JP2001158738A - 新規なカプサイシノイド様物質を含有する鎮痛剤、食品及び飼料 - Google Patents

新規なカプサイシノイド様物質を含有する鎮痛剤、食品及び飼料

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JP2001158738A JP34083199A JP34083199A JP2001158738A JP 2001158738 A JP2001158738 A JP 2001158738A JP 34083199 A JP34083199 A JP 34083199A JP 34083199 A JP34083199 A JP 34083199A JP 2001158738 A JP2001158738 A JP 2001158738A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 辛味及び侵襲性のない鎮痛剤並びに鎮痛効果
を有する食品及び飼料を提供する。 【解決手段】 以下の一般式: 【化1】 又は 【化2】 で表されるカプサイシノイド様物質を含有することを特
徴とする鎮痛剤並びに鎮痛効果を有する食品及び飼料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なカプサイシ
ノイド様物質を含有する鎮痛剤、食品及び飼料に関する
ものである。
【0002】
【関連技術】トウガラシの辛味である成分カプサイシン
は、従来の鎮痛剤では効果のない痛み、例えば、cluste
r headache (偏頭痛タイプの血管性頭痛の一種)、refl
ex sympathetic dystrophy (反射交感神経異常症)、po
stmastectomy pain(乳房切除後の痛み)、post-therape
utic neuralgia (治療後の神経痛),diabetic neuropat
hy(糖尿病性神経痛)等の局所治療に有効である一方
で、掻痒感と焼熱感を惹き起こすという大きな欠点を有
することが知られている。そこで、これらの欠点を解消
するためにカプサイシンを構成するバニリル環、脂肪酸
の側鎖、及び両者を結合するアミド領域を系統的に修飾
・置換した種々のカプサイシンアナログが合成され、そ
の鎮痛効果と侵襲性の関係が検討されている。そして、
これらの合成カプサイシンアナログの中から、オルバニ
ル(NE19550)、ヌバニル(NE21610)のような鎮痛薬が
開発された。
【0003】ところで、矢澤等は、タイ国で入手したト
ウガラシの辛味品種「CH-19」の自殖後代から、辛味の
ないトウガラシ新品種「CH-19甘」を選抜固定し(Yazaw
a, S., Suetome, N., Okamoto, K., and Namiki, T. (1
989) J. Jap. Soc. Hort. Sci., 58:601-607)、該「CH
-19甘」がカプサイシノイドを殆ど含有せず、代わりに
新規なカプサイシノイド様物質(バニリルアルコールの
脂肪酸エステル)を多量に含有することを見いだした。
更に矢澤等は、特開平11−246478号明細書にお
いて、これらの新規カプサイシノイド様物質は辛味を呈
さず、体表面温度の上昇作用、火照りの体感、脂肪代謝
の促進作用などの機能を有することを明らかにした。し
かし、該新規カプサイシノイド様物質が鎮痛作用を有し
ていることは知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、カプサ
イシンは特殊な鎮痛効果を有するものの、掻痒性及び焼
熱性といった欠点を有していた。又オルバニル(NE1955
0)、ヌバニル(NE21610)のような合成カプサイシンア
ナログにおいても、依然としてかなりの辛味及び侵襲性
が残っている。このため、辛味がなく且つ急性・慢性の
全身性及び局所性の痛み・炎症に効果のあるアナログを
開発することが望まれていた。
【0005】従って、本発明は、辛味がなく且つ急性・
慢性の全身性及び局所性の痛み・炎症に効果のあるカプ
サイシンのアナログを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究開発を行い、本発明のカプ
サイシノイド様物質がカプサイシンと同等の鎮痛効果を
有することを見出し本発明を完成させた。すなわち、本
発明は、一般式(1):
【0007】
【化3】 又は
【0008】
