JP2001158042A - 延伸成形体 - Google Patents

延伸成形体

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JP2001158042A
JP2001158042A JP34475199A JP34475199A JP2001158042A JP 2001158042 A JP2001158042 A JP 2001158042A JP 34475199 A JP34475199 A JP 34475199A JP 34475199 A JP34475199 A JP 34475199A JP 2001158042 A JP2001158042 A JP 2001158042A
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JP
Japan
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evoh
composition
acid
ethylene
stretch
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Application number
JP34475199A
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English (en)
Inventor
Tomoyuki Yamamoto
友之 山本
Kenji Nimiya
賢二 仁宮
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Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスバリア性に優れた延伸成形体を提供する
こと。 【解決手段】 エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
組成物からなり、かつ特定の条件下で延伸処理をしてな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体ケン化物(以下、EVOHと略記する)の
組成物からなる延伸成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、EVOHは、透明性、ガスバリ
ア性、保香性、耐溶剤性、耐油性などに優れており、か
かる特性を生かして、食品包装材料、医薬品包装材料、
工業薬品包装材料、農薬包装材料等の各種包装材料に用
いられており、その実用に当たっては、包装体の機械的
強度や防湿性、ヒートシール性等の向上を目的としてポ
リオレフィン系樹脂と積層し、さらにその薄膜化やガス
バリア性の向上等を目的として延伸処理して多層フィル
ムとして用いられることが多い。
【0003】しかしながら、かかるEVOHは、ポリプ
ロピレンやポリエチレン等の熱可塑性樹脂に比べて延伸
成形性に劣るため、かかる対策として、例えば、特開昭
59−135154号公報には、EVOHにオキサゾリ
ン化合物を配合した組成物を中間層に用いた多層延伸フ
ィルムが、特開平5−261815号公報には、EVO
Hにフタール酸ジエチル等の化合物を配合した組成物を
中間層に用いた多層延伸フィルム(熱収縮性フィルム)
が、特開平5−200865号公報には、二種類以上の
組成の異なるEVOHからなる組成物を中間層に用いた
多層延伸フィルム(熱収縮性フィルム)が、それぞれ記
載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、オキサ
ゾリン化合物を配合したEVOH組成物を延伸成形体に
用いると、その熱安定性やロングラン溶融成形性に難が
あるため長時間の生産が困難となり、また、フタール酸
ジエチル等の化合物を配合したEVOH組成物ではガス
バリア性が大幅に低下してしまい、二種類以上の組成の
異なるEVOHからなる組成物では、延伸成形性の向上
(外観性)はある程度認められるものの、延伸によるガ
スバリア性の向上効果には乏しく、更なる改善が望まれ
るところである。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は、か
かる現況に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、EVOH組成
物からなり、かつ下記(1)及び(2)式を満足する条
件で延伸して得られた延伸成形体が上記の目的に合致す
ることを見出して本発明を完成するに至った。
【0006】 σ2/σ1>(Tm−T)/31.2 ・・・(1) Tm−T≧40 ・・・(2) (但し、σ1は歪速度0.1(sec-1)でEVOH組成物
を引っ張った時の伸度λ=exp(L/L0)が2の時の応力
(MPa)、σ2は同λ=exp(L/L0)が20の時の応力
(MPa)、TmはEVOH組成物中のEVOHの融点
(℃)、Tは延伸温度(℃)をそれぞれ表す)
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に述べる。
【0008】本発明の延伸成形体に用いられるEVOH
組成物の主成分であるEVOHとしては、特に限定され
ないが、エチレン含有量が20〜60モル%(更には2
5〜55モル%)、ケン化度が90モル%以上(更には
95モル%以上)のものが用いられ、該エチレン含有量
が20モル%未満では高湿時のガスバリア性、溶融成形
性が低下し、逆に60モル%を越えると充分なガスバリ
ア性が得られず、更にケン化度が90モル%未満ではガ
スバリア性、熱安定性、耐湿性等が低下して好ましくな
い。
【0009】また、該EVOHのメルトフローレート
(MFR)(210℃、荷重2160g)は、1〜10
0g/10分(更には2〜50g/10分、特には3〜
20g/10分)が好ましく、該MFRが該範囲よりも
小さい場合には、延伸成形体の外観が悪化することがあ
り、また該範囲よりも大きい場合には、延伸成形体の機
械的強度が不足して好ましくない。尚、上記MFRの測
定に当たっては、より具体的には、EVOHを市販(東
洋精機社等)のメルトインデクサーを用いて、温度21
0℃、荷重2160gの条件で測定することができる。
すなわち、JISK7210「熱可塑性プラスチックの
流れ試験方法」に準拠して、操作A法(手動切取り法)
にて測定することができる。
【0010】さらに、該EVOHの固有粘度(フェノー
ル85重量%と水15重量%との混合溶媒中、30℃の
測定値)は、0.7〜1.5dl/g(更には0.8〜
1.3dl/g、特には0.9〜1.2dl/g)が好
