JP2001173507A - 蓄圧式燃料噴射制御装置 - Google Patents
蓄圧式燃料噴射制御装置Info
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Abstract
より良好にエンジン始動を行うことができない場合、燃
料圧センサの出力値のみで、瞬時に誤診断無く、燃料圧
センサ自身の故障を診断することのできる燃料圧センサ
故障診断装置を提供する。 【解決手段】 エンジン始動時のエンジン冷却水温また
は燃料温度の検出値が、記憶装置に記憶されているエン
ジン冷却水温または燃料温度の記憶値に比べて所定値
(例えば10℃以上)低下している場合には、コモンレ
ール4内の燃料圧力、つまりコモンレール圧力が大気圧
相当であると判断することができる。これにより、この
ときの燃料圧センサ自身の出力電圧がそのコモンレール
圧力よりも異常に大きい値(例えば2V)の場合には、
燃料圧センサ44が故障していると判断するようにして
いる。
Description
エンジンの蓄圧式燃料噴射制御装置に関するもので、特
にディーゼルエンジンの蓄圧式燃料噴射制御システムに
おける燃料圧センサの故障を誤検出なく診断することが
可能な燃料圧センサ故障診断装置に係わる。
蓄圧式燃料噴射システムは、燃料タンクからの燃料を高
圧圧送する燃料噴射ポンプと、この燃料噴射ポンプより
圧送された高圧燃料を蓄圧するコモンレールと、このコ
モンレールより供給された燃料をディーゼルエンジンの
気筒内に噴射するインジェクタと、コモンレール内に蓄
圧された高圧燃料の燃料圧力を検出する燃料圧センサ
と、エンジン回転速度センサ、アクセル開度センサ、ク
ランク角センサ、燃料温度センサ、カム角センサ等の各
種センサからのセンサ信号に基づいて、燃料噴射量と燃
料噴射時期の制御を行う燃料噴射制御装置(ECU)と
から構成されている。
らのセンサ信号に基づいて、燃焼温度を下げてNOxの
発生を抑制させる排気ガス再循環量(EGR量)の制
御、および気筒内の充填効率を向上させるバリアブルノ
ズルターボ(以下VNTと呼ぶ)等の過給機の制御も行
う。そして、その燃料噴射制御装置は、エンジン回転速
度およびアクセル開度等に基づいて目標燃料噴射量を算
出し、その目標燃料噴射量を達成するために、コモンレ
ール圧力実施値からインジェクタの開弁時間を決定して
いる。そして、燃料噴射制御装置は、目標燃料噴射量、
ディーゼルエンジンのシリンダへの吸入空気量、吸入空
気圧から最適なEGR率、VNT等の過給量を決定し、
それぞれのEGR量およびノズル変位量を制御してい
る。
噴射量とが異なるような燃料圧センサ故障になった場合
には、燃料噴射制御装置は、本来設計された燃料噴射制
御を行うことができずに、ディーゼルエンジンの出力
値、EGR率、吸入空気過給量も本来の設定値と異なっ
て運転されることになるので、ディーゼルエンジンの出
力およびエミッションを悪化させる要因となる。
相互監視させることで、センサの故障検出およびディー
ゼルエンジンの正常運転を実施できるようにする構成が
考えられる。例えばアクセル開度センサは、2重系に
し、常にアクセル開度の小さい方の出力値で燃料噴射制
御を行うことによって、アクセル開度センサの故障時の
危険度を低減している。しかも、片方のアクセル開度セ
ンサが故障した場合、目標燃料噴射量は一般に、アクセ
ル開度とエンジン回転速度から決まるために、目標燃料
噴射量と実際の燃料噴射量との偏差は基本的には存在し
ないためにディーゼルエンジンの運転に致命的な打撃を
及ぼす可能性は極めて小さい。しかし、上記のアクセル
開度センサのように、燃料圧センサを2重系にした場
合、2系統の出力のどちらかが故障であるか否かを特定
することが非常に困難である。
の心臓部分のセンサであるために、ハード側でセンサ故
障が極力小さくなるように作り込むことに加えて、特開
平10−325352号公報に示されたように、排気酸
素濃度センサ等、他のセンサの信号から燃料圧センサの
故障診断を行うようにする燃料圧センサ故障診断装置が
提案されている。この燃料圧センサ故障診断装置の場合
には、通常燃料噴射制御には必要としない新たなセンサ
を追加する必要があるために、コスト的にも不利、且つ
他のセンサで燃料圧センサの故障診断を行うために他の
要因、例えばインジェクタの故障、燃料噴射ポンプの故
障、EGR装置の故障または劣化などの影響を受け易
く、燃料圧センサのみを分解しての故障診断は非常に困
難であった。
力値で、燃料圧センサの故障診断を行う燃料圧センサ故
障診断装置が、特開平8−284722号公報に記載さ
れている。この従来の技術は、エンジンストップ時の燃
料圧センサの出力値が圧力値0まで減少したか否かで、
燃料圧センサの故障診断を試みるものであり、エンジン
ストップを生じさせるような高い圧力を示す電圧値が出
力され続ける故障の検出を、燃料圧センサ独自の出力値
で燃料圧センサの故障検出を狙ったものである。
の燃料圧センサ故障診断装置においては、高い圧力を示
す電圧値が出力され続ける燃料圧センサの故障が生じた
時、燃料噴射制御装置は既に充分なコモンレール圧力が
蓄圧できていると判断し、燃料噴射ポンプが圧送量を低
減する方向に作動するため、燃料噴射に必要な圧力が得
られずにエンジンストップに至る。
き、燃料圧センサの故障と判断するとあるが、燃料噴射
に必要な燃料圧力は約15MPa以上であり、エンジン
ストップ時、コモンレール内の燃料圧力は、圧力値0で
はなく、まだ蓄圧された状態(約15MPa)である。
さらに、蓄圧された高圧燃料の燃料圧力が大気圧力まで
減圧するのに必要な減圧時間は、リーク穴径とコモンレ
ール内外との圧力差で決まるために、エンジンストップ
時の蓄圧燃料の圧力値0の安定した出力を得るには、通
常、数十秒の時間が必要となる。
センサの出力値で故障診断を行う場合、誤診断し易く、
また誤診断なく故障診断するためにはコモンレール圧力
が抜けきり、圧力値0を安定して示すであろう時間後の
出力値で故障診断する必要があるという問題があった。
さらに、運転者はエンジン始動のためにスタータを作動
し続けるために、上述の圧力値0の出力の検出の可能性
は非常に低いという問題があった。
するために上記、圧力値0までの減圧時間にばらつきが
生じ、正確な故障診断が難しいという問題、さらに、パ
ニックブレーキなどでエンジンストップした場合、コモ
ンレールが蓄圧されたままエンジンストップするために
燃料圧センサの出力値が高い電圧値を示すため、燃料圧
センサが故障していない場合でも容易に故障と判断して
しまうという問題があった。
圧センサの故障により良好にエンジン始動を行うことが