【化4】 で表されるカプサイシノイド様物質を含有することを特
徴とする鎮痛剤並びに鎮痛効果を有する食品及び飼料を
提供する。次いで、本発明は、上記一般式(1)におい
てnが3,4又は5であるカプサイシノイド様物質、特
に該カプサイシノイド様物質が、4−ヒドロキシ−3−
メトキシベンジル (E)−8−メチル−6−ノネノア
ート(4-hydroxy-3-methoxybenzyl(E)-8-methyl-6-nonen
oate)又は4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル8−
メチルノナノアート(4-hydroxy-3-methoxybenzyl 8-met
hylnonanoate)であることを特徴とする鎮痛剤並びに鎮
痛効果を有する食品及び飼料を提供する。
【0009】更に本発明は、使用されるカプサイシノイ
ド様物質が、該物質を成分として含有する植物体又は果
実の形態で配合されることを特徴とする鎮痛剤並びに鎮
痛効果を有する食品及び飼料を提供する。
【0010】上述のように、これらのカプサイシノイド
様物質は、優れた鎮痛作用を有することが明らかとな
り、加えて、「日光」、「五色」などに代表される在来
の辛味を有するトウガラシ品種にも含まれており(矢澤
進ら(1989) 園芸学会雑誌58:601-607)、従来からヒ
トが食経験を有するものである。更には、該カプサイシ
ノイド様物質は、辛味・侵襲性が極めて少なく、カプサ
イシンと比較して毒性が低いので、鎮痛作用を有する食
品や食品添加物として、あるいは、特に経口投与の医薬
品としての利用が可能である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の新規カプサイシノイド様
物質は、該物質を含有するトウガラシの植物体及び/又
は果実から精製・分離することによって調製することが
できる。精製に使用するトウガラシは、「日光」、「五
色」などに代表される在来の辛味を有するトウガラシ品
種由来でも良いが、無辛味品種である「CH-19甘」を用
いるのが、該成分の含有量が高いために特に好ましい。
精製・分離は、当業者にとって良く知られた、溶媒抽出
や、シリカゲルクロマトグラフィーなどの各種のクロマ
トグラフィー、調製用高速液体クロマトグラフィーなど
の手段を単独、又は適宜組み合わせることにより行うこ
とができ、例えば、特開平11−246478号明細書
に記載の方法を用いることができる。
【0012】又、上記のカプサイシノイド様物質は、例
えば、特開平11−246478号明細書に記載の方法
のような対応する脂肪酸エステルとバニリルアルコール
を出発原料としたエステル交換反応により合成すること
ができる。又、その構造式に基づいて、当業者にとって
周知の反応手法を用いることによって合成することも可
能である。
【0013】更には、該カプサイシノイド様物質は、酵
素を用いる合成法により容易に調製することもできる。
すなわち、例えば、所望する化合物に対応する脂肪酸の
エステル及び/又は該脂肪酸を有するトリグリセライド
等の化合物とバニリルアルコールを基質としたリパーゼ
の逆反応を利用することにより所望のカプサイシノイド
様物質を得ることができる。なお、この方法は、本出願
人が出願中の特願平11−123474号に記載されて
いる。
【0014】又、該カプサイシノイド様物質は、特に化
合物として純粋に精製・分離又は合成することなく、ト
ウガラシ新品種「CH-19甘」の植物体及び/又は果実、
その乾燥物、粉砕物又は粗抽出物質の形態で配合するこ
とが可能である。すなわち、トウガラシ新品種「CH-19
甘」は、辛味や侵襲性を有するカプサイシノイドを殆ど
含有せず、代わりに辛味のないカプサイシノイド様物質
(バニリルアルコールの脂肪酸エステル)を多量に含有
するので、辛味・侵襲性がなく、カプサイシンと比較し
て毒性が低く、従って、鎮痛作用を有する食品、食品添
加物又は飼料に、或いは経口投与の医薬品に直接、或い
は乾燥、粉砕、粗抽出等の簡単な物理的及び/又は化学
的処理を行うだけで配合が可能である。なお、本明細書
中において、「植物体又は果実の形態」という用語は、
該植物体及び/又は果実の、そのままの形態を、或いは
それの乾燥、粉砕又は粗抽出等の簡単な物理的及び/又
は化学的処理を行った形態を含むものとする。
【0015】本発明の鎮痛作用を有するカプサイシノイ
ド様物質又はそれを含有する植物体等は、例えば、clus