ましく、該固有粘度が該範囲よりも小さい場合は、成形
体の機械的強度が不足し、また該範囲よりも大きい場合
には、延伸成形体の外観が悪化することがあり好ましく
ない。上記固有粘度の測定に当たっては、より具体的に
は、EVOHをフェノール85重量%と水15重量%と
の混合溶媒中に溶解させた溶液を、オストワルド粘度計
を用いて温度30℃で測定することができる。
【0011】該EVOHは、エチレン−酢酸ビニル共重
合体のケン化によって得られ、該エチレン−酢酸ビニル
共重合体は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、
懸濁重合、エマルジョン重合などにより製造され、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体のケン化も公知の方法で行い
得る。
【0012】また、本発明では、本発明の効果を阻害し
ない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重
合していてもよく、かかる単量体としては、プロピレ
ン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリ
ル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、
(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸
類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたは
ジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜1
8のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルア
クリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸
あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミ
ンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルア
ミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アル
キルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルア
ミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるい
はその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあ
るいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミ
ド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミ
ド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、
アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビ
ニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒ
ドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキル
ビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩
化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化
ビニル等のハロゲン化ビニル類、トリメトキシビニルシ
ラン等のビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、ア
リルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチ
ル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−
アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルホン酸等が挙げられる。
【0013】また、EVOH組成物には、2種以上のE
VOHを含有させることも好ましく、このときは、エチ
レン含有量が5モル%以上(更には5〜25モル%、特
には8〜20モル%)異なり、及び/又はケン化度が1
モル%以上(更には1〜15モル%、特には2〜10モ
ル%)異なり、及び/又はMFRの比が2以上(更には
3〜20、特には4〜15)であるEVOHを含有させ
ることにより、ガスバリア性の向上効果を保持したま
ま、更に柔軟性、熱成形性、製膜安定性等が向上するの
で有用である。
【0014】本発明の最大の特徴は、後述の如き(1)
及び(2)式を満足することであるが、かかる(1)及
び(2)式を好適に満足させるために、以下の如き方法
で製造されたEVOHを用いることも好ましい。
【0015】例えば、特定の連鎖移動剤を使用して、
エチレンと酢酸ビニルを共重合せしめ、その共重合体を
ケン化する方法、反応性官能基を有するモノマーをエ
チレンおよび酢酸ビニルと共重合せしめ、その共重合体
をケン化してから、必要に応じて架橋剤を加えて熱等に
より分子間架橋反応させる方法、EVOHの水酸基と
反応性のある化合物を加えて、熱等により分子間架橋反
応させる方法、EVOHの水酸基と反応性のある化合
物を加えて、熱等によりグラフト反応させる方法、E
VOHを、必要に応じて反応促進剤を加えて、熱等によ
り分子間架橋反応させる方法、およびこれらの方法を組
み合わせる方法等を挙げることができ、更にこれらの方
法で得られたEVOHを、他のEVOHとブレンドする
ことも可能である。
【0016】工業的には及びの方法が有用で、さら
にEVOHの水酸基と反応性のある化合物として、末端
カルボン酸変性EVOHを用いることが、得られるEV
OH組成物の延伸成形性(外観性、ガスバリア性の向上
効果等)に特に優れる点で好ましく、以下その方法につ
いて詳細に説明するがこれに限定されるものではない。
【0017】上記末端カルボン酸変性EVOHを得るに
は、EVOHを過酸化水素等で酸化分解処理することに
より工業上有利に行うことができる。
【0018】かかるEVOHとしては、前述のEVOH
組成物の主成分であるEVOHと同様のものが用いられ
る。
【0019】まず、かかるEVOHを溶液にするのであ
