JP2001168445A - 半導体レーザ装置 - Google Patents

半導体レーザ装置

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JP2001168445A
JP2001168445A JP2000074353A JP2000074353A JP2001168445A JP 2001168445 A JP2001168445 A JP 2001168445A JP 2000074353 A JP2000074353 A JP 2000074353A JP 2000074353 A JP2000074353 A JP 2000074353A JP 2001168445 A JP2001168445 A JP 2001168445A
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pedestal
laser chip
laser device
submount
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JP2000074353A
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Hisaya Kato
久弥 加藤
Kinya Atsumi
欣也 渥美
Katsunori Abe
克則 安部
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体レーザチップが、はんだにより台座に
固定する際に、台座やサブマウントから受ける応力に起
因して発生するキンクの発生電流値を高くして信頼性の
向上を図る。 【解決手段】 鉄系材料(もしくは銅系材料)の台座上
にマウントする場合に、半導体レーザチップの幅寸法W
を700μm、厚さ寸法Hを120μm、サブマウント
の厚さ寸法Hsを140μmとして、それらの和の厚さ
寸法hを260μmに設定すると、半導体レーザチップ
の発光領域は台座およびサブマウントから応力を受けな
いようにすることができ、高い駆動電流値まで残留応力
に起因したキンクの発生を無くすることができる。ま
た、残留応力の値とキンクの発生電流との関係を求める
と、必要な動作電流の範囲でキンクの発生を抑制する厚
さ寸法hの条件を設定することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大出力用の半導体
レーザの駆動時におけるキンクの発生を抑制することが
できるようにした構造の半導体レーザ装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】近年、半導体レーザを
用いて自動車間の距離を測定し、車間距離を一定に保っ
たり前方の車両に近付き過ぎた場合に警報を発したり、
あるいはブレーキを自動的にかけるといったシステムが
検討されている。このような用途で使用される半導体レ
ーザは、例えば100m程度前方に存在する自動車まで
の距離を測定する必要上、発光部のストライプ幅が10
0μm以上と広く、光出力も10W以上と大出力のもの
が要求される。
【0003】このような大出力を得るためには環境温度
を考慮すると40A以上の大電流を素子に流す必要があ
る。このような用途に供されるのに好適な半導体レーザ
装置として、本願出願人は、先に、GaAsを母材とす
る半導体レーザチップをCu製の台座に接合する際に、
両者の間にGaAsを母材とするサブマウントを挿入す
る構造を提案した。
【0004】さらに、このようにサブマウントを挿入す
る構造においては、GaAsなどの材料を用いると製造
コストが高くなるので、例えば、これに代えてSiなど
の安価な材料をサブマウントとして使うことができれば
製造コストの低減を図ることができるようになる。
【0005】しかしながら、発明者らの試験によると、
サブマウントをSi製のものに代えて構成すると、電流
−光出力特性にキンクが発生しやすくなり、材料として
の使用には課題が残った。ここでいうキンクとは、電流
−光出力特性において見られる特性曲線の折れ曲りであ
り、注入電流が大きいほど発生しやすくなる傾向にあ
る。キンクの発生は、素子へ注入した電流が効率良く光
に変換されていないことを示しており、レーザ動作とし
ては好ましくないものである。
【0006】この場合、一般には半導体レーザにおける
キンクの発生は、発光モードの跳び(モードホッピン
グ)が原因であると言われているが、実際には詳しく解
明されていない。また、このような一般的な意味でいう
キンクは、半導体レーザのうちでも、光通信やCD(コ
ンパクトディスク)の光ピックアップなどに用いるスト
ライプ幅の狭いタイプのもので発生するものである。
【0007】ところが、大出力用の半導体レーザ装置に
おいては、ストライプ幅が上述のものとは大幅に異な
り、非常に多くのモードが混在した状態で発光している
ことが考えられるので、キンク発生の原因が上述したモ
ードホッピングを起因としていることは考えにくい。
【0008】また、前述のように、本発明が対象として
いる大出力用の半導体レーザにおいて、サブマウントを
Siなどの材料を用いたものに代えたときにキンクが発
生することが確認されていることから、サブマウントや
半導体レーザチップを構成する材料に起因していること
は推定できる。しかしながら、このような材料に起因し
た課題とキンク発生との間の関係については、このよう
な観点から論じた原理が存在せず、材料として適するか
不適かの選択をすることがなされていたのが実情であっ
た。
【0009】例えば、特開平5−299699号公報に
おいては、応力を低減させるための構造として、Fe
(鉄)を主成分とする台座上にAlN(窒化アルミニウ
ム)を母材とするサブマウントを使用する構成のものが
開示されている。また、特開平6−112596号公報
においては、熱膨張係数が大きな材料と小さな材料とを
交互に積層して半導体レーザチップの熱膨張係数と整合
させるようにした構成のものが開示されている。
【0010】しかしながら、これらのものには、いずれ
もキンクの発生と関連付けた知見が述べられておらず、
また、前者のものでは、AlNは熱伝導率が高いために
放熱には適するが、半導体チップの母材として一般的な
GaAsやInPあるいはSiなどと比してヤング率が
高いため、応力がかかった際には自ら変形することが少
ないので、サブマウントの材料として用いることは結果
的に半導体レーザチップに大きな応力を発生させてしま
う不具合がある。また、後者のものについては、製造工
程が複雑になり、製造コストの増加、信頼性への悪影響
などの点で実用上では採用し難いものである。
【0011】このような状況下において、本発明者ら
は、大出力用に適した半導体レーザ装置が、チップを構
成する材料や、台座あるいはサブマウントの材質に起因
してキンクが発生することから、キンクを発生させる原
因が半導体レーザチップの発光層部分に加わる応力と密
接な相関があることを初めて見出だした。
【0012】そこで、本発明においては、このような相
関関係を考慮することにより、使用する材料が熱膨張係
数などの応力の特性値としては直接的には好ましくない
ものであっても、搭載する半導体レーザチップに対して
悪影響を及ぼすような応力を低減して、大電流を流して
もキンクの発生のない信頼性の高いものとすることがで
きる条件を見出だし、その構造を適切なものとすること
ができる半導体レーザ装置を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明によれ
ば、半導体レーザチップに残留する応力を許容応力値で
ある60MPa以下になるように半導体レーザチップの
幅寸法Wと厚さ寸法Hとの比の値W/Hを設定している
ので、発光領域に及ぼす応力が許容応力60MPa以下
になることで、例えば、半導体レーザチップの幅寸法W
が700μmの場合に、キンクが発生する電流値を40
アンペア程度以上まで引き上げることができ、実用上に
十分耐え得る程度の光出力が得られると共に長期信頼性
に優れる半導体レーザ装置を提供することができるよう
になる。
【0014】上述の場合において、半導体レーザチップ
を台座上に固定する際には、金属はんだを溶融して両者
を接合するが、このとき半導体レーザチップ及び台座も
ともに加熱され、その加熱された状態で両者が接合され
るようになる。すると、冷却されたときには、両者の熱
膨張係数の違いに起因して相互に力を及ぼすようにな
る。
【0015】発明者らは、半導体レーザの発光動作にお
いて、このような残留内部応力がキンクの発生原因とな
ることを実験的に確認し、これに基づいて、残留内部応
力を緩和することによりキンクの発生を抑制することが
できることを突き止めた。定性的には、半導体レーザチ
ップの厚さ寸法Hは、厚くなるほど応力を緩和するよう
に働くようになり、幅寸法Wは、小さくなるほど応力を
緩和するように働くようになる。したがって、両者の比
をとったときに、その比の値が上記関係を満たすときに
残留内部応力を60MPa以下とすることができる。な
お、長さ寸法については、残留内部応力に起因したキン
クの発生に大きく影響を与えるものではないこともわか
った。
【0016】これにより、台座や半導体レーザチップを
構成する材料による適不適をなくし、相互に作用して発
生する残留応力を許容応力値である60MPa以下とな
るように、半導体レーザチップの外形寸法を前述のよう
に設定することで、40A程度の大電流までキンクの発
生のない半導体レーザ装置を提供することができるよう
になる。
【0017】請求項2の発明によれば、請求項1の発明
と同様の構成において、残留応力の許容応力値として3
0MPa以下となるようにすることで、さらに高い電流
値までキンク発生を抑制することができるようになる。
なお、製造ばらつきなどを考慮すると、設計条件として
マージンを見込んで設定することで、実際の使用条件を
十分に満足できるものとすることができる。
【0018】請求項3の発明によれば、半導体レーザチ
ップを台座上に固定したときに冷却後に発光領域が受け
る圧縮あるいは引張の残留応力が、許容応力値である6
0MPa以下となるように、半導体レーザチップの厚さ
寸法Hを設定しているので、上述同様にして、半導体レ
ーザチップの厚さ寸法Hを上述の条件にはいるように設
定することで、材料による適不適をなくして、適切な厚
さ寸法を設定することで残留応力に起因したキンクの発
生を抑制することができ、例えば半導体レーザチップの
幅寸法Wが700μmの場合に、キンクが発生する電流
値を40アンペア程度以上まで引き上げることができ、
実用上に十分耐え得る程度の光出力が得られると共に長
期信頼性に優れる半導体レーザ装置を提供することがで
きるようになる。
【0019】請求項4の発明によれば、請求項3の発明
と同様の構成において、残留応力の許容応力値として3
0MPa以下となるようにすることで、さらに高い電流
値までキンク発生を抑制することができるようになる。
なお、製造ばらつきなどを考慮すると、設計条件として
マージンを見込んで設定することで、実際の使用条件を
十分に満足できるものとすることができる。
【0020】請求項5の発明によれば、台座に金属はん
だにより固定された半導体レーザチップを備えた構成に
おいて、半導体レーザチップの幅寸法Wと厚さ寸法Hと
の比の値W/Hもしくは厚さ寸法Hを、それらを変化さ
せたときに残留応力が引張から圧縮に転ずるときあるい
は圧縮から引張に転ずるときの値もしくはその近傍の値
となるように設定するので、半導体レーザチップには残
留応力がほぼゼロの状態となる。したがって、理想的に
は、応力に起因したキンクの発生をなくして信頼性の高
いものとすることができるようになる。
【0021】なお、実用上においては、そのような条件
を満たす比の値W/Hや厚さ寸法Hは、1点に決まるこ
とが一般的であるから、工業上ですべての半導体レーザ
チップをこの条件を満たすように製作することは難し
い。そこで、ある程度のマージンを見込むと、前述した
ような許容応力の範囲にはいる条件として比の値W/H
や厚さ寸法Hを設定することができれば良い。
【0022】請求項6の発明によれば、台座に金属はん
だにより固定された半導体レーザチップを備えた構成に
おいて、半導体レーザチップの厚さ寸法Hを、それらを
変化させたときに残留応力が引張から圧縮に転ずるとき
あるいは圧縮から引張に転ずるときの値もしくはその値
を中心としてその近傍である±60μmの範囲内となる
ように設定するので、これにより、発光領域に及ぶ残留
応力が最大でも60MPa(6×10Pa)までに抑
制することができるようになり、例えば、半導体レーザ
チップの幅寸法Wを700μmとするときに、キンク発
生電流値を40アンペア程度まで引き上げることがで
き、実用上に十分耐え得る程度の光出力が得られる半導
体レーザ装置を提供することができるようになる。
【0023】請求項7の発明によれば、台座に金属はん
だにより固定された半導体レーザチップを備えた構成に
おいて、半導体レーザチップの厚さ寸法Hを、それらを
変化させたときに残留応力が引張から圧縮に転ずるとき
あるいは圧縮から引張に転ずるときの値もしくはその値
を中心としてその近傍である±40μmの範囲内となる
ように設定するので、これにより、発光領域に及ぶ残留
応力が最大でも30MPa(3×10Pa)までに抑
制することができるようになる。これにより、請求項6
の発明の場合よりもさらに高い電流値までキンク発生を
抑制することができるようになる。なお、製造ばらつき
などを考慮すると、設計条件としてマージンを見込んで
設定することで、実際の使用条件を十分に満足できるも
のとすることができる。
【0024】請求項8の発明によれば、台座に金属はん
だにより固定された半導体レーザチップを備えた構成に