できない場合、燃料圧センサの出力値のみで、瞬時に誤
診断無く、燃料圧センサ自身の故障を診断することので
きる蓄圧式燃料噴射制御装置を提供するものである。
よれば、エンジン始動時のエンジン温度の値が、記憶手
段に記憶されている記憶値に比べて所定値以上低下して
いる場合に、燃料圧センサの故障診断を行うようにして
いる。例えばエンジン始動時のエンジン温度がエンジン
停止時のエンジン温度よりも所定値以上低下している場
合には、コモンレール圧力が大気圧相当であると判断す
ることができる。これにより、燃料圧センサ自身の出力
値がそのコモンレール圧力よりも異常に大きい値の場合
には、燃料圧センサが故障していると診断することがで
きる。
を受けることなく、燃料圧センサ自身の出力値のみで、
燃料圧センサ自身の故障診断を行うことができるため
に、他のセンサが不要となり安価で、誤検出の少ない検
出精度の大きい燃料圧センサの故障診断を行うことがで
きる。
始動時のエンジン温度の値が、記憶手段に記憶されてい
るエンジン停止時のエンジン温度の記憶値に比べて所定
値以上低下している場合に、燃料圧センサの故障診断を
行うようにしている。それによって、エンジン温度が、
エンジン停止時のエンジン温度に比べて十分低下してい
る状態は、明らかに、エンジン停止からコモンレール圧
力が大気圧相当にまで低下するのに十分な時間が経過し
ていることを示しており、コモンレール圧力が大気圧相
当であることを的確に判断することができる。これによ
り、燃料圧センサの故障検出がコモンレールに蓄圧され
た状態で行われるような誤検出を防止できるので、検出
精度を向上することができる。
始動時のエンジン温度とは、エンジン始動時のエンジン
冷却水温、燃料温度、外気温度、車室内の内気温度、エ
ンジンの表面温度またはエンジン周囲の雰囲気温度のう
ちの少なくとも1つ以上の値であることを特徴とする。
例えばエンジン始動時のエンジン冷却水温または燃料温
度等のエンジン温度がエンジン停止時のエンジン冷却水
温または燃料温度等のエンジン温度よりも所定値以上低
下している場合には、コモンレール圧力が大気圧相当で
あると判断することができる。それによって、燃料圧セ
ンサ自身の出力値がそのコモンレール圧力よりも異常に
大きい値の場合には、燃料圧センサが故障していると診
断することができる。
ール内に蓄圧される高圧燃料の燃料圧力を強制減衰させ
るコモンレール圧低減手段が作動中または作動後に、燃
料圧センサの故障診断を行うようにしている。それによ
って、如何なる運転履歴においても、エンジン始動時に
コモンレール圧力が大気圧相当、燃料圧センサの出力値
が「0」の状態を強制的に実現することができる。これ
により、他のアクチュエータの影響なしに,燃料圧セン
サ自身の出力のみで、燃料圧センサ自身の故障診断を行
うことができるので、他のセンサ等を追加すること無く
安価で、誤検出の少ない検出精度の大きい、燃料圧セン
サの故障診断を行うことができる。
クタを無噴射作動させることで、エンジンの気筒内への
燃料噴射無にしてリリーフ配管からコモンレール圧力を
減圧させることにより、新たなアクチュエータを追加す
ること無く、容易にコモンレール圧力を大気圧相当であ
る「0」出力に保持することができるので、燃料圧セン
サの故障検出の誤検出を防止することができる。
始動時の大気温度、エンジン冷却水温および燃料温度の
うち少なくとも2つの検出値が所定温度範囲内にある場
合に、前記燃料圧センサの故障診断を行うようにしてい
る。それによって、他のセンサ等を追加すること無く、
エンジン停止後、コモンレール圧力が大気圧相当にまで
十分に低下している状態を検出することができる。その
結果、必ず燃料圧センサの出力値が小さい、大気圧力相
当の「0」出力からの偏差で故障判断できるため、劣化
などによる燃料圧センサの出力値の微少変化をも検出で
きるので、燃料圧センサの故障検出の検出精度を確保す
ることができる。
始動時、コモンレールへの燃料圧送までの期間に燃料圧
センサの故障診断を行う第1の所定値、およびスタータ
作動時に燃料圧センサの故障診断を行う第2の所定値を
持つことにより、エンジン始動が不可能な出力値の大き
い燃料圧センサの故障をも検出できる。これにより、ク
ランキングは行えるが、エンジンが完爆できない燃料圧
センサが故障の時に、原因が分からないまま運転者がス
タータを作動させ続けバッテリが上がるような最悪の事
態に至るまえに、的確に運転者に燃料圧センサの故障を
表示することもできる。
ンサの出力は、入力電圧に大きく作用される。一般的に
エンジンコンピュータや燃料噴射制御手段等のエンジン
制御手段(機関運転条件検出制御手段)によって、入力
電圧を5V一定になるように制御している。エンジン始
動時などは、比較的に低温の場合が多く、且つオルタネ
ータやレギュレータ等の充電装置が作動していないため
に、入力電圧が低下してしまうことがあった。そのため
に、余分な電気負荷を削除した状態で燃料圧センサの故
障診断を行うことで、バッテリ電圧の低下による誤検出
も排除することができる。
るバッテリ電圧低下抑制手段が作動している時の燃料圧
センサの出力値に基づいて、燃料圧センサの故障診断を
行うようにしている。それによって、新たなアクチュエ
ータを追加すること無く、寒冷時からのバッテリ電圧の
確保が難しい状態で、且つバッテリを充電する充電装置
が始動していない状態からのエンジン始動時であっても
燃料圧センサの故障を検出することができる。
始動補助装置、照明装置、音響装置等の電気負荷のうち
の少なくとも1つ以上を駆動するための駆動電流を強制
的に停止させている時の燃料圧センサの出力値に基づい
て、燃料圧センサの故障診断を行うようにしている。そ
れによって、バッテリ電圧の低下による誤検出も排除す
ることができ、請求項8に記載の発明と同様な効果を達
成することができる。
き図面を参照して説明する。 〔第1実施例の構成〕図1ないし図4は本発明の第1実
施例を示したもので、図1はディーゼルエンジン用蓄圧
式燃料噴射制御システムの全体構成を示した図である。
システムは、一般にコモンレールシステムと呼ばれてお
り、多気筒のディーゼルエンジン(以下エンジンと略
す)1の運転状態、車両の走行状態および運転者の操作
量(意思)を各種センサにより検出して、電子式コント
ロールユニット(以下ECUと言う)10に伝えて、各
種センサからの情報により最適な燃料噴射量および燃料
噴射時期を演算し、それぞれを制御するアクチュエータ
に指令するように構成されている。
噴射制御システムの燃料配管系には、燃料タンク2内の
燃料を汲み上げるフイードポンプを内蔵し、このフィー
