JP2001176711A - ボンド磁石の製造方法、ボンド磁石粉末の製造方法、ボンド磁石及びボンド磁石粉末 - Google Patents

ボンド磁石の製造方法、ボンド磁石粉末の製造方法、ボンド磁石及びボンド磁石粉末

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JP2001176711A JP35813299A JP35813299A JP2001176711A JP 2001176711 A JP2001176711 A JP 2001176711A JP 35813299 A JP35813299 A JP 35813299A JP 35813299 A JP35813299 A JP 35813299A JP 2001176711 A JP2001176711 A JP 2001176711A
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Tomoyoshi Uchigaki
友好 内垣
Hisakuni Ito
寿国 伊藤
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Daido Electronics Co Ltd
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Ishizuka Glass Co Ltd
Daido Electronics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐腐食性等の性能改善を図るとともに、かつ
原料粉末段階での酸化劣化等による特性不良等も生じに
くいボンド磁石及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 金属アルコキシド含有溶液からなる磁性
素材用処理剤を、ボンド磁石粉末粒子10に対して塗布
することによりコーティング被膜15bを形成する。該
コーティング被膜15bは、アルコキシドに由来する有
機成分が金属酸化物と複合化した一種の有機無機ハイブ
リッド被膜となり、薄膜でも良好な耐腐食性をこれに付
与できる。また、ボンド磁石粉末粒子10に上記のよう
なコーティング被膜15bを形成しておけば、粉末の化
学的安定性が格段に向上するので、粉末の酸化劣化に基
づく磁気特性低下が起こりにくくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボンド磁石の製造
方法、ボンド磁石粉末の製造方法、ボンド磁石及びボン
ド磁石粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、Nd−Fe−B系磁石材料あるい
はSm−Fe−N系磁石材料など、Feを主成分とする
高性能希土類永久磁石材料(以下、Fe系希土類磁石材
料といい、それによって構成された永久磁石部材をFe
系希土類磁石という)が開発されており、特にNd−F
e−B系磁石材料は優れた磁気特性を有することから、
各種電気機器や自動車用のモータ、あるいはコンピュー
タ用のボイスコイルモータ等に広く使用されている。N
d−Fe−B系磁石材料は、その製法により、焼結磁
石、熱間加工磁石及びボンド磁石(樹脂結合磁石)の3
種類に大別される。このうちボンド磁石は、所定量の合
金成分を配合・溶解後、溶湯を単ロール法等により急冷
凝固させて得られる急冷薄帯を粉砕して原料磁石粉末を
作り、その粉末をエポキシ樹脂、あるいはナイロン樹脂
等の樹脂バインダとともに成形して所望の形状の磁石と
するものである。上記磁石粉末は、主要な硬磁性相であ
るNd Fe14B型正方晶金属間化合物相(以下2−
14−1相という)が単磁区粒子径以下となった微細結
晶粒組織を有し、粉末の状態で高い保磁力を示す。この
ようなボンド磁石は、焼結磁石及び圧延磁石と異なり成
形後の加工がほとんど不要で寸法精度が高く形状自由度
に優れ、しかも生産性が高いことから、特に小型モータ
ー用のリング磁石などに大量に使用されている。一方、
Sm−Fe−N系磁石材料は、磁性の主役を担うSm−
Fe−N系化合物相が高温で分解しやすいため、もっぱ
らボンド磁石としての用途が模索されている状況であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
なFe系希土類磁石材料はFeを主成分としている上、
化学的に活性な希土類元素を比較的多く含んでいること
から、使用環境によっては、具体的には湿度や温度の上
がりやすい環境下では腐食が問題となる場合がある。一
般にFe系希土類磁石材料は、安定した磁気特性を確保
するために、磁性相を形成する金属間化合物(例えば前
記の2−14−1相である)の化学量論比よりも過剰な
希土類成分を含有するように組成調整されることが多
く、その過剰な希土類成分が希土類リッチ相となって磁
性相とともに多相構造を形成する形となる。このような
場合、異相間の局部電池反応も関係して腐食はより進行
しやすい状況にあるといえる。このような腐食が進行す
れば、該Fe系希土類磁石を励磁媒体とするモータ等の
電子機器自体の性能劣化につながるばかりでなく、腐食
反応物の飛散により周辺回路等にも悪影響を及ぼすこと
がある。
【0004】また、上記のような腐食が発生しやすい状
況は原料粉末段階にても事情は変わらず、例えば粉末が
長時間大気(特に高湿度のもの)にさらされたりする
と、粉末の酸化劣化等により保磁力や最大エネルギー積
などの磁気特性低下は避けがたくなる。また、希土類磁
石粉末は結合剤となる樹脂成分との親和性が必ずしも良
好でない場合があり、磁石粒子の偏りや気泡残留等の欠
陥が生ずることもあった。
【0005】本発明の課題は、耐腐食性等の性能改善を
図るとともに、原料粉末段階での酸化劣化等による特性
不良等も生じにくいボンド磁石の製造方法、ボンド磁石
粉末の製造方法、ボンド磁石及びボンド磁石粉末を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記課題
を解決するために、本発明のボンド磁石の製造方法は、
ボンド磁石用の粉末粒子の表面に、金属系元素のアルコ
キシド(以下、金属アルコキシドという:ただし、本明
細書では、金属系元素の概念にSi及びBを含める)を
含む成分を有機溶媒に分散させた金属アルコキシド含有
溶液からなる処理剤をコートすることによりコーティン
グ被膜を形成してコーティング被膜付きのボンド磁石粉
末を作り、そのボンド磁石粉末を樹脂結合することによ
りボンド磁石を得ることを特徴とする。
【0007】ボンド磁石用の粉末粒子としては、磁性相
の最も含有率の高い元素がFeであり、かつ希土類を含
