JP2001165260A - 摩擦伝動式回転駆動装置 - Google Patents
摩擦伝動式回転駆動装置Info
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Abstract
制動機構を付設可能とし、その制動能力を確保しつつ、
優れたコストパフォーマンスを発揮できるようにする。 【解決手段】 単純遊星ローラ機構128と、太陽ロー
ラ130を駆動するモータ126と、を備える摩擦伝動
式回転駆動装置101において、モータ126に制動機
構122を付設し、制動機構122によって取り出し得
る静止摩擦トルクYdと、単純遊星ローラ機構128の
試験トルクの値Xdとが、Yd<Xdとなるように設定
し、且つ、定格回転速度において制動機構122によっ
て取り出し得る動摩擦トルクYsと、太陽ローラ130
が定格回転速度で回転する場合に単純遊星ローラ機構1
28の限界伝達トルクXsとが、0.65Ys<Xs<3.4
Ysとなるように設定する。
Description
太陽ローラ、遊星ローラ、リングローラ、を有する単純
遊星ローラ機構と、この太陽ローラを回転駆動する制動
機構付のモータと、を備える摩擦伝動式回転駆動装置に
関する。
行う単純遊星ローラ機構と、モータと、を備える摩擦伝
動式の回転駆動装置が数多く提案されている。
は未公知の)摩擦伝動式の回転駆動装置100を示して
いる。この回転駆動装置100は、摩擦ローラとして、
太陽ローラ30、キャリア32に保持されると共に、太
陽ローラ30の外周に転接する遊星ローラ34、及びこ
の遊星ローラ34が自身の内周に転接すると共に自身の
回転が規制されたリングローラ36、を有する単純遊星
ローラ機構28と、この太陽ローラ30に連結されてこ
の太陽ローラ30を駆動するモータ102と、を備えて
いる。
2Aが平行キーを介して太陽ローラ30と連結されてお
り、モータ102自体は、単純遊星ローラ機構28を収
容するケーシング38のフランジ部38Bにボルトによ
って固定されている。
向内側に突出するリング状の固定部38Aが形成されて
おり、そこにリングローラ36がボルト40によって固
定されている。
0における単純遊星ローラ機構28は、太陽ローラ30
を入力要素、キャリア32を出力要素、リングローラ3
6を固定要素としたものであり、全体としては減速機能
を有している。即ち、この回転駆動装置100は、モー
タ102の回転動力を太陽ローラ30に伝達し、これを
所定の減速比でもってキャリア32側から出力する構造
である。
間の接触面に生ずる摩擦力を利用してモータ102の回
転動力を伝達するものであり、歯車等による伝達構造に
比較して円滑且つ静粛な運転が可能である。
って所定の伝達能力(伝達可能トルク)を確保するに
は、各摩擦ローラ間に十分な摩擦力を発生させる必要が
ある。この摩擦力は、一般にはリングローラ36の内径
を、遊星ローラ34の直径の2倍と太陽ローラ30の直
径との和より小さくし、いわゆる締め力を付与してリン
グローラ36を弾性変形させることによって付与され
る。締め力が大きい場合は摩擦ローラ間の摩擦力も大き
くなり、この摩擦力によって単純遊星ローラ機構28の
伝達可能トルクも増大し、反対に締め力が小さい場合に
は伝達可能トルクが低下する。なお、伝達可能トルクが
大きい(締め力が大きい)場合には、各摩擦用ローラの
回転抵抗も増大しており、回転駆動装置100の伝達効
率が低下すると共に、転動疲労による単純遊星ローラ機
構28の耐久性の低下が問題となる。
ローラ機構28を採用することで、主に2つのメリット
を得ている。1つは、既に示したように、歯車等の伝達
構造に比べて円滑且つ静粛な動力伝達ができる結果、回
転動力の伝達効率が高くなりモータ102の消費電力が
低く抑えられ、いわゆる「省エネ」に寄与することであ
る。もう1つは、歯車等に比べて摩擦ローラは製造が比
較的容易であることから、製造コストが低減されて回転
駆動装置100全体が「安価」になることである。
構28を採用することによるデメリットとしては、摩擦
力によって回転動力を伝達する構造であるが故に、回転
