JP2001152324A - 多結晶薄膜とその製造方法およびこれを用いた酸化物超電導導体 - Google Patents

多結晶薄膜とその製造方法およびこれを用いた酸化物超電導導体

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JP2001152324A JP33873099A JP33873099A JP2001152324A JP 2001152324 A JP2001152324 A JP 2001152324A JP 33873099 A JP33873099 A JP 33873099A JP 33873099 A JP33873099 A JP 33873099A JP 2001152324 A JP2001152324 A JP 2001152324A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶配向性に優れた多結晶薄膜B、特に、化
学反応安定性が高く、高温等の加熱処理においても、結
晶配向性が乱れることのない安定な多結晶薄膜Bを得、
優れた臨界電流密度の高い酸化物超電導層を備えた酸化
物超電導導体を得る。 【解決手段】 基材Aの成膜面と平行な面に沿う多結晶
粒の同一結晶軸が構成する粒界傾角が、30度以下に形
成されてなる酸化ハフニウムの多結晶薄膜Bを提供す
る。また、酸化ハフニウムを主構成成分とする結晶体を
ターゲットとし、このターゲットから発生させた粒子
を、イオンソースから発生させたイオンビームを基材の
成膜面の法線に対して50〜60度の入斜角度で斜め方
向から照射しながら、多結晶体の金属からなる基材A上
に堆積させて成膜する多結晶薄膜の製造方法を提供す
る。さらに、上記多結晶薄膜を中間層に用いた酸化物超
電導導体を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001 】
【発明の属する技術分野】本発明は結晶方位の整った多
結晶薄膜、特に、化学反応安定性の高く、高温における
加熱処理にも安定な多結晶薄膜およびその製造方法と、
これを用いた臨界電流密度の高い酸化物超電導導体に関
する。
【0002 】
【従来の技術】近年になって発見された酸化物超電導体
は、液体窒素温度を超える臨界温度を示す優れた超電導
体であるが、現在、この種の酸化物超電導体を実用的な
超電導体として使用するためには、種々の解決するべき
問題点が存在している。その問題点の1つが、酸化物超
電導体の臨界電流密度が低いという問題である。
【0003 】前記酸化物超電導体の臨界電流密度が低
いという問題は、酸化物超電導体の結晶自体に電気的な
異方性が存在することが大きな原因となっており、特に
酸化物超電導体はその結晶軸のa軸方向とb軸方向には
電気を流し易いが、c軸方向には電気を流しにくいこと
が知られている。このような観点から酸化物超電導体を
基材上に形成してこれを超電導導体として使用するため
には、基材上に結晶配向性の良好な状態の酸化物超電導
層を形成し、しかも、電気を流そうとする方向に酸化物
超電導層の結晶のa軸あるいはb軸を配向させ、その他
の方向に酸化物超電導体のc軸を配向させる必要があ
る。
【0004 】従来、基板や金属テープ等の基材上に結
晶配向性の良好な酸化物超電導層を形成するために種々
の手段が試みられてきた。その1つの方法として、酸化
物超電導体と結晶構造の類似したMgOあるいはSrT
iO3 などの単結晶基材を用い、これらの単結晶基材上
にスパッタリングなどの成膜法により酸化物超電導層を
形成する方法が実施されている。前記MgOやSrTi
3の単結晶基板を用いてスパッタリングなどの成膜法
を行なえば、酸化物超電導層の結晶が単結晶基板の結晶
を基に結晶成長するために、その結晶配向性を良好にす
ることが可能であり、これらの単結晶基板上に形成され
た酸化物超電導層は、数10万A/cm2程度の十分に
高い臨界電流密度を発揮することが知られている。
【0005 】
【発明が解決しようとする課題】ところで、酸化物超電
導体を導電体として使用するためには、テープ状などの
長尺の基材上に結晶配向性の良好な酸化物超電導層を形
成する必要がある。ところが、金属テープなどの基材上
に酸化物超電導層を直接形成すると、金属テープ自体が
多結晶体でその結晶構造も酸化物超電導体と大きく異な
るために、結晶配向性の良好な酸化物超電導層は到底形
成できないものである。
【0006 】そこで本発明者らは、図10に示すよう
な、基材1上にイットリウム安定化ジルコニア(以下、
YSZと略称する)からなる多結晶薄膜2を形成し、こ
の多結晶薄膜2上に酸化物超電導層3を形成すること
で、超電導特性の優れた酸化物超電導導体4を製造する
試みを種々行っている。そして、このような試みの中か
ら本発明者らは先に、特開平4−329865号(特願
平3−126836号)、特開平4−331795号
(特願平3−126837号)、特開平4−90025
号(特願平2−205551号)、特開平6−3936
8号(特願平4−13443号)、特開平6−1459
77号(特願平4−293464号)などにおいて、結
晶配向性に優れた多結晶薄膜、およびそれを利用した酸
化物超電導導体の特許出願を行っている。
【0007 】これらの特許出願に記載された技術は、
基材上にYSZの粒子を堆積させる際に、基材の斜め方
向からイオンビームを照射すると、結晶配向性に優れた
多結晶薄膜を形成することができるものである。また、
前記の特許出願に並行して本発明者らは、長尺または大
面積の多結晶薄膜および酸化物超電導導体を製造するた
めの研究を行なっているが、結晶配向性において更に優
れた多結晶薄膜を製造する方法、および、多結晶薄膜上
に超電導層を形成した場合に従来よりも更に優れた超電
導特性を得ることを課題として研究を進めている。
【0008 】このような酸化物超伝導体4における酸
化物超電導層3の形成は、スパッタリング等の成膜法に
より形成される。通常、このような成膜法においては、
結晶性の良好な薄膜を得るために、成膜雰囲気を高温
度、たとえば、700〜800℃前後に保ちながら成膜
