JP2001152153A - 地盤や人工構造物等の安定化用注入薬液組成物及びそれを用いた安定強化止水工法 - Google Patents

地盤や人工構造物等の安定化用注入薬液組成物及びそれを用いた安定強化止水工法

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JP2001152153A JP33588599A JP33588599A JP2001152153A JP 2001152153 A JP2001152153 A JP 2001152153A JP 33588599 A JP33588599 A JP 33588599A JP 33588599 A JP33588599 A JP 33588599A JP 2001152153 A JP2001152153 A JP 2001152153A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定成分よりなる注入薬液組成物を注入し、
従来形成することが困難であった発泡状の無機−有機複
合固結体を形成することにより、固結強度が大きく、安
定強化効果、耐久性、注入作業性及び経済性に優れた岩
盤ないし地盤及び人工構造物の安定強化ないしは止水を
可能ならしめる薬液及び工法を提供する。 【解決手段】 (A)アルカリ珪酸塩水溶液、(B)有
機ポリイソシアネート組成物、(C)分子量が120未
満のイミダゾール系触媒、及び必要に応じて(D)ポリ
オールからなる地盤や人工構造物等の安定化用注入薬液
組成物、並びにこの薬液を用いた岩盤ないし地盤及び人
工構造物の安定強化ないしは止水工法により解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、地盤や人工構造物等の
安定化用注入薬液組成物及びそれ用いた安定強化止水工
法に関する。更に詳しくは、破砕帯を有する岩盤や不安
定軟弱地盤の固結安定化ないし封止、漏水、湧水のある
岩盤ないし地盤の止水や空隙充填、更にコンクリート等
の人工構造物のクラック、空隙、既設トンネル等の安定
強化、封止及び止水工法並びにそれに用いる安全性の高
い安定化用注入薬液組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、不安定岩盤や地盤の安定強化、人
工構造物のクラックや空隙の充填法の1つとして無機な
いし有機系グラウトの注入が行なわれ、ある程度の効果
をあげている。
【0003】しかしながら、これらの方法を詳細にチェ
ックすると、必ずしも満足しうる結果が得られていな
い。例えば、一般に多用されているセメントミルクは懸
濁液であるため、岩盤や人工構造物等のクラックや砂礫
等の地盤層への浸透性が悪く、しかも固結速度や強度発
現が遅いため、短時間に固結して強度が発現することが
要求されるトンネルや地下地盤掘削時の不安定地盤を早
期に安定強化させる目的が達成しえない。更に、湧水や
漏水のみられる場合には、なおさら注入セメントミルク
が希釈、流失してしまう。また代表的な無機系グラウト
である水ガラス系2液システムグラウトについても固結
体強度が0.29〜0.98MPa程度と低く、更に固
結体が水と接触すると経時変化が起こり、Na2OやS
iO2等の主成分が溶脱し、アルカリ汚染や大幅な強度
低下にいたるという問題がある。
【0004】一方、尿素系等の有機系グラウトについて
も固結強度不足や、硫酸、ホルマリン等の硬化成分や助
剤成分の溶出が発生するという問題がある。また、特公
昭63−63687号公報、特公昭63−63688号
公報、特開昭63−7413号公報、特開昭63−74
90号公報、特開昭63−7491号公報、特開昭63
−8477号公報、特開昭63−35913号公報等に
は、ポリオールとポリイソシアネートを主成分とする速
硬性硬質発泡ウレタンシステム注入による岩盤の固結工
法が記載されている。
【0005】また、特開昭61−9482号公報及び特
開昭55−160079号公報には、ポリイソシアネー
トと水ガラス(珪酸ソーダ水溶液)とを用い、水ガラス
側にポリイソシアネートの三量化触媒として特定の芳香
族三級アミンであるマンニッヒ塩基を配合してなる注入
薬液組成物が記載されている。
【0006】なお、特開平7−179855号公報で
は、ポリイソシアネートと水ガラス(珪酸ソーダ水溶
液)とを用い、水ガラス側に、分子量120以上で水酸