有するもの(以下、Fe系希土類ボンド磁石粉末とい
う)を例示でき、より詳しくは、その含有される希土類
元素のうち、最も重量含有率の高いものが、Nd、Pr
及びSmのいずれかであるものを挙げることができる。
具体的には、等方性又は異方性のNd−Fe−B系磁石
粉末(希土類成分はNdが主体であるが、一部がDyや
Pr等の他の希土類元素で置換されていてもよい)、あ
るいはSm−Fe−N系磁石粉末を例示できる。
【0008】金属アルコキシド含有溶液からなる処理剤
をボンド磁石用の粉末粒子に対してコートすると、金属
酸化物やアルコキシドに由来する有機成分がこれに複合
化した組成物(有機無機ハイブリッド)のコーティング
被膜が、均一かつ簡便にボンド磁石粉末粒子の表面に形
成される。そして、それら金属酸化物もしくは組成物に
より、特有の機能をボンド磁石に対して付与することが
できる。
【0009】例えばFe系希土類ボンド磁石粉末はFe
を主成分としてしかも希土類を含有するため腐食を受け
やすいが、コーティング被膜に含有される金属酸化物の
化学的安定性により、薄膜でも極めて良好な耐腐食性や
防錆性をボンド磁石粉末に付与することができる。従っ
て、これを樹脂結合したボンド磁石も耐腐食性や防錆性
に優れたものとすることができる。また、形成するコー
ティング被膜の膜厚を小さくできることから、得られる
ボンド磁石中の磁性相の体積含有率も減少しにくく、磁
石性能への影響も少ない。さらに、ボンド磁石用の粉末
粒子に上記のようなコーティング被膜を形成しておけ
ば、粉末の化学的安定性が格段に向上するので、粉末の
酸化劣化に基づく、保磁力や最大エネルギー積などの磁
気特性低下が起こりにくくなる。また、コーティング被
膜中に、アルコキシドに由来する有機成分が残留するの
で、ボンド磁石に含まれる樹脂部分とのなじみ性(親和
性)が向上し、樹脂中での磁石粉末子の偏りや気泡残留
等の欠陥が生じにくくなり、品質が向上する。また、結
合樹脂の含有量削減、ひいてはボンド磁石の一層の高性
能化を図ることも可能である。
【0010】また、本発明のボンド磁石は、ボンド磁石
用の粉末粒子の表面に、金属元素成分(ただし、金属元
素の概念にはSiとBとを含める)と酸素と炭素とを含
有したコーティング被膜が形成されたボンド磁石粉末を
樹脂結合してなることを特徴とする。上記のコーティン
グ被膜は、本発明の金属アルコキシドを用いた処理液に
て形成することができるものであり、前述の通り有機無
機ハイブリッド構造を有していると推測される。なお、
上記のボンド磁石の製造方法及びボンド磁石の発明の概
念からは、請求項に記載した通りのボンド磁石粉末の製
造方法及びボンド磁石粉末の発明の概念が抽出される。
【0011】上記のように、ボンド磁石用の粉末粒子の
表面にコーティング被膜を形成することで、最終的に得
られるボンド磁石においては、何らコーティングを施さ
なくとも十分な耐腐食性を確保することができるように
なる。すなわち、Fe系希土類磁石おいては、従来は、
電着塗装、浸漬塗装(ディップ塗装)、スプレー塗装、
ニッケルメッキ等の各種防食コーティング処理を施して
使用することが常識となっていたが、これらが不要とな
ることにより、ボンド磁石の製造コスト及び時間が大幅
に削減され、安価に磁石を提供できるようになる。な
お、コーティング被膜形成に使用する金属アルコキシド
含有溶液は、後述するゾルゲル反応など、化学反応(例
えばアルコキシドの加水分解と縮重合反応)の進行をコ
ントロールすることにより、含有される被膜形成成分の
含有比率を大きく変えることなく、液の粘性や流動性等
の性状を自由に調整できる。従って、その液性状の調整
によりボンド磁石用の粉末粒子に対する液の付着量、ひ
いては膜厚調整も容易である。
【0012】一方、より厳しい耐腐食性能が要求される
場合には、ボンド磁石の表面に、金属系元素のアルコキ
シド(以下、金属アルコキシドという:ただし、金属系
元素の概念にSi及びBを含める)を含む成分を有機溶
媒に分散させた金属アルコキシド含有溶液からなる処理
剤をさらにコートすることにより、当該表面を覆う二次
コーティング被膜を形成するもできる。これにより、ボ
ンド磁石の表面が、金属元素成分と、酸素及び炭素とを
含有した二次コーティング被膜にて覆われたボンド磁石
が得られる。
【0013】上記の構成によれば、ボンド磁石の耐腐食
性をさらに向上させることができる。また、形成される
二次コーティング被膜は、従来の塗装被膜等にはない、
以下のような利点を有するものとなる。まず、電着塗装
やニッケルメッキ等とは異なり、基本的に電気化学処理
を伴わないから、条件設定も容易であり、また電着塗装
のような治具による把持も必須ではなくなり、仮に治具
を使用する場合でも通電を行わないので簡略なものを採
用できる。その結果、処理が簡便なだけでなく、コーテ
ィング被膜に欠損等が生じさせる因子が大幅に減少し、
高品質のコーティング被膜を極めて能率的に形成するこ
とができる。また、金属アルコキシド含有溶液は、前述
の通り液の粘性や流動性等の性状を自由に調整できこと
から、小膜厚でもばらつきの小さいコーティング被膜を
容易に形成できる。従って、例えば磁気ギャップの寸法
が小さかったりギャップ寸法精度等に対する要求が厳し
い場合にも十分対応できる(なお、二次コーティング被
膜を形成しない場合は、こうした問題が本来的に生じな
くなることはいうまでもない)。
【0014】さらに、上記の二次コーティング被膜の形
成により、ボンド磁石に耐衝撃性や耐摩耗性を付与する
こともできる。これにより、被膜形成後のボンド磁石を
モータ等の電子機器に組み込む際の、ハンドリング性を
高めることができる。また、複合化した有機成分に由来
する撥水性により、ボンド磁石表面における水分との接
触を防止ないし抑制する効果や、ボンド磁石に対して防
塵/防汚性を付与することもできる。その防汚作用によ
りボンド磁石の腐食反応を進行させる核の形成を抑制す
ることが可能となるが、これは、ボンド磁石に対する間
接的な耐腐食性向上をもたらす。また、埃等の付着が軽
減されることにより、該ボンド磁石からなる部材を電子
機器等に組み込む際のコンタミ持ち込みを防止する効果
も達成され、例えばコンピュータ用等の精密機器等にお
いては動作不良等を生じにくくすることができる。な
お、上記の効果は、ボンド磁石粉末粒子に形成されたコ
ーティング被膜によってももたらされる場合がある
【0015】上記コーティング被膜あるいは二次コーテ
ィング被膜を構成していると考えられる有機無機ハイブ
リッド構造は、非晶質状であるため原子レベルにて正確
に同定することは困難であるが、少なくとも有機成分を
構成する有機原子団と、アルコキシドの加水分解により
