JP2001169504A - 回転電機 - Google Patents

回転電機

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JP2001169504A JP34970899A JP34970899A JP2001169504A JP 2001169504 A JP2001169504 A JP 2001169504A JP 34970899 A JP34970899 A JP 34970899A JP 34970899 A JP34970899 A JP 34970899A JP 2001169504 A JP2001169504 A JP 2001169504A
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rotating electric
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正巳 新美
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    • H02K5/04Casings or enclosures characterised by the shape, form or construction thereof
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防水性に優れ着脱が容易で再利用可能な軸受
カバーを有する回転電機を提供すること。 【解決手段】 本発明の回転電機1は、リアフレーム1
1の中央部に形成された軸受ハウジング部11aをも
ち、軸受ハウジング部11aには、回転子軸21を軸支
する軸受41と、軸受41を後方から封止する軸受カバ
ー51とが順に圧入されている。軸受カバー51は、中
空円筒部51aと、その外周に形成された複数の環状突
条部51cと、中空円筒部51aの後方を封止する底部
51bとからなるゴム製の一体成形部材である。各環状
突条部51cの断面形状は、後方へ傾いた三角形状をし
ており、各環状突条部51cの外縁部が軸受ハウジング
部11aの内周面に密着して優れた防水性が得られる。
また、軸受カバー51はゴム製であるから、軸受ハウジ
ング部11aへの着脱が容易で再利用も可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モータや発電機な
どの回転電機の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来技術による回転電機としては、実開
昭60−38063号公報に直流電動機が開示されてい
る。
【0003】この回転電機は、内側に凹んだ軸受ハウジ
ング部を後端部の中央部にもつフレームと、このフレー
ムに固定された固定子と、このフレームの内部で回転可
能に軸支されている回転子とから主に構成されている。
そして、フレームの後端部の軸受ハウジング部の内部に
は軸受が嵌め込まれて、回転子の軸の後端部を軸支して
いる。さらに、防塵用のキャップと称する軸受カバー
が、軸受ハウジング部に嵌め込まれて軸受を後方から覆
っている。
【0004】この軸受カバーは、図面のハッチングから
推察するに金属製であって、おそらくはフレームの後端
部を形成しているリアフレームとともに鋼製であろうと
思われる。つまり軸受カバーは、円盤状の底部とその外
周部が起こされた短い中空円筒部とからなる金属製の一
体部材であり、リアフレームの軸受ハウジング部に後方
から圧入されて軸受ハウジング部の開口をふさぐように
挿置されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
従来技術では、軸受カバーが金属製であってリアフレー
ムの軸受ハウジング部に圧入されるので、軸受カバーの
外径の寸法公差が比較的精密であることが要求され、コ
ストアップを招くことがある。
【0006】また、金属部材同士の圧入であるので、嵌
合面の微細な隙間や傷が生じやすく水が浸入しやすいの
で、防水性に劣るという不都合もある。
【0007】さらに、軸受の交換時などには軸受カバー
を外す必要があるが、圧入荷重が普通はある程度高いう
えに手がかりも隙間も間もないので外しにくく、工数が
かかるという不都合がある。そればかりではなく、この
