JP2001177127A - 光電変換装置用基板 - Google Patents

光電変換装置用基板

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JP2001177127A
JP2001177127A JP36180999A JP36180999A JP2001177127A JP 2001177127 A JP2001177127 A JP 2001177127A JP 36180999 A JP36180999 A JP 36180999A JP 36180999 A JP36180999 A JP 36180999A JP 2001177127 A JP2001177127 A JP 2001177127A
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substrate
thickness
conductive film
photoelectric conversion
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JP36180999A
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Yasunari Seto
康徳 瀬戸
Akira Fujisawa
章 藤沢
Yukio Sueyoshi
幸雄 末吉
Masahiro Hirata
昌宏 平田
Tsutomu Otani
強 大谷
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に結晶質シリコン系光電変換装置に適した
光電変換装置用基板を提供する。 【解決手段】 ガラス板の表面に少なくとも1層の下地
膜1a,1bを形成し、さらに導電膜2を形成する。導
電膜の表面の凹凸を、高さ3が50〜150nm、凸部
間の間隔が50〜1000nmとする。また、導電膜の
膜厚を400〜1000nm、シート抵抗値を10〜3
0Ω/□とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は薄膜型太陽電池など
に使用される光電変換装置用基板に関する。
【0002】
【従来の技術】光電変換装置では、ガラス板の表面に、
酸化錫や錫をドープした酸化インジウム(ITO)など
の透明導電膜を形成した透明導電体が基板として用いら
れる。薄膜型光電変換装置では、ガラス板の表面に酸化
錫膜を形成した透明導電体が広く使用されている。薄膜
シリコン系の材料を光電変換材料としたシリコン系薄膜
型光電変換装置は、その製造に係るエネルギーコストが
小さいことなどから注目されている。
【0003】一般に、シリコン系薄膜型光電変換装置
は、ガラス板の表面に、下地膜、透明導電膜、シリコン
系光電変換層、金属膜を順次形成した構成を有する。透
明導電膜としては、化学蒸着法(CVD法)など原料の
熱分解酸化反応を伴う方法で形成された酸化錫膜が多用
されている。下地膜は、主として、ガラス板に含まれる
ナトリウムなどのアルカリ成分が透明導電膜へと拡散
し、透明導電膜の電気抵抗を低下させる(抵抗が高くな
る)ことを防止するために設けられる。下地膜として
は、酸化珪素膜が多用されている。
【0004】薄膜型光電変換装置に用いる透明導電膜に
は、透過率が高いこと(光電変換層により多くの光を入
れる)、抵抗が低いこと(発生した電流を取り出す際の
ロスを少なくする)が求められる。また、透明導電膜の
表面に適当な凹凸を付与すると、光電変換層での光閉じ
込めに効果があることが知られている。
【0005】例えば、特開昭61−288473号公報
には、高低差が約1000〜5000オングストローム
であり、凸部と凸部との間隔が約2000〜10000
オングストロームである凹凸形状が記載されている。こ
の凹凸は、エッチング処理により形成される。酸化錫は
難エッチング性であるため、ここでは、導電膜として酸
化インジウムスズが使用されている。
【0006】また例えば、特表平2−503615号公
報には、直径が0.1μm〜0.3μm、高さ/直径の
比が0.7〜1.2である凹凸形状が記載されている。
同公報には、凸部の好ましい高さとして、0.1〜0.
5μmが例示されている。この範囲の表面形状を有する
導電膜は6000オングストローム以下である。シート
抵抗としては4〜10Ω/□が記載されている。
【0007】また例えば、特開平4−133360号公
報には、高さが1000〜3000オングストロームの
角錐台もしくは角錐の凸部を有し、この角錐台もしくは
角錐の稜線と基板の法線とがなす角度が30〜50度で
ある凹凸形状が記載されている。
【0008】また例えば、特公昭62−7716号公報
には、平均粒径が0.1〜2.5μmである凹凸形状が
記載されている。
【0009】また例えば、特公平4−70788号公報
には、凸部の密度が30〜90個/平方μm、高さが5
0〜200nmの凹凸形状が記載されている。
【0010】また例えば、特開昭59−61973号公
報には、凸部高さが約100nmの針状凹凸形状が記載
されている。
【0011】また例えば、特開昭59−201470号
公報には、平均粒径が0.1〜0.9μmの凹凸形状が
記載されている。
【0012】また例えば、特開昭61−96775号公
報には高さ1000〜3000オングストローム、凸部
ピッチ1000〜3000オングストロームの凹凸形状
が記載されている。導電膜の膜厚は4000オングスト
ローム以下である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】非晶質シリコン系光電
変換層を用いる非晶質シリコン系薄膜型光電変換装置で
は、光照射により非晶質シリコン系光電変換層の欠陥準
位密度が増大するため、光電変換装置の変換効率が低下
する。このため、非晶質シリコン系光電変換層に代え
て、あるいは非晶質シリコン系光電変換層とともに、多
結晶や微結晶の結晶質シリコン系光電変換層を有する結
晶質シリコン系薄膜型光電変換装置が提案されている。
