000℃
/分で冷却固化させた。その後、ヘキサンを使用してフ
タル酸ジシクロヘキシルを抽出除去し、付着したヘキサ
ンを乾燥除去して微多孔膜を得た。得られた微多孔膜
は、その膜厚が600μm、気孔率が60%であった。
しかし、膜強度の代表物性として突き刺し強度を測定し
たところ2.7Nであり、不十分であった。
【0042】
【比較例2】ポリフッ化ビニリデン樹脂(ホモ重合体、
重量平均分子量17万、密度1.78g/cm3 、TM 0
=173℃、TC 0=148℃)18重量%、ジメチルア
セトアミド72重量%、及びポリエチレングリコール
(重量平均分子量2万)10重量%からなる組成物を用
いて、湿式法により微多孔膜を製造した。前記組成物を
55℃で撹拌して溶解し、得られた溶液を50℃でガラ
ス板上にキャストし、直ちに30℃の水中に浸漬して凝
固させ、水、エタノールで順次洗浄した後、乾燥して微
多孔膜を得た。得られた微多孔膜は、その膜厚が126
μm、気孔率が68%であった。しかし、突き刺し強度
は1.0Nであり、膜強度が極めて低かった。
【0043】
【比較例3】比較例2で得られた微多孔膜について、試
験2軸延伸機を用い、延伸温度150℃、延伸倍率4×
4倍で同時2軸延伸を試みた。しかし、延伸の際に膜が
破断してしまい、微多孔膜を得ることさえできなかっ
た。
【0044】
【発明の効果】本発明の微多孔膜によれば、内部短絡等
のトラブルの原因となる電極活物質の突き刺さりが起こ
り難い高強度な電池用セパレーターを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例1において示した熱誘起型固液
相分離と同定されるポリフッ化ビニリデン樹脂と可塑剤
からなる組成物の混練トルク特性図。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリフッ化ビニリデン樹脂を含み、気孔
    率が30〜90%、膜厚100μm当たりの突き刺し強
    度が4.0N以上である微多孔膜。
  2. 【請求項2】 膜厚100μm当たりの突き刺しエネル
    ギーが2.0mJ以上であることを特徴とする請求項1
    に記載の微多孔膜。
  3. 【請求項3】 ポリフッ化ビニリデン樹脂及び可塑剤を
    含み、且つ熱誘起型固液相分離点を有する組成物を加熱
    して均一溶解し、50℃/分以上の冷却速度で冷却固化
    し、該可塑剤の実質的部分を除去する前、又は後に、少
    なくとも1軸方向に少なくとも1回の延伸を施すことを
    含む微多孔膜の製造方法において、下記式(1)で定義
    する相分離点降下定数が0〜40℃である組成物を使用
    することを特徴とする微多孔膜の製造方法。 α=100×(TC 0−TC )÷(100−C) (1) (式中、αは相分離点降下定数(℃)、TC 0はポリフッ
    化ビニリデン樹脂の結晶化点(℃)、TC は組成物の熱
    誘起型固液相分離点(℃)、Cは組成物中のポリフッ化
    ビニリデン樹脂の濃度(重量%)を表す。)
  4. 【請求項4】 加熱処理を施すことを含む請求項3に記
    載の微多孔膜の製造方法。
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