JP2001165044A - 摺動部材 - Google Patents

摺動部材

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JP2001165044A
JP2001165044A JP35131199A JP35131199A JP2001165044A JP 2001165044 A JP2001165044 A JP 2001165044A JP 35131199 A JP35131199 A JP 35131199A JP 35131199 A JP35131199 A JP 35131199A JP 2001165044 A JP2001165044 A JP 2001165044A
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oil
compressor
sliding
titanium boride
thickness
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JP35131199A
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English (en)
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Takanori Ishida
貴規 石田
Ichiro Morita
一郎 森田
Junta Kawabata
淳太 川端
Ko Inagaki
耕 稲垣
Makoto Katayama
誠 片山
Akira Hayashi
陽 林
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Refrigeration Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、オイルの供給が少ない場合、ある
いはオイルフリー条件下においても、摺動部位の低摩擦
化が図れ、かつ耐摩耗性を向上させた信頼性の高い圧縮
機やポンプ等の摺動部材を提供することを目的としてい
る。 【解決手段】 密閉された容器内に圧縮機構と冷媒と冷
凍機油を内装し、前記圧縮機構における摺動材料の少な
くとも一方が70〜99wt%のほう化チタンセラミッ
クス粉末に対し、ニッケル粉末、及び炭素粉末を合計で
1〜30wt%配合した複合材料からなることを特徴と
したもので、ほう化チタンセラミックス自体がもつ耐摩
耗性に加え、ほう化物による自己潤滑性により、オイル
供給状態が悪い場合においても、高信頼性,高効率の圧
縮機及びポンプが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷凍冷蔵装置や空
調機器等に用いられる圧縮機及びポンプ等の摺動部材に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】冷凍サイクル等に使用する圧縮機には従
来から冷媒としてCFC−12(ジクロロジフロロメタ
ン)やHCFC−22(モノクロロジフロロメタン)が
主に使用されてきたが、オゾン層の破壊が生物系に及ぼ
す影響や地球温暖化の観点から、分子内に塩素(Cl)
原子を含まないHFC系冷媒であるHFC−134a
(1,1,1−テトラフロロエタン)等の冷媒や自然冷
媒(ハイドロカーボン、二酸化炭素、アンモニア、水
素,ヘリウム等)が使用されてきている。
【0003】また、冷凍サイクル等に使用する圧縮機に
は従来から冷媒と合成オイル等により摺動部位の潤滑を
行ってきたが、環境負荷物質削減の観点から、圧縮機内
にオイルを封入しないオイルフリーの圧縮機の開発が望
まれている。
【0004】しかし、冷媒がCFC−12からHFC−
134aに変わることにより、摺動時に摺動部表面にて
形成される耐摩耗性及び潤滑効果を呈する塩化鉄(Fe
Clx)膜の生成が望めないことや、特に、オイルフリ
ーにより摺動状態が極めて悪くなると、摩擦係数が増加
し摩耗量が顕著に多くなることから、圧縮機の効率が悪
化し、信頼性確保は困難となる。
【0005】このような状況下において、長期に亘る耐
