JP2001178459A - 固相担体表面へのdna断片の固定方法及びdnaチップ - Google Patents

固相担体表面へのdna断片の固定方法及びdnaチップ

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JP2001178459A
JP2001178459A JP37133099A JP37133099A JP2001178459A JP 2001178459 A JP2001178459 A JP 2001178459A JP 37133099 A JP37133099 A JP 37133099A JP 37133099 A JP37133099 A JP 37133099A JP 2001178459 A JP2001178459 A JP 2001178459A
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Takemare Nakamura
剛希 中村
Hiroshi Shinoki
浩 篠木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固相担体表面に、予め別に調製したDNA断
片を迅速な反応によって結合させることが可能で、か
つ、反応生成物が安定に結合を維持することが可能な固
定方法を開発し、ブロッキング工程を特に要しないDN
Aチップを得ること。 【解決手段】 表面に環化付加反応の一方の反応成分が
導入された固相担体と、一方の末端部に環化付加反応の
他方の反応成分を有するDNA断片とを、液相にて接触
させることにより、双方の反応成分間で環化付加反応さ
せて共有結合を形成させることを特徴とするDNA断片
の固相担体表面への固定方法、この方法により得られた
DNAチップ、そしてそのDNAチップを用いるDNA
チップ上のDNA断片に対して相補性を有する核酸断片
を検出する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遺伝子の発現、変
異、多型等の同時解析に非常に有用である、多数のDN
A断片やオリゴヌクレオチドを固相表面に整列させた高
密度アレイ(DNAチップ)の作製に必要な、DNA断
片の固相担体表面への固定方法に関する。本発明はま
た、そのDNA断片の固相担体表面への固定方法により
製造されたDNAチップ、そしてDNAチップ上のDN
A断片に対して相補性を有する核酸断片の検出方法にも
関する。
【0002】
【従来の技術】多彩な生物の全遺伝子機能を効率的に解
析するための技術開発が進んでおり、その解析手段とし
て、DNAチップが利用されている。DNAチップは通
常、スライドガラス等の固相担体に多数のDNA断片を
整列固定させたマイクロアレイの形態にあり、DNAチ
ップに固定されているDNA断片と相補性を持つDNA
断片試料をハイブリダイゼーションによってDNAチッ
プ上に固定し、検出する方法に利用される。形成された
ハイブリッドの検出手段としては、DNA断片試料に予
め結合させた蛍光標識あるいは放射性標識を利用する方
法、そしてハイブリッドに取り込まれる導電性基を持つ
インターカレータを利用する方法などが知られている。
【0003】DNAチップを用いるDNAチップ技術
は、DNA以外の生体分子にも適用可能であり、創薬研
究、疾病の診断や予防法の開発、エネルギーや環境問題
対策等の研究開発に新しい手段を提供するものとして期
待されている。
【0004】DNAの解析手段としてのDNAチップの
利用が具体化してきたのは、DNAの塩基配列をオリゴ
ヌクレオチドとのハイブリダイゼーションによって決定
する方法(SBH,sequencing by hyb
ridization)が考案されたことに始まる(D
rmanac,R.et al.,Genomics,
4,page 114(1989))。SBHは、ゲル
電気泳動を用いる塩基配列決定法の限界を克服できる方
法ではあったが、実用化には至らなかった。
【0005】その後、DNAチップ作製技術が開発さ
れ、遺伝子の発現、変異、多型等を短時間で効率よく調
べる、いわゆるHTS(high throughpu
t screening)が可能となった(Fodo
r,S.P.A.,Science,251,page
767(1991)およびSchena,M.,Sc
ience,270,page 467(199
5))。
【0006】しかし、DNAチップ利用技術を実用化す
るためには、多数のDNA断片やオリゴヌクレオチドを
固相担体表面に整列固定させるためのDNAチップの作
製技術が必要とされる。
【0007】DNAチップの作製方法としては、固相担
体表面で直接DNA断片を合成する方法(「オン・チッ
プ法」という。)と、予め別に調製したDNA断片を固
相担体表面に固定する方法とが知られている。オン・チ
ップ法としては、光照射で選択的に除去される保護基の
使用と、半導体製造に利用されるフォトリソグラフィー
技術および固相合成技術とを組み合わせて、微小なマト
リックスの所定の領域での選択的合成を行う方法(「マ
スキング技術」という。)が代表的である。
【0008】予め調製したDNA断片を固相担体表面に
固定する方法としては、DNA断片の種類や固相担体の
種類に応じて下記の方法がある。 (1)固定するDNA断片がcDNA(mRNAを鋳型
にして合成した相補的DNA)やPCR産物(cDNA
をPCR法によって増幅させたDNA断片)の場合に
は、これらをDNAチップ作製装置に備えられたスポッ
タ装置を用いて、ポリ陽イオン(ポリリシン、ポリエチ