する各摩擦ローラの接触面間には常に微妙な滑りが生じ
ており、太陽ローラ30の回転速度とキャリア32の回
転速度とは、必ずしも「厳密な」減速比の関係にはない
ことである。従って、この点については歯車等の伝達構
造の方が優れていると言える。
(回転駆動装置)が実際に使用される状況を考えると、
そもそも誘導モータ等が採用される場合はロータと回転
磁界との間に一定の滑りが生じており、この減速機構自
体に厳密な減速比を要求する必要はない。即ち、連結さ
れる相手機械の回転速度を、所定の値に維持するには、
相手機械側等の回転速度を計測してモータをフィードバ
ック制御しなければならないのが一般的であり、厳密な
減速比関係であるが高価でもある歯車減速構造よりも、
むしろ「省エネ」で且つ「安価」である単純遊星ローラ
機構の方が現在の市場のニーズに沿っているとも言え
る。
転駆動装置(いわゆるギヤドモータ)においては、モー
タ等に制動機構が追加されているものが数多く存在する
が、本発明者の知る限りでは、制動機構付の摩擦伝動式
回転駆動装置は市場に出回っておらず、又、制動機構を
付設したいという提案も一切なされていないのが現状で
ある。これは、以下に示すような難点が実際には数多く
存在するためと予想される。
最適な組合せに関して、これまで確立された理論体系が
ない。
は各摩擦ローラの接触面間に生じる摩擦力を介して動力
を伝達するものであり、大きな回転負荷がかかったよう
な場合には、接触面に「滑り」が生じる。一方で、一般
的に用いられる制動機構も又、ブレーキ片によってブレ
ーキ輪を締め付けることによる摩擦によって運動エネル
ギを熱エネルギに変換するものであり、つまりブレーキ
輪とブレーキ片との「滑り」によって制動力を発生する
ものである。
は共に滑りを伴う可能性を有するため、確実な制動とい
う観点からは、その最適な組合せを見出すことが困難で
あり、実際に設計・製造する場合には、このような不確
定な要因を含めて安全性を高めに設定し、単純遊星ロー
ラ機構の(締め力に依存する)伝達可能トルクを大きく
設定する必要がある。
制動能力(制動時に発生する制動トルク)に対して単純
遊星ローラ機構の伝達能力(伝達可能トルク)が小さす
ぎると、この回転駆動装置に連結された相手機械(外部
負荷)を確実に制動することができないと考えられてい
たためである。
タの回転駆動力を効率良く伝達しなければならない。
ラ機構を(伝達能力を含めて)大きめに設計・製造した
場合には、各摩擦ローラの回転抵抗が大きくなり、「高
効率に回転動力を伝達する」という摩擦伝動式の単純遊
星ローラ機構のメリットが失われてしまう。又、当然コ
ストも上昇してしまう。即ち、伝達効率やコストの面か
ら考えると、単純遊星ローラ機構は(伝達能力を含め
て)できるだけ小さく設計しなければならない。
り、摩擦伝動式の回転駆動装置に容易に制動機構を付設
することができず、その結果、制動機構の採用が見送ら
れてきたと考えられる。
されたものであり、単純遊星ローラ機構、モータ、及び
制動機構の三者のバランスを最も適した状態で組み合し
て、制動能力を維持しつつ高効率化及び低廉化を両立し
たコストパフォーマンスに優れた摩擦伝動式の回転駆動
装置を得ることを目的とする。
して、太陽ローラ、キャリアに保持されると共に太陽ロ
ーラの外周に転接する遊星ローラ、及びこの遊星ローラ
が自身の内周に転接するリングローラ、を有する単純遊
星ローラ機構と、この太陽ローラに連結されてこの太陽
ローラを駆動するモータと、を備える摩擦伝動式回転駆
動装置において、このモータに制動機構を付設すると共
に、この制動機構によって取り出し得る静止摩擦トルク
Ydと、このキャリア及び前記リングローラを固定した
状態で太陽ローラに試験トルクを徐々に増大させて入力
し、摩擦ローラのいずれかに最初に滑りが生じた際の試
験トルクの値Xdとが、Yd<Xdとなるように設定
し、且つ、モータの定格回転速度において制動機構によ
って取り出し得る動摩擦トルクYsと、太陽ローラが定
格回転速度で回転する場合に、単純遊星ローラ機構がこ
の太陽ローラで伝達し得る限界伝達トルクXsとが、0.
