JP2001155864A - 液晶素子及びこれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

液晶素子及びこれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子

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JP2001155864A
JP2001155864A JP33727399A JP33727399A JP2001155864A JP 2001155864 A JP2001155864 A JP 2001155864A JP 33727399 A JP33727399 A JP 33727399A JP 33727399 A JP33727399 A JP 33727399A JP 2001155864 A JP2001155864 A JP 2001155864A
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Akira Tsuboyama
明 坪山
Shinjiro Okada
伸二郎 岡田
Takashi Moriyama
孝志 森山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャリア移動度の高い液晶材料を用いて、発
光効率の高い有機エレクトロルミネッセンス素子を構成
する。 【解決手段】 ホール輸送層或いは発光層として、高温
領域においてディスコティックカラムナー相或いはスメ
クチック相を呈し、使用温度範囲においては結晶相或い
はプラスチッククリスタル相を呈する液晶を、蒸着等に
より成膜し、必要に応じて液晶相温度まで加熱、冷却し
て配向させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子デバイスに応
用される液晶素子、及び該液晶素子を利用した有機エレ
クトロルミネッセンス素子に関する。
【0002】
【従来の技術】有機エレクトロルミネッセンス素子(以
下、「有機EL素子」と記す)は、高速応答性や高効率
の発光素子として、応用研究が精力的に行われている。
その構成は、例えばMacromol.Symp.12
5,1〜48(1997)に記載されている。基本的な
構成の断面模式図を図1に示した。図中、1は金属電
極、2は発光層、3は透明電極、4は透明基板、5はホ
ール輸送層である。
【0003】図1に示したように、一般に有機EL素子
は透明基板4上に、透明電極3と金属電極1の間に単層
或いは複数層の有機層を狭持した積層体を構成してな
る。図1(a)は有機層が単層の発光層2からなる。透
明電極3としては、仕事関数が大きなITO(インジウ
ム・チン・オキサイド)などが用いられ、透明電極3か
ら発光層2への良好なホール注入特性を持たせている。
金属電極1としては、アルミニウム、マグネシウム或い
はそれらを用いた合金などの仕事関数の小さな金属材料
を用い、有機層への良好な電子注入性を持たせる。これ
ら電極の膜厚は50〜200nm程度である。また、発
光層2には、電荷輸送性と発光特性を有する化合物が用
いられる。
【0004】以上の構成を備えた有機EL素子は、整流
性を示し、金属電極1を陰極に、透明電極3を陽極にな
るように電界を印加すると、金属電極1から電子が発光
層2に注入され、透明電極3からはホールが注入され
る。発光層2に注入されたホールと電子は発光層2内で
再結合し、励起子が生じて発光する。
【0005】さらに、発光効率が改良されたものとし
て、図1(b)に示した構成、即ち、ホール輸送層5を
透明電極3と発光層2の間に配置したものがある。この
積層構成により、発光効率は飛躍的に向上した。
【0006】図1(b)の有機EL素子において、発光
層2には、通常、電子輸送性と発光特性を有するアルミ
キノリノール錯体誘導体〔代表的には、下記に示すAl
q(トリス(8−キノラリト)アルミニウム)が挙げら
れる。〕が用いられる。また、ホール輸送層5には、例
えばトリフェニルジアミン誘導体〔代表的には、下記に
示すTPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3