ドポンプにより吸い出された燃料を加圧して高圧燃料を
圧送する燃料噴射ポンプ3と、この燃料噴射ポンプ3よ
り圧送された高圧燃料を蓄圧する蓄圧室であるコモンレ
ール4と、高圧パイプ5を介してコモンレール4に接続
されて、エンジン1の各気筒に取り付けられた複数個
(本例では6個)の燃料噴射弁(以下インジェクタと言
う)6とが配設されている。
たアクチュエータとしての調整用電磁弁7は、ECU1
0からの制御信号により電子制御されることにより、燃
料噴射ポンプ3から燃料配管8を経てコモンレール4へ
の高圧燃料の圧送量を調整することで、コモンレール圧
力を変更する。
モンレール圧力)の高圧燃料を蓄えるサージタンクの一
種で、燃料配管を形成する高圧パイプ5を介して各イン
ジェクタ6に接続されている。コモンレール4から燃料
タンク2への燃料のリターン配管9は、コモンレール圧
力が、限界蓄圧圧力を超えることがないようにプレッシ
ャリミッタ17からも圧力を逃がせるように構成されて
いる。
各気筒に個別に対応して取り付けられている。そして、
各インジェクタ6からエンジン1への燃料噴射量および
燃料噴射時期等は、アクチュエータとしての調整用電磁
弁25への通電および通電停止をECU10で電子制御
することにより決められる。
段、記憶手段、燃料圧センサ故障検出手段に相当するも
ので、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラ
ムおよびデータを保存するROM、RAM、入力回路、
出力回路、電源回路および駆動回路等より構成されてい
る。
としては、エンジン1の回転速度を検出するエンジン回
転速度センサ(本発明の運転状態検出手段に相当する)
41、アクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を
検出するアクセル開度センサ(本発明の運転状態検出手
段に相当する)42、エンジン1の冷却水温度を検出す
るエンジン冷却水温センサ(本発明の運転状態検出手段
に相当する)43、コモンレール4内に蓄圧された高圧
燃料の燃料圧力を検出する燃料圧センサ44等がある。
付けられて、クランク軸の回転角度を検出するクランク
角センサ(本発明の回転パルス発生手段に相当する)4
5、エンジン1のカム軸に取り付けられて、カム軸の回
転角度を検出するカム角センサ(本発明の回転パルス発
生手段に相当する)46、リターン配管34に取り付け
られて、燃料温度を検出する燃料温度センサ47等があ
る。
サ49、吸入空気温度センサ50、EGRバルブ開口度
センサ51、VNT駆動量センサ52等を使用しても良
い。なお、燃料温度センサ47は、検出精度を上げるた
めに各インジェクタ6のリターン配管34の集合部分に
できる限り近い位置に搭載することが望ましい。
45とカム軸センサ46からのクランク軸回転パルス、
カム軸回転パルスの信号を基準にして、インジェクタ6
の燃料噴射時期(開弁時期)や、燃料噴射ポンプ3の燃
料圧送期間を決定することで、コモンレール圧力を所定
の圧力値に保持するように制御する。そして、エンジン
回転速度センサ41とアクセル開度センサ42や、エン
ジン冷却水温センサ43で測定した値から燃料噴射量を
算出し、この算出した燃料噴射量を達成するために、運
転状態毎にコモンレール4内の燃料圧力から算出された
開閉指令でインジェクタ6を駆動することで、エンジン
1が運転される。
ンダ)内で燃焼した排気ガスは、排気管11を通り、バ
リアブルノズルターボ(VNT)12のタービンの駆動
源となった後、触媒13、マフラー14を経て排出され
る。また、そのVNT12の制御は、吸気圧センサ48
とVNT駆動量センサ52の信号に基づいて行われる。
は、吸気管15を経てエンジン1の気筒へと導入され
る。そして、吸入空気は、エミッションを低減するため
に、運転状態毎に設定された所定のEGR量になるよう
にEGRバルブ16の開口度を制御され、排気管11か
らの排気ガスとミキシングされる。そのEGR量は、吸
入空気量センサ49、吸入空気温度センサ50およびE
GRバルブ開口度センサ51からの信号で、所定のEG
R量を保持できるようにECU10によってフィードバ
ック制御している。
ィーゼルエンジン用蓄圧式燃料噴射制御システムの特徴
を図1および図2に基づいて簡単に説明する。
システムは、各種センサまたはアクチュエータの信号に
基づいてエンジン1を運転する。一般に、エンジン回転
速度、アクセル開度等から、エンジン冷却水温の補正な
どを加味して燃料噴射量を算出する。
と呼ぶが、この目標燃料噴射量を実現するために蓄圧し
たコモンレール圧力を検出する燃料圧センサ44の検出
信号に基づいてインジェクタ6の開弁時期を決定し制御
する。そのため燃料圧センサ44が故障し実際のコモン
レール圧力が検出(出力)できない場合には、エンジン
1の燃料噴射制御自体が正常に作動できないことにな
る。特にディーゼルエンジン1の場合は、ガソリンエン
ジンと異なり、燃料噴射量のみでエンジン出力を制御す
るようにしている。
ジン出力を正確に制御できないことを意味し、燃料圧セ
ンサ44の故障の程度によりエンジン1に致命的な打撃
を与えかねないことが予測できる。そのため、燃料圧セ
ンサ44は、蓄圧式ディーゼルエンジン1においては、
まさに心臓部に位置付けられる部品である。
は非常に重要である。本実施例では、コモンレール圧力
が必ず小さい条件で、考えられない程大きな燃料圧セン
サ44の出力値を確認した場合に燃料圧センサ44が故
障であることを燃料圧センサ自身の出力値から診断する
ことを目的としている。
い条件で、燃料圧センサ44の故障検出を行うために、
エンジン停止後十分に時間が経過したコモンレール4に
蓄圧されていない条件で燃料圧センサ44の故障検出を
行う必要がある。
ジン1が停止すると、コモンレール圧力はインジェクタ
6の構造的な静リークによって低下する。エンジン1の
運転中の高圧から大気圧相当まで低下するにはかなり時
間が必要である。そのため、燃料圧センサ44の故障診
断は、コモンレール4内の燃料圧力が十分に低減した後
に行う必要がある。
内での燃焼によってエンジン冷却水温および燃料温度等
のエンジン温度が上昇する。予め、例えばROM等の記
憶装置にエンジン停止後のエンジン冷却水温または燃料
温度等のエンジン温度を記憶しておく。
温または燃料温度等のエンジン温度と、記憶しているエ
ンジン冷却水温または燃料温度等のエンジン温度とを比
較して所定値以上に温度低下している場合に、十分にコ
モンレール圧力が低下する程、エンジン1を停止してか
ら時間が経過した後のエンジン始動時であると判断する