レンイミン等)で表面処理した固相担体表面に点着し
て、DNAの荷電を利用して固相担体に静電結合させる
方法が一般的に利用される。また、固相担体表面の処理
方法として、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基等を
有するシランカップリング剤を用いる方法も利用されて
いる(Geo,Z.et al.,Nucleic A
cid Research,22,5456−5465
(1994))。この場合には、アミノ基、アルデヒド
基等は、共有結合により固相担体表面に導入されるた
め、ポリ陽イオンによる場合と比較して安定に固相担体
表面に存在する。
【0009】DNAの荷電を利用する方法の変法とし
て、アミノ基で修飾したPCR産物をSSC(標準食塩
クエン酸緩衝液)に懸濁させ、これをシリル化したスラ
イドガラス表面に点着し、インキュベートした後、水素
化ホウ素ナトリウムによる処理および加熱処理を順に行
う方法が報告されている(Schena,M.et a
l.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA
93,10614−10619(1996))。しか
し、この固定方法では必ずしも充分な安定度が得られ難
いという問題がある。DNAチップ技術では、検出限界
が重要となる。そのため、固相担体表面に充分な量で安
定にDNA断片を固定する技術の開発は、固定DNA断
片と標識した試料核酸断片とのハイブリダイゼーション
の検出限界の向上に大きく寄与する。
【0010】(2)固定するDNA断片が合成オリゴヌ
クレオチドの場合には、反応活性基を導入したオリゴヌ
クレオチドを合成し、表面処理した固相担体表面に該オ
リゴヌクレオチドを点着し、共有結合させる(「蛋白質
・核酸・酵素」、43巻、(1998)、2004−2
011、Lamture,J.B. et al.,Nu
cl.Acids Res.,22,2121−212
5,1994、およびGuo.Z.,et al.,
Nucl.Acids Res.,22,5456−5
465,1994)。例えば、アミノ基を導入したスラ
イドガラスに、PDC(p−フェニレンジイソチオシア
ネート)存在下、アミノ基導入オリゴヌクレオチドを反
応させる方法、および該スライドガラスに、アルデヒド
基導入オリゴヌクレオチドを反応させる方法が知られて
いる。これらの二つの方法は、前記(1)のDNAの荷
電を利用する方法と比べて、オリゴヌクレオチドが固相
担体表面に安定に固定される。しかし、PDCを存在さ
せる方法は、PDCとアミノ基導入オリゴヌクレオチド
との反応が遅く、またアルデヒド基導入オリゴヌクレオ
チドを用いる方法は、反応生成物であるシッフ塩基の安
定性が低い(通常、加水分解が起こり易い)という問題
点を有し、さらに、固相表面にアミノ基のようにDNA
との相互作用の強い官能基が全面に存在すると、被検体
である核酸断片がDNAチップ全面に非特異的に付着し
やすいため、検出を妨害するという問題がある。このた
め、これを防止するために、未反応の官能基を塞ぐ、ブ
ロッキングという工程が必要であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、固相担体表
面に、予め別に調製したDNA断片を迅速な反応によっ
て結合させることが可能で、かつ、反応生成物が安定に
結合を維持することが可能な固定方法、ブロッキング工
程を特に必要としないDNAチップ、および核酸断片の
検出方法を提供することを、その課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題は下記の本発
明によって解決された。 (1)表面に環化付加反応の一方の反応成分が導入され
た固相担体と、一方の末端部に環化付加反応の他方の反
応成分を有するDNA断片とを、液相にて接触させるこ
とにより、双方の反応成分間で環化付加反応させて共有
結合を形成させることを特徴とするDNA断片の固相担
体表面への固定方法。本発明において、環化付加反応の
一方の反応成分がジエン構造を持ち、そして他方の反応
成分がジエノフィル構造を持つことが好ましい。
【0013】(2)上記の方法によって得られたDNA
チップ。
【0014】(3)上記のDNAチップの表面に、蛍光
物質もしくは放射性物質で標識した核酸断片試料を含む
水性液を付与する工程、DNAチップに固定されている
DNA断片と相補性を有する核酸断片試料をハイブリダ
イゼーションによってDNAチップ上に固定する工程、
そしてDNAチップ上に固定された標識核酸断片試料の
蛍光標識もしくは放射性標識を検出する工程からなる、
DNAチップ上のDNA断片に対して相補性を有する核
酸断片の検出方法。 (4)上記のDNAチップの表面に、導電性基を有する
インターカレータと核酸断片試料とを含む水性液を付与
する工程、DNAチップに固定されているDNA断片と
相補性を有する核酸断片試料をハイブリダイゼーション
によってDNAチップ上に固定する工程、そしてDNA
チップのDNA断片と核酸断片試料とから形成されたハ
イブリッド構造内に取り込まれたインターカレータの導
電性基を介して流れる電流を電気化学的に検出する工程
からなる、DNAチップ上のDNA断片に対して相補性
を有する核酸断片の検出方法。
【0015】本発明において、固相担体表面へのDNA
断片固定は環化付加反応に基づく共有結合の形成をもっ
て行われる。ここでいう環化付加反応とは、例えば、デ
ィールスアルダー反応、[4+2]環化反応、エン反
応、1,3−双極子環化付加反応、あるいは[2+2]