65Ys<Xs<3.4Ysとなるように設定したことによ
り、上記目的を達成するものである。
とを組合せた摩擦伝動式の回転駆動装置に新たに制動機
構を付設するにあたって、実際にこの回転駆動装置が使
用されるであろう状況を考慮し、その静止時の制動状態
と回転時の制動状態との違いに着目した。
ブレーキ輪をブレーキ片によって挟持して摩擦力によっ
て制動力を発揮するものであるが、その制動能力がブレ
ーキ輪の回転速度によって変動しないようにするため
に、静止時の静止摩擦トルク(いわゆる保持トルク)と
回転時の動摩擦トルクとの相対差を、(多少静摩擦トル
クが上回るものの)できるだけ小さく設定している。
回転負荷を発生する目的のものではなく、各摩擦ローラ
間に所定の締め力を与えて円滑に回転することに主眼を
置いている。従って静止時の前記試験トルクXd(保持
トルクともいえる)に対して、回転中の限界伝達トルク
Xsは「相対的に」かなり小さくてよい。
達(制動)能力の相対的な差が、制動機構と単純遊星ロ
ーラ機構とで大きく異なることに着目した。従って、こ
の違いを上手く利用する為に、単純遊星ローラ機構の静
止時の伝達能力を示す「試験トルクXd」と、回転時の
伝達能力を示す「限界伝達トルクXs」という新たな概
念を導入し、実際の単純遊星ローラ機構から測定される
これらの数値から、単純遊星ローラ機構、制動機構及び
モータの最適なバランスを設定することができることを
見出した。
達トルクXsと、制動機構の制動トルク(静止摩擦トル
ク、動摩擦トルク)とを上記のような大小関係に設定す
ることが「可能」となった。この摩擦伝動式回転駆動装
置によれば、静止時には制動機構によって取り出し得る
静止摩擦トルクを、単純遊星ローラ機構を介して接続さ
れる相手機械に確実に伝達し、相手機械を確実に静止状
態に保持制することができる。又、回転している相手機
械に対しては、制動機構が発生する動摩擦トルクを単純
遊星ローラ機構を介して「ある程度」確実に伝達し、相
手機械の回転速度を確実に低下させることができる。
には相手機械を確実に静止させなければならないが、回
転中の制動時はそもそも制動機構自身が滑りながら制動
している状態と考えられるので、単純遊星ローラ機構は
必ずしもその制動力を「完全に」相手機械に伝達する必
要はなく、自身が滑る可能性を有していても構わないと
いえる。従って、単純遊星機構が伝達し得る限界の範囲
内で、回転駆動装置が所定の制動力を発揮して相手機械
の回転速度を低減させれば十分であり、更に、相手機械
側の回転速度が制動によって徐々に低下するに連れて単
純遊星ローラ機構の限界伝達能力も徐々に増大するので
(発明者が確認済)、最終的な相手機械の回転の静止に
向けて回転駆動装置の制動能力(相手機械に伝達し得る
制動能力)も向上していくという構成が採用された。結
果として、最終的には必ず相手機械を確実に制動するこ
とができ、又、一旦静止すれば相手機械が勝手に回転し
始めることがない。
合せの関係を考慮すると、本発明に係る回転駆動装置の
構成ならば、定格回転速度におけるモータの駆動能力に
対して単純遊星ローラ機構の伝達能力は大きすぎるもの
ではなく、又、小さ過ぎるものでもなく、最適に設定さ
れているといえる。即ち、上記のように制動機能を確実
に発揮するのにも拘らず、静粛且つ円滑な回転動力の伝
達(高効率な伝達)という摩擦伝動タイプの特性を十分
に維持している。
ーラ機構、制動機構、モータの三者の能力バランスが最
適に設定され、コストパフォーマンスに優れた回転駆動
装置が得られる。
的なモータの駆動能力については、単純遊星ローラ機構
の限界伝達トルクXsに対して、モータの定格トルクT
が、T<Xsとなるように設定することが好ましい。こ
のようにすれば、制動能力に加えて駆動能力の面におい
ても、この摩擦伝動式回転駆動装置に連結される相手機
械を更に確実に駆動することができる。
ラ機構の限界伝達トルクXsが0.65Ys<Xs<3.4Y
sとなるように設定したが、好ましくは0.8Ys<Xs
<1.7Ysとし、ベストはYsとXsがほぼ一致するよ
うに設定することである。
の動力伝達態様としては、以下に示されるような固定・
入力・出力の関係がある。
