JP2001163646A - 石炭灰を主原料とした人工骨材およびその製造法 - Google Patents

石炭灰を主原料とした人工骨材およびその製造法

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清 高井
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NIPPON MATEKUSU KK
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭種の相違、石炭焚ボイラの形式の違い、石
炭灰の化学成分に基因する融点や粒度の相違、残留未燃
カーボン量の多少があっても、高強度で吸水率の低い人
工骨材を製造できるようにすること。 【解決手段】 石炭灰に粘結材等を混練して造粒し、そ
の造粒物を焼成してコンクリート用人工骨材を製造する
において、まず、粘結材が含まれると共に再結晶させる
と形体基質となる人工マトリックス合成材4を、石炭灰
2に混練して造粒する。その造粒物8を乾燥した後に酸
化性雰囲気のゾーン15において900〜1,000℃
程度までの温度で假焼し、引き続いて還元性雰囲気のゾ
ーン17において約1,250℃までの温度で焼成す
る。その焼成物を徐冷すれば、石炭灰粒子がSiO2
CaO−FeO三元系再結晶構造の人工マトリックスで
包蔵されたペレット状人工骨材23が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は石炭灰を主原料とし
た人工骨材およびその製造法に係り、詳しくは、コンク
リート用骨材として利用可能な低吸水率であると共に比
較的軽量化が図られ、さらに石炭灰に含まれる未燃カー
ボン量の多少によらず高強度化できる人工骨材およびそ
の製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】石炭火力発電所からは石炭飛灰(フライ
アッシュ:以下石炭灰という)が大量に発生するが、そ
の約65%はセメントやその他の原料に供されるもの
の、残りは埋立処分されるなどしている。しかし、石炭
灰の発生量が今後も増大する傾向にあることを考慮する
と、その再資源化の努力は避けて通ることができない。
【0003】この石炭灰はごみ焼却灰等とは異なり、有
害不純物を殆ど含まないにもかかわらず、溶融処理によ
り建築土木用資材へと転化する再資源化技術は、近年飛
躍的に進展しつつある一般ごみの焼却灰の場合に比べれ
ば大きく立ち遅れている。その理由として、以下の点が
挙げられる。
【0004】一つ目の理由は、石炭灰が大部分250メ
ッシュ以下を占める微粒子であるため、溶融処理をする
にしても取り扱いに難点があるということである。それ
は、石炭灰粒子がボイラの種類により風船球状(微粉炭
燃焼方式のボイラにおける燃焼温度はガスストーカ炉や
流動床炉におけるよりもかなり高い1,300〜1,5
00℃であって灰の融点付近となる。そのため、灰中の
SiO2 分やAl2 3 分が一旦溶融してガラス化し、
得られる灰は球形粒となる)になったり不整形状であっ
たりするが、そのような性状の微粉を電気抵抗炉やプラ
ズマ炉等において溶融処理しようとすると、炉況が極め
て不安定になることである。
【0005】すなわち、炉内で乾燥された時点で石炭灰
が川の流れのように流動し、生成されている溶融スラグ
に流入したり灰層内で突沸現象を起こすなどする。他の
難点は、乾燥微粉末が炉内排ガス流に伴われて炉外に排
出されやすく、結局は投入原料に対して電力負荷を充分
に与えることができなくなるということである。
【0006】二つ目の理由は、石炭灰の平均的な化学的
成分がSiO2 45〜55%、Al 2 3 25〜33
%、CaO3〜8%、Fe2 3 5〜10%であり、普
通の焼却灰のそれとは大きく異なっていることである。
すなわち、石炭灰の融点を低下させる要素であるFe2
3 が焼却灰の2倍近く含まれるものの、融点上昇要素
であるSiO2 は略同量、Al2 3 に至っては2倍以
上含まれているという点にある。したがって、Feを還
元した場合に生成されるスラグの融点は異常に高くなり
かつ粘性も増大し、溶融処理が困難となって再資源化の
ための操作を妨げることになる。
【0007】上記した微粉末であるがゆえの取扱性の不
便さを解消する手段として、石炭灰を5〜25mmとい
った程度に粒状化(砂利同等サイズ)すべく、予め処理
しておくことが重要である。また、前述したごとく石炭
灰には有害不純物質が無いに等しいので、溶融処理する
よりも高温焼成処理することによって微粒子を再結合さ
せる方が好ましいとも言える。
【0008】ところが、石炭を燃焼させるボイラの機種
や石炭の産地(銘柄)によっても異なるが、石炭灰には
未燃カーボンが残存し、大部分の灰においてはその量が
2.5〜4.5%である。この未燃カーボンは1,00
0℃以上の高温領域においてO2 との反応が激しくなる
性質を持つ。すなわち石炭灰を粒状化(ペレット化)し
て焼成した場合に発泡現象を呈し、したがって生成され
た人工骨材は多孔質化して、コンクリート用骨材として
はふさわしくない吸水率の高い(モルタルの水分を過剰
に吸い取る)ものになってしまうという厄介な問題が生
じる。
【0009】ちなみに、石炭灰の再資源化処理法とし
て、以下の発明が従来から提案されている。特開昭62
−256746号公報にはブレーン比表面積2,000
〜3,800 cm2/gの粗粉を石炭灰造粒ペレットに6
0%以上含ませ、焼成炉において1,000〜1,15
0℃のガス温度でペレット中の未燃カーボンに着火して
焼結するようにした人工軽量骨材の製造法が記載されて
いる。
【0010】特開平5−229858号公報には、石炭
灰を予め分級しておき、ブレーン比表面積1,500〜
2,000 cm2/gの粗粒子灰に粘土を加えて混練し、
これを造粒したペレットにブレーン比表面積3,500
〜5,000 cm2/gの微粉末灰や粘土粉を被覆し、こ
れを焼結することによって軽量骨材を得る方法が開示さ
れている。
【0011】また、特開平7−187739号公報に
は、中心核造粒体とコーティング外殻とで構成した造粒
体を1,300〜1,350℃で焼成し、溶融軟化した
コーティング外殻により中心核造粒体を包囲させること
ができるようにした人工骨材が記載されている。そのた
めに、融点を降下させるフラックスの量をコーティング
外殻では中心核造粒体よりも多くするという配慮が払わ
れている。
【0012】さらに、特開平9−40445号公報に
は、例えば25μm以下に粉砕された石炭灰に粘結材
(例えばベントナイト等)およびフラックス(炭酸カル
シウム,水酸化カルシウム等)を加え(以下、この粘結
材とフラックスとからなるものを添加物という)、この
造粒物を焼成した骨材中の全Fe量に対する2価の鉄の
割合を35%好ましくは30%以下とする製造法、すな
わち、ペレット中の未燃カーボンによる発泡膨脹焼成を
回避して収縮焼成となるように、1,000℃に昇温す
るまでの間にカーボン含有量を0.2%好ましくは0.