久信頼性を確保するためには、耐摩耗性に優れた摺動材
料の開発が益々重要となる。
【0006】従来の圧縮機としては,例えば振動式圧縮
機として実開昭58−116784号公報に開示されて
いるものがある。
【0007】以下、図面を参照しながら前記従来の圧縮
機の一例について説明する。
【0008】図7は従来の圧縮機の断面図である。
【0009】圧縮機1は、モーター3、シリンダー5、
軸受6、ピストン8、共振スプリング11、シリンダー
ヘッド10から構成されており、サスペンションスプリ
ング(図示せず)により、密閉ケーシング2内に弾性支
持されている。モーター3は、コイル巻線により形成さ
れた固定子4と鉄心で形成された可動子7とから構成さ
れており、可動子7はピストン8に固定されている。
【0010】シリンダー5、軸受6は、ピストン8が軸
方向に可動可能なように支持している。共振スプリング
11はその一端がモーター3の可動子7に固定され、も
う一方の他端が軸受6に固定されており、一部が密閉ケ
ーシング2内に溜められたオイル12内に浸漬してい
る。
【0011】8aはシリンダー5、ピストン8により構
成される圧縮室であり、ピストン8内の吸入孔8bより
圧縮室8aに導かれた冷媒ガスがピストン8の往復運動
により圧縮される。
【0012】また密閉ケーシング2内の下部に溜まった
オイル12は、ピストン8の軸方向の往復運動に伴う共
振スプリング11の伸縮運動により撹拌され、密閉ケー
シング2内に飛散し、ピストン8とシリンダー5とで構
成される摺動部位、及びピストン8と軸受6とで構成さ
れる摺動部位を潤滑している。
【0013】従来では、圧縮機1の摺動部位を構成する
摺動部材として、ピストン、シリンダは鉄系材料等で形
成されていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、潤滑作
用を有さないHFC系冷媒や自然冷媒の場合、前記鉄系
材料では、起動初期等のオイル供給が少ない状態では摩
擦係数が高く、かつ摩耗が発生する可能性があった。更
に、オイルフリー条件下においては、従来の鉄系材料で
は、異常摩耗や焼き付きが発生し、圧縮機の高効率化、
高信頼性化を実現することは更に困難となる。
【0015】そこで、代替冷媒化やオイルフリー化に対
応した圧縮機やポンプの耐久信頼性を向上すべく、耐摩
耗性に優れた材料としてセラミックスがある。例えば、
特公昭61−23887号公報にあるような窒化珪素セ
ラミックス、窒化炭素セラミックスや、特開平5−71
484にあるような部分安定化ジルコニアセラミックス
がある。
【0016】前者の窒化珪素セラミックス、及び窒化炭
素セラミックスは、耐摩耗性に非常に優れており、鉄系
材料やアルミニウム系合金に比べて各摺動部の油切れに
よる異常摩耗や焼付きを顕著に抑制することができる。
【0017】しかしながら、前記ピストンを窒化珪素セ
ラミックス,窒化炭素セラミックスにて、前記シリンダ
を従来の鉄系材料やアルミニウム合金にて作製した圧縮
機で実機運転を行った場合、圧縮効率が従来よりも低下
するというような不具合が発生する。これは、窒化珪素
セラミックスや窒化炭素セラミックスの線膨張係数が、
鉄系材料のそれに比べて1/4〜1/6程度であること
に起因する。実機運転中では、ピストンとシリンダの周
囲温度は80〜100℃以上に達する。このことから、
ピストン材料とシリンダ材料の線膨張係数の差が大きい
と、熱負荷時の摺動部材間のクリアランスは、嵌め合い
時のそれよりも顕著に拡大し、冷媒漏れが増大するため
に、圧縮効率が従来に比べて低下するのである。
【0018】このように、線膨張係数が鉄系材料よりも
顕著に小さいセラミックス材料は、例え耐摩耗性に優れ
ていたとしても、熱負荷時のクリアランス管理が困難で
あるピストン等の摺動部材には使用することはできな
い。
【0019】一方、後者の部分安定化ジルコニアセラミ
ックスの線膨張係数は鉄系材料とほぼ同等である。この
ことから、ピストンを部分安定化ジルコニアセラミック
スにて、シリンダを鉄系材料で作製すれば、窒化珪素セ
ラミックスや窒化炭素セラミックスの場合に見られた圧