るが、EVOHを溶液するにあたっては、EVOHを溶
解可能な溶媒に溶解すればよく、その溶媒や方法等につ
いては限定されないが、該溶媒としては、メタノール、
エタノール、プロパノール、ブタノール、フェノール、
ジメチルスルフォキサイド(DMSO)、ヘキサフルオ
ロイソプロパノール(HFIP)等の溶剤やこれらの溶
剤を含有する水溶液(混合溶媒)を挙げることができ、
該水溶液の場合には溶剤/水の重量混合比を90/10
〜30/70とすることが、EVOHの溶解性の点で好
ましく、溶液中に含有されるEVOHの量としては、2
〜60重量%(更には5〜55重量%、特に10〜50
重量%)が好ましく、EVOHの量が2重量%未満では
溶剤の量が多く工業上不利となり、逆に60重量%を越
えると酸化分解反応が不均一となることがあり好ましく
ない。また、溶液を調整する方法としては、イ)固体状
のEVOHの粉体やペレット等を溶剤や溶剤/水の混合
溶媒中で所定の濃度となるように溶解したり、ロ)EV
OH製造時のケン化処理後のEVOHの溶剤溶液に溶
剤、水またはその混合溶媒を適当量添加したり、ハ)E
VOH製造時の析出または析出−水洗後の含水EVOH
のペレットを溶剤または溶剤/水の混合溶媒中で所定の
濃度と液組成になるように溶解したりする方法を挙げる
ことができ、生産上好適にはイ)またはロ)の方法が採
用され得る。
【0020】次いで、該EVOH溶液に過酸化水素(通
常は35重量%水溶液)を添加し、攪拌下で、温度40
〜90℃、時間1〜50時間の条件で処理する。過酸化
水素(35重量%水溶液)の添加量は、溶液中のEVO
H100重量部に対して3〜300重量部程度である。
また、酸化分解の反応速度を調整するため、金属触媒
(CuCl2、CuSO4、MoO3、FeSO4、TiC
l4、SeO2等)をEVOH溶液当たり1〜5000p
pm程度添加してもよい。かかる処理の終了時点は、溶
液の粘度が初期の1割程度以下となった点を一つの目安
とすることができる。
【0021】かくして、該溶液より公知の方法にて溶媒
を除去することにより、分子末端に0.03〜0.2m
eq/g程度のカルボキシル基を含有した、末端カルボ
ン酸変性EVOHを得ることができる。
【0022】続いて、上記末端カルボン酸変性EVOH
を、EVOH組成物の主成分となるEVOHにブレンド
し、該EVOHの水酸基と末端カルボン酸変性EVOH
のカルボン酸を反応せしめることにより、目的とするE
VOH組成物が得られる。
【0023】末端カルボン酸変性EVOHのブレンド量
については特に限定されないが、EVOH組成物の主成
分となるEVOH100重量部に対して0.01〜10
重量部(更には0.05〜5重量部、特には0.1〜2
重量部)が好ましく、かかるブレンド量が0.01重量
部未満では延伸によるガスバリア性の向上効果に乏しく
なることがあり、逆に10重量部を越えるとガスバリア
性や熱安定性が低下することがあり好ましくない。
【0024】EVOHと末端カルボン酸変性EVOHの
ブレンド方法については、特に限定されないが、両者の
分散性や反応性の点からは溶融状態で混練することが好
ましく、その手段としては、例えば、ニーダールーダ
ー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、
プラストミルなどの公知の混練装置を使用して行うこと
ができるが、通常は単軸又は二軸の押出機を用いること
が工業上好ましく、また、必要に応じて、ベント吸引装
置、ギヤポンプ装置、スクリーン装置等を設けることも
好ましい。特に、水分や副生成物(熱分解低分子量物
等)を除去するために、押出機に1個以上のベント孔を
設けて減圧下に吸引したり、押出機中への酸素の混入を
防ぐために、ホッパー内に窒素等の不活性ガスを連続的
に供給したりすることにより、熱着色や熱劣化が軽減さ
れた品質の優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0025】また、供給方法についても特に限定され
ず、ア)EVOHと末端カルボン酸変性EVOHを押出
機に供給する前に予めブレンドしておく方法(例えば溶
液状態でのブレンド等)、イ)EVOHと末端カルボン
酸変性EVOHをドライブレンドして一括して押出機に
供給する方法、ウ)EVOHを押出機に供給して溶融さ
せたところに固体状の末端カルボン酸変性EVOHを供
給する方法、エ)EVOHを押出機に供給して溶融させ
たところに溶融状態の末端カルボン酸変性EVOHを供
給する方法等を挙げることができるが、中でも、イ)の
方法が装置の簡便さ、ブレンド物のコスト面等で実用的
である。
【0026】押出機内での樹脂温度は、150〜300
℃(更には170〜280℃)が好ましく、かかる樹脂
温度が150℃未満では充分に反応を進行させることが
難しく、逆に300℃を越えるとEVOH(組成物)が
熱劣化をおこす恐れがあり好ましくない。
【0027】押出機内での滞留時間は、1分〜1時間
(更には3〜30分)が好ましく、かかる滞留時間が1
分未満では充分に反応を進行させることが難しく、逆に
1時間を越えるとEVOH(組成物)が熱劣化をおこす
恐れがあり好ましくない。
【0028】更に本発明においては、本発明の目的を阻
害しない範囲において、EVOH組成物中に飽和脂肪族
アミド(例えばステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸ア
ミド(例えばオレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド
(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、脂肪酸金
属塩(例えばステアリン酸カルシウム等)、低分子量ポリ
オレフィン(例えば分子量500〜10,000程度の低
分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン等)
などの滑剤、無機酸(例えばリン酸、ホウ酸等)、有機
酸(例えば酢酸、ステアリン酸等)、無機塩(例えばリ
ン酸のアルカリ金属・アルカリ土類金属塩、ハイドロタ
ルサイト等)、有機酸塩(例えば酢酸のアルカリ金属・
アルカリ土類金属塩等)、可塑剤(例えばエチレングリ
コール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価
アルコールなど)、酸素吸収剤(例えば還元鉄粉類、ア
スコルビン酸等)、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤
(例えばチバスペシャルティケミカルズ社製IRGAN