おいて、半導体レーザチップの厚さ寸法Hを、それらを
変化させたときに残留応力が引張から圧縮に転ずるとき
あるいは圧縮から引張に転ずるときの値もしくはその値
を中心としてその近傍である±10μmの範囲内となる
ように設定するので、発光領域に及ぶ残留応力がほぼゼ
ロとなるようにすることができ、キンクの発生を確実に
抑制することができるようになる。この場合において、
±10μmの範囲を設定範囲とするのは、実際に製造す
る場合における製造ばらつきを考慮しているものであ
る。
【0025】請求項9の発明によれば、請求項1の構成
のもので、半導体レーザチップをGaAs系材料により
形成し、台座を鉄系材料により形成し、比の値W/Hを
4以下に設定して前記条件を満たすようにしたので、使
用するGaAsの半導体レーザチップの幅寸法Wに対し
てその4分の1以上の厚さ寸法Hとなる形状にすること
で、鉄系材料からなる台座から受ける残留応力を許容応
力以下にすることができ、これによって、台座として鉄
系材料を用いる場合でもその熱膨張係数の違いに起因し
た応力による悪影響を発光領域に及ぼすことなく動作さ
せることができ、応力が原因で発生するキンクを抑制し
て信頼性の高い半導体レーザ装置を提供することができ
る。
【0026】請求項10の発明によれば、請求項6ない
し8の構成のものにおいて、半導体レーザチップをGa
As系材料により形成し、台座を鉄系材料により形成し
ているので、使用するGaAsの半導体レーザチップが
鉄系材料からなる台座から受ける残留応力を抑制するこ
とができる。これによって、台座として鉄系材料を用い
る場合でもその熱膨張係数の違いに起因した応力による
悪影響を発光領域に及ぼすことなく動作させることがで
き、応力が原因で発生するキンクを抑制して信頼性の高
い半導体レーザ装置を提供することができる。
【0027】また、請求項11の発明のように、請求項
1の発明において、請求項9の構成のうちの半導体レー
ザチップをInP系材料により形成した場合には、比の
値W/Hを4以下に設定することにより、上述と同様の
効果を得ることができる。
【0028】請求項12の発明によれば、請求項1の構
成において、サブマウントを介在させる構成としている
場合には、半導体レーザチップに残留する応力を許容応
力値として60MPa以下になるように半導体レーザチ
ップの幅寸法Wと台座の上面位置から半導体レーザチッ
プの上面位置までの寸法h(半導体レーザチップの厚さ
寸法Hとサブマウントの厚さ寸法Hsとの和の寸法h=
H+Hs)との比の値W/hを設定しているので、発光
領域に及ぼす応力が許容応力以下になることで、電流を
通じたときに高い電流値までキンクを発生することがな
くなり、長期信頼性に優れた半導体レーザとすることが
できる。
【0029】請求項13の発明によれば、請求項12の
発明と同様の構成において、残留応力の許容応力値とし
て30MPa以下となるようにすることで、さらに高い
電流値までキンク発生を抑制することができるようにな
る。なお、製造ばらつきなどを考慮すると、設計条件と
してマージンを見込んで設定することで、実際の使用条
件を十分に満足できるものとすることができる。
【0030】請求項14の発明によれば、請求項3の構
成において、サブマウントを介在させる構成としている
場合には、半導体レーザチップを台座上に固定したとき
に冷却後に発光領域が受ける圧縮あるいは引張の残留応
力が、許容応力値である60MPa以下となるように、
台座の上面位置から半導体レーザチップの上面位置まで
の寸法hを設定しているので、上述同様にして、厚さ寸
法hを上述の条件にはいるように設定することで、材料
による適不適をなくして、適切な厚さ寸法を設定するこ
とで残留応力に起因したキンクの発生を抑制することが
でき、例えば半導体レーザチップの幅寸法Wが700μ
mの場合に、キンクが発生する電流値を40アンペア程
度以上まで引き上げることができ、実用上に絶え得る程
度の光出力が得られると共に長期信頼性に優れる半導体
レーザ装置を提供することができるようになる。
【0031】請求項15の発明によれば、請求項14の
発明と同様の構成において、残留応力の許容応力値とし
て30MPa以下となるようにすることで、さらに高い
電流値までキンク発生を抑制することができるようにな
る。なお、製造ばらつきなどを考慮すると、設計条件と
してマージンを見込んで設定することで、実際の使用条
件を十分に満足できるものとすることができる。
【0032】請求項16の発明によれば、台座にサブマ
ウントを介した状態で金属はんだにより固定された半導
体レーザチップを備えた構成において、半導体レーザチ
ップの幅寸法Wと厚さ寸法hとの比の値W/hもしくは
厚さ寸法hを、それらを変化させたときに残留応力が引
張から圧縮に転ずるときあるいは圧縮から引張に転ずる
ときの値もしくはその近傍の値となるように設定するの
で、請求項5の発明と同様に、半導体レーザチップには
残留応力がほぼゼロの状態となる。したがって、理想的
には、応力に起因したキンクの発生をなくして信頼性の
高いものとすることができるようになる。
【0033】請求項17の発明によれば、台座にサブマ
ウントを介した状態で金属はんだにより固定された半導
体レーザチップを備えた構成において、半導体レーザチ
ップの厚さ寸法Hとサブマウントの厚さ寸法Hsとの和
の厚さ寸法hを、それを変化させたときに前記残留応力
が引張から圧縮に転ずるときあるいは圧縮から引張に転
ずるときの値もしくはその値を中心としてその近傍であ
る±60μmの範囲内となるように設定したので、発光
領域に及ぶ残留応力が最大でも60MPa(6×10
Pa)までに抑制することができるようになり、例え
ば、半導体レーザチップの幅寸法Wを700μmとする
ときに、キンク発生電流値を40アンペア程度まで引き
上げることができ、実用上に十分耐え得る程度の光出力
が得られる半導体レーザ装置を提供することができるよ
うになる。
【0034】請求項18の発明によれば、台座にサブマ
ウントを介した状態で金属はんだにより固定された半導
体レーザチップを備えた構成において、請求項13の構
成において、半導体レーザチップの厚さ寸法Hとサブマ
ウントの厚さ寸法Hsとの和の厚さ寸法hを、それを変
化させたときに前記残留応力が引張から圧縮に転ずると
きあるいは圧縮から引張に転ずるときの値もしくはその
値を中心としてその近傍である±40μmの範囲内とな
るように設定したので、発光領域に及ぶ残留応力が最大
でも30MPa(3×10Pa)までに抑制すること
ができるようになる。これにより、請求項17の発明の
場合よりもさらに高い電流値までキンク発生を抑制する
ことができるようになる。なお、製造ばらつきなどを考
慮すると、設計条件としてマージンを見込んで設定する
ことで、実際の使用条件を十分に満足できるものとする
ことができる。
【0035】請求項19の発明によれば、台座にサブマ
ウントを介した状態で金属はんだにより固定された半導
体レーザチップを備えた構成において、半導体レーザチ
ップの厚さ寸法Hとサブマウントの厚さ寸法Hsとの和
の厚さ寸法hを、それを変化させたときに前記残留応力
が引張から圧縮に転ずるときあるいは圧縮から引張に転
ずるときの値もしくはその値を中心としてその近傍であ
る±20μmの範囲内となるように設定するので、発光
領域に及ぶ残留応力がほぼゼロとなるようにすることが
でき、キンクの発生を確実に抑制することができるよう
になる。この場合において、±20μmの範囲を設定範
囲とするのは、実際に製造する場合における製造ばらつ
きを考慮しているもので、半導体レーザチップおよびサ
ブマウントのそれぞれの製造ばらつきを±10μmとし
て設定しているものである。
【0036】請求項20の発明によれば、請求項12な
いし19の構成のもので、半導体レーザチップおよび台
座ならびにサブマウントの熱膨張係数を、台座が最も大
きくサブマウントが最も小さい値となる材料で構成して
いるので、熱膨張係数の違いがある場合でも、前述の条
件を満たすことにより、半導体レーザチップへの残留応
力を低減させることができ、キンクの発生を抑制して信
頼性の高いものとすることができるようになる。
【0037】この場合、サブマウントの厚さ寸法が厚い
と半導体レーザチップは熱膨張係数が小さいサブマウン
トにより自由な収縮が妨げられて強い引張力を受け、こ
の結果、発光領域部分では強い圧縮応力を受けることに
なる。また、サブマウントが薄くなってきて自ら変形し
やすい状態になると、半導体レーザチップの自由な収縮
を妨げにくくなり、半導体レーザチップに作用する応力
は徐々に小さくなってくる。そして、サブマウントの厚
さがある厚さ寸法まで薄くなると、半導体レーザチップ
の自由な収縮を全く妨げなくなり、半導体レーザチップ
には残留応力がほとんどなくなる状態となる。
【0038】さらにサブマウントの厚さが薄くなると、
今度は台座の収縮の影響が半導体レーザチップに直接及
ぶようになり、逆に半導体レーザチップには圧縮応力が
加わり始める。この結果、発光領域においては引張応力
が加わり始めることになる。この状態ではサブマウント
は半導体レーザチップと一体になって変形するようにな
る。
【0039】このような傾向から、半導体レーザチップ
の発光領域に及ぼされる残留応力が圧縮から引張に転ず
る点あるいは引張から圧縮に転ずる点の近傍の条件とな
るように半導体レーザチップ、サブマウントの材質を設
定することにより、キンクの発生しない半導体レーザ装
置を得ることができるようになる。また、応力をなくす
ことにより、転位の増殖を抑制して長期信頼性に優れた
半導体レーザ装置を得ることができるようになる。ま
た、実際には、圧縮または引張の応力が許容応力の範囲
に入る程度に設定することで、キンクが発生する電流値
を高めたものとすることができ、使用状態での電流値で
キンクが発生しないようにすることができる。
【0040】請求項21の発明によれば、上述の関係を
満たす材料として、半導体レーザチップをGaAsもし
くはInP系材料で形成し、台座を鉄系材料で形成し、
サブマウントをSi系材料で形成しているので、サブマ
ウントの材料として半導体レーザチップの材質にあわせ
たGaAsやInPなどの高価なものを用いないで安価
に形成することができ、また、台座もCu系材料に比べ
て安価な鉄系材料を用いて形成することができるので、
キンクの発生を抑制する構成としながら、総じて安価に
製作することができる。
【0041】請求項22の発明によれば、請求項17な
いし19の構成において、半導体レーザチップおよびサ
ブマウントをGaAs系材料により形成し、台座を鉄系
材料により形成するので、使用するGaAsの半導体レ
ーザチップがサブマウントを介して鉄系材料からなる台
座から受ける残留応力を抑制することができる。これに
よって、台座として鉄系材料を用いる場合でもその熱膨
張係数の違いに起因した応力による悪影響を発光領域に
及ぼすことなく動作させることができ、応力が原因で発
生するキンクを抑制して信頼性の高い半導体レーザ装置
を提供することができる。
【0042】また、サブマウントを半導体レーザチップ
と同じGaAs系材料としているので、半導体レーザチ
ップとサブマウントとの間での熱膨張係数の差に起因し
た応力をなくすことができる。半導体レーザチップの厚
さ寸法Hを、チップ分離工程における劈開作業に適した
厚さまで薄く形成することができ、台座への実装時には
サブマウントにより全体の厚さ寸法hを調整して残留応
力の悪影響を抑制したものを製作することができ、製造
工程での作業性及び信頼性も高めたものとすることがで
きる。
【0043】請求項23の発明によれば、請求項12の
構成において、半導体レーザチップをGaAs系材料に
より形成し、サブマウントをGaAs系材料により形成
し、台座を鉄系材料により形成し、比の値W/hを4以
下に設定して前記条件を満たすようにしたので、使用す
るGaAsの半導体レーザチップの幅寸法Wに対してそ
の4分の1以上の寸法hとなる形状にすることで、鉄系
材料からなる台座から受ける残留応力を許容応力以下に
することができ、これによって、台座として鉄系材料を
用いる場合でもその熱膨張係数の違いに起因した応力に
よる悪影響を発光領域に及ぼすことなく動作させること
ができ、応力が原因で発生するキンクを抑制して信頼性
の高い半導体レーザ装置を提供することができる。
【0044】請求項24の発明によれば、請求項12の
構成において、請求項23の構成のうちのサブマウント
をSi系材料により形成した場合には、比の値W/h
を、2.7以上で且つ4.4以下の範囲の値に設定する
ことにより、上述と同様の効果を得ることができる。こ
れによって、サブマウントの材料をSiのような安価な
材料を用いながら、熱膨張係数に起因した残留応力によ
る悪影響を抑制することができるようになる。
【0045】請求項25の発明によれば、請求項12の
発明において、請求項23の構成のうちの、半導体レー
ザチップおよびサブマウントをInP系材料により形成
した場合には、比の値W/hを4以下に設定することに
より、上述と同様の効果を得ることができる。
【0046】請求項26の発明によれば、請求項12の
発明において、請求項25の構成のうちの、サブマウン
トをSi系材料により形成した場合には、比の値W/h
を2.1以上で且つ4.4以下の範囲の値に設定するこ
とにより、上述と同様の効果を得ることができる。
【0047】請求項27の発明によれば、請求項12の
発明において、請求項25の構成のうちの、サブマウン
トをGaAs系材料により形成した場合には、比の値W
/hを3.7以下に設定することにより、上述と同様の
効果を得ることができる。
【0048】請求項28の発明によれば、半導体レーザ
チップを金を含んだ合金の金属はんだにより接続するの
で、低融点(例えば、金錫はんだでは約280℃)で作
業をすることができ、しかも接続強度の高いものを形成