縮効率が従来の比べて低下するというような事象は発生
しない。
【0020】しかしながら、Wear誌(Vol.13
2)のG.W.Stachowiakらの論文による
と、部分安定化ジルコニア系セラミックスと鉄系材料等
の摩擦、摩耗特性を評価検討した結果、オイル供給量が
少ない場合やオイルフリー状態ではセラミックス上への
金属の移着が必ず起こり、特にオイルフリーでの使用で
は、摩擦係数は非常に高く、異常摩耗、焼き付きが発生
するために、オイル等の潤滑剤が必ず必要とのことであ
る。従って、摺動材料として部分安定化ジルコニアセラ
ミックスを使用しても、オイルの供給が極めて悪い条件
下、あるいはオイルフリー条件下において、摺動部位に
おける異常摩耗や焼き付きを抑制、防止することができ
ない。
【0021】本発明は、このような従来技術の問題点に
着目してなされたもので、摺動相手材である鉄系材料の
線膨張係数と同等の線膨張係数を有することから、熱負
荷時の摺動部材間のクリアランスの増大を回避し、圧縮
効率を低下させることはなく、オイルの供給が少ない場
合、あるいはオイルを全く封入しないオイルフリー条件
においても、耐久信頼性の高い圧縮機やポンプを提供す
ることを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の圧縮機やポンプに使用する摺動部材は、圧
縮機構における摺動材料の少なくとも一方が70〜99
wt%のほう化チタンセラミックス粉末に対し、ニッケ
ル粉末、及び炭素粉末を合計で1〜30wt%配合した
複合材料からなることを特徴としたもである。これによ
り、摺動相手材である鉄系材料の線膨張係数と同等の線
膨張係数を有することから、熱負荷時の摺動部材間のク
リアランスの増大を回避し、圧縮効率を低下させること
はなく、オイルの供給が少ない場合、あるいはオイルを
封入しないオイルフリー条件においても、耐久信頼性の
高い圧縮機やポンプを提供することができる。
【0023】請求項2に係る本発明の圧縮機やポンプに
使用する摺動部材は、圧縮機構における摺動材料の少な
くとも一方の基材上に膜厚が0.5〜10.0μmから
なるほう化チタンセラミックス皮膜を形成したことを特
徴としたものである。これにより、オイルの供給が少な
い場合、あるいはオイルを封入しないオイルフリー条件
においても、耐久信頼性の高い圧縮機やポンプを提供す
ることができる。更に、基材として、従来の鉄系材料を
使用し、最適な膜厚からなる皮膜処理のみに留めること
により、実機信頼性確保のための摺動部材改良によるコ
ストアップは、ほう化チタンセラミックスのバルク材へ
の変更に比べて顕著に抑制できる。
【0024】また、請求項3に係る本発明の圧縮機やポ
ンプに使用する摺動部材は、圧縮機構における摺動材料
の少なくとも一方の基材上に平均層厚0.05〜0.3
μmを有する金属Tiからなる密着層を介して、膜厚
0.5〜10.0μmからなるほう化チタンセラミック
ス皮膜を形成したことを特徴とするものである。これに
より、オイルの供給が少ない場合、あるいはオイルを封
入しないオイルフリー条件においても、耐久信頼性の高
い圧縮機やポンプを提供することができる。更に、金属
Tiからなる密着層を介することにより、皮膜層と基材
との密着性が大幅に向上し、摺動時の剥離強度が増大す
るために、ほう化チタンセラミックス皮膜のもつ耐摩耗
性、及び自己潤滑性を十二分に発揮することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を示
す図面を参照しながら説明する。なお、従来と同一構成
については、同一記号を付して詳細な説明を省略する。
【0026】(実施例1)図1は本発明の実施例1によ
る圧縮機の断面図である。図2は同実施例のほう化チタ
ンセラミックス製ピストン13の摺動表面近傍の断面拡
大図である。
【0027】本発明のほう化チタンセラミックス13a
製摺動部材は、例えば、以下の(1)〜(6)の工程に
より製造する。(1)70〜99wt%のほう化チタン
粉末に対し、ニッケル粉末及び炭素粉末を合計で1〜3
0wt%配合し、セラミックス配合物を作成する。
(2)このセラミックス配合物を均質に混合してセラミ