ングローラを固定要素、遊星ローラを保持するキャリア
を出力要素とする場合と、リングローラを出力要素、遊
星ローラを保持するキャリアを固定要素とする場合があ
り、 2)遊星ローラを保持するキャリアを入力要素とした場
合は、リングローラを固定要素、太陽ローラを出力要素
とする場合と、リングローラを出力要素、太陽ローラを
固定要素とする場合があり、 3)リングローラ入力要素とした場合は、遊星ローラを
保持するキャリアを固定要素、太陽ローラを出力要素と
する場合と、遊星ローラを保持するキャリアを出力要
素、太陽ローラを固定要素とする場合がある。
(1)の態様を採用するものであり、リングローラ又は
キャリアのいずれを出力要素にしたとしても本発明を適
用することができる。
施の形態の例について詳細に説明する。
動式の回転駆動装置101が示されている。この回転駆
動装置101は、摩擦ローラとして、太陽ローラ13
0、キャリア132に保持されると共に、太陽ローラ1
30の外周に転接する遊星ローラ134、及びこの遊星
ローラ134が自身の内周に転接する共に自身の回転が
規制されたリングローラ136、を有する単純遊星ロー
ラ機構128と、この太陽ローラ130に連結されて太
陽ローラ130を駆動するモータ126と、を備える。
26には、制動機構122が付設されており、この制動
機構によって取り出し得る静止摩擦トルクYdと、単純
遊星ローラ機構128が有する試験トルクXd(詳細は
後述する)とが、Yd<Xdとなるように設定され、且
つ、モータ126の定格回転速度において制動機構12
2によって取り出し得る動摩擦トルクYsと、太陽ロー
ラ130が定格回転速度で回転する場合の単純遊星ロー
ラ機構128が有する限界伝達トルクXs(詳細は後述
する)とが、0.65Ys<Xs<3.4Ysとなるように設
定されている。
くは0.8Ys<Xs<1.7Ysの範囲内に設定するべく、
又、モータ126の定格トルクTsと、上記限界伝達ト
ルクXsとは、T<Xsとなるように設定されている。
この数値は、発明者らが数多くの試作品を作製し、実際
に、数多くの場面で適用試験を行った結果得られた知見
に基づいている。
構128は2分割構造のケーシング138の内部に収容
されており、又、この2分割構造のケーシング138の
間にはリングローラ136が挟持され、ボルト140に
よって三者がまとめて連結されている。即ち、リングロ
ーラ136もケーシング138の一部を構成している。
又、キャリア132の軸心位置には出力軸133が突設
されており、カップリング等を介して相手機械(被駆動
機械)と連結できるようになっている。
は、モータ126のモータケーシング126Aが一体的
に連結されている。又、このモータ126のロータと一
体的に回転するモータ軸148の一端は、キー構造によ
って太陽ローラ130に連結されており、他端側には制
動機構122が接続されている。
126Aに一体的に設けられるリング状の励磁コイル1
44と、モータケーシング126Aに対して周方向に回
転することができない状態で、軸方向には摺動自在であ
るリング状のブレーキ片146と、モータ軸148に連
結されて太陽ローラ130と一体となって回転するブレ
ーキ輪150と、ブレーキ片146を常時ブレーキ輪1
50方向に付勢するコイルばね152と、を備える。
の励磁コイル144にブレーキ片146が吸い寄せら
れ、コイルばね152の付勢力に抗してブレーキ片14
6がブレーキ輪150から離隔して非制動状態となり、
反対に励磁コイル144が非励磁状態の場合は、コイル
ばね152によってブレーキ片146がブレーキ輪15
0に押し付けられて制動状態になる。
トルクXs」について説明する。
模式的に示されている。太陽ローラ130にはトルク測
定器60を介してトルク発生器62(回転動力を発生す
ることができるもの)が連結される。一方、キャリア1
32は固定部材64に連結されて回転が完全に規制され
ている。なお、リングローラ136はケーシング138
を介して同様に固定部材64に固定されている。
ーラ130にトルクを徐々に増大させて入力する。この
徐々に増大させていく入力トルクが本発明で言う「試験
