JP2001153016A - 内燃機関の点火制御装置 - Google Patents
内燃機関の点火制御装置Info
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Abstract
し、ひいては点火装置の小型化を実現する。 【解決手段】エンジン10には気筒毎に点火プラグ25
が配設されており、燃焼室18内に流入した混合気は、
点火プラグ25による点火火花にて着火され、燃焼に供
される。イグナイタ41に内蔵されたパワートランジス
タ42は、マイコン31から出力される点火信号IGt
によりオン/オフされ、これにより、点火コイル43の
通電−遮断が行われる。1燃焼サイクル中にパワートラ
ンジスタ42のオン/オフを繰り返すことで多重放電が
実施される。マイコン31は、多重放電に際し、エンジ
ン燃焼室18内の圧力(筒内圧)の推移に追従させつ
つ、放電のタイミングが圧縮TDCに近いほど、放電時
間を短くする。
Description
御装置に係り、特に1燃焼サイクル中に複数回の放電を
繰り返す多重放電を実施する点火制御装置の改良に関す
る。
電を複数回繰り返す、いわゆる多重放電を行うようにし
た点火制御装置が知られている。例えば、内燃機関の始
動直後に、触媒コンバータの早期活性化を図るべく点火
時期を遅延させる内燃機関の制御装置があり、こうして
点火時期を遅延させると燃焼が不安定になり、内燃機関
の回転変動が大きくなる。そこで、内燃機関の始動時に
点火時期を遅角する際、放電を多重化し、内燃機関の燃
焼を安定化することが考えられている。
内のマイクロコンピュータ等で生成される点火信号IG
tにより点火コイルの一次側を一定周期で繰り返しオン
/オフさせ、点火コイルの二次側で発生する高電圧によ
り点火プラグを多重放電させる。
機関では、燃焼室内で噴射された燃料が成層混合気とな
り、その成層混合気が点火プラグ周辺に流れ込むタイミ
ングに合わせて点火プラグが点火される。この場合、成
層混合気が点火プラグ近傍に到達するタイミングと、点
火タイミングとが一致しないと、成層混合気が着火され
ず、失火の原因となる。そこで、筒内噴射式内燃機関に
おいて多重放電を実施し、成層混合気の着火性を向上さ
せることが検討されている。
のタイムチャートを用いてより詳細に説明する。図14
では一例として、ガソリン噴射式内燃機関についてその
冷間始動時に点火時期が圧縮上死点後(ATDC)10
°CAに遅角され、その際、放電回数を5回とする多重
放電が実施される事例を示す。各々の放電間隔と放電時
間は固定であり、放電間隔を1ms、1回分の放電時間
を0.4msとする。但し、最後(5回目)の放電時間
は規定されず、成り行きでよい。機関回転数は1200
rpmであるとする。
時に点火コイルの一次電流i1が遮断され、このとき、
二次電流i2、二次側電圧V2が図示の如く発生する。
また、多重放電が2回目、3回目、4回目と進むことに
より、一次電流i1、二次電流i2、二次側電圧V2が
図示の如く推移する。
との積がエネルギ密度に相当し、それは放電回数が増え
るにつれて減少する。つまり、エネルギ密度と放電時間
との積が放電エネルギ量であるから、放電が繰り返され
ていくほど、1回分の放電エネルギ量が低下することと
なる。また、上記の如く放電エネルギが次第に低下する
のに相反して、多重放電中の1回分の放電で所望の火炎
核を生成するのに要する必要エネルギ量(図中斜線部分
で示すエネルギ)は次第に上昇する。発明者らの実験に
よれば、図14の条件で且つ混合気の空燃比(A/F)
を17とした時、着火に必要な放電エネルギは、放電1
回目では3.5mJとなり、それが放電回数が増えるに
つれて次第に上昇し、放電5回目では9.3mJとなる
ことが確認されている。因みに、放電1回目の必要なエ
ネルギ密度は22mJ/ms、放電5回目の必要なエネ
ルギ密度は25mJ/msである。
により発生するエネルギ量が必要エネルギ量よりも少な