環化付加反応と呼ばれる範疇に属するものである。環化
付加反応は二つの反応剤(反応成分)の組合せからな
り、極めて特異性の高い組合せが可能である。すなわ
ち、二つの反応剤の一方をDNA断片に結合し、他方を
固相担体表面に結合することにより、この両者が接触し
て初めて結合を形成することが可能になる。前述したよ
うに、この共有結合の形成は特異性が高いために、二つ
の反応剤のいずれを固相担体表面に結合した場合におい
ても、被検体核酸断片とは強い相互作用をしないように
容易に選択することができる。固相担体表面が被検体核
酸と相互作用(結合や吸着など)を有すると、検出の際
にバックグラウンドが上昇し、好ましくない感度低下を
きたす結果となる。
【0016】従って、本発明の方法を用いることによっ
て、DNA固定固相担体と被検体核酸断片(検出対象の
核酸断片)とはハイブリダイゼーション相互作用以外の
好ましくない相互作用を最小にとどめることが可能とな
り、DNAチップを用いての核酸断片の検出操作におけ
る感度低下の弊害を防ぐことができるほか、煩雑なブロ
ッキング工程を不要化することも可能となった。
【0017】本発明のDNA断片の固相担体表面への固
定方法の好ましい態様は、以下の通りである。 (1)環化付加反応により共有結合を形成するための一
対の反応成分の一方を有する化合物を、固相担体表面に
固定する。 (2)DNA断片として、環化付加反応により共有結合
を形成するための一対の反応成分の他方を末端にを有
し、その塩基配列が既知であるものを用いる。 (3)(1)で作成した固相担体表面に、(2)で作成
したDNA断片を含有した水性液体を点着する。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の固定方法において用いら
れる環化付加反応の二つの反応剤の組合せについて述べ
る。
【0019】本発明において用いられる環化付加反応の
一対の反応剤については、環化付加反応として公知の組
合せのいずれも使用することができる。これらの組合せ
については前述のように、ディールスアルダー反応、
[4+2]環化反応、エン反応、1,3−双極子環化付
加反応、[2+2]環化付加反応と呼ばれるものについ
ては、公知の組合せであり、例えばCarruther
s著、「シクロアディション・リアクション・イン・オ
ーガニック・シンセシス(Cycloaddition
Reactions in Organic Syn
thesis)」PERAMON PRESS刊(19
90年)、Dale L. Boger、Steven
N. Weinreb著「ヘテロ・ディールスアルダ
ー・メソドロジー・イン・オーガニック・シンセシス
(HETERO DIELSALDER METHOD
OLOGY IN ORGANIC SYNTHESI
S」ACADEMIC PRESS,INC.刊(19
87年)、Paul A.Grieco編「オーガニッ
ク・シンセシス・イン・ウォーター(ORGANICS
YNTHESIS IN WATER)」BLACKI
E ACADEMIC& PROFESSIONAL刊
(1998年)に記載されている反応剤の組合せや、そ
れらの文献で引用されている文献に記されているものを
使用することができる。
【0020】本発明において特に好ましく用いられる環
化付加反応の一対の反応剤(反応成分)としては、オー
ガニック・リアクションズ(Organic Reac
tions)John Wiley & Sons,I
nc.刊、第4巻、第1章、同第4巻、第2章、同第5
巻第3章、特開平6−64343号、特開平7−132
685号および特開平7−144478号に記載のディ
ールスアルダー反応と呼ばれる極めて広範囲にわたる環
化付加反応として公知の反応剤の組合せを挙げることが
できる。
【0021】環化付加反応は、室温あるいは室温以下の
温度にて速やかに進行するものが多く、そのような組合
せは特に好ましく用いることができるが、室温ないし1
80℃で進行するものも、固定時に加熱を行うことで好
ましく用いることができる。最も好ましい組合せとして
は120℃以下で進行する組合せである。
【0022】本発明の固定方法においては、実質的に水
が存在しない反応系を使用することもできるが、DNA
断片を溶解または分散するうえで水の存在が重要である
ことから、水が存在しても十分に安定な反応剤が好まし
く用いられる。また、上記の成書にも記載されている
が、環化付加反応は、例えば、塩化亜鉛、四塩化スズ、
臭化マグネシウムなどの触媒により大きく反応が加速さ
れる場合があり、そのような触媒の存在下にDNA断片
を固相担体表面に固定する方法も好ましく用いることが
できる。
【0023】本発明の代表的な固定方法を次に示す。環
化付加反応によって共有結合を形成する官能基を有する
化合物(2)を固相担体表面に担持してなる固相担体
(1)に、末端に環化付加反応によって共有結合を形成
する官能基を有するDNA断片を含む水性液体を点着す
る。点着部分において、遷移金属触媒が存在するように
固相担体に均一におよび/または点着する液体中に存在
させる。必要があれば塩基などの促進剤も同様に存在さ
せる。DNA断片が固相担体と共有結合を形成する。こ
のように、DNA断片を固定する工程を順次行い、必要
によっては加熱処理を施すことによってDNAチップ
(3)を得ることができる。DNA断片が有する官能基
と、DNA断片のリン酸エステル基との間には、合成の
都合上クロスリンカーを存在させてもよい。以下、各工
程について説明する。
【0024】固相担体としては、その表面が疎水性、あ