されることある。また、酸化物超電導層3の形成後に、
高温における酸化処理を施して、成膜を完了する場合も
ある。しかしながら、YSZからなる多結晶薄膜2を、
このような高温域で加熱処理をする場合には、YSZ
は、高温(特に、700℃以上長時間)における化学反
応安定性が比較的低いことから、基材1あるいは酸化物
超電導層3との界面において、YSZが化学反応を起こ
し、このために、酸化物超電導層3の結晶構造が乱れ、
結果、酸化物超電導導体の超電導特性が劣化するという
問題が生じてしまう場合が考えられる。
【0009 】本発明はこのような背景に基づき、前記
特許出願の技術を発展させるとともに、前記課題を有効
に解決するためになされたもので、基材の成膜面に対し
て直角向きに結晶軸のc軸を配向させることができると
同時に、成膜面と平行な面に沿って結晶粒の結晶軸のa
軸およびb軸をも揃えることができ、結晶配向性に優れ
た多結晶薄膜、特に、化学反応安定性が高く、高温等の
加熱処理においても、結晶配向性が乱れることのない安
定な多結晶薄膜を得、優れた臨界電流密度の高い酸化物
超電導層を備えた酸化物超電導導体を提供することを目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するために、第1の発明においては、多結晶体からなる
金属基材上に形成された多数の結晶粒が結晶粒界を介し
て結合されてなる酸化ハフニウムの多結晶薄膜であっ
て、基材の成膜面と平行な面に沿う多結晶粒の同一結晶
軸が構成する粒界傾角が、30度以下に形成されてなる
多結晶薄膜を提供する。第2の発明においては、上記酸
化ハフニウムの一部が、希土類元素に置換されてなる第
1の発明に記載の多結晶薄膜を提供する。
【0011 】第3の発明においては、ターゲットから
発生させた粒子を多結晶体の金属からなる基材上に堆積
させ、この基材上にターゲットの構成元素からなる多結
晶薄膜を形成する方法において、前記ターゲットとし
て、酸化ハフニウムを主構成成分とする結晶体を用い、
このターゲットの構成粒子を基材上に堆積させる際に、
イオンソースから発生させたイオンビームを基材の成膜
面の法線に対して50〜60度の入斜角度で斜め方向か
ら照射しながら、前記粒子を基材上に堆積させて成膜す
る多結晶薄膜の製造方法を提供する。第4の発明におい
ては、第3の発明において、上記ターゲットが、酸化ハ
フニウムと、希土類酸化物との焼結体からなる多結晶薄
膜の製造方法を提供する。
【0012 】そして、第5の発明においては、多結晶
体からなるテープ状の金属基材上に多数の結晶粒が結合
されてなる多結晶薄膜が形成され、この多結晶薄膜上に
酸化超伝導体からなる酸化超電導層が形成されてなる酸
化物超電導導体であって、上記多結晶薄膜が、第1また
は第2の発明の多結晶薄膜である酸化物超電導導体を提
供する。
【0013 】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。図1は本発明の酸化ハフニ
ウム(HfO2)からなる多結晶薄膜を、多結晶体から
なる金属基材上に形成したもの一構造例を示すものであ
り、図1において、Aはテープ状の基材、Bは基材Aの
上面に形成された多結晶薄膜を示している。前記基材A
は、この例ではテープ状のものを用いているが、例え
ば、板材、線材、条体などの種々の形状のものを用いる
ことができ、基材Aは、銀、白金、ステンレス鋼、銅、
ハステロイ等のニッケル合金などの各種金属材料などか
らなるものである。
【0014 】前記多結晶薄膜Bは、微細な結晶粒20
が、多数、相互に結晶粒界を介して接合一体化されてな
り、各結晶粒20の結晶軸のc軸は基材Aの上面(成膜
面)に対して直角に向けられ、各結晶粒20の結晶軸の
a軸どうしおよびb軸どうしは、互いに同一方向に向け
られて面内配向されている。そして、各結晶粒20のa
軸(またはb軸)どうしは、それらのなす角度(図2に
示す粒界傾角K)を35度以内にして接合一体化されて
いる。
【0015 】上記結晶粒20は、その主構成成分がH
fO2 であり、この酸化物結晶中の一部のHfが、希土
類元素に置換されてなるものであることが好ましい。前
記希土類元素としては、スカンジウム(Sc)、イット
リウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、
プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウ
ム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(E
u)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Td)、ジ
スプロシウム(Gy)、ホルミウム(Ho)、エルビウ
ム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Y
b)、ルテチウム(Lu)が挙げられる。また、その置
換度としては、3〜15%であることが望ましい。この
範囲であれば、結晶配向性に優れた多結晶薄膜Bとな
る。
【0016 】このようなHfO2 からなる多結晶薄膜
Bにおいては、反応安定性が高く、この多結晶薄膜B
を、高温にて加熱処理したとしても、その結晶配向性が
崩れることがなく安定している。よって、この多結晶薄
膜B上には、配向結晶性に優れた酸化物超電導導体層を
形成することができ、超伝導体特性に優れた超電導導体
を得ることができる。また、そのHfO2 の結晶中のH
fの一部が希土類元素により置換されているものであれ
ば、よりHfO2 の結晶粒20の面内配向が良好とな
り、結晶配向性に優れた多結晶薄膜Bとなる。これは、
HfO2 の結晶が、単斜晶であるため、これ単独では結
晶配向性を制御するのに、各条件を設定するのが難しい
が、その一部が希土類元素に置換されることによって、
その結晶構造が立方晶系の構造となり、以下に説明する
製造方法による結晶配向制御が容易となるためであると
考えられる。
【0017 】次に、上記多結晶薄膜Bの製造方法につ
いて説明する。図3は、本発明の多結晶薄膜の製造方法