くなってしまい、多重放電の機能を果たさなくなるおそ
れがあった。
核の生成・成長に要する十分なエネルギを各放電時に投
入するには、1回分の放電エネルギを十分大きくしなけ
ればならず、複数回の放電を繰り返すことを考慮すると
大エネルギタイプの点火コイルが必要となる。それ故、
点火コイルの大型化が強いられ、それが原因で点火装置
の大型化やコストアップを招く。或いは、点火装置の大
型化を回避するには、放電回数が制限されてしまうとい
う問題を招く。
のであって、その目的とするところは、多重放電の際に
放電エネルギを効率良く投入し、ひいては点火装置の小
型化を実現することができる内燃機関の点火制御装置を
提供することである。
力(筒内圧)は、ピストンの往復位置により変化し、圧
縮上死点では当該圧力が最大となる。また、着火に必要
な放電エネルギ量は、概ね燃焼室内の圧力(筒内圧)に
よって変動する。すなわち、燃焼室内の圧力が高いほ
ど、混合気の持つエネルギが高くなり、着火するのに必
要な投入エネルギが少なくて済む。本発明は、多重放電
のそれぞれの放電が開始される時期で燃焼室内の圧力が
異なることに着目し、その圧力に応じて着火に必要な時
間だけ放電させ、エネルギを効率良く投入することを狙
う。
放電に際し、内燃機関の燃焼室内の圧力の推移に従い各
放電の時間を変更する。実際には、燃焼室内の圧力(筒
内圧)が高いほど、放電時間を短くする。或いは、請求
項2に記載したように、多重放電に際し、放電のタイミ
ングが圧縮上死点に近いほど、放電時間を短くする。換
言すれば、圧縮上死点から離れるほど(進角又は遅角す
るほど)、放電時間を長くする。
の各放電におけるエネルギ投入量が必要最小限で抑えら
れ、点火装置にて蓄積されるエネルギの消費量が適正に
管理される。その結果、多重放電の際に放電エネルギを
効率良く投入し、ひいては点火装置の小型化を実現する
ことができる。また、本発明によれば、多重放電の放電
回数が制限されるといった不都合も解消される。
イルの一次側の通電オン/オフを複数回繰り返して多重
放電を実施する構成においては、点火コイルの小型化が
実現できる。この場合、一次コイルの通電時間の設定に
より放電時間が制御されることとなる。
要最小限の時間であり、内燃機関の燃焼の安定性を確保
する観点で言えば、点火コイル等の蓄積エネルギに余裕
があれば幾分長めの時間としても良い。また、多重放電
の最後の放電時には、点火装置(点火コイル)に残って
いるエネルギを全て使っても良いため、放電時間を厳密
に管理する必要はない。つまり、多重放電の最後の放電
時間に関しては、少なくとも上記の如く筒内圧に応じて
設定される時間よりも長ければよい。
或いは圧縮上死点からの進角量又は遅角量に対応させて
放電時間を変更することを要旨としたが、それ以外に請
求項3に記載したように、単に、多重放電時に各放電の
時間を変更することも本発明に含まれる。具体的には、
請求項4に記載したように、放電時間を最短とする所定
のガード値により放電時間の設定域を制限すると良い。
この場合、放電時間の下限値を制限することで、燃焼に
必要なエネルギが確実に得られ、燃焼の安定化を図るこ
とができる。
する要因としては、上述した燃焼室内の圧力(筒内圧)
の他に、内燃機関に供給される混合気の空燃比がある。
例えば、混合気の空燃比がリーンであるほど、着火に必
要な放電エネルギ量が増える傾向にある。そこで、請求
項5に記載したように、内燃機関に供給される混合気が
リーンであるほど、放電時間を長くするとよい。
は、多重放電の実施条件を適宜変更するのが望ましく、
請求項6に記載したように、機関運転状態に応じて1燃
焼サイクル中の放電回数を決定したり、請求項7に記載
したように、機関運転状態に応じて各放電の間隔を決定
したりすると良い。実際には、機関回転数、機関負荷、
空燃比、点火時期、始動後の経過時間、等々の条件によ
り放電回数や放電間隔を可変に設定することで、多重放