することができる。
【0049】請求項29の発明によれば、半導体レーザ
チップを、ストライプ幅が100μm以上に設定したも
のとしているので、大出力の発光動作を行なわせること
ができ、キンク発生の原因として残留応力がある場合に
も上述した条件を満たすように構成することでキンク発
生電流値を高めるかあるいはキンクの発生を無くするこ
とができるようになる。
【0050】請求項30の発明によれば、半導体レーザ
チップの厚さ寸法Hを、台座上に固定したときに冷却後
に発光領域が受ける残留応力が、その厚さ寸法Hを変化
させたときに引張応力から圧縮応力に転ずるときあるい
は圧縮応力から引張応力に転ずるときの厚さ寸法以上に
設定しているので、半導体レーザチップの厚さ寸法が厚
くなる方向で、発光領域における残留応力は小さくする
ことができるようになる。このとき、特に残留応力が圧
縮から引張にあるいは引張から圧縮に転ずるときの厚さ
寸法の値よりも大きくなる側に設定することで、製造ば
らつきなどに起因した残留応力の変化方向を少なくする
ことができるようになる。
【0051】請求項31の発明によれば、半導体レーザ
チップを、 III−V族系半導体により形成しているの
で、台座が鉄系材料により構成されている場合において
半導体レーザチップが発光領域で受ける残留応力を低減
する効果が大きく、特殊な構造を採用したり、材料を選
ぶことなくキンクの発生を抑制する構成を得ることがで
きるようになる。
【0052】請求項32の発明によれば、サブマウント
を介して半導体レーザチップをマウントする構成におい
て、半導体レーザチップの厚さ寸法Hおよび前記サブマ
ウントの厚さ寸法Hsのとの合計の厚さ寸法h(h=H
+Hs)を、台座上に固定したときに冷却後に発光領域
が受ける残留応力が、その厚さ寸法hを変化させたとき
に引張応力から圧縮応力に転ずるときあるいは圧縮応力
から引張応力に転ずるときの厚さ寸法以上に設定してい
るので、半導体レーザチップおよびサブマウントの合計
の厚さ寸法hが厚くなる方向で、発光領域における残留
応力は小さくすることができるようになる。このとき、
特に残留応力が圧縮から引張にあるいは引張から圧縮に
転ずるときの厚さ寸法の値よりも大きくなる側に設定す
ることで、製造ばらつきなどに起因した残留応力の変化
方向を少なくすることができるようになる。
【0053】請求項33の発明によれば、半導体レーザ
チップおよびサブマウントを III−V族系半導体から形
成しているので、台座が鉄系材料により構成されている
場合において半導体レーザチップが発光領域で受ける残
留応力を低減する効果が大きく、特殊な構造を採用した
り、材料を選ぶことなくキンクの発生を抑制する構成を
得ることができるようになる。
【0054】請求項34の発明によれば、半導体レーザ
チップおよびサブマウントを構成する材料を同じ III−
V族系半導体から形成しているので、台座が鉄系材料に
より構成されている場合において半導体レーザチップが
発光領域で受ける残留応力を低減する効果が大きく、特
殊な構造を採用したり、材料を選ぶことなくキンクの発
生を抑制する構成を得ることができるようになる。
【0055】また、この場合において、サブマウントを
半導体レーザチップと同じ材料により構成しているの
で、結果として、半導体レーザチップの厚さ寸法Hがサ
ブマウントの厚さ寸法Hsの分だけ厚くしたことにな
り、残留応力を低減するための調整を半導体レーザチッ
プおよびサブマウントの双方により行なうことができ、
制御性を高めることができる。さらに、半導体レーザチ
ップの厚さ寸法Hが不足している場合でも、サブマウン
トの厚さ寸法Hsを調整することで十分に調整すること
が可能となり、換言すれば、半導体レーザチップの厚さ
寸法Hを一定の厚さ寸法としておき、調整はサブマウン
トの厚さ寸法Hsのみをを調整することで残留応力の調
整を行なうことができることになる。
【0056】請求項35の発明によれば、半導体レーザ
チップのストライプ幅を100μm以上に設定している
ので、大出力の発光動作を行なわせることができ、キン
ク発生の原因として残留応力がある場合にも上述した条
件を満たすように構成することでキンク発生電流値を高
めるかあるいはキンクの発生を無くすることができるよ
うになる。
【0057】請求項36の発明によれば、請求項1の構
成のもので、半導体レーザチップをGaAs系材料によ
り形成し、台座を銅系材料により形成し、比の値W/H
を2.2以上で且つ3.5以下に設定して前記条件を満
たすようにしたので、銅系材料からなる台座から受ける
残留応力を許容応力以下にすることができ、これによっ
て、台座として熱伝導度の高い銅系材料を用いて放熱性
を高める構成としながら、その熱膨張係数の違いに起因
した応力による悪影響を発光領域に及ぼすことなく動作
させることができ、応力が原因で発生するキンクを抑制
して信頼性の高い半導体レーザ装置を提供することがで
きる。
【0058】この場合、前述した請求項9の発明の台座
を鉄系材料により形成した場合に比べ、銅の方が鉄より
も熱膨張係数が大きく、材料的には半導体レーザチップ
の発光領域に与える残留応力が大きくなって不利となる
傾向にあるが、本発明の条件を採用することにより、こ
のような材料に起因した不利な条件をなくして放熱特性
の優れたものを採用する構成とすることができる。
【0059】請求項37の発明によれば、請求項6ない
し8の構成のものにおいて、半導体レーザチップをGa
As系材料により形成し、台座を銅系材料により形成し
ているので、使用するGaAsの半導体レーザチップと
銅系材料からなる台座との組み合わせにおいても台座か
ら受ける残留応力を抑制することができる。これによっ
て、請求項10の発明と同様の作用効果を得ることがで
きると共に、請求項36の発明と同様に銅系材料の台座
を用いる利点である良好な放熱性を生かした構成とする
ことができる。
【0060】また、請求項38の発明のように、請求項
1の発明において、請求項36の構成のうちの半導体レ
ーザチップをInP系材料により形成した場合には、比
の値W/Hを3.5以下に設定して前記条件を満たすよ
うにすることにより、上述と同様の効果を得ることがで
きる。
【0061】請求項39の発明によれば、請求項12な
いし19の構成のもので、台座を銅系材料で形成し、サ
ブマウントをSi系材料で形成し、半導体レーザチップ
および台座ならびにサブマウントを、その熱膨張係数が
台座が最も大きくサブマウントが最も小さい値となる材
料を選択して構成したので、それぞれの構成要素に熱膨
張係数の違いがある場合でも、前述の条件を満たすこと
により、半導体レーザチップへの残留応力を低減させる
ことができ、キンクの発生を抑制して信頼性の高いもの
とすることができるようになる。
【0062】なお、この構成は、請求項21の発明の構
成において、台座を鉄系材料に代えて銅系材料にした構
成であり、同様の作用効果を得ることができると共に、
銅系材料を台座として用いることにより、放熱特性を向
上させることができるので、半導体レーザチップでの発
熱が大きくなる場合でも、大電流を通じて動作させる半
導体レーザ装置により適した構成として得ることができ
る。
【0063】請求項40の発明によれば、請求項12の
発明において、半導体レーザチップをGaAs系材料に
より形成し、サブマウントをGaAs系材料により形成
し、台座を銅系材料により形成すると共に、比の値W/
hを、2.2以上で且つ3.5以下に設定して前記条件
を満たすように構成しているので、銅系材料からなる台
座から受ける残留応力を許容応力以下にすることがで
き、これによって、鉄系材料よりも熱膨張係数の大きい
銅系材料の台座を用いた場合でもその熱膨張係数の違い
に起因した応力による悪影響を発光領域に及ぼすことな
く動作させることができ、応力が原因で発生するキンク
を抑制して信頼性の高い半導体レーザ装置を提供するこ
とができる。
【0064】また、上述の利点を生かしながら、サブマ
ウントを半導体レーザチップと同じGaAs系材料とし
ているので、半導体レーザチップとサブマウントとの間
での熱膨張係数の差に起因した応力をなくすことができ
る。半導体レーザチップの厚さ寸法Hを、チップ分離工
程における劈開作業に適した厚さまで薄く形成すること
ができ、台座への実装時にはサブマウントにより全体の
厚さ寸法hを調整して残留応力の悪影響を抑制したもの
を製作することができ、製造工程での作業性及び信頼性
も高めたものとすることができる。
【0065】請求項41の発明によれば、請求項12の
発明において、半導体レーザチップをGaAs系材料に
より形成し、サブマウントを、Si系材料により形成
し、台座を銅系材料により形成すると共に、比の値W/
hを3.0以上で且つ4.1以下の範囲の値に設定して
前記条件を満たすように構成したので、上述と同様の効
果を得ることができる。そして、これによって、サブマ
ウントの材料をSiのような安価な材料を用いながら、
熱膨張係数に起因した残留応力による悪影響を抑制する
ことができるようになる。
【0066】請求項42の発明によれば、請求項12の
発明において、半導体レーザチップをInP系材料によ
り形成し、サブマウントをInP系材料により形成し、
台座を銅系材料により形成すると共に、比の値W/hを
3.5以下に設定して前記条件を満たすように構成した
ので、InP系材料を半導体レーザチップおよびサブマ
ウントに使用する場合でも、台座として鉄系材料を用い
る構成の請求項25の発明と同様の作用効果を得ること
ができると共に、銅系材料の台座を用いることによる放
熱特性を利用して発熱の大きい大容量の半導体レーザを
駆動する場合においても適したものとすることができ
る。
【0067】請求項43の発明によれば、請求項12の
発明において、半導体レーザチップをInP系材料によ
り形成し、サブマウントをSi系材料により形成し、台
座を銅系材料により形成すると共に、比の値W/hは、
2.5以上で且つ4.1以下の範囲の値に設定して前記
条件を満たすように構成したので、上述と同様の効果を
得ることができる。
【0068】請求項44の発明によれば、請求項12の
発明において、半導体レーザチップをInP系材料によ
り形成し、サブマウントをGaAs系材料により形成
し、台座を銅系材料により形成すると共に、比の値W/
hを3.5以下に設定して前記条件を満たすように構成
したので、上述と同様の効果を得ることができる。
【0069】請求項45の発明によれば、銅系材料より
なる台座上に金属はんだにより半導体レーザチップを固
定した構成の半導体レーザ装置において、半導体レーザ
チップを化合物半導体で形成し、半導体レーザチップの
厚さ寸法Hを、台座上に固定したときに冷却後に発光領
域が受ける残留応力が、その厚さ寸法Hを変化させたと
きに引張応力から圧縮応力に転ずるときあるいは圧縮応
力から引張応力に転ずるときの厚さ寸法以上に設定した
ので、半導体レーザチップの厚さ寸法が厚くなる方向
で、発光領域における残留応力は小さくすることができ
るようになる。このとき、特に残留応力が圧縮から引張
にあるいは引張から圧縮に転ずるときの厚さ寸法の値よ
りも大きくなる側に設定することで、製造ばらつきなど
に起因した残留応力の変化方向を応力が少なくなる方向
にもっていくことができるようになる。
【0070】請求項46の発明によれば、請求項45の
発明において、半導体レーザチップを III−V族系半導
体で形成しているので、台座が銅系材料により構成され
ている場合において半導体レーザチップが発光領域で受
ける残留応力を低減する効果が大きく、特殊な構造を採
用したり、材料を選ぶことなくキンクの発生を抑制する
構成を得ることができるようになる。
【0071】請求項47の発明によれば、銅系材料より
なる台座上にサブマウントを介して金属はんだにより半
導体レーザチップを固定する構成の半導体レーザ装置に
おいて、半導体レーザチップおよびサブマウントを化合
物半導体で形成し、半導体レーザチップの厚さ寸法Hお
よびサブマウントの厚さ寸法Hsのとの合計の厚さ寸法
h(h=H+Hs)を、台座上に固定したときに冷却後
に発光領域が受ける残留応力が、その厚さ寸法hを変化
させたときに引張応力から圧縮応力に転ずるときあるい
は圧縮応力から引張応力に転ずるときの厚さ寸法以上に
設定しているので、半導体レーザチップおよびサブマウ
ントの合計の厚さ寸法hが厚くなる方向で、発光領域に
おける残留応力は小さくすることができるようになる。
このとき、特に残留応力が圧縮から引張にあるいは引張
から圧縮に転ずるときの厚さ寸法の値よりも大きくなる
側に設定することで、製造ばらつきなどに起因した残留
応力の変化方向を応力が少なくなる方向にもっていくこ
とができるようになる。
【0072】請求項48の発明によれば、請求項47の
発明において、半導体レーザチップおよびサブマウント
を、 III−V族系半導体で形成しているので、台座が銅
系材料により構成されている場合において半導体レーザ
チップが発光領域で受ける残留応力を低減する効果が大
きく、特殊な構造を採用したり、材料を選ぶことなくキ
ンクの発生を抑制する構成を得ることができるようにな
る。
【0073】請求項49の発明によれば、請求項48の
発明において、半導体レーザチップおよびサブマウント
を同じ III−V族系半導体で形成しているので、台座が
銅系材料により構成されている場合において半導体レー
ザチップが発光領域で受ける残留応力を低減する効果が
大きく、特殊な構造を採用したり、材料を選ぶことなく
キンクの発生を抑制する構成を得ることができるように
なる。
【0074】また、この場合において、サブマウントを
半導体レーザチップと同じ材料により構成しているの
で、結果として、半導体レーザチップの厚さ寸法Hがサ
ブマウントの厚さ寸法Hsの分だけ厚くしたことにな
り、残留応力を低減するための調整を半導体レーザチッ