の実施に好適に用いられる多結晶薄膜の製造装置の一例
を示す図である。この例の多結晶薄膜Bの製造装置は、
テープ状の基材Aを支持するとともに所望温度に加熱ま
たは冷却することができるブロック状の基材ホルダ23
と、基材ホルダ23上にテープ状の基材Aを送り出すた
めの基材送出ボビン(送出装置)24と、多結晶薄膜B
が形成されたテープ状の基材Aを巻き取るための基材巻
取ボビン(巻取装置)25と、前記基材ホルダ23の斜
め上方に所定間隔をもって対向配置された板状のターゲ
ット36と、このターゲット36の斜め上方においてタ
ーゲット36の下面に向けて配置されたスパッタビーム
照射装置(スパッタ手段)38と、前記基材ホルダ23
の側方に所定間隔をもって対向され、かつ、前記ターゲ
ット36と離間して配置されたイオンソース39と、冷
却装置Rが、真空排気可能な真空チャンバ(成膜処理容
器)40に設けられた構成とされている。
【0018 】前記基材ホルダ23は、通電により抵抗
発熱する金属線等からなる加熱ヒータ23aを内蔵して
構成され、基材ホルダ23の上に送り出されたテープ状
の基材Aを必要に応じて所望の温度に加熱できるように
なっている。このような基材ホルダ23は、成膜処理容
器40内のイオンソース39から照射されるイオンビー
ムの最適照射領域に配設されている。また、この基材ホ
ルダ23が側面三角型の基台60に装着されて設けら
れ、この基台60が成膜処理容器40の外壁40aを貫
通して設けられた冷媒導入管61により成膜処理容器4
0の中央部に支持され、基台60と冷媒導入管61を主
体として冷却装置Rが構成されている。
【0019 】この形態の基台60は、図5に示すよう
に断面三角型の中空の金属ブロック製とされ、その上面
60aは後述するイオンビームの基材に対する入射角度
を50〜60度の範囲にできるように傾斜面とされてい
る。また、基台60の背面60bに冷媒導入管61が接
続されるとともに、冷媒導入管61は、内部の往管62
とその外部を覆う戻管63とからなる2重構造とされて
いて、往管62と戻管63がいずれもチャンバ内部で基
台60の内部空間に連通されているとともに、これらが
いずれもほぼ水平に延出されて成膜処理容器40の外壁
40aを貫通して外部に導出され、外部において両管が
上方に湾曲されているとともに、往管62の先端部に戻
管63の先端部よりも若干上方に突出した注入部64が
形成されていて、更に注入部64に漏斗状の注入部材6
5が装着されて構成されている。
【0020】そして、往管62の基台60側の先端部と
戻管63の基台60側の先端部はいずれも基台60の背
面60bの接続孔に気密に接合されているので、成膜処
理容器40の内部を減圧した場合においても基台60の
内部を成膜処理容器外部の大気圧状態とすることがで
き、前述の注入部材65の内部に液体窒素などの液体冷
媒、あるいは冷却空気などの気体冷媒等を送り込み、基
台60の内部を冷媒で満たすことができるように構成さ
れている。
【0021 】また、往管62と戻管63を設けたの
は、往管62のみで冷媒導入管61を構成すると注入部
材65に液体窒素を投入して往管62から基台60に液
体窒素を送入しようとしても、先に送入している液体窒
素または蒸発した窒素ガスが基台60の内部に滞留し、
新たな液体窒素を基台60に供給できなくなることを防
止するためである。この点において戻管63を設けてあ
るならば、基台60内に滞留している古い液体窒素や気
化した窒素ガスを戻管63を介して大気中に排出するこ
とが容易にできるので、基台60に常に新鮮な液体窒素
を供給して基台60を十分に冷却することができ、冷却
能力を高めることができる。更に、往管62の外部を戻
管63で覆う2重構造を採用するならば、戻管63を通
過している冷媒や窒素ガスで往管62を覆うことができ
る構成であるので、戻管63の内部の冷媒で往管62を
冷却することができ、往管62の内部において冷媒の温
度を不要に高めてしまうことを防止できる。
【0022 】更に、冷媒供給管61はフランジ板66
を貫通して設けられ、このフランジ板66は成膜処理容
器40の外壁40aに形成された取付孔40bを塞いで
外壁40aにネジ止め等の固定手段により着脱自在に固
定されている。また、前記フランジ板66には、基台6
0の温度計測用の温度計測装置67が冷媒供給管61に
隣接するように装着され、この温度計測装置67に接続
された温度センサ68により基材ホルダ23の温度を計
測できるように構成されている。即ち、基台60の上面
60a上に図5の2点鎖線の如く基材ホルダ23をセッ
トした場合にこの温度センサ68を基材ホルダ23に接
触させておくことで基材ホルダ23の温度を計測できる
ように構成されている。
【0023 】以上のことから、前記加熱ヒータ23a
により常温よりも高い温度に基材ホルダ23を加熱して
基材Aを加熱するか、基台60により基材Aを冷却する
ことにより、基材Aを所望の温度、例えば+500℃〜
−196℃の範囲の温度に調節できるように構成されて
いる。即ち、ヒータ加熱により、常温〜500℃程度ま
では容易に加熱調整することができ、更に、ヒータを停
止して冷却用の媒体として液体窒素などの冷媒を用いて
上述の冷却装置により77K(約−196℃)程度まで
容易に冷却することができる。
【0024 】なお、ここで用いる冷却装置Rは図5に
示す構成のものに限らないので、クーラー等の通常の冷
却装置に用いられるフロン等のフッ素系ガスやアンモニ
アを用いた冷却装置で−30℃程度に冷却できる装置を
設けても良いのは勿論である。また、成膜の際に基材A
にはターゲットからの高熱粒子の飛来により自然加熱さ
れるので、例えば、常温で成膜して基材ホルダに一切加
熱や冷却を行わない場合に基材Aは100℃程度に加熱
されることになる。また、液体窒素で冷却しながら成膜
する場合、基材Aを供給する基材ホルダ23の材質や厚
さを調節することで、基台60から基材Aを冷却する能
力を調整できる。例えば、薄く、熱伝導性に優れた基材
ホルダ23を用い、冷媒導入管61からの液体窒素の供
給量を充分に確保した場合は成膜時の発熱を差し引いて
も−150℃程度まで容易に冷却することができ、逆に