電の効果を高めることが考えられる。
動時の点火遅角に合わせて多重放電を実施する。この場
合、点火遅角が原因で不安定になりがちな内燃機関の燃
焼状態を安定化させつつ、点火装置の放電エネルギを適
正に管理することができる。
燃機関の運転領域に応じて多重放電を実施する。この場
合、多重放電の実施により着火性を改善しつつ、点火装
置の放電エネルギを適正に管理することができる。実際
には、機関回転数や負荷に応じて多重放電の実施領域を
設定しておき、該設定した関係に基づいて多重放電の要
否を判断すると良い。
発明を具体化した第1の実施の形態を図面に従って説明
する。本実施の形態の装置は、車載内燃機関に適用され
る点火制御装置として実現される。内燃機関は、例えば
火花点火式の4サイクル4気筒エンジンであり、電子制
御装置(ECU)によりその点火時期が制御される。特
にその点火制御に際し、1燃焼サイクル中に複数回の放
電を行う多重放電を実施することとし、その多重放電を
好適に実施することのできる技術を以下に開示する。
御装置の概要を示す構成図である。図1において、エン
ジン10の吸気ポートと排気ポートにはそれぞれ吸気管
11と排気管12とが接続されている。吸気管11に
は、図示しないアクセルペダルに連動するスロットル弁
13が設けられると共に、吸気管内圧力を検出するため
の吸気圧センサ14が配設されている。スロットル弁1
3の開度はスロットルセンサ15により検出され、同セ
ンサ15によればスロットル全閉の状態(アイドル状
態)も併せて検出される。
6内にはピストン17が配設されており、同ピストン1
7は図示しないクランク軸の回転に伴い図の上下方向に
往復動する。ピストン17の上方には燃焼室18が形成
され、燃焼室18は吸気弁19及び排気弁20を介して
前記吸気管11及び排気管12に連通している。シリン
ダ16(ウォータジャケット)には、エンジン冷却水の
温度を検出するための水温センサ21が配設されてい
る。
バータ22が配設されている。触媒コンバータ22の上
流側には、限界電流式のA/Fセンサ23が設けられて
おり、このA/Fセンサ23は、排ガス中の酸素濃度
(或いは、未燃ガス中の一酸化炭素の濃度)に比例して
広域で且つリニアな空燃比信号を出力する。なお、この
A/Fセンサ23に代えて、理論空燃比(ストイキ)を
境にしてリッチ側とリーン側とで異なる電圧信号を出力
するO2 センサを設けてもよい。
ニホールドの各分岐管毎に1つずつ設けられ、図示しな
い燃料供給系から供給される燃料を、通電に伴いエンジ
ン吸気ポートに噴射供給する。また、エンジン10に
は、気筒毎に点火プラグ25が配設されている。この場
合、吸気管上流から供給される新気とインジェクタ24
による噴射燃料とがエンジン吸気ポートにて混合され、
その混合気が吸気弁19の開弁動作に伴い燃焼室18内
に流入する。燃焼室18内に流入した混合気は、点火プ
ラグ25による点火火花にて着火され、燃焼に供され
る。
下、マイコンという)31を主体に構成され、上述した
吸気圧センサ14、スロットルセンサ15、水温センサ
21、A/Fセンサ23の検出信号を取り込む他、所定
クランク角毎にパルス信号を出力する回転数センサ26
の検出信号を取り込む。マイコン31は、こうして取り
込んだエンジン運転状態を示す各種パラメータに基づい
て最適なる燃料噴射量を演算し、それを噴射信号TAU
としてインジェクタ24に出力する。また、マイコン3
1は、同じく各種パラメータに基づいて最適なる点火時
期を演算し、それを点火信号IGtとしてイグナイタ4
1に出力する。
る。マイコン31から出力される点火信号IGtは、イ
グナイタ41に内蔵されたパワートランジスタ42のベ
ース端子に入力される。パワートランジスタ42のコレ
クタ端子には、点火コイル43の一次コイル44の一端
が接続され、一次コイル44の他端がバッテリに接続さ
れている。また、点火コイル43の二次コイル45には