基を1個又は2個有する三級アミン系触媒を用いた注入
薬液組成物が記載されている。また、特開平7−207
654号公報では、ポリイソシアネートと水ガラスとを
用い、水ガラス側に、分子量が120以上で窒素原子数
が2以上である水溶性脂肪族三級アミンを用いた注入薬
液組成物が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に着目してなされたもので、特定成分よりなる注入薬
液組成物を注入し、従来形成することが困難であった発
泡状の無機−有機複合固結体を形成することにより、固
結強度が大きく、安定強化効果、耐久性、注入作業性及
び経済性に優れた岩盤ないし地盤及び人工構造物の安定
強化ないしは止水を可能ならしめることを目的とするも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、以
下の(1)〜(7)に示されるものである。 (1)(A)アルカリ珪酸塩水溶液、(B)有機ポリイ
ソシアネート組成物、及び(C)分子量が120未満の
イミダゾール系触媒、からなる地盤や人工構造物等の安
定化用注入薬液組成物。
【0009】(2)(D)ポリオールを含有してなる前
記(1)の安定化用注入薬液組成物。
【0010】(3)(B)有機ポリイソシアネート組成
物が、ジフェニルメタンジイソシアネート(B1)及び
ジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体(B
2)からなるポリイソシアネートとポリ(オキシプロピ
レン)ポリオールを反応させて得られるイソシアネート
基末端プレポリマーを含有するものであることを特徴と
する、前記(1)又は(2)の安定化用注入薬液組成
物。
【0011】(4)(C)分子量が120未満のイミダ
ゾール系触媒が、1,2−ジメチルイミダゾールである
ことを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれかの安
定化用注入薬液組成物。
【0012】(5)(D)ポリオールが、ポリ(オキシ
プロピレン)ポリオールであることを特徴とする、前記
(2)〜(4)のいずれかの安定化用注入薬液組成物。
【0013】(6)岩盤ないし地盤に所定間隔で複数個
の孔を穿設し、前記孔内に中空の注入ボルトを挿入し、
ボルトの開口部より前記(1)〜(5)のいずれかの安
定化用注入薬液組成物を、岩盤ないし地盤に注入し、固
結ないし封止させることを特徴とする、岩盤ないし地盤
の安定強化止水工法。
【0014】(7)人工構造物に注入パイプを挿入し、
該注入パイプを介して前記(1)〜(5)のいずれかの
安定化用注入薬液組成物を、人工構造物及び/又はその
背面に注入し、固結ないし封止させることを特徴とす
る、人工構造物の安定強化止水工法。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の地盤や人工構造物等の安
定化用注入薬液組成物(以下、注入薬液組成物という)
は、前記したように、(A)アルカリ珪酸塩水溶液(以
下、(A)成分という)、(B)有機ポリイソシアネー
ト組成物(以下、(B)成分という)、及び(C)分子
量が120未満のイミダゾール系触媒(以下、(C)成
分という)、及び必要に応じて後述する(D)ポリオー
ル(以下、(D)成分という)からなるものである。
【0016】本発明の注入薬液組成物の固結反応は、極
めて複雑であるため明確ではないが、おそらく(A)成
分と(B)成分とを混合したときに、(A)成分中に形
成されるシラノール基と(B)成分中のイソシアネート
基とが反応して無水珪酸−ウレタン複合体が形成され、
同時に(B)成分が水と反応して炭酸ガスを発生しなが
ら尿素結合による多量体や無水珪酸−尿素架橋複合体を
形成し、副生した炭酸ガスの一部は(A)成分中に溶解
し、(A)成分中のアルカリ珪酸塩をゲル化して無水珪
酸ゲルを形成することに基づくものと推定される。更
に、(D)成分が存在する場合には、(D)成分中の水
酸基と(B)成分とが反応してウレタン樹脂が形成され
ることにも基づくものと推定される。
【0017】また、(B)成分と水との反応によって発
生する炭酸ガス並びに(A)成分と(B)成分との反応
時又は(A)成分及び(B)成分、(D)成分との反応
時に発生する反応熱によって蒸発する水蒸気により、前
記無水珪酸−ウレタン複合体は発泡状の固結体を形成