生じている金属酸化物的な無機原子団とが入り組んだ構
造を呈していることが考えられる。この場合、金属元素
成分は金属単体では存在しないか存在しても微量であ
り、大半は酸化物等の形成に関与したカチオン状態(正
の価数を有した状態)で存在することとなる。また、酸
素は金属を酸化した状態、すなわちアニオンの状態で存
在すると考えられる。本明細書では、X線光電子分光法
(XPS)で被膜を分析したときに、正の価数を示す側
にケミカルシフトが観察される元素はカチオン状態で存
在すると考え、逆に負の価数を示す側にケミカルシフト
が観察される元素はアニオン状態で存在すると考える。
さらに、「非晶質状」とは、X線ディフラクトメータ法
にて分析したときに、ハローパターンが観察され、かつ
特定の結晶構造を反映した回折ピークが観察されない状
態になっていることをいう。ただし、コーティング被膜
(あるいは二次コーティング被膜)中に意図的にあるい
は不可避的に結晶質の無機又は有機材料粒子が混入され
ている場合は、その粒子からの回折ピークは除く。つま
り、被膜の主体となる基質が非晶質状であればよいので
ある。
【0016】また、炭素成分も、有機分子的な残留形態
を呈すると考えられ、無定形炭素やグラファイトあるい
はダイヤモンド等の単体状態では存在するものは存在し
ないか存在しても微量であり、大半は何らかの有機結合
を形成した形(有機炭素)にて存在するものと考えられ
る。この場合の炭素原子の存在形態は、その結合形態に
より種々に変化するが、例えばアルコキシドの炭素鎖形
成部分に由来する、CH−あるいは−CH−などの
有機結合状態を少なからず含むものとなる。このような
結合状態を含んでいるか否かも、前記のXPSにおいて
炭素のケミカルシフトを測定することにより確認するこ
とができる。
【0017】従って、コーティング被膜あるいは二次コ
ーティング被膜は、XPSやX線ディフラクトメータ等
による分析が可能である場合には、有機無機ハイブリッ
ド構造の特徴を反映した構成として、以下のような要件
を特定できる場合がある。すなわち、該被膜は、カチオ
ン状態の金属元素成分(ただし、金属元素の概念にはS
iとBとを含める)と、アニオン状態の酸素及び有機炭
素とを含有する非晶質状に形成される。
【0018】次に、本発明のボンド磁石の製造方法にお
いては、前記コーティング被膜あるいは二次コーティン
グ被膜を形成するための処理液を、金属系アルコキシド
の加水分解により得られるゾル状組成物液とすることが
できる。すなわち、コーティング被膜をいわゆるゾルゲ
ル法により形成する。これによれば、均一な膜厚のコー
ティング被膜を極めて簡便に形成することができ、ボン
ド磁石粒子の粒径に拘らず、膜厚の均一なコーティング
を形成することが可能である。この場合、コーティング
被膜は、そのゾル状組成物に基づくゲル状組成物被膜と
なる。このようなアルコキシドを加水分解させて調製し
たゾル状組成物には、金属元素及び/又はSiの酸化物
が含有され、さらにアルコキシドに由来する有機物(炭
素成分)が残存することとなる。従って、そのゾル状組
成物に基づくゲル状組成物にも酸化物や有機物が含有さ
れており、この酸化物がボンド磁石粉末あるいはボンド
磁石に高い耐腐食性を付与する。
【0019】金属アルコキシドは、例えば、一般式:M
−(OR)xで表され、Mが金属系成分、−(OR)xがア
ルコキシド成分を表している。その金属系成分として
は、ボンド磁石粉末粒子あるいはボンド磁石の表面に形
成される酸化物が安定になる金属を用いるのが好まし
い。そのような金属系元素としては、例えば、Si、
B、Al、Mgの他、遷移金属の1種又は2種以上から
選択されるものを採用することができる。このような金
属系成分を含有した金属アルコキシドを用いると、ボン
ド磁石の耐腐食性や防錆性、あるいは耐衝撃性や耐摩耗
性が一層顕著に向上する。このうち、耐腐食性や防錆性
を向上させる観点において、より望ましい成分は、S
i、B、Al、Mg、Ti及びZrから選ばれる一種ま
たは2種以上である。なかでも、Siは、生成する酸化
物の安定性、ゾル状組成物の安定性等を考慮すると、ア
ルコキシド成分として最も優れている。なお、Siを用
いたアルコキシドとしては、例えばテトラエトキシシラ
ン(Si(OC)等を用いることができる。
【0020】一方、金属アルコキシドのアルコキシド成
分としては、例えば、一般式:−(OC)で表さ
れる有機アルコキシド成分を用いることができる。この
場合、二次コーティング被膜の形成に関しては、特にカ
ーボンに結合している水素(H)成分に置換して、ハロ
ゲン元素成分、特にフッ素成分が含有されているのがよ
い。なお、金属に直接フッ素成分が結合しているものを
用いることも可能である。このように、金属アルコキシ
ドにフッ素成分が含有されていると、二次コーティング
被膜を構成する金属酸化物に複合化する組成物にフッ素
が含まれることになり、ボンド磁石に付与される撥水性
が著しく向上する。なお、上記一般式で表される有機ア
ルコキシド成分としては、例えば、n=0〜8、m=1
〜20、l=1〜6の飽和、不飽和の炭化水素基から構
成されるものを採用することができ、鎖状、環状等、形
状はいずれでもよい。また、上記一般式に特に限定され
るものでもなく、水酸基を用いることも可能で、さら
に、金属アルコキシド中に、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ビニル基、アクリル基、フェニル
基、イソシアネート基、メタクリル基等の官能基が単独
で存在又は複数共存していてもよく、多価アルコールの
アルコキシドとしてもよい。すなわち、アルコキシドの
炭素鎖に結合される原子及び原子団は、水素に限らず、
ハロゲン元素、及び上記のような種々の官能基等が含ま
れていてもよい。
【0021】上記のような金属アルコキシドを少なくと
も1種類以上含んだ分散液とするために、有機溶媒とし
てはアルコール系、エーテル系、エステル系、フェノー
ル系等を用いることが可能で、これらの混合溶媒として
もよい。中でもアルコールは比較的低沸点であるため、
乾燥工程が短時間で行える利点を備えている。このよう
なアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブタノール等を用いることができ
る。
【0022】なお、ゾル状組成物液を作る場合は、溶媒
の配合量を25〜98重量%、アルコキシドの配合量を
2〜40重量%程度にするのが好ましい。溶媒の配合量
が25重量%未満の場合は、アルコキシドが均一に分散
及び/又は溶解されにくくなることがあるため、アルコ
キシドの加水分解反応が起こりにくくなる場合があり、
ゲル状組成物が不安定となる場合がある。また、溶媒の