1%以下となるようにした後、ペレットの表面が溶融す
る寸前の1,250〜1,350℃で焼成して、吸水率
の低い高強度な人工骨材を得る方法が提案されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記した粗粉を60%
以上含ませる特開昭62−256746号公報に記載の
製造法においては、微粉が40%以下にとどまることか
ら生ペレットの空隙率が高くなっているが、それに加え
て、1,000〜1,200℃で焼成する際に石炭灰中
の未燃カーボンが消失することにより空隙が発生し、骨
材のより一層の軽量化が図られる。
【0014】しかし、生ペレットは粗粉が主であって移
動火格子で輸送される間に粉化しやすく、生産の歩留り
が悪いと言われている。さらに、多孔質な骨材が開気孔
も有することになるので吸水率は高く、例えば10〜2
0%に及ぶこともあって信頼性の高いコンクリートは得
られ難い。また、軽量化の指標を示す絶乾比重は1.2
7〜1.43であり、JISで規定する軽量骨材の範囲
内にあるとはいえ大きい部類に属してしまう。
【0015】特開平5−229858号公報における骨
材の製造法は、頁岩を原料とする市販の人工軽量骨材の
絶乾比重1.25〜1.35に匹敵し、かつ粉化を防止
できる人工骨材を可能にしようとするものである。とこ
ろが、石炭灰には頁岩のように加熱すると膨脹する有機
物が含まれていないので、未燃カーボンを激しく燃焼さ
せて発泡膨脹焼成する必要がある。そのために、焼成炉
入口ガス量や入口酸素濃度を制御するなどしているが、
発泡膨脹現象の利用によって骨材中に微細な連続気孔が
分布し、これが外気に繋がる開気孔を有していることも
あって、前記の例と同様に吸水率の高いものとなる難点
がある。
【0016】中心核造粒体とコーティング外殻とで構成
した特開平7−187739号公報の例は、コーティン
グ外殻を軟化させて開気孔を閉塞させることにより、吸
水率を低下させることを目的としている。コーティング
外殻に配合されるフラックスとしてのCaOが中心核造
粒体に配合される量より多くなっているのは、それぞれ
に含まれるSiO2 の融点が高いことに鑑み、外殻の融
点を中心核におけるそれよりも低下させる意図によるも
のと思われる。
【0017】そのように配慮したとはいえ、コーティン
グ外殻を軟化させて石炭灰微粒子相互の粘着を図るため
には依然として1,300〜1,350℃の高い焼成温
度が要求され、投入エネルギが大きくなる問題がある。
加えて、フラックスの混合率の多さから判断すると、C
aOのSiO2 に対する比率(塩基度)は、溶融スラグ
の流動性を悪化させ始める1.2を大きく上回る1.4
となる。それゆえに、コーティング外殻が溶融したとし
てもその流動性は極めて低く、カーボンの消失空間に侵
入して開気孔を閉塞させるという作用は期待し難くな
る。
【0018】さらに、コーティング外殻の形成に使用さ
れる石炭灰は、平均径で20μm未満に粉砕しておく必
要がある。すなわち、それより大きい径の場合にはコー
ティング外殻の溶融軟化温度が上記の焼成温度よりも上
昇してしまうからであるが、元来微粉である石炭灰を粉
砕するためには更なるエネルギ消費が余儀なくされるこ
とになるのは言うまでもない。
【0019】石炭灰に添加物(ベントナイト等の粘結材
やCaOフラックス)を混練し、それを造粒してペレッ
トの状態で焼成しようとする特開平9−40445号公
報においては、石炭灰粒子に添加物を融着させやすくす
るため、添加物として石炭灰の融点もしくは軟化点に近
接するものを採用するようにしている。
【0020】その添加物は、大体においてCaO/Si
2 が55/45ないし65/35の範囲となるように
調整されているようであるが、このCaO・SiO2
元系の融点は二元系相平衡状態図(図示せず)によれば
1,430〜1,470℃である。これに他の成分が幾
らか含まれていることを考慮しても、この添加物の融点
は1,300〜1,400℃の範囲にあると想像され、
また実測値もそうであることを確認した。次に述べるよ
うに石炭灰の融点もこれに近いものが多く、石炭灰と添
加物とを共に軟化して融着させ得ることが理解できる。
【0021】ところで、石炭灰の組成はSiO2 とAl
2 3 がその大部分を占めるが、その比率は石炭の銘柄
によって異なる。もちろん、それに従って随伴成分(F
23 ,CaO,MgO,SO3 ,P2 5 ,Mn
O,TiO2 ,V2 5 ,Na 2 O,K2 Oといったも
の)の含有率も相違することは述べるまでもない。しか
し、石炭灰をSiO2 とAl2 3 の二元系とみなす
と、いずれの炭種についても実測結果によると、灰のS
iO2 /Al2 3 は58/42ないし70/30の範
囲にあると言って差し支えない。
【0022】この範囲におけるSiO2 ・Al2 3
融点は、二元系相平衡状態図(図示せず)によれば、い
ずれも1,750〜1,800℃の範囲にあって大きく
変化しないものとなっている。そこで、各種石炭灰につ
いて計測された多数のデータを基にして纏めた結果か
ら、本発明者は、図5に示すように、随伴成分が10〜
18%である場合の融点は1,550℃前後で緩やかに
変化し、20%で1,500℃近くに低下した後は、2
0%から約30%までの領域で5%増えるごとに100
℃ずつ大きく低下することをつきとめた。
【0023】前述したように石炭灰と添加物の融点は近