ックス混合物を作成する。(3)このセラミックス混合
物をバインダと共に金型に収容して加圧し、セラミック
ス圧粉体を作成する。(4)このセラミックス圧粉体を
加圧しセラミックス成形体を作成する。(5)このセラ
ミックス成形体を非酸化性雰囲気で焼結し、セラミック
ス焼結体を作成する。(6)このセラミックス焼結体を
所定の摺動部材の寸法精度に沿って研磨加工を行い、ほ
う化チタン製摺動部材を作製する。
【0028】ほう化チタンセラミックスの線膨張係数は
8.0×10-6以上であり、相手材である鉄系材料の線
膨張係数とほぼ同等である。このことから、摺動部材と
してほう化チタンセラミックスを使用することにより、
摺動発熱や雰囲気温度の増加に伴う熱負荷時のクリアラ
ンスの変化量は従来材料とほぼ同等であり、従来に比べ
て冷媒漏れによる圧縮効率低下というような不具合は発
生しない。
【0029】ほう化チタンセラミックスは、高硬度(ヴ
ィッカース硬度、HV2600)、高弾性(ヤング率、
480GPa)を有することから、機械的強度、耐摩耗
性に優れた材料である。更に、ほう化チタンセラミック
スの成分であるほう化物は自己潤滑性を有することは一
般的に知られており、この自己潤滑性により、オイルの
供給が少ない場合、あるいはオイルを封入しないオイル
フリー条件においても、摺動部位の耐摩耗性を一層向上
させることが可能である。
【0030】また、ほう化チタンセラミックスは、耐摩
耗性、高機械的強度といった特性に加え、純鉄と同等レ
ベルの優れた導電性(10-5Ω・cm)を有するために
放電加工による複雑形状・精密形状品の作製への対応も
可能である。
【0031】このように、圧縮機構における摺動材料の
少なくとも一方が70〜99wt%のほう化チタンセラ
ミックス粉末に対し、ニッケル粉末、及び炭素粉末を合
計で1〜30wt%配合した複合材料からなることによ
り、摺動相手材である鉄系材料の線膨張係数と同等の線
膨張係数を有することから、熱負荷時の摺動部材間のク
リアランスの増大を回避し、圧縮効率を低下させること
はなく、オイルの供給が少ない場合、あるいはオイルを
封入しないオイルフリー条件においても、摺動部位の耐
摩耗性を著しく向上させることができる。
【0032】その結果、本実施例の摺動部材により、代
替冷媒化、オイルフリー化に対応できる高信頼性、高効
率の圧縮機及びポンプを得ることが可能である。
【0033】また、本実施例においては、振動式圧縮機
の摺動部材としてピストンを例に挙げたが、その他の摺
動部品や振動式圧縮機以外の他の圧縮方式の摺動部品で
あっても同様の効果が得られる。さらに、使用する冷媒
に関係なく、例えば、HFC系冷媒や自然冷媒を使用す
る圧縮機の場合や冷媒を使用しないポンプなどの場合に
おいても同様の効果が得られる。
【0034】(実施例2)図3は本発明の実施例2によ
る圧縮機の断面図である。図4は同実施例のほう化チタ
ンセラミックス皮膜14aを施したピストン14の表面
近傍の断面拡大図である。
【0035】本発明のほう化チタンセラミックス皮膜1
4aは、例えば、ダイナミックイオンミキシング法を利
用して、以下の工程により製造する。ほう素蒸着とチタ
ンイオン注入、あるいはチタン蒸着とほう素イオン注入
を同時に行い、前者の場合は蒸着ほう素原子数とチタン
イオン入射数の比(B/Ti)を、後者の場合も蒸着チ
タン原子数とほう素イオン入射数の比(Ti/B)を所
定の範囲になるようにイオン注入条件、及び蒸着条件を
制御し、鉄系材料の基材上にほう化チタンセラミックス
皮膜14aを形成する。なお、本実施例では、ほう化チ
タンセラミックス皮膜の膜厚は5.0〜6.0μmであ
り、基材14bとして鋳鉄(FC200)を用いてい
る。
【0036】皮膜であるほう化チタンセラミックス自体
が持つ耐摩耗性に加え、皮膜の主要成分であるほう化物
は自己潤滑性を有することは一般的に知られており、こ
の自己潤滑性により、オイルの供給が少ない場合、ある
いはオイルを封入しないオイルフリー条件においても、
摺動部位の耐摩耗性を一層向上させることが可能であ
る。
【0037】ほう化チタンセラミックス皮膜の膜厚を本