るいは親水性の低い担体を用いることが好ましい。ま
た、その表面が凹凸を有する平面性の低いものであって
も好ましく用いることができる。固相担体の材質として
は、ガラス、セメント、陶磁器等のセラミックスもしく
はニューセラミックス、ポリエチレンテレフタレート、
酢酸セルロース、ビスフェノールAのポリカーボネー
ト、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等のポリ
マー、シリコン、活性炭、多孔質ガラス、多孔質セラミ
ックス、多孔質シリコン、多孔質活性炭、織物、編み
物、不織布、濾紙、短繊維、メンブレンフィルター等の
多孔質物質、金などの導電性物質などを拳げることがで
きる。多孔質物質の細孔の大きさは、2乃至1000n
mの範囲にあることが好ましく、2乃至500nmの範
囲にあることが特に好ましい。固相担体の材質は、ガラ
スもしくはシリコンであることが特に好ましい。これ
は、表面処理の容易さや電気化学的方法による解析の容
易さによるものである。固相担体の厚さは、100乃至
2000μmの範囲にあることが好ましい。
【0025】環化付加反応によって共有結合を形成する
基が固定された固相担体は、次のようにして作製するこ
とができる。ガラス製の担体の場合には、環化付加反応
によって共有結合を形成する官能基を有するシランカッ
プリング剤を接触、反応させて、固相表面上に固定する
ことができる。この際に該官能基は一時的に保護された
形で導入し、DNA断片を含有する水性液体を点着し、
固定化するまでの間に脱保護するようにしてもよい。
【0026】表面にアミノ基を有する固相担体(例え
ば、ガラス製担体表面を3−アミノプロピルトリメトシ
キシランを作用させて作製する)を用いる場合には、環
化付加反応によって共有結合を形成する反応剤にアミノ
基との反応が可能な基を結合して、該アミノ基に反応さ
せることによって得ることができる。このような連結基
の例としては、カルボキシル基、ホルミル基、スルホ
基、イソシアナト基、イソチオシアナト基、酸無水物な
どが挙げられ、結合の際には、加熱や適当な塩基、縮合
剤を用いて固定する方法を用いることができる。この中
ではカルボキシル基を有するものであり、縮合剤(カル
ボジイミド化合物など)を用いてアミド結合を形成する
方法が好ましい。
【0027】表面がアミノ基を有する固相担体であり、
固相担体側にディールスアルダー反応におけるジエノフ
ィルを結合する場合においては、無水マレイン酸を結合
してマレイミドを形成する化合物を用いる方法は特に簡
便であり、好ましく用いることができる。
【0028】環化付加反応によって共有結合を形成する
官能基を有する重合性モノマーを構成単位として有する
ポリマーを担持した固相担体もまた、好ましく用いるこ
とができる。これらの重合性モノマーはホモポリマーと
して用いることもできるが、適宜、他の重合性モノマー
と共重合して用いることも好ましい。この時に共重合の
モノマーとしてシランカップリング剤の部分構造を有す
るものを用いることも好ましい。
【0029】これらのポリマーはラテックスとして担体
表面に塗布した後、加熱処理などによって融着させる方
法もとることができる。環化付加反応によって共有結合
を形成する反応剤がアクリレートやアクリルアミドの部
分構造を有するものについては、多官能のモノマーを重
合させ、重合せずに残存した重合性官能基を用いて環化
付加反応による共有結合をさせる方法も利用することが
できる。
【0030】環化付加反応によって共有結合を形成する
反応剤がアミノ基や脂肪族水酸基を有している場合に
は、基板上に固定するため、多官能カップリング剤を固
定化剤としてを用いることができる。このような固定化
剤としてはシランカップリング剤、多官能エポキシ化合
物、多官能ビニルスルホン、塩化シアヌルなどの多点反
応剤が好ましく用いられる。この中ではシランカップリ
ング剤が好ましく、シランカップリング剤の例としては
1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,7−
ジクロロオクタメチルテトラシロキサン、1,3−ジク
ロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルシロキサ
ン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン
などが挙げられる。また、シランカップリング剤を構成
モノマーとして有するポリマーを用いることもできる。
【0031】固相担体の表面には、層間の密着を良くす
るために、ゼラチンなどの下塗り層を施してもよいし、
コロナ放電などにより、担体表面を処理する方法も用い
ることができる。
【0032】環化付加反応によって共有結合を形成する
反応剤を固相担体上に付与する量については、分子を直
接シランカップリングなどで結合する方法においては担
体表面を完全に被覆する量が好ましいが、それ以下、例
えば完全被覆量の20乃至100%の範囲にて用いるこ
とが好ましく、40乃至100%の範囲にて用いること
がより好ましく、50乃至100%の範囲にて用いるこ
とが特に好ましい。
【0033】環化付加反応によって共有結合を形成する
反応剤がポリマー等の形態で固相担体表面に付与される
(塗布法や浸漬法による)場合には、該反応剤はポリマ
ー重量の5乃至95%の範囲にて含有されることが好ま
しく、10乃至80%の範囲にて含有されていることが
より好ましく、30乃至75%の範囲にて含有されてい
ることが特に好ましい。この場合、形成された薄層状の
固相膜の厚さは、2nm乃至1μmの範囲にあることが