【0014】結晶質シリコン系光電変換装置において、
導電膜上に形成する結晶質シリコン膜の結晶性には、導
電膜の表面形状が影響を及ぼす。光電変換層である結晶
質シリコン膜の結晶性は、薄膜の特性、特に電気的特性
を左右する。このため、結晶質シリコン膜を直接もしく
は緩和層を介して形成する表面となる導電膜の表面に
は、結晶質シリコン膜の結晶性を良好に保ちながらも光
閉じこめ効果を有する凹凸形状を付与することが望まれ
る。
【0015】結晶質シリコン系光電変換装置において
も、光電変換層に多くの光を導入するために、導電膜に
おける光吸収を低減することが求められる。その一方、
電極として用いる導電膜のシート抵抗値はある程度低い
ことが要求される。シート抵抗値を下げるために、フッ
素、塩素などのハロゲン元素やアンチモンなど金属元素
(ドーパント)の添加量を増加すると、導電膜の吸収率
が増大する。膜厚を増せば導電膜のシート抵抗値は低下
するが、同じく導電膜の吸収率が増大する。また、膜厚
を厚くするために導電膜を構成する結晶粒子を大きく成
長させると、導電膜の表面凹凸の高さおよび間隔も大き
くなっていく。このように、導電膜の膜厚やシート抵抗
値と表面形状とは密接な関係にある。したがって、結晶
質シリコン系光電変換装置に適した導電膜を得るために
は、導電膜の膜厚やシート抵抗値が適切な範囲となるよ
うに配慮しながら、膜の表面形状を適切に調整する必要
がある。
【0016】しかしながら、上記従来の光電変換装置用
基板は、結晶質シリコン系光電変換装置への適用を考慮
したものではなかった。そこで、本発明は、特に結晶質
シリコン系光電変換装置に適した光電変換装置用基板を
提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のガラス板と、このガラス板上に形成された
少なくとも1層の下地膜と、この下地膜上に形成された
少なくとも1層の導電膜とを含み、この導電膜の表面に
凹凸が形成され、凹凸の高さが50nm以上150nm
以下であり、凹凸を形成する凸部間の間隔が50nm以
上1000nm以下であり、上記導電膜の膜厚が400
nm以上1000nm以下であり、上記導電膜のシート
抵抗値が10Ω/□以上30Ω/□以下であることを特
徴とする。本発明の光電変換素子用基板は、非晶質シリ
コン系薄膜型光電変換装置にも使用できるが、特に結晶
シリコン系薄膜型光電変換装置の光電変換特性の向上に
適している。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい形態につ
いて説明する。膜の吸収率とシート抵抗値とのバランス
を考慮すると、導電膜の膜厚は上記範囲が好ましい。膜
厚が過大となると、表面形状を上記範囲内とすることが
困難となる。導電膜の膜厚は、700nm以上がより好
ましい。
【0019】導電膜が酸化錫を主成分とする膜である場
合には、成膜条件を調整することによって酸化錫の優先
配向面を(211)とすると、導電膜の表面形状を容易
に上記範囲内とすることができる。このときの膜厚とし
ては、800nm以上1000nm以下が特に好まし
い。ここで、上記優先配向面は、X線回折測定により得
られた各面ピークの強度(cps)を比較し、最大のピ
ーク強度を示す面を優先配向面とすることにより定める
ことができる。
【0020】また、被膜形成原料の熱分解を伴う方法に
より、導電膜として酸化錫を主成分とする膜を形成する
場合には、被膜形成時の基板温度を500℃以上700
℃以下とすれば、吸収率が低い導電膜を利用することが
できる。この場合は、膜厚が400nm以上700nm
以下の範囲においても上記表面形状とシート抵抗値とを
有する導電膜を得ることができる。
【0021】被膜形成時の基板温度が低すぎると、導電
膜の結晶性が低下して膜中のキャリア移動度が低下して
比抵抗の上昇を招く。この点からも、被膜形成時の基板
温度は上記範囲が好ましい。
【0022】また、導電膜とガラス基板との間に下地膜
を形成する形態も、反射率を低減させるばかりではな
く、導電膜の表面形状の制御に有効である。下地膜は、
2以上の層を積層して形成してもよい。この場合は、少
なくとも1層が結晶質の層であることが好ましい。より
具体的には、ガラス基板に近い側から、結晶質の第1の
下地層と非晶質の第2の下地層とをこの順に形成する
と、導電膜の膜厚を増しても凹凸高さを適切な範囲に制
御できる。第1の下地層としては、酸化錫を主成分とす
る膜が好ましく、第2の下地層としては、酸化珪素を主
成分とする膜が好ましい。
【0023】導電膜についても、2以上の層を積層して
構成してもよい。例えば異種の導電層を含む多層膜とし
て、導電膜の表面凹凸形状を調整してもよい。
【0024】以下、図面を参照しながら、光電変換装置
用基板の好ましい形態についてさらに説明する。図1
は、本発明の光電変換装置用基板の一形態の断面図であ
る。この光電変換装置用基板では、ガラス板5上に、第
1の下地層1a、第2の下地層1b、酸化錫を主成分と
する透明導電膜2がこの順に形成されている。
【0025】酸化錫を主成分とする透明導電膜2の表面
には、高さ3および間隔4を有する凹凸が形成されてい
る。この凹凸が光電変換層での光閉じ込め効果の増大に
寄与する。高さ3は、50nm以上150nm以下、よ
り好ましくは50nm以上100nm以下である。間隔
4(凹凸を形成する凸部間のピッチ)は、50nm以上
1000nm以下である。透明導電膜2は、表面の70
%以上の領域が、上記範囲の高さ3および間隔4を有す
る凹凸で覆われていればよいが、実質的に全ての領域が
上記で規定される凹凸により覆われていることが好まし
い。
【0026】下地層1aは酸化錫を主成分とする膜であ
ることが好ましい。また、下地層1bは、酸化珪素およ
び酸化アルミニウムから選ばれるいずれか一方または両
方を主成分とすることが好ましく、特に酸化珪素膜であ
ることが好ましい。なお、図1では、2層構成の下地膜
を例示したが、下地膜は、1層であっても3層以上であ
っても構わない。
【0027】酸化錫を主成分とする透明導電膜2は、特