OX1098など)、紫外線吸収剤、着色剤、界面活性
剤、抗菌剤、消臭剤(例えば活性炭等)、アンチブロッ
キング剤(例えばタルク微粒子など)、スリップ剤(例
えば無定形シリカ微粒子など)、無機充填材(例えば酸
化ケイ素、二酸化チタン、クレー、タルク、ベントナイ
ト、水膨潤性フィロケイ酸塩など)、他樹脂(例えばポ
リオレフィン、ポリアミド等)等を配合しても良い。
【0029】特に、かかるEVOH組成物にアルカリ金
属および/またはアルカリ土類金属を含有させること
も、本発明の効果をより顕著に得られる点で好ましく、
かかるアルカリ金属やアルカリ土類金属としては、ナト
リウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガ
ン、銅、コバルト、亜鉛などが挙げられ、中でもナトリ
ウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムが好まし
く、これらの金属を含有させるに当たっては、酢酸、プ
ロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイ
ン酸、ベヘニン酸等の有機酸や、硫酸、亜硫酸、炭酸、
リン酸等の無機酸の金属塩として含有させることが好ま
しく、好適には酢酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩であ
る。また、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金
属の含有量としては、EVOH組成物中に金属換算で1
0〜500ppm(更には20〜400ppm、特には
50〜300ppm)とすることが好ましく、かかる含
有量が10ppm未満では、その含有効果を得ることが
困難となり、逆に500ppmを越えると、得られる成
形物の外観が悪化することがあり好ましくない。異なる
2種以上のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金
属を含有させる場合は、その合計量が上記含有量範囲に
あることが好ましい。
【0030】EVOH組成物中にアルカリ金属および/
またはアルカリ土類金属を含有させる方法については、
特に限定されず、1)含水率20〜80重量%のEVO
Hの多孔性析出物を、アルカリ金属化合物および/また
はアルカリ土類金属化合物水溶液と接触させて、アルカ
リ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を
含有させてから乾燥する方法、2)EVOHの均一溶液
(水/アルコール溶液等)にアルカリ金属化合物および
/またはアルカリ土類金属化合物を含有させた後、凝固
液中にストランド状に押し出し、次いで得られたストラ
ンドを切断してペレットとして、更に乾燥処理をする方
法、3)EVOHとアルカリ金属化合物および/または
アルカリ土類金属化合物を一括して混合してから押出機
等で溶融混練する等を挙げることができる。本発明の効
果をより顕著に得るためには、分散性に優れた1)また
は2)の方法が好ましい。また、アルカリ金属化合物に
ついてはEVOHの製造時に調整することも可能で、例
えば、ケン化工程で使用したアルカリ(水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等)を酢酸で中和して、副生成する
酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の量を水洗処理により
調整したりすることも可能である。
【0031】本発明の延伸成形体は、上記の如きEVO
H組成物を用いて製造されるものであるが、下記(1)
及び(2)式を満足する条件で延伸した延伸成形体であ
ることを最大の特徴とするものである。
【0032】 σ2/σ1>(Tm−T)/31.2 ・・・(1) Tm−T≧40 ・・・(2) 但し、σ1は歪速度0.1(sec-1)でEVOH組成物を
引っ張った時の伸度λ=exp(L/L0)が2の時の応力(M
Pa)、σ2は同λ=exp(L/L0)が20の時の応力(M
Pa)、TmはEVOH組成物中のEVOHの融点
(℃)、Tは延伸温度(℃)をそれぞれ表す。
【0033】尚、σ1及びσ2の測定に当たっては、E
VOH組成物を厚さ約0.2mm、長さ300mm、幅
10mmの短冊形に成形して測定用試料とし、かかる試
料のT℃における伸張時の公称応力を一軸伸張歪速度が
0.1sec−1で伸張レオメーター(例えば、岩本製
作所製「MI−MR−10」、チャック間距離は150
mm)を使用して測定する。得られた応力−伸度比曲線
より、伸度比が2及び20の時の応力をそれぞれσ1及
びσ2とすることができる。
【0034】また、Tmの測定に当たっては、示差走査
型熱量計(例えば、パーキンエルマー社製「DSC−
7」、昇温速度10℃/min)を使用して測定するこ
とができ、吸熱ピークを示す融解曲線の融解ピークの温
度をTmとする。尚、EVOH組成物が2種以上のEV
OHを含有するときのTmは、含有されるEVOHの最
も高い融点をTmとする。
【0035】即ち、本発明においては、上記の如きEV
OH組成物を延伸して成形体を製造するに当たって、E
VOH組成物中のEVOHの融点(Tm)と延伸温度
(T)の差が上記の(1)及び(2)式を満足するよう
にする必要があり、用いるEVOH組成物の特性(応力
比やEVOHの融点)に合わせて、延伸温度をコントロ
ールすることに特徴を有するのである。
【0036】従って、上記(1)式の左辺の値が右辺の
値以下になるときは、配向が十分にかからず、その結果
バリア性の向上が望めず本発明の目的を達成することが
できず、また、上記(2)式の左辺の値が40未満とな
るときも、延伸時の張力が不十分となって延伸が不可能
となって本発明の目的を達成することが不可能となる。
尚、該(2)式の左辺の上限値はEVOHの延伸可能な
温度範囲等を考慮すれば、140℃以下とすることが好
ましく、下記の(2’)式の範囲とすることが好まし
く、更には(2'')式、特には(2''')式の範囲とす
ることが好ましい。
【0037】 140≧Tm−T≧40 ・・・(2’) 130≧Tm−T≧40 ・・・(2'') 120≧Tm−T≧40 ・・・(2''') 本発明においては、上記の(1)及び(2)式を満足す
る条件で上記のEVOH組成物を延伸成形を行えば良
く、かかる延伸成形に当たっては、EVOH組成物単体
を延伸して成形物としても良いが、他の熱可塑性樹脂と
積層してから延伸して、或いはEVOH組成物を単体で
延伸した後に他の熱可塑性樹脂と積層して、成形物とす