点火プラグ25が接続されている。
ち上がり/立ち下がりでパワートランジスタ42がオン
/オフする。パワートランジスタ42がオンすると、バ
ッテリ電圧+Bの印加に伴い、一次コイル44に一次電
流i1が流れる。その後、パワートランジスタ42をオ
フすると、一次コイル44の一次電流i1が遮断され
て、二次コイル45に高電圧(二次電流i2)が誘導さ
れ、この高電圧により点火プラグ25の電極間に点火火
花が発生する。
に複数回の放電を繰り返して多重放電を実施することと
しており、この多重放電は、パワートランジスタ42の
オン/オフにより一次コイル44の通電−遮断を繰り返
すことで実現される。すなわち、一次コイル44の通電
時間と遮断時間とを制御することで多重放電が実施され
る。ここで、図3(a),(b)は、通常時の点火信号
IGtと、多重放電の際の点火信号IGtとを比較のた
めに示す信号波形図であり、(a)の場合、1燃焼サイ
クル中に1個のパルス信号が出力されるのに対し、
(b)の場合、1燃焼サイクル中に複数個のパルス信号
が出力される。
制御について説明する。図2は、点火制御の概要を示す
フローチャートである。かかる図2の処理は、所定周期
(例えば10ms毎)にマイコン31により実行され、
この処理が本発明の「点火制御手段」と「点火時期遅角
手段」に該当する。本実施の形態では、エンジン10の
冷間始動時において点火時期を遅角側に制御することで
触媒コンバータ22の早期活性(触媒暖機)を図り、更
には1燃焼サイクル中に複数回の点火動作を行わせる多
重放電を行うことで点火時期の遅角制御時に発生しがち
なトルク変動を抑制する。
エンジン回転数Ne、吸気管圧力PM、エンジン水温T
wなどを読み出し、続くステップ102では、今現在エ
ンジン始動が完了しているか否かを判別する。例えばそ
の時のエンジン回転数Neが400rpm以上であれ
ば、始動完了の旨を判定する(ステップ102をYES
とする)。
3に進み、予め設定された固定点火時期(例えばBTD
C5°CA)を所定のアドレスに格納し、このルーチン
を一旦終了する。
プ104に進み、基本点火時期θBSEを算出する。こ
の場合、スロットルセンサ15の出力に基づきアイドル
運転時かどうかを判断し、アイドル時であれば、その時
のエンジン回転数Neに応じて基本点火時期θBSEを
算出する。また、非アイドル時であれば、予め設定され
ているマップを用い、その時のエンジン回転数Neと吸
気管圧力PMとに応じて基本点火時期θBSEを算出す
る。このとき、概ね高回転域ほど進角側に基本点火時期
θBSEが設定される。なお、エンジン始動当初には通
常、基本点火時期θBSEは例えばBTDC10°CA
付近に設定される。
実施条件が成立するか否かを判別する。具体的には、 ・エンジン回転数Neが400〜2000rpmである
こと、 ・エンジン水温Twが0〜60℃であること、 ・車両におけるオートマチック式トランスミッションの
変速位置がP又はNレンジにあること(マニュアル式の
場合はニュートラル位置にあること)、 ・エンジン10の始動完了後15秒以内であること、 ・各種フェイルが発生していないこと、 といった各種条件が全て成立すれば、触媒暖機の処理実
行を許可する。但し、何れかが一つでも不成立であれ
ば、触媒暖機の処理実行を禁止する。
ステップ106〜109にて触媒暖機に係る点火時期制
御を実行し、不成立であれば、そのまま本ルーチンを終
了する。
される特性図を用い、その時々のエンジン水温Twに応
じて触媒暖機のための遅角補正値θREを算出する。図
4の特性図によれば、エンジン水温Twに応じて0〜2
0°CAの範囲で遅角補正値θREが設定されるように
なっている。より具体的には、Tw=0〜20℃では高
Twほど遅角補正値θREが大きくなり、Tw=20〜
40℃では遅角補正値θREが一定値となり、Tw=4
0〜60℃では高Twほど遅角補正値θREが小さくな
る。
た基本点火時期θBSEから遅角補正値θREを減算し