配合量が98重量%を超えると、溶媒を蒸発させる乾燥
工程に長時間を要する場合がる。一方、アルコキシドの
配合量が2重量%未満の場合、例えば耐腐食性付与効果
が低下する場合があり、また、アルコキシドの有機成分
によるボンド磁石中の樹脂成分へのなじみ性も低下する
場合がある。また、アルコキシドの配合量が40重量%
を超えると、アルコキシドの溶媒への分散性及び/又は
溶解性が低下し、ゲル状組成物が不安定となる場合があ
る。
【0023】さらに、二次コーティング被膜を形成する
ための金属アルコキシド含有溶液には、フッ素を含有す
る撥水材料を少なくとも含ませることも可能である(該
撥水材料は当然に二次コーティング被膜中に取り込まれ
る)。このようにフッ素を含有する撥水材料を含ませた
処理剤により形成される二次コーティング被膜は、ボン
ド磁石の表面エネルギーを著しく低下させ、高い撥水性
を付与することが可能である。したがって、ボンド磁石
に対して防塵、防汚性を付与することができ、また、腐
食反応の核となり得る結露による水分や汚れの付着を極
力低下させることが可能となり、ボンド磁石の耐腐食性
がさらに向上する。なお、フッ素を含有する撥水材料と
しては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化
ピッチ(フッ素化グラファイト)等の有機フッ素化合物
を用いることができる。
【0024】上記のように撥水性等付与の目的として、
フッ素を含有する撥水材料を金属アルコキシド含有溶液
に添加したが、それ以外にも、各種熱可塑性樹脂あるい
は熱硬化性樹脂(以上、ゴムあるいはエラストマーを含
む)を1種又は2種以上添加することもでき、例えば、
PVA、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹
脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂の1種又は2種以上か
ら選択される樹脂成分を添加することができる(これら
も二次コーティング被膜中に取り込まれる)。この場合
も、上記撥水材料と同様に、ボンド磁石に対して高い撥
水性を付与することが可能である。なお、これら撥水材
料及び/又は樹脂成分は、溶媒に溶かした溶液状態、又
はコロイド状態にて金属アルコキシド含有溶液に含有す
ることが可能であるが、なかでも微粉末状のものをコロ
イド状態で含有するのが簡便である。その場合、微粉末
粒径は、サブミクロン以下、例えば0.01〜0.8μ
m程度とするのが、金属アルコキシド含有溶液への微粉
末の分散性、及び処理後の被膜内での撥水材料及び/又
は樹脂成分の分散性を向上させる上で都合がよい。
【0025】次に、ボンド磁石粒子に形成するコーティ
ング被膜の膜厚は、20μm以下、望ましくは10μm
以下とするのがよい。コーティング被膜の膜厚が20μ
mを超えると、磁性相の相対含有量が減少して磁気特
性、例えば液吸磁石の場合は残留磁束密度(Br)や最
大エネルギー積((BH)max))の低下を招く場合が
ある。なお、上記膜厚は、さらに好ましくは5μm以
下、目的によっては1μm未満のサブミクロンサイズの
膜厚とすることもあり得る。このような薄膜を形成する
ためには、前記のゾルゲル法を採用すれば、均一かつ薄
い膜厚の被膜を簡便に形成することが可能である。
【0026】一方、二次コーティング被膜の膜厚は、5
0μm以下、好ましくは20μm以下とするのがよい。
膜厚が50μmを超えると、磁性相の相対含有量が減少
して磁気特性、例えば液吸磁石の場合は残留磁束密度
(Br)や最大エネルギー積((BH)max))の低下
を招いたり、あるいは磁気ギャップの大きさが制限され
ているなど、寸法上の制約が存在する場合に、これに対
応しきれなくなる場合がある。また、コーティング被膜
自体の耐衝撃性等が確保できなくなる場合もある。な
お、上記膜厚は、より好ましくは10μm以下とするの
がよく、目的によっては5μm以下とすることもでき
る。
【0027】また、処理液を構成する金属アルコキシド
含有溶液の粘度は、10cps以下とするのがよい。
10cpsを超えると、均一なコーティング膜を形成
することが困難になる場合がある他、膜厚が厚くなりす
ぎることもあり、例えば50μm以下の膜厚のコーティ
ング膜を形成するのが困難になる場合がある。従って、
溶媒を適宜選択する必要があり、例えばエタノール、プ
ロパノール、ブタノール等を用いるのがよい。この場
合、溶媒としてはボンド磁石の磁性相の構成成分をなる
べく錯体化させないものを用いるのがよい。また、金属
アルコキシドの溶媒に対する配合量を0.01〜1.0
mol/l程度にするのがよく、浸漬する場合のゾル液
の温度を室温〜30℃程度の範囲で適宜設定するのがよ
い。
【0028】上記ゾルゲル法における加水分解触媒は、
酸又はアルカリ系のいずれの触媒を用いることも可能で
あるが、特にアルカリ系触媒を用いるのが好ましい。ま
た、酸系触媒を用いる場合は、特に塩素成分を可及的に
含まないものが好ましく、アルカリ系触媒としてはアン
モニア水溶液等を用いることができる。酸系触媒として
塩素成分を含むものを用いた場合、例えばボンド磁石に
含有される磁性相がFeを主体とする場合は、コーティ
ング被膜中に含まれる該塩素成分が、その酸化反応を急
激に促進する。従って、この場合は、ボンド磁石に形成
されるコーティング膜中には、塩素成分がなるべく存在
しない、例えば少なくとも0.1wt%以下、好ましく
は限りなくゼロに近い含有量にするのがよい。なお、金
属アルコキシドの例えば50%以上が加水分解されてい
るのが、上記のような耐腐食性等の性質を向上させる上
で好ましい。
【0029】また、安定剤としては、トリエタノールア
ミン、ジエタノールアミン等のアルコールアミン等を用
いることができる。一方、処理剤を塗布した後の乾燥工
程における加熱温度は低温、具体的には40〜400
℃、好ましくは40〜300℃、最も好ましくは100
〜250℃程度にするのがよい。この場合、コーティン
グ膜中にはアルコキシドに由来する有機成分が残存し易
くなり、撥水性を磁性素材に対して一層効果的に付与す
ることが可能となる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、N
d−Fe−B系ボンド磁石の場合を例に取り、添付の図
面に示す実施例により説明する。 (実施例1)まず、ボンド磁石用の磁石粉末は、以下の
ような急冷薄帯を粉砕することに得られる。この急冷薄
帯は、所定量の合金成分を含む溶湯を急冷して得られる
もので、その平均結晶粒径が1μm以下であり、一般組
成式をRFe100−x− で表すことができ