好ましく、10乃至800nmの範囲にあることが特に
好ましい。環化付加反応によって共有結合を形成する反
応剤を固相担体上に施された薄層状の固相膜に結合する
場合も、該固相膜の厚さは2nm乃至1μmの範囲にあ
ることが好ましく、10乃至800nmの範囲にあるこ
とが特に好ましい。
【0034】環化付加反応によって共有結合を形成する
反応剤を固相担体に固定する工程では、酸、塩基や触媒
の使用、水および有機溶媒の使用、加熱なども適宜行う
ことができる。酸としては、無機酸および有機酸の何れ
も用いることができるが、塩酸、トリフルオロ酢酸、酢
酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸もしくはリン酸が好
ましく、トリフルオロ酢酸もしくは酢酸が特に好まし
い。
【0035】塩基としては、無機塩基および有機塩基の
何れをも用いることができる。無機塩基の例としては炭
酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、水酸化リ
チウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セ
シウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどを
挙げることができる。有機塩基の例としては、トリメチ
ルアミン、トリエチルアミン、水酸化テトラメチルアン
モニウム、ジメチルベンジルアミン、ジエチルアニリ
ン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,4ジ
アザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザ
ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ナトリウム
メトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブ
トキシド、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピ
ルアミド、フッ化テトラブチルアンモニウム、酢酸ナト
リウム、酢酸カリウムなどを挙げることができる。1−
メチル−2−ピロリドン、トリエチルアミンあるいはピ
リジンを用いることがさらに好ましく、1−メチル−2
−ピロリドンを用いることが特に好ましい。
【0036】本発明の環化付加反応においては、反応
時、室温付近あるいは冷却して反応することができる
が、加熱することも好ましい。冷却する場合は、その温
度が5乃至10℃の範囲にあることが好ましく、加熱す
る場合には、その温度が40乃至150℃の範囲にある
ことが好ましく、50乃至130℃の範囲にあることが
より好ましく、50乃至100℃の範囲にあることが特
に好ましい。また、反応の際には反応溶媒の揮発、揮散
を防ぐ目的、あるいは調湿やガス状の試薬を供給するた
めに、周囲を隔壁で覆って行なうことも好ましい。圧力
をかける必要がある反応については、オートクレーブな
どの耐圧力容器中で反応を行なうこともできる。
【0037】本発明の環化付加反応においては、溶媒と
して水の他に種々の有機溶媒を用いることができる。有
機溶媒としては、トルエン、キシレン、n−ヘキサンの
ような疎水性溶媒を用いることもできるが、水と混和す
る極性の高い溶媒を用いることが特に好ましい。その例
としては、酢酸エチル、酢酸メチル、メタノール、エタ
ノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t
−ブタノール、スルホラン、1,2−ジメトキシエタ
ン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルアセトアミド、アセトニトリル、プロピオニトリ
ル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレン
グリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタ
ンジオール、グリセリン、2−メトキシエタノール、ジ
エチレングリコール、ジエチレングリコールジメチルエ
ーテル、酢酸、ピリジン、ギ酸、プロピオン酸、酪酸な
どを挙げることができる。
【0038】環化付加反応によって共有結合を形成する
官能基を末端に有するDNA断片を得る方法は大別して
次の二つの方法が挙げられる。一つは該官能基を有する
プライマーを用いてPCR法にて、該官能基を有するD
NA断片を増幅する方法であり、他の一つはアミノ基な
どの反応性基を有するプライマーを用いてPCR法にて
DNA断片を増幅したのち、環化付加反応によって共有
結合を形成する反応剤を連結する方法である。
【0039】通常は後者の方法が容易であり、本発明に
おいても好ましい。連結方法としては、カルボキシル基
を有する環化付加反応によって共有結合を形成する反応
剤とアミノ基を末端に有するDNA断片を適当な縮合剤
を用いてアミド結合により連結することができる。
【0040】表面処理がされた固相担体表面上には、さ
らに、電荷を有する親水性高分子等からなる層や架橋剤
からなる層を設けてもよい。このような層を設けること
によって表面処理がされた固相担体の凹凸を軽減するこ
とができる。固相担体の種類によっては、その担体中に
親水性高分子等を含有させることも可能であり、このよ
うな処理を施した固相担体も好ましく用いることができ
る。
【0041】クロスリンカーは、単結合、アルキレン基