プおよびサブマウントの双方により行なうことができ、
制御性を高めることができる。さらに、半導体レーザチ
ップの厚さ寸法Hが不足している場合でも、サブマウン
トの厚さ寸法Hsを調整することで十分に調整すること
が可能となり、換言すれば、半導体レーザチップの厚さ
寸法Hを一定の厚さ寸法としておき、調整はサブマウン
トの厚さ寸法Hsのみをを調整することで残留応力の調
整を行なうことができることになる。
【0075】請求項50の発明によれば、請求項36な
いし49の発明において、金属はんだを金を含んだ合金
を用いているので、低融点(例えば、金錫はんだでは約
280℃)で作業をすることができ、しかも接続強度の
高いものを形成することができる。
【0076】請求項51の発明によれば、請求項36な
いし50の発明において、半導体レーザチップとして、
ストライプ幅が100μm以上に設定されたものを用い
ているので、大出力の発光動作を行なわせることがで
き、キンク発生の原因として残留応力がある場合にも上
述した条件を満たすように構成することでキンク発生電
流値を高めるかあるいはキンクの発生を無くすることが
できるようになる。
【0077】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)以下、本発明
の第1の実施形態について図1ないし図7を参照しなが
ら説明する。図1は、パッケージ(図示せず)内に配置
される部分の構成を模式的に示したもので、鉄系材料を
用いて形成したブロック状の台座1の上に、GaAsを
主体として形成されたサブマウント2および半導体レー
ザチップ3が順次積層して接合することにより固定され
ている。これらの接合には金を含有する金錫合金はんだ
5が用いられている。半導体レーザチップ3の上部側に
は活性層が形成されており、これにストライプ状のオー
ミックコンタクトを形成して発光領域4が設けられてい
る。
【0078】半導体レーザチップ3は、例えばGaAs
基板に活性層を含んだ各種の層をMBE(Molecular Be
am Epitaxy)法あるいはMOCVD(Metal Organic C
VD)法などを用いて積層して形成した基板部3aに、
上部電極3b、下部電極3cをそれぞれ形成すると共
に、下部電極3c側の面には金錫合金はんだ層5を成膜
している。
【0079】上部電極3bは基板部3aと、中央部で4
00μm程度の幅のストライプ状にオーミックコンタク
トをとるように形成されており、と下部電極3cとの間
に電流が供給されると、ストライプ状の部分で発振動作
が起こり、その端面側の発光領域4から所定の波長で発
光してレーザ出力を得ることができるものである。
【0080】サブマウント2は、GaAs基板2aに上
面電極2bおよび下面電極2cをそれぞれ形成し、下面
電極2c側には金錫合金はんだ層5を成膜している。サ
ブマウント2は、半導体レーザチップ3と台座1との間
に介在するように固定するが、半導体レーザチップ3に
電流を供給する通電経路ともなるので、電気的にも接続
される必要があるため、ここでは半導体レーザチップ3
と同様の電極構成とされている。
【0081】さて、上述の構成において、半導体レーザ
チップ3およびサブマウント2のそれぞれの寸法につい
て次に説明する。この実施形態においては、半導体レー
ザチップ3は、厚さ寸法Hが例えば120μmで、幅寸
法Wが700μmのものを使用している。また、サブマ
ウント2は、厚さ寸法Hsが例えば140μmで、幅寸
法Wsが750μmのものを使用している。なお、半導
体レーザチップ3は、通常、上述の設定寸法よりも厚い
状態から研削などにより厚さ寸法を調整している。サブ
マウント2についても同様にして研削などの方法により
厚さ寸法を調整している。
【0082】次に、上述のように設定した半導体レーザ
チップ3およびサブマウント2の厚さの設定の根拠を説
明する。図4は、半導体レーザチップ3の幅寸法Wを7
00μmとした場合に、その厚さ寸法Hとサブマウント
2の厚さ寸法Hsの和の寸法h(=H+Hs)(本発明
でいうところの、台座1の上面から半導体レーザチップ
3の上面までの寸法)を変化させたときに半導体レーザ
チップ3の発光領域4が受ける残留応力を計算した結果
を示している。なお、図4においては、サブマウント2
が半導体レーザチップ3と同じ材料であるGaAsから
構成されており、よって、半導体レーザチップ3とサブ
マウント2との合計の厚さ寸法hは、半導体レーザチッ
プ3のみの厚さ寸法Hと見立てることもできる。
【0083】この図からわかるように、厚さ寸法hが厚
い方から薄い方に変化するに従って、発光領域4が引張
応力を受けていたのが、260μm近傍でゼロになり、
さらに薄くなると今度は圧縮応力を受けるようになる。
なお、発光領域4が引張応力を受ける状態では、半導体
レーザチップ3はその下面側において圧縮応力を受けて
おり、逆に発光領域4が圧縮応力を受ける状態では、半
導体レーザチップ3はその下面側において引張応力を受
ける状態となっている。そこで、発光領域4が応力を全
く受けていない厚さ寸法260μmとなるように設定す
ることが好ましいことがわかる。 h = 260μm …(1)
【0084】ところで、後述するように、発明者らの実
験結果によると、半導体レーザチップ3の幅寸法Wを7
00μmに設定している場合には、発光領域4が受ける
応力が60MPa以下になるようにすると、通電電流値
が40アンペア程度に達するまでキンクの発生が認めら
れない。そこで、実用上で必要な電流値が例えば40ア
ンペアの場合には残留応力が60MPa以下となる条件
で設定すれば良い。この条件としては、図4から、厚さ
寸法hが190μm以上となるように設定すれば良い。 h ≧ 190μm …(2)
【0085】さらに、製造ばらつきなどを考慮してマー
ジンをとって30MPa程度以下となる条件で設定する
ことにより、40アンペアまで確実にキンクの発生を防
止することができ、これによって長期信頼性に優れた半
導体レーザ装置として提供することができるようにな
る。この場合の条件としては、同図から、厚さ寸法hが
210μmから360μmの範囲に入るように設定すれ
ば良い。 360μm ≧ h ≧ 210μm …(3)
【0086】ここで、残留応力を60MPa以下とする
ためには、上記式(3)を満たせば良いのであるが、確
実にする意味において、残留応力が圧縮応力から引張応
力に転ずる厚さ寸法h=260μmに対して、その値を
中心として±60μm程度の範囲内(h=260±60
μm)に入るように設定することが好ましい。さらに、
残留応力を30MPa以下に低減する意味で、残留応力
の向きが変化する厚さ寸法h=260μmに対して、そ
の値を中心として±40μm程度の範囲内(h=260
±40μm)に入るように設定することが好ましい。
【0087】なお、残留応力を十分に低減するために
は、もちろん残留応力の向きが変化する厚さ寸法h=2
60μmに設定することが最も好ましいが、半導体レー
ザチップ3およびサブマウント2の加工ばらつきがそれ
ぞれ±10μm程度あるので、サブマウント2を設ける
構成の場合には厚さ寸法hは260μmを中心として±
20μmの範囲内(h=260±20μm)に入るよう
に設定すれば許容範囲となり、また、サブマウント2を
設けない構成とする場合には±10μmの範囲内(h=
260±10μm)に設定すれば許容範囲となる。
【0088】また、上記した式(1)ないし式(3)に
示す各条件を、半導体レーザチップ3の幅寸法Wが異な
る場合についても適用することを考えると、幅寸法Wと
厚さ寸法hは相似関係にあるとみなすことができるか
ら、これらの比の値W/hについて当てはめると、式
(1)ないし式(3)はそれぞれ次の式(1a)、式
(2a)、式(3a)のように表すことができる。
【0089】すなわち、最適な条件では式(1a)のよ
うになり、60MPaの条件では式(2a)のようにな
り、30MPaの条件では式(3a)のようになる。 W/h = 2.7 …(1a) W/h ≦ 4.0 …(2a) 2.0 ≦ W/h ≦ 3.2 …(3a)
【0090】なお、式(1a)ないし式(3a)をhに
ついて示すと、 h = W/2.7 …(1b) h ≧ W/4.0 …(2b) W/2.0 ≧ h ≧ W/3.2 …(3b)
【0091】次に、上述のようにして半導体レーザチッ
プ3およびサブマウント2の寸法を設定したモデルにつ
いて、発明者らが実験により確認した結果と共に説明す
る。台座1にサブマウント2を介して半導体レーザチッ
プ3をマウントする際に、金錫合金はんだ5を溶かして
固定するが、このとき例えば350℃程度まで加熱して
行う。
【0092】すると、接合後に常温まで冷却されると、
それぞれの熱膨張係数の違いから残留応力が発生する。
この場合、残留応力は熱膨張係数の差が大きいほど大き
くなる。このとき、ヤング率が大きいと、自ら変形する
よりも相手方を変形させるように作用する。半導体レー
ザチップに加わる応力を低減させたいのであるから、サ
ブマウントのヤング率は半導体レーザチップのヤング率
よりも小さい方が良いことになる。
【0093】このような材料を検討すると、熱膨張係数
が小さく且つヤング率が小さい材料が良いことがわか
る。発明者らはこのような関係を図7のように表した。
この図から、半導体レーザチップとしてGaAsやIn
Pを用いたものでは、サブマウントとしては、同じ材料
を用いるかあるいはこれに近い材料として、例えばシリ
コンなどが有効である。図7中で他のものはヤング率が
高いので、後述するように、応力を緩和するような条件
があっても実用上ではその範囲が狭く、適用が難しくな
ることがわかった。
【0094】次に、発明者らは、上述のモデルについて
具体的にどの程度の残留応力が発生するのかをシミュレ
ーションにより求めた。図6はその結果を示すもので、
応力の差が顕著に現われる例として、第3の実施形態で
述べる構成で行った。すなわち、GaAsの半導体レー
ザチップ3を鉄(Fe)の台座1にシリコン(Si)の
サブマウント6を介して固定する構成である。
【0095】半導体レーザチップ3の幅寸法Wは700
μm、厚さ寸法Hは120μmであり、サブマウント6
の幅寸法Waは750μmで、厚さ寸法Hsは(a)4
0μmの場合、(b)80μmの場合、(c)120μ
mの場合の3通りについてシミュレーションを実行し
た。
【0096】この結果、図に示すように(a)のサブマ
ウント6の厚さ寸法Hsが40μmの場合には、半導体
レーザチップ3はサブマウント6から圧縮応力を受け、
これによって発光領域4では引張応力を受けることにな
る。また、(c)のサブマウント6の厚さ寸法Hsが1
20μmの場合には、半導体レーザチップ3は引張応力
を受け、これによって発光領域4では圧縮応力を受ける
ことになる。なお、このシミュレーションで用いた材料
の組み合わせの例では、この実施形態における発光領域
4が受ける応力の関係と厚さ寸法に対して逆転してお
り、これらは個々の材料の物性定数の違いによって引き
起こされる。
【0097】そして、(b)のサブマウント6の厚さ寸
法Hsが80μmの場合には、両者のちょうど中間的な
状態となり、半導体レーザチップ3は圧縮も引張も受け
ない状態となり、これによって発光領域4においても残
留応力の悪影響を受けない状態となる。
【0098】次に、半導体レーザチップの発光領域が受
けている応力とキンクが発生する電流値との関係につい
て発明者らが行った実験の結果について説明する。ここ
では、GaAsの半導体レーザチップ3を搭載した半導
体レーザ装置で、温度を変化させることで発光領域に加
わる応力を変化させたサンプルを模擬的に生成し、その
残留応力に対するキンクの発生電流値を実験により求め
た。この場合、半導体レーザチップの幅寸法Wは700
μmのもので、ストライプ幅が400μm、ストライプ
長が500μmのものを用いている。
【0099】この結果、図5に示すように、例えば、9
0MPaの残留応力があると、電流値が20アンペア程
度でキンクが発生する。また、60MPaの残留応力が
あると、40アンペア程度でキンクが発生する。したが
って、例えば20アンペア程度までキンクを発生させた
くない場合には、残留応力を90MPa以下となるよう
にすればよい。
【0100】また、実用上においてはばらつきなどを考
慮してマージンをとって、60MPa程度の残留応力と
なるようにすることが好ましい。同様にして、40アン
ペア程度までキンクの発生しないものとしたい場合に
は、マージンを考慮すると、残留応力を30MPa程度
以下となるようにすることが好ましい。
【0101】このような本実施形態によれば、台座1と
して鉄系材料のものを用い、GaAsのサブマウント2
を介してGaAsの半導体レーザチップ3を金錫合金は
んだ5により接合してマウントする場合に、厚さ寸法h
(=H+Hs)を260μmに設定したので、発光領域
4に及ぼす残留応力をゼロにしたので、残留応力に起因
したキンクの発生の無い半導体レーザ装置を得ることが
できるようになり、長期信頼性にも優れたものとするこ
とができる。
【0102】また、半導体レーザチップ3とサブマウン
ト2とを同じ材質のものとしながら別体で設けるので、
両者の間の残留熱応力をなくし、且つ、半導体レーザチ
ップ3を製作した後に所定厚さ寸法Hに研削した状態で
あらかじめ準備しておき、サブマウント2の厚さ寸法H
sを調整することで前述の厚さ寸法hを最適な厚さに調
整することができるので、半導体レーザチップ3に対し
て微妙な調整を必要とする研削加工処理を行なう必要が
ないので、製造工程管理を容易にすることができると共
に信頼性の向上も確保することができるようになる。
【0103】さらに、次のような効果を得ることができ
る。すなわち、半導体レーザチップ3は、通常、ウエハ
状態で作製されたものを劈開などの加工工程を経て反射