ように軸受カバーが外しにくいので、エンドフレームを
傷つけてしまう可能性があるという不都合も生じる。ま
た、外した軸受カバーは再利用が難しく使い捨てになっ
てしまうので、軸受カバーを外す整備のコストが上昇す
るという不都合もある。
【0008】そこで本発明は、防水性に優れ着脱が容易
で再利用可能な軸受カバーを有する回転電機を提供する
ことを解決すべき課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、発明者は以下の手段を発明した。
【0010】(第1手段)本発明の第1手段は、請求項
1記載の回転電機である。
【0011】本手段では、軸受ハウジング部に埋め込ま
れて軸受を後方から覆う軸受カバーは、ゴムまたは軟質
樹脂からなる略中空有底円筒形状をした一体部材であ
る。そして軸受カバーは、中空円筒部と、その外周に形
成された複数の環状突条部と、この中空円筒部を封止す
る底部とをもつ。
【0012】この軸受カバーは、軸受が軸受ハウジング
部に挿入された後、その後方からしまり嵌めで軸受ハウ
ジング部に挿入される。軸受カバーは弾力性に富んだ材
料で一体成形されているので、その挿入にあたっては、
機械で圧入する必要はなく、手作業でも十分に挿入する
ことができる。
【0013】逆に軸受カバーを軸受ハウジング部から取
り外す際には、弾力性に富む材料から形成されているう
えに圧入荷重が小さいので、必要ならばドライバなどの
工具を使ってこじれば、容易に軸受ハウジング部から引
き抜くことができる。なお、後述のように、必要に応じ
て取り外し時に引っ張るためのつまみ部などの手がかり
を軸受カバーに付けておけば、取り外しはいっそう容易
になる。
【0014】ここで、軸受を形成する材料はゴムまたは
軟質樹脂であって柔軟性に富むので、軸受カバーの外径
の寸法公差はかなり大きくてもよく、寸法精度上の要求
でコストアップを招くことがない。
【0015】また、軸受カバーの材料が柔軟性に富むの
で、軸受カバーと軸受ハウジング部との嵌合面に微細な
隙間や傷が生じにくい。そればかりではなく、弾力性が
ある環状突条部の外縁が隙間なく軸受ハウジング部の内
周面に当接しており、しかも複数の環状突条部によって
軸受ハウジング部との間が幾重にも封止されているの
で、極めて優れた防水性が得られる。
【0016】さらに、軸受の交換時などで軸受ハウジン
グ部から軸受カバーを外す際にも、圧入荷重が低いうえ
に、環状突条部の外周縁と中空円筒部の外周面との間に
隙間が形成されるようにすることができる。それゆえ、
その隙間にドライバなどの工具を入れてこじれば、軸受
カバーを容易に取り外すことができ、軸受カバーの取り
外しにほとんど工数がかからない。そればかりではな
く、このように軸受カバーが外し易いので、軸受ハウジ
ング部を傷つけてしまうこともまずない。また、外した
軸受カバーは再利用が可能であるので、新たな軸受カバ
ーを用意するために手配する必要がなくなり、軸受カバ
ーを外す整備をしても整備費用が無用に上昇することが
防止される。
【0017】したがって、本手段の回転電機によれば、
軸受カバーが防水性に優れているという効果があるばか
りではなく、軸受カバーの着脱が容易で再利用が可能で
あるので整備コストが安価になるという効果がある。
【0018】(第2手段)本発明の第2手段は、請求項
2記載の回転電機である。ここで、後方とは回転電機の
軸長方向に沿って軸受ハウジング部が外部に向かって開
口している方向をいい、回転子の軸がフレームから突出
している方向と逆の方向である。
【0019】本手段では、軸受カバーの環状突条部は内
周側から外周側に向かうにつれて後方へ傾いているの
で、軸受カバーを軸受ハウジング部に挿入する際には環
状突条部の外周部が容易に縮径し、圧入荷重は小さくて
済む。逆に、軸受カバーを軸受ハウジング部から取り出
す方向に(つまり後方に)力がかかった場合には、環状
突条部の外径が膨張する方向に内部応力が生じて反発す
るので、軸受カバーは軸受ハウジング部から外れにく
い。
【0020】そして、軸受カバーが軸受ハウジング部に
嵌め込まれた状態で振動が加わっても、環状突条部の傾
きは軸受カバーを前方(軸受ハウジング部の奥の方)へ
押しやる作用を発揮する。それゆえ、振動によって軸受
カバーが軸受ハウジング部から抜け落ちるような不都合