に限定されないが、導電性向上のために、フッ素、アン
チモンなどの微量元素が添加された酸化錫を主成分とす
る薄膜であることが好ましい。添加する元素の量は特に
制限されないが、フッ素であれば0.05〜1重量%を
適当な範囲として例示できる。
【0028】上記各膜の好ましい膜厚を以下に例示する 第1の下地層1a 0 〜 100nm 第2の下地層1b 10 〜 100nm 透明導電膜2 400 〜 1000nm
【0029】本発明の光電変換装置用基板の製造方法の
好ましい実施形態としては、フロートガラス製造工程に
おいて、ガラスリボンが有する熱を利用することによ
り、上記各膜をガラスリボンのトップ面に順次堆積する
方法を挙げることができる。ガラスリボンが有する熱を
利用する膜形成法としては、原料液を霧化してガラスリ
ボン表面に供給するスプレー法や原料を気化させてガラ
スリボン表面に供給するCVD法を利用できる。
【0030】フロート法におけるガラスリボン表面に、
CVD法により薄膜を形成するための装置の一形態を図
2に示す。図2に示したように、この装置では溶融窯1
1から錫フロート槽12内に流れ出し、錫浴15で帯状
に成形されて移動するガラスリボン10の直上に所定個
数のコータ16(図示した形態では3つのコータ16
a、16b、16c)が配置されている。これらのコー
タから、あらかじめ調整、気化された原料が供給され、
ガラスリボン10表面(トップ面;錫非接触面)に連続
的に被膜が形成される。また、それぞれのコータで異な
る原料を供給することにより、第1の下地層、第2の下
地層、透明導電膜を連続的に積層することができる。ガ
ラスリボン10の温度は、コータ16の直前で所定温度
となるように、錫フロート槽12内に配置されたヒータ
ーおよびクーラー(図示省略)により制御される。
【0031】ここで、ガラスリボンの所定温度として
は、600℃以上750℃以下が好ましく、特に630
℃以上750℃以下が好ましい。ガラスリボン10の温
度は放射温度計で計測できる。このようにして被膜が形
成されたガラスリボン10はロール17によって引き上
げられ、徐冷炉13で冷却される。
【0032】CVD法により酸化錫を主成分とする薄膜
を形成する場合、錫原料としては、モノブチル錫トリク
ロライド、四塩化錫、ジメチル錫ジクロライド、ジブチ
ル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジクロライド、テトラ
メチル錫などが挙げられる。第1の下地層を成膜する際
には、錫化合物中に塩素を含むモノブチル錫トリクロラ
イド、ジメチル錫ジクロライドなどの有機錫塩化物が好
適に用いられる。また、酸化原料としては、酸素、水蒸
気、乾燥空気などが挙げられる。また、導電膜にフッ素
を添加する場合のフッ素原料としては、フッ化水素、ト
リフルオロ酢酸、ブロモトリフルオロメタン、クロロジ
フルオロメタンなどが挙げられる。また添加剤としては
メタノールやエタノール、プロパノール、イソプロパノ
ール、ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール
類、蟻酸や酢酸などのカルボン酸類、ホルムアルデヒド
やアセトアルデヒドなどのアルデヒド類、酢酸エチルや
酢酸メチルなどのエステル類、アセトンやメチルエチル
ケトンなどのケトン類、ジメチルエーテルやジエチルエ
ーテルなどのエーテル類などが挙げられる。
【0033】CVD法により酸化珪素を主成分とする薄
膜を形成する場合、珪素原料としては、モノシラン、ジ
シラン、トリシラン、モノクロロシラン、1,2-ジメチル
シラン、1,1,2-トリメチルジシラン、1,1,2,2-テトラメ
チルジシラン、テトラメチルオルソシリケート、テトラ
エチルオルソシリケートなどが挙げられる。酸化原料と
しては、酸素、水蒸気、乾燥空気、二酸化炭素、一酸化
炭素、二酸化窒素、オゾンなどが挙げられる。また、モ
ノシランなど反応性の極めて高い原料を使用する場合に
は、エチレン、アセチレン、トルエンなどの不飽和炭化
水素ガスを添加して反応性を制御してもよい。
【0034】酸化珪素と同様、第2の下地層として好適
な酸化アルミニウムを主成分とする膜をCVD法により
成膜する場合のアルミニウム原料としては、トリメチル
アルミニウム、アルミニウムトリイソポプロポキサイ
ド、塩化ジエチルアルミニウム、アルミニウムアセチル
アセトネート、塩化アルミニウムなどが挙げられる。ま
た、この場合の酸化原料としては、酸素、水蒸気、乾燥
空気などが挙げられる。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明は以下の実施例により制限されるもの
ではない。 (実施例1)予め一辺が10cmの正方形となるように
切断した厚さ3mmのソーダライムガラスを洗浄しさら
に乾燥させた。大気開放型の搬送炉内において、CVD
法により、このガラス板に厚さ20nmのSiO2膜を
成膜し、引き続いて厚さ920nmのSnO2:F膜を
成膜した。成膜は、ガラス板を、メッシュベルトを用い
て約520℃に加熱された炉内を搬送しながら行った。
炉内に設置したコータから、SiO2成膜の際は、モノ
シラン、エチレン、酸素および窒素からなる混合ガスを
供給し、SnO2成膜の際は四塩化錫(蒸気)、水蒸
気、窒素、およびトリフルオロ酢酸(TFA;蒸気)、
メタノール(蒸気)からなる混合ガスを供給した。ま
た、SnO2成膜の際のガス組成(モル比)としては、
2O/SnCl4=50、TFA/SnCl4=0.5
7、CH3OH/H2O=7.05とした。この際、得ら
れた供試体のシート抵抗は18.0Ω/□、400〜1
200nmの波長領域における膜の吸収率の平均値は
2.8%であった。またX線回折測定の結果、この供試
体の膜面の第一ピークは(211)面であった。
【0036】このようにして得た供試体を洗浄、乾燥し
基体とした。基体を約350℃に加熱し、この基体の導
電膜上にモノシランおよび水素を供給し、プラズマCV
D法により厚さ2.0μmの珪素膜を形成した。基体を
冷却後、炉内から取り出し、透過型電子顕微鏡による観
