JP2001163159A - サイドエアバッグ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 膨張展開時にシートベルトと干渉した場合で
も悪影響を受けずに確実に頭部保護エリアをカバーでき
るサイドエアバッグ装置を提供する。 【解決手段】 エアバッグ３とエアバッグ３内に所要時
にガスを吹き出すインフレータ４を備え、シートバック
２の側部に配設されて側方からの衝撃に対して乗員Ｍを
保護するサイドエアバッグ装置１であって、エアバッグ
３の膨張展開時にシートベルト１０と干渉する可能性の
ある部分を、シートベルト１０と干渉しない時には膨張
展開し、シートベルト１０と干渉した時にはその干渉部
が容易に収縮するように構成し、エアバッグの膨張展開
時にエアバッグ３が全体として悪影響を受けずに所定の
膨張展開を行うようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は自動車の衝突時の衝
撃から乗員を保護するエアバック装置に関し、特に側方
からの衝撃に対して乗員の胸部と頭部を保護するサイド
エアバッグ装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】車体側方からの衝撃に対して乗員の胸部
と頭部を保護する従来のサイドエアバッグ装置は、例え
ば特開平９−１８８２１４号公報に開示されているよう
に、エアバッグとエアバッグ内に所要時にガスを吹き出
すインフレータとを筐体内に収納して構成されている。
このサイドエアバッグ装置がシートバックの一側部、即
ちシート上に座った乗員の後方一側部に配設され、側突
時にインフレータからの噴出ガスによってエアバッグが
前方に向けて膨張展開し、サイドドアと乗員の胸部及び
頭部の各側部を保護するように構成されている。

【０００３】さらに、上記エアバッグが膨張展開する時
に腕を撥ね上げる恐れがないように改良されたものが考
えられている。その一例を図４を参照して説明すると、
サイドエアバッグ装置３１はシートバック３０の側部に
配設され、エアバッグ３２はシート上に座った乗員Ｍの
肩部ないし腋下部の後部の基部と基部から頭部の側部に
向けて斜め前方上方ないし上方に膨出する上方膨出部３
３と基部から乗員の胸部の側部に向けて斜め前方下方な
いし前方に膨出する前方膨出部３４とを有する形状に構
成されている。

【０００４】このような構成によると、側方からの衝撃
によってインフレータが作動すると、その噴出ガスによ
ってエアバッグ３２は基部から上方膨出部３３と前方膨
出部３４がそれぞれ上方と前方に膨出展開し、展開した
上方膨出部３３と前方膨出部３４にてそれぞれ頭部と胸
部が共に保護される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な構成のサイドエアバッグ装置では、特にシートを後方
に移動させてそのシートバック３０の上端部がシートベ
ルト装置のショルダーアンカ３６の近傍ないしそれより
後方に位置決めされたときには、図４に示すように、エ
アバッグ３２が膨張展開したときにその後縁部に交叉斜
線で示すようにシートベルト３５が干渉し、シートベル
ト３５によってエアバッグ３２、特にその上方膨出部３
３が破線で示すように前方に押し出され、頭部保護エリ
アを十分にカバーできない場合が発生するという問題が
あった。

【０００６】なお、特開平１０−２８７１９５号公報に
は、エアバッグの頭部保護部の展開がシートベルトによ
って阻害されないようにするため、エアバッグのシート
ベルトと干渉する可能性のある部位を大きく切り欠いて
くびれ部を形成したものが開示されているが、ガスの流
通路が狭くなるとともに頭部の保護エリアに向かうガス
の噴出経路が大きく迂回することになるため、頭部の保
護作用が発揮されるまでの時間遅れが発生する恐れがあ
って頭部の保護作用が安定しないという問題があり、特
に図４のようにエアバッグ３２に上方膨出部３３と前方
膨出部３４とを設けたものにおいてはその弊害が大きく
なるという問題がある。

【０００７】本発明は、上記従来の問題点に鑑み、膨張
展開時にシートベルトと干渉した場合でも悪影響を受け
ずに確実に頭部保護エリアをカバーできるサイドエアバ
ッグ装置を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明のサイドエアバッ
グ装置は、エアバッグとエアバッグ内に所要時にガスを
吹き出すインフレータとを備え、シートバックの側部に
配設されて側方からの衝撃に対して乗員の胸部と頭部を
保護するサイドエアバッグ装置であって、エアバッグの
膨張展開時にシートベルトと干渉する可能性のある部分
を、シートベルトと干渉しない時には膨張展開し、シー
トベルトと干渉した時にはその干渉部が容易に収縮する
ように構成したものであり、エアバッグの膨張展開時に
シートベルトと干渉すると、干渉した部分が容易に収縮
することによってエアバッグ自体は全体として悪影響を
受けずに所定の膨張展開を行うことになり、確実に頭部
保護エリアをカバーすることができる。