は防止される。また、回転電機の内圧が上がって軸受カ
バーを後方に押しやる力が作用した場合にも、環状突条
部の反発作用によって軸受カバーは所定の位置に留ま
る。
【0021】したがって本手段によれば、前述の第1手
段の効果に加えて、振動や内圧によっても軸受カバーが
フレームの軸受ハウジング部から抜け落ちることが防止
されるので、信頼性が向上するという効果がある。
【0022】(第3手段)本発明の第3手段は、請求項
3記載の回転電機である。
【0023】本手段では、軸受カバーの底部の肉厚は中
空円筒部の半径方向の肉厚よりも薄いうえに、軸受カバ
ーの底部は弾力性に富む材料で形成されているので、回
転電機の内圧の変動に伴ってある程度変形することがで
きる。それゆえ、回転電機の内圧が高まっても、ある程
度は底部が後方に膨張していくぶん内圧を低減すること
ができる。
【0024】したがって本手段によれば、前述の第1手
段または第2手段の効果に加えて、回転電機の内圧上昇
によって軸受カバーが押し出されるような不都合は、さ
らに有効に防止されるという効果がある。
【0025】(第4手段)本発明の第4手段は、請求項
4記載の回転電機である。
【0026】本手段では、軸受カバーは後方に突出した
つまみ部をさらにもつので、このつまみ部を手なりペン
チ等の工具なりでつかむことにより、十分に強い引っ張
り力をもって軸受カバーをフレームの軸受ハウジング部
から引き出すことができる。それゆえ、軸受カバーの取
り外しが極めて容易になるばかりではなく、ドライバー
等で軸受カバーをこじらなくてもよいので軸受カバーや
軸受ハウジング部を傷つける恐れが全くなくなる。
【0027】したがって本手段によれば、前述の第1手
段ないし第3手段の効果に加えて、軸受カバーの取り外
しが極めて容易になるばかりではなく、軸受カバーや軸
受ハウジング部がいっそう確実に保護されるという効果
がある。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の回転電機の実施の形態に
ついては、当業者に実施可能な理解が得られるよう、以
下の実施例で明確かつ十分に説明する。
【0029】[実施例1] (実施例1の構成)本発明の実施例1としての回転電機
は、図1に示すように、自動車等のエンジンを始動する
スタータのスタータモータ1であり、直流電動機であ
る。
【0030】本実施例のスタータモータ1は、鋼製のフ
レーム10と、フレーム10に固定された固定子3と、
フレーム10の内部で回転可能に軸支されている回転子
2とを有する。フレーム10の後端部はやはり鋼製のリ
アフレーム11によって構成され、リアフレーム11
は、内側に凹んだ軸受ハウジング部11aを中央部にも
つ。
【0031】本実施例のスタータモータ1はさらに、軸
受ハウジング部11aに嵌め込まれて回転子2の軸とし
てのアーマチャシャフト21の後端部を軸支する軸受4
1と、軸受ハウジング部11aに嵌め込まれて軸受41
を後方から覆う軸受カバー51とを有する。すなわち、
アーマチャシャフト21は、前端部では軸受けであるオ
イルレスベアリング42によって回転自在に軸支され、
後端部では後端小径部21a(図2参照)でやはり軸受
としてのボールベアリング41によって回転自在に軸支
されている。
【0032】軸受ハウジング部11aは、図2に示すよ
うに、内径がほぼ一定な略中空円筒状の絞り成形部であ
り、軸受ハウジング部11aの奥の先端部にはリング状
の有孔底部11bが形成されている。そして、軸受ハウ
ジング部11aには、ボールベアリング41と軸受カバ
ー51とがしまり嵌めで順に圧入されている。すなわ
ち、ボールベアリング41は、軸受ハウジング部11a
の有孔底部11bに当接するまで圧入装置によって圧入
されており、その後から軸受カバー51が比較的軽い力
で押し込まれている。そして、軸受カバー51によって
軸受ハウジング部11aの後方への開口は封止されてお
り、ボールベアリング41に後方から異物が浸入するこ
とが防止されている。
【0033】軸受カバー51は、同じく図2に示すよう
に、たとえばニトリルゴムあるいはクロロプレンゴムな
どのゴムからなる回転対称の略中空有底円筒形状をした
一体成形部材である。ここで、軸受カバー51の材料と
してこの種のゴムを採用した理由は、発熱するアーマチ
ャシャフト21を軸支する軸受41のごく近くに配設さ