察およびX線回折測定をおこなった。
【0037】導電膜(フッ素含有酸化錫膜)の表面に
は、高さが平均0.09μmであり、ピッチ間隔が平均
0.1μmの凹凸が形成されていた。この凹凸は高さが
0.05〜0.15μm、ピッチ間隔(凸部の間隔;以
下同様)が0.05〜1.0μmの範囲内であった。ま
た、珪素膜は柱状の結晶成長を示していることが確認で
きた。また、この珪素膜では(220)面への配向が顕
著に見られた。
【0038】(実施例2)予め一辺が10cmの正方形
となるように切断した厚さ3mmのソーダライムガラス
を洗浄しさらに乾燥させた。大気開放型の搬送炉内にお
いて、CVD法により、このガラス板に厚さ20nmの
SnO2膜、厚さ30nmのSiO2膜を成膜し、引き続
いて厚さ820nmのSnO2:F膜を成膜した。成膜
は、ガラス板を、メッシュベルトを用いて約550℃に
加熱された炉内を搬送しながら行った。炉内に設置した
コータから、SiO2成膜の際は、モノシラン、エチレ
ン、酸素および窒素からなる混合ガスを供給し、SnO
2成膜の際は四塩化錫(蒸気)、水蒸気、窒素、および
トリフルオロ酢酸(TFA;蒸気)、メタノール(蒸
気)からなる混合ガスを供給した。また、SnO2成膜
の際のガス組成(モル比)としては、H2O/SnCl4
=9、TFA/SnCl4=0.57、CH3OH/H2
O=0.94とした。この際、得られた供試体のシート
抵抗は14.3Ω/□、400〜1200nmの波長領
域における膜の吸収率の平均値は3.8%であった。ま
たX線回折測定の結果、この供試体の第一ピークは(2
11)面であった。
【0039】このようにして得た供試体を洗浄、乾燥し
基体とした。基体を約350℃に加熱し、この基体の導
電膜上にモノシランおよび水素を供給し、プラズマCV
D法により厚さ2.0μmの珪素膜を形成した。基体を
冷却後、炉内から取り出し、透過型電子顕微鏡による観
察およびX線回折測定をおこなった。
【0040】導電膜(フッ素含有酸化錫膜)の表面に
は、高さが平均0.10μmであり、ピッチ間隔が平均
0.25μmの凹凸が形成されていた。この凹凸は高さ
が0.05〜0.15μm、ピッチ間隔が0.05〜
1.0μmの範囲内であった。また、珪素膜は柱状の結
晶成長を示していることが確認できた。また、この珪素
膜では(220)面への配向が顕著に見られた。
【0041】(実施例3)予め一辺が10cmの正方形
となるように切断した厚さ3mmのソーダライムガラス
を洗浄しさらに乾燥させた。大気開放型の搬送炉内にお
いて、CVD法により、このガラス板に厚さ20nmの
SnO2膜、厚さ20nmのSiO2膜を成膜し、引き続
いて厚さ600nmのSnO2:F膜を成膜した。成膜
は、ガラス板を、メッシュベルトを用いて約590℃に
加熱された炉内を搬送しながら行った。炉内に設置した
コータから、SiO2成膜の際は、モノシラン、エチレ
ン、酸素および窒素からなる混合ガスを供給し、SnO
2成膜の際はジメチル錫ジクロライド(蒸気)、窒素、
およびトリフルオロ酢酸(蒸気)からなる混合ガスを供
給した。この際、得られた供試体のシート抵抗は12.
2Ω/□、400〜1200nmの波長領域における膜
の吸収率の平均値は4.5%であった。
【0042】このようにして得た供試体を洗浄、乾燥し
基体とした。基体を約350℃に加熱し、この基体の導
電膜上にモノシランおよび水素を供給し、プラズマCV
D法により厚さ2.0μmの珪素膜を形成した。基体を
冷却後、炉内から取り出し、透過型電子顕微鏡による観
察およびX線回折測定をおこなった。
【0043】導電膜(フッ素含有酸化錫膜)の表面に
は、高さが平均0.11μmであり、ピッチ間隔が平均
0.15μmの凹凸が形成されていた。この凹凸は高さ
が0.05〜0.15μm、ピッチ間隔が0.05〜
1.0μmの範囲内であった。また、珪素膜は柱状の結
晶成長を示していることが確認できた。また、この珪素
膜では(220)面への配向が顕著に見られた。
【0044】(実施例4)予め一辺が10cmの正方形
となるように切断した厚さ3mmのソーダライムガラス
を洗浄しさらに乾燥させた。大気開放型の搬送炉内にお
いて、CVD法により、このガラス板に厚さ10nmの
SnO2膜、厚さ20nmのSiO2膜を成膜し、引き続
いて厚さ650nmのSnO2:F膜を成膜した。成膜
は、ガラス板を、メッシュベルトを用いて約550℃に
加熱された炉内を搬送しながら行った。炉内に設置した
コータから、SiO2成膜の際は、モノシラン、エチレ
ン、酸素および窒素からなる混合ガスを供給し、SnO
2成膜の際はモノブチル錫テトラクロライド(蒸気)、
窒素、およびトリフルオロ酢酸(蒸気)からなる混合ガ
スを供給した。この際、得られた供試体のシート抵抗は
28.0Ω/□、400〜1200nmの波長領域にお
ける膜の吸収率の平均値は2.4%であった。
【0045】このようにして得た供試体を洗浄、乾燥し
基体とした。基体を約350℃に加熱し、この基体の導
電膜上にモノシランおよび水素を供給し、プラズマCV
D法により厚さ2.0μmの珪素膜を形成した。基体を
冷却後、炉内から取り出し、透過型電子顕微鏡による観
察およびX線回折測定をおこなった。
【0046】導電膜(フッ素含有酸化錫膜)の表面に
は、高さが平均0.06μmであり、ピッチ間隔が平均
0.07μmの凹凸が形成されていた。この凹凸は高さ
が0.05〜0.15μm、ピッチ間隔が0.05〜
1.0μmの範囲内であった。また、珪素膜は柱状の結
晶成長を示していることが確認できた。また、この珪素
膜では(220)面への配向が顕著に見られた。
【0047】(実施例5)図2に示した装置と同様の装
置を用い、CVD法により、ガラスリボン表面に薄膜を
積層した。成膜の際には、錫フロート槽空間に98体積
%の窒素と2体積%の水素からなる混合ガスを供給し、
槽外よりもやや高圧となるように維持した。錫フロート
槽内に、溶融窯で溶融されたソーダライムガラス生地を
流し込み、成形して厚み4mmのガラスリボンとし、毎
分約7mの速度で引き上げた。トップ面に所定の薄膜を