実施例では5.0〜6.0μmとしているが、0.5〜
10.0μmとしても同様な耐摩耗性が得られる。膜厚
が0.5μm未満では十分な耐久性を得ることはできな
い。一方、10.0μm以上の場合、寸法精度の悪化に
加え、逆に剥離し易くなり、耐久信頼性が損なわれる可
能性がある。従って、摺動部材にほう化チタンセラミッ
クス皮膜を形成する場合、冷蔵庫の使用環境、使用条
件、及びコスト等を十分に勘案して、冷蔵庫耐久年数で
ある10年相当の膜厚として、0.5〜10.0μmの
範囲から最適値を選択することが望ましい。
【0038】また、ほう化チタンセラミックスのバルク
材の硬度は、アルミナセラミックスや部分安定化ジルコ
ニアセラミックスに比べて高いことから、寸法精度に関
わる研磨加工に必要なコストが比較的高くなる傾向にあ
る。しかしながら、本実施例のように、基材として従来
の鉄系材料を使用し、摺動表面へのほう化チタンセラミ
ックス皮膜処理に留め、かつ冷凍冷蔵庫等の耐久年数で
ある10年相当に耐え得る最適な膜厚を選択することに
より、摺動部材改良に伴うコストアップをほう化チタン
セラミックスバルクと比較して顕著に抑制することがで
きる。
【0039】このように、圧縮機構における摺動材料の
少なくとも一方の基材上に膜厚が0.5〜10.0μm
からなるほう化チタンセラミックス皮膜を形成すること
により、オイルの供給が少ない場合、あるいはオイルを
封入しないオイルフリー条件においても、摺動部位の耐
摩耗性を著しく向上させることができる。
【0040】その結果、本実施例の摺動部材により、代
替冷媒化、オイルフリー化に対応できる高信頼性、高効
率の圧縮機及びポンプを得ることが可能である。
【0041】なお、本発明ではダイナミックイオンミキ
シング法の方法を使用しているが、膜組成の性質を徐々
に変化させて構成皮膜の機械的強度を向上させる傾斜組
成コーティング技術を駆使し、マグネトロンスパッタリ
ング装置、及びプラズマCVD装置を用いて形成しても
同様な効果が得られる。
【0042】また、本実施例では、基材として鋳鉄(F
C200)を使用しているが、他の鉄系材料、例えば、
高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)、はだ焼き鋼(SCM
415)、あるいはステンレス鋼(SUS304)等を
使用しても同様な効果が得られる。
【0043】また、本実施例においては、振動式圧縮機
の摺動部材としてピストンを例に挙げたが、その他の摺
動部品や振動式圧縮機以外の他の圧縮方式の摺動部品で
あっても同様の効果が得られる。さらに、使用する冷媒
に関係なく、例えば、HFC系冷媒や自然冷媒を使用す
る圧縮機の場合や冷媒を使用しないポンプなどの場合に
おいても同様の効果が得られる。
【0044】(実施例3)図5は本発明の実施例3によ
る圧縮機の断面図である。図6は同実施例のほう化チタ
ンセラミックス皮膜15a、及び金属Ti密着層15b
を施したピストン15の表面近傍の断面拡大図である。
【0045】本発明のほう化チタンセラミックス皮膜1
5aは、例えば、ダイナミックイオンミキシング法を利
用して製造したものである。なお、基材とほう化チタン
セラミックス皮膜の間に、主要成分は遷移金属であるチ
タン(Ti)であり、かつ平均層厚が0.05〜0.3
μmからなる密着層を介している。また、ほう化チタン
セラミックス皮膜の膜厚は5.0〜6.0μmであり、
基材15bとして鋳鉄(FC200)を用いている。
【0046】ほう化チタンセラミックス自体が持つ耐摩
耗性に加え、ほう化チタンセラミックス皮膜の成分であ
るほう化物は自己潤滑性を有することは一般的に知られ
ており、この自己潤滑性により、オイルの供給が少ない
場合、あるいはオイルを封入しないオイルフリー条件に
おいても、摺動部位の耐摩耗性を一層向上させることが
可能である。
【0047】また、主要成分は遷移金属であるチタン
(Ti)であり、かつ平均層厚が0.05〜0.3μm
からなる密着層を介して、ほう化チタンセラミックス皮
膜を被覆することにより、基材とほう化チタンセラミッ
クス皮膜との界面近傍の線膨張係数、及び硬度の差が緩
和され、皮膜にクラックが生じて基材表面から剥離する