ことができる。
定値(例えば2V:燃料圧力は50MPa相当)以上の
場合には、燃料圧センサ44が故障していると判断す
る。したがって、コモンレール4内の燃料圧力が十分に
低減した後に燃料圧センサの故障診断を行うことができ
るので、燃料圧センサ44の故障診断の誤診断を防止で
きる。
させるエンジン冷却水温または燃料温度等のエンジン温
度の記憶タイミングを、エンジン停止時、例えばイグニ
ッションスイッチのONからOFF時と設定し、エンジ
ン始動時のエンジン冷却水温または燃料温度等のエンジ
ン温度が、記憶装置に記憶したエンジン冷却水温または
燃料温度等のエンジン温度よりも所定値以上低下してい
る場合に、燃料圧センサ44の故障診断を行うようにし
ている。
モンレール圧力の減少は、図2のグラフに示したよう
に、30MPaから0MPaまでの減圧時間は約30秒
間程度必要となる。一方、そのときのエンジン冷却水温
は、エンジン停止でウォータポンプが停止することでラ
ジエータでの熱交換効率が極度に低下する。そのため、
エンジン停止直後からエンジン冷却水温は一時、上昇す
ることになる。その後に、エンジン温度の低下に伴っ
て、エンジン冷却水温が低下する現象が確認されてい
る。
停止時の冷却水温に戻るまで、約20分間程度必要であ
った。一方、燃料温度はエンジン冷却水温よりも比熱が
小さいために冷却速度は速いが同様な挙動を示す。つま
り、エンジン始動時のエンジン冷却水温または燃料温度
がエンジン停止時の温度に比べて、十分に低下していれ
ば十分にコモンレール圧力は低下していることが実験に
より確認できた。
ンジン始動時に燃料圧センサ故障診断を行うと、誤検出
の可能性がある。例えば「エンジン始動できなかった
場合の既に蓄圧された状態」、「運転中にイグニッシ
ョンスイッチをON→OFF→ONに切り換え、コモン
レール4内が車両走行中の燃料圧力に保持されたままの
状態」、および「イグニッションスイッチONのまま
ブレーキによりエンジン停止したパニックブレーキ時か
ら再始動する状態」といった状況では、故障検出を行わ
ないことになり、燃料圧センサ故障診断の誤検出を抑制
することができる。
が突然故障し、車両停止に至った場合、イグニッション
スイッチを、一旦OFFにしてから後、ONにしてエン
ジン始動を試みた場合は、上述の故障診断ロジックで
は、燃料圧センサ44の故障診断ができない。
止するような燃料圧センサ44の故障は、燃料圧センサ
44の出力が実際の圧力よりも高い圧力を示す故障の時
に生じる。前述の実際の圧力よりも高い圧力を示す燃料
圧センサ44の故障の場合、目標コモンレール圧力を達
成するために、燃料噴射ポンプ3が減圧する方向に作用
するために、インジェクタ6の燃料噴射に必要な最低圧
力を確保できなくなるためである。
6の噴射に必要な燃料圧力が得られないので、エンジン
ストールしてしまう燃料圧センサ故障の検出は、クラン
キングするが、インジェクタ6が噴射できない状態を検
出することで診断できる。つまり、クランキング時に考
えられない大きな燃料圧センサ出力が所定時間連続した
時に、燃料圧センサ故障と判断することで検出できる。
ィーゼルエンジン用蓄圧式燃料噴射制御システムの心臓
部となる燃料圧センサ44の故障検出方法を図1ないし
図4に基づいて簡単に説明する。ここで、図3はコモン
レール4内の燃料圧力(コモンレール圧力)と燃料圧セ
ンサ44の出力との関係を示したグラフである。
に、燃料圧センサ44の出力は、コモンレール4内の燃
料圧力に対してリニアである。具体的には、燃料圧セン
サ44の出力値が1Vの時に燃料圧力は0MPaで、燃
料圧センサ44の出力値が2Vの時に燃料圧力は50M
Paで、燃料圧センサ44の出力値が3Vの時に燃料圧
力は100MPaである。
4の故障診断方法を示したフローチャートである。な
お、このフローチャートは、イグニッションスイッチが
OFF→ONへとの切り換わったときに起動され、燃料
圧センサ44の故障なく正常であって、エンジン1が運
転されている場合は、後述のステップS5にて待機して
いるものである。そして、イグニッションスイッチがO
FFされ、ECU10への電源の供給が断たれたときに
は、強制的に終了されるものである。
料圧センサ44の故障診断条件の検出について述べる。
イグニッションスイッチがOFF→ONへと切り換わっ
たか否かを判定する(ステップS1)。この判定結果が
NOの場合には、ステップS1の判定処理を繰り返す。
場合、すなわち、イグニッションスイッチのOFFから
ONへの切り換わりを確認した場合には、クランク角セ
ンサ45の最初の入力である、クランク軸回転(Ne)
パルスの最初のパルス入力を確認していないか否かを判
定する(ステップS2)。
Neパルスの最初の入力を確認していない場合には、エ
ンジン冷却水温センサ43にて検出したエンジン冷却水
温度THWが所定範囲内、例えば0℃≦THW≦80℃
の範囲内にあるか否かを判定する(ステップS3)。こ
の判定結果がNOの場合には、ステップS5の判定処理
を行う。
場合には、ROM(記憶装置)内に記憶してあるエンジ
ン冷却水温THW(M)とエンジン冷却水温センサ43
にて検出したエンジン冷却水温度THWとの温度偏差を
算出する。
W)が所定値(例えば10℃)以上であるか否かを判定
する。すなわち、検出値であるエンジン冷却水温度TH
Wが記憶値であるエンジン冷却水温THW(M)に比べ
て所定値(例えば10℃)以上低下しているか否かを判
定する(ステップS4)。この判定結果がNOの場合に
は、ステップS5の判定処理を行う。
場合には、ステップS7以降の故障診断に入る。上記の
ステップS2で、最初のクランク軸回転パルス入力が無
いということは、スタータスイッチがONされて、スタ
ータによってエンジン1のクランク軸が回転し、クラン
ク角センサ45からパルスが発生するまでの状態を示
す。
44の検出精度は、温度によって変化する。特に、低温
側、高温側に行き過ぎると、出力のバラツキが大きくな
るため、燃料圧センサ44の出力が温度の影響を受け難
い温度範囲で故障検出するために設けた条件である。
ン冷却水温THWが、記憶装置に記憶されているエンジ
ン冷却水温THW(M)に比べて所定値以上に低下して
おればエンジン停止後から十分時間が経過していること
を示している。つまり、コモンレール圧力が大気圧相当
に低減している状態を保証する条件である。
記憶装置に記憶するタイミングについて説明する。エン
ジン冷却水温はエンジン始動後、エンジン1の発熱によ
り徐々に上昇する。記憶装置に記憶するエンジン冷却水
温の記憶タイミングを、イグニッションスイッチのOF