積層したガラスリボンは徐冷炉で徐冷された後、洗浄、
乾燥、切断した。
【0048】ガラスリボンの表面には、最上流側に位置
する第1のコータ(図2中図番16a)直前のガラスリ
ボン表面温度を750℃とし、第1のコータから、ジメ
チル錫ジクロライド、酸素、ヘリウム、窒素からなる混
合ガスを供給した。また、第2のコータ(図2中図番1
6b)から、モノシラン、エチレン、酸素および窒素か
らなる混合ガスを供給した。さらに、第3のコータ(図
2中図番16c)から、ジメチル錫ジクロライド、酸
素、水蒸気、窒素、フッ化水素からなる混合ガスを供給
した。このようにして、ガラスリボンのトップ面に膜厚
が約30nmの酸化錫膜、膜厚が約30nmの酸化珪素
膜、膜厚が約450nmのフッ素含有酸化錫膜がこの順
に積層された供試体を得た。この際、得られた供試体の
シート抵抗は21.0Ω/□、400〜1200nmの
波長領域における膜の吸収率の平均値は3.2%であっ
た。
【0049】このようにして得た供試体を100×10
0mmの大きさに切断し、洗浄、乾燥し基体とした。基
体を約350℃に加熱し、この基体の導電膜上にモノシ
ランおよび水素を供給し、プラズマCVD法により厚さ
2.0μmの珪素膜を形成した。基体を冷却後、炉内か
ら取り出し、透過型電子顕微鏡による観察およびX線回
折測定をおこなった。
【0050】導電膜(フッ素含有酸化錫膜)の表面に
は、高さが平均0.13μmであり、ピッチ間隔が平均
0.50μmの凹凸が形成されていた。この凹凸は高さ
が0.05〜0.15μm、ピッチ間隔が0.05〜
1.0μmの範囲内であった。また、珪素膜は柱状の結
晶成長を示していることが確認できた。また、この珪素
膜では(220)面への配向が顕著に見られた。
【0051】(実施例6)予め一辺が10cmの正方形
となるように切断した厚さ3mmのソーダライムガラス
を洗浄しさらに乾燥させた。大気開放型の搬送炉内にお
いて、CVD法により、このガラス板に厚さ20nmの
SnO2膜、厚さ20nmのSiO2膜を成膜し、引き続
いて厚さ650nmのSnO2:F膜を成膜した。成膜
は、ガラス板を、メッシュベルトを用いて約550℃に
加熱された炉内を搬送しながら行った。炉内に設置した
コータから、SiO2成膜の際は、モノシラン、エチレ
ン、酸素および窒素からなる混合ガスを供給し、SnO
2成膜の際はモノブチル錫トリクロライド(蒸気)、窒
素、およびトリフルオロ酢酸(蒸気)からなる混合ガス
を供給した。
【0052】このようにして得た供試体のSnO2膜上
に、市販のスプレーガンを用いて圧縮空気によりミスト
を供給するスプレー法により約50nmの酸化亜鉛保護
膜を形成した。スプレー原料には塩化亜鉛水溶液と塩化
アルミニウム水溶液、NH4Fを混合したものを用い
た。なおこの際の成膜温度は550℃であった。この
際、得られた供試体のシート抵抗は15.5Ω/□、4
00〜1200nmの波長領域における膜の吸収率の平
均値は3.9%であった。
【0053】このようにして得た供試体を洗浄、乾燥し
基体とした。基体を約350℃に加熱し、この基体の導
電膜上にモノシランおよび水素を供給し、プラズマCV
D法により厚さ2.0μmの珪素膜を形成した。基体を
冷却後、炉内から取り出し、透過型電子顕微鏡による観
察およびX線回折測定をおこなった。
【0054】導電膜(フッ素含有酸化錫膜)の表面に
は、高さが平均0.08μmであり、ピッチ間隔が平均
0.12μmの凹凸が形成されていた。この凹凸は高さ
が0.05〜0.15μm、ピッチ間隔が0.05〜
1.0μmの範囲内であった。また、珪素膜は柱状の結
晶成長を示していることが確認できた。また、この珪素
膜では(220)面への配向が顕著に見られた。
【0055】(実施例7)予め一辺が10cmの正方形
となるように切断した厚さ3mmのソーダライムガラス
を洗浄しさらに乾燥させた。大気開放型の搬送炉内にお
いて、CVD法により、このガラス板に厚さ20nmの
SnO2膜、厚さ20nmのSiO2膜を成膜し、引き続
いて厚さ850nmのSnO2:F膜を成膜した。成膜
は、ガラス板を、メッシュベルトを用いて約530℃に
加熱された炉内を搬送しながら行った。炉内に設置した
コータから、SiO2成膜の際は、モノシラン、エチレ
ン、酸素および窒素からなる混合ガスを供給し、SnO
2成膜の際はジメチル錫ジクロライド(蒸気)、窒素、
およびトリフルオロ酢酸(蒸気)からなる混合ガスを供
給した。この際、得られた供試体のシート抵抗は24.
3Ω/□、400〜1200nmの波長領域における膜
の吸収率の平均値は2.8%であった。
【0056】このようにして得た供試体を洗浄、乾燥し
基体とした。基体を約350℃に加熱し、この基体の導
電膜上にモノシランおよび水素を供給し、プラズマCV
D法により厚さ2.0μmの珪素膜を形成した。基体を
冷却後、炉内から取り出し、透過型電子顕微鏡による観
察およびX線回折測定をおこなった。
【0057】導電膜(フッ素含有酸化錫膜)の表面に
は、高さが平均0.14μmであり、ピッチ間隔が平均
0.85μmの凹凸が形成されていた。この凹凸は高さ
が0.05〜0.15μm、ピッチ間隔が0.05〜
1.0μmの範囲内であった。また、珪素膜は柱状の結
晶成長を示していることが確認できた。また、この珪素
膜では(220)面への配向が顕著に見られた。
【0058】(実施例8)予め一辺が10cmの正方形
となるように切断した厚さ3mmのソーダライムガラス
を洗浄しさらに乾燥させた。大気開放型の搬送炉内にお
いて、CVD法により、このガラス板に厚さ20nmの
SnO2膜、厚さ20nmのSiO2膜を成膜し、引き続
いて厚さ850nmのSnO2:F膜を成膜した。成膜
は、ガラス板を、メッシュベルトを用いて約530℃に
加熱された炉内を搬送しながら行った。炉内に設置した
コータから、SiO2成膜の際は、モノシラン、エチレ
ン、酸素および窒素からなる混合ガスを供給し、SnO
2成膜の際はジメチル錫ジクロライド(蒸気)、窒素、
およびトリフルオロ酢酸(蒸気)からなる混合ガスを供
給した。この際、得られた供試体のシート抵抗は24.