ter headache (偏頭痛タイプの血管性頭痛の一種)、 r
eflex sympathetic dystrophy (反射交感神経異常
症)、 postmastectomy pain (乳房切除後の痛み)、 p
ost-therapeutic neuralgia (治療後の神経痛), diabe
tic neuropathy(糖尿病性神経痛)等の治療等、カプサ
イシン又はオルバニル(NE19550)若しくはヌバニル(N
E21610)のような合成カプサイシンアナログが有効な、
急性・慢性の全身性及び局所性の痛み・炎症の治療に有
用である。
【0016】本発明のカプサイシノイド様物質は、経口
又は非経口的に投与することができ、特に、その辛味が
ないので経口投与に好適に用いられ、そして、そのよう
な投与に適する形態に製剤化することにより、急性・慢
性の全身性及び局所性の痛み・炎症の治療、例えば、cl
uster headache (偏頭痛タイプの血管性頭痛の一種)、
reflex sympathetic dystrophy (反射交感神経異常
症)、 postmastectomy pain (乳房切除後の痛み)、 p
ost-therapeutic neuralgia (治療後の神経痛),diabet
ic neuropathy(糖尿病性神経痛)等の処置剤として供
することができる。本発明の化合物を臨床的に用いるに
あたり、その投与形態にあわせ、薬学的に許容される添
加剤を加えて各種製剤化の後投与することも可能であ
る。その際の添加剤としては、製剤分野において通常用
いられる各種の添加剤が使用可能であり、例えば、ゼラ
チン、乳糖、白糖、酸化チタン、澱粉、結晶セルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、コーンスターチ、マイクロクリスタ
リンワックス、白色ワセリン、メタケイ酸アルミン酸マ
グネシウム、無水リン酸カルシウム、クエン酸、クエン
酸三ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ソル
ビトール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベー
ト、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒ
マシ油、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸マグネシ
ウム、軽質無水ケイ酸、タルク、植物油、ベンジルアル
コール、アラビアガム、プロピレングリコール、ポリア
ルキレングリコール、シクロデキストリン又はヒドロキ
シプロピルシクロデキストリン等が挙げられる。
【0017】これらの添加剤との混合物として製剤化さ
れる剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒
剤、散剤若しくは坐薬等の固形製剤;又は例えばシロッ
プ剤、エリキシル剤若しくは注射剤等の液体製剤が挙げ
られ、これらは、製剤分野における通常の方法によって
調製することができる。なお、液体製剤にあっては、用
時に水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁させる形であ
ってもよい。又、特に、注射剤の場合、必要に応じて生
理食塩水又はブドウ糖液に溶解又は縣濁させてもよく、
更に緩衝剤や保存剤を添加してもよい。
【0018】これらの製剤は、本発明の鎮痛作用を有す
る化合物を全薬剤の1〜100重量%、好ましくは10
〜80重量%の割合で含有することができる。本発明の
鎮痛作用を有するカプサイシノイド様物質を臨床の場で
使用する場合、その投与量及び投与回数は、患者の性
別、年齢、体重、症状の程度及び目的とする処置の種類
と範囲等により異なるが、一般に経口投与の場合、成人
1日あたり1〜50mg/kgを1〜数回に分けて、
又、非経口投与の場合は、1〜10mg/kgを1〜数
回に分けて投与するのが好ましい。
【0019】一方、本発明の鎮痛作用を有するカプサイ
シノイド様物質又はそれを含有する植物体は、食品に配
合することにより鎮痛作用を有する食品の製造に有用で
ある。
【0020】本発明のカプサイシノイド様物質は、種々
の食品、例えば、固体、液体、ゾル、ゲル、粉末及び顆
粒状食品に任意に配合することが可能である。該配合
は、当該技術分野で公知の任意の製造方法によって行う