接していることが不可欠であるが、上に記載したごとく
石炭灰の融点が随伴成分の量によって異なることを考慮
すると、石炭灰種にふさわしい融点の添加物がその都度
必要となる。これでは、雑多な炭種を使用せざるを得な
い発電所から出る石炭灰を扱う場合、石炭灰の種類ごと
に予め焼成試験を行い、これに適合する添加物を調合し
てから焼成処理にとり掛からなければならず、石炭灰の
大量処理技術として好ましいとは言い難い。
【0024】以上とは別に、特開平9−40445号公
報に記載の人工骨材の製造法においては、未燃カーボン
による発泡膨脹を回避して収縮焼成となるように、すな
わち原料ペレットの見かけ比重より小さい見かけ比重の
焼成物を得ることができるように、酸化性雰囲気で焼成
することを配慮して原則的には未燃カーボンが3%以下
の石炭灰を対象とすることに限定している。
【0025】これは、未燃カーボンが雰囲気中の酸素ガ
スによる燃焼によって1,000℃に到達するまでに上
記した0.1%以下に除去されていれば、燃焼速度が大
きくなる1,000℃を越えても発泡膨脹が抑えられ、
人工骨材の多孔質化や開気孔の発現を回避できるという
思想に基づいている。
【0026】ところが、石炭には幾つもの銘柄があり、
それぞれの灰の組成や性状は相違する。未燃カーボンを
5%含むものもあるくらいで、統計的には3%以上の未
燃カーボンを含む石炭灰は全体の75%以上存在する。
このことからすれば、当該製造法を適用できる石炭灰は
1/4かそれに満たない程度の炭種灰に限られることに
なる。3%以上の未燃カーボンが含まれる石炭灰を対象
とする場合には、0.1%以下の残量を達成するために
長時間1,000℃までの温度に曝しておくことが要求
され、生産性が著しく低下するからである。
【0027】それのみならず、骨材中の全鉄量に対して
2価の鉄の占める率が35%もしくは30%以下となる
ように規制がかけられている。これは、石炭灰に含まれ
る未燃カーボンの初期酸化を促すべく焼成中の雰囲気を
酸化性に保っておきたいという趣旨である。
【0028】すなわち、初期酸化が不十分なまま昇温し
て高温域に達したとすると残留カーボンによって還元さ
れたFeOが多くなり、軟化点を低下させてペレットの
溶融が早まる。このため、カーボンの酸化によるガスが
外部に拡散しにくくなって骨材は発泡し、比重の低下し
た脆い骨材となる。しかし、骨材中の2価の鉄の占める
率が35%以下であれば、すなわちFeOが少なけれ
ば、このようなことを避けることができるということに
基づいていると思われる。
【0029】添加物として石炭灰の融点もしくは軟化点
に近接するものが採用されることを既に述べたが、これ
は石炭灰および添加物を軟化させて液相と固相とが混在
する時期を利用し相互に融着させようとすることに外な
らない。実際には添加物を100℃程度低い温度で先に
軟化させることができるように配慮されるとしても、そ
の温度域でペレット同志が融着して団子化塊状化するこ
とは避けられず、ケイ砂やアルミナ粉といった融着防止
材を融着寸前に吹きかけることが必要となり、焼成処理
上の煩わしさがつきまとう。
【0030】加えて、ペレットの焼成温度は石炭灰の融
点に支配されることから一般的にはその融点に近い高温
焼成となり、多大な熱エネルギ消費が余儀なくされる。
さらに、石炭灰を平均で25μm以下に粉砕しておくこ
ともあって粉砕動力も必要であり、エネルギ多消費型と
なることは否めない。
【0031】本発明は上記した背景に鑑みなされたもの
で、その目的は、炭種の相違、石炭焚ボイラの形式の違
い、さらには石炭灰の化学成分に基因する融点や粒度が
如何にあろうともまた灰中に残留する未燃カーボン量に
多少があっても、比較的軽量かつ高強度であり吸水率の
低い人工骨材を少ないエネルギでもって得ることができ
るようにした石炭灰を主原料とする人工骨材およびその
製造法を提供することである。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明は、石炭灰に粘結
材等を混練して造粒しその造粒物を焼成することにより
製造されたコンクリート用人工骨材に適用される。その
特徴とするところは、石炭灰の融点よりも少なくとも1
00〜300℃低い融点を持った人工マトリックスによ
って石炭灰粒子が包蔵され、その人工マトリックスはS
iO2 −CaO−FeOの三元系再結晶をなしているこ
とである。
【0033】人工マトリックスとして、石炭灰の融点よ
りも少なくとも100〜300℃低い融点を持つもので
あって、SiO2 −CaO−FeO−MgOの四元系再
結晶をなしているものでもよい。
【0034】石炭灰を主原料とした人工骨材の製造法の
発明においては、粘結材が含まれると共に再結晶させる
と形体基質となる人工マトリックス合成材を石炭灰に混
練して造粒し、その造粒物を乾燥した後に酸化性雰囲気
において1,000℃前後までの温度で假焼し、引き続
いて還元性雰囲気において約1,250℃までの温度で
焼成し、その焼成物を徐冷することによって石炭灰粒子
が人工マトリックスで包蔵されたペレット状人工骨材を
生成できるようにしたことである。
【0035】人工マトリックス合成材は、粘結作用を有
すると共にSiO2 源となる第一材料、CaO源となる
第二材料、FeO源となる第三材料からなっているもの
とすればよい。それに加えて、MgO源となる第四材料