−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’
−ジアミン)が挙げられる。〕などの電子供与性を有す
る材料が用いられる。
【0007】
【化1】
【0008】上記構成で、発光効率が向上する理由は、
ホール輸送層5が電子のブロッキング層の役割を果た
し、発光層/ホール輸送層界面の再結合効率が高くなる
ことによるものと考えられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】有機EL素子は、10
0nm前後の薄層に、10MV/cm程度の高電圧を印
加するため、電極間ショートを生じ易いという問題があ
る。この問題は電極間に配置する有機層を多層とするこ
とで多少軽減されるが、生産性を鑑みるといずれにせよ
問題がある。10MV/cm程度の電界を印加する理由
は、有機層のキャリア移動度が小さいためであり、この
有機層のキャリア移動度を高くすることが、印加電界低
減の方策である。現在、一般に有機EL素子で用いられ
ているキャリア輸送層の移動度は10-5〜10-3cm2
/Vsである。またアモルファス材料の限界の可能性も
ある。
【0010】また、キャリアの電極からの注入性能も発
光効率を左右する問題である。界面現象のため、注入性
能を定量的に議論することは困難であるが、アモルファ
ス材料を用いた場合のキャリア注入性が発光効率を決め
ているといわれている。
【0011】そこで、新しいキャリア輸送層、発光層と
して、キャリア移動度の高い液晶材料が期待されてい
る。その応用分野としては、有機光センサーや有機EL
素子、有機太陽電池などが挙げられ、これらに応用すべ
く、安定した信頼性の高い高効率キャリア輸送を実現す
ることが必須課題となっている。
【0012】さらに、Wendorff等が液晶層をス
ピンコーティング法により形成し、その上にLB法(ラ
ングミュア・ブロジェット法)により発光層を形成した
発光素子を報告しており(Polymer.Adv.T
echnol.p443(1998))、当該報告中
に、EL発光した旨の記載がある。しかしながら、有機
EL素子は、水分による劣化の問題が致命的であり、水
面上に有機膜を展開するLB法は、有機EL素子の耐久
性能上大きな問題となる。また、LB法では生産性の問
題も大きく、実用的ではない。LB法で形成される膜は
構成分子がかなり密に詰まった状態であり、キャリア再
結合が仮に効率的に行われたとしても、無放射失活する
可能性が高く、高効率発光は期待できない。
【0013】本発明の課題は、安定して高効率キャリア
輸送能を有する液晶層を実現し、該液晶層を発光層やキ
ャリア移動層に用いて、発光効率が高く信頼性の高い有
機EL素子を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶素子は、一
対の対向する電極間に、少なくとも1層の液晶層を狭持
してなり、該液晶が素子の使用温度範囲を超える高温領
域において液晶相を呈することを特徴とする。
【0015】上記本発明は、液晶相がディスコティック
カラムナー相であること、特に、ディスコティックカラ
ムナー相よりも低温領域で結晶相或いはプラスチックク
リスタル相を呈すること、或いは、液晶相がスメクチッ
ク相であること、を好ましい態様として含むものであ
る。また、本発明においては、好ましくは、液晶層に、
該液晶が結晶相より低次の相を示す高温領域において配
向処理を施したものとする。
【0016】さらに、本発明は、上記本発明の液晶素子
を用いて構成したことを特徴とする有機EL素子を提供
するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の液晶素子に用いられる液
晶は、本液晶素子の使用温度範囲を超える高温領域にお
いて液晶相を呈するものであり、具体的には、キャリア
移動度の高い液晶材料として、ディスコティック相や高
い秩序度を有するスメクチック相を呈する液晶、即ちデ
ィスコティック液晶、スメクチック液晶が挙げられる。
【0018】本発明に用いられるディスコティック液晶
材料としては、例えば、下記に示すトリフェニレン系の
液晶群が挙げられる(Advanced Materi
als,1996.8,No.10参照)。下記液晶化