る。ここで、RはNdを主成分(少なくとも全希土類中
に原子含有率が50%以上)とし、その一部がDyない
しPrの少なくとも一方によって置換可能な希土類成分
であり、9≦x≦15、4≦y≦10である。なお、目
的に応じて、RFe100−x−y−v
で、Feのさらに一部を別の金属元素(例えば、Coな
ど:複数種類でもよい)Mにて置換することも可能であ
る。その置換量vは磁気特性の大幅な低下をきたさない
範囲にて、例えば0.1≦v<50程度の範囲にて適宜
設定される。
【0031】上記急冷薄帯は、溶湯からの急冷により、
飽和磁束密度及び結晶磁気異方性がいずれも大きいR
Fe14B型正方晶金属間化合物相(以下2−14−1
相という)が平均粒径1μm以下の微細結晶粒となった
組織を生じ、急冷直後の状態で高い保磁力と残留磁束密
度を示すので、これを所定の粒子径の粉末に粉砕すれば
そのまま高性能のボンド磁石用粉末として使用できる。
なお、上記平均粒径が1μmを超えると、薄帯の保磁力
ないし減磁曲線の角形性が損なわれて充分な磁石性能が
得られなくなるので、その平均粒径は上記範囲のものと
され、望ましくは0.5μm以下、さらに望ましくは
0.1μm以下とされる。
【0032】また、前記したFeの置換元素Mとして
は、v<30の範囲にてCoにより置換することができ
る。上記組成範囲内でCoを含有させることにより、2
−14−1相のキュリー温度が上昇するとともに残留磁
束密度の温度係数が改善され、自動車用モータのような
高温の使用環境においても、安定かつ優れた磁気特性が
確保されるボンド磁石用急冷薄帯を得ることができる。
また、Coの添加により急冷薄帯の化学的安定性が向上
し、高温多湿の環境下でも、その薄帯を用いたボンド磁
石が腐食されたり磁気特性が低下したりすることが抑制
される。しかしながら、その含有量が30原子%を超え
ると2−14−1相の飽和磁束密度が低下し、最大エネ
ルギー積の低下につながるので好ましくない。なお、C
oの含有量は、望ましくは2.5〜20原子%、さらに
望ましくは5〜10原子%の範囲内で設定するのがよ
い。
【0033】次に、上記以外の成分であるが、希土類成
分Rは急冷薄帯の優れた磁気特性を担う2−14−1相
の主要構成成分であって、Ndを主体とし、合計の含有
量が9〜15原子%の範囲に設定される(すなわち9≦
x≦15)。希土類成分Rの含有量が9原子%未満にな
ると、軟磁性相であるα−Fe相の比率が増大し、保磁
力の低下を招く。一方、15原子%を超えると希土類成
分を主体とする非磁性相の比率が増大し、飽和磁束密度
の低下を招く。これらはいずれも最大エネルギー積の低
下につながるので、希土類成分Rの含有量は上記範囲の
ものとされ、望ましくは10〜13原子%、さらに望ま
しくは11〜12原子%の範囲内で設定するのがよい。
【0034】また、Ndを主体とする希土類成分Rの一
部をDy又はPrで置換することができる。Dyを添加
することにより、2−14−1相の異方性磁界が高めら
れ、急冷薄帯の保磁力を大幅に向上させることができ
る。これにより、例えばコンピュータのハードディスク
ドライブや自動車用のモータなど、温度が上昇しやすい
環境で磁石が使用される場合、高温での保磁力の低下分
が補われるので、厳しい温度環境での使用に耐える磁石
を得ることができる。その添加量は、例えば0.1〜5
原子%の範囲内で適宜選択できる。ただし、添加量が5
原子%を超えると2−14−1相の飽和磁束密度が低下
し、最大エネルギー積の低下を招くほか、Dyは高価で
あるため磁石の原料コスト上昇を招くので好ましくな
い。なお、TbはDyよりもさらに高価であるが、Dy
とほぼ同等あるいはそれ以上の保磁力向上効果を有して
いるので、目的によっては使用可能である。
【0035】一方、Prは2−14−1相中のNdを置
換した場合に、その飽和磁束密度及び異方性磁界の値を
それほど変化させないため、急冷薄帯のNd成分の相当
量、場合によってはその全量をPrで置換することも可
能であるが、Prの分離希土はNdのそれよりも高価で
あり、その分離希土の形での配合は原料コストの上昇を
招くため好ましくない。しかしながら、Prは希土類原
料の分離精製工程においてNdとともに分離抽出され、
NdとPrの非分離希土であるジジムはNd及びPrの
分離希土よりも安価であるので、これらをジジム(例え
ばジジムメタル)の形で配合すれば原料コストを低減す
ることができるので好都合である。この場合、最終的に
得られる急冷薄帯中のPrの含有量は、使用されるジジ
ム中のPr含有比率により定まることとなる。
【0036】なお、上記した以外の希土類元素は、いず
れもエネルギー積の上昇に寄与しないか逆にこれを低下
させるものであり、できるだけ含有されないことが望ま
しいが、上記Nd、Dy、Pr等の希土類成分ととも
に、例えばその総量が1原子%以下の範囲内で不可避的
に混入するものは含有されていても差しつかえない。
【0037】次に、Bは、希土類成分Rと同様に2−1
4−1相の必須構成成分であり、その含有量は4〜10
原子%の範囲内(すなわち4≦y≦10)で設定され
る。Bの含有量が4原子%未満となると、軟磁性のNd
Fe17型相が生成して保磁力の低下を招き、含有量
が10原子%を超えると非磁性のNdFe型相が
生成して飽和磁束密度が低下する。いずれの場合も、最
大エネルギー積を低下させることにつながるので、B含
有量は上記範囲のものとされる。Bの含有量は、望まし
くは4〜8原子%、さらに望ましくは5〜7原子%の範
囲内で設定するのがよい。
【0038】Feは、2−14−1相の必須構成成分と
して、その大きな飽和磁化の主要部を担うものである。
【0039】このような急冷薄帯は、その平均粒子径が
500μm以下となるように粉砕してボンド磁石用粉末
とすることができる。そして、その粉末に後述の通りコ
ーティング被膜を形成し、さらにエポキシ樹脂、フェノ
ール樹脂、ナイロン樹脂等の樹脂により結合することに
より、ボンド磁石とすることができる。ここで、上記ボ
ンド磁石粉末の平均粒子径が500μm以上であると、
ボンド磁石内における磁石粉末及び樹脂の分布が不均一
となり、ボンド磁石の表面磁束分布のばらつきを生ずる
原因となるので、平均粒子径は上記以下のものとされ
る。一方、平均粒子径が細かくなりすぎると、例えば圧
縮成形によりボンド磁石を製造する場合、磁石粉末の流
れ性が低下し、その金型へのスムーズな充填が困難にな
り生産性の低下を引き起こすので、所定の平均粒径以上
に設定される。なお、磁石粉末の平均粒子径は、望まし
くは50〜400μm、さらに望ましくは100〜30
0μmの範囲内で設定するのがよい。
【0040】以下、ボンド磁石用急冷薄帯、それを用い
たボンド磁石粉末及びボンド磁石の製造方法について説