基材ホルダ23を厚い金属材料で形成することで基台6
0からの冷却能力を低く抑えることができ、このように
した場合に液体窒素冷媒を用いても基材Aの温度を、−
150〜−50℃程度まで容易に調整することができ
る。
【0025 】この例の多結晶薄膜Bの製造装置におい
ては、前記基材送出ボビン24から基材ホルダ23上に
テープ状の基材Aを連続的に送り出し、前記最適照射領
域を通過させた後に基材Aを基材巻取ボビン25で巻き
取ることで基材A上に多結晶薄膜Bを連続成膜すること
ができるようになっている。
【0026 】前記ターゲット36は、目的とする多結
晶薄膜Bを形成するためのものであり、目的の組成の多
結晶薄膜Bと同一組成あるいは近似組成のものなどを用
いることができる。このようなターゲット36は、ピン
等によりターゲット支持体36aに回動自在に取り付け
られており、傾斜角度を調整できるようになっている。
前記スパッタビーム照射装置(スパッタ手段)38は、
容器の内部に、ガスを導入し、引き出し電圧をかけるた
めのグリッドを備えて構成されているものであり、ター
ゲット36に対してイオンビームを照射してターゲット
36の構成粒子を基材Aに向けて叩き出すことができる
ものである。
【0027 】前記イオンソース39は、スパッタビー
ム照射装置38と略同様の構成のものであり、引き出し
電圧をかけるためのグリッドを備えて構成されている。
そして、前記蒸発源から発生した原子または分子の一部
をイオン化し、そのイオン化した粒子をグリッドで発生
させた電界で制御してイオンビームとして照射する装置
である。粒子をイオン化するには直流放電方式、高周波
励起方式、フィラメント式などの種々のものがある。フ
ィラメント式はタングステン製のフィラメントに通電加
熱して熱電子を発生させ、高真空中でガス粒子と衝突さ
せてイオン化する方法である。
【0028 】この形態の多結晶薄膜の製造装置におい
ては、図4に示す構成の内部構造のイオンソース39を
用いる。このイオンソース39は、筒状のイオン室45
の内部にグリッド46とフィラメント47とArガスな
どの導入管48とを備えて構成され、イオン室45の先
端のビーム口49からイオンをビーム状に略平行に放射
できるものである。このイオンソース39の設置位置
は、変更できるようになっており、また、ビーム口49
の口径dも変更できるようになっている。
【0029 】前記イオンソース39は、図3に示すよ
うにその中心軸線Sを基材Aの成膜面に対して入射角度
θ(基材Aの垂線(法線)Hと中心線Sとのなす角度)
でもって傾斜させて対向されている。従ってイオンソー
ス39は、基材Aの成膜面の法線Hに対してある入射角
度θでもってイオンビームを照射できるように配置され
ている。
【0030】また、前記イオンソース39は、これから
放射されるイオンビームの広がり角度Δθが下記式
(I) Δθ≦2tan-1(d/2L) ・・・(I) (式中、Δθはイオンビームの広がり角度、dはイオン
ソース39のビーム口径(cm)、Lはイオンソース3
9のビーム口49と基材Aとの距離であるイオンビーム
の搬送距離(cm)を表す。)により計算できるため、
目的とする多結晶薄膜Bの結晶配向性に応じてイオンビ
ームの搬送距離Lとビーム口径dが設定されている。こ
のイオンビームの広がり角度Δθは5度以下が好まし
く、より好ましくは3度以下の範囲である。例えば、L
=40cmの場合、d≦3.49cm とすればΔθ≦5
゜に制御することができ、d≦2.09cmとすれば、
Δθ≦3 ゜に制御することができる。
【0031】また、前記成膜処理容器40には、この成
膜処理容器40内を真空などの低圧状態にするためのロ
ータリーポンプ51およびクライオポンプ52と、ガス
ボンベなどの雰囲気ガス供給源がそれぞれ接続されてい
て、成膜処理容器40の内部を真空などの低圧状態で、
かつ、アルゴンガスあるいはその他の不活性ガス雰囲気
または酸素を含む不活性ガス雰囲気にすることができる
ようになっている。さらに、前記成膜処理容器40に
は、この成膜処理容器40内のイオンビームの電流密度
を測定するための電流密度計測装置54と、前記容器4
0内の圧力を測定するための圧力計55が取り付けられ
ている。
【0032】なお、この形態の多結晶薄膜の製造装置に
おいて、イオンソース39の支持部分に角度調整機構を
取り付けてイオンソース39の傾斜角度を調整し、イオ
ンビームの入射角度を調整するようにしても良く、角度
調整機構は種々の構成のものを採用することができるの
は勿論である。また、イオンソース39の設置位置を変
更することにより、イオンビームの搬送距離Lを変更で
きるようにしたが、基材ホルダ23の支持体23aの長
さを調整できるようにして、イオンビームの搬送距離L
を変更できるようにしても良い。
【0033】次に、前記構成の製造装置を用いてテープ
状の基材A上に本発明の多結晶薄膜Bを形成する場合に
ついて説明する。本実施形態における多結晶薄膜Bの製
造方法において使用するターゲット36としては、主構
成成分がHfO2 である結晶体を用い、目的の多結晶薄
膜に見合うものを適宜用いればよく、なかでも、HfO
2 と希土類酸化物との焼結体であるものを用いることが
好ましい。
【0034】このような焼結体は、HfO2 からなる粉
末と、希土類酸化物からなる粉末とを混ぜ合わせ、焼結
して一体化することにより得ることができる。このとき
の焼結体における、HfO2と希土類酸化物との混合比
は、HfO2に対して希土類酸化物が、3〜15%程度
となるようにされることが好ましい。この場合、混合比
が3%未満であると、多結晶薄膜Bを形成する際に、H
fO2 の結晶配向性が整わず、15%を超えると、目的
とする結晶構造が得られず、不都合となる。
【0035】また上記希土類酸化物としては、Sc
23、Y23、La23、Ce23、Pr23、Nd2
3、Pm23、Sm23、Eu23、Gd23、Td2
3、Gy 23、Ho23、Er23、Tm23、Yb2
3、Lu23が挙げられ、この中でもYb23、Y2
3等が好適に用いられる。
【0036】このようなターゲット36を設置し、つい