合物1〜4の側鎖−Rは、−OC49や、−OC
511、−OC613のアルコキシ基や、−SC613
チオエーテル基が高キャリア移動度(10-1〜10-3
m/Vs)のホール輸送能を有することが知られてい
る。これらはディスコティックカラムナー相を示し、デ
ィスク状の液晶分子がカラムを形成し、豊富なπ電子骨
格を有するトリフェニレン基が互いに重なり合う形で配
向するため、トリフェニレン基を介して良好なホール輸
送能が得られる。
【0019】
【化2】
【0020】上記ディスコティック液晶の骨格として
は、上記トリフェニレン基の他に、フタロシアニン誘導
体、ナフタロシアニン誘導体、トルクセン誘導体、ヘキ
サベンゾコロネン誘導体、ジベンゾピレン誘導体などが
挙げられる。
【0021】上記液晶化合物1〜4の相転移温度を以下
に示す。
【0022】
【化3】
【0023】Cryst.:結晶相、Iso.:等方相 Dhd:ディスコティック・ヘキサゴナル・ディスオー
ダー相 Plastic Crystal:プラスチッククリス
タル相
【0024】上記液晶化合物は、高温領域においてディ
スコティックカラムナー相の一種であるディスコティッ
ク・ヘキサゴナル・ディスオーダー相を呈し、室温領域
においては結晶或いはプラスチッククリスタル相(柔軟
性結晶相)を呈する。また、上記液晶化合物4は、冷却
過程において53℃で結晶状態に転移するが、その温度
より低温にしても液晶の電気特性を保持する場合があ
る。これは、液晶層厚を薄く(例えば500nm以下)
することで可能になる。結晶相になった場合でも、薄膜
にしたことによって界面の影響が強くなり、液晶の構造
がそのまま保持されるためと考えられる。
【0025】また、本発明に用いられるスメクチック液
晶材料としては、例えば、下記に示す液晶化合物5〜7
が挙げられる(応用物理、第68巻、第1号、p26
(1999)参照)。
【0026】
【化4】
【0027】上記液晶化合物5〜7の相転移温度を以下
に示す。
【0028】
【化5】
【0029】SmA:スメクチックA、SmE:スメク
チックE
【0030】フェニルベンゾチアゾール誘導体である上
記液晶化合物5(スメクチックA相を呈する)はホール
輸送能を有し、フェニルナフタレン誘導体である上記液
晶化合物6(スメクチックA相及びスメクチックE相を
呈し、スメクチックE相がより高移動度を示す)はホー
ル・電子の両極性輸送材料である。上記液晶化合物5〜
7はいずれも高温領域でスメクチック相を呈し、その下
の温度領域では結晶相である。
【0031】ここに挙げた骨格以外の液晶化合物でも、
棒状骨格を有し、液晶素子の使用温度範囲を超える高温
領域でスメクチック相を呈するものであれば本発明に用
いることができる。
【0032】これら液晶材料は、高移動度を示すだけで
なく、高接合効率が期待できる。即ち、一般に、π電子
骨格は金属や透明電極との界面に平行に配向するため、
上記液晶材料を用いて配向させると、π電子が豊富な骨
格が電極に平行に自己配向するため、注入効率が向上す
る。電極上に平行に配向するのは、液晶特有の自己組織
性に由来するものである。
【0033】本発明の液晶素子は、上記液晶材料を蒸着
等により成膜することによって液晶層を電極間に狭持し
てなり、必要に応じて、該液晶層が液晶相を呈する温度
まで加熱、冷却し、配向させる処理を施し、高いキャリ
ア移動度を示す液晶素子が得られる。
【0034】本発明の液晶素子は、図1に示した構成の
有機EL素子に好ましく適用され、液晶層は当該有機E
L素子においてキャリア輸送能に優れた発光層或いはホ
ール輸送層として用いられる。また、図3に示したよう
に、一対の基板4、6間に狭持することもできる。図3
中、6は基板であり、図1と同じ部材には同じ符号を付
した。図3の構成では、液晶を高温にして、流動性の高
い相(液体相、ネマチック相、ディスコティック相、デ
ィスコティック相など)で注入することが可能である。
【0035】いずれの構成においても、上記液晶素子と
同様に、必要に応じて、液晶層が液晶相を呈する温度ま
で素子を加熱して冷却し、液晶を配向させる処理を施
す。
【0036】本発明の液晶素子、或いは有機EL素子に
おいては、該素子の使用温度範囲を超える高温領域で液
晶相を示す液晶層を用いており、該液晶層は使用温度範