【０００９】また、エアバッグの後縁部のシートベルト
と干渉する可能性のある部位に、筒状ガス通路とその前
部のガス非充填部とを設けると、シートベルトが筒状ガ
ス通路と干渉するとその前部にガス非充填部があるため
に容易に収縮し、その収縮に伴ってガス非充填部が折れ
曲がってエアバッグの上部が多少後方に変位し、エアバ
ッグにシートベルトが干渉する場合には頭部が後方に位
置している場合であるためより適正に頭部を保護するこ
とができる。

【００１０】また、エアバッグの後縁部のシートベルト
と干渉する可能性のある部位に、切り込みとその近傍の
ガス抜き手段とを設けると、シートベルトが干渉すると
切り込みとガス抜き手段を設けた部分が容易に収縮し、
上記のようにエアバッグ自体は全体として悪影響を受け
ずに所定の膨張展開を行うことになり、確実に頭部保護
エリアをカバーすることができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明のサイドエアバッグ
装置の一実施形態について、図１、図２を参照して説明
する。

【００１２】図１において、１は、シートバック２の側
部に配設されたサイドエアバッグ装置であり、そのエア
バッグ３が折り畳み状態でインフレータ４とともに筐体
（図示せず）内に配置されている。このサイドエアバッ
グ装置１は、側突時に側方からの衝撃を受けると、イン
フレータ４からガスが噴出し、エアバッグ３が前方及び
上方に膨張展開して、仮想線で示す乗員（図示例では、
ダミー形状で表示している）Ｍの胸部及び頭部の側方を
保護するように構成されている。

【００１３】エアバッグ３は、シート上に座った乗員Ｍ
の肩部ないし腋下部の後部の基部５と基部５から乗員Ｍ
の頭部の側部に向けて斜め前方上方ないし上方に膨出す
る上方膨出部６と基部５から乗員Ｍの胸部の側部に向け
て前方に膨出する前方膨出部７とを有する略ハート形状
に構成され、インフレータ４は、そのガス噴出部４ａが
基部５における両膨出部６、７の膨出方向の交点位置近
傍に配置され、さらに両膨出部６、７の膨出方向に向け
て矢印で示すように２方向にガスを吹き出すようにその
噴出口が設けられている。

【００１４】エアバッグ３には、膨張展開するときにシ
ートベルト１０と干渉する可能性のある部位である上方
膨出部６の基部の後縁部に筒状ガス通路８が設けられ、
かつその前部に上方膨出部６の上部へのガス流通を可及
的に阻害しないように三日月状のガス非充填部９が設け
られている。このガス非充填部９は完全に窓開き状態に
しても、周囲を縫製してガスが流入しない領域を形成し
て構成してもよい。また、筒状ガス通路８の後縁又は前
縁には必要に応じてエア抜き穴（図示せず）を設けても
よい。このエア抜き穴は、断続的に未縫製部を形成して
構成したり、適当ピッチで細孔を穿孔して構成してもよ
い。１１は、シートベルト１０のショルダーアンカであ
る。

【００１５】以上の構成において、側方からの衝撃によ
ってインフレータ４が作動すると、その噴出ガスによっ
てエアバッグ３は図１に実線で示すように基部５から上
方膨出部６と前方膨出部７がそれぞれ上方と前方に膨出
展開する。したがって、乗員Ｍの腕を跳ね上げる恐れが
なくかつ展開した上方膨出部６と前方膨出部７にてそれ
ぞれ乗員Ｍの頭部と胸部を共に安定的に保護される。

【００１６】また、シートを後方にスライドさせて位置
決めしたり、シートバック２を大きく後方にリクライニ
ングさせた場合などには、図２に示すように、エアバッ
グ３の膨張展開時にシートベルト１０と干渉する恐れが
あるが、本実施形態ではシートベルト１０が筒状ガス通
路８に干渉すると筒状ガス通路８がその前部のガス非充
填部９側に向けて容易に収縮し、それによってエアバッ
グ３の上方膨出部６はシートベルトの干渉による悪影響
を大きく受けることなく膨張展開を行い、確実に頭部保
護エリアをカバーすることができる。

【００１７】さらに、筒状ガス通路８が収縮に伴って折
れ曲がるのに伴って、上方膨出部６の上部が多少後方に
変位することになるとともに、シートベルト１０がエア
バッグ３に干渉する場合には頭部が後方に位置している
場合であるためより適正に頭部を保護することができ
る。