れるので、耐油性および耐熱性が要求されるからであ
る。
【0034】そして軸受カバー51は、中空円筒部51
aと、その外周に等間隔で五段に形成された複数の環状
突条部51cと、中空円筒部51aの後方を封止する底
部51bとから構成されている。中空円筒部51aの先
端面は、ボールベアリング41の外リングの後端面に当
接している。一方、五つの環状突条部51cは、ゴム弾
性による適正な押圧付勢力をもって、それぞれ外周縁で
軸受ハウジング部11aの内周面に当接している。な
お、底部51bの肉厚は、中空円筒部51aの半径方向
の肉厚よりも薄い。
【0035】各環状突条部51cは、図3に示すよう
に、内周側から外周側に向かうにつれて後方へ傾いてい
る。すなわち、環状突条部51cのリング状の後端面を
形成する入口側辺の角度θ2 は90°であるのに対し、
円錐面の一部を形成している奥側辺の角度θ1 は45°
である。したがって、環状突条部51cの断面形状は、
全体として後方へ傾いた三角形状をしている。
【0036】なお、各環状突条部51cの外縁部(図3
での先端部)は、軸受カバー51が軸受ハウジング部1
1aに閉まり嵌めで挿入されるので、変形してやや後方
に折れ曲がった状態で軸受ハウジング部11aの内周面
に密着している。
【0037】(実施例1の作用効果)本実施例のスター
タモータ1は、以上のように構成されているので、以下
のような作用効果を発揮する。
【0038】第一に、スタータモータ1の組み立て作業
あたり、軸受カバー51の装着が容易になるという効果
がある。
【0039】すなわち、軸受カバー51は、弾力性に富
んだゴム材料で一体成形されているので、その軸受ハウ
ジング部11aへの挿入にあたっては、機械で圧入する
必要はなく、手作業でも十分に挿入することができる。
また、軸受カバー51の各環状突条部51cが後方に傾
いて形成されているので、軸受ハウジング部11aへの
挿入時に変形して縮径し、挿入に要する力が少なくて済
むのでいっそう作業は楽になる。
【0040】第二に、水密性が極めて高くなり、外部か
ら水などの異物が浸入することがなくなるという効果が
ある。
【0041】すなわち、軸受カバー51の材料がゴムで
あってゴム弾性による柔軟性に富むので、軸受カバー5
1と軸受ハウジング部11aとの嵌合面に微細な隙間や
傷が生じにくい。そればかりではなく、弾力性がある環
状突条部51cの外縁が隙間なく密着して軸受ハウジン
グ部11aの内周面に当接している。しかも、複数の環
状突条部によって軸受ハウジング部11aとの間が幾重
にも封止されているので、極めて優れた防水性が得られ
る。
【0042】第三に、軸受カバー51が運用中に脱落し
てしまうような不都合は防止されているという効果があ
る。
【0043】すなわち、軸受カバー51の環状突条部5
1cは内周側から外周側に向かうにつれて後方へ傾いて
いるので、軸受カバー51を軸受ハウジング部11aに
挿入する際には環状突条部11aの外周部が容易に縮径
し、圧入荷重は小さくて済む。しかし、軸受カバー51
を軸受ハウジング部11aから取り出す方向に(つまり
後方に)力がかかった場合には、環状突条部51cの外
径が膨張する方向に内部応力が生じて反発するので、軸
受カバー51は軸受ハウジング部11aから外れにく
い。
【0044】そして、軸受カバー51が軸受ハウジング
部11aに嵌め込まれた状態では、振動が加わっても、
環状突条部51cの傾きが軸受カバー51を前方(軸受
ハウジング部11aの奥の方)へ押しやる作用を発揮す
る。それゆえ、振動によって軸受カバー51が軸受ハウ
ジング部11aから抜け落ちるような不都合は防止され
ている。また、回転電機の内圧が上がって軸受カバー5
1を後方に押しやる力が作用した場合にも、環状突条部
51cの反発作用によって軸受カバー51は所定の位置
に留まる。
【0045】また、軸受カバー51の底部51bの肉厚
は中空円筒部51aの半径方向の肉厚よりも薄い(図2
参照)うえに、軸受カバーの底部51cもゴム製である
ので、スタータモータ1の内圧の変動に伴ってある程度
変形することができる。それゆえ、スタータモータ1の
内圧が高まっても、ある程度は底部51bが後方に膨張
していくぶんかではあるが内圧の上昇を緩和することが
できる。
【0046】第四に、軸受カバー51を取り外す作業が
容易であるうえに、取り外された軸受カバー51を再利