F時と設定することで、車両走行後の比較的高温のエン
ジン冷却水温を記憶することができる。
記記憶したエンジン冷却水温よりも小さければ、エンジ
ン停止後から十分時間が経過したことを示している。実
際の実験データでは、コモンレール圧力の大気圧相当圧
までの低下時間が数十秒に対し、エンジン冷却水温の低
下時間は数時間ということが確認されている。
水温が、エンジン停止時のエンジン冷却水温から所定値
以上低下していれば(具体的には約10℃以上あれば良
い)、コモンレール圧力は十分大気圧相当にまで低下し
ていると言える。したがって、ステップS1〜S4によ
って、前述の〜で示したようなエンジン始動時、コ
モンレール蓄圧済みである状況下で、イグニッションス
イッチがOFF→ONへと切り換えられて、図4のフロ
ーチャートが起動されても、特にステップS4にてNO
と判定されるため、ステップS7の故障判定へ進むこと
が除外される。このため、燃料圧センサ44の故障誤検
出を防止でき、診断精度を向上できる。
て述べる。ステップS1、S2、S3、S4が成立した
後、燃料圧センサ自身の出力値で故障診断を行う。上記
条件が成立しているということは燃料圧センサ44の出
力値が大気圧相当で、0出力である条件であることを示
している。
が成立した後、燃料圧センサ44の出力値が設定された
第1の所定値(例えば2V)以上であるか否かを判定す
る(ステップS7)。この判定結果がNOの場合には、
燃料圧センサ44の出力は正常であると判断されて、ス
テップS5の判定処理を実行する。
場合、すなわち、燃料圧センサ44の出力値が第1の所
定値以上の大きい出力である場合には、燃料圧(Pc)
センサ44が故障であると診断する(ステップS9)。
その後に、燃料圧センサ44の故障診断を終了する。
ッチのOFFからONへの切り換わりを確認した後、ス
テップS2でクランク軸回転パルスの入力を確認した場
合には、エンジン回転速度センサ41にて検出したエン
ジン1の回転速度Neが例えば50rpm以上200r
pm以下の範囲内で、且つ10秒間連続しているか否か
を判定する(ステップS5)。この判定結果がNOの場
合には、ステップS5の判定処理を繰り返す。
場合には、エンジン冷却水温センサ43にて検出したエ
ンジン冷却水温度THWが所定範囲内、例えば0℃≦T
HW≦80℃の範囲内にあるか否かを判定する(ステッ
プS6)。この判定結果がNOの場合には、ステップS
5の判定処理を繰り返す。
すということは、イグニッションスイッチON状態から
のスタータによるエンジン始動を試みることを示す。上
記のステップS5、S6で、車両走行中の燃料圧センサ
故障でエンジン1が停止した場合に、エンジン停止時か
らのエンジン始動時に、クランキングはできるが完爆し
ない状態を検出できる。
センサ44の故障は、出力値が大きい状態で固定してし
まう状態、あるいは正規出力特性に対し、出力値が大き
くなる方向に平行移動するような切片が大きくなる状態
を示す。
障では、エンジン始動時のポンプOPEN制御から、燃
料圧センサ44の出力でのフィードバック制御に移行し
た時、燃料圧センサ44が実際のコモンレール圧力の対
応した出力よりも大きな出力を示すために、燃料噴射ポ
ンプ3による高圧燃料の圧送を減少させる方向に作動す
る。そのため、インジェクタ6による燃料噴射に必要な
燃料圧力を保持することができずに、エンジンストール
する。燃料噴射に必要な燃料圧力は、一般に15MPa
程度である。
ンサ44の故障が生じると、運転者はスタータスイッチ
でのエンジン再始動を繰り返し試みるが、エンジン1が
始動できないために最終的には、バッテリ上がりに到
る。
ステップS5、S6で判断し、上記現象に至る燃料圧セ
ンサ44の故障をステップS8で診断する。ステップS
8では、クランキング時の燃料圧センサ44の出力値
を、第2の所定値(例えば3V)よりも大きいか否かを
判定する。
第2の所定値よりも大きいと判定した場合には、燃料圧
センサ44が故障していると診断する(ステップS9)
ことにより,運転者に即座に燃料圧センサ44の故障を
表示することもでき、致命傷となるバッテリ上がりを防
止できる大きな利点がある。このとき、第2の所定値
は、ステップS7の第1の所定値よりも大きく設定する
ことは言うまでもない。
噴射ポンプ3からコモンレール4へ燃料が少なからず送
出され、コモンレール圧力が増大しているからである。
この圧力上昇分を見込んで、第2の所定値を第1の所定
値よりも大きく設定しているのである。
施例のディーゼルエンジン用蓄圧式燃料噴射制御システ
ムにおいては、エンジン始動時に燃料圧センサの故障に
より良好にエンジン始動を行うことができない場合、エ
ンジン始動時のエンジン冷却水温が十分エンジン停止時
の冷却水温よりも低下している時に、コモンレール圧力
は大気圧相当であると判断し、燃料圧センサ故障検出を
行い、燃料圧センサ44自身の出力電圧(検出圧力値)
が異常に大きい場合に燃料圧センサ44の故障と診断す
るようにしている。
のエンジン温度が、エンジン停止時のエンジン冷却水温
または燃料温度等のエンジン温度に比べて十分低下して
いる状態は、明らかに、エンジン停止からコモンレール
圧力が大気圧相当にまで低下するのに十分な時間が経過
していることを示しており、コモンレール圧力が大気圧
相当であることを的確に判断でき、燃料圧センサ44の
故障検出がコモンレール4に蓄圧された状態で行われる
ような誤検出を防止し検出精度を向上できる効果を備え
る。
置に記憶するタイミングをイグニッションスイッチOF
F時にすることで、如何なる運転履歴においてもエンジ
ン始動時に蓄圧されていない燃料圧センサ出力「0」の
状態を検出することができる。
けることなく、燃料圧センサ自身の出力値のみで、燃料
圧センサ自身の故障診断を行うことができるので、他の
センサなどが不要となる。したがって、安価で、誤検出
の少ない検出精度の非常に大きい燃料圧センサ故障診断
方法を提供することができる。
よってエンジン停止した状態からエンジン始動したエン
ジン1のクランキング時に、考えられないような燃料圧
センサ44の出力を検出した場合に、燃料圧センサ44
が故障と診断することで、燃料圧センサ44の故障診断
の精度向上を図ることができる。
行えるが、エンジン1が完爆できない燃料圧センサ44
の故障が運転中に生じ、車両停止した場合に、原因がわ
からないまま運転者がイグニッションスイッチをOFF
にしないでONのままスタータスイッチをONし続ける
ことでスタータを作動し続け、前述の燃料圧センサ故障
診断ロジックに入らず、燃料圧センサ故障診断されない
まま、バッテリが上がるような最悪の事態に至る前に、