面を形成しながら所定の寸法に切断形成される。このと
き行う劈開作業は、ウエハの厚さ寸法が薄いほどチップ
の欠けなどのない良質なものを得ることができる。この
点で、本実施形態においては、半導体レーザチップ3を
製作する際に、そのチップの厚さ寸法Hのみではなくサ
ブマウント2の厚さ寸法との合計の厚さ寸法hが式
(1)の条件を満たせば前述した効果を得ることができ
るので、ウエハの厚さ寸法の制約を受けずに加工し易い
厚さまで研磨などで薄くすることができる。これによ
り、半導体レーザチップ3の加工性の向上も図れる。
【0104】(第2の実施形態)図8は、本発明の第2
の実施形態を示すもので、第1の実施形態と異なるとこ
ろは、サブマウント2を設けない構成としたところであ
る。この場合には、第1の実施形態において半導体レー
ザチップ3とサブマウント2とが共にGaAsを用いた
ものであったことから、これを一体のものとして設ける
構成と見なすことができる。
【0105】したがって、第1の実施形態で示した式
(1)〜(3)において、寸法hに代えて半導体レーザ
チップ3の厚さ寸法Hを代入することで得る式(4)〜
(6)により同様の条件を設定することができる。 H = 260μm …(4) H ≧ 190μm …(5) 360μm ≧ H ≧ 210μm …(6)
【0106】同様に、式(1a)〜(3a)、(1b)
〜(3b)についても次式(4a)〜(6a)、(4
b)〜(6b)が得られる。 W/H = 2.7 …(4a) W/H ≦ 4.0 …(5a) 2.0 ≦ W/H ≦ 3.2 …(6a) H = W/2.7 …(4b) H ≧ W/4.0 …(5b) W/2.0 ≧ H ≧ W/3.2 …(6b)
【0107】このような第2の実施形態によっても第1
の実施形態と同様の作用効果が得られると共に、構成を
簡単なものとすることができ、製造コストの低減も図れ
るようになる。
【0108】(第3の実施形態)図9ないし図11は本
発明の第3の実施形態を示すもので、第1の実施形態と
異なるところは、サブマウント2に代えてSi(シリコ
ン)系材料であるSiのサブマウント6を設けたところ
である(図9参照)。このSiのサブマウント6は、図
10に示すように、Si基板部6aに上面電極6bおよ
び下面電極6cをそれぞれ形成し、下面電極6c側には
金錫合金はんだ層5を成膜している。また、サブマウン
ト6は、厚さ寸法Hsが例えば80μmで、幅寸法Ws
が750μmのものを使用している。
【0109】この実施形態においては、Siのサブマウ
ント6を使用するので、第1の実施形態において図6を
参照して説明したように、Siの熱膨張係数がGaAs
よりも小さく、且つヤング率がGaAsよりも大きいこ
とから、半導体レーザチップ3がマウント時に受ける残
留応力は、サブマウント6の厚さ寸法の変化によって大
きく変動する。
【0110】図11は、第1の実施形態と同様にして計
算した結果を示すもので、横軸にSiサブマウント6の
厚さ寸法Hsをとり、縦軸にGaAs半導体レーザチッ
プ3の発光領域4が受ける応力をプロットしたものであ
る。この結果、発光領域4に残留応力を受けなくなると
きのSiサブマウント6の厚さ寸法Hsが80μmであ
ることがわかる。なお、この図では、第1の実施形態と
異なり、シミュレーションでも示した図5と同様に、発
光領域4は、サブマウント6の厚さ寸法Hsが薄い側で
引張応力を受け、厚さ寸法Hsが厚い側で圧縮応力を受
ける。
【0111】このサブマウント6の厚さ寸法Hsの最適
な値については、半導体レーザチップ3の厚さ寸法Hと
関係しており、具体的にはこれらの和の厚さ寸法hによ
り最適な値が決まることになる。したがって、厚さ寸法
hの条件で示すと、前述の式(1)と同様にして式
(7)のようになる。また、前述の式(2),(3)と
同様に、図11の結果から、60MPa以下の応力の条
件は式(8)のようになり、30MPa以下の応力の条
件は式(9)のようになる。 h = 200μm …(7) 260μm ≧ h ≧ 160μm …(8) 220μm ≧ h ≧ 180μm …(9)
【0112】同様に、式(1a)〜(3a)、(1b)
〜(3b)についても次式(7a)〜(9a)、(7
b)〜(9b)が得られる。 W/h = 3.5 …(7a) 2.7 ≦ W/h ≦ 4.4 …(8a) 3.2 ≦ W/h ≦ 3.9 …(9a) h = W/3.5 …(7b) W/2.7 ≧ h ≧ W/4.4 …(8b) W/3.2 ≧ h ≧ W/3.9 …(9b)
【0113】したがって、第3の実施形態においては、
GaAsの半導体レーザチップ3とは違う材料であるS
iのサブマウント6を用いる場合でも、その厚さ寸法h
を上述のように選んで設定することで、発光領域4に対
して残留応力の悪影響を受けないように構成することが
でき、さらには、実用上必要な電流の範囲でキンクが発
生しないようにすることができる。そして、このように
材質の異なるサブマウント6を使用することができるの
で、安価な材料であるSiを選択して用いることがで
き、製造コストの低減も図れるようになる。
【0114】(第4の実施形態)図12ないし図15
は、本発明の第4の実施形態を示すもので、第1の実施
形態と異なるところは、サブマウント2および半導体レ
ーザチップ3に代えて、InP系材料により形成されて
いるサブマウント7および半導体レーザチップ8を用い
た構成に適用したところである(図12参照)。
【0115】半導体レーザチップ8は、図13に示すよ
うに、InP基板に活性層を含んだ各種の半導体層を積
層形成した基板部8aに、上部電極8b、下部電極8c
をそれぞれ形成すると共に、下部電極8c側の面には金
錫合金はんだ層5を成膜している。発光領域9は、上部
電極8b側の中央部に形成される。また、同様に、サブ
マウント7は、図14に示すように、InP基板7aに
上面電極7bおよび下面電極7cをそれぞれ形成し、下
面電極7c側には金錫合金はんだ層5を成膜している。
この構成においては、半導体レーザチップ8は、厚さ寸
法Hが例えば120μmで、幅寸法Wが700μmのも
のを使用している。また、サブマウント7は、厚さ寸法
Hsが例えば160μmで、幅寸法Wsが750μmの
ものを使用している。
【0116】前述同様にして、半導体レーザチップ8と
サブマウント7との和の厚さ寸法h(=H+Hs)につ
いて、半導体レーザチップ8の発光領域9が受ける残留
応力について計算した結果は図15に示すようになる。
ここでは、発光領域9が受ける残留応力は、厚さ寸法h
が薄い側で圧縮応力であり、厚さ寸法hが厚い側で引張
応力となる。この結果から、式(1)〜(3)で示した
のと同様に、厚さ寸法hの最適な値は、式(10)に示
した280μmであることがわかる。また、前述のよう
に60MPa以下の応力の条件および30MPa以下の
応力の条件は、次式(11)、(12)のようになる。 h = 280μm …(10) h ≧ 180μm …(11) h ≧ 220μm …(12)
【0117】同様に、式(1a)〜(3a)、(1b)
〜(3b)についても次式(10a)〜(12a)、
(10b)〜(12b)が得られる。 W/h = 2.5 …(10a) W/h ≦ 4.0 …(11a) W/h ≦ 3.2 …(12a) h = W/2.5 …(10b) h ≧ W/4.0 …(11b) h ≧ W/3.2 …(12b)
【0118】(第5の実施形態)図16は、本発明の第
5の実施形態を示すもので、第4の実施形態と異なると
ころは、サブマウント7を設けない構成としたところで
ある。この場合には、第4の実施形態において半導体レ
ーザチップ8とサブマウント7とが共にInPを用いた
ものであったことから、これを一体のものとして設ける
構成と見なすことができる。
【0119】したがって、第4の実施形態で示した式
(10)〜(12)において、寸法hに代えて半導体レ
ーザチップ8の厚さ寸法Hを代入することで得る式(1
3)〜(15)により同様の条件を設定することができ
る。 H = 280μm …(13) H ≧ 180μm …(14) H ≧ 220μm …(15)
【0120】同様に、式(10a)〜(12a)、(1
0b)〜(12b)についても次式(13a)〜(15
a)、(13b)〜(15b)が得られる。 W/H = 2.5 …(13a) W/H ≦ 4.0 …(14a) W/H ≦ 3.2 …(15a) H = W/2.5 …(13b) H ≧ W/4.0 …(14b) H ≧ W/3.2 …(15b)
【0121】(第6の実施形態)図17および図18
は、本発明の第6の実施形態を示すもので、第4の実施
形態と異なるところは、サブマウント7に代えてGaA
sのサブマウント2を用いたところである(図17参
照)。サブマウント2は、厚さ寸法Hsが例えば200
μmで、幅寸法Wsが750μmのものを使用してい
る。
【0122】図18は、第4の実施形態と同様にして計
算した結果を示すもので、横軸にGaAsのサブマウン
ト2の厚さ寸法Hsをとり、縦軸にInP半導体レーザ
チップ8の発光領域9が受ける応力をプロットしたもの
である。ここでは、発光領域9が受ける残留応力は、厚
さ寸法hが薄い側で圧縮応力であり、厚さ寸法hが厚い
側で引張応力となる。この結果、発光領域9に残留応力
を受けなくなるときのサブマウント2の厚さ寸法Hsが
200μmであることがわかる。
【0123】前述と同様にして、サブマウント2の厚さ
寸法Hsと半導体レーザチップ8の厚さ寸法Hとの和の
厚さ寸法hについて最適な値を求めると、前述の式(1
0)と同様にして式(16)のようになる。また、前述
の式(11),(12)と同様に、図18の結果から、
60MPa以下の応力の条件は式(17)のようにな
り、30MPa以下の応力の条件は式(18)のように
なる。 h = 320μm …(16) h ≧ 190μm …(17) h ≧ 260μm …(18)
【0124】同様に、式(10)〜(12a)、(10
b)〜(12b)についても、次式(16a)〜(18
a)、(16b)〜(18b)が得られる。 W/h = 2.2 …(16a) W/h ≦ 3.7 …(17a) W/h ≦ 2.7 …(18a) h = W/2.2 …(16b) h ≧ W/3.7 …(17b) h ≧ W/2.7 …(18b)
【0125】(第7の実施形態)図19および図20
は、本発明の第7の実施形態を示すもので、第4の実施
形態と異なるところは、サブマウント7に代えて、Si
のサブマウント6を設けたところである(図19参
照)。前述同様にして、半導体レーザチップ8の厚さ寸
法Hとサブマウント6の厚さ寸法Hsの和の厚さ寸法h
について最適な条件を求めると、図20の結果から、そ
れぞれ次式(19)〜(21)、(19a)〜(21
a)、(19b)〜(21b)のようになる。なお、発
光領域9が受ける残留応力は、厚さ寸法hが薄い側で引
張応力であり、厚さ寸法hが厚い側で圧縮応力である。
【0126】 h = 220μm …(19) 340μm ≧ h ≧ 160μm …(20) 270μm ≧ h ≧ 190μm …(21) W/h = 3.2 …(19a) 2.1 ≦ W/h ≦ 4.4 …(20a) 2.6 ≦ W/h ≦ 3.7 …(21a) h = W/3.2 …(19b) W/2.1 ≧ h ≧ W/4.4 …(20b) W/2.6 ≧ h ≧ W/3.7 …(21b)
【0127】(第8の実施形態)図21および図22は
本発明の第8の実施形態を示すもので、第1の実施形態
と異なるところは、鉄系材料の台座1に代えて銅系材料
からなる台座10を用いて構成したところである(図2
1参照)。前述同様にして、半導体レーザチップ3の厚
さ寸法Hとサブマウント2の厚さ寸法Hsの和の厚さ寸
法hについて最適な条件を求めると、図20の結果か
ら、それぞれ次式(22)〜(24)、(22a)〜
(24a)、(22b)〜(24b)のようになる。な
お、発光領域4が受ける残留応力は、厚さ寸法hが薄い
側で引張応力であり、厚さ寸法hが厚い側で圧縮応力で
ある。
【0128】 h = 240μm …(22) 320μm ≧ h ≧ 200μm …(23) 280μm ≧ h ≧ 210μm …(24) W/h = 2.9 …(22a) 2.2 ≦ W/h ≦ 3.5 …(23a) 2.5 ≦ W/h ≦ 3.3 …(24a) h = W/2.9 …(22b) W/2.2 ≧ h ≧ W/3.5 …(23b) W/2.5 ≧ h ≧ W/3.3 …(24b)
【0129】このような第8の実施形態によれば、台座
10として銅系材料を用いたことにより、鉄系材料の台
座1を用いる場合に比べて、熱伝導性を高めることがで
き、より放熱特性の改善を図ることができる。そして、
このことは、銅系材料の台座10が鉄系材料の台座1よ
りも熱膨張係数が大きく、熱応力的には不利な材料であ
るにもかかわらず、本発明が提案するところの条件を満
たすように寸法を設定することで材料に起因した不利な
点を解消して、放熱特性にも優れたものとして、半導体
レーザチップ3を大電流で駆動することも可能となる構
成を得ることができる。
【0130】また、前述同様に、半導体レーザチップ3
とサブマウント2とを同じ材質のものとしながら別体で
設けるので、両者の間の残留熱応力をなくし、且つ、半
導体レーザチップ3を製作した後に所定厚さ寸法Hに研
削した状態であらかじめ準備しておき、サブマウント2
の厚さ寸法Hsを調整することで前述の厚さ寸法hを最
適な厚さに調整することができるので、半導体レーザチ
ップ3に対して微妙な調整を必要とする研削加工処理を
行なう必要がないので、製造工程管理を容易にすること
ができると共に信頼性の向上も確保することができるよ
うになる。
【0131】さらに、次のような効果も得られる。すな
わち、半導体レーザチップ3は、通常、ウエハ状態で作
