JP2001164126A - 高分子水性分散物 - Google Patents

高分子水性分散物

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JP2001164126A
JP2001164126A JP34414399A JP34414399A JP2001164126A JP 2001164126 A JP2001164126 A JP 2001164126A JP 34414399 A JP34414399 A JP 34414399A JP 34414399 A JP34414399 A JP 34414399A JP 2001164126 A JP2001164126 A JP 2001164126A
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aqueous
acid
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Toyoaki Yamauchi
豊昭 山内
Takayuki Miyazaki
貴行 宮崎
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の水性シーラーの欠点である基材となる
建材への含浸性、耐水性における欠点を改良することが
可能な水性分散体組成物を提案する。 【解決手段】 カルボニル基を含有する高分子水性分散
体について、分散体中のカルボニル基量測定法を利用し
て測定される特定部位のカルボニル基量が特定量の範囲
比率で存在させることにより、該分散体組成物より得ら
れる硬化皮膜により、上記性能の向上を可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屋内または屋外用
の塗料、建築仕上げ塗材等として有用であり、具体的に
は、建築物、鋼構造物、建材、モルタル、軽量気泡コン
クリートを含む各種コンクリート、プラスチック、自動
車への塗料、建築仕上げ塗材等の上塗りとして塗装する
かあるいは、建材、モルタル、コンクリート、鋼材、自
動車、プラスチックへ直接塗装するクリアーコート剤、
トップコート剤、塗料等として各種用途に利用すること
ができるが、とくに多孔性無機質板、コンクリート等の
多孔質の下地基材に適する硬化型水性塗料に関する。さ
らに詳しくは、ケイ酸カルシウム板、セメント系無機質
板、石膏ボード、押し出し成形板、コンクリート、軽量
気泡コンクリート、モルタル、ロックウールボード、木
毛板などの建材へ直接塗布されるシーラー、または該直
接塗布されるシーラーを介して塗られるシーラーまたは
下地塗料として最適であり、下地となる建材等に対し密
着性、耐水性、耐透水性などの良好な塗膜を形成するこ
とができる高分子性分散物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般の軽量建材は、多孔質であるため、
表面強度が小さく、また水分を吸収し易く、さらに軽量
気泡コンクリート、モルタルなども表面強度が小さい。
従って直接の仕上げ塗装あるいは上塗り塗装や、ラミネ
ート仕上げを行うと、仕上げ塗装あるいは上塗り塗装に
よる塗膜のはくり、ふくれ、凍結による下地基材となる
建材の破壊、下地基材となる建材からのアルカリ溶出に
よる塗装面の汚染および塗膜欠陥、とくに軽量建材では
吸水による下地基材となる建材の反りが避けられなかっ
た。従来これらの建材へは、下地塗料すなわちシーラー
として、溶剤可溶型の一液性のあるいは反応硬化型のウ
レタン系樹脂、一液性あるいは反応硬化型アクリル系樹
脂、塩化ビニル系樹脂、とくに市場の要求から水性化が
望まれており、水性のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂
が一般的に使用されている。しかし水性のアクリル系樹
脂は下地塗料として密着性が充分でなく、水性のエポキ
シ系樹脂では太陽光による変色に問題があった。
【0003】特開平3−221575号公報では、アセ
トアセチル化した水溶性ポリビニルアルコールに対して
カルボン酸ヒドラジドを硬化剤として使用した硬化塗膜
が提案されているが耐水性が充分ではなく、とくに下地
基材からのアルカリによって脆弱な塗膜となり、ふくれ
の発生を防ぐことができなかった。特開平5−1791
02号公報、特開平5−247376号公報、特開平6
−256709号公報、特開平6−287457号公報
では、特定の酸価を有するアクリル系樹脂と、カルボン
酸ジヒドラジドを硬化剤として使用した硬化塗膜が提案
されているがカルボニル基の分布が制御されておらず耐
水性に劣り、とくに下地基材からのアルカリによって脆
弱な塗膜となり、密着性の不良、ふくれの発生を防ぐこ
とができなかった。
【0004】特開平8−157774号公報では、水溶
性ポリビニルアルコールと粒子径の小さなアクリル系エ
マルジョンの混合物を使用することが開示されている
が、水溶性ポリビニルアルコールが硬化塗膜を形成しな
いため、耐水性は充分なものでなく、湿潤時の密着性が
不良であった。特開平2−155956号公報では、常
温硬化カチオン系エマルジョンが提案されているが、例
示されている硬化塗膜では、下地基材に対して充分な密
着性が得られなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の水性
シーラーの欠点である基材となる建材への含浸性、耐水
性における欠点を改良し、各種下地基材および上塗り塗
膜との密着性に優れた水性シーラーを提供することを課
題とする。すなわち、下地基材へ含浸浸透して表面を補
強する塗膜を形成し、かつその塗膜が耐水性に優れるた
め、各種下地基材に対する密着性および耐透水性を改善
し、防水性能に優れる高分子水性分散物を提供すること
を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな課題を解決するために鋭意検討をかさねた結果、高
分子水性分散物中の全カルボニル基のうち該高分子分散
体粒子中の内部に存在するものの割合が、一定比率に満
たないときに、該水性分散物から得られる皮膜が従来で
は予想しえなかった各種基材に対する密着性または耐透
水性が発現するため、上記課題を解決しうることを見出
し、本発明を完成するに至った。本発明の第1は、水溶
性ポリカルボニル化合物〔a〕からなるカルボニル基を
含有する高分子水性分散物であって、該カルボニル基の
分散体粒子分配率(以下、粒子分配率)が50%未満で
あることを特徴とする高分子水性分散物である。
【0007】本発明の第2は、カルボニル基を含有する
高分子水性分散物において、全カルボニル基量Bに対
し、該水性分散体粒子表面部分のカルボニル基量Dが3
0%以上であることを特徴とする本発明の第1の高分子
水性分散物である。本発明の第3は、水溶性ポリカルボ
ニル化合物〔a〕が、乳化重合または溶液重合から得ら
れることを特徴とする本発明の第1または第2の高分子
水性分散物である。本発明の第4は、酸価が25mgK
OH/g未満のポリカルボニル水分散体〔b〕を含有す
ることを特徴とする本発明の第1〜3のいずれかの高分
子水性分散物である。本発明の第5は、高分子水性分散
物が、1分子中に2個以上のヒドラジン基および/また
はセミカルバジド基を有するヒドラジン誘導体を含有す
ることを特徴とする本発明の第1〜4のいずれかの高分
子水性分散物である。
【0008】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明における高分子水性分散物は、塗料、建築仕上塗材
等として有用であり、具体的には、建築物、鋼構造物、
建材、モルタル、コンクリート、プラスチック、自動車
への塗料、建築仕上塗材等の下塗材あるいは基材へ直接
塗装するシーラー、クリアーコート剤、塗料等として有
用であるが、好ましくは多孔性無機質板、コンクリート
等の多孔質の下地基材に適する硬化型水性下地塗料用で
あり、さらに詳しくは、ケイ酸カルシウム板、セメント
系無機質板、石膏ボード、押し出し成形板、コンクリー
ト、軽量気泡コンクリート、モルタル、ロックウールボ
ード、木毛板などの建材へ直接塗布するか、または該直
接塗布されるシーラーを介して塗するシーラーまたは下
地塗料として最適であり、下地となる建材等に対して密
着性、耐水性、耐透水性などの良好な塗膜を形成するこ
とできる硬化型水性下地塗料用として有用である。本発
明の高分子水性分散物は、水溶性ポリカルボニル化合物
〔a〕からなるカルボニル基を含有することを要する。
【0009】本発明の水溶性ポリカルボニル化合物
〔a〕としては、少なくとも2個のアルド基またはケト
基を有する水溶性および/または水分散性であれば良
く、従来公知のポリウレタン系、ポリエステル系、ポリ
(メタ)アクリレート系、ポリビニルアセテート系、ポ
リブタジエン系、ポリ塩化ビニル系、塩素化ポリプロピ
レン系、ポリエチレン系、ポリスチレン系、ポリスチレ
ン−(メタ)アクリレート系共重合体、ロジン系誘導
体、スチレン−無水マレイン酸共重合体及び該アルコー
ル付加物、セルロース系樹脂などのポリカルボニル化合
物が挙げられ、これらの一種または二種以上を用いるこ
とができる。分子中に少なくとも1個のケト基および/
又はアルド基を含む高分子からなる本発明の水溶性ポリ
カルボニル化合物〔a〕は、分子中に少なくとも1個の
アルド基またはケト基を含有する単量体を他の単量体成
分と共重合するかまたは付加重合することにより得ら
れ、該水溶性ポリカルボニル化合物〔a〕を高分子水性
分散物の重合工程、または直接高分子水性分散物へ添加
することにより、本発明の高分子水性分散物が得られ
る。
【0010】アルド基またはケト基は、重合反応後カル
ボニル基として架橋反応に関与すると考えられる。分子
中に少なくとも1個のアルド基またはケト基を有する単
量体を具体的に示せば、アセトンジカルボン酸、ジヒド
ロキシアセトン、モノヒドロキシアセトン、及びジヒド
ロキシベンズアルデヒド等が挙げられ、これらの一種ま
たは二種以上を付加重合することによって、水溶性ポリ
カルボニル化合物〔a〕得ることができ、また分子中に
少なくとも1個のアルド基またはケト基を有するエチレ
ン性不飽和単量体を具体的に示せば、アクロレイン、ジ
アセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミ
ド、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニル
エチルケトン、ビニルイソブチルケトン、アクリルオキ
シアルキルプロパナール類、メタクリルオキシアルキル
プロパナール類、ジアセトンアクリレート、ジアセトン
メタクリレート、アセトニルアクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルアクリレートアセチルアセテート、ブタン
ジオールアクリレートアセチルアセテート等が挙げら
れ、分子中に少なくとも1個のアルド基またはケト基を
有するエチレン性不飽和単量体およびその他のエチレン
性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体混合物を
重合することにより、水溶性ポリカルボニル化合物
〔a〕が得られる。ただし、カルボン酸およびエステル
類の持つカルボニル基を含有するエチレン性不飽和単量
体は除外する。
【0011】水溶性ポリカルボニル化合物〔a〕を得る
ための単量体混合物では、分子中に少なくとも1個のア
ルド基またはケト基を有するエチレン性不飽和単量体が
0.5重量%以上使用することが好ましい。単量体混合
物中のアルド基またはケト基を有するエチレン性不飽和
単量体の量が0.5重量%以上であると架橋点が多くな
り塗膜性能が充分となる。さらに好ましくは0.5重量
%以上20重量%以下である。水溶性ポリカルボニル化
合物〔a〕を得るための単量体混合物において使用でき
るその他のエチレン性不飽和単量体として具体的には、
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル
アミド系単量体、メタクリルアミド系単量体、シアン化
ビニル類等が挙げられる。
【0012】(メタ)アクリル酸エステルの例として
は、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル
酸アルキルエステル、アルキル部の炭素数が1〜18の
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、エチ
レンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシ
エチレン(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド
基の数が1〜100個の(ポリ)オキシプロピレン(メ
タ)アクリレート、エチレンオキサイド基の数が1〜1
00個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレー
ト等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルの具体
例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メ
タ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル
酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘ
キシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。
【0013】(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエ
ステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒド
ロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロ
ピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシシクロヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。(ポ
リ)オキシエチレン(メタ)アクリレートの具体例とし
ては、(メタ)アクリル酸エチレングリコール、メトキ
シ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)ア
クリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アク
リル酸ジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸テト
ラエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テ
トラエチレングリコール等が挙げられる。
【0014】(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリ
レートの具体例としては、(メタ)アクリル酸プロピレ
ングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸プロピレン
グリコール、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコー
ル、メトキシ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコー
ル、(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、
メトキシ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコー
ル等が挙げられる。(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)
アクリレートの具体例としては、ジ(メタ)アクリル酸
エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレン
グリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレング
リコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコ
ール等が挙げられる。(メタ)アクリルアミド系単量体
類としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチ
ロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル
(メタ)アクリルアミドなどがあり、シアン化ビニル類
としては、例えば(メタ)アクリロニトリルなどが挙げ
られる。
【0015】また上記以外の具体例としては、例えば、
エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン
類、ブタジエン等のジエン類、塩化ビニル、塩化ビニリ
デン等のハロオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル、n−酪酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブ
チル安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2−エチルヘ
キサン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビ
ニル等のカルボン酸ビニルエステル類、酢酸イソプロペ
ニル、プロピオン酸イソプロペニル等のカルボン酸イソ
プロペニルエステル類、エチルビニルエーテル、イソブ
チルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等
のビニルエーテル類、スチレン、ビニルトルエン等の芳
香族ビニル化合物、酢酸アリル、安息香酸アリル等のア
リルエステル類、アリルエチルエーテル、アリルグリシ
ジルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエー
テル類、
【0016】さらに、γ−(メタ)アクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラ
ン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルエ
トキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニル
トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−
(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6,−テト
ラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ
−1,2,2,6,6,−ペンタメチルピペリジン、パ
ーフルオロメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロ
プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピロ
メチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、トリ
メチロルプロパントリ(メタ)アクリレート、(メタ)
アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2,3−シ
クロヘキセンオキサイド、(メタ)アクリル酸アリル、
メタクリル酸アシッドホスホオキシエチル、メタクリル
酸3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピル、メ
チルプロパンスルホン酸アクリルアミド、ジビニルベン
ゼン等やそれらの併用が挙げられる。
【0017】水溶性ポリカルボニル化合物〔a〕は、ア
ニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性の何れであっ
ても良い。中でもアニオン性であることは好ましく、特
にカルボン酸基を含むことによりアニオン性であること
が水溶性を高める観点から好ましい。カルボン酸基によ
り水溶性ポリカルボニル化合物〔a〕は酸価を有するこ
とになる。水溶性ポリカルボニル化合物〔a〕にカルボ
ン酸基を保持させるには、重合時に使用する単量体混合
物にエチレン性不飽和カルボン酸単量体を混合する。具
体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フ
マール酸、マレイン酸、無水マレイン酸およびイタコン
酸、フマール酸、マレイン酸の半エステルなどが挙げら
れ、その共重合量としては、水溶性ポリカルボニル化合
物〔a〕が有する酸価が20mgKOH/g以上であ
り、好ましくは25mgKOH/g以上であり、さらに
好ましくは25mgKOH/g以上250mgKOH/
g以下である。酸価が20mgKOH/g以上で、水溶
性ポリカルボニル化合物〔a〕の水溶性が高くなるた
め、塗膜の各種下地基材に対する密着性が充分となる。
なお、酸価は、乾燥樹脂のg重量に対する中和に使用し
たKOHの固形分重量で示した。
【0018】水溶性ポリカルボニル化合物〔a〕がノニ
オン性である場合の例としては、セルロース、メチルセ
ルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CM
C)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレン
グリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(P
PG)等ヒドロキシル基を有する水溶性樹脂及びその誘
導体を、ジケテン、ピルビン酸、レブリン酸、アセト酢
酸、トリメチルピルビン酸、プロピオニル酢酸、ベンゾ
イル蟻酸、フェニルピルビン酸、ケトカプリン酸、ケト
ウンデカン酸、ケトステアリン酸、ケトヘンエイコセン
酸、ベンゾイル酢酸、ベンゾイルプロピオン酸、ケトグ
リコン酸、ケトマロン酸、アセトンジカルボン酸、2ー
ケトグルタル酸、アセトンジ酢酸、アセトンジプロピオ
ン酸及びその誘導体で変性した化合物を挙げることがで
きる。これらの化合物は通常、酸、アルカリ等の存在又
は不存在下に溶液又は溶融状態で付加反応や副生するヒ
ドロキシル化合物を除去しながら、水への溶解度を保て
る程度に変性量を調整して製造することができる。水溶
性ポリカルボニル化合物〔a〕がカチオン性である場合
は、重合に使用する単量体混合物において、カチオン基
を持つエチレン性不飽和単量体を含有させる。
【0019】カチオン基を持つエチレン性不飽和単量体
としては、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルお
よび塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルおよ
び塩、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピルおよ
び塩、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミドお
よび塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド
および塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルア
ミドおよび塩、ビニルピリジン、ジメチルアミノメチル
(メタ)アクリルアミドエピクロルヒドリン付加物のハ
ロゲン化塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリル
アミドエピクロルヒドリン付加物のハロゲン化塩及びア
ルキルスルホン酸塩、(メタ)アクリル酸ジメチルアミ
ノメチルエピクロルヒドリン付加物のハロゲン化塩、
(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピルエピクロル
ヒドリン付加物のハロゲン化塩及びアルキルスルホン酸
塩などが挙げられる。
【0020】カチオン基を持つエチレン性不飽和単量体
は、単量体混合物中0.5重量%〜30重量%で使用さ
れることが好ましく、単量体混合物中1重量%〜20重
量%で使用されることがさらに好ましい。1重量%以上
で下地基材への浸透性が良好となる。水溶性ポリカルボ
ニル化合物〔a〕の数平均分子量は1000〜10万で
あり、1000〜50000であることが好ましく、4
000〜50000であることがさらに好ましい。この
ように比較的低分子量で水溶性の成分を有することで、
高分子水性分散物の各種下地への密着性が確保されると
推定している。
【0021】本発明の高分子水性分散物は、上記の水溶
性ポリカルボニル化合物〔a〕を含むかまたは化学的に
結合しているものであって、分子中に少なくとも1個の
ケト基および/又はアルド基を含む高分子からなる高分
子水性分散物である。該高分子水性分散物としては、ス
チレンブタジエンラテックス、NBRラテックス、塩化
ビニリデン系ラテックス、酢酸ビニル、酢酸ビニル−ア
クリル、酢酸ビニル−VeoVaラテックス等の酢酸ビ
ニル系ラテックス、エチレン酢ビ、シリコーンラテック
スが挙げられるが、好ましくはウレタンラテックス、あ
るいはスチレン−アクリル系ラテックス、オールアクリ
ル系ラテックス、シリコーン変性アクリル系ラテック
ス、フッ素−アクリルラテックス、アクリルシリコンラ
テックス等のアクリル系ラテックス、エポキシエマルジ
ョンが挙げられる。これらの粒子径は、例えば0.01
μ〜100μであり、さらに好ましくは0.05μ〜1
0μである。
【0022】本発明の高分子水性分散物は、水溶性ポリ
カルボニル化合物〔a〕が、分子中に少なくとも1個の
アルド基またはケト基を含む単量体を他の単量体成分と
共重合するかまたは付加重合することにより得られ、水
溶性ポリカルボニル化合物〔a〕を、高分子水性分散物
の重合工程または直接高分子水性分散物へ添加すること
により得られる。本発明において、高分子水性分散物
は、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性の何れ
であっても良い。
【0023】本発明において、高分子水性分散物のカル
ボニル基を定量するには、カルボニル基を含有する高分
子水性分散物に、該水性分散物中のカルボニル基と反応
し得る化合物(A)を該カルボニル基に対して過剰当量
添加して該カルボニル基と反応させ、次いで、該化合物
(A)と反応し得る化合物(B)を未反応の該化合物
(A)に対して過剰当量添加して該未反応の化合物
(A)と反応せしめて化合物(C)を生成せしめたの
ち、該化合物(C)を定量し、その定量値、即ち未反応
の化合物(A)の量から、高分子水性分散物のカルボニ
ル基量を計算で求めればよい。
【0024】好ましくは、化合物(A)が水溶性第1級
アミン化合物の酸性塩であり、化合物(B)がケトン化
合物またはアルデヒド化合物であり、化合物(C)が該
酸性塩由来の酸であり、さらに好ましくは、水溶性第1
級アミン化合物の酸性塩を添加してカルボニル基と反応
せしめたのち、高分子水性分散物のpHを2〜10に調
整し、および水溶性第1級アミン化合物の酸性塩由来の
酸の定量を、水性分散物のpHをケトン化合物若しくは
アルデヒド化合物の添加前のpHとするのに要する塩基
の量として測定する高分子水性分散物のカルボニル基の
定量方法であるか、または化合物(A)が水溶性第1級
アミン化合物であり、化合物(B)がケトン化合物また
はアルデヒド化合物であり、化合物(C)がオキシム化
合物である高分子水性分散物のカルボニル基の定量方法
である。さらに詳しくは、カルボニル基と反応し得る化
合物(A)は、溶媒に溶解し、カルボニル基と反応性を
有するものである。具体的には、第1級アミン化合物
類、第1級アミン化合物類の酸性塩、シアン化物類、亜
硫酸水素塩、ヒドラジン化合物類、アルコール類、ハロ
ゲン化合物類、イリド化合物類、銀化合物類が例示でき
る。
【0025】定量方法として具体的には、第1級のアミ
ン化合物によるオキシム化合物の生成量を定量する方
法、第1級アミン化合物の酸性塩を反応させる方法、シ
アン化物の付加反応によるニトリル化合物の生成量また
はシアン化物の残量を定量する方法、亜硫酸水素塩によ
る亜硫酸水素塩付加物の生成量または亜硫酸水素塩の残
量を定量する方法、ヒドラジン化合物によるヒドラゾン
化合物の生成量またはヒドラジン化合物の残量を定量す
る方法、アルコールの付加によるアセタール化合物の生
成量またはアルコールの残量を定量する方法、ハロゲン
化合物によるα−ハロゲン化物の生成量またはハロゲン
化物の残量を定量する方法、イリド化合物を用いたwi
ttig反応による化合物の生成量またはイリド化合物
の残量を定量する方法、銀化合物等による銀の生成量ま
たは銀化合物等の残量を定量する方法が挙げられるが、
分析精度、簡便さの点において、第1級アミン化合物も
しくはその酸性塩を反応させる方法が優れている。特に
簡便さに優れているのは酸性塩を反応させる方法であ
る。
【0026】第1級アミン化合物類としては、メチルア
ミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ヒドロキシ
ルアミン、エタノールアミン、ジメチルヒドラジン等が
挙げられ、好ましくはヒドロキシルアミンである。第1
級アミン化合物類の酸性塩としては、上記に記載の第1
級アミン化合物類の塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、硝酸塩、
乳酸塩、ヒドロキシ酢酸塩が挙げられるが、好ましく
は、ヒドロキシルアミン塩酸塩である。シアン化物類と
しては、シアン化ナトリウム、シアン化カリウムが挙げ
られ、亜硫酸水素塩としては、亜硫酸水素ナトリウム、
亜硫酸水素カリウムが挙げられ、ヒドラジン化合物類と
しては、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、セミカルバ
ジド、フェニルセミカルバジドが挙げられ、アルコール
類としては、メタノール、エタノール、エチレングリコ
ール、プロピレングリコールが挙げられ、ハロゲン化合
物としては、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、イリド化
合物類としては、メチレントリフェニルホスホランが挙
げられ、また、銀化合物類としては、Tollens試
薬が挙げられる。
【0027】本発明において、カルボニル基を含有する
高分子水性分散物に対する化合物(A)の添加量は、水
性分散物のカルボニル基量より過剰であればよく、水性
分散物のカルボニル基1当量に対して1.05当量以上
が好ましく、1.5当量以上であることがさらに好まし
く、3当量以上であることが特に好ましい。カルボニル