も含まれたものとしておくことができる。
【0036】人工マトリックス合成材の具体的なものと
しては、ベントナイト,炭酸カルシウムまたは消石灰,
鉄酸化物としておくとよい。また、MgO含有鉱物が加
わることもある。前者の場合も後者の場合も、その配合
割合は、石炭灰100重量部に対してベントナイト,消
石灰,鉄鉱石,MgO含有鉱物それぞれを5〜10重量
部としておくことが好適である。
【0037】人工マトリックス合成材はSiO2 −Ca
O−FeO三元系で構成され、20<SiO2 <50,
5<CaO<35,30<FeO<70なる重量%の範
囲から選択されて構成可能とした含有率を有すると共
に、酸化性溶融点が約1,250℃以下となる成分組成
としておくとよい。なお、30<FeO<70を5<M
gO<20,15<FeO<65に置き替えることもで
きる。
【0038】酸化性雰囲気における假焼と還元性雰囲気
における焼成とを一つの炉体内で連続して行わせること
ができるように、図3に示すごとく、炉体の造粒物装入
側半部のゾーン15に空気供給管26が設置されると共
に焼成物排出側半部のゾーン17に粉炭供給管28が設
置された回転式焼成炉13を使用するとよい。
【0039】
【発明の効果】本発明にしたがえば、石炭火力発電所等
のボイラから発生する石炭灰をもとにして、石炭灰中に
含まれる未燃カーボン量の多少によらず比較的軽量化が
図られる一方で、吸水率が低く抑えられかつ強度の高い
コンクリート用人工骨材を得ることができる。
【0040】人工マトリックスはSiO2 −CaO−F
eOの三元系再結晶をなしているものでもよいが、Si
2 −CaO−FeO−MgOの四元系再結晶となって
いる場合には、人工骨材がより一層緻密で高強度なもの
になる。
【0041】製造法の発明によれば、石炭灰ならびに形
体基質を形成する副原料に供給される熱エネルギ量は、
石炭灰を融着させる方式等に比べて著しく軽減される。
石炭灰を予め粉砕しておく必要もなく、炭種や化学的組
成が異なるいずれの石炭灰に対しても総じて大幅な省エ
ネを図って人工骨材を得ることができる。
【0042】人工マトリックス合成材としてSiO
2 源、CaO源、FeO源を主たる組成とし、具体的に
はベントナイト、炭酸カルシウムまたは消石灰、鉄酸化
物(鉄鉱石等)として、石炭灰100重量部に対してそ
れぞれ5〜10重量部配合するようにしておけば、組織
の緻密なSiO2 −CaO−FeOの三元系再結晶をな
して石炭灰粒子を包蔵する形体基質が得られる。MgO
を加えて四元系とした場合には融点の低下も図られ、そ
れゆえ焼成エネルギの節減もなされる。
【0043】各材料の配合は20<SiO2 <50、5
<CaO<35、30<FeO<70なる重量%の範囲
から選択されて構成可能とした含有率を有すると共に、
酸化性溶融点が約1,250℃以下となる成分組成とし
ておけば、還元性雰囲気においては可及的に低い焼成温
度によって石炭灰の骨材化が実現される。FeOの一部
をMgOで置き換えた場合には、時として入手の容易で
ない鉄酸化物の使用量を抑制することができ、かつ人工
骨材を天然岩石のような高い安定性を発揮させることが
できる。
【0044】空気供給管が上流側に設置されると共に粉
炭供給管が下流側に設置された回転式焼成炉を使用すれ
ば、酸化性雰囲気における假焼と還元性雰囲気における
焼成とを一つの炉体内で連続して行うことができ、酸化
性雰囲気においてはペレットの多孔質化、還元性雰囲気
においては石炭灰粒子の包囲化がなされ、低吸水性高強
度骨材を省エネ操業によって製造することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る石炭灰を主
原料とした人工骨材およびその製造法について、詳細に
説明する。図1は、石炭灰に粘結材等を混練して造粒
し、その造粒物を焼成してコンクリート用人工骨材を製
造する工程を示したシステム図である。この設備におい
て、石炭灰の融点よりも少なくとも100〜300℃は
低い人工マトリックスによって石炭灰の各粒子が包囲さ
れ、人工マトリックスが再結晶すると、5〜25mm径
をした造粒物が吸水率の低い比較的軽量化された骨材に
製造されるようになっている。
【0046】なお、本発明は銘柄等によって融点が20
0℃以上も異なる石炭灰のいずれに対してもその融点の
高低にかかわりなく、また使用ボイラの形式の違い等に
原因する未燃カーボンの含有量や灰粒子のサイズの違い
をも問題とすることなく、天然砂利よりは軽いが強度は
それに匹敵すると共に低い吸水率を発揮する人工骨材の
提供を可能とするものである。
【0047】これは石炭灰よりも可及的に低い融点を持
った資材(副原料)によって形体基質(素地)としての
マトリックスを形成させ、それにより石炭灰粒子の包蔵
を図れば、高い強度を持った固化物が得られるという技
術的基盤に立脚している。
【0048】図1を参照して、符号の1は、石炭火力発
電所から搬入された石炭灰2を蓄える灰ホッパである。
その石炭灰は発電所ボイラの排ガスから捕捉されたまま
の250メッシュ以下が大部分を占める粉末であるが、
粉砕するなどの処理されたものではない。なお、これに
は通常2.5〜4%程度の未燃カーボンが含まれる。3
は、固化させれば形体基質(マトリックス)を形成する
人工マトリックス合成材4を貯蔵する副原料ホッパであ
る。マトリックス合成材は石炭灰を造粒するための粘結