ことができ、例えば、特開平11−246478号明細
書に記載されているような方法により、チョコレート等
の固体食品;スポーツ飲料などの液体食品;あずき粥な
どのレトルト食品等に容易に配合することができる。
【0021】又、該カプサイシノイド様物質は、食品添
加物の形態で使用することもできる。本発明のカプサイ
シノイド様物質を含む食品添加物は、当業者にとっては
周知の方法を用いて、例えば、デキストリン、コーンス
ターチ、乳糖等の各種の賦型剤類や乳化剤等の副原料と
共に該カプサイシノイド様物質を混合、造粒又はカプセ
ル化等をすることにより製造することができる。
【0022】食品成分中に含まれるカプサイシノイド様
物質は、既述のように必ずしも十分に精製されたもので
ある必要はない。すなわち、例えば、上述のトウガラシ
の無辛味固定品種である「CH-19甘」自体(無処理
物)、その乾燥物(粉砕物)、又は酢酸エチル、エタノ
ール等のアルコール類若しくは食品用乳化剤等の、当該
技術分野において天然物からの抽出に常用される各種溶
剤による「CH-19甘」の抽出物として含有されてもよ
い。
【0023】更に、本発明の鎮痛作用を有するカプサイ
シノイド様物質又はそれを含有する植物体は、飼料に配
合することにより鎮痛作用を有する飼料の製造に有用で
ある。
【0024】本発明のカプサイシノイド様物質は、種々
の飼料、例えば、固体、液体、ゾル、ゲル、粉末及び顆
粒状飼料に任意に配合することが可能である。該配合
は、当業者であれば、食品への該物質の配合と本質的に
同等な方法を用い、又はこれに適宜改変を加えて達成し
得ることを容易に理解するであろう。
【0025】なお、上記のトウガラシの無辛味固定品種
「CH-19甘」は農林水産省種苗管理センターに品種登
録されており、該機関より入手可能である。
【0026】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
るが、実施例は本発明を何ら限定するものではない。
【0027】
【実施例】実施例1:カプサイシンの投与量と鎮痛作用 6週齢の雄ddYマウスを3日間予備飼育し、健康なマウス
を選択して群分け後(1群6匹、合計4群)、実験に用
いた。担体溶媒(エタノール:トウィーン80:0.9%食塩
水=3:10:87の混合液)に被験物質であるカプサイシ
ンを種々の濃度に溶解し、マウスの体重kg当たり10 ml
を強制経口投与することにより10, 50,100mgのカプサイ
シンを投与し、担体溶媒のみを投与したマウスを比較対
照として鎮痛効果を比較した。鎮痛効果の測定はホット
プレート法(Brand, L.ら(1987) Drugs Exptl. Clin. R
es. 13:259-265)により行った。すなわち、体重kg当た
り0及び10, 50, 100mgのカプサイシンを強制経口投与す
る前及び投与後30分、1時間、2時間、4時間、8時間
に、マウスを55℃のホットプレート上に置き、マウスが
熱痛を感じて後足を舐めたり跳躍するなどの反応を示す
までの時間(反応潜時)を測定した。
【0028】測定結果はマウスの群ごとに平均値と標準
誤差を算出した。各群間の有意差検定はBartlett法(有
意水準5%)による等分散検定を行い、等分散の場合には
Dunnett法により平均値の多重比較を行った。不等分散
の場合には、non-parametricDunnett法により平均順位
の多重比較を行った。投与前、1, 4, 8時間の測定値に
関しては等分散であり、30分,2時間の測定値について
は不等分散であった。
【0029】体重kg当たり10mgのカプサイシンを強制経
口投与したマウス群においては、経口投与後8時間まで
のいずれの時点においても比較対照である担体溶媒投与
群との間に反応潜時の有意差を認めることができなかっ
た(表1)。
【0030】一方、体重kg当たり30mgのカプサイシンを
強制経口投与したマウス群においては、経口投与後1時
間と2時間の時点においてP<0.05の有意確率で有意な
潜時の増加が認められたが、投与後30分と4時間以降で
は有意差は見られなかった(表1)。
【0031】又、体重kg当たり100mgのカプサイシンを
強制経口投与したマウス群においては、特記すべき事実
として、投与した6匹中3匹が投与直後に死亡した。こ
れは報告されている経口投与カプサイシンのLD50(雄マ
ウスで118.8 mg/kg、雌マウスで97.4 mg/kg)(Saito,