基を定量するためには、上記化合物(A)とカルボニル
基との反応による生成物の量もしくは化合物(A)の未
反応量を定量しても良い。しかし、測定精度を高くする
ためには、さらに化合物(B)を添加して第2段目の反
応を行うのがよい。
【0028】第2段目の反応としては、カルボニル基と
反応しないで残っている化合物(A)に対して、化合物
(B)を過剰当量添加して、残っている化合物(A)の
全量を化合物(B)と反応せしめて化合物(C)を生成
せしめる。化合物(B)は、水性分散物の溶媒に溶解
し、化合物(A)と反応するものであればよく特に制限
されないが、生成する化合物(C)が簡便に精度良く測
定できる化合物になるよう選択する。具体的には、化合
物(A)として第1級アミン化合物もしくはその酸性塩
を用いた場合には、化合物(B)としてはケトン化合
物、アルデヒド化合物、エポキシ基含有化合物、カルボ
ン酸ハロゲン化合物、スルホン酸ハロゲン化合物、酸無
水物、亜硝酸塩等が挙げられる。これらの中では、化合
物(B)としてはケトン化合物もしくはアルデヒド化合
物を用いることが簡便で好ましい。
【0029】化合物(A)として第1級アミン化合物を
用い、化合物(B)としてケトン化合物もしくはアルデ
ヒド化合物を用いた場合は、生成する化合物(C)はケ
トオキシム化合物またはアルドオキシム化合物であり、
該化合物を定量すればよい。化合物(A)として第1級
アミン化合物の酸性塩を用い、化合物(B)としてケト
ン化合物もしくはアルデヒド化合物を用いた場合は、化
合物(C)は遊離する酸であり、該化合物を定量すれば
よい。特に優れているのは酸性塩を用いる方法である。
【0030】その他、化合物(A)として第1級アミン
化合物もしくは第1級アミン化合物の酸性塩を用いる場
合には、化合物(B)としてエポキシ基含有化合物を用
いてその反応生成物を定量する方法、カルボン酸ハロゲ
ン化物またはスルホン酸ハロゲン化物との反応によるN
−置換アミドまたはN−置換スルホンアミドを定量する
方法、酸無水物との反応によるN−置換アミドを定量す
る方法、亜硝酸塩との反応によりジアゾニウム塩にした
後、そのまま定量するかさらに、ハロゲン基、水酸基に
よるジアゾニウム基の置換反応物、または酸によるジア
ゾニウム基と水素(H)基との置換反応物を定量する方
法も挙げられる。
【0031】化合物(B)として用いることができるケ
トン化合物としては、低分子量のケトン化合物であれば
特に制限無く、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトンが挙げられ、またアルデヒド化合物と
しては、低分子量のアルデヒド化合物であれは特に制限
無く用いることができ、ホルムアルデヒド、アセトアル
デヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒドが挙げら
れる。ただし、水溶性であることが好ましく、具体的に
はアセトンが挙げられる。化合物(B)の添加量は、未
反応の化合物(A)に対して過剰量であればよく、添加
した化合物(A)1当量に対して、1.01当量以上と
することが安全であり望ましく、また1.2当量以上で
あることがさらに好ましい。
【0032】化合物(C)の測定方法としては、特に制
限されないが、測定精度や簡便さを考慮するとガスクロ
マトグラフィーもしくは高速液体クロマトグラフィーを
使用することが望ましい。なお、化合物(C)としてオ
キシム化合物を定量する場合は、カルボニル基を含有す
る高分子水性分散物と化合物(A)として添加した第1
級アミン化合物との反応物と、第1級アミン化合物と化
合物(B)として添加したケトン化合物もしくはアルデ
ヒド化合物との反応物が混在することになる。多くの場
合、高分子水性分散物と化合物(C)は分子量や疎水度
が異なるため容易に分離できるが、区別することが困難
な場合は、あらかじめ両者を何らかの手段を用いて分離
しておく必要がある。
【0033】化合物(A)として第1級アミン化合物の
酸性塩を用い、化合物(B)としてケトン化合物もしく
はアルデヒド化合物を用いた場合は、化合物(C)とし
て定量すべき酸を精度良く定量するために、カルボニル
基を有する高分子水性分散物に該水性分散物中のカルボ
ニル基に対し過剰量の第1級アミン化合物の塩を添加し
反応させた後、該水性分散物のpHを2〜10の範囲内
に調整することが反応速度を速める目的から好ましい。
さらに系のpHを2〜8の範囲内に調整することが好ま
しく、3〜6に調整することがさらに好ましい。pHの
調整には強塩基を使用することが好ましく、具体的に
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用すること
が好ましい。
【0034】この場合、化合物(C)としての酸の定量
は、系のpHを上記のように2〜10の範囲内に調整し
た後に、未反応の水溶性第1級アミン化合物の塩に対し
過剰量のケトン化合物もしくはアルデヒド化合物を添加
し、続いて系のpHを該ケトン化合物および/またはア
ルデヒド化合物の添加前の値にするのに要する塩基の量
を定量するのがよい。また使用する塩基としては、強塩
基を使用することが好ましく、具体的には、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウムを使用することが好ましい。ま
た、高分子水性分散物に過剰量の第1級アミン化合物の
塩を添加し反応させるには、5℃〜100℃で30分以
上加熱処理することが望ましく、特に反応時の分散安定
性を確保する目的から、10℃〜80℃で1時間以上加
熱処理することが好ましい。また20℃〜50℃の範囲
で2時間以上加熱処理することがさらに好ましい。
【0035】本発明において、高分子水性分散物に化合
物(A)として第1級アミン化合物を添加する際、界面
活性剤を併せて添加することが好ましい。界面活性剤と
してはノニオン系界面活性剤を使用することが好まし
く、さらに界面活性剤を添加すると共に液のpHを3〜
11に調整することが好ましい。さらに好ましくは、高
分子水性分散物に化合物(A)として第1級アミン化合
物の塩を添加する際に、ノニオン系界面活性剤を添加
し、さらに液のpHを4〜10に調整することである。
これらの操作により水性媒体物での正確な定量が可能と
なる。ノニオン系界面活性剤の添加量としては、好まし
くは高分子水性分散物100重量部(水を含んだ量であ
る。)に対し0.1〜300重量部、さらに好ましくは
高分子水性分散物に対し0.5〜50重量部である。
【0036】次に、本発明における高分子水性分散物の
カルボニル基分布を定量する方法について説明する。前
述したように、本発明でいうカルボニル基とはケト基あ
るいはアルド基である。本発明における高分子水性分散
物は、主として、水性媒体と水性分散物重合体粒子(以
下「分散体粒子」と略称する。)とからなり、該水性分
散物に含まれるカルボニル基の由来として、以下の4通
りのものがある。 α;水性媒物中に分散する化合物に由来するカルボニル
基。 β;分散体粒子表面に吸着した化合物に由来するカルボ
ニル基。 γ;分散体粒子を形成する重合体に由来し、分散体粒子
表層部に存在するカルボニル基。 δ;分散体粒子を形成する重合体に由来し、分散体粒子
内層部に取り込まれているカルボニル基。 ここで、γにおける粒子表層部とは、粒子表面の近傍を
も含む。即ち、γカルボニル基には、分散体粒子のある
程度の内部に存在するカルボニル基量も含まれる。ま
た、δカルボニル基は、分散体粒子内層部に取り込まれ
ているため、α〜γカルボニル基に比べて化学的に不活
性であり、前述のカルボニル基と反応性を有する試薬を
用いた定量法により、直接定量することはできず、下記
に述べるカルボニル基量H(=δ)として計算により求
められる。
【0037】以下に定義する、本発明における種々のカ
ルボニル基量A〜Iは、同じく、以下に述べる測定法、
並びに計算により求めることができる。 高分子水性分散物に対し、前記記載のいずれかの方
法でカルボニル基量A(=α+β+γ)を定量する。 高分子水性分散物を溶解または充分膨潤せしめた
後、前記記載のいずれかの方法で水性分散物に含まれる
全カルボニル基量B(=α+β+γ+δ)を定量する。 高分子水性分散物に対して過剰の乳化剤を添加混合
し、次に固液分離し、前記記載のいずれかの方法で、水
相に含まれている分散体粒子を形成する重合体に由来し
ないカルボニル基量C(=α+β)を定量する。 高分子水性分散物に対して過剰の乳化剤を添加混合
し、次に固液分離し、前記記載のいずれかの方法で、固
相に含まれている水性分散体粒子表層部分のカルボニル
基量D(=γ)を定量する。 高分子水性分散物に対して過剰の乳化剤を添加混合
し、次に固液分離した後、固相部分を溶解せしめ、前記
記載のいずれかの方法で、分散体粒子形成の重合体に由
来するカルボニル基量E(=γ+δ)を定量する。 高分子水性分散物をそのまま固液分離し、前記に記
載のいずれかの方法で、液相に含まれている水性媒体中
に存在するカルボニル基量F(=α)、もしくは固相に
含まれている分散体粒子表面に存在するカルボニル基量
G(=β+γ)を定量する。
【0038】上記の〜のいずれの工程でも、前記に
記載のいずれかの定量方法を用いて高分子水性分散物に
おける所定の種類のカルボニル基量を定量できる。の
工程では、分散体粒子は粒子が分散している状態のまま
で定量を行うため、粒子内部に埋もれているカルボニル
基は定量結果に寄与しないと考えられる。すなわち水相
部分と粒子表面部分に存在するカルボニル基量を定量し
ていると考えられる。このようにして定量されたカルボ
ニル基量をAとする。の工程では、分散体粒子を何ら
かの手段によって溶解あるいは膨潤せしめてから定量を
行うため、粒子内部のカルボニル基も定量結果に寄与す
ると考えられる。すなわち水相部分、分散体粒子表面部
分、分散体粒子内部部分のすべての部分のカルボニル基
量が定量されると考えられる。このようにして定量され
たカルボニル基量をBとする。なお、分散体粒子を溶解
または膨潤せしめる溶媒としては、例えば、テトラヒド
ロキシフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホオキシド、N,N−ジメチルアセトアミドが挙
げられ、必要に応じて一部水を除去する方法が挙げられ
る。
【0039】の工程では、まず高分子水性分散物に対
して過剰の乳化剤を添加混合することにより、粒子表面
に吸着した成分を水性媒体中に溶解させ、しかるのち水
性分散体を限外濾過、遠心分離等により固液分離し、粒
子部分と水相部分を分離してから、水相部分のカルボニ
ル基量を定量する。すなわち分散体粒子吸着および高分
子水性分散物の水相のカルボニル基量の和として定量さ
れる水相部分のカルボニル基量であり、このカルボニル
基量をCとする。の工程では、の工程と同様に高分
子水性分散物を固液分離した後、粒子部分を溶解せしめ
ることなく、分散体粒子が分散しているままでカルボニ
ル基量を定量する。具体的には、固相を分離した後、乳
化剤等を添加し、超音波振動により再分散させてから、
定量を行うことが好ましい。このようにすることにより
分散体粒子表面部分に固定しているカルボニル基量が定
量されると考えられる。このカルボニル基量をDとす
る。
【0040】の工程では、の工程と同様に高分子水
性分散物を固液分離した後、粒子部分をの工程と同様
にして溶解せしめ、しかるのち、溶解した粒子部分のカ
ルボニル基量を測定する。このようにすることにより粒
子の表面部分と内部部分を併せた粒子全体に固定してい
るカルボニル基量が定量されると考えられる。このカル
ボニル基量をEとする。の工程では、水相部分の一部
が分散体粒子表面に吸着したままの状態でのカルボニル
基量を定量していると考えられる。からの工程を利
用し、各部分のカルボニル基量A、B、Cを直接定量す
るか、または下記の計算式を利用し、算出することがで
きる。
【0041】からの定量工程の定量結果に基づき、
下記(1)〜(4)の式を適宜用いて、更に各種のカル
ボニル基量を計算により求めることができる。 (1)分散体粒子形成の重合体に由来しないカルボニル
基量C=A−DまたはB−E (2)分散体粒子表面に露出したカルボニル基量D=A
−CまたはE+A−B (3)分散体粒子内部のカルボニル基量H(=δ)=E
−DまたはB−AまたはB−C−D (4)分散体粒子表面に吸着しているカルボニル基量I
(=β)=C−FまたはG−D
【0042】例えば、分散体粒子形成の重合体に由来し
ないカルボニル基量Cを知るためには、Cを直接定量す
るほか、AとDを定量、もしくはBとEを定量してそれ
らの差を求めてもよい。また、分散体粒子表面に露出し
たカルボニル基量Dを求めるためには、Dを直接定量す
るほか、AとCを定量してその差を求めてもよく、これ
らいずれかを採用することで、できるだけ少ない工程で
カルボニル基分布を知ることができる。また、どの部分
のカルボニル基量を知りたいかにより、もっとも目的に
かなった定量方法を組み合わせて選択すればよい。
【0043】本発明においてカルボニル基を含有する高
分子水性分散物が該水性分散物中に、不純物として硫酸
根および/又はカルボン酸根と共存していてもカルボニ
ル基分布定量が可能であり、具体的には硫酸根が由来す
る化合物としては、硫酸イオン化合物、スルホン酸基を
持つ化合物、硫酸エステル基を持つ化合物が挙げられお
よびその塩も含まれ、カルボン酸根が由来する化合物と
しては、炭酸イオン化合物、カルボン酸基を持つ化合物
が挙げられおよびその塩も含まれる。本発明において、
分散体粒子分配率とは、上述のカルボニル基量HのBに
対する割合(=[H/B])で定義される。本発明カル
ボニル基量は上記に示したいずれか方法によって定量さ
れるものであって、本発明の第1においては、高分子水
性分散物は、カルボニル基の分散体粒子分配率が50%
未満である。
【0044】本発明の第2においては、カルボニル基を
含有する高分子水性分散物は、全カルボニル基量Bに対
し、該カルボニル基の分散体粒子分配率が50%未満で
あると共に、該水性分散粒子表面部分のカルボニル基量
Dが20%以上であることを特徴とする発明の第1の高
分子水性分散物である。好ましくはカルボニル基の分散
体粒子分配率が40%未満であると共に、水性分散粒子
表面部分のカルボニル基量Dが25%以上であり、さら
に好ましくはカルボニル基の分散体粒子分配率が35%
未満であると共に、水性分散粒子表面部分のカルボニル
基量Dが30〜95%である。このときの全カルボニル
基量Bとしては、不揮発固形分1gに対してカルボニル
基量が1.5mmol以下の範囲であり、不揮発固形分
1gに対してカルボニル基量が1mmol以下の範囲で
あることが好ましく、不揮発固形分1gに対してカルボ
ニル基量が0.6mmol以下の範囲であることがさら
に好ましい。
【0045】本発明の第3は、水溶性ポリカルボニル化
合物〔a〕の重合が、溶液重合または乳化重合から得ら
れることを要する。溶液重合は通常の方法で行えば良
く、特に制限されないが、まず乳化重合等を行い、しか
る後に、アニオン性であればアルカリ及び/または有機
溶剤の添加によって、カチオン性であれば酸及び/また
は有機溶剤の添加によって、重合物の少なくとも一部を
可溶化することによって、高分子水性分散物を得ること
もできる。このような可溶化処理に使用されるアルカリ
としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水
素ナトリウム、有機アミン類、アンモニア等が挙げら
れ、酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン
酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、乳酸、ヒドロキシ
酢酸が挙げられ、その添加は重合の前でも、重合中で
も、重合後であっても良い。また可溶化処理に使用でき
る有機溶剤は、アルカリまたは酸の添加だけでは水溶化
が不充分であるときに補助的に使用しても良いし、有機
溶剤だけで可溶化させても良い。
【0046】使用される有機溶剤としては、例えば、C
S−12(チッソ(株)製)、エチレングリコールモノ
ブチルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘ
キシルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテー
ト、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテ
ルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル
アセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテー
ト、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピ
レングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリ
コールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモ
ノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピ
ルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテ
ル、ベンジルアルコール、グルタル酸ジメチル、グルタ
ル酸イソプロピル等が挙げられる。
【0047】乳化重合用の乳化剤としては、アニオン性
の場合には、アニオン性界面活性剤および/またはノニ
オン性界面活性剤を使用する。例えば、脂肪酸石鹸、ア
ルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリ
オキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンア
ルキルアリール硫酸塩、p−スチレンスルホン酸塩等の
アニオン性界面活性剤である。また、反応型のアニオン
性界面活性剤としては、例えば、三洋化成(株)製エレ
ミノール(商標)JS−2、JS−5があり、花王
(株)製ラテムル(商標)S−120、S−180A、
S−180、第一工業製薬(株)製アクアロン(商標)
HS−10、旭電化工業(株)製アデカリアソープ(商
標)SE−1025N、メタアクリル酸スルホアルキル
エステルの塩、p−スチレンスルホン酸の塩、リン酸エ
ステル基を有する界面活性剤としては、旭電化工業
(株)製アデカリアソープSDX−730、SDX−7
31、SDX−334(商品名)等のアンモニウム塩、
ナトリウム塩およびカリウム塩がなどを用いることがで
きる。またポリオキシエチレンアルキルアリールエーテ
ル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オ
キシエチレンオキシプロピレンプロックコポリマー等の
ノニオン性界面活性剤を用いることができる。
【0048】またカチオン性の場合には、カチオン性界
面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤を使用す
る。例えば、ラウリルアミン塩酸塩、アルキルベンジル
ジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチル
アンモニウムクロライド、アルキルアンモニウムハイド
ロオキサイド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等で
あり、また、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチ
レンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシ
プロピレンプロックコポリマー等である。これらの界面
活性剤の使用量としては、水溶性ポリカルボニル化合物
〔a〕に対して0.05〜20重量%であることが好ま
しい。その他、乳化重合における条件は通常の条件に従
えば良く、特に制限はされない。
【0049】本発明に係る水溶性ポリカルボニル化合物
〔a〕は、アニオン性であればアルカリ成分を添加する
ことができるし、カチオン性であれば酸成分を添加する
ことができる。また、水溶性ポリカルボニル化合物
〔a〕を製造する際には、ラジカル重合触媒を使用する
ことができる。ラジカル重合触媒としては、熱または還
元性物質などによってラジカル分解してエチレン性不飽
和単量体のラジカル重合を起こさせるものであり、水溶
性開始剤としては、水溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾ
ビス化合物等が使用でき、その例としては、過硫酸カリ
ウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化
水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、2,2−ア
ゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライドが
挙げられ、油溶性開始剤としては具体的には、t−ブチ
ルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチ
ロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレ
ロニトリル)等がある。好ましくは、乳化重合の場合は
水溶性開始剤を、溶液重合の場合は油溶性開始剤を利用
する。その量としては分子中に少なくとも1個のアルド
基またはケト基を有するエチレン性不飽和カルボニル基
含有単量体と他の単量体の総量に対して通常0.1〜1
0重量%配合される。なお、重合速度の促進、さらに低
温での重合を望むときには、重亜硫酸ナトリウム、塩化
第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤を
ラジカル重合触媒と組み合わせて用いる。
【0050】さらに例えばエチレン性不飽和カルボン酸
単量体を含むアニオン基を持つ単量体であればアルカリ
の添加によって中和または可溶化し、カチオン基を持つ
単量体性であれば酸の添加によって中和または可溶化
し、分子中に少なくとも1個のアルド基またはケト基を
有するエチレン性不飽和単量体およびその他エチレン性
不飽和単量体を含む混合物を水溶性重合開始剤を使用し
て重合する方法も含まれる。水溶性ポリカルボニル化合
物〔a〕の製造にあたっては、重合後の分子量を調節し
て可溶化処理をし易くするため、連鎖移動剤を重合過程
で添加することも可能である。具体的には、ブチルメル
カプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメ
ルカプタン等のメルカプタン類、メタノール、イソプロ
ピルアルコール等のアルコール類、α−メチルスチレン
ダイマー,四塩化炭素等が挙げられる。
【0051】本発明の第4では、該高分子水性分散物
が、酸価が25mgKOH/g未満のポリカルボニル水
分散体〔b〕を含有することを要する。本発明のポリカ
ルボニル水分散体〔b〕は、アニオン性、カチオン性、
両性の何れでも良く、ポリカルボニル水分散体〔b〕に
アニオン性、カチオン性、両性を付与する方法は、それ
ぞれ水溶性ポリカルボニル化合物〔a〕における場合と
同様であるが、エチレン性不飽和カルボン酸単量体やカ
チオン基を持つエチレン性不飽和単量体の単量体混合物
に対する使用量を水溶性ポリカルボニル化合物〔a〕の
場合よりも少なくすると、水分散体を形成しやすくなる
ため望ましい。
【0052】具体的には、アニオン性、両性のポリカル
ボニル水分散体〔b〕であることが好ましく、該水性分
散体〔b〕の酸価は、25mgKOH/g未満であり、
好ましくは、0.1〜25mgKOH/gであり、さら
に好ましくは1〜22mgKOH/gである。また、ポ
リカルボニル水分散体〔b〕にカチオン性を付与するに
はカチオン基を持つ不飽和単量体が10重量%以下であ
ることが好ましく、さらに好ましくは5重量%以下であ
る。この範囲内で塗膜の充分な耐水性を得ることがで
き、また水溶性ポリカルボニル化合物〔a〕との相補作
用により、塗膜の各種下地基材に対する密着性が充分と
なる。
【0053】ポリカルボニル水分散体〔b〕の水溶性ポ
リカルボニル化合物〔a〕に対する固形分重量比率は
0.01〜1000であることが好ましく、0.05〜
100であることがさらに好ましい。中でも高分子分散
物がアニオン性である場合には、カルボン酸基を含有さ
せることが分散安定性、各種基材に対する密着性または
防水性能を発現する観点から好ましい。カルボン酸基に
より高分子水性分散物は酸価を有し、その量としては、
該高分子水性分散物が有する酸価が1〜250mgKO
H/gであり、5〜200mgKOH/gが好ましく、
5〜100mgKOH/gがさらに好ましく、塗膜の各
種下地基材に対する密着性が充分となる。本発明におけ
るポリカルボニル水分散体〔b〕を得るには、単量体混
合物を水性媒体中において通常の乳化剤を用いて乳化重
合する。
【0054】カルボン酸基を保持させるには、重合時に
使用する単量体混合物にエチレン性不飽和カルボン酸単
量体を混合する。具体的には、アクリル酸、メタクリル
酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸、無水マレイ
ン酸およびイタコン酸、フマール酸、マレイン酸の半エ
ステルなどが挙げられる。そのほかの単量体として具体
的には、水溶性ポリカルボニル化合物〔a〕を得るため
の単量体と同様であり、分子中に少なくとも1個のアル
ド基またはケト基を有するエチレン性不飽和単量体、そ
の他のエチレン性不飽和単量体、カチオン基の導入には
カチオン基を持つエチレン性不飽和単量体等を使用する
ことができる。ポリカルボニル水分散体〔b〕にはアル
ド基またはケト基を有するエチレン性不飽和単量体は使
用しなくてもよいが、0.5重量%以上使用することが
好ましく、単量体混合物中のアルド基またはケト基を有
するエチレン性不飽和単量体の量が0.5重量%以上で
あると架橋点が多くなり塗膜性能が充分となる。さらに
好ましくは0.5重量%以上20重量%以下である。
【0055】乳化重合用の乳化剤としては、アニオン性
のポリカルボニル水分散体〔b〕の場合には、アニオン
性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤を使
用する。具体的には上記の水溶性ポリカルボニル化合物
〔a〕の乳化重合で例示した界面活性剤を同様に用いる
ことができる。また、カチオン性のポリカルボニル水分
散体〔b〕の場合には、カチオン性界面活性剤および/
またはノニオン性界面活性剤を使用する。具体的には上
記の水溶性ポリカルボニル化合物〔a〕の乳化重合で例
示した界面活性剤を同様に用いることができる。これら
の界面活性剤の使用量としては、ポリカルボニル水分散
体〔b〕に対して0.05〜20重量%であることが好
ましい。その他、乳化重合における条件は、通常の条件
に従えば良く、特に制限はされない。
【0056】本発明に係わるポリカルボニル水分散体
〔b〕は、アニオン性であればアルカリ成分を添加する
ことができるし、カチオン性であれば酸成分を添加する
ことができる。これにより、ポリカルボニル水分散体
〔b〕および高分子水性分散物において、長期の分散安
定性を保つことができる。この際、組成物のpHを3〜
10の範囲に調整することが好ましい。アルカリ成分と
しては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニ
アなどの通常のアルカリが特に制限無く用いられるが、
とくに乾燥後の塗膜の耐水性を向上せしめる観点から、
モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールア
ミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、トリイ
ソプロパノールアミン、モルホリン類としてモルホリ
ン、4−モルホリノエタノールなどが好ましく挙げられ
る。この中で揮発性のアルカリ成分としてはアンモニア
が好ましい。また、酸成分としては、塩酸、硫酸、硝
酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢
酸、乳酸、ヒドロキシ酢酸等が挙げられる。
【0057】本発明において、水溶性ポリカルボニル化
合物〔a〕とポリカルボニル水分散体〔b〕を共に含む
高分子分散物を得る方法は特に制限されないが、以下に
挙げる方法を例示することができる。 水溶性ポリカルボニル化合物〔a〕とポリカルボニ
ル水分散体〔b〕とを各々別々に重合した後、混合する
ことによって高分子分散物を得る方法。この場合、水溶
性ポリカルボニル化合物〔a〕とポリカルボニル水分散
体〔b〕とは単純な混合物となる。 ポリカルボニル水分散体〔b〕と単量体混合物の存
在下、水溶性ポリカルボニル化合物〔a〕を重合形成さ
せ、高分子分散物を得る方法。この場合、ポリカルボニ
ル水性組成物は、ポリカルボニル水分散体〔b〕の各エ
マルジョンを中心核として、その周りに水溶性ポリカル
ボニル化合物〔a〕が重合形成された多層構造エマルジ
ョンの集合からなると考えられる。 水性媒体中において、水溶性ポリカルボニル化合物
〔a〕と単量体混合物の存在下、乳化重合によってポリ
カルボニル水分散体〔b〕を形成させ、高分子分散物を
得る方法。
【0058】この場合、具体的な製造方法としてその態
様を示せば、水溶性ポリカルボニル化合物〔a〕を溶液
重合後水性媒体中へ溶解することによって、あるいは水
性媒体中で乳化重合後可溶化処理することによって、水
溶性ポリカルボニル化合物〔a〕の水溶液を得、水性媒
体中において、水溶性ポリカルボニル化合物〔a〕の水
溶液と適当な単量体混合物の存在下、乳化重合によって
ポリカルボニル水分散体〔b〕を形成させる。この場
合、水溶性ポリカルボニル化合物〔a〕は一種の界面活
性剤として働き、ポリカルボニル水分散体〔b〕の重合
物を乳化・分散する作用を有すると考えられる。なお、
水溶性ポリカルボニル化合物〔a〕とポリカルボニル水
分散体〔b〕は、一方がアニオン性であれば、もう一方
もアニオン性またはノニオン性であることが望ましく、
また、一方がカチオン性であれば、もう一方もカチオン
性またはノニオン性であることが望ましい。本発明の第
5に示す1分子中に2個以上のヒドラジン基および/ま
たはセミカルバジド基を有するヒドラジン誘導体は、セ
ミカルバジド基の耐加水分解性がヒドラジン基より良好
であることから、ヒドラジン誘導体はセミカルバジド基
を有するポリセミカルバジド化合物であることが好まし
い。
【0059】本発明において、ヒドラジン誘導体中のヒ
ドラジン基および/またはセミカルバジド基と該水性分
散物中のカルボニル基Bとの比率は、モル比で0.01
〜10の範囲であり、好ましくは0.05〜5の範囲で
あり、さらに好ましくは0.1〜2範囲である。この範
囲では低汚染性に優れるが、さらにヒドラジン誘導体中
のヒドラジン基および/またはセミカルバジド基と該水
性分散体中のカルボニル基Aとの比率が、モル比で0.