3Ω/□、400〜1200nmの波長領域における膜
の吸収率の平均値は2.8%であった。
【0059】このようにして得た供試体を洗浄、乾燥し
基体とした。基体を約350℃に加熱し、この基体の導
電膜上にモノシランおよび水素を供給し、プラズマCV
D法により厚さ2.0μmの珪素膜を形成した。基体を
冷却後、炉内から取り出し、透過型電子顕微鏡による観
察およびX線回折測定をおこなった。
【0060】導電膜(フッ素含有酸化錫膜)の表面に
は、高さが平均0.14μmであり、ピッチ間隔が平均
0.85μmの凹凸が形成されていた。この凹凸は高さ
が0.05〜0.15μm、ピッチ間隔が0.05〜
1.0μmの範囲内であった。また、珪素膜は柱状の結
晶成長を示していることが確認できた。また、この珪素
膜では(220)面への配向が顕著に見られた。
【0061】次に上記ガラス板を用いて、透明導電膜が
形成されているガラス主表面と反対側の主表面上に反射
抑制膜を以下のように形成した。
【0062】まず、透明導電膜を形成したガラス板の表
面をマスクした後、このガラス板を0.05モルのホウ
酸および0.008モルの弗化カリウムを添加した濃度
1.25モル/リットルの珪弗化水素酸のシリカ過飽和
水溶液に2時間浸漬した。さらにガラス板を取り出し、
マスクを除去し、洗浄、乾燥することにより、透明導電
膜が形成されていないもう一方のガラス主表面上に酸化
珪素膜を形成した。この膜は、実質的な屈折率が1.2
8の空隙を有する膜で、厚さが100nmであった。
【0063】(実施例9)予め一辺が10cmの正方形
となるように切断した厚さ3mmのソーダライムガラス
を洗浄しさらに乾燥させた。大気開放型の搬送炉内にお
いて、CVD法により、このガラス板に厚さ20nmの
TiO2膜、厚さ20nmのSiO2膜を成膜し、引き続
いて厚さ590nmのSnO2:F膜を成膜した。成膜
は、ガラス板を、メッシュベルトを用いて約550℃に
加熱された炉内を搬送しながら行った。炉内に設置した
コータから、TiO2成膜の際はチタンテトライソプロ
ポキシド、SiO2成膜の際は、モノシラン、エチレ
ン、酸素および窒素からなる混合ガスを供給し、SnO
2成膜の際は四塩化錫(蒸気)、水蒸気、窒素、および
トリフルオロ酢酸(TFA;蒸気)、メタノール(蒸
気)からなる混合ガスを供給した。また、SnO2成膜
の際のガス組成(モル比)としては、H2O/SnCl4
=9、TFA/SnCl4=0.57、CH3OH/H2
O=0.94とした。この際、得られた供試体のシート
抵抗は17.4Ω/□、400〜1200nmの波長領
域における膜の吸収率の平均値は3.1%であった。
【0064】このようにして得た供試体を洗浄、乾燥し
基体とした。基体を約350℃に加熱し、この基体の導
電膜上にモノシランおよび水素を供給し、プラズマCV
D法により厚さ2.0μmの珪素膜を形成した。基体を
冷却後、炉内から取り出し、透過型電子顕微鏡による観
察およびX線回折測定をおこなった。
【0065】導電膜(フッ素含有酸化錫膜)の表面に
は、高さが平均0.10μmであり、ピッチ間隔が平均
0.41μmの凹凸が形成されていた。この凹凸は高さ
が0.05〜0.15μm、ピッチ間隔が0.05〜
1.0μmの範囲内であった。また、珪素膜は柱状の結
晶成長を示していることが確認できた。また、この珪素
膜では(220)面への配向が顕著に見られた。
【0066】(実施例10)図2に示した装置と同様の
装置を用い、CVD法により、ガラスリボン表面に薄膜
を積層した。成膜の際には、錫フロート槽空間に98体
積%の窒素と2体積%の水素からなる混合ガスを供給
し、槽外よりもやや高圧となるように維持した。錫フロ
ート槽内に、溶融窯で溶融されたソーダライムガラス生
地を流し込み、成形して厚み4mmのガラスリボンと
し、毎分約7mの速度で引き上げた。トップ面に所定の
薄膜を積層したガラスリボンは徐冷炉で徐冷された後、
洗浄、乾燥、切断した。
【0067】このガラスリボンの表面に、第1のコータ
(図2中図番16b)から、モノシラン、エチレン、酸
素および窒素からなる混合ガスを供給した。この際エチ
レンを多量に導入することによりSiOC膜を形成し
た。さらに、第3のコータ(図2中図番16c)から、
ジメチル錫ジクロライド、酸素、水蒸気、窒素、フッ化
水素からなる混合ガスを供給した。このようにして、ガ
ラスリボンのトップ面に膜厚が約25nmのSiOC
膜、膜厚が約500nmのフッ素含有酸化錫膜がこの順
に積層された供試体を得た。この際、得られた供試体の
シート抵抗は24.2Ω/□、400〜1200nmの
波長領域における膜の吸収率の平均値は2.9%であっ
た。
【0068】このようにして得た供試体を100×10
0mmの大きさに切断し、洗浄、乾燥し基体とした。基
体を約350℃に加熱し、この基体の導電膜上にモノシ
ランおよび水素を供給し、プラズマCVD法により厚さ
2.0μmの珪素膜を形成した。基体を冷却後、炉内か
ら取り出し、透過型電子顕微鏡による観察およびX線回
折測定をおこなった。
【0069】導電膜(フッ素含有酸化錫膜)の表面に
は、高さが平均0.08μmであり、ピッチ間隔が平均
0.36μmの凹凸が形成されていた。この凹凸は高さ
が0.05〜0.15μm、ピッチ間隔が0.05〜
1.0μmの範囲内であった。また、珪素膜は柱状の結
晶成長を示していることが確認できた。また、この珪素
膜では(220)面への配向が顕著に見られた。
【0070】(実施例11)図2に示した装置と同様の
装置を用い、CVD法により、ガラスリボン表面に薄膜
を積層した。成膜の際には、錫フロート槽空間に98体
積%の窒素と2体積%の水素からなる混合ガスを供給
し、槽外よりもやや高圧となるように維持した。錫フロ
ート槽内に、溶融窯で溶融されたソーダライムガラス生
地を流し込み、成形して厚み4mmのガラスリボンと
し、毎分約7mの速度で引き上げた。トップ面に所定の