し、その体積を増大させる。このとき、発泡が生じる
が、かかる発泡時の発泡圧により、前記無水珪酸−ウレ
タン複合体が土砂、岩石、レンガ、石炭、人工構造物等
の間隙に入り込みやすくなる。
【0018】以下、本発明の注入薬液組成物の構成成分
について述べる。
【0019】本発明に用いられる(A)成分であるアル
カリ珪酸塩水溶液は、前記したように、主としてそのシ
ラノール基と後述する(B)成分のイソシアネート基と
の反応によって無水珪酸−ウレタン複合体を形成させる
成分である。
【0020】前記(A)成分としては、例えば珪酸カリ
ウムや式:Na2O・xSiO2で表わされる珪酸ソーダ
等の水溶液を主成分とするものが挙げられ、このような
珪酸ソーダは、例えばNa2OとSiO2とのモル比が
2:1〜1:4のものが挙げられる。
【0021】また、前記(A)成分の固形分濃度は、通
常10〜70質量%であることが好ましく、特に20〜
50質量%となるように調整することが好ましい。具体
的には、1号珪酸ソーダS2、2号珪酸ソーダN5、2
号珪酸ソーダQ3、2号珪酸ソーダT8(いずれも東曹
産業株式会社製)等が挙げられる。
【0022】前記(B)成分に用いられるものとして
は、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(以
下、MDIという)、MDIとMDI系多核縮合体との
混合物(以下、ポリメリックMDIという)、液状MD
I(カルボジイミド変性MDI)、トリレンジイソシア
ネート、キシリレンジイソシアネート、トリメチレンキ
シリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、ナフタレンジイ
ソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、水素添加キシリレンジイソシアネート等のポリイ
ソシアネートの単独又は2種以上の混合物や、前記ポリ
イソシアネートに触媒を加え、二量体又は三量体とした
もの等が挙げられる。
【0023】また前記のほかにも、例えばメタノール、
エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノー
ル、ラウリルアルコール等のモノオール;エチレングリ
コール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
ブチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4
−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオ
ールやグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエ
リスリトール等のポリオール:そのほかモノエタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、
ジグリセリン、ソルビトール、蔗糖等の単独又は混合物
にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレ
ンオキサイド、スチレンオキサイド等のアルキレンオキ
サイドを単独又は併用し、公知の方法で付加重合して得
られるモノオール又はポリオールと、前記ポリイソシア
ネートとを、例えばNCO基とOH基との当量比(NC
O基/OH基)が1.5〜500、好ましくは2.0〜
400の範囲となるように公知の方法で反応させて得ら
れるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーも、前
記(B)成分として好適に用いることができる。
【0024】これらの(B)成分のなかでも固結強度、
安全衛生面及び経済性の点からイソシアネート基含有ウ
レタンプレポリマー等が好ましく、いわゆる取扱い環境
温度下での揮発性が極めて小さく、液状でしかも固結強
度、経済性、低温安定性、環境への負荷等を考慮する
と、ポリメリックMDIとポリ(オキシプロピレン)ポ
リオールを反応させて得られるイソシアネート基末端プ
レポリマーを含有するものが好ましい。これは、ポリ
(オキシエチレン)ポリオールを用いると、(B)成分
が親水性となり、薬液を岩盤ないし地盤への注入時に、
薬液が地下水層へしみ出る可能性があるが、ポリ(オキ
シプロピレン)ポリオールは疎水性のため、薬液が地下