01〜10の範囲であり、好ましくは0.05〜5の範
囲であり、さらに好ましくは0.1〜2の範囲であり、
この範囲において、下地基材に対する密着性および耐透
水性に優れた塗膜を提供できる。
【0060】本発明において、ヒドラジン誘導体として
は、ポリヒドラジド化合物、ポリセミカルバジド化合
物、または次式(1)で表される炭酸ポリヒドラジド類
等が挙げられる。
【化1】 (式中、xは0〜20の整数を意味する。)
【0061】ポリヒドラジド化合物の具体例としては、
蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジ
ヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒ
ドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒド
ラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒド
ラジド、ドデカンジヒドラジド、ヘキサデカンジオヒド
ラジド、1,4−シクロヘキサンジヒドラジド、酒石酸
ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジ
ヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒド
ラジド、イタコン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒド
ラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ
酸ジヒドラジド、1,4−ナフトエ酸ジヒドラジド、
4,4‘−ビスベンゼンジヒドラジド、2,6−ピリジ
ンジヒドラジド等のジカルボン酸ジヒドラジド類、1,
3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジ
ド、トリメリット酸トリヒドラジド、クエン酸トリヒド
ラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、1,2,4−ブ
タントリカルボン酸トリヒドラジド等のトリカルボン酸
トリヒドラジド類、ピロメリット酸テトラヒドラジド、
1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、エチレ
ンジアミン四酢酸テトラヒドラジド等のテトラカルボン
酸テトラヒドラジド類及び次式(2)で表されるがごと
き数平均分子量が500〜500000の酸ヒドラジド
系ポリマー等やそれらの併用が挙げられる。
【0062】
【化2】
【0063】(式中、Xは水素原子またはカルボキシル
基であり、Yは水素原子またはメチル基であり、Aはア
クリルアミド、メタアクリルアミド、アクリル酸エステ
ル、メタクリル酸エステル、無水マレイン酸から選ばれ
る単量体の重合した単位であり、Bはアクリルアミド、
メタアクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル
酸エステル、無水マレイン酸と共重合可能な単量体の重
合した単位である。また、l、m及びnは下記の各式を
満足する各構成成分のモル分率を示す。 2モル%≦l≦100モル% 0モル%≦m+n≦98モル% l+m+n=100モル% また、上記酸ヒドラジド系ポリマーはランダム共重合体
でもブロック共重合体でもよい。)
【0064】ポリセミカルバジド化合物の具体例として
は、下記式(3)で表されるセミカルバジド誘導体、下
記式(4)で表されるビスセミカルバジド類等が挙げら
れる。セミカルバジド誘導体組成物が、次式(3)で表
されるセミカルバジド誘導体であることは好ましい。
【化3】
【0065】(式中、R1 は、直鎖状又は分岐状の炭素
数2〜20のアルキレンジイソシアネート、置換されて
いないか或いは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1
〜8のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアルキレン基で
置換されている炭素数5〜20のシクロアルキレンジイ
ソシアネート、置換されていないか或いは炭素数1〜1
8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換
されている炭素数6〜20のアリーレンジイソシアネー
ト、及び置換されていないか或いは炭素数1〜18のア
ルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されて
いる炭素数8〜20のアラルキレンジイソシアネートか
らなる群から選ばれる少なくとも一種のジイソシアネー
トの3量体〜20量体オリゴマーに由来する末端イソシ
アネート基を有さないポリイソシアネート残基、もしく
はR1 は炭素数1〜8のイソシアナトアルキル基で置換
されている炭素数2〜20のアルキレンジイソシアネー
トに由来する末端イソシアネート基を有さないトリイソ
シアネート残基を表わす。R2 は、直鎖状又は分岐状の
炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数5〜20のシク
ロアルキルレン基、もしくは置換されていないか或いは
炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコ
キシ基で置換されている炭素数6〜10のアリーレン基
を表わす。R3 は、それぞれ独立して、水素原子又は炭
素数1〜20のアルキル基を表わす。nは0又は1を表
す。l及びmは各々0または正の整数であり、ただし2
≦(l+m)≦20であり、好ましくは3≦(l+m)
≦20である。)
【0066】
【化4】 (式中、R4 は、直鎖状または分岐状の炭素数2〜20
の2価の脂肪族残基、炭素数6〜25の2価の脂環族残
基、置換基を有しても有さなくても良い炭素数6〜25
の2価の芳香族残基、及び置換基を有しても有さなくて
も良い炭素数6〜25の2価の芳香脂環族残基を表す。
2 は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表
す。)
【0067】上記ポリセミカルバジド化合物の中で、上
記式(3)で表されるセミカルバジド誘導体は、高分子
水性分散物の硬化剤として用いた場合、多官能の上、後
で述べるカルボニル基を含有する高分子水性分散物に対
する相溶性が良好なため、架橋能力が高く、強靭でかつ
耐水性に優れた皮膜を得ることができるので非常に好ま
しい。すなわち、組成物の平均セミカルバジド残基数は
2.5個以上であることであり、好ましくは2.5個以
上20個以下、より好ましくは3個以上20個以下であ
る。本発明において、1分子あたりのセミカルバジド残
基数とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)で測定されるスチレン換算のセミカルバジド
組成物数平均分子量をM、ポリセミカルバジド化合物1
グラム中に含まれるセミカルバジド基のモル数をSとし
たとき、M×Sで表される数と定義される。
【0068】このポリセミカルバジド化合物は、例え
ば、ポリイソシアネート化合物とヒドラジン化合物とを
反応させることによって得られ、具体的には1分子中に
−NCO基を平均2個以上、好ましくは平均2.5個以
上20個以下、より好ましくは3個以上20個以下有す
るポリイソシアネート化合物とヒドラジン化合物とを反
応させることによって得ることができる。上記式(3)
で表されるポリセミカルバジド化合物の製造方法の一例
について説明する。前記式(3)中、l+m=2である
ポリセミカルバジド化合物は、1分子中に−NCO基を
2個有するジイソシアネート化合物とヒドラジン化合物
とを反応させることによって得られる。
【0069】また、より防水性能に優れた組成物を得る
ためには、前記式(3)で表されるセミカルバジド誘導
体が、1分子中に−NCO基を3個以上持つポリイソシ
アネート化合物とヒドラジン化合物とを反応させること
によって得られるものであることが望ましい。1分子中
に−NCO基を3〜20個有するポリイソシアネート化
合物、およびそれから誘導されるポリセミカルバジド化
合物は、例えばWO96/01252号パンフレットに
記載の方法で得ることができる。ここで、ポリイソシア
ネート1分子中の−NCO基数が20を超えない範囲が
セミカルバジド基の数が比較的適当で、式(3)のポリ
セミカルバジド化合物の粘度が高くなりすぎ難く、好適
に取り扱える範囲である。
【0070】1分子中に−NCO基を3〜20個有する
ポリイソシアネート化合物は、ジイソシアネート化合物
をオリゴマー化して得られる。例えば、ジイソシアネー
ト類をビュレット結合、尿素結合、イソシアヌレート結
合、ウレタン結合、アロファネート結合、ウレトジオン
結合等によりオリゴマー化したポリイソシアネート化合
物、更には1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナト
メチルオクタン及びこれらの併用が挙げられる。具体的
には、樹脂との相溶性の点から、基本骨格としてイソシ
アヌレート構造またはビュレット構造を有するポリイソ
シアネート化合物が好ましい。
【0071】本発明においては、ポリセミカルバジド化
合物又はその原料であるポリイソシアネート化合物が、
ヒドラジン化合物の鎖延長により高分子化することを防
ぐ目的から、ヒドラジン化合物を下式(5)で表される
モノアルデヒドまたはモノケトン等と反応させ、ヒドラ
ゾン基として封鎖して用いることもできる。 R5 6 C=O (5) (式中、R5 、R6 は各々独立して水素原子、直鎖状も
しくは分岐状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5
〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていない
か或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8
のアルコキシル基で置換されている炭素数6〜10のア
リール基を表し、R5 、R6 は場合によっては共同して
環状構造を形成してもよい。)
【0072】この場合、生成するポリセミカルバジド化
合物はセミカルバジド基がセミカルバゾン基として封鎖
されたものとなり、上記式(3)のポリセミカルバジド
化合物の末端封鎖体である。ポリセミカルバジド化合物
から封鎖剤として用いたモノアルデヒド又はモノケトン
の脱離は、本発明のカルボニル基を含有する高分子分散
体へ混合使用する前に、または本発明の高分子水性分散
物の塗装後に加水分解して留去するのが好ましい。従っ
て、留去させやすい上記封鎖剤としては30〜200℃
の沸点を有するモノケトン、例えばアセトン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノ
ン、ジアセトンアルコール等が好ましい。
【0073】ポリセミカルバジド化合物は高分子水性分
散物へ溶解または分散して使用することが好ましく、特
に水性媒体への分散性または溶解性、高分子水性分散物
への分散性または溶解性を制御する目的で、高分子水性
分散物へ分散を必要する場合には水に対し不溶または難
溶性のポリセミカルバジド化合物を、水性媒体または高
分子水性分散物へ溶解して使用する場合には水溶性ポリ
セミカルバジド化合物使用するが、特に下記式(6)で
表される親水性基含有化合物から選ばれる少なくとも1
つを含有するポリセミカルバジド化合物あるいはポリセ
ミカルバジド化合物との併用、下記のポリセミカルバジ
ド化合物とケトン酸及び/又はその塩あるいはセミカル