明する。まず、所定量の合金成分を配合し、次に不活性
ガス雰囲気あるいは真空雰囲気等、所定の雰囲気中でそ
の合金成分を溶解する。配合される合金成分は、それぞ
れの成分を単独で配合しても、Nd−Fe合金やフェロ
ボロン等の母合金の形で配合してもいずれでもよい。ま
た、溶解は、例えば高周波誘導溶解、アーク溶解等公知
の溶解方法を用いることができる。
【0041】次に、図1(a)に示すように、その溶湯
を急冷凝固させることにより、薄帯状ないしフレーク状
の急冷薄帯が製造される。急冷の雰囲気は例えばアルゴ
ン等の不活性ガス雰囲気が用いられ、急冷の方法として
は、単ロール法(図1(a)に示す方法である)を始
め、双ロール法、スプラットクエンチ法、遠心急冷法、
ガスアトマイズ法等、各種方法が適用できる。これらの
うち、特に単ロール法は、溶湯の冷却効率が高く、また
ロール周速による冷却速度の調整が容易で、均質で高性
能の急冷薄帯を大量生産するのに好適である。この場
合、ロール周速を5〜35m/秒、望ましくは10〜3
0m/秒とすることが、微細で均一な結晶粒を有し、磁
気特性に優れた急冷薄帯を得る上で望ましい。
【0042】得られた急冷薄帯は、スタンプミル、フェ
ザーミル、ディスクミル等を用いる公知の粉砕方法によ
り、前述の平均粒子径となるように粉砕され、ボンド磁
石用粉末とされる。なお、図1(b)に示すように、粗
粉砕した後にさらに微粉砕する二段階(あるいはそれ以
上の多段階)により粉砕を行ってもよい。なお、粉砕後
の粉末は、適宜メッシュ等により整粒して粒度調整する
ことが望ましい。
【0043】ここで、上記急冷凝固により得られる急冷
薄帯は、その粉砕前又は粉砕後に400〜1000℃の
温度範囲において熱処理することができる。急冷直後の
薄帯は、例えば急冷ロールとの接触部付近等、冷却速度
の特に大きくなる部分に非晶質部を生じる場合がある。
この非晶質部は軟磁性であり、保磁力、減磁曲線の角型
性、エネルギー積の低下等を引き起こす場合がある。そ
こで、急冷薄帯に対し上記熱処理を行うことにより、急
冷直後に生じていた上記非晶質部を結晶化することがで
き、エネルギー積の低下等を防止することができる。熱
処理温度が400℃より低い場合は、上記非晶質部の結
晶化が充分進まず、上述の効果が充分得られない。一
方、熱処理温度が1000℃を超えると、結晶粒が成長
して粗大化し、保磁力ないしエネルギー積が却って低下
する。従って、熱処理温度は上述の範囲内で設定され、
望ましくは500〜800℃、さらに望ましくは600
〜700℃の範囲内で設定される。
【0044】図2(a)に示すように、得られた粉末1
0は、すでに詳しく説明した金属アルコキシド含有溶液
からなる処理剤30中に浸漬される。この処理剤から粉
末10を引き上げるか、あるいは、引き上げずにそのま
ま処理剤の溶媒を蒸発させた後、150〜250℃程度
に加熱して乾燥させることにより、粉末粒子10を粒子
本体15aとして、その表面がコーティング被膜15b
に覆われたボンド磁石粉末15が得られる。そして、図
2(c)に示すように、樹脂16にて結合することによ
り、ボンド磁石が得られる。図6は、ゾルゲル法による
コーティング工程の一例を示す流れ図である。まず、有
機溶媒としてエタノール(本実施例では50ml)中
に、所定量(例えば0.05mol)の金属アルコキシ
ド(本実施例ではテトラエチルオルソシリケート(Si
-(OC)))を所定量を分散混合する。この混
合液(金属アルコキシド含有溶液)を撹拌後、適宜安定
剤(例えば、トリエタノールアミン)を添加し、さらに
加水分解触媒(本実施例では1%NHOHaq4m
l)を徐々に加え、室温にて所定時間(例えば1時間)
撹拌することによりゾル状の処理剤30が得られる。
【0045】上記のようにして形成されるコーティング
被膜15bは、例えば図7(a)に模式的に示すような
構造を有しているものと推測される(本図において分子
式は模式的に示したものであって、該分子式が示す特定
の構造を限定的に有していることを意味するものではな
い)。すなわち、金属アルコキシドの金属系成分に由来
する金属酸化物的な無機原子団3(本実施例の場合、S
iO、TiOあるいはZrO)や、アルコキシド
成分に由来する有機原子団2(炭素含有成分:CnHm
等)が混在したハイブリッドな構造を有しているものと
考えられる。また、完全に加水分解されずに金属アルコ
キシドの状態で残存しているものも含まれていることも
ありうる。このような被膜をX線光電子分光法(XP
S)で分析すれば、金属系成分は、主に正の価数を示す
側にケミカルシフトが観察されるカチオン成分として検
出され、酸素は逆に負の価数を示す側にケミカルシフト
が観察されるアニオン成分として検出される。また、炭
素成分は、有機分子的な残留形態に対応して、CH
あるいは−CH−などの有機結合状態を形成したもの
であることが、XPS分析により確認できる。さらに、
被膜に対してX線ディフラクトメータ法にて分析すれ
ば、ハローパターンが観察され、かつ特定の結晶構造を
反映した回折ピークが観察されない、非晶質状の状態に
なっていることが確認できる。
【0046】上記のようなコーティング被膜15を形成
することにより、無機原子団3は粉末粒子10に対して
耐腐食性や防錆性(あるいは耐衝撃性や耐摩耗性)を付
与する役割を果たす。また、有機原子団2はボンド磁石
中の樹脂成分との親和性が高く、例えば磁石粉末を均一
分散させたり気泡等の欠陥を低減する効果も生じさせ
る。なお、有機成分2をコーティング被膜中に残存させ
るためには、ゾルゲル法によりコーティングする際の加
熱乾燥処理温度を、例え上記のように150〜250℃
程度の低温にて行うことが望ましい。該温度範囲は、N
d−Fe−B系磁石の磁気特性の低下を生じにくい、と
いう点でも好都合である。
【0047】図3(a)に示すように、以上の方法によ
り得られるボンド磁石用粉末15を樹脂成分11と混合
し、加圧成形又は射出成形することによりボンド磁石が
製造される。加圧成形による場合は、上記磁石粉末に、
エポキシ樹脂等の粉末状の熱硬化性樹脂を所定量、例え
ば1〜5重量%程度混合し、例えば図3(b)に示すよ
うに、ダイ14及びパンチ12,13を有した金型(符
号15は、成形体に中空部を形成するためのコアであ
る)によるプレス成形等により、例えば5〜10t/c
程度の加圧力で圧縮成形する。成形後、得られた成
形体を所定温度、例えば80〜180℃程度に加熱する
ことにより樹脂を硬化させ、ボンド磁石21を得る。な
お、樹脂硬化のための加熱は、上記加圧成形中に行って
もよい。この方法によれば、得られるボンド磁石中の磁
石粉末の密度を高くでき、小型モータ用の高性能リング