(θig=θBSE−θRE)、その値を新たな点火時
期として所定のアドレスに格納し、本ルーチンを終了す
る。
電での放電間隔と放電回数とを各種パラメータに応じて
設定する。すなわち、多重放電では各点火の着火と各火
炎の分散とを得ることが必須要件となり、これを前提
に、その時々の燃焼条件に合わせて放電間隔又は放電回
数を設定する。ここで、多重放電の放電間隔は0.5m
s〜1.5ms間の値で、放電回数は2〜10回の値
で、各々可変に設定されるとよい。より詳細には、図5
の(a),(b)の少なくとも一方の関係を用い、横軸
に示すエンジン回転数Ne(又はエンジン負荷)、点火
時期(遅角補正値θRE)といった各パラメータに応じ
て放電間隔を設定する。但し図5の(a),(b)で設
定される放電間隔が各々異なる場合、大きい方の値を選
択する。また、図6の(a),(b),(c)の少なく
とも一つの関係を用い、横軸に示すエンジン回転数Ne
(又はエンジン負荷)、点火時期(遅角補正値θR
E)、放電間隔といった各パラメータに応じて放電回数
を設定する。但し図6の(a)〜(c)で設定される放
電回数が各々異なる場合、多い方の値を選択する。エン
ジン負荷としては吸気管圧力PM或いは吸入空気量を用
いればよい。
おける各々の放電時間を設定し、その後本処理を終了す
る。多重放電時における放電時間設定の詳細を以下に説
明する。
力)との関係は図7の通りであり、筒内圧は圧縮TDC
位置で最大値に達する。なお筒内圧が下降に転じた後、
混合気が着火されて燃焼に供されることで、その燃焼圧
により筒内圧が一旦上昇する。こうして筒内圧が変化す
る場合、圧縮TDCに近づくほど、すなわち筒内圧が高
くなるほど、混合気の持つエネルギレベルが高くなり、
着火に必要な放電エネルギ量が変化する。すなわち、図
8に示されるように、筒内圧が最高となる圧縮TDCに
近づくほど、着火に必要な放電エネルギ量を少なくする
ことができる。
ど、着火に必要な放電エネルギ量が増える傾向にある。
図8中、A/F=17、A/F=16、A/F=15を
比較すると、空燃比がリーンであるほど必要となる放電
エネルギ量が増えることが分かる。
ルギ量が変化することに着目して、多重放電時における
各々の放電時間を適宜変更しつつ設定する。本実施の形
態では、クランク角位置と必要な放電エネルギ量との関
係を予め計測しておき、その関係に従い放電回数と放電
時間との関係をパターン化しておく。
°CA、Ne=1200rpm、放電間隔=1ms、放
電回数=5回の条件下では、放電1回目の時の筒内圧は
1.0MPa、その後1ms毎に放電を繰り返すこと
で、放電5回目の筒内圧は0.4MPaにまで低下す
る。この場合、最適な放電時間を図9の如く設定する。
具体的な数値を示せば、 ・A/F=17の時、1回目〜5回目の放電時間を
「0.16〜0.37ms」の範囲内で設定し、 ・A/F=16の時、1回目〜5回目の放電時間を
「0.12〜0.32ms」の範囲内で設定し、 ・A/F=15の時、1回目〜5回目の放電時間を
「0.07〜0.2ms」の範囲内で設定する。
確保するのに要する必要最小限の放電時間を規定するも
のであり、エンジン10の燃焼安定性を確保する観点で
言えば、点火コイル43等の蓄積エネルギに余裕があれ
ば幾分長めの時間とするのが望ましい。
時期、放電間隔、放電回数、空燃比等の各種要因に基づ
き、各々の放電時間を決定する。このとき、圧縮TDC
後に多重放電を実施する場合は、放電を繰り返すのに従
い概ね放電時間を徐々に長くする。
した点火時期、放電間隔、放電回数、放電時間に基づい
て点火信号IGtを生成し、この点火信号IGtをイグ
ナイタ41に対して出力する。
のタイムチャートであり、同図には点火時期をATDC
10°CAとした時の事例を示す。さて、点火信号IG
tに従い放電は1回目から5回目まで繰り返し実行さ
れ、各放電において点火コイル43の蓄積エネルギが放