で、基材Aを収納している成膜処理容器40の内部を真
空引きして減圧雰囲気とするとともに、基材送出ボビン
24から基材ホルダ23に基材Aを所定の速度で送り出
し、さらにイオンソース39とスパッタビーム照射装置
38を作動させる。そして、スパッタビーム照射装置3
8からターゲット36に対してイオンビームを照射す
る。このときのスパッタビーム装置38から照射するイ
オンビームとしては、例えば、He+、Ar+、Xe+
Kr+などの希ガスのイオンビーム、あるいは、これら
のイオンと酸素イオンとの混合イオンビーム等が用いら
れる。このように、イオンビームをターゲット36に照
射すれば、ターゲット36の構成粒子がイオンビームに
よって叩き出されて基材A上に飛来して堆積する。そし
て、所望の厚みの多結晶薄膜Bを成膜し、成膜後のテー
プ状の基材Aを基材巻取ボビン25に巻き取る。
【0037】そして、このときイオンソース39からイ
オンビームを、入射角度θが50〜60度の範囲となる
ように、より好ましくは55〜60度の範囲となるよう
に、最も好ましくは55度となるように照射することと
が好ましい。ここでθを90度とすると、多結晶薄膜の
c軸は基材A上の成膜面に対して直角に配向するもの
の、基材Aの成膜面上に(111)面が立つので好まし
くない。 また、θを30度とすると、多結晶薄膜Bは
c軸配向すらしなくなる。前記のような好ましい範囲の
入射角度でイオンビーム照射するならば多結晶薄膜Bの
結晶の(100)面が立つようになる。このような入射
角度でイオンビーム照射を行ないながらスパッタリング
を行なうことで、基材A上に形成されるHfO2の多結
晶薄膜の結晶軸のa軸どうしおよびb軸どうしは互いに
同一方向に向けられて基材Aの上面(成膜面)と平行な
面に沿って面内配向する。なお、イオンビームの入射角
度の調整は、基台60の上面60aの傾斜角度の異なる
ものを複数用意しておき、適宜所望角度のものを交換し
てから成膜処理を行うことで実現できる。
【0038】このイオンソース39から照射するイオン
ビームには、He+、Ar+、Xe+、Kr+などの希ガス
のイオンビーム、あるいは、これらのイオンと酸素イオ
ンとの混合イオンビーム等が用いられる。
【0039】また、基材ホルダ23に付設した加熱ヒー
タあるいは冷却装置Rを作動させて基材ホルダ23に接
する基材Aの温度を300℃以下の所望の温度に調節す
ることが好ましい。300℃以下に成膜温度を設定する
場合、常温において基材Aを基材ホルダ23で特に加熱
しない場合の基材温度を示す100℃以下の温度範囲が
好ましく、冷媒として安価に多用できる液体窒素により
容易に冷却できる−150℃以上の温度範囲がより好ま
しい設定温度となる。
【0040】ところで、液体窒素を注入部材65に投入
し、ここから往管62を介して基台60の内部空間に液
体窒素を満たす場合に、堆積する粒子による加熱状態あ
るいは成膜処理容器40に設けた他の装置からの熱輻射
等により、液体窒素を用いてできるだけ薄い基材ホルダ
を採用しても基材Aの温度は−150℃程度に冷却する
ことが限界であるので、これ以上低温に冷却する場合
は、液体ヘリウム等の他の冷媒を用いることになる。
【0041】この実施形態の多結晶薄膜Bの製造方法に
あっては、ターゲット36として、HfO2 と希土類酸
化物との焼結体を用い、このターゲット36の構成粒子
をスパッタリングにより叩き出して基材A上に堆積させ
る際に、イオンソース39から発生させたイオンビーム
を基材Aの成膜面の法線Hに対して入射角度50〜60
度で照射しつつ堆積させるので、粒界傾角が35〜8度
程度に精度良く揃えられた結晶配向性の良好な多結晶薄
膜Bを製造することができる。
【0042】図6は、本発明の酸化物超伝導導体の一例
を示したものである。この酸化物超電導導体22は、前
述のようにして形成された多結晶薄膜B上にスパッタリ
ングやレーザ蒸着法などの成膜法により酸化物超電導層
Cを積層することにより得ることができる。この酸化物
超電導層Cは、多結晶薄膜Bの上面に被覆されたもので
あり、その結晶粒23のc軸は多結晶薄膜Bの上面に対
して直角に配向され、その結晶粒23…のa軸とb軸は
先に説明した多結晶薄膜Bと同様に基材上面と平行な面
に沿って面内配向し、結晶粒23どうしが形成する粒界
傾角が小さな値に形成されている。
【0043】この酸化物超電導層Cを構成する酸化物超
電導体は、Y1 Ba2 Cu 37-x、Y2Ba4 Cu8y
3Ba3 Cu6yなる組成、あるいは(Bi,Pb)2
2Sr2C u3y、(Bi,Pb)2Ca2Sr3Cu4
yなる組成、あるいは、Tl 2 Ba2Ca2Cu3y
Tl1Ba2Ca2Cu3y、Tl1Ba2Ca3Cu4y
る組成な どに代表される臨界温度の高い酸化物超電導
体である。
【0044】ここで前述のようにして粒界傾角が35〜
8度程度に精度良く揃えられた多結晶薄膜B上にスパッ
タリングやレーザ蒸着法などの成膜法により酸化物超電
導層Cを形成するならば、この多結晶薄膜B上に積層さ
れる酸化物超電導層Cも多結晶薄膜Bの配向性に整合す
るようにエピタキシャル成長して結晶化する。よって前
記多結晶薄膜B上に形成された酸化物超電導層Cは、結
晶配向性に乱れが殆どなく、この酸化物超電導層Cを構
成する結晶粒の1つ1つにおいては、基材Aの厚さ方向
に電気を流しにくいc軸が配向し、基材Aの長さ方向に
a軸どうしあるいはb軸どうしが配向している。従って
得られた酸化物超電導層Cは、結晶粒界における量子的
結合性に優れ、結晶粒界における超電導特性の劣化が殆
どないので、基材Aの長さ方向に電気を流し易くなり、
MgOやSrTO3の単結晶基板上に形成して得られる
酸化物超電導層と同じ程度の十分に高い臨界電流密度が
得られる。
【0045】また、このような酸化物超電導導体22に
おいては、中間層として形成された多結晶薄膜Bが、H
fO2からなるものであるので、高温における加熱処理
においても、基材Aおよび酸化物超電導層Cと、多結晶
薄膜Bとの界面で化学反応による結晶配向性の乱れが生
じるということがなく、安定したものとすることができ
る。
【0046】以上説明の如く、多結晶薄膜BをHfO2