ることもできるが、他の熱可塑性樹脂と積層してから延
伸して(多層)延伸成形体とすることが実用上好まし
く、かかる方法について以下説明するが、これに限定さ
れるものではない。
【0038】積層される他の熱可塑性樹脂としては、ポ
リオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド
系樹脂、共重合ポリアミド、ポリスチレン系樹脂、ポリ
塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹
脂、ポリスチレン系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリ
エステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩
素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げら
れ、好適にはポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹
脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂が用いられ
る。中でもポリオレフィン系樹脂とポリアミド系樹脂の
場合、本発明の目的を顕著に発揮することができ、かか
るポリオレフィン系樹脂としては、具体的に直鎖状低密
度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン
(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、
中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン
(HDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EV
A)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)の部分
ケン化物、アイオノマー、エチレン−プロピレン(ブロ
ック又はランダム)共重合体、エチレン−アクリル酸共
重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチ
レン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸
エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−
オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合
体、ポリブテン、ポリペンテン、ポリメチルペンテン等
のオレフィンの単独又は共重合体、或いはこれらのオレ
フィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はその
エステルでグラフト変性したものやこれらのブレンド物
などの広義のポリオレフィン系樹脂を挙げることがで
き、特に、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチ
レン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム
共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体が、
多層延伸成形体の外観と剛性に優れる点で好ましい。
【0039】また、かかるポリアミド系樹脂としては、
ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリ−ω−アミノヘプ
タン酸(ナイロン7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナ
イロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、
ポリラウリルラクタム(ナイロン12)、ポリエチレン
ジアミンアジパミド(ナイロン26)、ポリテトラメチ
レンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレン
アジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバ
カミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカ
ミド(ナイロン612)、ポリオクタメチレンアジパミ
ド(ナイロン86)、ポリデカメチレンアジパミド(ナ
イロン108)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共
重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/ω−ア
ミノノナン酸共重合体(ナイロン6/9)、カプロラク
タム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合
体(ナイロン6/66)、ラウリルラクタム/ヘキサメ
チレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン1
2/66)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチ
レンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン26
/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニ
ウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケ
ート共重合体(ナイロン66/610)、エチレンアン
モニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムア
ジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共
重合体(ナイロン6/66/610)、ポリヘキサメチ
レンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタル
アミド、ヘキサメチレンイソフタルアミド/テレフタル
アミド共重合体あるいはこれらのポリアミド系樹脂をメ
チレンベンジルアミン、メタキシレンジアミン等の芳香
族アミンで変性したものやメタキシリレンジアンモニウ
ムアジペート等が挙げられ、これらの1種または2種以
上のブレンド物が用いられ、更にはこれらの中でも、融