水層へしみ出る可能性は小さいためである。
【0025】このときのポリメリックMDIの組成は、
質量比でMDI/MDI系多核縮合体=30/70〜7
0/30が好ましい。MDIが少なすぎる場合は、薬液
の粘度が高くなりやすい。また、MDIが多すぎる場合
は、薬液の低温貯蔵時において、MDIの結晶化により
析出物が出やすい。
【0026】更に、ポリメリックMDI中のMDIに
は、2,2′−MDI、2,4′−MDI、4,4′−
MDIの三種類の異性体がある。本発明においては、M
DIの異性体の質量構成比は、(2,2′−MDI+
2,4′−MDI)/4,4′−MDI=10/90〜
50/50が好ましい。4,4′−MDIが多すぎる場
合は、薬液の低温貯蔵安定性が低下しやすい。また、
(A)アルカリ珪酸塩水溶液や(D)ポリオールとの相
溶性が低下しやすくなり、また、4,4′−MDIは、
2,2′−MDIや2,4′−MDIより反応性が大き
いため、混合後の増粘が激しくなり、混合装置(ポン
プ)の圧力を高くしないと相溶性が不良となり好ましく
ない。一方、4,4′−MDIが少なすぎる場合は、
4,4′−MDIよりも、2,2′−MDIや2,4′
−MDIのほうが分子構造的に柔軟なため、強度が発現
しにくい。
【0027】また、このポリ(オキシプロピレン)ポリ
オールは、数平均分子量が76〜10,000のが好ま
しく、76〜5,000が特に好ましい。分子量が大き
すぎる場合は、薬液の粘度が大きくなり、作業性が低下
しやすくなる。また、このポリ(オキシプロピレン)ポ
リオールは、オキシアルキレン基中におけるオキシプロ
ピレン基含有量が50質量%以上、好ましくは60質量
%以上であれば、他のオキシアルキレン基を有していて
も問題はない。また、ポリ(オキシプロピレン)ポリオ
ールの実質平均官能基数は2以上が好ましく、特に2〜
4が特に好ましい。なお「実質的平均官能基数」とは、
開始剤に用いられるポリオールの平均官能基数のことで
ある。
【0028】本発明に用いられる(B)有機ポリイソシ
アネート組成物の粘度は、25℃で500mPa・s以
下が好ましく、更に好ましくは50〜450mPa・s
である。粘度が大きすぎると、作業性が低下しやすいだ
けではなく、薬液注入の際にポンプ圧を高くしなければ
ならず、ラインの破損を招きやすい。
【0029】前記(B)成分の配合量は、(A)成分中
の例えばNa2OとSiO2とのモル比等によって異なる
ので一概には決定することができないが、通常(A)成
分と(B)成分との配合割合((A)成分/(B)成
分)が質量比で10/100〜100/10が好まし
く、特に20/100〜100/20となるように調整
することが好ましい。かかる配合割合が前記下限値より
も小さい場合には、注入薬液組成物コストが高価なもの
となり不経済となるうえ、比例式注入ポンプでの配合比
のコントロールが極めて困難となる傾向があり、また前
記上限値よりも大きい場合には、注入薬液組成物の固化
が不充分で未硬化状となり、たとえ硬化しても硬度が低
く、脆くて実用に供しえなくなる傾向がある。
【0030】前記(B)成分は、(A)成分との反応性
や固結性に優れている。更に岩盤や地盤への浸透性を向
上させるため、トルエンやキシレン、1,1,1−トリ
クロロエタン、塩化メチレン、トリクロロフルオロメタ
ン等の有機溶剤が希釈剤として用いてもよいが、これら
の有機溶剤は揮発性であり、固結後放出されて環境を損
うことがあるため、できるだけ使用しないほうが好まし
い。
【0031】また、(B)成分の希釈剤として、(B)
成分と混合してもイソシアネート基とは反応せず、
(B)成分の貯蔵安定性や減粘に優れ、一方、(A)成
分と混合接触した場合には、ただちに反応して硬化する
反応性希釈剤を用いることができるが、やはり、少量は
放出されて環境を損なうことがあるため、できるだけ使
用しないほうが好ましい。
【0032】前記反応性希釈剤は、(B)成分を希釈し
て注入時の粘度を低下させる働きを有するとともに、
(A)成分と接触することによってアルカリ加水分解を
受け、(A)成分及び/又は(B)成分と反応して該
(A)成分と(B)成分との硬化反応に積極的に関与
し、より強い無水珪酸−ウレタン複合体や無水珪酸−尿
素架橋複合体、網状の無水珪酸ゲルを主体とする無機−
有機複合固結体を形成することになる。
【0033】前記反応性希釈剤の代表例としては、例え
ば低分子量二塩基酸のジエステル類、一価又は多価アル