により構成することにより、結晶配向性に優れ、臨界電
流特性に優れた酸化物超電導導体22を得ることができ
る。また、この例で得られる酸化物超電導導体はフレキ
シブル性に優れた長尺のテープ状とすることが容易であ
り、超電導マグネットの巻線等への応用が期待できる。
【0047】なお、前述のHfO2 からなる多結晶薄膜
Bの結晶配向性が整う要因として本発明らは、以下のこ
とを想定している。HfO2 の結晶構造は、それ単独で
は単斜晶であるが、その一部が希土類元素に置換される
ことにより、立方晶となる。これは、希土類元素が、H
fよりもイオン半径が大きく、この希土類元素が一部の
Hfに置き換わることにより、その酸化物の結晶構造が
変化して立方晶になると考えられる。
【0048】このような立方晶のHfO2 からなる多結
晶薄膜Bの結晶格子においては、基板法線方向が<10
0>軸であり、他の<010>軸と<001>軸はいず
れも他の方向となる。これらの方向に対し、基板法線に
対して斜め方向から入射するイオンビームを考慮する
と、単位格子の原点に対して単位格子の対角線方向、即
ち<111>軸に沿って入射する場合に、基板法線に対
する入射角度は、54 .7度となる。
【0049】図9は、イオンビームの入射角度に応じて
得られるHfO2 の多結晶薄膜Bの結晶配向性を示す半
値全幅(FWHM)の値を示したものである。この図9
によれば、FWHMの値は、イオンビームの入射角度が
55〜60度の範囲で極小値を示す。ここで前記のよう
に入射角度50〜60度の範囲で良好な結晶配向性を示
すことは、イオンビームの入射角度が前記54.7度と
一致するかその前後になった場合、イオンチャンネリン
グが最も効果的に起こり、基材A上に堆積している結晶
において、基材Aの上面で前記角度に一致する配置関係
になった原子のみが選択的に残り易くなり、その他の乱
れた原子配列のものはイオンビームのスパッタ効果によ
りスパッタされて除去される結果、配向性の良好な原子
の集合した結晶のみが選択的に残って堆積してゆくもの
と推定している。
【0050】なおこの際に、イオンビーム のHfO2
多結晶薄膜Bに対する照射効果として、基材Aに垂直
にHfO2の(100)面を立てる効果と面内方位を整
える効果の2つを奏するが、本発明者としては、基材に
垂直に正確に(100)面を立てる効果が主要であるも
のと推定している。それは、基材Aに垂直にHfO2
(100)を立てる効果が不十分であると、必然的に面
内配向性も乱れるためである。
【0051】次に、イオンビームを成膜面の法線に対し
て50〜60度の入射角度で照射しながら成膜する場合
に温度制御を行うと多結晶薄膜Bの粒界傾角Kの値が良
好になる理由、換言すると、多結晶薄膜Bの結晶配向性
が良好になる理由について本願発明者は以下のように推
定している。通常のスパッタ、レーザ蒸着等の成膜法に
おいて結晶性の良好な薄膜を得るためには、成膜雰囲気
を高温度、例えば400〜600℃程度、あるいはそれ
以上の温度に加熱しながら成膜することが常識的な知見
である。このような高温度に加熱しつつ成膜することで
一般的に結晶性の高い膜を得ていることは、成膜温度と
結晶化との間に密接な関係が存在することを意味し、薄
膜の製造分野において成膜温度が低い場合はアモルファ
ス性に富む膜が生成し易いものと理解されている。
【0052】しかしながら、本願発明に係る技術である
イオンビーム照射に伴う成膜技術を用いる場合は、イオ
ンビームにより結晶を整える効果が極めて大きいため
に、成膜温度は逆にできるだけ低い温度が好ましい。こ
れは、低い温度の方が結晶を構成する原子の運動や振動
がそれだけ少なくなり、イオンビーム照射に伴う結晶を
揃える効果がより効果的に発揮される結果として、結晶
配向性に優れた多結晶薄膜Bが生成し易くなるものと推
定している。
【0053】即ち、本発明の技術によれば、低温になる
ほど[100]軸が安定した多結晶薄膜Bを得ることがで
き、それに伴って[111]軸の角度が一意的に決まるこ
と、および、結晶を構成する原子の熱振動によりディチ
ャネリング(dechanneeling) が起こらなくなり、[1
11]軸に沿ったイオンの衝突断面積が減少して効果的
な配向制御が可能になることによって結晶配向性が良く
なるものと思われる。なお、成膜温度が低温になるほど
結晶配向性の高い多結晶薄膜Bを得ることができ、10
0℃以下の温度で多結晶薄膜Bを成膜した場合により優
れた結晶配向性の多結晶薄膜Bが得られるという事実
は、一般の成膜技術において高温度に加熱しながら成膜
しなくては結晶性の高い膜を得ることが難しいという知
見とは相反するものであり、この点においてイオンビー
ムを斜めから照射しながら成膜する技術の特異性を知る
ことができる。
【0054】また、本発明者らは、上述の理由に加え
て、HfO2 により多結晶薄膜を構成することにより結
晶配向性に優れたものが得られる理由として、次のよう
なことを推測している。スパッタリングによる成膜方法
において、イオン照射されながら膜が形成されていく場
合、照射されるイオンビームによって、結晶構造が破壊
される可能性がある。このために、通常前記イオンビー
ムの照射エネルギーを300eV程度に抑えて照射して
いる。このようなイオンビームによる結晶破壊は、膜を
形成する結晶のボンディングの強さに関係すると考えら
れる。すなわち、結晶のボンディングが弱いものほど、
結晶が破壊されやすく、結果、形成される多結晶薄膜の
結晶配向性が乱れる可能性がある。
【0055】HfO2 のような酸化物材料における結晶
は、通常、イオン結晶とみなせるため、ボンディングの
強さは正負のイオンエネルギーの総和とみなすことがで
き、その値は、格子エネルギーと呼ばれ、おおよその値
を算出することができる。実際に、算出したものを下記
表1に参考までに示す。この表1に示す値は、Born
-harber cycleを用いたものであり、化学便
覧 基礎編 日本化学会編纂を参考にしたものである。
また、算出の際の酸素の2電子親和力については、マー
デリング常数から計算したMgOの格子エネルギー値か
ら換算した値を用いた。(2e-+O→O2- −649.