囲においては、結晶相やプラスチッククリスタル相を呈
している。
【0037】本発明の液晶素子や有機EL素子に、高温
の液晶相において電界を印加すると電極間ショートが発
生しやすい。これは、液晶相の流動性に起因すると考え
られる。電極間に挟まれた有機物はコンデンサに相当
し、電極間に高電界が印加されると電極間には引き合う
力が働くため、液晶状態では液晶の流動性により機械的
強度が小さいため、このような電極間引力によって電極
間でショートが発生しやすくなる。本発明では、素子の
使用温度範囲では液晶層が液晶相を呈していないため、
液晶の流動性が小さく、電極間ショートが抑制されると
考えられる。
【0038】本発明において、例えば、前記液晶化合物
1をホール輸送層に用いて図1(b)に示した構成の有
機EL素子を構成した場合、後述する実施例2に示され
るように、50℃と70℃でそれぞれ電圧−電流(V
I)特性を測定すると、50℃の方が70℃よりも5倍
程度電流値が大きい。その理由は、液晶化合物1は降温
時に68℃でDhd相からより秩序度の高い相(プラス
チッククリスタル相)へ相転移を行なう。この時にDh
d相での配向秩序を保たせることにより、液晶層中の欠
陥が少なく、移動度の高い高次相の配向を実現できたた
めと考えられる。
【0039】また、同様に、液晶化合物4を用いて有機
EL素子を構成した場合、後述する実施例1で示される
ように、45℃と70℃でVI特性を測定するとほぼ同
様の値が得られる。これは、液晶化合物4が53℃で液
晶相から結晶相へ相転移するものの、液晶層が薄膜であ
ることで、液晶相の配向構造がほぼ保持され、液晶相の
電気特性が保持されるためと考えられる。
【0040】即ち、液晶相を高温側に持つことで、その
低温側の相が液晶相でない場合でも液晶相に準じた構造
を有することで、高いキャリア移動度を有するものと考
えられる。また、上記したように、使用温度範囲では液
晶相でないことで機械的強度が向上し、電極間ショート
が防止される。
【0041】
【実施例】(実施例1)厚さ1.1mmのガラス基板上
に、透明電極として厚さ50nmのITO膜をスパッタ
リング法により形成し、紫外線照射による表面洗浄を行
った。
【0042】上記ITO電極上に、ホール輸送層とし
て、前記液晶化合物4を真空蒸着法により形成した。真
空蒸着機内の圧力は約1.3×10-3Paであり、液晶
化合物4を加熱することにより、0.1nm/sの蒸着
速度で厚さ50nmに成膜した。
【0043】さらに、上記ホール輸送層と同様の条件
で、発光層としてアルミキノリノール錯体(Alq)を
50nmの厚さに成膜し、安定なアモルファス状態の蒸
着膜を得た。
【0044】次いで、金属電極としてAlLi合金(L
i含有量:1.8重量%)を厚さ10nmに、さらにA
lを厚さ150nmに成膜した。電極材料を2層にする
理由は、仕事関数の低いAlLi合金は高電子注入が実
現できるが、一方で外気などに接すると反応性が高く、
安定性が悪いため、Al電極を積層して保護するためで
ある。
【0045】得られた有機EL素子のVI特性の温度依
存性を測定した。液晶化合物4はDhd相(ディスコテ
ィック・ヘキサゴナル・ディスオーダー相)を示す。V
I特性の比較実験を行うと、液晶層が液晶相の70℃と
結晶相の45℃でほぼ同様のVI特性曲線が得られた。
しかしながら、70℃では電極間ショートが頻発し、発
光光量も時間に応じて劣化した。一方で、45℃に保持
した場合には、安定した発光とVI特性が得られた。
【0046】(実施例2)液晶化合物4に代えて液晶化
合物1を用いてホール輸送層を形成する以外は実施例1
と同様にして有機EL素子を作製した。
【0047】得られた有機EL素子について、液晶相温
度である70℃とプラスチッククリスタル相温度である
50℃でVI特性と発光特性を調べた。その結果、50
℃の方が5倍程度電流値が大きく、発光強度も約5倍高
かった(図3参照)。また、70℃で電圧を印加した場
合、電極間ショートが多発したが、50℃では安定した
発光とVI特性が得られた。
【0048】(実施例3)本実施例では、図1(b)の
素子の発光層と金属電極の間に電子輸送層を配置した構
成の有機EL素子を作製した。電子輸送層には液晶化合
物6を用いた。