バジド誘導体との併用、またはセミカルバジド誘導体と
界面活性剤との併用がすることがさらに好ましい。水性
樹脂と混合しやすいように、水性媒体中へ分散した状態
もしくは水性媒体中へ溶解した状態で存在するよう、こ
れらポリセミカルバジド化合物について、下記に詳述す
る。
【0074】本発明において、前記式(3)で表される
ポリセミカルバジド化合物からなるポリセミカルバジド
化合物の水性媒体中への分散安定性や溶解性を補助する
目的で、下記式(6)で表される親水性基含有化合物か
ら選ばれる少なくとも1つとを混合して使用することが
できる。
【化5】
【0075】(式中、R11は、直鎖状又は分岐状の炭素
数2〜20のアルキレンジイソシアネート、置換されて
いないか或いは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1
〜8のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアルキレン基で
置換されている炭素数5〜20のシクロアルキレンジイ
ソシアネート、置換されていないか或いは炭素数1〜1
8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換
されている炭素数6〜20のアリーレンジイソシアネー
ト、及び置換されていないか或いは炭素数1〜18のア
ルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されて
いる炭素数8〜20のアラルキレンジイソシアネートか
らなる群から選ばれる少なくとも一種のジイソシアネー
トの3量体〜20量体オリゴマーに由来する末端イソシ
アネート基を有さないポリイソシアネート残基、もしく
はR11は炭素数1〜8のイソシアナトアルキル基で置換
されている炭素数2〜20のアルキレンジイソシアネー
トに由来する末端イソシアネート基を有すさないトリイ
ソシアネート残基を表わす。R12は、直鎖状又は分岐状
の炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数5〜20のシ
クロアルキルレン基、もしくは置換されていないか或い
は炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアル
コキシ基で置換されている炭素数6〜10のアリーレン
基を表す。R13は、水素原子又は炭素数1〜20のアル
キル基を表わす。Yは、非イオン系親水性基、イオン系
親水性基及びイオン系親水性基に転化しうる基よりなる
群から選ばれる少なくとも1つを有機基を表す。nは0
又は1を表す。p及びqは、各々0または正の整数であ
り、rは正の整数であり、3≦(p+q+r)≦20で
ある)
【0076】上記式(6)で表される親水性基含有化合
物のセミカルバジド基がセミカルバゾン基として封鎖さ
れた化合物が、式(6)における末端基H2 NR13N−
の少なくとも1つが式R6 5 C=NR13N−で表され
る封鎖末端基を有している(式中、R5 、R6 は各々独
立して水素原子、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜20の
アルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もし
くは置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキ
ル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている
炭素数6〜10のアリール基をあらわし、R5 とR6
場合によっては共同して環状構造を形成していてもよ
い。)親水性基含有化合物の末端封鎖体として用いるこ
ともできる。
【0077】即ち、上記式(3)で表されるポリセミカ
ルバジド化合物から選ばれる少なくとも1つと、上記式
(6)で表される親水性基含有化合物から選ばれる少な
くとも1つとを含有するポリセミカルバジド化合物を高
分子水性分散物として有利に用いることができる。そし
て、上記式(3)で表されるポリセミカルバジド化合物
から選ばれる少なくとも1つと、上記式(6)で表され
る親水性基含有化合物から選ばれる少なくとも1つとを
含有する組成物において、それらの重量比が99/1〜
10/90の範囲内であることが望ましい。これによ
り、水性媒体あるいは分散体粒子に対して溶解性に優れ
るポリセミカルバジド化合物が得られる。本発明の式
(3)で表されるポリセミカルバジド化合物から選ばれ
る少なくとも1つと、式(6)で表される親水性基含有
化合物から選ばれる少なくとも1つとを含有する組成物
は、例えば、前記のWO96/01252号パンフレッ
トに記載の方法で得ることができる。
【0078】本発明において、ヒドラジン誘導体とし
て、ポリセミカルバジド化合物と、ケトン酸及び/また
はその塩との混合物を使用することも可能である。これ
は高分子水性分散物への混合を可能とし、防水性能性に
優れた組成物を得ることができるからである。この場
合、ポリセミカルバジド化合物が前記式(3)で表され
るポリセミカルバジド化合物であれば好ましく、またポ
リセミカルバジド化合物が難水溶性のポリセミカルバジ
ド化合物であれば、さらに好ましい。ここで難水溶性と
は、25℃における水100gに対する溶解度が5g以
下であることとする。この本発明のポリセミカルバジド
化合物は、樹脂と混合しやすいように、水性媒体中への
分散及び水性媒体中への溶解からなる群から選ばれる少
なくとも一つの状態であることが好ましい。本発明に係
わるポリセミカルバジド化合物を水に分散あるいは溶解
させる際には、場合によっては上記式(6)で表される
親水性基含有化合物以外の他の界面活性剤を加えてもよ
い。
【0079】このような界面活性剤の例としては、高級
脂肪酸、酸性脂肪アルコール、アルキルスルホン酸塩、
アルキルこはく酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸
塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩、スル
ホこはく酸アルキルエステルの塩、アルケニルこはく酸
塩等のアニオン性界面活性剤や、エチレンオキサイドと
長鎖脂肪アルコールまたはフェノール類、リン酸類との
公知の反応生成物に代表されるノニオン性界面活性剤と
して、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシ
エチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、エチレ
ンオキサイドとリン酸類との公知の反応生成物等のノニ
オン性界面活性剤、4級アンモニウム塩等を含有するカ
チオン性界面活性剤、(部分鹸化)ポリビニルアルコー
ル等の高分子分散安定剤等やそれらの併用が挙げられ
る。特に式(6)で表される親水性基含有化合物または
アルケニルこはく酸塩が、式(3)のポリセミカルバジ
ド化合物との親和性が高いので好ましい。
【0080】本発明において、式(3)のポリセミカル
バジド化合物へ親水性を付与するためにはケトカルボン
酸類が挙げられ、具体的には、モノケトンカルボン酸と
しては一般式(7)、モノケトンジカルボン酸としては
一般式(8)で示される。モノケトンカルボン酸として
は次の一般式(7)で示される。
【化6】 (式中、R7 は、水素原子、フェニル基、又は置換され
ていないか或いはヒドロキシル基又は炭素数1〜8のア
ルコキシ基で置換されている直鎖状または分岐状の炭素
数1〜30のアルキル基を表す。R8 は、置換されてい
ないか或いはヒドロキシル基又は炭素数1〜8のアルコ
キシ基で置換されている直鎖状または分岐状の炭素数1
〜30のアルキレン基を表す。pは0又は1を表す。) 具体的に例えば、ピルビン酸、レブリン酸、アセト酢
酸、トリメチルピルビン酸、プロピオニル酢酸、ベンゾ
イルギ酸、フェニルピルビン酸、ケトカプリン酸、ケト
ウンデカン酸、ケトステアリン酸、ケトヘンエイコセン
酸、ベンゾイル酢酸、ベンゾイルプロピオン酸、ケトグ
リコン酸等が挙げられる。
【0081】モノケトンジカルボン酸としては一般式
(8)で示される。
【化7】 (式中、R9 、R10は、各々独立して、置換されていな
いか或いはヒドロキシル基又は炭素数1〜8のアルコキ
シ基で置換されている直鎖状または分岐状の炭素数1〜
30のアルキレン基を表す。q、rは、各々0又は1を
表す。) 具体的に例えば、ケトマロン酸、アセトンジカルボン
酸、2−ケトグルタル酸、アセトンジ酢酸、アセトンジ
プロピオン酸等が挙げられる。ケトン酸の塩は、上記ケ
トン酸を塩基で中和することにより得ることができる。
中和に用いる塩基としては、例えばKOH、NaOH、
LiOH等のアルカリ金属の水酸化物、アミン類等や、
これらの併用が挙げられる。
【0082】上記アミン類の具体例としては例えば、ア
ンモニア、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチ
ルアミン、N−メチルエタノールアミン、ジエタノール
アミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、メチルジエタ
ノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノ
ールアミン、トリエチルアミン、ピロリジン、ピペリジ
ン、モルホリン等が挙げられる。ポリセミカルバジド化
合物と、一般式(7)及び/または一般式(8)との混
合は、任意の割合で行うことができるが、ポリセミカル
バジド化合物中のセミカルバジド基に対する一般式
(7)または一般式(8)中のケト基の比が、(ケト
基)/(セミカルバジド基)モル比で0.001〜10
の範囲であることが好ましい。
【0083】またポリセミカルバジド化合物と、一般式
(7)及び/または一般式(8)との混合は、任意の温
度範囲において、無溶媒または溶媒中で行うことができ
る。該溶媒の具体例としては、水、t−ブタノール、イ
ソプロパノール、2−ブトキシエタール等のアルコール
類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチレングリ
コールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶
媒、N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム系溶媒、
ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、酢酸エ
チル、セロソルブアセテート等のエステル系溶媒、トル
エン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、n−ヘキサ
ン等の脂肪族炭化水素系溶媒等やその併用が挙げられ
る。
【0084】ポリセミカルバジド化合物の調整では界面
活性剤を使用することができる。使用できる界面活性剤
としては例えば、ヘキサメタリン酸のナトリウム塩、カ
リウム塩、またはアンモニウム塩、トリポリリン酸のナ
トリウム塩、カリウム塩、またはアンモニウム塩、ポリ
アクリル酸等のカルボン酸基を持つポリマーのナトリウ
ム塩、カリウム塩、またはアンモニウム塩などである。
その他、例えば、高級脂肪酸、樹脂酸、酸性脂肪アルコ
ール、硫酸エステル、高級アルキルスルホン酸、スルホ
ン酸アルキルアリル、スルホン化ひまし油、スルホこは
く酸エステル、アルケニルコハク酸等の塩に代表される
アニオン性界面活性剤、あるいはエチレンオキサイドと
長鎖脂肪アルコールまたはフェノール類、リン酸類との
公知の反応生成物に代表されるノニオン性界面活性剤、