あるいはN−アルキルアミノアルキレン基であることが
好ましく、単結合、ヘキシレン基あるいはN−メチルア
ミノへキシレン基であることが特に好ましい。
【0042】DNA断片は、目的によって二通りに分け
ることができる。遺伝子の発現を調べるためには、cD
NA、cDNAの一部、EST等のポリヌクレオチドを
使用することが好ましい。これらのポリヌクレオチド
は、その機能が未知であってもよいが、一般的にはデー
タベースに登録された配列を基にしてcDNAのライブ
ラリー、ゲノムのライブラリーあるいは全ゲノムをテン
プレートとしてPCR法によって増幅して調製する(以
下、「PCR産物」という。)。PCR法によって増幅
しないものも好ましく使用することができる。また、遺
伝子の変異や多型を調べるには、標準となる既知の配列
をもとにして、変異や多型に対応する種々のオリゴヌク
レオチドを合成し、これを使用することが好ましい。さ
らに、塩基配列分析の場合には、4n(nは、塩基の長
さ)種のオリゴヌクレオチドを合成したものを使用する
ことが好ましい。DNA断片の塩基配列は、一般的な塩
基配列決定法によって予めその配列が決定されているこ
とが好ましい。DNA断片は、2乃至50量体であるこ
とが好ましく、10乃至25量体であることが特に好ま
しい。
【0043】DNA断片の点着は、DNA断片を水性媒
体に溶解あるいは分散した水性液を、96穴もしくは3
84穴プラスチックプレートに分注し、分注した水性液
をスポッター装置等を用いて固相担体表面上に滴下して
行うことが好ましい。
【0044】点着後のDNA断片の乾燥を防ぐために、
DNA断片が溶解あるいは分散してなる水性液中に、高
沸点の物質を添加してもよい。高沸点の物質としては、
DNA断片が溶解あるいは分散してなる水性液に溶解し
得るものであって、試料核酸断片とのハイブリダイゼー
ションを妨げることがなく、かつ粘性の大きくない物質
であることが好ましい。このような物質としては、グリ
セリン、エチレングリコール、ジメチルスルホキシドお
よび低分子の親水性ポリマーを挙げることができる。親
水性ポリマーとしては、ポリアクリルアミド、ポリエチ
レングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム等を挙げる
ことができる。ポリマーの分子量は103乃至106の範
囲にあることが好ましい。高沸点の物質としては、グリ
セリンあるいはエチレングリコールを用いることがさら
に好ましく、グリセリンを用いることが特に好ましい。
高沸点の物質の濃度は、DNA断片の水性液中、0.1
乃至2容量%の範囲にあることが好ましく、0.5乃至
1容量%の範囲にあることが特に好ましい。また、同じ
目的のために、DNA断片を点着した後の固相担体を、
90%以上の湿度および25乃至50℃の温度範囲の環
境に置くことも好ましい。
【0045】DNA断片を点着後、紫外線、水素化ホウ
素ナトリウムあるいはシッフ試薬による後処理を施して
もよい。これらの後処理は、複数の種類を組み合わせて
行ってもよく、加熱処理と紫外線処理を組み合わせて行
うことが特に好ましい。点着後は、インキュベーション
を行うことも好ましい。インキュベート後、未点着のD
NA断片を洗浄して除去することが好ましい。
【0046】DNA断片の固定量は、固相担体表面に対
して、102乃至105種類/cm2の範囲にあることが
好ましい。DNA断片の量は、1乃至1015モルの範囲
にあり、重量としては数ng以下であることが好まし
い。点着によって、DNA断片の水性液は、固相担体表
面にドットの形状で固定される。ドットの形状は、ほと
んど円形である。形状に変動がないことは、遺伝子発現
の定量的解析や一塩基変異を解析するために重要であ
る。ドット間の距離は、0乃至1.5mmの範囲にある
ことが好ましく、100乃至300μmの範囲にあるこ
とが特に好ましい。1つのドットの大きさは、直径が5
0乃至300μmの範囲にあることが好ましい。点着す
る量は、100pL乃至1μLの範囲にあることが好ま
しく、1乃至100nLの範囲にあることが特に好まし
い。
【0047】環化付加反応の一方の反応成分が導入され
た固相担体の表面に、環化付加反応の他方の反応成分を
有するDNA断片を点着させると、環化付加反応が進行
し、該DNA断片が固定されるが、固相担体の表面には
該DNA断片が結合していない反応成分も存在する。こ
のような反応成分は、標識された核酸断片試料との非特
異的な反応を生じる可能性があるため、予め該反応成分
をブロッキング処理(ブロッキング処理を施さなくて
も、本発明の固定方法によって製造された、DNA断片
固定固相担体は、充分にDNAチップとして使用するこ
とができる。)しておくことも好ましい。ブロッキング
処理は、固相担体の表面に導入されている反応成分がジ
エノフィルである場合には、チオグリコール酸、3−メ
ルカプトプロピオン酸、チオサリチル酸あるいはこれら
の塩を接触させることによって行うことが好ましく、該
反応成分がジエンである場合には、水溶性のジエノフィ
ル(例えば、N−(2−スルホエチル)マレイミド、ア
セチレンジカルボン酸、ジ−(2−ヒドロキシエチル)
エステル等)を接触させることによって行うことが好ま
しい。
【0048】上記の工程によって作製されたDNAチッ
プの寿命は、cDNAが固定されてなるcDNAチップ
で数週間、オリゴDNAが固定されてなるオリゴDNA
チップではさらに長期間である。これらのDNAチップ
は、遺伝子発現のモニタリング、塩基配列の決定、変異
解析、多型解析等に利用される。検出原理は、後述する