成されたものを劈開などの加工工程を経て反射面を形成
しながら所定の寸法に切断形成される。このとき行う劈
開作業は、ウエハの厚さ寸法が薄いほどチップの欠けな
どのない良質なものを得ることができる。この点で、本
実施形態においては、半導体レーザチップ3を製作する
際に、そのチップの厚さ寸法Hのみではなくサブマウン
ト2の厚さ寸法との合計の厚さ寸法hが式(1)の条件
を満たせば前述した効果を得ることができるので、ウエ
ハの厚さ寸法の制約を受けずに加工し易い厚さまで研磨
などで薄くすることができる。これにより、半導体レー
ザチップ3の加工性の向上も図れる。
【0132】(第9の実施形態)図23は本発明の第9
の実施形態を示すもので、第8の実施形態と異なるとこ
ろは、サブマウント2を設けない構成としたところであ
る。この場合には、第1の実施形態において半導体レー
ザチップ3とサブマウント2とが共にGaAsを用いた
ものであったことから、これを一体のものとして設ける
構成と見なすことができる。
【0133】したがって、第8の実施形態で示した式
(22)〜(24)において、寸法hに代えて半導体レ
ーザチップ3の厚さ寸法Hを代入することで得る式(2
5)〜(27)により同様の条件を設定することができ
る。 H = 240μm …(25) 320μm ≧ H ≧ 200μm …(26) 280μm ≧ H ≧ 210μm …(27)
【0134】同様に、式(23a)〜(24a)、(2
2b)〜(24b)についても次式(25a)〜(27
a)、(25b)〜(27b)が得られる。 W/H = 2.9 …(25a) 2.2 ≦ W/H ≦ 3.5 …(26a) 2.5 ≦ W/H ≦ 3.3 …(27a) H = W/2.9 …(25b) W/2.2 ≧ H ≧ W/3.5 …(26b) W/2.5 ≧ H ≧ W/3.3 …(27b)
【0135】このような第9の実施形態によっても第8
の実施形態と同様の作用効果が得られると共に、構成を
簡単なものとすることができ、製造コストの低減も図れ
るようになる。
【0136】(第10の実施形態)図24および図25
は本発明の第10の実施形態を示すもので、第8の実施
形態と異なるところは、サブマウント2に代えてSi
(シリコン)系材料であるSiのサブマウント6を設け
たところである(図24参照)。このSiのサブマウン
ト6は、前述した第3の実施形態で図10に示すよう
に、Si基板部6aに上面電極6bおよび下面電極6c
をそれぞれ形成し、下面電極6c側には金錫合金はんだ
層5を成膜している。また、サブマウント6は、厚さ寸
法Hsが例えば80μmで、幅寸法Wsが750μmの
ものを使用している。
【0137】この実施形態においては、Siのサブマウ
ント6を使用するので、第1の実施形態において図6を
参照して説明したように、Siの熱膨張係数がGaAs
よりも小さく、且つヤング率がGaAsよりも大きいこ
とから、半導体レーザチップ3がマウント時に受ける残
留応力は、サブマウント6の厚さ寸法の変化によって大
きく変動する。
【0138】図25は、第8の実施形態と同様にして計
算した結果を示すもので、横軸にSiサブマウント6の
厚さ寸法Hsをとり、縦軸にGaAs半導体レーザチッ
プ3の発光領域4が受ける応力をプロットしたものであ
る。この結果、発光領域4に残留応力を受けなくなると
きのSiサブマウント6の厚さ寸法Hsが80μmであ
ることがわかる。なお、この図では、第8の実施形態と
異なり、シミュレーションでも示した図6と同様に、発
光領域4は、サブマウント6の厚さ寸法Hsが薄い側で
引張応力を受け、厚さ寸法Hsが厚い側で圧縮応力を受
ける。
【0139】このサブマウント6の厚さ寸法Hsの最適
な値については、半導体レーザチップ3の厚さ寸法Hと
関係しており、具体的にはこれらの和の厚さ寸法hによ
り最適な値が決まることになる。したがって、厚さ寸法
hの条件で示すと、前述の式(22)と同様にして式
(28)のようになる。また、前述の式(23),(2
4)と同様に、図25の結果から、60MPa以下の応
力の条件は式(29)のようになり、30MPa以下の
応力の条件は式(30)のようになる。 h = 200μm …(28) 230μm ≧ h ≧ 170μm …(29) 220μm ≧ h ≧ 180μm …(30)
【0140】同様に、式(22a)〜(24a)、(2
2b)〜(24b)についても次式(28a)〜(30
a)、(28b)〜(30b)が得られる。 W/h = 3.5 …(28a) 3.0 ≦ W/h ≦ 4.1 …(29a) 3.2 ≦ W/h ≦ 3.9 …(30a) h = W/3.5 …(28b) W/3.0 ≧ h ≧ W/4.1 …(29b) W/3.2 ≧ h ≧ W/3.9 …(30b)
【0141】したがって、第10の実施形態において
は、第8の実施形態の効果に加えて、GaAsの半導体
レーザチップ3とは違う材料であるSiのサブマウント
6を用いる場合でも、その厚さ寸法hを上述のように選
んで設定することで、発光領域4に対して残留応力の悪
影響を受けないように構成することができ、さらには、
実用上必要な電流の範囲でキンクが発生しないようにす
ることができる。そして、このように材質の異なるサブ
マウント6を使用することができるので、安価な材料で
あるSiを選択して用いることができ、製造コストの低
減も図れるようになる。
【0142】(第11の実施形態)図26および図27
は、本発明の第11の実施形態を示すもので、第8の実
施形態と異なるところは、サブマウント2および半導体
レーザチップ3に代えて、InP系材料により形成され
ているサブマウント7および半導体レーザチップ8を用
いた構成に適用したところである(図26参照)。
【0143】半導体レーザチップ8は、前述した第4の
実施形態の図13に示したように、InP基板に活性層
を含んだ各種の半導体層を積層形成した基板部8aに、
上部電極8b、下部電極8cをそれぞれ形成すると共
に、下部電極8c側の面には金錫合金はんだ層5を成膜
している。発光領域9は、上部電極8b側の中央部に形
成される。また、同様に、サブマウント7は、図14に
示したように、InP基板7aに上面電極7bおよび下
面電極7cをそれぞれ形成し、下面電極7c側には金錫
合金はんだ層5を成膜している。この構成においては、
半導体レーザチップ8は、厚さ寸法Hが例えば120μ
mで、幅寸法Wが700μmのものを使用している。ま
た、サブマウント7は、厚さ寸法Hsが例えば150μ
mで、幅寸法Wsが750μmのものを使用している。
【0144】前述同様にして、半導体レーザチップ8と
サブマウント7との和の厚さ寸法h(=H+Hs)につ
いて、半導体レーザチップ8の発光領域9が受ける残留
応力について計算した結果は図27に示すようになる。
ここでは、発光領域9が受ける残留応力は、厚さ寸法h
が薄い側で圧縮応力であり、厚さ寸法hが厚い側で引張
応力となる。この結果から、式(22)〜(24)で示
したのと同様に、厚さ寸法hの最適な値は、式(31)
に示した270μmであることがわかる。また、前述の
ように60MPa以下の応力の条件および30MPa以
下の応力の条件は、次式(32)、(33)のようにな
る。 h = 270μm …(31) h ≧ 200μm …(32) 350μm ≧ h ≧ 220μm …(33)
【0145】同様に、式(22a)〜(24a)、(2
2b)〜(24b)についても次式(31a)〜(33
a)、(31b)〜(33b)が得られる。 W/h = 2.6 …(31a) W/h ≦ 3.5 …(32a) 2.0 ≦ W/h ≦ 3.2 …(33a) h = W/2.6 …(31b) h ≧ W/3.5 …(32b) W/2.0 ≧ h ≧ W/3.2 …(33b)
【0146】(第12の実施形態)図28は、本発明の
第12の実施形態を示すもので、第11の実施形態と異
なるところは、サブマウント7を設けない構成としたと
ころである。この場合には、第11の実施形態において
半導体レーザチップ8とサブマウント7とが共にInP
を用いたものであったことから、これを一体のものとし
て設ける構成と見なすことができる。
【0147】したがって、第11の実施形態で示した式
(31)〜(33)において、寸法hに代えて半導体レ
ーザチップ8の厚さ寸法Hを代入することで得る式(3
4)〜(36)により同様の条件を設定することができ
る。 H = 270μm …(34) H ≧ 200μm …(35) 350μm ≧ H ≧ 220μm …(36)
【0148】同様に、式(31a)〜(33a)、(3
1b)〜(33b)についても次式(34a)〜(36
a)、(34b)〜(36b)が得られる。 W/H = 2.6 …(34a) W/H ≦ 3.5 …(35a) 2.0 ≦ W/H ≦ 3.2 …(36a) H = W/2.6 …(34b) H ≧ W/3.5 …(35b) W/2.0 ≧ H ≧ W/3.2 …(36b)
【0149】(第13の実施形態)図29および図30
は、本発明の第13の実施形態を示すもので、第11の
実施形態と異なるところは、サブマウント7に代えてG
aAsのサブマウント2を用いたところである(図29
参照)。サブマウント2は、厚さ寸法Hsが例えば15
0μmで、幅寸法Wsが750μmのものを使用してい
る。
【0150】図30は、第11の実施形態と同様にして
計算した結果を示すもので、横軸にGaAsのサブマウ
ント2の厚さ寸法Hsをとり、縦軸にInP半導体レー
ザチップ8の発光領域9が受ける応力をプロットしたも
のである。ここでは、発光領域9が受ける残留応力は、
厚さ寸法Hsが薄い側で圧縮応力であり、厚さ寸法Hs
が厚い側で引張応力となる。この結果、発光領域9に残
留応力を受けなくなるときのサブマウント2の厚さ寸法
Hsが150μmであることがわかる。
【0151】前述と同様にして、サブマウント2の厚さ
寸法Hsと半導体レーザチップ8の厚さ寸法Hとの和の
厚さ寸法hについて最適な値を求めると、前述の式(3
1)と同様にして式(37)のようになる。また、前述
の式(32),(33)と同様に、図30の結果から、
60MPa以下の応力の条件は式(38)のようにな
り、30MPa以下の応力の条件は式(39)のように
なる。 h = 270μm …(37) h ≧ 200μm …(38) h ≧ 220μm …(39)
【0152】同様に、式(31)〜(33a)、(31
b)〜(33b)についても、次式(37a)〜(39
a)、(37b)〜(39b)が得られる。 W/h = 2.6 …(37a) W/h ≦ 3.5 …(38a) W/h ≦ 3.2 …(39a) h = W/2.6 …(37b) h ≧ W/3.5 …(38b) h ≧ W/3.2 …(39b)
【0153】(第14の実施形態)図31および図32
は、本発明の第14の実施形態を示すもので、第11の
実施形態と異なるところは、サブマウント7に代えて、
Siのサブマウント6を設けたところである(図31参
照)。前述同様にして、半導体レーザチップ8の厚さ寸
法Hとサブマウント6の厚さ寸法Hsの和の厚さ寸法h
について最適な条件を求めると、図32の結果から、そ
れぞれ次式(40)〜(42)、(40a)〜(42
a)、(40b)〜(42b)のようになる。なお、発
光領域9が受ける残留応力は、厚さ寸法hが薄い側で引
張応力であり、厚さ寸法hが厚い側で圧縮応力である。
【0154】 h = 220μm …(40) 280μm ≧ h ≧ 170μm …(41) 250μm ≧ h ≧ 190μm …(42) W/h = 3.2 …(40a) 2.5 ≦ W/h ≦ 4.1 …(41a) 2.8 ≦ W/h ≦ 3.7 …(42a) h = W/3.2 …(40b) W/2.5 ≧ h ≧ W/4.1 …(41b) W/2.8 ≧ h ≧ W/3.7 …(42b)
【0155】(他の実施形態)本発明は、上記実施形態
にのみ限定されるものではなく、次のように変形また拡
張できる。半導体レーザチップは、GaAs,InPに
限らず、他の母材を用いる半導体レーザチップを用いる
ものでも良い。また、サブマウントや台座も上記実施例
で用いたもの以外のものを使用することができる。この
場合に、熱膨張係数やヤング率などを考慮して各材料を
選定し、それらに適合した厚さ寸法や幅寸法に設定する
ことで、材質によらず残留応力を緩和あるいは無くした
状態とすることができるようになる。
【0156】また、上記実施形態にて説明してきたよう
に、図4、図16、図18のデータおよび図7の物性値
から考慮すると、台座が鉄系からなる場合には、半導体
レーザチップ3およびサブマウント2が化合物半導体、
より厳密には III−V族系半導体から構成される場合に
は、発光領域に生ずる残留応力を効果的に低減すること
ができる。
【0157】特に、半導体レーザチップ3およびサブマ
ウント2の厚さ制御を、残留応力が圧縮応力から引張応
力へ転ずる厚さ寸法以上の厚さに制御することで、残留
応力を問題のないレベルに保持できると言える。これ
は、図7からわかるように、GaAsとInPとはその
物性値がSiに対して似通っていることから、半導体レ
ーザチップ3とサブマウント2とが同じ III−V族系半
導体からなる場合(例えば、半導体レーザチップ3、サ
ブマウント2が共にGaAsの場合)には残留応力の制
御がし易いことが理解される。さらに、半導体レーザチ
ップ3とサブマウント2とが異なる III−V族系半導体
からなる場合においても、残留応力の向きが変化する厚
さ以上の厚さにすることで、残留応力の制御がしやすく
なると言える。
【0158】台座は、金属のものを用いたが、少なくと
も表面に金属のめっきなどを施したものを用いれば、金
属ではない材質のものを用いても良い。サブマウント
は、1枚のみ用いるものについて述べたが、必要に応じ