材を含み、半溶融後はSiO2 −CaO−FeO三元系
で再結晶するものが採用される。
【0049】5は石炭灰と人工マトリックス合成材とを
混合するエアブレンダ等の混合機、6は混合物に稀釈糖
蜜や水を添加して練る混練機、7は混練物を砂利相当の
5〜25mm径程度の生ペレット8に造粒するペレタイ
ザであり、パン型やドラム型といったものが使用され
る。9は回転式乾燥炉であり、公知のロータリドライヤ
や噴流式の特殊なタイプなど適宜な形式の炉が使用され
る。
【0050】この炉には後述する回転式焼成炉13の排
ガス13aが導入され、次工程での熱処理に都合のよい
例えば5%以下の含水率をもったドライペレット10に
するものである。ちなみに、プロパンバーナ11が設け
られていれば、導入された乾燥用の排ガスにCOガスが
残っていても、ここで完全に焼却しておくことができ
る。
【0051】13は乾燥造粒物(ドライペレット)10
を焼成して化学的に安定した人工骨材を生成するための
炉であり、外形はロータリキルンに類似した回転式焼成
炉である。この炉は通常のロータリキルンとは異なり、
炉長手方向の温度分布を調整できる構成であると共に、
造粒物装入口14から炉中央あたりまでの上流側ゾーン
15を酸化性雰囲気に、排出口16に至る下流側ゾーン
17を還元性雰囲気に醸成することができる後述する特
殊な構造が採用されている。したがって、酸化性雰囲気
における假焼工程と還元性雰囲気における焼成工程と
が、一つの炉体で連続して行うことができる。
【0052】19は保温コンテナであり、回転式焼成炉
13から排出された焼成物18の性状を安定なものとす
るための徐冷装置である。これは公知の焼成物徐冷用コ
ンテナが使用され、後述するように石炭灰粒子を包囲し
た人工マトリックスをSiO 2 −CaO−FeOの三元
系で再結晶させるためのものである。なお、20は押込
送風機であり、保温後の焼成物を冷却するための空気を
供給する。この熱交換された空気は、回転式焼成炉13
の炉端に設けたバーナ21の一次空気として使用するよ
うにしておけばよい。
【0053】22は篩機であっていずれかの工程で粉化
したくずを取り除き、5〜25mmの骨材23を取り出
すためのものである。なお、篩機22で分離された篩下
24はくずホッパ25に戻され、ホッパ1,3からの原
料と共に混合機5に供給されるようになっている。
【0054】このような設備においては、次のような手
順によって人工骨材が製造される。まず、石炭灰2と人
工マトリックス合成材4とが混合された後に混練機6に
投入される。石炭灰は従来技術の項において述べたごと
く、その主たる成分はSiO 2 とAl2 3 であり、随
伴成分の量によって異なるが、酸化性雰囲気における融
点は1,300〜1,550℃である。
【0055】一方、人工マトリックス合成材4は、造粒
性を高めるための粘結材が含まれると共に、低温で再結
晶して形体基質となり得るSiO2 −CaO−FeOの
三元系組成物となる材料が使用される。すなわち、粘結
作用を有すると共にSiO2源となる第一材料、CaO
源となる第二材料、FeO源となる第三材料が石炭灰に
添加される。
【0056】具体的には、第一材料としてベントナイ
ト、第二材料として炭酸カルシウムまたは消石灰(いず
れも焼成するとCaOとなる)、第三材料として鉄酸化
物(鉄鉱石やスケール等)が挙げられる。そして、その
配合割合は、石炭灰100重量部に対して、ベントナイ
ト,消石灰,鉄鉱石がそれぞれ5〜10重量部の範囲で
選定される。もう少し厳密に述べると、結果的には20
<SiO2 <50、5<CaO<35、30<FeO<
70なる重量%の範囲から選択されて構成可能とした含
有率であって、かつSiO2 −CaO−FeO三元系の
酸化性溶融点が約1,250℃以下となる成分組成が採
用される。
【0057】その%の範囲は図2中の一点鎖線によって
ハッチングされたエリアであり、これが三元系の融点
1,250℃以下となる境界線Aで囲まれた領域と重な
る部分にある組成比率とすることを意味している。図か
らは直ちに把握できないが、例えばSiO2 35%、C
aO20%、FeO45%とすると、その融点は1,1
00℃であり、この組成を基準にして少しずれても融点
に大きな変化がなく、境界線Aに近づいても1,250
℃以内にあることになる。
【0058】なお、図における辺の「a」はSiO2
含有%を、辺「b」はCaOの含有%、辺「c」はFe
Oの含有%をそれぞれ示している。既に述べたように、
石炭灰の融点は1,300〜1,550℃であるから、
人工マトリックス合成材のそれとは最大400℃前後相
違するものとなっていることが分かる。
【0059】このような人工マトリックス合成材は石炭
灰と混練され、これがペレタイザ7で5〜25mm径程
度のグリーンペレット(生ペレット)8に造粒される。
造粒を促進するためにベントナイトが添加されているが
水も加えられているので、ロータリドライヤ9で乾燥さ
れる。乾燥中に石炭灰中の未燃カーボンが燃焼するのは
好ましくなく、したがって300〜500℃までの加熱
にとどめられる。
【0060】この乾燥造粒物(ドライペレット)は假焼
および焼成されるが、そのための焼成炉の構造および機
能を以下に説明する。図3は回転式焼成炉13の縦断面
図であり、造粒物装入側半部のゾーン15の酸化性雰囲
気における假焼工程と焼成物排出側半部のゾーン17の