4級アンモニウム塩等を含有するカチオン性界面活性剤
が挙げられる。
【0085】その他(部分鹸化)ポリビニルアルコー
ル、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
ポリビニルピロリドン等の高分子分散安定剤等、その他
ポリエーテル系増粘剤等の増粘剤、可塑剤、成膜助剤や
それらの併用が挙げられる。本発明の高分子水性分散物
には通常塗料等に添加配合される成分、例えば粘性調整
剤、pH調整剤、消泡剤、顔料、充填剤、分散剤、染
料、防腐剤、界面活性剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸
化防止剤、光安定剤、難燃剤、有機溶剤、湿潤剤、界面
活性剤、増粘剤、可塑剤、成膜助剤、防錆剤等を配合す
ることは任意である。これらは、例えばアトライター、
サンドミルなどの練肉機を使用して分散を行い、所定の
粘度になるよう調整を行う。
【0086】
【発明の実施の形態】以下に、実施例などを用いて本発
明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例な
どにより何ら限定されるものではない。実施例中の部は
重量部を意味する。実施例中に用いられる各種物性の測
定方法は、下記の通りである。 限外濾過 アドバンテック(株)ウルトラフィルターユニットを使
用した。 自動滴定装置による酸の定量 三菱化学社製のGT−05を使用した。 数平均分子量 ゲルパーミィテーションクロマトグラフィーを用いて、
ポリスチレン標品検量線より求めた。 (使用機器)・液クロ装置:東ソー(株)製 HLC−
8020 ・カラム:東ソー(株)製 TSKgel G−5000 HXL TSKgel G−4000 HXL TSKgel G−2000 HXL ・データ処理装置:東ソー(株)製 SC8010 ・キャリヤ:テトラヒドロフラン
【0087】 平均セミカルバジド残基数の測定方法 サンプル約0.2g(Wグラム)をジメチルアセトアミ
ド10ccに溶解する。これに、シクロヘキシルイソシ
アネート2.5gを50ccのジメチルアセトアミドに
溶解した液を5cc加え、室温で1時間放置する。その
後、ジノルマルブチルアミン3.2gをトルエン100
ccに溶解した液10cc加え、さらに30分放置す
る。その後、イソプロパノール70ccを加え、指示薬
としてブロモクレゾールグリーンを少量加え、0.1規
定の塩酸(ファクターをF)で滴定する(滴定量A)。
同様の操作をサンプルを加えないで行う(滴定値B)。
以下の式により平均セミカルバジド残基数(単位はme
q/g)を求めた。 (B−A)×0.1×F/W
【0088】 高分子水性分散物の評価 各実施例または各比較例の組成物について下記に示す評
価を行った。 (a)常態付着性 フレキシブル板、ケイ酸カルシウム板の7cm×15c
mの試験体を用意し、15%の濃度に調整した各実施例
または各比較例の組成物を100g/m2 となるように
塗布し、温度20℃,湿度65%の恒温恒湿室に7日間
放置して乾燥させた。続いて4mm×4mmの碁盤目状
に25枡となるようカッターにてカットし、セロハンテ
ープによる剥離テストを実施し、残留区画数を数えた。 ◎:20個以上残存 △:5〜19個残存 ×:4個以下の残存
【0089】(b)湿潤付着性 フレキシブル板、ケイ酸カルシウム板の7cm×15c
mの試験体を用意し、15%の濃度に調整した各実施例
または各比較例の組成物を100g/m2 となるように
塗布し、温度20℃,湿度65%の恒温恒湿室に7日間
放置して乾燥させた。さらに50℃の温水中に10日間
浸漬し、湿潤常態のまま4mm×4mmの碁盤目状に2
5枡となるようカッターにてカットし、セロハンテープ
による剥離テストを実施し、残留区画数を数えた。 ◎:20個以上残存 ○:5〜19個残存 △:4個以下の残存 ×:残存なし
【0090】(c)透水試験a フレキシブル板、ケイ酸カルシウム板の15cm×15
cmの試験体を用意し、15%の濃度に調整した各実施
例または各比較例の組成物を100g/m2 となるよう
に塗布し、温度20℃,湿度65%の恒温恒湿室に7日
間放置して乾燥させた。JIS−A−6909に定める
透水試験B法により、24時間後の透水量を測定した。 ◎:1cc以下 ○:5cc未満 ×:5cc以上
【0091】(d)透水試験b 軽量気泡コンクリートとしてヘーベルライト(旭化成工
業(株)製)の30cm×30cmの試験体を用意し、
50%の濃度に調整した各実施例または各比較例の組成
物を400g/m2 となるように塗布し、温度20℃,
湿度65%の恒温恒湿室に7日間放置して乾燥させた。
JIS−A−6909に定める透水試験B法により、2
4時間後の透水量を測定した。 ◎:1cc以下 ○:5cc以下 △:25cc未満 ×:25cc以上
【0092】
【参考例1】水溶性ポリカルボニル化合物〔a−1〕の
調製 攪拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた
反応容器に、イソプロピルアルコール500部を投入
し、反応容器内を80℃とする。次に、アクリル酸3
3.5部、ジアセトンアクリルアミド15部、メタクリ
ル酸メチル206.5部、アクリル酸ブチル245部の
混合液と、イソプロピルアルコール100部、2,2−
アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5部の混
合液とを反応容器中へ別々の滴下槽より4時間かけて流
入させる。流入中は反応容器中の温度を83℃に保つ。
流入が終了してからさらに2時間保つ。室温まで冷却
後、25%アンモニア水及び水500部を添加してpH
6.5とし、共沸下でイソプロピルアルコールを留去し
た後、樹脂固形分30%の水溶性ポリカルボニル化合物
〔a−1〕を得た。酸価は52mgKOH/g、数平均
分子量は15000であった。
【0093】
【参考例2】水溶性ポリカルボニル化合物〔a−2〕の
合成 攪拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた
反応容器に、イソプロピルアルコール600部を投入
し、反応容器内を80℃とする。次に、メタクリル酸4
0部、ジアセトンアクリルアミド30部、メタクリル酸
メチル130部、アクリル酸ブチル300部の混合液
と、イソプロピルアルコール130部、2,2−アゾビ
ス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5部の混合液と
を反応容器中へ別々の滴下槽より4時間かけて流入させ
る。流入中は反応容器中の温度を80℃に保つ。流入が
終了してからさらに2時間保つ。室温まで冷却後、25
%アンモニア水及び水1000部を添加してpH6.8
とし、共沸下でイソプロピルアルコールを留去した後、
樹脂固形分30%の水溶性ポリカルボニル化合物〔a−
2〕を得た。酸価は52mgKOH/g、数平均分子量
は8500であった。
【0094】
【参考例3】ポリカリボニル水分散体〔b〕の合成 攪拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた
反応容器に、水200部、ラテムルS−180A(花王
(株)製界面活性剤:商品名)の20%水溶液5部を投
入し、反応容器内を80℃とする。次に、メタクリル酸
10部、ジアセトンアクリルアミド30部、スチレン5
0部、メタクリル酸メチル115部、アクリル酸ブチル
295部の混合液と、水270部、ラテムルS−180
Aの20%水溶液20部、過硫酸アンモニウム1.5部
の混合液とを反応容器中へ別々の滴下槽より4時間かけ
て流入させる。流入中は反応容器中の温度を80℃に保
つ。流入が終了してからそのまま30分保ち、引き続き
過硫酸アンモニウム0.5部と水10部の混合液を30
分かけて流入し、流入後反応容器中の温度を85℃にし
て3時間保つ。室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定
したところ2.1であった。アンモニア水を添加してP
H9に調整してから100メッシュの金網でろ過した。
ろ過された凝集物の乾燥重量は全単量体に対して0.1
5%と非常にわずかであった。得られた樹脂の固形分は
50.1%、平均粒子径1260Åであった。酸価は1
3mgKOH/gであった。
【0095】
【参考例4】<高分子水性分散物(1)の製造>攪拌
機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた反応
容器に、樹脂固形分30%の水溶性ポリカルボニル化合
物〔a−2〕1000部を投入し、反応容器内を80℃
とする。次に、メタクリル酸6部、ジアセトンアクリル
アミド18部、メタクリル酸メチル126部、アクリル
酸ブチル150部の混合液と、水209部、ラテムルS
−180Aの20%水溶液20部、過硫酸アンモニウム
1.5部の混合液とをホモジナイザーによりプレ乳化液
とし、滴下槽より、反応容器中への4時間かけて流入さ
せる。流入中は反応容器中の温度を80℃に保つ。流入
が終了してからそのまま30分保ち、引き続き過硫酸ア
ンモニウム0.5部と水10部の混合液を30分かけて
流入し、流入後反応容器中の温度を85℃にして3時間
保つ。室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定したとこ
ろ6.1であった。アンモニア水を添加してPH7.0
に調整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過
された凝集物の乾燥重量は全単量体に対して0.15%
と非常にわずかであった。得られた高分子水性分散物
(1)の固形分は39.9%、平均粒子径3560Åで
あった。酸価は32mgKOH/gであった。
【0096】<高分子水性分散物表面部分のカルボニル
基量Aの定量>カルボニル基を含有する高分子水性分散
物(1)2.00gに水5.00gおよび界面活性剤
(花王(株)製、ニューコール506:商品名)25%
水溶液0.30gを加え約10分攪拌した後、1.96
%塩酸ヒドロキシルアンモニウム水溶液1.80gを添
加し、30℃の温浴にて約8時間攪拌し反応液を得た。
この反応液のpHを測定したところ2.75であった。
さらにこの反応液の内、2.50gを他容器に取り、水
20gを添加し、0.1規定水酸化ナトリウム水溶液に
てpHを4.00に調整する。引き続き、メチルエチル
ケトン1.00gを添加し25℃で攪拌し、pHを測定
したところ1.60であった。続いて攪拌下にてこの反
応液へ、0.02規定の水酸化カリウム水溶液を滴下
し、pH4.00になる量を測定した。この測定量か
ら、カルボニル基量Aの値として、カルボニル量はカル
ボニル基を含有する高分子水性分散物固形分1gに対し
0.3177mmolであり、高分子水性分散物中の全
カルボニル量Bの91.8%が存在した。
【0097】<水相部分のカルボニル基量Cの定量>カ
ルボニル基を含有する高分子水性分散体(1)2.00
gに、水3.00gおよび界面活性剤(花王(株)製、
ニューコール506:商品名)25%水溶液0.35g
を添加し約1時間攪拌した。続いて分画分子量5000
0のフィルターにて限外濾過を行い、得られた濾液の内
1.20gを他容器に取り、2%塩酸ヒドロキシルアン
モニウム水溶液0.50gを添加し、30℃の温浴にて
約8時間攪拌反応させた。この反応液に水20gを添加
し充分攪拌した後、反応液のpHを測定したところ、p
Hは5.42であった。続いてこの反応液を0.1規定
水酸化ナトリウム水溶液を使用してpHを4.00に調
整した後、メチルエチルケトン1.00gを添加後、2
5℃にて充分攪拌し、pHを測定したところpHは3.