A. and Yamamoto, M. (1996) J. Toxicol. Sci. 21:195
-200)の値とよく一致している。生き残った3匹につい
て経時的に反応潜時を測定した結果は、経口投与後1時
間目においてP<0.01の有意確率で担体溶媒投与群との
間に差が認められた(表1)。しかし、2時間目以降で
は有意差を認めなかった。
【0032】
【表1】
【0033】実施例2:新規カプサイシノイド様物質の
鎮痛作用 実施例2では1群8匹のマウス(合計5群)を用い、担
体溶媒投与群を比較対照群とした。実施例1の結果か
ら、鎮痛効果がみられ且つ死亡例が見られなかった30 m
g/kgのカプサイシン投与量を陽性対照投与量とした。こ
れに伴い、新規カプサイシノイド様物質(4−ヒドロキ
シ−3−メトキシベンジル (E)−8−メチル−6−
ノネノアートと4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル
8−メチルノナノアートの2:1の混合物)の最低経
口投与量を30 mg/kgとし、これより高い投与量の100 mg
/kg及び300 mg/kgについても同時に鎮痛効果を調べた。
実験方法及び統計処理方法はすべて実施例1と同様の方
法で行った。
【0034】実験結果の統計処理は分散が全て等分散で
あったので、Dunnett法による平均値の多重比較を行っ
た。結果を表2及び図1にまとめた。
【0035】カプサイシンの鎮痛効果は投与後1時間か
ら4時間までの間P<0.01の有意確率で認められた。こ
れと同等の鎮痛効果が新規カプサイシノイド様物質を3
0, 100及び 300 mg/kg投与した場合のいずれの場合にお
いても認められた。
【0036】図1の各群の時間0から8時間までの曲線
下面積(AUC0→8hr)は、各群の測定潜時を8時間まで
累計したものであるが、対照群が94.5±2.8であるのに
対し、30 mg/kgカプサイシン投与群では150.6±4.2、3
0,100及び300mg/kgの新規カプサイシノイド様物質投与
群ではそれぞれ148.3±6.5,154.1±4.6,134.0±4.0で
あった(表2)。
【0037】
【表2】
【0038】曲線下面積による比較においても、カプサ
イシン投与群及び30, 100及び 300mg/kgの新規カプサイ
シノイド様物質投与群はいずれも対照群との比較におい
てP<0.01の有意確率で鎮痛効果があることを示してい
る。又、曲線下面積の結果は、カプサイシンと新規カプ
サイシノイド様物質のオーバーオールの鎮痛効果は同等
であること、ならびに新規カプサイシノイド様物質を30
mg/kg投与したとき鎮痛効果は既に飽和に達しており、
それ以上の量を投与しても鎮痛効果が増加することはな
いことをも示している。
【0039】実施例2においては、比較対照の担体溶媒
投与群はもちろんのこと、カプサイシン投与群及び新規
カプサイシノイド様物質投与群のいずれの群も死亡例は
なかった。実施例1では100 mg/kgのカプサイシン投与
により半数のマウスが死亡したのに対し、実施例2で30
0 mg/kgの新規カプサイシノイド様物質を投与しても死
亡するマウスはなかった。しかも死亡例が見られなかっ
た300 mg/kgの1/10量の30 mg/kgで十分な鎮痛効果が得
られた。以上の結果は、新規カプサイシノイド様物質は
カプサイシンと同等の鎮痛効果を有するにも係わらずカ
プサイシンに比べて毒性が低いことを示しており、経口
鎮痛剤として利用できることを示す。
【0040】
【発明の効果】新規カプサイシノイド様物質は優れた鎮
痛効果を有し、且つ辛味、毒性が極めて低いので、人間
又は動物に本発明の新規カプサイシノイド様物質を含有
する鎮痛剤又は食品又は飼料を経口的に投与することに
より優れた鎮痛効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、担体溶媒に溶解したカプサイシン及び
カプサイシノイド様物質をマウスに投与した後、経時的
に55℃のホットプレート上に乗せ、熱痛反応を示すま