て複数枚のサブマウントを用いる構成とすることもでき
る。金錫はんだ層5を設けるようにしたが、他のはんだ
を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す外観斜視図
【図2】半導体レーザチップの模式的断面図
【図3】サブマウントの模式的断面図
【図4】厚さ寸法hに対する半導体レーザチップの発光
領域が受ける応力の値を示す相関図
【図5】半導体レーザチップの発光領域の発光領域が受
けている残留応力とキンクが発生する電流値との相関図
【図6】サブマウントの厚さ寸法を変えた場合の各部の
応力分布をシミュレーションにより求めた結果を示す図
【図7】種々の材料についてヤング率と線膨張係数との
相関で示す図
【図8】本発明の第2の実施形態を示す図1相当図
【図9】本発明の第3の実施形態を示す図1相当図
【図10】図3相当図
【図11】図4相当図
【図12】本発明の第4の実施形態を示す図1相当図
【図13】図2相当図
【図14】図3相当図
【図15】図4相当図
【図16】本発明の第5の実施形態を示す図1相当図
【図17】本発明の第6の実施形態を示す図1相当図
【図18】図4相当図
【図19】本発明の第7の実施形態を示す図1相当図
【図20】図4相当図
【図21】本発明の第8の実施形態を示す図1相当図
【図22】図4相当図
【図23】本発明の第9の実施形態を示す図1相当図
【図24】本発明の第10の実施形態を示す図1相当図
【図25】図4相当図
【図26】本発明の第11の実施形態を示す図1相当図
【図27】図4相当図
【図28】本発明の第12の実施形態を示す図1相当図
【図29】本発明の第13の実施形態を示す図1相当図
【図30】図4相当図
【図31】本発明の第14の実施形態を示す図1相当図
【図32】図4相当図
【符号の説明】
1は鉄系材料の台座、2,6,7はサブマウント、3,
8は半導体レーザチップ、4,9は発光領域、5は金錫
はんだ層、10は銅系材料の台座である。
フロントページの続き (72)発明者 安部 克則 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 5F073 BA09 CA04 CA12 CB02 DA34 DA35 EA16 EA28 FA13 FA22

Claims (51)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも表面に金属層を有する台座
    と、この台座上に金属はんだにより固定された半導体レ
    ーザチップとを備えた半導体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップを前記台座上に固定したときに
    冷却後に発光領域が受ける圧縮あるいは引張の残留応力
    が、許容応力値60MPa(6×10Pa)以下とな
    るように前記半導体レーザチップの幅寸法Wと厚さ寸法
    Hとの比W/Hを設定したことを特徴とする半導体レー
    ザ装置。
  2. 【請求項2】 少なくとも表面に金属層を有する台座
    と、この台座上に金属はんだにより固定された半導体レ
    ーザチップとを備えた半導体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップを前記台座上に固定したときに
    冷却後に発光領域が受ける圧縮あるいは引張の残留応力
    が、許容応力値30MPa(3×10Pa)以下とな
    るように前記半導体レーザチップの幅寸法Wと厚さ寸法
    Hとの比W/Hを設定したことを特徴とする半導体レー
    ザ装置。
  3. 【請求項3】 少なくとも表面に金属層を有する台座
    と、この台座上に金属はんだにより固定された半導体レ
    ーザチップとを備えた半導体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップを前記台座上に固定したときに
    冷却後に発光領域が受ける圧縮あるいは引張の残留応力
    が、許容応力値60MPa(6×10Pa)以下とな
    るように前記半導体レーザチップの厚さ寸法Hを設定し
    たことを特徴とする半導体レーザ装置。
  4. 【請求項4】 少なくとも表面に金属層を有する台座
    と、この台座上に金属はんだにより固定された半導体レ
    ーザチップとを備えた半導体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップを前記台座上に固定したときに
    冷却後に発光領域が受ける圧縮あるいは引張の残留応力
    が、許容応力値30MPa(3×10Pa)以下とな
    るように前記半導体レーザチップの厚さ寸法Hを設定し
    たことを特徴とする半導体レーザ装置。
  5. 【請求項5】 少なくとも表面に金属層を有する台座
    と、この台座上に金属はんだにより固定された半導体レ
    ーザチップとを備えた半導体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップの幅寸法Wと厚さ寸法Hとの比
    の値W/Hもしくは厚さ寸法Hを、それらを変化させた
    ときに前記残留応力が引張から圧縮に転ずるときあるい
    は圧縮から引張に転ずるときの値もしくはその近傍の値
    となるように設定したことを特徴とする半導体レーザ装
    置。
  6. 【請求項6】 少なくとも表面に金属層を有する台座
    と、この台座上に金属はんだにより固定された半導体レ
    ーザチップとを備えた半導体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップの厚さ寸法Hを、それを変化さ
    せたときに前記残留応力が引張応力から圧縮応力に転ず
    るときあるいは圧縮応力から引張応力に転ずるときの値
    もしくはその値を中心としてその近傍である±60μm
    の範囲内となるように設定したことを特徴とする半導体
    レーザ装置。
  7. 【請求項7】 少なくとも表面に金属層を有する台座
    と、この台座上に金属はんだにより固定された半導体レ
    ーザチップとを備えた半導体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップの厚さ寸法Hを、それを変化さ
    せたときに前記残留応力が引張応力から圧縮応力に転ず
    るときあるいは圧縮応力から引張応力に転ずるときの値
    もしくはその値を中心としてその近傍である±40μm
    の範囲内となるように設定したことを特徴とする半導体
    レーザ装置。
  8. 【請求項8】 少なくとも表面に金属層を有する台座
    と、この台座上に金属はんだにより固定された半導体レ
    ーザチップとを備えた半導体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップの厚さ寸法Hを、それを変化さ
    せたときに前記残留応力が引張応力から圧縮応力に転ず
    るときあるいは圧縮応力から引張応力に転ずるときの値
    もしくはその値を中心としてその近傍である±10μm
    の範囲内となるように設定したことを特徴とする半導体
    レーザ装置。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の半導体レーザ装置にお
    いて、 前記半導体レーザチップは、GaAs系材料により形成
    され、 前記台座は、鉄系材料により形成されており、 前記比の値W/Hは、4以下に設定して前記条件を満た
    すようにしたことを特徴とする半導体レーザ装置。
  10. 【請求項10】 請求項6ないし8のいずれかに記載の
    半導体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップは、GaAs系材料により形成
    され、前記台座は、鉄系材料により形成されていること
    を特徴とする半導体レーザ装置。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載の半導体レーザ装置に
    おいて、 前記半導体レーザチップは、InP系材料により形成さ
    れ、 前記台座は、鉄系材料により形成されており、 前記比の値W/Hを4以下に設定して前記条件を満たす
    ようにしたことを特徴とする半導体レーザ装置。
  12. 【請求項12】 少なくとも表面に金属層を有する台座
    と、この台座上にサブマウントを介した状態で金属はん
    だにより固定された半導体レーザチップとを備えた半導
    体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップを前記台座上に固定したときに
    冷却後に発光領域が受ける圧縮あるいは引張の残留応力
    が、許容応力値60MPa(6×10Pa)以下とな
    るように前記半導体レーザチップの幅寸法Wと前記台座
    の上面位置から前記半導体レーザチップの上面位置まで
    の寸法h(半導体レーザチップの厚さ寸法Hとサブマウ
    ントの厚さ寸法Hsとの和の寸法h=H+Hs)との比
    W/hを設定したことを特徴とする半導体レーザ装置。
  13. 【請求項13】 少なくとも表面に金属層を有する台座
    と、この台座上にサブマウントを介した状態で金属はん
    だにより固定された半導体レーザチップとを備えた半導
    体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップを前記台座上に固定したときに
    冷却後に発光領域が受ける圧縮あるいは引張の残留応力
    が、許容応力値30MPa(3×10Pa)以下とな
    るように前記半導体レーザチップの幅寸法Wと前記台座
    の上面位置から前記半導体レーザチップの上面位置まで
    の寸法h(半導体レーザチップの厚さ寸法Hとサブマウ
    ントの厚さ寸法Hsとの和の寸法h=H+Hs)との比
    W/hを設定したことを特徴とする半導体レーザ装置。
  14. 【請求項14】 少なくとも表面に金属層を有する台座
    と、この台座上にサブマウントを介した状態で金属はん
    だにより固定された半導体レーザチップとを備えた半導
    体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップを前記台座上に固定したときに
    冷却後に発光領域が受ける圧縮あるいは引張の残留応力
    が、許容応力値60MPa(6×10Pa)以下とな
    るように前記台座の上面位置から前記半導体レーザチッ
    プの上面位置までの寸法h(半導体レーザチップの厚さ
    寸法Hとサブマウントの厚さ寸法Hsとの和の寸法h=
    H+Hs)を設定したことを特徴とする半導体レーザ装
    置。
  15. 【請求項15】 少なくとも表面に金属層を有する台座
    と、この台座上にサブマウントを介した状態で金属はん
    だにより固定された半導体レーザチップとを備えた半導
    体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップを前記台座上に固定したときに
    冷却後に発光領域が受ける圧縮あるいは引張の残留応力
    が、許容応力値30MPa(3×10Pa)以下とな
    るように前記台座の上面位置から前記半導体レーザチッ
    プの上面位置までの寸法h(半導体レーザチップの厚さ
    寸法Hとサブマウントの厚さ寸法Hsとの和の寸法h=
    H+Hs)を設定したことを特徴とする半導体レーザ装
    置。
  16. 【請求項16】 少なくとも表面に金属層を有する台座
    と、この台座上にサブマウントを介した状態で金属はん
    だにより固定された半導体レーザチップとを備えた半導
    体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップの幅寸法Wと前記台座の上面位
    置から前記半導体レーザチップの上面位置までの寸法h
    (半導体レーザチップの厚さ寸法Hとサブマウントの厚
    さ寸法Hsとの和の寸法h=H+Hs)との比の値W/
    hもしくは厚さ寸法hを、それらを変化させたときに前
    記残留応力が引張から圧縮に転ずるときあるいは圧縮か
    ら引張に転ずるときの値もしくはその近傍の値となるよ
    うに設定したことを特徴とする半導体レーザ装置。
  17. 【請求項17】 少なくとも表面に金属層を有する台座
    と、この台座上にサブマウントを介した状態で金属はん
    だにより固定された半導体レーザチップとを備えた半導
    体レーザ装置において、 前記台座の上面位置から前記半導体レーザチップの上面
    位置までの厚さ寸法h(半導体レーザチップの厚さ寸法
    Hとサブマウントの厚さ寸法Hsとの和の寸法h=H+
    Hs)を、それを変化させたときに前記残留応力が引張
    から圧縮に転ずるときあるいは圧縮から引張に転ずると
    きの値もしくはその値を中心としてその近傍である±6
    0μmの範囲内となるように設定したことを特徴とする
    半導体レーザ装置。
  18. 【請求項18】 少なくとも表面に金属層を有する台座
    と、この台座上にサブマウントを介した状態で金属はん
    だにより固定された半導体レーザチップとを備えた半導
    体レーザ装置において、 前記台座の上面位置から前記半導体レーザチップの上面
    位置までの厚さ寸法h(半導体レーザチップの厚さ寸法
    Hとサブマウントの厚さ寸法Hsとの和の寸法h=H+