という不具合を抑制、防止することができる。従って、
本実施例では基材として鋳鉄材料(FC200)を使用
しているが、他の鉄系材料、例えば、高炭素クロム軸受
鋼(SUJ2)、はだ焼き鋼(SCM415)、あるい
はステンレス鋼(SUS304)等を使用しても同様な
効果が得られるのは言うまでも無く、線膨張係数がほう
化チタンセラミックスに比べて約2〜3倍大きいアルミ
ニウム合金等としても剥離強度の低下を抑制、防止する
ことが可能である。
【0048】このように、圧縮機構における摺動材料の
少なくとも一方の基材上に平均層厚0.05〜0.3μ
mを有する金属Tiからなる密着層を介して、膜厚が
0.5〜10.0μmからなるほう化チタンセラミック
ス皮膜を形成したことにより、オイルの供給が少ない場
合、あるいはオイルを封入しないオイルフリー条件にお
いても、摺動部位の耐摩耗性を著しく向上させることが
できると共に、基材とほう化チタンセラミックス皮膜と
の界面近傍の線膨張係数、及び硬度の差が緩和され、摺
動時の剥離強度が増大するために、ほう化チタンセラミ
ックス皮膜のもつ耐摩耗性、及び自己潤滑性を十二分に
発揮することができる。。
【0049】その結果、本実施例の摺動部材により、代
替冷媒化、オイルフリー化に対応できる高信頼性、高効
率の圧縮機及びポンプを得ることが可能である。
【0050】なお、本発明ではダイナミックイオンミキ
シング法の方法を使用しているが、膜組成の性質を徐々
に変化させて構成皮膜の機械的強度を向上させる傾斜組
成コーティング技術を駆使し、マグネトロンスパッタリ
ング装置、及びプラズマCVD装置を用いて形成しても
同様な効果が得られる。
【0051】ほう化チタンセラミックス皮膜の膜厚を本
実施例では5.0〜6.0μmとしているが、0.5〜
10.0μmとしても同様な耐摩耗性が得られる。膜厚
が0.5μm未満では十分な耐久性を得ることはできな
い。一方、10.0μm以上の場合、寸法精度の悪化に
加え、逆に剥離し易くなり、耐久信頼性が損なわれる可
能性がある。従って、摺動部材にほう化チタンセラミッ
クス皮膜を形成する場合、冷蔵庫の使用環境、使用条
件、及びコスト等を十分に勘案して、冷蔵庫耐久年数で
ある10年相当の膜厚として、0.5〜10.0μmの
範囲から最適値を選択することが望ましい。
【0052】また、本実施例においては、振動式圧縮機
の摺動部材としてピストンを例に挙げたが、その他の摺
動部品や振動式圧縮機以外の他の圧縮方式の摺動部品で
あっても同様の効果が得られる。さらに、使用する冷媒
に関係なく、例えば、HFC系冷媒や自然冷媒を使用す
る圧縮機の場合や冷媒を使用しないポンプなどの場合に
おいても同様の効果が得られる。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る本
発明の圧縮機やポンプに使用する摺動部材は、圧縮機構
における摺動材料の少なくとも一方が70〜99wt%
のほう化チタンセラミックス粉末に対し、ニッケル粉
末、及び炭素粉末を合計で1〜30wt%配合した複合
材料からなることを特徴としたもである。これにより、
摺動相手材である鉄系材料の線膨張係数と同等の線膨張
係数を有することから、熱負荷時の摺動部材間のクリア
ランスの増大を回避し、圧縮効率を低下させることはな
く、オイルの供給が少ない場合、あるいはオイルを封入
しないオイルフリー条件においても、耐久信頼性の高い
圧縮機やポンプを提供することが可能である。
【0054】また、請求項2に係る本発明の圧縮機やポ
ンプに使用する摺動部材は、圧縮機構における摺動材料
の少なくとも一方の基材上に膜厚が0.5〜10.0μ
mからなるほう化チタンセラミックス皮膜を形成したこ
とを特徴としたものである。これにより、オイルの供給
が少ない場合、あるいはオイルを封入しないオイルフリ
ー条件においても、耐久信頼性の高い圧縮機やポンプを
提供することが可能である。更に、基材として従来の鉄
系材料を使用し、摺動表面へのほう化チタンセラミック
ス皮膜処理に留め、かつ冷凍冷蔵庫等の耐久年数である
10年相当に耐え得る最適な膜厚を選択することによ
り、摺動部材改良に伴うコストアップをほう化チタンセ