クランキング時に燃料圧センサ44の故障を診断するこ
とで、的確に運転者に燃料圧センサ44の故障を表示す
ることもできる。
発明の第2実施例を示したもので、図5および図6はイ
ンジェクタの作動状態を示した図である。
図6に示したように、エンジン1の各気筒内に高圧燃料
を噴射する複数個の噴射孔21を有するシリンダー22
と、このシリンダー22内に摺動自在に支持されるピス
トン23と、このピストン23を閉弁方向に付勢するコ
イルスプリング24と、上記の調整用電磁弁25とを備
えている。
圧燃料が流入する燃料導入口26、およびこの燃料導入
口26より燃料通路27を経て高圧燃料が導入される燃
料溜まり部28等が形成されている。また、シリンダー
22には、燃料導入口26より燃料通路29を経て高圧
燃料が導入される制御室30、およびこの制御室30よ
り燃料通路31を経て高圧燃料が排出される燃料排出口
32等が形成されている。
は、調整用電磁弁25により開閉される絞り孔33が設
けられている。また、燃料排出口32は、リターン配管
(リリーフ配管)34を経て燃料タンク2または燃料噴
射ポンプ3の低圧部に連通している。
孔21を開閉するバルブ35、およびこのバルブ35の
連結するピストンロッド36等が一体的に設けられてい
る。コイルスプリング24は、ピストンロッド36の周
囲に配設されて、一端がバルブ35の背面に保持され、
他端がシリンダー22の円環状区画壁37に保持されて
いる。
御信号により電子制御される電磁ソレノイド(電磁コイ
ル)38、この電磁ソレノイド38に吸引されて絞り孔
33を開くソレノイドバルブ39、およびこのソレノイ
ドバルブ39を閉弁方向に付勢するリターンスプリング
(図示せず)等から構成されている。
圧式燃料噴射制御システムのコモンレール圧力低減手段
を図5ないし図7に基づいて簡単に説明する。
圧力を減圧することにより、ピストン23を作動させて
燃料を気筒内に噴射する構造をとる。その制御室30の
減圧は、図7のタイムチャートに示したように、調整用
電磁弁25の電磁ソレノイド38への通電(ON)によ
って行われる(図5(a)参照)。
ると、電磁ソレノイド38に吸引されてソレノイドバル
ブ39が上昇して絞り孔33を開口し、制御室30内の
燃料をリターン配管(リリーフ配管)34から逃がす
(図5(b)参照)。これにより、ピストン23が上昇
してバルブ35が噴射孔21を開き、燃料溜まり部28
内の燃料をエンジン1の気筒内へコモンレール4の燃料
圧力によって噴射する(図5(c)参照)。
25の電磁ソレノイド38への通電停止(OFF)によ
って行われる(図6(a)参照)。すなわち、電磁ソレ
ノイド38がOFFされると、リターンスプリングの付
勢力によってソレノイドバルブ39が下降して絞り孔3
3を閉塞し、コモンレール4から高圧パイプ5、燃料導
入口26および燃料通路29を経て制御室30内に燃料
を導入する(図6(a)参照)。これにより、ピストン
23が下降してバルブ35が噴射孔21を閉じ、エンジ
ン1の気筒内への燃料噴射が終了する(図5(c)参
照)。
り孔33の存在により)、ソレノイドバルブ39の開口
後、制御室30の室内圧力が低下しピストン23の上昇
までには応答遅れが存在する。この応答遅れ期間中に、
ピストン23が上昇してバルブ35が噴射孔21を開か
ないように、ソレノイドバルブ39を微小開閉させるこ
とで、エンジン1の気筒内へ燃料を噴射しないで(イン
ジェクタ6を無噴射作動させて)、リターン配管34か
ら圧力を逃がすことができる。
時に、上記の現象(インジェクタ6の無噴射作動)を用
いることで、コモンレール圧力を短時間で低減させるこ
とができる。これにより、新たなアクチュエータを追加
することなく、低コストで、コモンレール圧力を大気圧
相当に低減するコモンレール圧力低減手段を構成するこ
とができる。
ィーゼルエンジン用蓄圧式燃料噴射制御システムの特徴
を図5ないし図8に基づいて簡単に説明する。
料噴射制御システムによれば、上記のコモンレール圧力
低減手段を作動させた時または作動中に、燃料圧センサ
44の故障検出を行うことにより、大気圧相当の出力値
である燃料圧力「0」である条件を強制的に作り出すこ
とで、エンジンストール時のコモンレール4に燃料が既
に蓄圧されている状態からでも短時間後に、燃料圧セン
サ44の故障検出を行うことができる。
作ミスによってエンジンストップした場合、コモンレー
ル4の内部の燃料圧力は、インジェクタ6の構造による
静リークによって低下を始める。しかし、エンジン1の
アイドリング時の燃料圧力から大気圧相当の圧力まで低
下するのに必要な時間は数十秒間必要であることが我々
の実験で確認されている(使用燃料:JIS2、雰囲気
温度:25℃、図8のタイムチャート参照)。
スによってエンジンストップした後、コモンレール圧力
が十分に低下する前に、スタータスイッチを作動させる
ことによりエンジン始動を試みる。そのために、エンジ
ン始動時に燃料圧センサ44の故障診断を行う場合、燃
料圧センサ44の出力電圧が高いままなので誤診断して
しまう可能性がある。
が作動する前に、例えばリリーフバルブ等のコモンレー
ル圧力低減手段(本例ではインジェクタ6の無噴射作
動)によって確実にコモンレール4内の燃料圧力を大気
圧相当の「0」出力まで減圧させて燃料圧センサ44の
故障診断を行うことで、運転者のクラッチペダルの操作
ミス等で生じたコモンレール4に蓄圧された状態からで
も容易にしかも迅速にコモンレール圧力を大気圧相当ま
で低下できる。これにより、燃料圧センサ44の故障判
定のための所定値の範囲を小さくすることが可能とな
り、燃料圧センサ44の故障検出の検出精度を飛躍的に
高めることができる。
ィーゼルエンジン用蓄圧式燃料噴射制御システムの心臓
部となる燃料圧センサ44の故障検出方法を図5ないし
図9に基づいて簡単に説明する。ここで、図9は本実施
例の燃料圧センサ44の故障診断方法を示したフローチ
ャートである。
気圧相当にまで強制的にコモンレール圧力を低減させる
ことで、燃料圧センサ44の出力値が大気圧相当の出力
値にまで戻ったか否かを判定した後に、燃料圧センサ4
4の故障診断を行う点を特徴としている。
ONへの切り換わりを確認しているか否かを判定する
(ステップS11)。この判定結果がNOの場合には、
ステップS11の判定処理を繰り返す。
の場合、すなわち、イグニッションスイッチのONを確
認している場合には、クランク角センサ45の最初の入
力である、クランク軸回転(Ne)パルスの最初のパル
ス入力を確認していないか否かを判定する(ステップS
12)。この判定結果がNOの場合には、燃料圧センサ