出される。この場合、各放電の時間は図のT1,T2,
T3,T4,T5の如く、徐々に長くなるよう設定され
る。但し、多重放電の最後(5回目)の放電時には、点
火コイル43に残っているエネルギを全て使って良いた
め、その放電時間T5を厳密に管理する必要はない。つ
まり、多重放電の最後の放電時間T5に関しては、少な
くとも上記の如く筒内圧に応じて設定される時間よりも
長ければよく成り行きである。
ルギ量は、着火に必要なエネルギ量(図の斜線部分)を
常に上回り、最後の放電時にも十分なエネルギが確保さ
れていることとなる。このとき、過剰にエネルギが投入
されることはなく、無駄なエネルギの投入が抑制され
る。
に示す効果が得られる。 (イ)多重放電に際し、筒内圧の推移に追従させつつ放
電のタイミングが圧縮TDCに近いほど放電時間を短く
したので、多重放電時の各放電におけるエネルギ投入量
が必要最小限で抑えられ、点火コイル43にて蓄積され
るエネルギの消費量が適正に管理される。その結果、多
重放電の際に放電エネルギを効率良く投入し、ひいては
点火コイル43の小型化を実現することができる。ま
た、多重放電の放電回数が制限されるといった不都合も
解消される。
比をパラメータとして放電時間を決定し、混合気がリー
ンであるほど放電時間を長くするので、より一層精度の
高い点火制御が実現できる。
や放電間隔を決定することとしたので、その時々の運転
状態に見合った最適な多重放電を実施することが可能と
なる。
点火遅角制御に合わせて多重放電を実施する本実施の形
態の装置によれば、触媒コンバータ22の早期活性化が
実現される他、点火遅角が原因で不安定になりがちなエ
ンジン燃焼状態を安定化させつつ、点火コイル43の放
電エネルギが適正に管理されることとなる。
態では、ポート噴射式エンジンの冷間始動時に、触媒コ
ンバータの早期活性化を目的として点火遅角を行い、更
にその時のトルク変動を抑えるべく多重放電を実施した
が、本実施の形態では、筒内噴射式エンジンにて具体化
し、当該エンジンの成層燃焼時において成層混合気を確
実に着火して失火防止を図るべく多重放電を実施する。
うこととし、また、筒内噴射式エンジンの構成は周知で
ある。そのため、本実施の形態の装置について図示及び
詳細な説明は省略するが、前記図1の構成との相違点と
して、エンジン10では、高圧スワール型のインジェク
タがエンジン吸気ポートの下側に取り付けられており、
このインジェクタから高圧燃料が燃焼室内のピストン上
面に向けて噴射される。ピストン上面には凹部が形成さ
れ、インジェクタからの燃料噴射流が凹部の内周面に沿
って点火プラグ25の発火部(先端部)に向けて案内さ
れる。
ルーチンを示すフローチャートであり、この処理が「点
火制御手段」に該当する。本処理は、点火時期に達した
時にマイコン31により起動される。
ジン運転状態として、エンジン回転数Neとエンジン負
荷(吸気管圧力PM)とを読み込み、次のステップ20
2では、現在のエンジン運転状態が多重放電領域にある
か否かを判別する。つまり、図12に概念的に示す、エ
ンジン回転数Neとエンジン負荷とをパラメータとする
放電領域マップを参照し、現在のエンジン回転数Neと
エンジン負荷が共に所定値以下の領域であるか否かによ
り多重放電領域か否かを判定する。図12では、エンジ
ン回転数Neとエンジン負荷とが共に所定値以下の領域
で多重放電領域が設定されている。
れた場合、ステップ203に進み、放電は1回のみとし
て多重放電を行わない。すなわち、通常の一次電流i1
の遮断動作後にパワートランジスタ42(図1参照)を
オフ状態に維持し、多重放電を行わない。
合は、ステップ204に進む。ステップ204では、多
重放電時の各々の放電時間を設定する。この放電時間の
設定では既述の通り、点火時期、放電間隔、放電回数、
空燃比等の各種要因に基づき、各々の放電時間を決定す
る。このとき、筒内圧の推移に対応させつつ、圧縮TD
Cに近づくほど放電時間を短くする。