磁石等を製造するのに適している。
【0048】一方、射出成形による場合は、まず、ナイ
ロン樹脂等の熱可塑性樹脂を磁石粉末に対し、圧縮成形
の場合よりやや多い量、例えば10〜30重量%程度添
加し、これを混練して成形用のコンパウンドを作製す
る。そして、図3(c)に示すように、このコンパウン
ドを加熱軟化させ、所定の成形機を用いて金型15のキ
ャビティ25aにこれを射出成形することにより、所望
の形状のボンド磁石21を得るものである。この方法に
より得られるボンド磁石は、磁石粉末密度がやや低いた
め、性能は圧縮成形によるものに及ばないが、多様で複
雑な形状の磁石を容易に製造できる利点があり、モータ
スピンドル等の付属部品を上記コンパウンドとともに一
体成形(インサート成形)することもできる。なお、図
3(c)は、上記のような方法により得られたリング状
ボンド磁石を示す。このリング状磁石は、例えばラジア
ル着磁されてモータロータあるいはステータとして利用
されるものである。
【0049】上記ボンド磁石を、恒温恒湿槽中に挿入
し、80℃×95%RHの条件にて500時間放置した
ところ、目視による錆び等の発生は見られず、磁気特性
の低下も見られなかった。一方、比較用として、加水分
解触媒を1%NHOHaqに代え、0.1%塩酸4m
lを使用して同様に処理剤を調製し、これをコートした
ボンド磁石粉末を用いてボンド磁石を作製し、同様の試
験を行ったところ、錆びの発生が認められた。
【0050】なお、上記のような等方性磁石粉末を熱間
据え込み加工した後これを粉砕する等の方法により、異
方性磁石粉末を得ることもできる。この場合、この異方
性磁石粉末にコーティング被膜を形成後、磁界中にて配
向成形するようにすれば、異方性磁石を得ることができ
る。
【0051】次に、図4に示すように、上記のようにし
て得られたボンド磁石21は、前記と同様の処理剤30
をコートすることにより、二次コーティング被膜をその
表面に形成することができる。処理剤30のボンド磁石
21への塗布方法としては、例えば、図4(a)に示す
ように、ボンド磁石21を処理剤30中に浸漬して引き
上げる方法のほか、スプレー噴霧する方法など、各種採
用することができる。さらに、多数のボンド磁石21に
一度に均一に塗布を行いたい場合には、図4(b)に示
すように、壁部が液通に構成されたバレル31中にボン
ド磁石21を入れ、これをモータ32等により処理液3
0中にて回転させる方法が便利である。
【0052】上記のようにして処理剤30を塗布したボ
ンド磁石は、例えば室温にて残留溶媒分をある程度蒸発
させた後、図5(a)に示すように、乾燥機F1中で昇
温乾燥したり、熱風HWの吹き付けにより乾燥すること
により、図5(c)に示すように、コーティング前のボ
ンド磁石を本体25aとして、その全面に二次コーティ
ング被膜25bが形成されたボンド磁石25が得られ
る。該二次コーティング被膜25bの構造も、図2の粉
末粒子10に形成されたコーティング被膜15と同様
に、図7(a)に示すようなものになっていると考えら
れる。
【0053】二次コーティング被膜25bを形成するこ
とにより、ボンド磁石25は耐腐食性や防錆性において
さらに優れたものとなる。また、被膜25bは、ボンド
磁石中の樹脂成分との親和性が高く、被膜の密着力も高
い。さらに、二次コーティング被膜25bは、ボンド磁
石25に耐衝撃性や耐摩耗性をも付与することができ、
被膜中の有機原子団の構成によっては撥水性、ひいては
防塵性や防汚性を付与することもできる。
【0054】また、二次コーティング被膜25b中に
は、樹脂成分を分散・複合化させることも可能である。
この場合の処理剤30は、例えば以下のように調製でき
る。すなわち、有機溶媒としてエタノール(本実施例で
は20ml)中に、所定量(例えば0.05mol)の
金属アルコキシド(本実施例ではテトラエチルオルソシ
リケート(Si-(OC)))を所定量を分散混
合する。この混合液(金属アルコキシド含有溶液)を撹
拌後、適宜安定剤(例えば、トリエタノールアミン)を
添加し、さらに加水分解触媒(本実施例では1%NH
OHaq4ml)を徐々に加える。続いての所定量の溶
媒(本実施例ではエチルベンゼン30ml)に、所定量
の液状(未硬化)樹脂(本実施例では、粘度1000c
psのシリコーン樹脂1.0g)を配合した液を、上記
金属アルコキシド含有溶液に混合した後、室温にて所定
時間(例えば1時間)撹拌することによりゾル状の処理
剤30が得られる。
【0055】これにより、図7(b)に示すように、樹
脂成分5が均一に分散・混入されたコーティング被膜が
得られる。このような樹脂の添加によって、例えばコー
ティング被膜の表面エネルギーを低下させることがで
き、高い撥水性を付与することが可能である。従って、
ボンド磁石に対して防塵性、防汚性を付与することがで
き、また、腐食反応の核となり得る結露による水分や汚
れの付着を極力低下させることが可能となり、結果とし
て、ボンド磁石の耐腐食性、防錆性がさらに向上する。
【0056】(実施例2)以下のような各種ボンド磁石
の試験品を作製した。 ・試験品A:テトラエトキシシラン(Si(OC
)0.05モルを50mlのエタノールに加
えて撹拌溶解させた後、0.1%水酸化アンモニウム水
溶液を4ml添加して加水分解縮重合反応を行い、溶液
Xを得た。他方、ビニルトリエトキシシラン(C
Si(OC)0.01モルを50mlのエタ
ノールに加えて撹拌溶解させた後、0.1%水酸化アン
モニウム水溶液を4ml添加して加水分解縮重合反応を
行った溶液Yを別途作製し、これを前記の溶液Xに添加
して撹拌することにより、コーティング用の処理剤を
得た。この処理剤に、Nd−Fe−B系ボンド磁石用
の粉末(General Mortors製の等方性急冷ボンド磁石粉
末)を浸漬・引き上げ後、150℃にて15分乾燥する
ことによりコーティング被膜付きのボンド磁石粉末とし
た。次いで、そのボンド磁石粉末を用い、エポキシ樹脂
により結合した加圧成形型のリング状ボンド磁石を作製
した。そして、そのボンド磁石を上記と同様の処理剤
に所定時間浸漬し、処理剤を浸透させた後引き上げて、
これを150℃にて15分乾燥し、コーティング被膜付
きのボンド磁石を得た。 ・試験品B:キシレン50ml中にポリスチレン樹脂1
0gを加え、室温にて約1時間撹拌溶解した溶液に、ベ
ンジルトリエトキシシラン(CSi(OC
)を4g添加・撹拌して、スチレン樹脂を複
合化させたコーティング用の処理剤を得た。この処理
剤を処理剤に代えて用いた以外は試験品Aと同様の
工程にてコーティング被膜付きのボンド磁石を得た。 ・試験品C:n−ブタノール50mlにテトラエトキシ
シラン10.4gと、ベンジルトリエトキシシラン2.