用できるので、軸受カバー51を取り外しての整備作業
や修理作業が短時間で安価に済むという効果がある。
【0047】すなわち、軸受41の交換時などで軸受ハ
ウジング部11aから軸受カバー51を外す際にも、軸
受カバー51の圧入荷重が低かったので外すためにもあ
まり大きな力は必要ない。そのうえに、環状突条部51
cの外周縁と中空円筒部51aの外周面との間に、後方
から工具を挿入するための隙間が形成されている。それ
ゆえ、その隙間にドライバなどの工具を入れてこじれ
ば、軸受カバー51を容易に取り外すことができ、軸受
カバー51の取り外しにほとんど工数がかからない。
【0048】そればかりではなく、このように軸受カバ
ー51が外し易いので、軸受ハウジング部11aの内周
面を傷つけてしまうこともまずない。また、外した軸受
カバー51は再利用が可能であるので、交換用に新たな
軸受カバー51を用意する必要がなくなり、軸受カバー
51を外す整備をしても整備費用が無用に上昇すること
が防止されている。
【0049】したがって、本実施例のスタータモータ1
によれば、軸受カバー51が防水性に優れているという
効果があるばかりではなく、軸受カバー51の着脱が容
易で再利用が可能であるので整備コストが安価になると
いう効果がある。
【0050】(実施例1の変形態様1)本実施例の変形
態様1として、実施例1と異なって軸受カバー51の各
環状突条部51cがとがった外周縁をもたず、環状突条
部51cの外周縁に円周面状の外周面が形成されている
スタータモータ1の実施が可能である。
【0051】すなわち、本変形態様では、図4に示すよ
うに、所定の幅ωで帯状の円周面が環状突条部51cの
外周縁に形成されており、これに伴って環状突条部51
cの軸長方向の厚さも実施例1のそれよりも増大してい
る。すると、環状突条部51cの体積も増え、縮径時の
反発力も強まるので、軸受ハウジング部11aの内部に
挿置された軸受カバー51はいっそう抜けにくくなる。
【0052】また、軸受カバー51を軸受ハウジング部
11aから抜き取る作業にあたっては、環状突条部51
cの先端が薄くなっていないのでさらに破損しにくくな
っており、抜き取り作業がより容易になる。
【0053】したがって、本変形態様の回転電機では、
実施例1の効果に加えて、軸受カバー51が軸受ハウジ
ング部11aの内部にさらに強固に保持されるうえに、
軸受カバー51の取り外し作業がさらに容易になるとい
う効果がある。
【0054】(実施例1の変形態様2)本実施例の変形
態様2として、実施例1と異なって軸受カバー51の各
環状突条部51cがとがった外周縁をもたず、環状突条
部51cの外周縁が適正な丸みをもって形成されている
スタータモータ1の実施が可能である。
【0055】すなわち、本変形態様では、図5に示すよ
うに、所定の曲率半径Rの丸み(アール)が環状突条部
51cの外周縁に形成されており、これに伴って環状突
条部51cの軸長方向の厚さも実施例1のそれよりも増
大している。すると、環状突条部51cの体積も増え、
縮径時の反発力も強まるので、軸受ハウジング部11a
の内部に挿置された軸受カバー51はいっそう抜けにく
くなる。
【0056】また、軸受カバー51を軸受ハウジング部
11aに着脱する作業にあたっては、環状突条部51c
の先端が丸みを帯びているのでよりいっそう破損しにく
くなっており、軸受カバー51の着脱作業が円滑になっ
てなお容易になる。
【0057】そればかりではなく、軸受カバー51の環
状突条部51cの外縁部が丸みを帯びており鋭いエッジ
が形成されていないので、軸受カバー51を成形する成
形型の製作が容易になり、コストダウンができる。
【0058】したがって、本変形態様の回転電機では、
実施例1の効果に加えて、軸受カバー51が軸受ハウジ
ング部11aの内部にさらに強固に保持されるうえに、
軸受カバー51の着脱作業がさらに容易になるという効
果がある。また、軸受カバー51の部品価格が低減さ
れ、スタータモータ1のコストダウンに寄与することが
できるという効果もある。
【0059】(実施例1の変形態様3)本実施例の変形
態様3として、軸受カバー51が複数のフランジ状の環
状突条部51cをもつスタータモータ1の実施が可能で
ある。
【0060】本変形態様では、図6に示すように、各環
状突条部51cは一定の厚さのフランジ状ないしリング