での時間を測定したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 35/78 A61K 35/78 R A61P 25/04 A61P 25/04 (72)発明者 橋爪 秀一 神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 森永製菓株式会社研究所内 (72)発明者 今井 正武 神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 森永製菓株式会社研究所内 (72)発明者 矢澤 進 京都府長岡京市今里3−15−12 (72)発明者 伏木 亨 滋賀県大津市坂本1−20−24 (72)発明者 渡辺 達夫 静岡県清水市川原町21−11−403 (72)発明者 古旗 賢二 静岡県清水市川原町21−11−203 Fターム(参考) 2B150 AB20 DA60 DD31 DD38 4B018 MD08 MD61 ME14 4B047 LB08 LG47 4C088 AB50 AC02 AC04 NA14 ZA08 4C206 AA01 AA02 DB13 MA01 MA04 NA14 ZA08

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1): 【化1】 又は 【化2】 で表されるカプサイシノイド様物質を含有することを特
    徴とする鎮痛剤。
  2. 【請求項2】 一般式(1)においてnが3,4又は5
    であるカプサイシノイド様物質を含有することを特徴と
    する請求項1記載の鎮痛剤。
  3. 【請求項3】 カプサイシノイド様物質が4−ヒドロキ
    シ−3−メトキシベンジル (E)−8−メチル−6−
    ノネノアート又は4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジ
    ル 8−メチルノナノアートである請求項1に記載の鎮
    痛剤。
  4. 【請求項4】 使用されるカプサイシノイド様物質が、
    該物質を成分として含有する植物体又は果実の形態で配
    合されることを特徴とする請求項1に記載の鎮痛剤。
  5. 【請求項5】 上記植物体又は果実がトウガラシ品種
    「CH-19甘」由来であることを特徴とする請求項4に記
    載の鎮痛剤。
  6. 【請求項6】 鎮痛処置が必要な患者に投与される薬剤
    の製造のための請求項1乃至5のいずれか一項に記載の
    カプサイシノイド様物質の使用。
  7. 【請求項7】 上記一般式(1)で表されるカプサイシ
    ノイド様物質を含有することを特徴とする鎮痛作用を有
    する食品。
  8. 【請求項8】 上記一般式(1)においてnが3,4又
    は5であるカプサイシノイド様物質を含有することを特
    徴とする請求項7に記載の食品。
  9. 【請求項9】 カプサイシノイド様物質が4−ヒドロキ
    シ−3−メトキシベンジル (E)−8−メチル−6−
    ノネノアート又は4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジ
    ル 8−メチルノナノアートである請求項7に記載の食
    品。
  10. 【請求項10】 使用されるカプサイシノイド様物質
    が、該物質を成分として含有する植物体又は果実の形態
    で配合されることを特徴とする請求項7に記載の食品。
  11. 【請求項11】 上記植物体又は果実がトウガラシ品種
    「CH-19甘」由来であることを特徴とする請求項10に
    記載の食品。
  12. 【請求項12】 上記一般式(1)で表されるカプサイ
    シノイド様物質を含有することを特徴とする鎮痛作用を
    有する飼料。
  13. 【請求項13】 上記一般式(1)においてnが3,4
    又は5であるカプサイシノイド様物質を含有することを
    特徴とする請求項12に記載の飼料。
  14. 【請求項14】 カプサイシノイド様物質が4−ヒドロ
    キシ−3−メトキシベンジル (E)−8−メチル−6
    −ノネノアート又は4−ヒドロキシ−3−メトキシベン
    ジル 8−メチルノナノアートである請求項12に記載
    の飼料。
  15. 【請求項15】 使用されるカプサイシノイド様物質
    が、該物質を成分として含有する植物体又は果実の形態
    で配合されることを特徴とする請求項12に記載の飼
    料。
  16. 【請求項16】 上記植物体又は果実がトウガラシ品種
    「CH-19甘」由来であることを特徴とする請求項15に
    記載の飼料。
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