5gと、メチルトリエトキシシラン(CHSi(OC
)2.5gとを添加して撹拌混合し、この溶
液にポリビニルアルコール(PVA)を予め溶解させた
アンモニア0.05%水溶液を6ml添加して撹拌し
て、コーティング用の処理剤を得た。この処理剤を
処理剤に代えて用いた以外は試験品Aと同様の工程に
てコーティング被膜付きのボンド磁石を得た。なお、比
較用の試験品として、粉末及び完成品のいずれにおいて
もコーティングを施さないボンド磁石も用意した。
【0057】上記の試験品を水道水に浸漬して、25℃
の恒温室内にて24時間放置したところ、比較用試験品
には全面に赤錆が発生していたが、試験品A〜Cはいず
れも異常は見られなかった。また、各試験品を、80℃
×95%RHの恒温恒湿槽内に放置したところ、比較用
試験品は24時間後に赤錆の発生が見られたが、試験品
A〜Cはいずれも、500時間まで経過しても異常は見
られなかった。
【0058】以上、本発明の実施例をNd−Fe−B系
ボンド磁石を例にとって説明したが、本発明の適用対象
となる磁性材料はこれに限られるものではなく、例えば
Sm−Fe−N系ボンド磁石(例えば、特開平9−19
0909号公報等に開示されたThZn17型構造の
磁石粉末を利用するもの)等にも同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ボンド磁石の製造方法の一例を示す工程説明
図。
【図2】図1に続く工程説明図及びボンド磁石の断面構
造の一例を示す模式図。
【図3】図2に続く工程説明図。
【図4】得られたボンド磁石に処理剤を塗布する工程を
変形例とともに示す模式図。
【図5】コーティング被膜を形成するための乾燥工程及
びその変形例と、コーティング被膜付きボンド磁石の断
面構造を示す模式図。
【図6】本発明の処理剤を永久磁石部材にコーティング
する方法を模式的に示した図。
【図7】コーティング被膜の分子レベルの構造を、その
変形例とともに模式的に示した図。
【符号の説明】
15 ボンド磁石粉末粒子 15b コーティング被膜 21,25 ボンド磁石 25b 二次コーティング被膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 41/02 H01F 1/06 A (72)発明者 伊藤 寿国 愛知県名古屋市昭和区高辻町11番15号 石 塚硝子株式会社内 Fターム(参考) 4K018 AA27 BA18 BC29 BD01 FA25 GA02 KA46 KA58 5E040 AA04 AA19 BB04 BB05 BB06 BC05 BC08 CA01 HB11 HB14 5E062 CC10 CD05 CE02 CE04 CF01 CG07

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボンド磁石用の粉末粒子の表面に、金属
    系元素のアルコキシド(以下、金属アルコキシドとい
    う:ただし、金属系元素の概念にSi及びBを含める)
    を含む成分を有機溶媒に分散させた金属アルコキシド含
    有溶液からなる処理剤をコートすることによりコーティ
    ング被膜を形成してコーティング被膜付きのボンド磁石
    粉末を作り、そのボンド磁石粉末を樹脂結合することに
    よりボンド磁石を得ることを特徴とするボンド磁石の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記ボンド磁石粉末は、磁性相の最も含
    有率の高い元素がFeであって、かつ希土類を含有する
    ものであり、その含有される希土類元素のうち、最も重
    量含有率の高いものが、Nd、Pr及びSmのいずれか
    である請求項1記載のボンド磁石の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記コーティング被膜は、少なくとも前
    記ボンド磁石粉末粒子の耐腐食性を向上させるものであ
    る請求項1又は2に記載のボンド磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ボンド磁石の表面に、金属系元素の
    アルコキシド(以下、金属アルコキシドという)を含む
    成分を有機溶媒に分散させた金属アルコキシド含有溶液
    からなる処理剤をさらにコートすることにより、当該表
    面を覆う二次コーティング被膜を形成する請求項1ない
    し3のいずれかに記載のボンド磁石の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記コーティング被膜及び/又は前記二
    次コーティング被膜を形成するに際して、前記処理剤を
    塗布後に加熱・乾燥を行う請求項1ないし4のいずれか
    に記載のボンド磁石の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記金属アルコキシドに含有される前記
    金属系元素は、Si、B、Al、Mg、Ti及びZrか
    ら選ばれる1種又は2種以上を主成分とするものである
    請求項1ないし5のいずれかに記載のボンド磁石の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 前記コーティング被膜及び/又は前記二
    次コーティング被膜を、前記処理液を用いたゾルゲル法
    により形成する請求項1ないし6のいずれかに記載のボ
    ンド磁石の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記二次コーティング被膜を形成するた
    めの処理液として、該処理液を構成する金属アルコキシ
    ド含有溶液に、フッ素成分が少なくとも含まれる金属ア
    ルコキシドが使用されている請求項7記載のボンド磁石
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記二次コーティング被膜を形成するた
    めの金属アルコキシド含有溶液には、フッ素を含有する
    撥水材料が少なくとも含まれたものが使用される請求項
    7又は8に記載のボンド磁石の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記二次コーティング被膜を形成する
    ための金属アルコキシド含有溶液には、PVA、スチレ
    ン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹
    脂、アクリル樹脂から選択される1種又は2種以上の樹
    脂成分が含有されている請求項7ないし9のいずれかに
    記載のボンド磁石の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記撥水材料及び/又は樹脂成分が、
    前記有機溶媒中に溶解又はコロイド懸濁した状態にて含
    有されている請求項9又は10に記載のボンド磁石の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 前記撥水材料及び/又は樹脂成分が、
    微粉末状にて含有されている請求項9ないし11のいず
    れかに記載のボンド磁石の製造方法。
  13. 【請求項13】 粉末粒子の表面に、金属元素成分(た
    だし、金属元素の概念にはSiとBとを含める)と酸素
    と炭素とを含有したコーティング被膜が形成されたボン
    ド磁石粉末を樹脂結合してなることを特徴とするボンド
    磁石。
  14. 【請求項14】 前記ボンド磁石粉末は、磁性相の最も
    含有率の高い元素がFeであって希土類を含有するもの
    であり、かつその希土類元素のうち、最も重量含有率の
    高いものが、Nd、Pr及びSmのいずれかである請求
    項13記載のボンド磁石。
  15. 【請求項15】 ボンド磁石の表面が、金属系元素成分
    と、酸素及び炭素とを含有した二次コーティング被膜に
    て覆われている請求項13又は14に記載のボンド磁
    石。
  16. 【請求項16】 前記コーティング被膜及び/又は前記
    二次コーティング被膜中の金属系元素成分は、Si、
    B、Al、Mg、Ti及びZrから選ばれる1種又は2
    種以上を主成分とするものである請求項13ないし15
    のいずれかに記載のボンド磁石。
  17. 【請求項17】 前記コーティング被膜及び/又は前記
    二次コーティング被膜は、前記磁性部材に対する防食被
    膜である請求項13ないし16のいずれかに記載のボン
    ド磁石。
  18. 【請求項18】 前記二次コーティング被膜中には、フ
    ッ素を含有する撥水材料及び/又はPVA、スチレン樹
    脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ア
    クリル樹脂から選択される1種又は2種以上の樹脂成分
    が分散形態で存在している請求項15ないし17のいず
    れかに記載のボンド磁石。
  19. 【請求項19】 ボンド磁石用の粉末粒子の表面に、金
    属系元素のアルコキシド(以下、金属アルコキシドとい
    う)を含む成分を有機溶媒に分散させた金属アルコキシ
    ド含有溶液からなる処理剤をコートすることによりコー
    ティング被膜を形成し、コーティング被膜付きのボンド
    磁石粉末を得ることを特徴とするボンド磁石粉末の製造
    方法。
  20. 【請求項20】 ボンド磁石用の粉末粒子の表面に、金
    属系元素成分と酸素と炭素とを含有したコーティング被
    膜が形成されたことを特徴とするボンド磁石粉末。
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