6kJ/mol)
【0056】
【表1】
【0057】この結果から、HfO2 のボンディングの
強さは、他の似た構造の酸化物よりも高いことがわか
る。よって、HfO2 からなる多結晶薄膜においては、
その製造時に、イオンビームの照射によル結晶の破壊が
少なく、イオンビームによる結晶配向性制御効果を大き
くすることができるので、結晶配向性が良好となると考
えられる。
【0058】
【実施例】以下、本発明における実施例を示す。図3〜
図5に示す構成の装置を使用し、イオンビーム照射を伴
うスパッタリングを行って、HfO2の多結晶薄膜を金
属テープ上に成膜した。図3に示す装置を収納した真空
容器内を真空ポンプで真空引きして3 .0×10-4Torr
に減圧するとともに、真空容器内にAr+O2 のガスを
Arにおいては16.0sccm、O2ガスにおいては、
8.0sccmの割合で供給した。基材として、表面を
鏡面加工した幅10mm、厚さ0.5mm、長さ数mの
ハステロイC276テープを使用した。ターゲットは、
HfO2とYb23 とを、Yb23がHfO2に対して
15mol%となるように混合した焼結体を用いた。そ
して、Ar+イオンをイオンガンからターゲットに照射
してスパッタ するとともに、イオンガンからのイオン
ビームの入射角度を基材ホルダ上の基材テープの成膜面
の法線に対して入射角55度に設定し、Ar+ のイオン
ビームのエネルギーを300eV、イオン電流密度を2
00μA/cm2に設定して 基材上にレーザ蒸着と同時
にイオンビーム照射を行ない、基材テープを基材ホルダ
に沿って一定速度で移動させながら基材テープ上に厚さ
1100nmのHfO2 からなる多結晶薄膜を形成し
た。なお、前記の成膜の際に、基材ホルダの加熱ヒータ
を作動させ、成膜時の基材および多結晶薄膜の温度を3
00℃にそれぞれ制御した。
【0059】得られた各試料におけるX線による(11
1)極点図を求めた結果を図8に示す。図8に示す結果
から、形成したHfO2 からなる多結晶薄膜の配向性が
優れた状態([100]配向状態)であることを確認する
ことができた。
【0060】次に、前記のようにc軸配向された試料に
おいて、HfO2 多結晶薄膜のa軸あるいはb軸が配向
しているか否かを測定した。その測定のためには、図7
に示すように、基材A上に形成されたYSZの多結晶薄
膜にX線を角度θで照射するとともに、入射X線を含む
鉛直面において、入射X線に対して2θ(58.7度)
の角度の位置にX線カウンター58を設置し、入射X線
を含む鉛直面に対する水平角度φの値を適宜変更して、
即ち、基材Aを図7において矢印に示すように回転角φ
だけ回転させることにより得られる回折強さを測定する
ことにより多結晶薄膜Bのa軸どうしまたはb軸どうし
の配向性を計測した。
【0061】さらに、得られたHfO2 の多結晶薄膜の
各結晶粒における結晶配向性を試験した。この試験では
図7を基に先に説明した方法でX線回折を行なう場合、
φの角度を−20度〜20度まで1度刻みの値に設定し
た際の回折ピークを測定した。そして、そのピーク値が
±何度の範囲で現れ、±何度の範囲では消失しているか
否かにより面内配向性を求めた。
【0062】更にこれらの多結晶薄膜上にイオンビーム
スパッタ装置を用いて酸化物超電導層を形成した。ター
ゲットとして、Y0.7Ba1.7Cu3.07-xなる組成の酸
化物超電導体からなるターゲットを用いた。また、蒸着
処理室の内部を1×10-6トールに減圧し、スパッタリ
ングを行なった。その後、400゜Cで60分間、酸素
雰囲気中において熱処理した。得られた酸化物超電導テ
ープ導体は、幅10.0mm、長さ1mのものである。
この酸化物超電導テープ導体を液体窒素により冷却し、
中央部の幅10mm、長さ10mmの部分について4端
子法により臨界温度と臨界電流密度の測定を行なった結
果を求めた。
【0063】この結果、上記HfO2 の多結晶薄膜にお
ける面内配向性は、28°であり、得られた酸化物超電
導層HfO2の臨界電流密度は、2.0×105A/cm2
であった。このように、HfO2 からなる多結晶薄膜の
結晶配向性も良好になり、この多結晶薄膜を中間層に用
いた酸化物超電導導体においては、臨界電流密度も高い
ものが得られた。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、多結晶体からなる金属基材上に形成された多数
の結晶粒が結晶粒界を介して結合されてなるHfO2
多結晶薄膜であって、基材の成膜面と平行な面に沿う多
結晶粒の同一結晶軸が構成する粒界傾角が、30度以下
に形成されてなるものであるので、基材の成膜面に対し
てc軸配向性に加えてa軸配向性とb軸配向性が良好
で、粒界傾角35度以下の結晶配向性に優れ、また反応
安定性に優れ、例えば、高温における加熱処理にもその
界面が結晶配向性が乱れることのない、安定な多結晶薄
膜を得ることができる。また、請求項2のHfO2の一
部が希土類酸化物である多結晶薄膜によれば、より、結
晶配向性に優れた多結晶薄膜を得ることができる。
【0065】また、請求項3の多結晶薄膜の製造方法に
よれば、ターゲットから発生させた粒子を、多結晶体の
金属からなる基材上に堆積させ、この基材上にターゲッ
トの構成元素からなる多結晶薄膜を形成する方法におい
て、前記ターゲットとして、HfO2 を主構成成分とす
る結晶体を用い、このターゲットの構成粒子を基材上に
堆積させる際に、イオンソースから発生させたイオンビ