    Hs)を、それを変化させたときに前記残留応力が引張
    から圧縮に転ずるときあるいは圧縮から引張に転ずると
    きの値もしくはその値を中心としてその近傍である±4
    0μmの範囲内となるように設定したことを特徴とする
    半導体レーザ装置。
  19. 【請求項19】 少なくとも表面に金属層を有する台座
    と、この台座上にサブマウントを介した状態で金属はん
    だにより固定された半導体レーザチップとを備えた半導
    体レーザ装置において、 前記台座の上面位置から前記半導体レーザチップの上面
    位置までの厚さ寸法h(半導体レーザチップの厚さ寸法
    Hとサブマウントの厚さ寸法Hsとの和の寸法h=H+
    Hs)を、それを変化させたときに前記残留応力が引張
    から圧縮に転ずるときあるいは圧縮から引張に転ずると
    きの値もしくはその値を中心としてその近傍である±2
    0μmの範囲内となるように設定したことを特徴とする
    半導体レーザ装置。
  20. 【請求項20】 請求項12ないし19のいずれかに記
    載の半導体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップおよび前記台座ならびに前記サ
    ブマウントは、その熱膨張係数が前記台座が最も大きく
    前記サブマウントが最も小さい値となる材料を選択して
    構成していることを特徴とする半導体レーザ装置。
  21. 【請求項21】 請求項20に記載の半導体レーザ装置
    において、 前記半導体レーザチップはGaAsもしくはInP系材
    料で形成され、前記台座は鉄系材料で形成され、前記サ
    ブマウントはSi系材料で形成されていることを特徴と
    する半導体レーザ装置。
  22. 【請求項22】 請求項17ないし19のいずれかに記
    載の半導体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップは、GaAs系材料により形成
    され、 前記サブマウントは、GaAs系材料により形成され、 前記台座は、鉄系材料により形成されていることを特徴
    とする半導体レーザ装置。
  23. 【請求項23】 請求項12に記載の半導体レーザ装置
    において、 前記半導体レーザチップは、GaAs系材料により形成
    され、 前記サブマウントは、GaAs系材料により形成され、 前記台座は、鉄系材料により形成されており、 前記比の値W/hは、4以下に設定して前記条件を満た
    すようにしたことを特徴とする半導体レーザ装置。
  24. 【請求項24】 請求項12に記載の半導体レーザ装置
    において、 前記半導体レーザチップは、GaAs系材料により形成
    され、 前記サブマウントは、Si系材料により形成され、 前記台座は、鉄系材料により形成されており、 前記比の値W/hは、2.7以上で且つ4.4以下の範
    囲の値に設定して前記条件を満たすようにしたことを特
    徴とする半導体レーザ装置。
  25. 【請求項25】 請求項12に記載の半導体レーザ装置
    において、 前記半導体レーザチップは、InP系材料により形成さ
    れ、 前記サブマウントは、InP系材料により形成され、 前記台座は、鉄系材料により形成されており、 前記比の値W/hは、4以下に設定して前記条件を満た
    すようにしたことを特徴とする半導体レーザ装置。
  26. 【請求項26】 請求項12に記載の半導体レーザ装置
    において、 前記半導体レーザチップは、InP系材料により形成さ
    れ、 前記サブマウントは、Si系材料により形成され、 前記台座は、鉄系材料により形成されており、 前記比の値W/hは、2.1以上で且つ4.4以下の範
    囲の値に設定して前記条件を満たすようにしたことを特
    徴とする半導体レーザ装置。
  27. 【請求項27】 請求項12に記載の半導体レーザ装置
    において、 前記半導体レーザチップは、InP系材料により形成さ
    れ、 前記サブマウントは、GaAs系材料により形成され、 前記台座は、鉄系材料により形成されており、 前記比の値W/hは、3.7以下に設定して前記条件を
    満たすようにしたことを特徴とする半導体レーザ装置。
  28. 【請求項28】 請求項1ないし27のいずれかに記載
    の半導体レーザ装置において、 前記金属はんだは、金を含んだ合金によりなることを特
    徴とする半導体レーザ装置。
  29. 【請求項29】 請求項1ないし28のいずれかに記載
    の半導体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップは、ストライプ幅が100μm
    以上に設定されたものであることを特徴とする半導体レ
    ーザ装置。
  30. 【請求項30】 鉄系材料よりなる台座と、この台座上
    に金属はんだにより固定された半導体レーザチップとを
    備えた半導体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップが化合物半導体からなり、 前記半導体レーザチップの厚さ寸法Hを、前記台座上に
    固定したときに冷却後に発光領域が受ける残留応力が、
    その厚さ寸法Hを変化させたときに引張応力から圧縮応
    力に転ずるときあるいは圧縮応力から引張応力に転ずる
    ときの厚さ寸法以上に設定したことを特徴とする半導体
    レーザ装置。
  31. 【請求項31】 請求項30に記載の半導体レーザ装置
    において、 前記半導体レーザチップは、 III−V族系半導体からな
    ることを特徴とする半導体レーザ装置。
  32. 【請求項32】 鉄系材料よりなる台座と、この台座上
    にサブマウントを介した状態で金属はんだにより固定さ
    れた半導体レーザチップとを備えた半導体レーザ装置に
    おいて、 前記半導体レーザチップおよびサブマウントが化合物半
    導体からなり、 前記半導体レーザチップの厚さ寸法Hおよび前記サブマ
    ウントの厚さ寸法Hsのとの合計の厚さ寸法h(h=H
    +Hs)を、前記台座上に固定したときに冷却後に発光
    領域が受ける残留応力が、その厚さ寸法hを変化させた
    ときに引張応力から圧縮応力に転ずるときあるいは圧縮
    応力から引張応力に転ずるときの厚さ寸法以上に設定し
    たことを特徴とする半導体レーザ装置。
  33. 【請求項33】 請求項32に記載の半導体レーザ装置
    において、 前記半導体レーザチップおよびサブマウントは、 III−
    V族系半導体からなることを特徴とする半導体レーザ装
    置。
  34. 【請求項34】 請求項33に記載の半導体レーザ装置
    において、 前記半導体レーザチップおよびサブマウントは、同じ I
    II−V族系半導体からなることを特徴とする半導体レー
    ザ装置。
  35. 【請求項35】 請求項30ないし34のいずれかに記
    載の半導体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップは、ストライプ幅が100μm
    以上に設定されたものであることを特徴とする半導体レ
    ーザ装置。
  36. 【請求項36】 請求項1に記載の半導体レーザ装置に
    おいて、 前記半導体レーザチップは、GaAs系材料により形成
    され、 前記台座は、銅系材料により形成されており、 前記比の値W/Hは、2.2以上で且つ3.5以下に設
    定して前記条件を満たすようにしたことを特徴とする半
    導体レーザ装置。
  37. 【請求項37】 請求項6ないし8のいずれかに記載の
    半導体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップは、GaAs系材料により形成
    され、前記台座は、銅系材料により形成されていること
    を特徴とする半導体レーザ装置。
  38. 【請求項38】 請求項1に記載の半導体レーザ装置に
    おいて、 前記半導体レーザチップは、InP系材料により形成さ
    れ、 前記台座は、銅系材料により形成されており、 前記比の値W/Hを3.5以下に設定して前記条件を満
    たすようにしたことを特徴とする半導体レーザ装置。
  39. 【請求項39】 請求項12ないし19のいずれかに記
    載の半導体レーザ装置において、 前記台座は銅系材料で形成され、 前記サブマウントはSi系材料で形成され 前記半導体レーザチップおよび前記台座ならびに前記サ
    ブマウントは、その熱膨張係数が前記台座が最も大きく
    前記サブマウントが最も小さい値となる材料を選択して
    構成していることを特徴とする半導体レーザ装置。
  40. 【請求項40】 請求項12に記載の半導体レーザ装置
    において、 前記半導体レーザチップは、GaAs系材料により形成
    され、 前記サブマウントは、GaAs系材料により形成され、 前記台座は、銅系材料により形成されており、 前記比の値W/hは、2.2以上で且つ3.5以下に設
    定して前記条件を満たすようにしたことを特徴とする半
    導体レーザ装置。
  41. 【請求項41】 請求項12に記載の半導体レーザ装置
    において、 前記半導体レーザチップは、GaAs系材料により形成
    され、 前記サブマウントは、Si系材料により形成され、 前記台座は、銅系材料により形成されており、 前記比の値W/hは、3.0以上で且つ4.1以下の範
    囲の値に設定して前記条件を満たすようにしたことを特
    徴とする半導体レーザ装置。
  42. 【請求項42】 請求項12に記載の半導体レーザ装置
    において、 前記半導体レーザチップは、InP系材料により形成さ
    れ、 前記サブマウントは、InP系材料により形成され、 前記台座は、銅系材料により形成されており、 前記比の値W/hは、3.5以下に設定して前記条件を
    満たすようにしたことを特徴とする半導体レーザ装置。
  43. 【請求項43】 請求項12に記載の半導体レーザ装置
    において、 前記半導体レーザチップは、InP系材料により形成さ
    れ、 前記サブマウントは、Si系材料により形成され、 前記台座は、銅系材料により形成されており、 前記比の値W/hは、2.5以上で且つ4.1以下の範
    囲の値に設定して前記条件を満たすようにしたことを特
    徴とする半導体レーザ装置。
  44. 【請求項44】 請求項12に記載の半導体レーザ装置
    において、 前記半導体レーザチップは、InP系材料により形成さ
    れ、 前記サブマウントは、GaAs系材料により形成され、 前記台座は、銅系材料により形成されており、 前記比の値W/hは、3.5以下に設定して前記条件を
    満たすようにしたことを特徴とする半導体レーザ装置。
  45. 【請求項45】 銅系材料よりなる台座と、この台座上
    に金属はんだにより固定された半導体レーザチップとを
    備えた半導体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップが化合物半導体からなり、 前記半導体レーザチップの厚さ寸法Hを、前記台座上に
    固定したときに冷却後に発光領域が受ける残留応力が、
    その厚さ寸法Hを変化させたときに引張応力から圧縮応
    力に転ずるときあるいは圧縮応力から引張応力に転ずる
    ときの厚さ寸法以上に設定したことを特徴とする半導体
    レーザ装置。
  46. 【請求項46】 請求項45に記載の半導体レーザ装置
    において、 前記半導体レーザチップは、 III−V族系半導体からな
    ることを特徴とする半導体レーザ装置。
  47. 【請求項47】 銅系材料よりなる台座と、この台座上
    にサブマウントを介した状態で金属はんだにより固定さ
    れた半導体レーザチップとを備えた半導体レーザ装置に
    おいて、 前記半導体レーザチップおよびサブマウントが化合物半
    導体からなり、 前記半導体レーザチップの厚さ寸法Hおよび前記サブマ
    ウントの厚さ寸法Hsのとの合計の厚さ寸法h(h=H
    +Hs)を、前記台座上に固定したときに冷却後に発光
    領域が受ける残留応力が、その厚さ寸法hを変化させた
    ときに引張応力から圧縮応力に転ずるときあるいは圧縮
    応力から引張応力に転ずるときの厚さ寸法以上に設定し
    たことを特徴とする半導体レーザ装置。
  48. 【請求項48】 請求項47に記載の半導体レーザ装置
    において、 前記半導体レーザチップおよびサブマウントは、 III−
    V族系半導体からなることを特徴とする半導体レーザ装
    置。
  49. 【請求項49】 請求項48に記載の半導体レーザ装置
    において、 前記半導体レーザチップおよびサブマウントは、同じ I
    II−V族系半導体からなることを特徴とする半導体レー
    ザ装置。
  50. 【請求項50】 請求項36ないし49のいずれかに記
    載の半導体レーザ装置において、 前記金属はんだは、金を含んだ合金によりなることを特
    徴とする半導体レーザ装置。
  51. 【請求項51】 請求項36ないし50のいずれかに記
    載の半導体レーザ装置において、 前記半導体レーザチップは、ストライプ幅が100μm
    以上に設定されたものであることを特徴とする半導体レ
    ーザ装置。
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