【００１８】次に、本発明のサイドエアバッグ装置の第
２の実施形態について、図３を参照して説明する。

【００１９】本実施形態では、エアバッグ３の上方膨出
部６の後縁部におけるシートベルト１０と干渉する可能
性のある部位の上部に切り込み２１を形成するととも
に、その下部の適当範囲２３にガス抜き穴２２を形成し
ている。ガス抜き穴２２は、例えば未縫製部分等を断続
的に形成することによって容易に形成できる。

【００２０】このように構成すると、図３に斜線で示す
ように切り込み２１の下部の領域２４がシートベルト１
０が干渉した時に切り込み２１とガス抜き穴２２によっ
て容易に収縮し、エアバッグ３の上方膨出部６自体は悪
影響を受けずに所定の膨張展開を行うことになり、確実
に頭部保護エリアをカバーすることができる。

【００２１】なお、切り込み２１を干渉する可能性のあ
る部位の下部に形成し、ガス抜き穴２２をその上部に形
成したり、切り込み２１を干渉する可能性のある部位の
中央部に形成し、その上下にガス抜き穴２２を形成して
もよいが、本実施形態のように構成することによって、
上方膨出部６の上部でのガス圧力が速やかにかつ確実に
上昇し、乗員Ｍの頭部の保護効果がより確実に得られ
る。

【００２２】

【発明の効果】本発明のサイドエアバッグ装置によれ
ば、以上のようにエアバッグの膨張展開時にシートベル
トと干渉する可能性のある部分を、シートベルトと干渉
しない時には膨張展開し、シートベルトと干渉した時に
はその干渉部が容易に収縮するように構成したので、エ
アバッグの膨張展開時にシートベルトと干渉すると、干
渉した部分が容易に収縮することによってエアバッグ自
体は全体として悪影響を受けずに所定の膨張展開を行う
ことになり、確実に頭部保護エリアをカバーすることが
できる。

【００２３】また、エアバッグの後縁部のシートベルト
と干渉する可能性のある部位に、筒状ガス通路とその前
部のガス非充填部とを設けると、シートベルトが筒状ガ
ス通路と干渉するとその前部にガス非充填部があるため
に容易に収縮し、その収縮に伴って筒状ガス通路が折れ
曲がってエアバッグの上部が多少後方に変位し、より適
正に頭部を保護することができる。

【００２４】また、エアバッグの後縁部のシートベルト
と干渉する可能性のある部位に、切り込みとその下部の
ガス抜き手段とを設けると、シートベルトが干渉すると
切り込みとガス抜き手段を設けた部分が容易に収縮し、
簡単な構成にて上記のように確実に頭部保護エリアをカ
バーすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のサイドエアバッグ装置の一実施形態に
おけるエアバッグの正常の膨張展開状態を示す側面図で
ある。

【図２】同実施形態においてエアバッグの膨張展開時に
シートベルトと干渉した場合の状態を示す側面図であ
る。

【図３】本発明のサイドエアバッグ装置の他の実施形態
におけるエアバッグの正常の膨張展開状態を示す側面図
である。

【図４】従来例のサイドエアバッグ装置におけるエアバ
ッグの膨張展開状態を示す側面図である。

【符号の説明】

１ サイドエアバッグ装置 ２ シートバック ３ エアバッグ ４ インフレータ ８ 筒状ガス通路 ９ ガス非充填部 １０ シートベルト ２１ 切り込み ２２ ガス抜き穴

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エアバッグとエアバッグ内に所要時にガ
   スを吹き出すインフレータとを備え、シートバックの側
   部に配設されて側方からの衝撃に対して乗員の胸部と頭
   部を保護するサイドエアバッグ装置であって、エアバッ
   グの膨張展開時にシートベルトと干渉する可能性のある
   部分を、シートベルトと干渉しない時には膨張展開し、
   シートベルトと干渉した時にはその干渉部が容易に収縮
   するように構成したことを特徴とするサイドエアバッグ
   装置。
2. 【請求項２】 エアバッグの後縁部のシートベルトと干
   渉する可能性のある部位に、筒状ガス通路とその前部の
   ガス非充填部とを設けたことを特徴とする請求項１記載
   のサイドエアバッグ装置。
3. 【請求項３】 エアバッグの後縁部のシートベルトと干
   渉する可能性のある部位に、切り込みとその近傍のガス
   抜き手段とを設けたことを特徴とする請求項１記載のサ
   イドエアバッグ装置。