薄膜を積層したガラスリボンは徐冷炉で徐冷された後、
洗浄、乾燥、切断した。
【0071】ガラスリボンの表面には、最上流側に位置
する第1のコータ(図2中図番16a)直前のガラスリ
ボン表面温度を750℃とし、第1のコータから、ジメ
チル錫ジクロライド、酸素、ヘリウム、窒素からなる混
合ガスを供給してSnO2膜を形成した。また、第2の
コータ(図2中図番16b)から、モノシラン、エチレ
ン、酸素および窒素からなる混合ガスを供給した。この
際エチレンを多量に導入することにより、SiOC膜を
形成した。さらに、第3のコータ(図2中図番16c)
から、ジメチル錫ジクロライド、酸素、水蒸気、窒素、
フッ化水素からなる混合ガスを供給した。このようにし
て、ガラスリボンのトップ面に膜厚が約35nmのSn
2膜、膜厚が約15nmのSiOC膜、膜厚が約57
0nmのフッ素含有酸化錫膜がこの順に積層された供試
体を得た。この際、得られた供試体のシート抵抗は2
0.1Ω/□、400〜1200nmの波長領域におけ
る膜の吸収率の平均値は2.7%であった。
【0072】このようにして得た供試体を100×10
0mmの大きさに切断し、洗浄、乾燥し基体とした。基
体を約350℃に加熱し、この基体の導電膜上にモノシ
ランおよび水素を供給し、プラズマCVD法により厚さ
2.0μmの珪素膜を形成した。基体を冷却後、炉内か
ら取り出し、透過型電子顕微鏡による観察およびX線回
折測定をおこなった。
【0073】導電膜(フッ素含有酸化錫膜)の表面に
は、高さが平均0.12μmであり、ピッチ間隔が平均
0.65μmの凹凸が形成されていた。この凹凸は高さ
が0.05〜0.15μm、ピッチ間隔が0.05〜
1.0μmの範囲内であった。また、珪素膜は柱状の結
晶成長を示していることが確認できた。またこの珪素膜
は(220)面への配向が顕著に見られた。
【0074】(比較例1)予め一辺が10cmの正方形
となるように切断した厚さ3mmのソーダライムガラス
を洗浄しさらに乾燥させた。大気開放型の搬送炉内にお
いて、CVD法により、このガラス板に厚さ20nmの
SiO2膜を成膜し、引き続いて厚さ900nmのSn
2:F膜を成膜した。成膜は、ガラス板を、メッシュ
ベルトを用いて約630℃に加熱された炉内を搬送しな
がら行った。炉内に設置したコータから、SiO2成膜
の際は、モノシラン、エチレン、酸素および窒素からな
る混合ガスを供給し、SnO2成膜の際はジメチル錫ジ
クロライド(蒸気)、窒素、およびトリフルオロ酢酸
(蒸気)からなる混合ガスを供給した。この際、得られ
た供試体のシート抵抗は18.6Ω/□、400〜12
00nmの波長領域における膜の吸収率の平均値は2.
8%であった。
【0075】このようにして得た供試体を洗浄、乾燥し
基体とした。基体を約350℃に加熱し、この基体の導
電膜上にモノシランおよび水素を供給し、プラズマCV
D法により厚さ2.0μmの珪素膜を形成した。基体を
冷却後、炉内から取り出し、透過型電子顕微鏡による観
察およびX線回折測定をおこなった。
【0076】導電膜(フッ素含有酸化錫膜)の表面に
は、高さが平均0.33μmであり、ピッチ間隔が平均
0.37μmの凹凸が形成されていた。この凹凸は高さ
が0.05〜0.15μm、ピッチ間隔が0.05〜
1.0μmの範囲外であった。また、珪素膜は柱状の結
晶成長を示していることが確認できた。しかし、この珪
素膜では(220)面配向が顕著に見られなかった。
【0077】(比較例2)予め一辺が10cmの正方形
となるように切断した厚さ3mmのソーダライムガラス
を洗浄しさらに乾燥させた。大気開放型の搬送炉内にお
いて、CVD法により、このガラス板に厚さ20nmの
SiO2膜を成膜し、引き続いて厚さ700nmのSn
2:F膜を成膜した。成膜は、ガラス板を、メッシュ
ベルトを用いて約630℃に加熱された炉内を搬送しな
がら行った。炉内に設置したコータから、SiO2成膜
の際は、モノシラン、エチレン、酸素および窒素からな
る混合ガスを供給し、SnO2成膜の際は四塩化錫(蒸
気)、水蒸気、窒素、およびトリフルオロ酢酸(TF
A;蒸気)からなる混合ガスを供給した。また、SnO
2成膜の際のガス組成(モル比)としては、H2O/Sn
Cl4=73、TFA/SnCl4=0.13とした。こ
の際、得られた供試体のシート抵抗は18.6Ω/□、
400〜1200nmの波長領域における膜の吸収率の
平均値は3.1%であった。
【0078】このようにして得た供試体を洗浄、乾燥し
基体とした。基体を約350℃に加熱し、この基体の導
電膜上にモノシランおよび水素を供給し、プラズマCV
D法により厚さ2.0μmの珪素膜を形成した。基体を
冷却後、炉内から取り出し、透過型電子顕微鏡による観
察およびX線回折測定をおこなった。
【0079】導電膜(フッ素含有酸化錫膜)の表面に
は、高さが平均0.28μmであり、ピッチ間隔が平均
0.19μmの凹凸が形成されていた。この凹凸は高さ
が0.05〜0.15μm、ピッチ間隔が0.05〜
1.0μmの範囲外であった。また、珪素膜は柱状の結
晶成長を示していることが確認できた。しかし、この珪
素膜では(220)面配向が顕著に見られなかった。
【0080】(比較例3)予め一辺が10cmの正方形
となるように切断した厚さ3mmのソーダライムガラス
を洗浄しさらに乾燥させた。大気開放型の搬送炉内にお
いて、CVD法により、このガラス板に厚さ20nmの
SiO2膜を成膜し、引き続いて厚さ600nmのSn
2:F膜を成膜した。成膜は、ガラス板を、メッシュ
ベルトを用いて約550℃に加熱された炉内を搬送しな
がら行った。炉内に設置したコータから、SiO2成膜
の際は、モノシラン、エチレン、酸素および窒素からな
る混合ガスを供給し、SnO2成膜の際は四塩化錫(蒸
気)、水蒸気、窒素、およびトリフルオロ酢酸(TF
A;蒸気)からなる混合ガスを供給した。また、SnO