i1の遮断動作後に、パワートランジスタ42を一定周
期で繰り返しオン/オフさせて点火プラグ25を多重放
電させ、放電を繰り返し発生させる。その後、ステップ
206では、所定の放電回数が終了したか否かを判別
し、放電回数が所定回数になるまで、多重放電を続行す
る。ここで、放電回数は前記図2の処理と同様に、図6
の関係に従って設定されるものであれば良い。
施の形態と同様に、多重放電の際に放電エネルギを効率
良く投入し、ひいては点火コイル43の小型化を実現す
ることができる。また、多重放電の放電回数が制限され
るといった不都合も解消される。特に、筒内噴射式エン
ジンにおいて、点火プラグ25に濃いめの混合気(成層
混合気)が到達するタイミングが少しずれたとしても、
多重放電を行うことで確実に着火させ、失火を防止する
ことができる。
体化できる。上記実施の形態では、例えば前記図9等か
らも分かるように、空燃比が同じであれば、ATDC点
火の場合に放電回数が多くなるほど(圧縮TDCから離
れるほど)、多重放電時の放電時間をほぼ一様に長くし
たが、この構成を変更する。例えば図13のように、放
電時間の下限値を予め定めておき、その下限値以上で放
電時間を設定する。なお図13には、ATDC点火の事
例を示す。
量又は遅角量に対応させて一様に放電時間を変更する以
外に、放電時間を最短とする所定のガード値により放電
時間の設定域を制限しても良い。この場合、放電時間の
下限値を制限することで、燃焼に必要なエネルギが確実
に得られ、燃焼の安定化を図ることができる。またこの
場合、少なくとも圧縮TDCを含む所定のクランク角区
間内において、筒内圧に関係なく放電時間を一定とする
構成としても良い。
隔、放電回数、空燃比等の各種要因に基づき、各々の放
電時間を決定したが、この構成を変更する。概ね筒内圧
の推移に従うよう、少なくとも点火時期と放電回数に応
じて放電時間を決定するものであれば良い。
時間を設定し、それをパターン化しておく旨を記載した
が、各A/Fのデータのうち、A/F=17のデータの
みを適用する。つまり、A/F=15,16,17のデ
ータのうち、A/F=17が最も放電時間が長くなる。
そのため、A/F=17のデータを使えば、仮にA/F
が17未満(A/F=17よりもリッチ側)であっても
十分な放電エネルギが投入できることとなる。
した通り、エンジン回転数Neとエンジン負荷とをパラ
メータとして多重放電領域を設定し、多重放電の実施判
定を行ったが、この構成を以下の如く変更する。 (1)エンジン回転数のみで多重放電領域を設定する。
つまり、エンジン回転数が予め設定された設定回転数以
下(低・中回転領域)では多重放電を実施し、設定回転
数を超える高回転領域では多重放電を実施しない。この
場合、高回転領域では、放電間隔が短く、点火プラグに
成層混合気が到達するタイミングのずれが少なくなると
いう事情を考慮し、高回転領域での多重放電を中止す
る。 (2)エンジン負荷のみで多重放電領域を設定する。つ
まり、筒内噴射式ガソリンエンジンでは、エンジン負荷
が高くなると燃焼が均質燃焼に切り換えられ、均質燃焼
時には燃焼室内が均質な濃い混合気で満たされるため、
混合気が点火プラグに到達するタイミングのばらつきが
問題とならない。従って、均質燃焼時のように単発の放
電で着火性能を確保できる負荷領域では多重放電を行わ
ず、それ以下の負荷領域のみで多重放電を行うこととす
る。 (3)エンジン運転状態が成層燃焼域にあるか、或いは
均質燃焼域にあるかに応じて多重放電又は単発放電を切
り替える。この場合、成層燃焼域にあれば、多重放電を
実施する。
し、図5及び図6の関係を用い、エンジン回転数、エン
ジン負荷、点火時期等に応じて放電間隔や放電回数を可
変に設定したが、この構成を変更する。例えば、 ・空燃比がリーンであるほど、放電間隔を短く、放電回
数を多くする、 ・エンジン始動後からの経過時間が長いほど、放電間隔
を短く、放電回数を多くする、といった条件を加える。