ームを基材の成膜面の法線に対して50〜60度の入斜
角度で斜め方向から照射しながら、前記粒子を基材上に
堆積させて成膜するので、基材の成膜面に対してc軸配
向性に加えてa軸配向性とb軸配向性をも向上させた粒
界傾角35度以下の結晶配向性に優れ、かつ反応安定性
に優れたHfO2の多結晶薄膜を確実に得ることができ
る。
【0066】さらに、請求項4の多結晶薄膜の製造方法
においては、請求項3の製造方法において、上記ターゲ
ットにHfO2と希土類酸化物との焼結体からなるもの
を用いているので、成膜工程におけるHfO2の結晶配
向制御が容易となり、より結晶配向性の優れたHfO2
からなる多結晶薄膜を製造することができる。
【0067】また、請求項5の酸化物超電導導体は、テ
ープ基材上に、上記請求項1または2の結晶配向性の良
好な多結晶薄膜が中間層として形成され、その上に酸化
超伝導体からなる酸化超電導層が形成されてなる酸化物
超電導導体であるので、結晶配向性の良好な酸化物超電
導層を得ることができ、これにより臨界電流密度の高い
超電導特性の良好な酸化物超電導導体を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のHfO2の多結晶薄膜の一例を示
す断面図である。
【図2】 図1に示すHfO2多結晶薄膜の結晶粒と
その結晶軸方向および粒界傾角を示す拡大平面図であ
る。
【図3】 本発明方法を実施して基材上に多結晶薄膜
を製造するための装置の一例を示す構成図である。
【図4】 図3に示す装置に設けられるイオンガンの
一例を示す断面図である。
【図5】 図3に示す装置に設けられる冷却装置の一
例を示す断面図である。
【図6】 本発明の酸化物超電導導体の一例を示す断
面図である。
【図7】 多結晶薄膜の結晶配向性を測定するための
X線装置の配置図である。
【図8】 実施例の多結晶薄膜の極点図である。
【図9】 イオンビームと入射角度と得られた多結晶
薄膜の半値全幅との関係を示すグラフである。
【図10】 従来の多結晶薄膜の一例を示した断面図で
ある。
【符号の説明】
A…基材、B…多結晶薄膜、C…酸化物超電導層、K…
粒界傾角、θ…入射角度、φ…回転角、20、21…結
晶粒、22…酸化物超電導導体、23…基材ホルダ、2
4・・・基材送出ボビン(送出装置)、25・・・基材巻取ボビ
ン(巻取装置)、36…ターゲット、38…イオンガン、
39・・・イオンソース、40…成膜処理容器、R・・・冷却
装置、60・・・基台、61・・・冷媒導入管、62・・・往
管、63・・・戻管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯島 康裕 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 木村 真理子 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 斎藤 隆 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 Fターム(参考) 4K029 AA02 BA43 BA50 BB02 BB07 BB08 BC04 CA05 CA15 DC05 DC09 DC37 4M113 AD35 AD36 AD68 BA04 CA34 CA35 CA36

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多結晶体からなる金属基材上に形成され
    た多数の結晶粒が結晶粒界を介して結合されてなる酸化
    ハフニウムの多結晶薄膜であって、基材の成膜面と平行
    な面に沿う多結晶粒の同一結晶軸が構成する粒界傾角
    が、30度以下に形成されてなることを特徴とする多結
    晶薄膜。
  2. 【請求項2】 上記酸化ハフニウムの一部が、希土類元
    素に置換されてなることを特徴とする請求項1に記載の
    多結晶薄膜。
  3. 【請求項3】 ターゲットから発生させた粒子を、多結
    晶体の金属からなる基材上に堆積させ、この基材上にタ
    ーゲットの構成元素からなる多結晶薄膜を形成する方法
    において、前記ターゲットとして、酸化ハフニウムを主
    構成成分とする結晶体を用い、このターゲットの構成粒
    子を基材上に堆積させる際に、イオンソースから発生さ
    せたイオンビームを基材の成膜面の法線に対して50〜
    60度の入斜角度で斜め方向から照射しながら、前記粒
    子を基材上に堆積させて成膜することを特徴とする多結
    晶薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記ターゲットが、酸化ハフニウムと、
    希土類酸化物との焼結体からなることを特徴とする請求
    項3に記載の多結晶薄膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 テープ状の多結晶体の金属からなる基材
    上に多数の結晶粒が結合されてなる多結晶薄膜が形成さ
    れ、この多結晶薄膜上に酸化超伝導体からなる酸化超電
    導層が形成されてなる酸化物超電導導体であって、上記
    多結晶薄膜が請求項1または2に記載の多結晶薄膜であ
    ることを特徴とすることを特徴とする酸化物超電導導
    体。
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