2成膜の際のガス組成(モル比)としては、H2O/Sn
Cl4=50、TFA/SnCl4=2.34とした。こ
の際、得られた供試体のシート抵抗は7.1Ω/□、4
00〜1200nmの波長領域における膜の吸収率の平
均値は5.5%であった。
【0081】このようなシート抵抗値の低抵抗化に伴う
膜吸収の増大は、光電変換装置用基板としてトータルの
性能を考えた場合、光電変換層に到達する光量が低下す
るため、好ましくない。
【0082】このようにして得た供試体を洗浄、乾燥し
基体とした。基体を約350℃に加熱し、この基体の導
電膜上にモノシランおよび水素を供給し、プラズマCV
D法により厚さ2.0μmの珪素膜を形成した。基体を
冷却後、炉内から取り出し、透過型電子顕微鏡による観
察およびX線回折測定をおこなった。
【0083】導電膜(フッ素含有酸化錫膜)の表面に
は、高さが平均0.14μmであり、ピッチ間隔が平均
0.18μmの凹凸が形成されていた。この凹凸は高さ
が0.05〜0.15μm、ピッチ間隔が0.05〜
1.0μmの範囲外であった。また、珪素膜は柱状の結
晶成長を示していることが確認できた。しかし、この珪
素膜では(220)面配向が顕著に見られなかった。
【0084】以上の実施例、比較例の結果を表1にまと
めて示す。
【0085】 (表1) ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 凹凸高さ(平均) 凹凸間隔(平均) 高さ/間隔 (μm) (μm) ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 実施例1 0.09 0.10 0.90 実施例2 0.10 0.25 0.40 実施例3 0.11 0.15 0.73 実施例4 0.06 0.07 0.86 実施例5 0.13 0.50 0.26 実施例6 0.08 0.12 0.67 実施例7 0.14 0.85 0.16 実施例8 0.14 0.85 0.16 実施例9 0.10 0.41 0.24 実施例10 0.08 0.36 0.22 実施例11 0.12 0.65 0.18 比較例1 0.33 0.37 0.89 比較例2 0.28 0.19 1.47 比較例3 0.14 0.18 0.78 ――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0086】 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― シート抵抗値 吸収率 膜厚 シリコン結晶性 (Ω/□) (%) (nm)((220)面配向性) ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 実施例1 18.0 2.8 920 ○ 実施例2 12.2 4.5 600 ○ 実施例3 14.3 3.8 820 ○ 実施例4 28.0 2.4 650 ○ 実施例5 21.0 3.2 450 ○ 実施例6 15.5 3.9 650 ○ 実施例7 24.3 2.8 850 ○ 実施例8 24.3 2.8 850 ○ 実施例9 17.4 3.1 590 ○ 実施例10 24.2 2.9 500 ○ 実施例11 20.1 2.7 570 ○ 比較例1 18.6 2.8 900 × 比較例2 18.6 3.1 700 × 比較例3 7.1 5.5 600 × ――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0087】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
特に結晶質シリコン系光電変換装置に適した光電変換装
置用基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光電変換装置用基板の一形態の断面
図である。
【図2】 本発明の光電変換装置用基板を製造するため
に用いる装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1a 第1の下地層 1b 第2の下地層 2 透明導電膜 3 凹凸の高さ 4 凸部の間隔 5 ガラス板 10 ガラスリボン 11 溶融窯 12 錫フロート槽 13 徐冷炉 15 錫浴 16 コータ 17 ロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 末吉 幸雄 大阪府大阪市中央区道修町3丁目5番11号 日本板硝子株式会社内 (72)発明者 平田 昌宏 大阪府大阪市中央区道修町3丁目5番11号 日本板硝子株式会社内 (72)発明者 大谷 強 大阪府大阪市中央区道修町3丁目5番11号 日本板硝子株式会社内 Fターム(参考) 5F051 FA02 FA17 FA18 FA19 FA24 GA03

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス板と、前記ガラス板上に形成され
    た少なくとも1層の下地膜と、前記下地膜上に形成され
    た少なくとも1層の導電膜とを含み、前記導電膜の表面
    に凹凸が形成された光電変換装置用基板であって、前記
    凹凸の高さが50nm以上150nm以下であり、前記
    凹凸を形成する凸部間の間隔が50nm以上1000n
    m以下であり、前記導電膜の膜厚が400nm以上10
    00nm以下であり、前記導電膜のシート抵抗値が10
    Ω/□以上30Ω/□以下であることを特徴とする光電
    変換装置用基板。
JP36180999A 1999-12-20 1999-12-20 光電変換装置用基板 Pending JP2001177127A (ja)

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