【0049】実施例1と同様にガラス基板上に形成した
透明電極上に、前記TPDを厚さ50nmに形成し、さ
らに発光層であるAlqを厚さ50nmに真空蒸着法に
より形成した。その後、液晶化合物6を厚さ50nmに
形成し、実施例1と同様にAlLi/Al電極を形成し
た。真空蒸着条件は実施例1と同様である。
【0050】液晶化合物6は液晶相を示す温度が55℃
〜129℃であり、60℃にすると高電流値が確認され
た。しかしながら、当該温度で駆動すると電極間ショー
トが発生した。40℃においてはショートが発生せず、
安定したVI特性が得られた。
【0051】(実施例4)本実施例では、図2に示した
構成の有機EL素子を作製した。
【0052】実施例1と同様にガラス基板上に透明電極
を形成した。また、もう1枚のガラス基板上に実施例1
と同様の条件でAlLi/Al電極と次いでAlq膜を
形成した。これら2枚の基板を粒径が1.0μmのシリ
カスペーサーを挟み込んでUV硬化型接着剤で貼り合わ
せた。シリカスペーサーは、透明電極側にイソプロピル
アルコールに分散させて、200個/mm2の密度で散
布した。貼り合わせた基板間に前記液晶化合物4を真空
減圧下にて等方相になる100℃まで昇温して注入し
た。
【0053】得られた有機EL素子のVI特性を測定し
たところ、70℃と45℃で同程度のVI特性と発光特
性が得られた。しかしながら、70℃では電極間ショー
トが比較的多く発生し、また、70℃の方が経時的な発
光劣化が比較的大きかった。液晶層が結晶相を呈する4
5℃ではショートが発生せず、安定した発光が得られ
た。
【0054】(実施例5)厚さ1.1mmのガラス基板
上に、透明電極として厚さ50nmのITO膜をスパッ
タリング法により形成し、低圧水銀灯紫外線照射による
表面洗浄を行った。
【0055】上記ITO電極上に、ホール輸送層とし
て、前記液晶化合物3を真空蒸着法により形成した。真
空蒸着機内の圧力は約1.3×10-3Paであり、液晶
化合物3を加熱することにより、0.1nm/sの蒸着
速度で厚さ20nmに成膜した。その上に、下記式で示
されるαNPD(ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フ
ェニル〕ベンジジン)を厚さ50nmに真空蒸着法によ
り成膜した。
【0056】
【化6】
【0057】さらに、上記ホール輸送層と同様の条件
で、発光層としてAlqを50nmの厚さに成膜し、安
定なアモルファス状態の蒸着膜を得た。次いで、実施例
1と同様にしてAlLi/Al金属電極を形成した。
【0058】得られた有機EL素子のVI特性の温度依
存性を調べた。その結果、液晶層を液晶相とする前の初
期状態(30℃)においても発光が確認された。この場
合、液晶化合物3は真空蒸着法によりアモルファス状態
で膜形成されており、アモルファス状態の電気特性に対
応したVI特性が得られていると考えられ、この状態で
も液晶層はホール輸送能があることが示された。
【0059】液晶化合物3は65.5℃以上でDhd相
を示し、液晶相を示す温度範囲が昇温過程で65.5℃
〜120.8℃である。本実施例の有機EL素子を70
℃に3分間昇温放置した後30℃に冷却し、再度VI特
性を測定すると電流値が飛躍的に向上し、緑色のEL発
光が確認された。これは、素子を液晶相温度に加熱する
ことで、液晶層の分子配列構造がDhd相で電極面に平
行に配向し、この配向構造が低温でも維持されている部
分があるために、電極からのホール注入も含めて液晶層
のホール輸送能が向上したためと考えられる。初期の電
流値と高温配向後の電流値を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】電流値と発光強度はおよそ比例関係にあ
り、電流が向上したことはEL発光特性が向上したこと
を示している。このように、有機EL素子の液晶層を液
晶相を経由して結晶相に持って行くことで、結晶相での
電流特性を大幅に改善できることがわかった。
【0062】(実施例6)実施例3と同様に、電子輸送
層を有する有機EL素子を作製した。電子輸送層には液
晶化合物7を用いた。
【0063】実施例1と同様にガラス基板上に形成した
透明電極上に、ホール輸送層としてαNPDを厚さ50