コール類の酢酸エステル類、アルキレンカーボネート
類、エーテル類、環状エステル類、酸無水物、(メタ)
アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0034】低分子量二塩基酸のジエステル類として
は、例えばグルタール酸、コハク酸、アジピン酸、マロ
ン酸、シュウ酸、ピメリン酸等のジメチルエステル、ジ
エチルエステル等のジアルキルエステル等が挙げられ
る。
【0035】一価又は多価アルコール類の酢酸エステル
類としては、例えばメチルセロソルブ、エチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエ
ーテル、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等の
グリコールエーテル類のアセテート;3−メトキシブチ
ルアルコール、3−メチル−3−メトキシブチルアルコ
ール等のアルコキシアルキルアルコール類のアセテー
ト;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール等のグリコール類のジアセテート等
が挙げられる。
【0036】アルキレンカーボネート類としては、例え
ばプロピレンカーボネート、各種希釈剤に溶解した液状
エチレンカーボネート等が挙げられる。
【0037】エーテル類としては、例えばテトラヒドロ
フラン、ジオキサン、脱水ヒマシ油等の環状エーテル等
が挙げられる。
【0038】環状エステル類としては、例えばγ−ブチ
ルラクトン等のラクトン類;ε−カプロラクタム等のラ
クタム類等が挙げられる。
【0039】酸無水物としては、例えば無水プロピオン
酸、無水酪酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
【0040】(メタ)アクリル酸エステルとしては、例
えば(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、ブチル等の
アルキルエステル、(メタ)アクリル酸とエチレングリ
コール、ジエチレングリコール、重量平均分子量が10
0〜1000のポリエチレングリコール、プロピレング
リコール、ジプロピレングリコール、重量平均分子量が
100〜1000のポリプロピレングリコール、重量平
均分子量が100〜5000のエチレンオキサイドやプ
ロピレンオキサイド共重合ジオール又はトリオール等の
アルコール類との(メタ)アクリル酸エステル等が挙げ
られる。
【0041】反応性希釈剤を使用する場合、この配合量
は質量比で、(B)成分/反応性希釈剤=100/5〜
100/100の範囲で使用することが一般的である。
【0042】本発明に用いられる(C)成分である分子
量が120未満のイミダゾール系触媒及は、前記(A)
成分、(B)成分及び必要に応じて用いられる(D)成
分の反応硬化を促進するための触媒としても作用するも
のであり、該(C)成分は、(A)成分との相溶性が良
好で、皮膚や衣服に付着しても水洗によって容易に除去
され、触媒活性も高いものである。
【0043】前記(C)成分としては、例えば1−メチ
ルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−プロピ
ルイミダゾール、1−シアノイミダゾール、1−シアノ
メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、
1,4−ジメチルイミダゾール、1−メチル−2−エチ
ルイミダゾール、1−メチル−4−エチルイミダゾー
ル、1−エチル−2−メチルイミダゾール、1−エチル
−4−メチルイミダゾール等が挙げられる。
【0044】なお、前記(C)成分である触媒の分子量
が、N,N,N´−トリメチルアミノエチルエタノール
アミンやN,N,N′,N′−テトラメチルヒドロキシ
プロピレンジアミン等のように120以上である場合に
は、触媒活性が不十分であるため、(B)成分は親水性
であることが必要となる。本発明では、そのようなこと
はなく、例えば疎水性ポリオールを用いたイソシアネー
ト基末端プレポリマーを(B)成分として用いても、充
分な性能が得られる。
【0045】本発明においては、かかる(C)成分は、
1,2−ジメチルイミダゾールが好ましい。
【0046】更に(A)成分と(C)成分の配合量は質
量比で、前記(A)成分/(C)成分)=100/0.