55であった。続いて攪拌下にてこの反応液へ、0.0
2規定水酸化カリウム水溶液を滴下し、pH4.00に
なる量を測定した。この測定量から、カルボニル基量C
は、高分子水性分散物固形分1gに対し0.1050m
molであり、ラテックス中の全カルボニル量Bの3
0.3%が存在した。
【0098】<分散体粒子表面部分のカルボニル基量D
の算出>高分子水性分散物表面部分のカルボニル基量A
が0.31771mmol、水相部分のカルボニル基量
Cが0.1050mmolと定量され、分散体粒子表面
部分のカルボニル基量Dは、高分子水性分散物表面部分
のカルボ二ル基量Aと水相部分のカルボニル基量Cとの
差として0.2127mmolと算出でき、高分子水性
分散物中の全カルボニル量Bの61.5%が存在した。
【0099】<全カルボニル基量Bの定量>カルボニル
基を含有する高分子水性分散物(1)2.00gにテト
ラヒドロキシフラン10.0gを加え充分に攪拌し、溶
解またはほぼ溶解状態にした後、1.96%の塩酸ヒド
ロキシルアンモニウム水溶液を1.80g添加し、30
℃の温浴にて約8時間攪拌し反応液を得た。この反応液
のpHを測定したところpHは2.44であった。この
反応液の一部である3.80gを他容器に取り、水2g
を加え、0.1規定水酸化ナトリウム水溶液にてpHを
4.00に調整する。続いてメチルエチルケトン1.0
0gを添加し25℃で攪拌し、pHを測定したところp
H1.68であった。続いて攪拌下にてこの反応液へ、
0.02規定の水酸化カリウム水溶液を滴下し、pH
4.00になる量を測定した。この測定量から、全カル
ボニル量Bは高分子水性分散物固形分1gに対し0.3
461mmolであり、本発明の定量方法にて、ジアセ
トンアクリルアミドに由来する全カルボニル量0.34
93mmolに対し99.1%のカルボニル量Bを検出
することができた。
【0100】
【参考例5】<高分子水性分散物(2)の製造>攪拌
機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた反応
容器に、樹脂固形分30%の水溶性ポリカルボニル化合
物〔a−1〕2666.7部を投入し、反応容器内を8
0℃とする。次に、ジアセトンアクリルアミド6部、ス
チレン80部、アクリル酸ブチル114部の混合液と、
水118.3部、ラテムルS−180Aの20%水溶液
15部、過硫酸アンモニウム0.6部の混合液とをホモ
ジナイザーによりプレ乳化液とし、滴下槽より、反応容
器中への4時間かけて流入させる。流入中は反応容器中
の温度を80℃に保つ。流入が終了してからそのまま3
0分保ち、引き続き過硫酸アンモニウム0.2と水5部
の混合液を30分かけて流入し、流入後反応容器中の温
度を85℃にして3時間保つ。室温まで冷却後、水素イ
オン濃度を測定したところpH6.1であった。アンモ
ニア水を添加してpH6.6に調整してから100メッ
シュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥重量は
全単量体に対して0.15%と非常にわずかであった。
得られた高分子水性分散物(2)の固形分は33.3
%、平均粒子径4150Åであった。酸価は41mgK
OH/gであった。参考例1と同様の方法にて各部のカ
ルボニル量を定量し、その結果を表1に示した。
【0101】
【参考例6】<高分子水性分散物(3)の製造>攪拌
機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた反応
容器に、樹脂固形分30%の水溶性ポリカルボニル化合
物〔a−2〕100部、水200部、ラテムルS−18
0Aの20%水溶液5部を投入し、反応容器内を80℃
とする。次に、メタクリル酸10部、ジアセトンアクリ
ルアミド30部、スチレン50部、メタクリル酸メチル
115部、アクリル酸ブチル295部の混合液と、水2
70部、ラテムルS−180Aの20%水溶液20部、
過硫酸アンモニウム1.5部の混合液とを反応容器中へ
別々の滴下槽より4時間かけて流入させる。流入中は反
応容器中の温度を80℃に保つ。流入が終了してからそ
のまま30分保ち、引き続き過硫酸アンモニウム0.5
部と水10部の混合液を30分かけて流入し、流入後反
応容器中の温度を85℃にして3時間保つ。室温まで冷
却後、水素イオン濃度を測定したところpH3.0であ
った。アンモニア水を添加してpH9に調整してから1
00メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾
燥重量は全単量体に対して0.10%と非常にわずかで
あった。得られた高分子水性分散物(3)の固形分は4
9.8%、平均粒子径3420Åであった。酸価は15
mgKOH/gであった。参考例1と同様の方法にて各
部のカルボニル量を定量し、その結果を表1に示した。
【0102】
【参考例7】<高分子水性分散物(4)の製造>攪拌
機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた反応
容器に、水200部、ラテムルS−180Aの20%水
溶液5部を投入し、反応容器内を80℃とする。次に、
メタクリル酸30部、ジアセトンアクリルアミド30
部、メタクリル酸メチル145部、アクリル酸ブチル2
95部、n−ドデシルメルカプタン2.5部の混合液
と、水270部、ラテムルS−180Aの20%水溶液
20部、過硫酸アンモニウム5部の混合液とを反応容器
中へ別々の滴下槽より4時間かけて流入させる。流入中
は反応容器中の温度を80℃に保つ。流入が終了してか
らそのまま30分保ち、引き続き過硫酸アンモニウム
0.5部と水10部の混合液を30分かけて流入し、流
入後反応容器中の温度を85℃にして3時間保つ。室温
まで冷却後、水素イオン濃度を測定したところpH2.
1であった。アンモニア水を添加してpH6.0に調整
してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された
凝集物の乾燥重量は全単量体に対して0.55%とわず
かであった。得られた高分子水性分散物(4)の固形分
は50.1%、平均粒子径1260Åであった。酸価は
38mgKOH/gであった。参考例1と同様の方法に
て各部のカルボニル量を定量し、その結果を表1に示し
た。
【0103】
【参考例8】<ポリセミカルバジド化合物Aの合成例>
ヘキサメチレンジイソシアネート168部、ビュレット
化剤としての水1.5部を、エチレングリコールメチル
エーテルアセテートとリン酸トリメチルの1:1(重量
比)の混合溶媒130部に溶解し、反応温度160℃に
て1時間反応させた。得られた反応液を薄膜蒸留缶を用
いて、1回目は1.0mmHg/160℃の条件下、2
回目は0.1mmHg/200℃の条件下にて2段階の
処理により余剰のヘキサメチレンジイソシアネート、お
よび溶媒を留去回収し、残留物を得た。得られた残留物
は99.9重量%のポリイソシアネート(ヘキサメチレ
ンジイソシアネートのビュウレット型ポリイソシアネー
ト)および0.1重量%の残存ヘキサメチレンジイソシ
アネートを含有していた。得られた残留物の粘度は19
00(±200)mPa.s/25℃、数平均分子量は
約600(±100)であり、平均−NCO官能基数は
約3.3、−NCO基含有量は23.3重量%であっ
た。
【0104】還流冷却器、温度計および撹拌装置を有す
る反応器にイソプロピルアルコール1000部にヒドラ
ジン1水和物80部を撹拌しながら約30分かけて室温
で添加した後、上記ポリイソシアネート(−NCO基含
量23.3重量%)144部をテトラヒドロフラン57
6部に溶解した溶液を10℃にて約1時間かけて添加
し、さらに40℃にて3時間撹拌を続け、1000部の
水を添加した。続いて得られた反応液中のイソプロピル
アルコール、ヒドラジン、テトラヒドロフラン、水等を
加熱減圧下に留去することにより168部のビウレット
構造を有するポリセミカルバジド化合物Aを得た。平均
セミカルバジド残基数を測定したところ、4.6meq
/gであった。
【0105】
【実施例1】参考例4の高分子水性分散物(1)100
重量部にポリセミカルバジド化合物Aの30%水溶液
8.1重量部を攪拌混合し、各付着性能試験、透水試験
に供した。その結果を表2に示す。
【実施例2】参考例4の高分子水性分散物(1)100
重量部に8%アジピン酸ジヒドラジド水溶液15.2重
量部を攪拌混合し、各付着性能試験、透水試験に供し
た。その結果を表2に示す。
【実施例3】参考例5の高分子水性分散物(2)100
重量部にポリセミカルバジド化合物Aの30%水溶液
4.7重量部を攪拌混合し、各付着性能試験、透水試験
に供した。その結果を表2に示す。
【0106】
【比較例1】参考例6の高分子水性分散物(3)100
重量部にポリセミカルバジド化合物Aの30%水溶液1
1.4重量部を攪拌混合し、各付着性能試験、透水試験
に供した。その結果を表2に示す。
【比較例2】参考例7の高分子水性分散物(4)100
重量部にポリセミカルバジド化合物Aの30%水溶液1
0.1重量部をかく拌混合し、各付着性能試験、透水試
験に供した。その結果を表2に示す。
【0107】
【実施例4】参考例1の水溶性ポリカルボニル化合物
〔a−1〕266.7重量部に対し、エチレングリコー
ルモノブチルエーテル5重量部を充分攪拌混合した後、
この混合液を、参考例3のポリカリボニル水分散体
〔b〕40重量部へ充分攪拌混合し、高分子水性分散物
(5)を得た。参考例4と同様の方法にて各部のカルボ
ニル量を定量し、その結果を表1に示した。高分子水性
分散物(5)100重量部に、エチレングリコールモノ
ブチルエーテル5.0重量部を充分かく拌混合した後、
ポリセミカルバジド化合物Aの30%水溶液5.0重量
部をかく拌混合し、各付着性能試験、透水試験に供し
た。その結果を表2に示す。
【0108】
【実施例5】参考例2の水溶性ポリカルボニル化合物
〔a−2〕166.7重量部を、参考例3のポリカリボ
ニル水分散体〔b〕100重量部へ充分攪拌混合し、高
分子水性分散液(6)を得た。参考例4と同様の方法に
て各部のカルボニル量を定量し、その結果を表1に示し
た。高分子水性分散液(6)100重量部にポリセミカ
ルバジド化合物Aの30%水溶液9.1重量部を攪拌混
合し、各付着性能試験、透水試験に供した。その結果を
表2に示す。
【0109】
【比較例3】参考例1の水溶性ポリカルボニル化合物
〔a−1〕66.7重量部に対し、エチレングリコール
モノブチルエーテル5重量部を充分攪拌混合した後、こ
の混合液を、参考例3のポリカリボニル水分散体〔b〕
160重量部へ充分攪拌混合し、高分子水性分散物
(7)を得た。参考例4と同様の方法にて各部のカルボ
ニル量を定量し、その結果を表1に示した。高分子水性
分散液(7)100重量部にポリセミカルバジド化合物
Aの30%水溶液6.3重量部をかく拌混合し、各付着
性能試験、透水試験に供した。その結果を表2に示す。
【0110】
【実施例6】攪拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計
を取りつけた反応容器に、イソプロピルアルコール50
0部を投入し、反応容器内を80℃とする。次に、アク
リル酸33.5部、ジアセトンアクリルアミド15部、
メタクリル酸メチル206.5部、アクリル酸ブチル2
45部の混合液と、イソプロピルアルコール100部、
2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
7部の混合液とを反応容器中へ別々の滴下槽より4時間
かけて流入させる。流入中は反応容器中の温度を83℃
に保つ。流入が終了してからさらに2時間保つ。室温ま
で冷却後、25%アンモニア水及び水500部を添加し
てpH6.0とし、共沸下でイソプロピルアルコールを
留去した後、樹脂固形分30%の高分子水性分散物
(8)を得た。酸価は52mgKOH/g、数平均分子
量は13000であった。参考例4と同様の方法にて各
部のカルボニル量を定量し、その結果を表1に示した。
高分子水性分散液(8)100重量部にポリセミカルバ
ジド化合物Aの30%水溶液3.8重量部を攪拌混合
し、各付着性能試験、透水試験に供した。その結果を表
2に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
【発明の効果】カルボニル基を含有する高分子水性分散
物について、分散体中のカルボニル基量測定法を利用し
て測定される特定部位のカルボニル基量が特定量の範囲
比率で存在するとき、該硬化皮膜において従来の水性シ
ーラーの欠点であった基材となる建材への含浸性、耐水
性における欠点を改良する。すなわち、下地基材へ含浸
浸透して表面を補強する塗膜を形成し、かつその塗膜が
耐水性に優れるため各種下地基材に対する密着性および
耐透水性を改善し、防水性能に優れる高分子水性分散物
を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AB01W AC02W BB02W BB24W BC02W BC02X BC12W BC12X BD03W BE05W BE05X BF02W BG02W BG04W BG04X BG04Y BG05W BG05X BG05Y BG07W BG07X BG08W BG08X BG10W BG12W BG12X BG13W BG13X BG13Y BH01W BH02Y BJ00W BJ00X BL01W BQ00W CF00W CH05W CH05X CK02W CM01Y GH01 HA06 4J038 BA021 BA231 CA021 CB021 CB171 CC021 CD021 CF011 CG001 DD001 DG001 GA06 JB17 MA08 MA10 NA04 NA12 PB05 PB07 PC02 PC04 PC08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性ポリカルボニル化合物〔a〕から
    なるカルボニル基を含有する高分子水性分散物であっ
    て、該カルボニル基の分散体粒子分配率が50%未満で
    あることを特徴とする高分子水性分散物。
  2. 【請求項2】 カルボニル基を含有する高分子水性分散
    体組成物において、全カルボニル基量Bに対し、該水性
    分散体粒子表面部分のカルボニル基量Dが20%以上で
    あることを特徴とする請求項1に記載の高分子水性分散
    物。
  3. 【請求項3】 水溶性ポリカルボニル化合物〔a〕が、
    乳化重合または溶液重合から得られることを特徴とする
    請求項1または2に記載の高分子水性分散物。
  4. 【請求項4】 酸価が25mgKOH/g未満のポリカ
    ルボニル水分散体〔b〕を含有することを特徴とする請
    求項1〜3のいずれかに記載の高分子水性分散物。
  5. 【請求項5】 高分子水性分散物が、1分子中に2個以
    上のヒドラジン基および/またはセミカルバジド基を有
    するヒドラジン誘導体を含有することを特徴とする請求
    項1〜4のいずれかに記載の高分子水性分散物。
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