nmで真空蒸着法により形成した。真空蒸着機内の圧力
は約1.3×10-3Paであり、αNPDを加熱するこ
とにより0.1nm/sの蒸着速度で膜形成した。
【0064】さらに、発光層として、上記ホール輸送層
と同じ条件でAlqのアモルファス蒸着膜を50nmの
膜厚で形成した。さらにその上に、電子輸送層として、
液晶化合物7を上記ホール輸送層と同じ条件で真空蒸着
法により膜厚20nmに形成した。その後、実施例1と
同様にAlLi/Al電極を形成した。
【0065】得られた有機EL素子の発光特性を調べた
ところ、本素子を液晶層が液晶相となる温度にする前の
初期状態(30℃)において、Alqからの緑色のEL
発光が確認できた(8V/100nmで2800cd/
2)。本素子では、液晶化合物7が真空蒸着法により
アモルファス状態で膜形成されているが、蒸着時の温度
が高いことから、30℃では過冷却液晶状態を示してい
ると考えられる。
【0066】液晶化合物7は81.6℃でスメクチック
相を示し、昇温過程では81.6℃〜131.7℃で液
晶相を示す。本素子を70℃に二週間放置したところ、
液晶の配向が過冷却液晶状態から、結晶状態に転移し、
輝度が約2倍に向上した。これは、液晶相温度において
液晶分子が配向し、この配向構造が結晶相でも維持され
ているために、結晶相での欠陥の形成が抑えられ、電極
からの電子注入が液晶相の注入改善特性を維持し、移動
度が結晶性の影響を受けて増加したためと考えられる。
表2に放置前後の輝度データを示す。
【0067】
【表2】
【0068】上記のように、有機EL素子を液晶相を経
由して結晶相に持って行くことにより、結晶相での電流
特性を大幅に改善できることがわかった。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、液晶の高いキャリア移動度を利用した高効率の液晶
素子が提供され、該液晶素子を用いて、高い発光効率を
安定して得られる有機EL素子が構成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機EL素子の基本構成を示す断面模式図であ
る。
【図2】有機EL素子の他の構成を示す断面模式図であ
る。
【図3】本発明の実施例2のVI特性の温度依存性を示
す図である。
【符号の説明】
1 金属電極 2 発光層 3 透明電極 4 透明基板 5 ホール輸送層 6 基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森山 孝志 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB03 AB05 CA01 CB01 CB03 DA00 DB03 EB00 FA01 FA03 5C094 AA21 AA31 AA60 BA27 BA43 EA05 EB02 FB01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の対向する電極間に、少なくとも1
    層の液晶層を狭持してなり、該液晶が素子の使用温度範
    囲を超える高温領域において液晶相を呈することを特徴
    とする液晶素子。
  2. 【請求項2】 液晶相がディスコティックカラムナー相
    である請求項1記載の液晶素子。
  3. 【請求項3】 液晶がディスコティックカラムナー相よ
    りも低温領域で結晶相を呈する請求項2記載の液晶素
    子。
  4. 【請求項4】 液晶がディスコティックカラムナー相よ
    りも低温領域でプラスチッククリスタル相を呈する請求
    項2記載の液晶素子。
  5. 【請求項5】 液晶相がスメクチック相である請求項1
    記載の液晶素子。
  6. 【請求項6】 液晶層に、該液晶が結晶相より低次の相
    を示す高温領域において配向処理を施した請求項1〜5
    のいずれかに記載の液晶素子。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の液晶素
    子を用いて構成したことを特徴とする有機エレクトロル
    ミネッセンス素子。
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