1〜100/20が好ましく、特に100/0.5〜1
00/15であることが好ましい。かかる(C)成分の
配合量が前記下限値未満である場合には、硬化しにくく
固結反応が不充分で、目的とした性能の固結体が得られ
にくくなる傾向があり、また前記上限値を越える場合に
は、硬化反応が速すぎて前記(A)成分、(B)成分及
び後述する必要に応じて用いられる(D)成分が均一に
混合されにくくなる傾向がある。
【0047】また、本発明の注入薬液組成物には、前記
(A)成分、(B)成分、(C)成分の他に、(D)成
分であるポリオール成分を配合することができる。
【0048】本発明に用いられる(D)成分であるポリ
オール成分としては、例えば前記(B)成分であるイソ
シアネート基含有ウレタンプレポリマーに用いられるポ
リオール等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を
混合して用いることができる。また、これらのポリオー
ルの数平均分子量は62〜20,000であることが好
ましく、特に76〜10,000が好ましい。更に、薬
液の環境への負荷や経済性、低温安定性、薬液注入時の
作業性等を考慮すると、疎水性のポリ(オキシプロピレ
ン)ポリオールが好ましい。なお、ポリ(オキシプロピ
レン)ポリオールの実質平均官能基数は2以上が好まし
く、特に2〜4が特に好ましい。
【0049】前記(D)成分の配合量は、用いる(B)
成分の種類等によって異なるので一概には決定すること
ができないが、通常(B)成分と(D)成分との配合割
合が、(B)成分中のNCO基と(D)成分中のOH基
とのモル比(NCO基/OH基)が0.5〜500が好
ましく、特に1〜450となるように調整することが好
ましい。かかるNCO基とOH基のモル比が前記下限値
未満である場合には、注入薬液組成物から得られる固結
体が柔かすぎて実用に供しにくくなる傾向があり、また
前記上限値を越える場合には、固結体が脆くなる傾向が
ある。
【0050】また、上記と同様に(A)アルカリ珪酸塩
水溶液と(B)有機ポリイソシアネート組成物の二相関
の分散や反応性を調整する目的で、界面活性剤を用いる
と好ましくなる。界面活性剤としては、エチレンオキシ
ド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを含有
するポリグリコールエーテルと、少なくとも1個の活性
水素を含有する有機化合物とを縮合することによって得
られる。この少なくとも1個の活性水素を含有する有機
化合物としては、アルコール、フェノール、チオール、
1級又は2級アミンや、1個以上のアルキル置換基を有
するフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド誘導
体を挙げることができる。界面活性剤は、あらかじめ
(A)アルカリ珪酸塩水溶液及び/又は(B)ポリイソ
シアネート組成物に添加することができるが、(A)ア
ルカリ珪酸塩水溶液にあらかじめ混合した場合、攪拌し
た際に泡立ち、正確に計量できなくなるので、(B)ポ
リイソシアネート化合物のみに混合してから使用するの
が好ましい。
【0051】また、シリコーン系界面活性剤を挙げるこ
とができ、これには活性水素基を含有するものと含有し
ないものとがある。好ましいのは、活性水素基を含有し
ないタイプである。例えば、各種のシロキサンポリアル
キレンオキシドブロック共重合体が挙げられる。具体的
には、ユニオンカーバイド製のL−5340、テー・ゴ
ールドシュミット製のB−8451、B−8407等を
挙げることができる。なお、界面活性剤の添加量は、
(A)ポリイソシアネート化合物に対して0.05〜5
質量%が好ましい。
【0052】更に本発明の注入薬液組成物には、必要に
応じて、セメント、高炉スラグ、石こう、炭酸カルシウ
ム、粘土、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、生
石灰、消石灰、ベントナイト等の無機充填剤や、希釈
剤、レベリング剤、難燃剤、シリコーン系整泡剤、老化
防止剤、耐熱性付与剤、抗酸化剤、触媒等を適宜配合量
を調整して配合することができる。