トルクX」であり、このようにすると、各摩擦ローラの
接触面における摩擦力によって単純遊星ローラ機構12
8側に反力トルクXoが発生し、トルク検出器60によ
って検出される検出トルクXrもそれに追随して徐々に
増大する(X=Xo=Xr)。しかし、摩擦力によって
生じる反力トルクXoが限界に達すると、各摩擦ローラ
のいずれかに滑り回転が発生し、試験トルクXをこれ以
上増大させてもこの滑りによって反力トルクXoが急激
に低下するため、トルク検出器60によって検出される
検出トルクXrも急激に低下する。トルク検出器60に
よって得られた上記データ(図3参照)から、検出トル
クXrが急激に低下した際(図3のPに対応する)に、
それまで現に加えていた試験トルクの値を求め、それが
今回の設定に用いる「試験トルク値Xd」に対応する。
即ち、この値は低下する直前の検出トルクXrに等し
い。
機構128が外部負荷を保持することができる限界のト
ルクを太陽ローラ130側のトルク値に換算したものと
表現でき、言い換えれば(反対に考えると)、太陽ロー
ラ130が固定された状態でキャリア132側に連結さ
れた外部負荷が回転しようとする場合に、この単純遊星
ローラ機構128が耐え得る(保持し得る)限界能力を
太陽ローラ130側で数値化したものと言える。
128の限界伝達トルクについて説明する。
太陽ローラ130にトルク測定器60を介して負荷発生
器80(回転負荷を発生することができるもの)を連結
する。一方、キャリア132には、固定部材(母材)6
4に固定された試験モータ84のモータ軸84Aがカッ
プリングを介して連結されている。なお、リングローラ
136はケーシング138を介して同様に固定部材64
に固定されている。
せない状態で、試験モータ84によってキャリア132
を回転させて、将来連結されるモータ102(図1参
照)の定格回転速度で太陽ローラ130を回転させる。
測定しようとする単純遊星ローラ機構128において伝
達可能なトルクや制動機構122の制動トルクに比べて
十分に大きく、太陽ローラ側で多少の負荷変動があって
も、該太陽ローラ130を所定の回転速度(将来連結さ
れるモータ102の定格回転速度)で回転させ続け得る
だけの駆動力を有している。この状態で負荷発生器80
によって太陽ローラ130の回転負荷(負荷トルクX
n)を徐々に増大させて入力してゆくと、試験モータ8
4はこの負荷の増大に拘わらず一定回転を続けるため、
太陽ローラ130には負荷発生器80側から加えた負荷
トルクXnに相当する反力トルクXoが戻り、その結果
トルク検出器60において検出トルクXrが検出される
ようになる(Xn=Xo=Xr)。この検出トルクXr
は負荷トルクXnを増大させるとこれに伴って増大して
いく。しかし、負荷発生器80によって入力される負荷
トルクXnを更に増大させていくと、各摩擦ローラ間の
滑りによって反力トルクXoが負荷トルクXnの上昇に
追随できなくなり、すべりが大きくなり、製品として許
容される限界のすべり率(ほぼ0.2%)に達する(図
5参照)。結果として、この限界に達した際にトルク検
出器60から検出された検出トルクの値Xr(図5にお
けるQ点に対応する)が本発明で言う「限界伝達トルク
Xs」である。
力要素の場合を示しているが、リングローラを出力要素
にする場合は、このリングローラに負荷発生器80を連
結して同様に測定すれば良い。
ローラ機構128が、将来連結され得るモータ102に
よって駆動されて定格速度で回転している場合に、相手
機械の外部負荷を駆動することができる許容限界のトル
ク値を表わしている。つまり、相手機械の制動という面
から考えると、太陽ローラ130が定格速度で回転して
いる状態において、この単純遊星ローラ機構128が、
相手機械側に伝達することができる制動能力(トルク)
の許容限界値とも言える。
して測定された試験トルク値Xd、限界伝達トルクX
s、及び制動機構の静止摩擦トルクYd、動摩擦トルク
Ysとが上記のように設定されているため、制動機構1
22に対して単純遊星ローラ機構128が最適な大きさ
(伝達能力)になっており、「最終的には相手機械を確
実に静止させる」という基本機能を十分に発揮する。