点が240℃以下、特に融点が160〜230℃のポリ
アミド系樹脂が好ましく、具体的にはポリカプラミド
(ナイロン6)、ポリラウリルラクタム(ナイロン1
2)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナ
イロン6/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジ
アンモニウムアジペート共重合体(ナイロン6/66)
等が用いられる。
【0040】また、本発明においては、かかる熱可塑性
樹脂に本発明の目的を阻害しない範囲において、上述の
各種添加剤、改質剤、他樹脂等を配合しても良い。
【0041】多層延伸成形体は、上記の如き特定のEV
OH組成物(層)と熱可塑性樹脂(層)からなる多層シ
ートを延伸成形してなるもので、かかる多層延伸成形体
の製造法についてより具体的に説明する。
【0042】かかる多層延伸成形体を製造するに当たっ
ては、該EVOHと熱可塑性樹脂を積層した多層シート
(積層体)を作製した後に、延伸処理、特に加熱延伸処
理を施して成形するのである。
【0043】先ず該EVOH組成物からなる層の少なく
とも片面に熱可塑性樹脂を積層して多層シートを作製す
るのであるが、積層方法としては、例えば該EVOH組
成物からなるフィルムやシートに熱可塑性樹脂を溶融押
出する方法、逆に熱可塑性樹脂の層に該EVOH組成物
を溶融押出する方法、該EVOH組成物と熱可塑性樹脂
とを共押出する方法、更には該EVOH組成物からなる
フィルムやシートと熱可塑性樹脂からなるフィルムやシ
ートとを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポ
リエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接
着剤を用いてドライラミネートする方法等が挙げられ
る。
【0044】次いで、得られた多層シートに延伸処理を
施すことにより延伸成形体に成形するのであるが、本発
明においては、上記の如く(1)及び(2)式を満足す
る条件、即ち、使用するEVOH組成物に合わせて、
(1)及び(2)式を満足する延伸温度の設定を行って
加熱延伸処理を施せば良い。
【0045】ここで加熱延伸処理とは、熱的に均一に加
熱されたフィルム、シート、パリソン状の積層体をチャ
ック、プラグ、真空力、圧空力、ブローなどにより、カ
ップ、トレイ、チューブ、ボトル、フィルム状に均一に
成形する操作を意味し、かかる延伸については、一軸延
伸、二軸延伸のいずれであってもよく、できるだけ高倍
率の延伸を行ったほうが物性的に良好で、延伸時にピン
ホールやクラック、延伸ムラや偏肉、デラミ等の生じな
い、ガスバリア性に優れた延伸成形物が得られる。
【0046】延伸方法としては、ロール延伸法、テンタ
ー延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法、真空圧
空成形等のうち延伸倍率の高いものも採用できる。二軸
延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のい
ずれの方式も採用できる。延伸温度は60〜170℃、
好ましくは80〜160℃程度の範囲から選ばれる。
【0047】延伸が終了した後、次いで熱固定を行うこ
とも好ましい。熱固定は周知の手段で実施可能であり、
上記延伸フィルムを緊張状態を保ちながら80〜170
℃、好ましくは100〜160℃で2〜600秒間程度
熱処理を行う。
【0048】また、生肉、加工肉、チーズ等の熱収縮包
装用途に用いる場合には、延伸後の熱固定は行わずに製
品フィルムとし、上記の生肉、加工肉、チーズ等を該フ
ィルムに収納した後、50〜130℃、好ましくは70
〜120℃で、2〜300秒程度の熱処理を行って、該
フィルムを熱収縮させて密着包装をする。
【0049】かくして本発明の(多層)延伸成形体が得
られるわけであるが、かかる多層延伸成形体の層構成と
しては、該EVOH組成物からなる層をa、熱可塑性樹
脂からなる層をbとするとき、a/bの層構成のみなら
ず、b/a/b、b/a/b/a、b/a/b/a/
b、b/a/b/a/b/a、b/a/b/a/b/a
/b等の任意の組み合わせが可能であり、更には、少な
くともEVOH組成物と熱可塑性樹脂の混合物からなる
リグラインド層をRとするとき、b/R/a、b/R/
a/b、b/R/a/R/b、b/a/R/a/b、b
/R/a/R/a/R/b等とすることも可能である。
更に該EVOH組成物や熱可塑性樹脂以外の樹脂層を設
けることも可能である。
【0050】また、本発明の(多層)延伸成形体は、該
EVOH組成物層と熱可塑性樹脂層との間に、或いは該
EVOH組成物層と上記リグラインド層との間に必要に
応じて接着性樹脂を使用することも、外観に優れた多層
延伸成形体が得られる点で好ましく、該接着性樹脂とし
ても特に限定されず、種々のものを使用することができ
るが、一般的には、不飽和カルボン酸またはその無水物
をオレフィン系重合体(上述の広義のポリオレフィン系
樹脂)に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合
させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィ
ン系重合体を挙げることができ、具体的には、無水マレ
イン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラ
フト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性
エチレン−プロピレン共重合体、無水マレイン酸グラフ
ト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マ
レイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等
から選ばれた1種または2種以上の混合物が好適なもの
として挙げられる。このときの、オレフィン系重合体に
含有される不飽和カルボン酸又はその無水物の量は、
0.001〜3重量%が好ましく、さらに好ましくは
0.01〜1重量%、特に好ましくは0.03〜0.5
重量%である。該変性物中の変性量が少ないと、層間接
着性の向上効果に乏しく、逆に多いと架橋反応を起こ
し、成形性が悪くなることがあり好ましくない。
【0051】またこれらの接着性樹脂にはポリイソブチ
レン、エチレン−プロピレンゴム等のゴム・エラストマ
ー成分、更にはb層の樹脂等をブレンドすることも可能
である。特に、接着性樹脂の母体のポリオレフィン系樹