44の故障診断を終了する。
の場合、すなわち、Neパルスの最初の入力を確認して
いない場合には、エンジン冷却水温センサ43にて検出
したエンジン冷却水温度THWが所定範囲内、例えば0
℃≦THW≦80℃の範囲内にあるか否かを判定する
(ステップS13)。この判定結果がNOの場合には、
燃料圧センサ44の故障診断を終了する。以上、ステッ
プS11からS13までは、第1実施例の図4のフロー
チャートのステップS1からS3までと同様である。
の場合には、コモンレール圧力を強制的に減圧させる。
コモンレール圧力の減圧方法は、コモンレール4に搭載
されたリリーフバルブの作動、またはインジェクタ6の
空打ち(無噴射作動)でも良い。このコモンレール圧力
の強制的な低減時間が所定時間(例えば1秒間)連続し
て行われたか否かを判定する(ステップS14)。この
判定結果がNOの場合には、燃料圧センサ44の故障診
断を終了する。
間が所定時間(例えば1秒間)連続して行われたことを
確認した後は、コモンレール4内の燃料圧力が大気圧相
当または十分に低下したと判断することができる。
Sの場合には、燃料圧センサ44の出力値が本来ありえ
ない出力値(異常値)である所定値(例えば2V、50
MPa)以上であるか否かを判定する(ステップS1
5)。この判定結果がNOの場合には、燃料圧センサ4
4の故障診断を終了する。
の場合には、燃料圧センサ44が故障であると診断する
(ステップS16)。その後に、燃料圧センサ44の故
障診断を終了する。
施例のディーゼルエンジン用蓄圧式燃料噴射制御システ
ムにおいては、如何なる運転履歴においても、インジェ
クタ6を無噴射作動させることにより、エンジン始動時
にコモンレール圧力が大気圧相当の出力値である圧力
「0」の状態を強制的に実現することができるので、他
のアクチュエータの影響を受けることなく、燃料圧セン
サ自身の出力のみで、燃料圧センサ自身の故障診断を行
うことができる。これにより、他のセンサ等が不要とな
り、安価で、誤検出の少ない検出精度の大きい燃料圧セ
ンサ44の故障診断を行うことができる。
ことにより、リリーフバルブ等の新たなアクチュエータ
を追加することなく、容易にコモンレール圧力を大気圧
相当の出力値である圧力「0」に保持できるので、燃料
圧センサ44の故障検出の誤検出を防止することができ
る。
3実施例を示したものである。
と、燃焼によってエンジン冷却水温の上昇、並びに燃料
圧送および燃料噴射により燃料温度が上昇する。そのた
めに、エンジン始動時に大気温度、エンジン冷却水温、
燃料温度のうち少なくとも2つの検出値が同じ温度また
は誤差を加味した所定範囲内の温度を示している時は、
必ず最も近いエンジン停止後から十分時間が経過してお
り、コモンレール圧力も大気圧相当である。
4の出力がありえない異常値であれば燃料圧センサ44
の故障と診断することで、エンジン再始動時の燃料圧セ
ンサの故障診断の誤検出を防止することができる。
料圧センサ44の出力が十分に小さい条件を検知でき、
燃料圧センサ自身の出力が所定値範囲内の出力を示して
いるか否かで、燃料圧センサの故障を診断する。
ィーゼルエンジン用蓄圧式燃料噴射制御システムの心臓
部となる燃料圧センサ44の故障検出方法を図10に基
づいて簡単に説明する。ここで、図10は本実施例の燃
料圧センサ44の故障診断方法を示したフローチャート
である。
ンレール圧力が蓄圧されていない毎朝のエンジン始動時
を特定する条件を、吸入空気温度と燃料温度またはエン
ジン冷却水温の温度差が所定値以下の場合、コモンレー
ル圧力が蓄圧されていないエンジン始動時の条件である
と判断する点を特徴としている。
ONへの切り換わりを確認しているか否かを判定する
(ステップS21)。この判定結果がNOの場合には、
ステップS21の判定処理を繰り返す。
の場合、すなわち、イグニッションスイッチのONを確
認している場合には、クランク角センサ45の最初の入
力である、クランク軸回転(Ne)パルスの最初のパル
ス入力を確認していないか否かを判定する(ステップS
22)。この判定結果がNOの場合には、燃料圧センサ
44の故障診断を終了する。
の場合、すなわち、Neパルスの最初の入力を確認して
いない場合には、エンジン冷却水温センサ43にて検出
したエンジン冷却水温度THWが所定範囲内、例えば0
℃≦THW≦80℃の範囲内にあるか否かを判定する
(ステップS23)。この判定結果がNOの場合には、
燃料圧センサ44の故障診断を終了する。
第1実施例の図4のフローチャートのステップS1から
S3まで、および第2実施例の図9のフローチャートの
ステップS11からS13までと同様である。
の場合には、燃料温度センサ47にて検出した燃料温度
THFと吸入空気温度センサ50にて検出した吸入空気
温度THAとの温度偏差が第1の所定値(例えば3℃)
以下であるか否かを判定する(ステップS24)。この
判定結果がNOの場合には、燃料圧センサ44の故障診
断を終了する。
の場合には、エンジン冷却水温センサ43にて検出した
エンジン冷却水温度THWと燃料温度センサ47にて検
出した燃料温度THFとの温度偏差が第2の所定値(例
えば5℃)以下であるか否かを判定する(ステップS2
5)。この判定結果がNOの場合には、燃料圧センサ4
4の故障診断を終了する。
の場合には、エンジン停止後、十分に時間が経過してい
ることを示している。その後、燃料圧センサ44の出力
値が本来ありえない出力値(異常値)である所定値(例
えば2V、50MPa)以上であるか否かを判定する
(ステップS26)。この判定結果がNOの場合には、
燃料圧センサ44の故障診断を終了する。
の場合には、燃料圧センサ44が故障であると診断する
(ステップS27)。その後に、燃料圧センサ44の故
障診断を終了する。以上の判定処理により、本実施例で
は、毎朝、エンジン始動時に燃料圧センサ44の故障検
出を行うことができる。
例のディーゼルエンジン用蓄圧式燃料噴射制御システム
においては、他のセンサ等を追加することなく、毎朝の
エンジン始動を検出することができる。その結果、必ず
燃料圧センサ44の出力が小さい、大気圧相当の「0」
出力からの出力偏差で燃料圧センサ44の故障診断を行
うことができるので、劣化などによる燃料圧センサ44
の出力の微少変化をも検出できる検出精度を確保できる
効果がある。
1〜第3実施例に追加されるもので、グロープラグ等の
エンジン始動補助装置、前照灯や室内灯等の照明装置、
オーディオ等の音響装置などの電気負荷を強制停止させ
る機能を付加したところにある。つまり、図4中のステ
ップS7、S8、図9中のステップS15、図10中の