ラ機構128の各摩擦ローラに滑りが発生する可能性を
有するものの、制動機構122の制動トルク(動摩擦ト
ルク)を相手機械側に(単純遊星機構128が伝え得る
限界内で)確実に伝達して相手機械の回転速度を低減す
ることができる。この状態が継続するとやがて相手機械
の回転速度が低下し、それに伴って単純遊星ローラ機構
128の限界伝達トルクが上昇していくので(本発明者
によって実験・実証済み)、制動機構122の制動トル
クが更に確実に伝達するようになり、最終的には相手機
械を必ず静止させることができる。
2の制動トルク(静止摩擦トルクYd)より単純遊星ロ
ーラ機構128の保持トルク(試験トルクの値Xd)が
上回っているので、制動機構122が滑り出す前に単純
遊星ローラ機構128が先に滑り出すことがなく、相手
機械を十分に保持することができる。
タ126と制動機構122の一般的な能力バランスから
考えると、上記限界伝達トルクXsと静止摩擦トルクY
sの関係からも明らかなように、モータ126に対して
単純遊星ローラ機構128が最適の大きさ(伝達能力)
になっており、単純遊星ローラ機構128が大き過ぎる
ということはない。従って、モータ126の回転動力を
高効率で相手機械側に伝達することができる。
純遊星ローラ機構128にとっては相反する要求を、共
に最適な状態でバランスさせているので、全体としてコ
ストパフォーマンスに優れた回転駆動装置101となっ
ている。
限界伝達トルクXsと、モータの定格トルクTとが、T
<Xsとなるように設定したが、更に好ましくは、T<
0.8Xsとなるように設定し、ベストはT≒0.6X
sである。
の後尾に制動機構が付設された場合を示したが、本発明
はこれに限定されるものではなく、単純遊星ローラ機構
とモータとの間に制動機構が付設される場合も含むもの
であり、その制動機構の構造も上記のディスク式に限定
されるものではない。例えば、ブレーキ輪をブレーキ片
によって径方向に圧接するドラムタイプでも良く、又、
オン・オフの切換方法も油圧式、機械式、空気圧式等を
採用することもできる。
ローラ機構と、モータと、制動機構と、を組合せた回転
駆動装置を示したが、更にこれに加えて、本発明の要旨
が適用可能な範囲で別途減速機等を付設したものでも良
い。
によれば、相手機械を確実に制動することができ、特
に、コスト面及び伝達効率の面(省エネルギ面)の双方
に優れた摩擦伝動式の回転駆動装置を得ることができ
る。
動装置を示す部分断面図
試験トルクを測定する状態を示す模式図
模式図
限界伝達トルクを測定する状態を示す模式図
模式図
Claims (2)
- 【請求項1】摩擦ローラとして、太陽ローラ、キャリア
に保持されると共に前記太陽ローラの外周に転接する遊
星ローラ、及び該遊星ローラが自身の内周に転接するリ
ングローラ、を有する単純遊星ローラ機構と、前記太陽
ローラに連結されて該太陽ローラを駆動するモータと、
を備える摩擦伝動式回転駆動装置において、 前記モータに制動機構を付設すると共に、 前記制動機構によって取り出し得る静止摩擦トルクYd
と、前記キャリア及び前記リングローラを固定した状態
で前記太陽ローラに試験トルクを徐々に増大させて入力
し、前記摩擦ローラのいずれかに最初に滑り回転が生じ
た際の前記試験トルクの値Xdとが、Yd<Xdとなる
ように設定し、且つ前記モータの定格回転速度において
前記制動機構によって取り出し得る動摩擦トルクYs
と、前記太陽ローラが前記定格回転速度で回転する場合
に前記単純遊星ローラ機構が該太陽ローラで伝達し得る
限界伝達トルクXsとが、0.65Ys<Xs<3.4Ysと
なるように設定したことを特徴とする摩擦伝動式回転駆
動装置。 - 【請求項2】請求項1において、 前記単純遊星ローラ機構の前記限界伝達トルクXsと、
前記モータの定格トルクTとが、T<Xsとなるように
設定したことを特徴とする摩擦伝動装置
Priority Applications (8)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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