脂と異なるポリオレフィン系樹脂をブレンドすることに
より、接着性が向上することがあり有用である。
【0052】また、本発明においては、aにb、bにa
をブレンドしたり、aやbの少なくとも一方に両層面の
密着性を向上させる樹脂を配合することも可能である。
【0053】また、多層延伸成形体の各層の厚みは、層
構成、熱可塑性樹脂の種類、用途や容器形態、要求され
る物性などによって一概に言えないが、通常は、該EV
OH組成物層については1〜100μm(更には5〜5
0μm)が好ましく、熱可塑性樹脂層については5〜3
00μm(更には10〜100μm)が好ましく、該E
VOH組成物層が1μm未満ではガスバリア性が不足
し、またその厚み制御が不安定となり、逆に100μm
を越えると耐衝撃性が劣り、かつ経済的でなく好ましく
なく、また熱可塑性樹脂層が5μm未満では剛性が不足
し、逆に300μmを越えると重量が大きくなり、かつ
経済的でなく好ましくない。
【0054】かくして得られた本発明の(多層)延伸成
形体は、一般的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング
等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食
品、飲料、化粧品、医薬品、洗剤、香粧品、工業薬品、
農薬等各種の容器として有用であるが、特に、本発明の
(多層)延伸成形体はガスバリア性の向上効果に優れる
ため、酸化劣化しやすい食品など高度にガスバリア性の
要求される包装体の用途に有用である。
【0055】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。
【0056】尚、例中「部」、「%」とあるのは特に断
りのない限り重量基準を示す。
【0057】アルカリ(土類)金属含有量の測定につい
ては、EVOH組成物を灰化後、塩酸水溶液に溶解して
原子吸光分析法によりアルカリ(土類)金属を定量する
ことにより行った。
【0058】またEVOHの融点の測定については、示
差走査熱量計(パーキンエルマー社製「DSC−7」)
を用いて昇温速度10℃/minで測定することにより
行った。
【0059】実施例1 [末端カルボン酸変性EVOHの製造]水50%、イソ
プロパノール50%からなる混合溶媒60部に、EVO
H[エチレン含有量29モル%、ケン化度99.7モル
%、MFR8g/10分(210℃、荷重2160
g)]30部を加え、60〜70℃にて約2時間攪拌し
EVOHを溶解せしめ、透明な溶液を調整した。次に、
該溶液に過酸化水素(35%水溶液)10部を添加し、
80℃で約2時間攪拌下に酸化分解反応させた後、さら
にカタラーゼ3000ppmを添加して残存過酸化水素
を除去し、乾燥して、末端カルボン酸変性EVOHを得
た。末端カルボキシル基の含有量は0.05meq/g
(酸性条件下、電導度滴定により測定)であった。
【0060】[EVOH組成物の製造]EVOH[エチ
レン含有量34モル%、ケン化度99.8モル%、MF
R3.5g/10分(210℃、荷重2160g)、固
有粘度1.04dl/g(30℃)、融点182℃、酢
酸ナトリウム含有量120ppm(ナトリウム換算)]
100部と上記で得られた末端カルボン酸変性EVOH
0.5部を添加して、よく混合した後、二軸押出機(同
方向二軸押出機)に供給して、下記の条件で溶融状態
(樹脂温度270℃)でブレンドした。ただし、EVO
H中の酢酸ナトリウムについては、EVOH製造時にお
けるケン化工程で副生成した酢酸ナトリウムの量を水洗
処理により調整することにより含有せしめた。
【0061】 (押出機の溶融押出条件) スクリュー内径 30mm L/D 49 押出温度 C1:180℃ A:230℃ C2:220℃ D:230℃ C3:230℃ C4:240℃ C5:240℃ C6:240℃ C7:240℃ C8:240℃ 平均滞留時間 10分 上記の押出機の先端のダイスから溶融樹脂がストランド
状に押し出され、その後冷却水(5℃)中を通過させる
ことにより冷却固化されて、ペレタイザーでカッティン
グされ、目的とするEVOH組成物のペレットが得られ
た。
【0062】続いて、上記で得られたEVOH組成物、
熱可塑性樹脂[ポリプロピレン、日本ポリケム社製「ノ
バテックPP EA8」、MFR0.8g/10分(2
30℃、荷重2160g)]及び接着性樹脂[三菱化学
社製「MODIC−AP P523」、MFR2.5g
/10分(230℃、荷重2160g)]を、3種5層
共押出しTダイシート製膜装置に供給して、熱可塑性樹
脂層(60μm)/接着性樹脂層(15μm)/EVO
H組成物層(30μm)/接着性樹脂層(15μm)/
熱可塑性樹脂層(60μm)の構成の多層シートを得
た。
【0063】次いで、上記で得られた多層シートを二軸
延伸装置に供給して、延伸温度(T)140℃で縦3
倍、横3倍の逐次二軸延伸処理を行って、熱可塑性樹脂
層(60μm)/接着性樹脂層(15μm)/EVOH
組成物層(30μm)/接着性樹脂層(15μm)/熱
可塑性樹脂層(60μm)の構成の多層延伸成形体(フ
ィルム)を得た。
【0064】尚、上記EVOHの融点(Tm)は、18
2℃で、EVOH組成物のσ1及びσ2を本文中に記載
の方法で測定したところ、σ1=5.2、σ2=8.1
で、σ2/σ1=1.56であった。
【0065】これらの値から、Tm−T=182−14
0=42となり、(1)式の左辺=1.56、同右辺=
42/31.2=1.35で、(1)及び(2)式を満
足するのもであった。
【0066】得られた多層延伸成形体のガスバリア性
(酸素透過率)の向上効果の評価を以下の要領で行っ
た。 (ガスバリア性の向上)得られた多層延伸成形体及び延
伸処理前の多層シートの酸素透過率を20℃、65%R
Hで測定して、(多層延伸成形体の酸素透過率)/(延
伸処理前の多層シートの酸素透過率)の比を求めて以下
の様に判定した。 ○ −−− 上記の比が0.8未満 △ −−− 上記の比が0.8〜0.9未満 × −−− 上記の比が0.9〜1
【0067】実施例2 実施例1において、EVOHとして、エチレン含有量3
8モル%、ケン化度99.8モル%、MFR4g/10
分(210℃、荷重2160g)、固有粘度1.01d
l/g(30℃)、融点173℃、酢酸ナトリウム含有
量140ppm(ナトリウム換算)のEVOHを用いた
以外は同様に末端カルボン酸変性EVOHと溶融ブレン
ドして同様に多層シートを得、更に延伸温度(T)を1
30℃とした以外は同様に多層延伸成形体を得て、同様
に評価を行った。ただし、EVOH中の酢酸ナトリウム
については、EVOH製造時におけるケン化工程で副生