或いは、放電間隔や放電回数の少なくとも一方を固定値
としても良い。
応じて放電時間を変更することを要旨とするため、経時
変化等による筒内圧の変化時にはそれをモニタし、その
変化に応じて放電時間を逐次補正するのが望ましい。つ
まり、経時変化に伴う筒内圧の変化が検出された時、そ
れに見合う学習値を設定し、その学習値にて放電時間を
補正する。例えば、筒内圧が減少側に変化した場合、正
側の学習値を設定しておき、放電時間を長くする方向に
補正すると良い。これにより、経時変化時にも多重放電
を適正に実施することができる。
されたエネルギを放出して点火エネルギとしたが、他の
構成でも良い。例えば、コンデンサに蓄積されたエネル
ギを放出して点火エネルギとする。
示すフローチャート。
図。
ト。
を示すフローチャート。
タイムチャート。
…ECU、31…点火制御手段及び点火時期遅延手段を
実現するマイコン、43…点火コイル、44…一次コイ
ル、45…二次コイル。
Claims (10)
- 【請求項1】内燃機関に設けられる点火プラグと、点火
時期に点火プラグより放電火花を発生させる点火装置
と、内燃機関の1燃焼サイクル中に点火装置による放電
を複数回繰り返して多重放電を実施する点火制御手段と
を備える点火制御装置において、 前記点火制御手段は、多重放電に際し、内燃機関の燃焼
室内の圧力の推移に従い各放電の時間を変更することを
特徴とする内燃機関の点火制御装置。 - 【請求項2】内燃機関に設けられる点火プラグと、点火
時期に点火プラグより放電火花を発生させる点火装置
と、内燃機関の1燃焼サイクル中に点火装置による放電
を複数回繰り返して多重放電を実施する点火制御手段と
を備える点火制御装置において、 前記点火制御手段は、多重放電に際し、放電のタイミン
グが圧縮上死点に近いほど、放電時間を短くすることを
特徴とする内燃機関の点火制御装置。 - 【請求項3】内燃機関に設けられる点火プラグと、点火
時期に点火プラグより放電火花を発生させる点火装置
と、内燃機関の1燃焼サイクル中に点火装置による放電
を複数回繰り返して多重放電を実施する点火制御手段と
を備える点火制御装置において、 前記点火制御手段は、多重放電時に各放電の時間を変更
することを特徴とする内燃機関の点火制御装置。 - 【請求項4】請求項3に記載の内燃機関の点火制御装置
において、 前記点火制御手段は、放電時間を最短とする所定のガー
ド値により放電時間の設定域を制限する内燃機関の点火
制御装置。 - 【請求項5】前記点火制御手段は、内燃機関に供給され
る混合気がリーンであるほど、放電時間を長くする請求
項1〜3の何れかに記載の内燃機関の点火制御装置。 - 【請求項6】前記点火制御手段は、機関運転状態に応じ
て1燃焼サイクル中の放電回数を決定する請求項1〜5
の何れかに記載の内燃機関の点火制御装置。 - 【請求項7】前記点火制御手段は、機関運転状態に応じ
て各放電の間隔を決定する請求項1〜6の何れかに記載
の内燃機関の点火制御装置。 - 【請求項8】内燃機関の冷間始動時に、点火時期を遅ら
せる点火時期遅角手段を備え、 前記点火制御手段は、機関始動時の点火遅角に合わせて
多重放電を実施する請求項1〜7の何れかに記載の内燃
機関の点火制御装置。 - 【請求項9】燃焼室内に燃料を直接噴射する筒内噴射式
内燃機関に適用される点火制御装置であり、 前記点火制御手段は、筒内噴射式内燃機関の運転領域に
応じて多重放電を実施する請求項1〜7の何れかに記載
の内燃機関の点火制御装置。 - 【請求項10】前記点火装置は、点火プラグより放電火
花を発生させるための点火コイルを備え、点火制御手段
は、内燃機関の1燃焼サイクル中に点火コイルの一次側
の通電オン/オフを複数回繰り返して多重放電を実施す
る請求項1〜9の何れかに記載の内燃機関の点火制御装
置。
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