【0053】本発明の注入薬液組成物を調整する際の前
記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分、並びに必
要に応じて用いられる(D)成分の混合順序には特に限
定がないが、通常、(A)成分、(C)成分、及び
(D)成分の混合物(A液)と、(B)成分(B液)と
の二成分系として用いることができる。
【0054】本発明における特殊な注入薬液である
(A)成分、(B)成分、及び(C)成分、並びに必要
に応じて(D)成分からなる注入薬液組成物は、空隙や
クラックの多い軟質ないし不安定な地盤、岩盤、破砕帯
層、更にはクラックや空隙を有する人工構造物等に注入
され、固結ないし封止されるが、このように注入して固
結ないし封止する方法については特に限定がなく、公知
の方法を採用しうる。その一例をあげれば、例えば
(A)成分、(B)成分、及び(C)成分、並びに
(D)成分の注入量、圧力、配合比等をコントロールし
うる比例配合式ポンプを用い、(A)成分、(C)成
分、及び必要に応じて(D)成分の混合物(A液)と、
(B)成分(B液)とを別々のタンクに入れ、岩盤等の
所定箇所(例えば0.5〜3m程度の間隔で穿設された
複数個数の孔)に、あらかじめ固定されたスタチックミ
キサーや逆止弁等を内装した有孔のロックボルトや注入
ロッドを通し、この中に前記タンク内の各成分を注入圧
0.05〜5MPa(ゲージ圧)で注入し、スタチック
ミキサーを通して所定量の前記A液とB液とを均一に混
合させ、所定の不安定岩盤ないし地盤箇所に注入浸透、
硬化させて固結ないし封止し、安定化する方法等があ
る。
【0055】なお、本発明において、封止とは、空洞や
空隙に注入薬液組成物を充填し、間隙を埋めることをい
う。
【0056】また、例えばトンネル切羽先端の天盤部に
注入する場合には、注入に先立ち、例えば約1mの所定
の間隔で例えば直径42mmのビットでジャンボ機を用
いて削孔し、深さ2m、削孔角度10〜25°の注入孔
を設け、この注入孔にスタチックミキサーを内挿した長
さ3mの中空炭素鋼管製注入ボルトを挿入し、注入薬液
組成物を前記した方法で注入することが好ましい。注入
作業は、注入圧が急激な上昇した時点で終了する。一般
に、注入孔1個あたり薬液量は30〜200kgである
ことが好ましい。
【0057】また、人工構造物のクラック等の安定強化
止水は、例えば該クラック面に対して20〜50cm間
隔で直径10mm、深さ5〜10cmにドリルで削孔
し、孔内の削りくずや粉塵を圧縮空気で吹きとばし、削
孔上に脱脂綿を約5mm厚にのせ、その上から直径約1
0mm、長さ20〜30mmの注入パイプを打ち込み、
注入薬液組成物のリークのない状態にセットする。ま
た、クラックや漏水等の発生箇所に対して約30cmピ
ッチでU字又はV字カットし、注入パイプを急結セメン
トで固定する。次にスタチックミキサー等を内装したY
字管又はT字管を通し、(A)成分、(C)成分、及び
必要に応じて(D)成分の混合物(A液)と、(B)成
分(B液)とを比例配合式ポンプ又は手押し式ポンプ等
を用いて所定の配合比で注入圧0.05〜2MPa(ゲ
ージ圧)、好ましくは0.05〜0.2MPa(ゲージ
圧)で所定量注入する。
【0058】本発明の安定強化止水工法では、粘性が低
い注入薬液組成物が用いられるため、不安定地盤、クラ
ック及び破砕帯等への浸透性がよく、広範囲にわたって
不安定岩盤や地盤、更には人工構造物等の安定化や止水
を図ることができる。また、形成された硬化固結物は、
高強度で耐久性を有し、岩盤等への付着、密着性に優
れ、かつ難燃性を呈し、しかも経済的なものであるの
で、実用上極めて有利である。
【0059】
【実施例】次に本発明の地盤や人工構造物等の安定化用
注入薬液組成物及びそれを用いた安定強化止水工法を製
造例及び実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発
明はかかる製造例及び実施例のみに限定されるものでは
ない。
【0060】[A液の調製]攪拌機のついた、容量:1
50kgの混合機を用い、表1に示す量を仕込んで、均