標識した試料核酸断片とのハイブリダイゼーションであ
る。
【0049】標織方法としては、大別してRI法と非R
I法(蛍光法、ビオチン法、電気化学的方法、化学発光
法等)とが知られているが、本発明のDNAチップは、
蛍光法を用いる際に特に有利である。蛍光物質として
は、核酸の塩基部分と結合できるものであれば何れも用
いることができるが、たとえば、シアニン色素(例え
ば、CyDyeTMシリーズのCy3、Cy5等)、ロー
ダミン6G試薬、N−アセトキシ−N2−アセチルアミ
ノフルオレン(AAF)あるいはAAIF(AAFのヨ
ウ素誘導体)を使用することができる。
【0050】なお、上記の標識を利用する以外にも、導
電性基を持ち、形成されたハイブリッド構造体に取り込
まれる性質を持つインターカレータを用いる電気化学的
な検出方法を利用する方法も知られており、本発明のD
NAチップは電気化学的な検出方法に利用することもで
きる。
【0051】試料として用いる核酸断片としては、その
配列や機能が未知であるDNA断片試料あるいはRNA
断片試料を用いることが好ましい。試料核酸断片は、遺
伝子発現を調べる目的では、真核生物の細胞や組織サン
プルから単離することが好ましい。試料がゲノムなら
ば、赤血球を除く任意の組織サンプルから単離すること
が好ましい。赤血球を除く任意の組織は、末梢血液リン
パ球、皮膚、毛髪、精液等であることが好ましい。試料
がmRNAならば、mRNAが発現される組織サンプル
から抽出することが好ましい。mRNAは、逆転写反応
により標識dNTP(「dNTP」は、塩基がアデニン
(A)、シトシン(C)、グアニン(G)もしくはチミ
ン(T)であるデオキシリボヌクレオチドを意味す
る。)を取り込ませて標識cDNAとすることが好まし
い。dNTPとしては、化学的な安定性のため、dCT
Pを用いることが好ましい。1回のハイブリダイゼーシ
ョンに必要なmRNA量は、液量や標識方法によって異
なるが、数μg以下であることが好ましい。尚、DNA
チップ上のDNA断片がオリゴDNAである場合には、
試料核酸断片は低分子化しておくことが望ましい。原核
生物の細胞では、mRNAの選択的な抽出が困難なた
め、全RNAを標識することが好ましい。試料核酸断片
は、遺伝子の変異や多型を調べる目的では、標識プライ
マーもしくは標識dNTPを含む反応系で標的領域のP
CRを行って得ることが好ましい。
【0052】ハイブリダイゼーションは、96穴もしく
は384穴プラスチックプレートに分注しておいた、標
識した試料核酸断片が溶解あるいは分散してなる水性液
を、上記で作製したDNAチップ上に点着することによ
つて実施することが好ましい。点着の量は、1乃至10
0nLの範囲にあることが好ましい。ハイブリダイゼー
ションは、室温乃至70℃の温度範囲で、そして6乃至
20時間の範囲で実施することが好ましい。ハイブリダ
イゼーション終了後、界面活性剤と緩衝液との混合溶液
を用いて洗浄を行い、未反応の試料核酸断片を除去する
ことが好ましい。界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナ
トリウム(SDS)を用いることが好ましい。緩衝液と
しては、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝
液、トリス緩衝液、グッド緩衝液等を用いることができ
るが、クエン酸緩衝液を用いることが特に好ましい。
【0053】DNAチップを用いるハイブリダイゼーシ
ョンの特徴は、標識した試料核酸断片の使用量が非常に
少ないことである。そのため、固相担体に固定するDN
A断片の鎖長や標識した試料核酸断片の種類により、ハ
イブリダイゼーションの最適条件を設定する必要があ
る。遺伝子発現の解析には、低発現の遺伝子も十分に検
出できるように、長時間のハイブリダイゼーションを行
うことが好ましい。一塩基変異の検出には、短時間のハ
イブリダイゼーションを行うことが好ましい。また、互
いに異なる蛍光物質によって標識した試料核酸断片を二
種類用意し、これらを同時にハイブリダイゼーションに
用いることにより、同一のDNAチップ上で発現量の比
較や定量ができる特徴もある。
【0054】
【実施例】[実施例1]DNA断片固定スライドの作成
及びDNA断片の固定量の測定法
【0055】(1)表面にジエノフィルとしてマレイミ
ド基が導入されたスライド(C)の作成 2重量%アミノプロピルエトキシシラン(信越化学工業
(株)製)のエタノール溶液に、スライドガラス(25
mm×75mm)を10分間浸した後取り出し、エタノ
ールで洗浄後、110℃で10分間乾燥して、シラン化
合物被覆スライド(A)を作成した。次いで、このシラ
ン化合物被覆スライド(A)を5質量%の無水マレイン
酸および0.05質量%の4−ジメチルアミノピリジン
を含有するアセトニトリル溶液に、10分間浸した後取
り出し、エタノールで洗浄後、120℃で15分間乾燥
して、マレイミド被覆スライド(C)を作成した。
【0056】(2)DNA断片の点着と蛍光強度の測定 3'末端および5'未端がそれぞれにアミノ基および蛍光
標織試薬(FluoroLink Cy5dCTP、ア
マシャム・ファルマシア・バイオテック社製)で修飾さ
れたDNA断片(3'CTAGTCTGTGAAGTGTCTGATC5')をフ
ルフラール(東京化成工業(株)製)およびナトリウム
シアノボロヒドリド(アルドリッチ社製で処理し、3'
末端にフルフリルアミノ基が導入されたDNA断片を作
成した。このDNA断片を0.1M炭酸緩衝液(pH
9.8)に分散してなる水性液(1×10-6M、1μ