ラミックスバルクと比較して顕著に抑制することができ
る。
【0055】また、請求項3に係る本発明の圧縮機やポ
ンプに使用する摺動部材は、圧縮機構における摺動材料
の少なくとも一方の基材上に平均層厚0.05〜0.3
μmを有する金属Tiからなる密着層を介して、膜厚
0.5〜10.0μmからなるほう化チタンセラミック
ス皮膜を形成したことを特徴とするものである。これに
より、オイルの供給が少ない場合、あるいはオイルを封
入しないオイルフリー条件においても、耐久信頼性の高
い圧縮機やポンプを提供することが可能である。更に、
金属Tiからなる密着層を介することにより、皮膜層と
基材との密着性が大幅に向上し、摺動時の剥離強度が増
大することから、ほう化チタンセラミックス皮膜のもつ
耐摩耗性、自己潤滑性を十二分に発揮することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1による圧縮機の断面図
【図2】本発明の実施例1の摺動部材表面の一部拡大断
面図
【図3】本発明の実施例2による圧縮機の断面図
【図4】本発明の実施例2の摺動部材表面の一部拡大断
面図
【図5】本発明の実施例3による圧縮機の断面図
【図6】本発明の実施例3の摺動部材表面の一部拡大断
面図
【図7】従来の圧縮機の断面図
【符号の説明】
8ピストン 13 本発明の実施例1のピストン 13a ほう化チタンセラミックス 14 本発明の実施例2のピストン 14a ほう化チタンセラミックス皮膜 14b 基材 15 本発明の実施例3のピストン 15a ほう化チタンセラミックス皮膜 15b 金属Ti密着層 15c 基材
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 14/48 C23C 14/48 B (72)発明者 川端 淳太 大阪府東大阪市高井田本通4丁目2番5号 松下冷機株式会社内 (72)発明者 稲垣 耕 大阪府東大阪市高井田本通4丁目2番5号 松下冷機株式会社内 (72)発明者 片山 誠 大阪府東大阪市高井田本通4丁目2番5号 松下冷機株式会社内 (72)発明者 林 陽 大阪府東大阪市高井田本通4丁目2番5号 松下冷機株式会社内 Fターム(参考) 3H003 AA02 AB04 AC03 AD02 CB00 CD03 3H076 AA02 BB26 CC03 CC34 CC65 4G001 BA44 BA60 BA61 BB44 BB60 BB61 BC23 BC71 BC73 BD12 BE32 4K029 AA02 BA53 BC02 BD04 CA09 DB03 DB05 DE00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密閉された容器内に圧縮機構と冷媒と冷
    凍機油を内装し、前記圧縮機構における摺動材料の少な
    くとも一方が70〜99wt%のほう化チタンセラミッ
    クス粉末に対し、ニッケル粉末、及び炭素粉末を合計で
    1〜30wt%配合した複合材料からなることを特徴と
    する摺動部材。
  2. 【請求項2】 密閉された容器内に圧縮機構と冷媒と冷
    凍機油を内装し、前記圧縮機構における摺動材料の少な
    くとも一方の基材上に膜厚が0.5〜10.0μmから
    なるほう化チタンセラミックス皮膜を形成したことを特
    徴とする摺動部材。
  3. 【請求項3】 基材上に、平均層厚0.05〜0.3μ
    mを有する金属Tiからなる密着層を介して、膜厚0.
    5〜10.0μmからなるほう化チタンセラミックス皮
    膜を形成したことを特徴とする請求項2記載の摺動部
    材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015010610A (ja) * 2013-06-28 2015-01-19 エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド リニア圧縮機

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