還元性雰囲気における焼成工程とを、一つの炉体内で連
続して行うことができる。
【0061】ゾーン15には例えば5本(図示は3本)
の空気供給管26が適宜の間隔で配置され、炉軸近傍に
まで突入されている。送風機27から各空気供給管26
に導入される空気量は、造粒物装入口14から図中に破
線で示したごとく徐々に温度が900〜1,000℃ま
で上昇するように調整される。
【0062】ゾーン17には粉炭供給管28が適数本設
置され、これを介して炉内に供給された粉炭はバーナ2
1の加熱によって揮発成分を揮発させる。同時に粉炭の
固定炭素はバーナの方向へ移動した際にバーナ燃焼用空
気に含まれる僅かな酸素と結びついてCOとなり、ゾー
ン17における還元性雰囲気を醸成する。すなわち、図
4の(a)に示すように、炉外のトラフ31からスクー
プフィーダの外側開口28aですくい取られた粉炭32
は、炉体の回転につれて下向きとなった内側開口28b
より(b)のようにして供給される。
【0063】このゾーンで発生した揮発分やCOは炉内
で誘引されているガス流に伴われてゾーン15へ移行す
るが、ゾーン17の大部分は主としてバーナの加熱と上
記したCO化に伴う発熱により略一定の1,150〜
1,200℃に高められる。なお、符号33は粉炭燃焼
用空気を送るために補助空気管で、通常運転において空
気が供給されることはほとんどない。34は二重構造の
管体を熱保護する耐火材であり、35は熱ガスの吹き出
し等を防止するバルブである。
【0064】通常のロータリキルンでは排出側炉端に設
置したバーナのみによって加熱する構造となっているの
で、全体が酸化性雰囲気であって、図3中に仮想線で示
したような緩やかな温度上昇域が大部分となり、高温域
はバーナ近傍の局部的な範囲に限られる。しかし、上記
したごとく粉炭供給管が幾つか設けられていると、還元
性雰囲気が醸成されるだけでなく、ゾーン15へ流れ込
んだ揮発分やCOの燃焼によって高温域がひときわ広く
確保される。
【0065】このような回転式焼成炉13において、装
入された乾燥造粒物10は酸化性雰囲気のゾーン15を
たどる間に900℃ないし1,000℃程度までの温度
で假焼される。この温度制御は、流れ込んできた揮発分
やCOの燃焼度を空気供給管26から導入される空気量
の調節によって行われる。この假焼操作の間に、石炭灰
中の未燃カーボンの幾らかは、供給された空気に含まれ
た外部酸素と結びついて燃焼する。その結果、石炭灰か
ら抜け出たCO2 ガスは造粒物に微細な通気孔を残して
多孔質化させる。
【0066】假焼物がゾーン15からゾーン17に移行
すると、1,150〜1,200℃の還元性雰囲気に曝
される。融点の高い石炭灰はこの領域においても軟化す
ることはないが、人工マトリックス合成材はその融点が
ほぼ1,250℃以下となるように選定されているの
で、半溶融状態となる。
【0067】なお、本発明者は、石炭灰も人工マトリッ
クス合成材も、還元性雰囲気における溶融点は酸化性雰
囲気におけるそれよりも50〜100℃は低くなること
を見い出した。これは、酸化性溶融点が1,250℃の
人工マトリックス合成材ならば、還元性雰囲気において
は1,150〜1,200℃に下がることを意味してい
る。したがって、還元性雰囲気でこの温度域に曝してお
けば、人工マトリックス合成材が十分に軟化して石炭灰
粒子を包囲し、投入熱量の節約も図られる。
【0068】この焼成物は回転式焼成炉13から取り出
され、保温コンテナ19に入れられる。800〜1,0
00℃で約1時間保っておく間に人工マトリックス合成
材はSiO2 −CaO−FeOの三元系で再結晶し、石
炭灰粒子を包み込んだ形体基質(マトリックス)を形成
する。その結果、石炭灰粒子は緻密な組織の固い基体に
閉じ込められたようになり、ペレット自体が極めて固い
骨材となる。
【0069】ところで、ゾーン17に到達した造粒物中
の石炭灰に未燃カーボンがかなり残っていたとしも、還
元性雰囲気においては外部酸素がほとんど存在しないゆ
えに激しく反応することはない。上記したように人工マ
トリックス合成材が軟化して石炭灰粒子を包囲すると、
未燃カーボンと反応し得るのはマトリックス中のFeO
のみとなる。しかし、このFeOとカーボンとの反応は
外部酸素とカーボンの反応に比べれば格段に緩やかなも
のであり、もはや発泡膨脹現象を呈することはない。
【0070】もう少しつけ加えると、未燃カーボンとF
eOとの反応が緩やかであるとはいえ或る程度進行する
と、軟化している人工マトリックスのうちFeOが還元
されることによって組成がSiO2 −CaOの二成分系
に変化した部分が局部的に生じる。これは融点が高いの
で軟化していた状態から直ちに固化し、未燃カーボンと
FeOとの接触を絶つように作用する。これによって未
燃カーボンの反応は進まなくなる。例えば5%の未燃カ
ーボンを含んでいた石炭灰が酸化性ゾーンを通過し終え
た時点でたとえ0.4%残存させていたとしても、未燃
カーボンは人工マトリックスで取り囲まれて無害化され
かつ骨材の強度にも影響を及ぼさなくなるので、未燃カ
ーボンの残存量の多少が問題となることはない。
【0071】いずれにしても焼成物が徐冷されると、石
炭灰の微粒子周囲に再結晶した人工マトリックスが形成
され、それが強固な形体基質となるので強度の高い骨材
となる。なお、酸化性ゾーンにおいては多孔質化して軽
量化がなされる一方、その際に生じた開気孔は還元性ゾ