ステップS26での故障診断の時に、グロープラグ等の
電気負荷を強制的に停止させた時の燃料圧センサ44の
出力値で故障診断するところに特徴がある。以上により
電圧の影響を削除することができ、燃料圧センサ44の
故障検出の誤検出を防止することができる。
テムの全体構成を示した概略構成図である(第1実施
例)。
回転速度、コモンレール圧力および温度の変化を示した
タイムチャートである(第1実施例)。
との関係を示したグラフである(第1実施例)。
ャートである(第1実施例)。
した説明図である(第2実施例)。
した説明図である(第2実施例)。
の実噴射の応答遅れを示したタイムチャートである(第
2実施例)。
したタイムチャートである(第2実施例)。
ャートである(第2実施例)。
チャートである(第3実施例)。
Claims (9)
- 【請求項1】(a)燃料噴射ポンプとインジェクタとの
間に設けられて、前記燃料噴射ポンプから圧送された高
圧燃料を蓄圧するコモンレールと、 (b)このコモンレール内に蓄圧された高圧燃料の燃料
圧力を検出する燃料圧センサと、 (c)エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段
と、 (d)前記燃料圧センサの検出値および前記運転状態検
出手段の検出値に基づいて、前記燃料噴射ポンプおよび
前記インジェクタを制御する燃料噴射制御手段と、 (e)所定のエンジン運転条件下のエンジン温度を記憶
する記憶手段と、 (f)エンジン始動時のエンジン温度の値が、前記記憶
手段に記憶されている記憶値に比べて所定値以上低下し
ている場合に、前記燃料圧センサの故障診断を行う燃料
圧センサ故障検出手段とを備えた蓄圧式燃料噴射制御装
置。 - 【請求項2】請求項1に記載の蓄圧式燃料噴射制御装置
において、 前記記憶手段は、エンジン停止時のエンジン温度を記憶
し、 前記燃料圧センサ故障検出手段は、エンジン始動時のエ
ンジン温度の値が前記記憶手段に記憶されている記憶値
に比べて所定値以上低下している場合に、前記燃料圧セ
ンサの故障診断を行うことを特徴とする蓄圧式燃料噴射
制御装置。 - 【請求項3】請求項1または請求項2に記載の蓄圧式燃
料噴射制御装置において、 エンジン始動時のエンジン温度を検出するエンジン温度
検出手段を備え、 前記エンジン始動時のエンジン温度とは、エンジン始動
時のエンジン冷却水温、燃料温度、外気温度、車室内の
内気温度、エンジンの表面温度またはエンジン周囲の雰
囲気温度のうちの少なくとも1つ以上の値であることを
特徴とする蓄圧式燃料噴射制御装置。 - 【請求項4】(a)燃料噴射ポンプとインジェクタとの
間に設けられて、前記燃料噴射ポンプから圧送された高
圧燃料を蓄圧するコモンレールと、 (b)このコモンレール内に蓄圧された高圧燃料の燃料
圧力を検出する燃料圧センサと、 (c)エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段
と、 (d)前記燃料圧センサの検出値および前記運転状態検
出手段の検出値に基づいて、前記燃料噴射ポンプおよび
前記インジェクタを制御する燃料噴射制御手段と、 (e)前記コモンレール内に蓄圧される高圧燃料の燃料
圧力を強制減衰させるコモンレール圧低減手段と、 (f)コモンレール圧力低減手段が作動中または作動後
に、前記燃料圧センサの故障診断を行う燃料圧センサ故
障検出手段とを備えた蓄圧式燃料噴射制御装置。 - 【請求項5】請求項4に記載の蓄圧式燃料噴射制御装置
において、 前記コモンレール圧力低減手段は、前記インジェクタ、
およびこのインジェクタから燃料を排出するリリーフ配
管を有し、 前記インジェクタを無噴射作動させることで、エンジン
の気筒内への燃料噴射無にして前記リリーフ配管からコ
モンレール圧力を減圧させることを特徴とする蓄圧式燃
料噴射制御装置。 - 【請求項6】(a)燃料噴射ポンプとインジェクタとの
間に設けられて、前記燃料噴射ポンプから圧送された高
圧燃料を蓄圧するコモンレールと、 (b)このコモンレール内に蓄圧された高圧燃料の燃料
圧力を検出する燃料圧センサと、 (c)エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段
と、 (d)前記燃料圧センサの検出値および前記運転状態検
出手段の検出値に基づいて、前記燃料噴射ポンプおよび
前記インジェクタを制御する燃料噴射制御手段と、 (e)エンジン始動時の大気温度、エンジン冷却水温お
よび燃料温度のうち少なくとも2つの検出値が所定温度
範囲内にある場合に、前記燃料圧センサの故障診断を行
う燃料圧センサ故障検出手段とを備えた蓄圧式燃料噴射
制御装置。 - 【請求項7】請求項1ないし請求項6のうちいずれかに
記載の蓄圧式燃料噴射制御装置において、 前記エンジンを始動させるためのスタータと、このスタ
ータの作動指令を出力するスタータスイッチとを備え、 前記燃料圧センサ故障検出手段は、エンジン始動時、前
記コモンレールへの燃料圧送までの期間に前記燃料圧セ
ンサの故障診断を行う第1の所定値、およびスタータ作
動時に前記燃料圧センサの故障診断を行う第2の所定値
を有することを特徴とする蓄圧式燃料噴射制御装置。 - 【請求項8】請求項1ないし請求項7のうちいずれかに
記載の蓄圧式燃料噴射制御装置において、 バッテリ電圧の低下を抑制するバッテリ電圧低下抑制手
段を備え、 前記燃料圧センサ故障検出手段は、前記バッテリ電圧低
下抑制手段が作動している時の前記燃料圧センサの出力
値に基づいて、前記燃料圧センサの故障診断を行うこと
を特徴とする蓄圧式燃料噴射制御装置。 - 【請求項9】請求項8に記載の蓄圧式燃料噴射制御装置
において、 前記バッテリ電圧低下抑制手段は、エンジン始動補助装
置、照明装置、音響装置等の電気負荷のうちの少なくと
も1つ以上を駆動するための駆動電流を強制的に停止さ
せることを特徴とする蓄圧式燃料噴射制御装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35684099A JP4348805B2 (ja) | 1999-12-16 | 1999-12-16 | 蓄圧式燃料噴射制御装置 |
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---|---|---|---|
JP35684099A JP4348805B2 (ja) | 1999-12-16 | 1999-12-16 | 蓄圧式燃料噴射制御装置 |
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