成した酢酸ナトリウムの量を水洗処理により調整するこ
とにより含有せしめた。
【0068】尚、上記EVOHの融点(Tm)は、17
3℃で、EVOH組成物のσ1及びσ2を本文中に記載
の方法で測定したところ、σ1=4.8、σ2=7.1
で、σ2/σ1=1.48であった。これらの値から、
Tm−T=173−130=43となり、(1)式の左
辺=1.48、同右辺=43/31.2=1.38で、
(1)及び(2)式を満足するのもであった。
【0069】実施例3 実施例1において、EVOHとして、エチレン含有量3
4モル%、ケン化度99.8モル%、MFR3.5g/
10分(210℃、荷重2160g)、固有粘度1.0
4dl/g(30℃)、融点182℃、酢酸カリウム含
有量80ppm(カリウム換算)、酢酸ナトリウム含有
量80ppm(ナトリウム換算)のEVOHを用いた以
外は同様に末端カルボン酸変性EVOHと溶融ブレンド
(ただし、末端カルボン酸変性EVOHの添加量は上記
EVOH100部に対して0.3部とした)して同様に
多層シートを得て、同様に多層延伸成形体を得て、同様
に評価を行った。ただし、EVOH中の酢酸カリウムお
よび酢酸ナトリウムについては、EVOH製造時におけ
るケン化工程後のEVOHの水/メタノール溶液を水槽
にストランド状に押し出して凝固させてカッターで切断
して得たペレット状の多孔性析出物を酢酸水溶液で洗浄
後、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウムを含有した水溶
液に投入して撹拌することにより含有せしめた。
【0070】尚、上記EVOHの融点(Tm)は、18
2℃で、EVOH組成物のσ1及びσ2を本文中に記載
の方法で測定したところ、σ1=5.1、σ2=7.8
で、σ2/σ1=1.53であった。これらの値から、
Tm−T=182−140=42となり、(1)式の左
辺=1.53、同右辺=42/31.2=1.35で、
(1)及び(2)式を満足するのもであった。
【0071】比較例1 実施例1において、EVOH組成物として、エチレン含
有量34モル%、ケン化度99.8モル%、MFR14
g/10分(210℃、荷重2160g)、固有粘度
0.90dl/g(30℃)、融点182℃、酢酸ナト
リウム含有量120ppm(ナトリウム換算)のEVO
Hのみ(末端カルボン酸変性EVOHの添加なし)を用
いた以外は同様に多層シートを得て、同様に多層延伸成
形体を得て、同様に評価を行った。尚、上記EVOHの
融点(Tm)は、182℃で、EVOH組成物のσ1及
びσ2を本文中に記載の方法で測定したところ、σ1=
6.8、σ2=7.5で、σ2/σ1=1.10であっ
た。これらの値から、Tm−T=182−130=52
となり、(1)式の左辺=1.10、同右辺=52/3
1.2=1.67で、(2)式は満足するが、(1)式
を逸脱するものであった。
【0072】比較例2 実施例1において、延伸温度を150℃にした以外は同
様に多層シートを得て、同様に多層延伸成形体を得て、
同様に評価を行った。尚、上記EVOHの融点(Tm)
は、182℃で、EVOH組成物のσ1及びσ2を本文
中に記載の方法で測定したところ、σ1=4.5、σ2
=6.0で、σ2/σ1=1.33であった。これらの
値から、Tm−T=182−150=32となり、
(1)式の左辺=1.33、同右辺=32/31.2=
1.03で、(1)式は満足するが、(2)式を逸脱す
るものであった。
【0073】実施例及び比較例の評価結果を表1にまと
めて示す。
【0074】
【0075】
【発明の効果】本発明の延伸成形体は、特定のEVOH
組成物を特定の温度条件下で延伸成形されてなるため、
得られる成形体はガスバリア性の向上効果に優れ、一般
的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、
味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧
品、医薬品、洗剤、香粧品、工業薬品、農薬等各種の容
器として有用であるが、特に、酸化劣化しやすい食品な
ど高度にガスバリア性の要求される包装体の用途に有用
である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 7:00 B29L 7:00 9:00 9:00 Fターム(参考) 4F071 AA29 AA84 AF08Y AF14Y AF21Y AH04 BB07 BC01 4F100 AK07 AK69A AT00B AT00C BA03 BA05 BA06 BA10B BA10C BA13 EH23 EJ37A GB15 JD02 YY00 4F210 AA19 AE01 AG01 AG03 AR06 AR08 QC06 QG01 QG15 QG18 4J002 BE03W BE03X FD010 GG02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
    組成物からなり、かつ下記(1)及び(2)式を満足す
    る条件で延伸して得られたことを特徴とする延伸成形
    体。 σ2/σ1>(Tm−T)/31.2 ・・・(1) Tm−T≧40 ・・・(2) (但し、σ1は歪速度0.1(sec-1)でエチレン−酢酸
    ビニル共重合体ケン化物組成物を引っ張った時の伸度λ
    =exp(L/L0)が2の時の応力(MPa)、σ2は同λ=e
    xp(L/L0)が20の時の応力(MPa)、Tmはエチレン
    −酢酸ビニル共重合体ケン化物組成物中のエチレン−酢
    酸ビニル共重合体ケン化物の融点(℃)、Tは延伸温度
    (℃)をそれぞれ表す)
  2. 【請求項2】 エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
    組成物の層を中間層とする積層体からなることを特徴と
    する請求項1記載の延伸成形体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7771375B2 (en) 2003-09-29 2010-08-10 Ein Co. Ltd. Technical Center Cushion and acoustic system with the cushion
JP2012041076A (ja) * 2010-08-20 2012-03-01 Kuraray Co Ltd ヒートシール用フィルム及び包装袋

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