ーンでのマトリックス包囲によって閉止され、吸水率は
低くなる。
【0072】従来技術の項において記載したが、特開平
9−40445号公報等にある先行技術においては、石
炭灰の融点に近接した資材でもって石炭灰粒子を相互に
融着させて人工骨材化しようとする思想が採用されてい
る。一方、本発明は、融点の高い石炭灰粒子には熱によ
る性状変化をほとんど与えることなく、或る程度の未燃
カーボンが除去された石炭灰粒子を石炭灰よりも100
〜300℃低い融点の人工マトリックスによって包囲す
るごとく閉じ込めると共に、再結晶したマトリックスに
よって緻密な組織を発現させて高い強度を有する骨材に
しようとする点にある。
【0073】石炭灰を骨材化するにあたり、人工マトリ
ックス合成材は、低融点でありかつ組成比率を少々違え
ても融点の低さが維持されるような成分組成が望まし
い。本発明者はそれがSiO2 ,CaO,FeOの三元
からなるもの、および後述するごとくMgOを加えた四
元からなるものであることを見い出し、これが本発明の
背景をなしている。
【0074】このような知見によれば、石炭灰中に未燃
カーボンが残っていたとしても、焼成工程は還元性雰囲
気であって外部酸素が無いに等しいからカーボンの燃焼
すなわち発泡膨脹は阻止され、人工マトリックスで石炭
灰粒子を囲繞するから酸化性雰囲気において未燃カーボ
ンが燃焼したとき生じた開気孔の大部分を閉止しておく
ことができる。したがって、徐冷工程でマトリックスの
再結晶化が進むと、多孔質ではありながら吸水率の低い
骨材が得られる。
【0075】高温領域での焼成操作は還元性雰囲気下で
行われるので、炉内温度は酸化性雰囲気としている場合
よりも低くなり、特開平7−187739号公報や特開
平9−40445号公報に記載された処理におけるより
は、1,000℃を超えた領域で200〜300℃は低
い温度帯で処理できるようになる。
【0076】また、石炭灰を予め粉砕しておく必要もな
く、それゆえ投入されるエネルギは総じてかなり節減さ
れる。上で述べたように、石炭灰の含有成分の組成ひい
てはその融点の高低や未燃カーボンの多少、石炭灰粒子
のサイズの大小も問題とする必要がなくなるという実用
上極めて利便性の高い効果が発揮される。
【0077】ところで、石炭灰の融点よりも少なくとも
100〜300℃低い融点を持った人工マトリックスと
しては、SiO2 −CaO−FeO−MgOの四元系再
結晶をなしているものを採用してもよい。というのは、
SiO2 ,CaOを含む組成にMgOを5〜15%添加
させると、場合によっては融点を150℃近く低下させ
る作用があるからである。
【0078】それゆえに、人工マトリックス合成材にM
gO源となる第四材料も添加するようにしておくことが
できる。その材料すなわちMgO含有鉱物として代表的
なものにはドロマイトがあるが、MgOが多く含まれる
ニッケル精錬スラグを使用することもできる。このよう
なドロマイト等にしても、その配合量は石炭灰100重
量部に対して5〜10重量部としておけばよい。
【0079】したがって、30<FeO<70に代え
て、5<MgO<20,15<FeO<65なる重量%
の範囲から選択されて構成可能とした含有率を有する成
分組成とすれば、すなわちFeOの含有量を減らしそれ
に該当する量をMgOで補填した4元系としておくと、
再結晶した人工マトリックスは3元系の場合に比べて天
然岩石のようにより高い安定性を発揮する緻密で強度の
高い人工骨材を実現することになる。それのみならず、
MgOの添加により人工マトリックスの融点は低下し、
焼成エネルギの投入量の抑制も図られる。加えて、時と
して入手の容易でないことの多い細かい鉄酸化物の使用
量も減らすことができる。
【0080】
【実施例】以下に、本発明に基づいて製造された人工骨
材に関するデータの一例を掲記する。これは表1に示す
化学成分を有する2種類の石炭灰の例A,例Bについて
のものであり、その性状は表2に示すごとくである。石
炭灰100重量部に対し造粒粘結材としてのベントナイ
トが5〜6重量部加えられ、同時に低溶融マトリックス
を生成するための鉄酸化物を5重量部、石灰(消石灰)
分を5重量部混和した。混練と同時に加湿した後にパン
型ペレタイザによって5〜25mm径の生ペレットを成
形し、ドラム型ドライヤ内で250〜300℃において
乾燥ペレットを生成させた。
【表1】
【表2】
【0081】そのペレットを焼成炉に装入し、500〜
1,000℃程度までの酸化性雰囲気下と1,000〜
1,200℃程度までの還元性雰囲気下とに合計約2時
間置いて焼成した。その焼成条件は表3のとおりであ
り、性状として表4に示す骨材が得られた。
【表3】
【表4】
【0082】表4から分かるように、絶乾比重は従来技
術の項で述べたよりは大きくなっているが、それだけ緻
密な構造であることを意味する。もちろん、天然砂利よ
りは軽くなっているので骨材としての軽量化はある程度
図られている。それにもかかわらず圧潰強度は天然砂利
に匹敵するものであり、吸水率も十分に低くなっている
ことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る石炭灰を主原料とした人工骨材
製造する工程を示した概略システム図。
【図2】 人工マトリックス合成材の成分組成領域を示
したSiO2 −CaO−FeO三元系状態図。