状をしており、帯状の円周面である外周面をもってい
る。そして、各環状突条部51cの外径dは、軸受ハウ
ジング部11aの内径Dよりもかなり大きい。なお、各
環状突条部51cは、付け根部分に適正なアールをもっ
て中空円筒部51aから突出しており、各環状突条部5
1cの付け根部分に応力集中によって亀裂が入ることが
防止されている。
【0061】それゆえ、図7に示すように、軸受カバー
51が軸受ハウジング部11aに挿入される際には、フ
ランジ状の環状突条部51cはゴム弾性をもって後方に
倒れ、内周部から外周部に向かって後方に傾斜した形状
に変形する。その結果、ごく弱い力で軸受カバー51を
軸受ハウジング部11aに挿入することができるように
なるので、軸受カバー51の装着作業は極めて容易にな
る。
【0062】そして、軸受カバー51が軸受ハウジング
部11aに挿入された状態では、前述のように環状突条
部51cはゴム弾性をもって後方に倒れており、内周部
から外周部に向かって後方に傾斜した形状に変形してい
る。すると、環状突条部51cの先端部が軸受ハウジン
グ部11aの内周面に当接する角度は、前方ではほとん
どゼロに近いφ1 であり、後方では90°に近いφ2
ある。それゆえ、振動が加わっても環状突条部51cは
軸受ハウジング部11aを前方に押しやる作用をもつの
で、振動によって軸受カバー51が軸受ハウジング部1
1aから抜け出すことは防止されている。また、ある程
度の内圧がかかって軸受カバー51が後方に押されて
も、環状突条部51cが少しだけゴム弾性変形して軸受
カバー51がわずかに後退するだけですむ。したがっ
て、軸受カバー51の抜き取り作業をしない限り、軸受
カバー51が軸受ハウジング部11aから後方に抜け出
すことは防止されている。
【0063】逆に、軸受カバー51を軸受ハウジング部
11aから抜き取る作業をする場合には、軸受カバー5
1を後方に引っ張る力が所定値を越えて大きくなると、
フランジ状の環状突条部51cの傾きが反転し、環状突
条部51cは前方に傾く。すると、軸受カバー51の抜
き取りに対し環状突条部51cが抵抗する作用が格段に
弱くなるので、小さな引っ張り力で軸受カバー51を軸
受ハウジング部11aから抜き取ることができる。した
がって、軸受カバー51の取り外しにあたっては、初め
に強く引けば後はスムースに軸受カバー51を引き出す
ことができる。すなわち、軸受カバー51の取り外し作
業がいっそう容易になる。
【0064】以上をまとめると、本変形態様の回転電機
では、軸受カバー51の着脱作業がよりいっそう容易に
なるという効果がある。
【0065】(実施例1の変形態様4)本実施例の変形
態様4として、ゴム製に変わって軟質樹脂製の軸受カバ
ー51を有するスタータモータ1の実施が可能である。
軟質樹脂としては、弾力性および耐油性の観点から、ナ
イロンまたはPP等の熱可塑性樹脂と合成ゴムとをブレ
ンドしたエラストマーが最も好適である。
【0066】本変形態様は、前述の実施例1に適用でき
るばかりではなく、その各変形態様にも適用することが
でき、それぞれに特有の作用効果に準ずる作用効果が得
られる。
【0067】なお、変形態様3に適用する場合には、軸
受カバー51の各環状突条部51cの外径dは軸受ハウ
ジング部11aの内径Dよりも若干大きい程度であって
よい(図6参照)。こうすれば、軸受ハウジング部11
aの内部で各環状突条部51cが斜めに傾くだけであり
ながら、変形態様3とおおむね同様の作用効果が得られ
る。
【0068】[実施例2] (実施例2の構成)本発明の実施例2としての回転電機
は、要部を図8に示すように、実施例1とほぼ同様の構
成のスタータモータ1であるが、軸受カバー51が後方
に突出したつまみ部51dをさらにもつ点が実施例1と
異なっている。
【0069】すなわち、本実施例のスタータモータ1で
は、軸受カバー51の底部11bの中央部から後方に向
かって、所定の長さの円柱状のつまみ部51dが突出し
ている。軸受カバー51は実施例1と同様にゴム製の一
体成形部材であって、つまみ部51dは成型時のゲート
によって形成されるランナーを利用している。
【0070】ここで、ランナーを形成する成形型のゲー
トを製作するにあたっては、次のような工夫がされてい
る。すなわち、ランナーがつまみ部51dとして利用で
きるようにある程度太く長くするとともに、つまみ部5