L)とし、上記(1)で得たスライド(C)にこれを点
着した。直ちに、それぞれの点着後のスライドを60
℃、湿度90%にて1時間放置した後、120℃で20
分間加熱した。このスライドを0.1質量%SDS(ド
デシル硫酸ナトリウム)と2×SSC(2×SSC:S
SCの原液を2倍に希釈した溶液、SSC:標準食塩ク
エン酸緩衝液)との混合溶液で2回、そして0.2×S
SC水溶液で1回順次洗浄した。次いで、室温で乾燥さ
せ、DNA断片が固定されたスライド(D1)を得た。
このスライド表面の蛍光強度を蛍光スキャニング装置で
測定したところ、それぞれ1599であった。本発明の
固定化方法により、DNA断片が効率よくスライドガラ
スに固定されたことが分かる。
【0057】[実施例2]試料DNA断片の検出 (1)DNAチップの作成 5'末端が蛍光標識試薬で修飾されていないDNA断片
を用いる以外は実施例1と同様にして、DNA断片が固
定されたスライド(D2)を得た。 (2)試料DNA断片の検出 5'末端にCy5が結合した22merの試料オリゴヌ
クレオチド(GATCAGACACTTCACAGACTAG5')をハイブリ
ダイゼーション用溶液(4×SSCおよび10質量%の
SDSの混合溶液)(20μL)に分散させたものを、
上記(1)で得たスライド(D2)に付与し、表面を顕
微鏡用カバーガラスで保護した後、モイスチャンバー内
にて60℃で20時間インキュベートした。次いで、こ
のものを0.1質量%SDSと2×SSCとの混合溶
液、0.1質量%SDSと0.2×SSCとの混合溶
液、および0.2×SSC水溶液で順次洗浄した後、6
00rpmで20秒間遠心し、室温で乾燥した。スライ
ドガラス表面の蛍光強度を蛍光スキャニング装置で測定
したところ、625であった。本発明の固定化方法によ
って作成されたDNAチップを用いることによって、D
NAチップに固定されているDNA断片と相補性を有す
る試料DNA断片を検出できることが分かる。
【0058】
【発明の効果】本発明によって、固相担体表面にDNA
断片を安定かつ迅速に固定することができる。すなわ
ち、DNA断片に環化付加反応の反応成分の一方を含有
させ、他方を固相担体表面が含有させた場合には、強固
にDNA断片を固定することができる。DNA断片の安
定な固定は、遺伝子解析等に有効に利用することができ
る高い検出限界を有するDNAチップの作製に有効であ
る。その一つの例として、本発明によって作製されたD
NAチップを用いて、試料核酸断片とのハイブリダイゼ
ーションを行うことにより、DNAチップに固定されて
いるDNA断片に相補性を有する試料核酸断片を感度よ
く検出することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/566 C12N 15/00 ZNAZ Fターム(参考) 4B033 NA01 NA45 NB04 NB15 NB25 NB68 NC03 NC12 ND05 ND12 4B063 QA01 QA11 QA18 QQ42 QR32 QR56 QR84 QS03 QS34 QS39 QX02 QX04 QX07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に環化付加反応の一方の反応成分が
    導入された固相担体と、一方の末端部に環化付加反応の
    他方の反応成分を有するDNA断片とを、液相にて接触
    させることにより、双方の反応成分間で環化付加反応さ
    せて共有結合を形成させることを特徴とするDNA断片
    の固相担体表面への固定方法。
  2. 【請求項2】 環化付加反応の一方の反応成分がジエン
    構造を持ち、そして他方の反応成分がジエノフィル構造
    を持つことを特徴とする請求項1に記載のDNA断片の
    固相担体表面への固定方法。
  3. 【請求項3】 請求項1もしくは2に記載の方法によっ
    て得られたDNAチップ。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のDNAチップの表面
    に、蛍光物質もしくは放射性物質で標識した核酸断片試
    料を含む水性液を付与する工程、DNAチップに固定さ
    れているDNA断片と相補性を有する核酸断片試料をハ
    イブリダイゼーションによってDNAチップ上に固定す
    る工程、そしてDNAチップ上に固定された標識核酸断
    片試料の蛍光標識もしくは放射性標識を検出する工程か
    らなる、DNAチップ上のDNA断片に対して相補性を
    有する核酸断片の検出方法。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載のDNAチップの表面
    に、導電性基を有するインターカレータと核酸断片試料
    とを含む水性液を付与する工程、DNAチップに固定さ
    れているDNA断片と相補性を有する核酸断片試料をハ
    イブリダイゼーションによってDNAチップ上に固定す
    る工程、そしてDNAチップのDNA断片と核酸断片試
    料とから形成されたハイブリッド構造内に取り込まれた
    インターカレータの導電性基を介して流れる電流を電気
    化学的に検出する工程からなる、DNAチップ上のDN
    A断片に対して相補性を有する核酸断片の検出方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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