【図3】 酸化性雰囲気と還元性雰囲気とを一つの炉体
で実現した回転式焼成炉の概略縦断面図。
【図4】 粉炭供給管の動作を示した回転式焼成炉の横
断面図。
【図5】 石炭灰中の随伴成分の比率と石炭灰の溶融点
との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
2…石炭灰、4…人工マトリックス合成材、5…混合
機、6…混練機、7…ペレタイザ、9…回転式乾燥炉、
13…回転式焼成炉、15…上流側ゾーン、17…下流
側ゾーン、19…保温コンテナ、23…骨材、26…空
気供給管、28…粉炭供給管。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石炭灰に粘結材等を混練して造粒し、該
    造粒物を焼成することにより製造されたコンクリート用
    人工骨材において、 石炭灰の融点よりも少なくとも100〜300℃低い融
    点を持った人工マトリックスによって石炭灰粒子が包蔵
    され、該人工マトリックスはSiO2 −CaO−FeO
    の三元系再結晶をなしていることを特徴とする石炭灰を
    主原料とした人工骨材。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された組成の人工マトリ
    ックスに代えて、石炭灰の融点よりも少なくとも100
    〜300℃低い融点を持った人工マトリックスは、Si
    2 −CaO−FeO−MgOの四元系再結晶をなして
    いることを特徴とする請求項1に記載の石炭灰を主原料
    とした人工骨材。
  3. 【請求項3】 石炭灰に粘結材等を混練して造粒し、該
    造粒物を焼成してコンクリート用人工骨材を製造する方
    法において、 粘結材が含まれると共に再結晶させると形体基質となる
    人工マトリックス合成材を石炭灰に混練して造粒し、そ
    の造粒物を乾燥した後に酸化性雰囲気において1,00
    0℃前後までの温度で假焼し、引き続いて還元性雰囲気
    において約1,250℃までの温度で焼成し、該焼成物
    を徐冷することによって石炭灰粒子が人工マトリックス
    で包蔵されたペレット状人工骨材を生成できるようにし
    たことを特徴とする石炭灰を主原料とした人工骨材の製
    造法。
  4. 【請求項4】 前記人工マトリックス合成材は、粘結作
    用を有すると共にSiO2 源となる第一材料、CaO源
    となる第二材料、FeO源となる第三材料からなってい
    ることを特徴とする請求項3に記載の石炭灰を主原料と
    した人工骨材の製造法。
  5. 【請求項5】 前記人工マトリックス合成材には、請求
    項4に記載された各材料の外に、MgO源となる第四材
    料も含まれていることを特徴とする請求項3に記載の石
    炭灰を主原料とした人工骨材の製造法。
  6. 【請求項6】 前記第一材料はベントナイトであり、前
    記第二材料は炭酸カルシウムまたは消石灰であり、前記
    第三材料は鉄酸化物であることを特徴とする請求項4に
    記載の石炭灰を主原料とした人工骨材の製造法。
  7. 【請求項7】 前記第四材料はMgO含有鉱物であるこ
    とを特徴とする請求項5に記載の石炭灰を主原料とした
    人工骨材の製造法。
  8. 【請求項8】 前記人工マトリックス合成材には、石炭
    灰100重量部に対してベントナイト,消石灰,鉄鉱石
    がそれぞれ5〜10重量部配合されていることを特徴と
    する請求項6に記載の石炭灰を主原料とした人工骨材の
    製造法。
  9. 【請求項9】 前記人工マトリックス合成材には、請求
    項8に記載された各配合に加えて、MgO含有鉱物も5
    〜10重量部配合されていることを特徴とする請求項7
    に記載の石炭灰を主原料とした人工骨材の製造法。
  10. 【請求項10】 前記人工マトリックス合成材はSiO
    2 −CaO−FeO三元系で構成され、20<SiO2
    <50,5<CaO<35,30<FeO<70なる重
    量%の範囲から選択されて構成可能とした含有率を有す
    ると共に、酸化性溶融点が約1,250℃以下となる成
    分組成であることを特徴とする請求項4に記載の石炭灰
    を主原料とした人工骨材の製造法。
  11. 【請求項11】 前記人工マトリックス合成材は、請求
    項10に記載された30<FeO<70に代えて、5<
    MgO<20,15<FeO<65なる重量%の範囲か
    ら選択されて構成可能とした含有率を有すると共に、酸
    化性溶融点が約1,250℃以下となる成分組成である
    ことを特徴とする請求項5に記載の石炭灰を主原料とし
    た人工骨材の製造法。
  12. 【請求項12】 炉体の造粒物装入側半部のゾーンに空
    気供給管が設置されると共に焼成物排出側半部のゾーン
    に粉炭供給管が設置された回転式焼成炉によって、酸化
    性雰囲気における假焼と還元性雰囲気における焼成とを
    一つの炉体内で連続して行わせるようにしたことを特徴
    とする請求項3に記載の石炭灰を主原料とした人工骨材
    の製造法。
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