1dが応力集中により根本でちぎれることがないように
根本に適正なアールが形成されるべく、成形型が設計さ
れている。
【0071】(実施例2の作用効果)本実施例のスター
タモータ1では、軸受カバー51は後方に突出したつま
み部51dをさらにもつので、つまみ部51dを手指な
りペンチ等の一般工具なりでつかむことができる。そし
て、つまみ部51dを容易に引っ張ることができるの
で、十分に強い引っ張り力をもって軸受カバー51をリ
アフレーム11の軸受ハウジング部11aから引き出す
ことができる。それゆえ、軸受カバー51の取り外しが
極めて容易になるばかりではなく、軸受カバー51をド
ライバー等でこじらなくてもよいので軸受カバー51や
軸受ハウジング部11aを傷つける恐れが全くなくな
る。
【0072】したがって、本実施例のスタータモータ1
によれば、前述の実施例1の効果に加えて、軸受カバー
51の取り外し作業が極めて容易になるという効果があ
る。そればかりではなく、軸受カバー51の取り外し作
業にあたって、軸受カバー51や軸受ハウジング部11
aがいっそう確実に保護されるという効果がある。
【0073】(実施例2の各種変形態様)本実施例のス
タータモータ1に対しても、実施例1に対する各変形態
様と同様の変形態様を実施することが可能であり、それ
ぞれに固有の作用効果が同様に発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1としてのスタータモータの全体構成
を示す部分断面図
【図2】 実施例1としてのスタータモータの要部構成
を示す断面図
【図3】 実施例1における軸受カバーの環状突条部の
形状を示す断面図
【図4】 実施例1の変形態様1における環状突条部の
形状を示す断面図
【図5】 実施例1の変形態様2における環状突条部の
形状を示す断面図
【図6】 実施例1の変形態様3における環状突条部の
形状を示す断面図
【図7】 実施例1の変形態様3における環状突条部の
作用を示す断面図
【図8】 実施例2としてのスタータモータの要部構成
を示す断面図
【符号の説明】
1:スタータモータ(回転電機として) 10:フレーム 11:エンドフレーム 11a:軸受ハウジング部 11b:その底部 2:回転子 21:アーマチャシャフト(軸として) 21a:後端小径部 21b:環状溝 22:止め輪 3:固定子 41:ボールベアリング(軸受として) 42:オイルレスベアリング 51:軸受カバー 51a:中空円筒部 51b:底部 51c:環状
突条部 51d:つまみ部(抜き取り用) a:円環部の半径方向の厚さ b:端面部の厚さ ω:接触面の幅(円周面状)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H605 AA02 AA08 AA15 AA17 BB05 BB09 CC04 CC05 DD03 DD17 EB06 EB10 EB18 EB31 FF08 GG04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内側に凹んだ軸受ハウジング部を後端部の
    中央部にもつフレームと、 このフレームに固定された固定子と、 このフレームの内部で回転可能に軸支されている回転子
    と、 この軸受ハウジング部に嵌め込まれてこの回転子の軸の
    後端部を軸支する軸受と、 この軸受ハウジング部に嵌め込まれてこの軸受を後方か
    ら覆う軸受カバーと、を有する回転電機において、 前記軸受カバーは、中空円筒部と、その外周に形成され
    た複数の環状突条部と、この中空円筒部を封止する底部
    とをもつ略中空有底円筒形状をしたゴムまたは軟質樹脂
    からなる一体部材であることを特徴とする、 回転電機。
  2. 【請求項2】前記環状突条部は、内周側から外周側に向
    かうにつれて後方へ傾いている、 請求項1記載の回転電機。
  3. 【請求項3】前記底部の肉厚は、前記中空円筒部の半径
    方向の肉厚よりも薄い、 請求項1〜2のうちいずれかに記載の回転電機。
  4. 【請求項4】前記軸受カバーは、後方に突出したつまみ
    部をさらにもつ、 請求項1〜3のうちいずれかに記載の回転電機。
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