一にしてA1〜A4を調製した。各原料の仕込み量を表
1に示す。
【0061】 [A液合成用原料] 1号珪酸ソーダS2:珪酸塩水溶液(東曹産業株式会社製) DMIZ :1,2−ジメチルイミダゾール(分子量=96) TMHPDA :N,N,N′,N′−テトラメチルヒドロキシプロピレン ジアミン(分子量=146) PPG200 :ポリ(オキシプロピレン)ポリオール 数平均分子量=200 平均官能基数=2 オキシプロピレン基含有量=100% DPG :ジプロピレングリコール
【0062】
【表1】
【0063】[B液の合成]攪拌機、温度計、冷却器及
び窒素ガス導入管のついた、容量:150kgの反応器
を用いて、ポリイソシアネートB1〜B9を合成した。
原料イソシアネートと原料ポリオールを表2に示す量を
仕込んだ後、80℃まで昇温して3時間反応させて、ポ
リイソシアネートを得た。原料の種類、使用量、分析値
を表2に示す。また、これらのイソシアネートの低温安
定性を下記の条件にて測定した。その結果も表2に示
す。
【0064】 [B液合成用原料] MDI1 :ジフェニルメタンジイソシアネート NCO含量=33.6% 2,2′−MDI+2,4′−MDI=27.0% MDI2 :ジフェニルメタンジイソシアネート NCO含量=33.6% 2,2′−MDI+2,4′−MDI=0.1% MDI3 :ジフェニルメタンジイソシアネート NCO含量=33.6% 2,2′−MDI+2,4′−MDI=50.0% MDI4 :ジフェニルメタンジイソシアネート NCO含量=33.6% 2,2′−MDI+2,4′−MDI=19.0% PMDI1 :ポリメリックMDI NCO含量=30.3% MDI中の2,2′−MDI+2,4′−MDI=11.0% MDI含有量=37.0% PMDI2 :ポリメリックMDI NCO含量=31.0% MDI中の2,2′−MDI+2,4′−MDI=1.0% MDI含有量=40.0% PPG4000:ポリ(オキシプロピレン)ポリオール 数平均分子量=4,000 平均官能基数=2 オキシプロピレン基含有量=100% PPG1000:ポリ(オキシプロピレン)ポリオール 数平均分子量=1,000 平均官能基数=2 オキシプロピレン基含有量=100% PPG200 :ポリ(オキシプロピレン)ポリオール 数平均分子量=200 平均官能基数=2 オキシプロピレン基含有量=100% PEG2000:ポリ(オキシエチレン)ポリオール 数平均分子量=2,000 官能基数=2 オキシエチレン基含有量=100% B−8407 :テー・ゴールドシュミット製シリコーン系界面活性剤 低温安定性試験 得られたポリイソシアネートを−10℃の条件下で1カ
月間放置し、その外観をチェックし、結晶が発生してい
る場合は保温、加熱溶解が必要であると考え、「不良」
と判定し、結晶の発生していない場合を「良好」と判定
した。
【0065】
【表2】
【0066】[実施例1〜9、比較例1〜3]表3、4
に示す組み合わせで、容量300mlのポリカップにA
液とB液を各100gづつ秤量し、毎分600回/10
秒間(20℃)の条件で混合攪拌した。そして、以下の
方法にて発泡体の発泡の外観及び発泡体の発泡倍率、物
性試験並びに耐水性を測定した。その結果を表3、4に
示す。
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】表3、4の各種データを比較すれば、比較
例のタイプによっては実施例と比較して遜色のないデー
タもあるが、総じて比較例は配合液の反応性のバランス
が悪いため、物性や作業性が悪くなっている。
【0070】[発泡体の試験方法] (1)発泡体の外観 前述のようにポリイソシアネート組成物と珪酸塩水溶液
とを配合して得られた発泡体をナイフで切断し、その内
部の状況を観察した。断面が不均一状態であるものを
「不良」と判定し、均一状態であるものを「良好」と判
定した。 (2)発泡倍率 発泡倍率=発泡後の発泡体の容積(ml)/発泡前の配
合液の容積(ml) (3)一軸圧縮強度 JSF T511(土壌工学会基準の土の一軸圧縮試験
方法)に準じて、20℃について行った。 (4)耐水性 A液とB液とをそれぞれ50gずつ配合し、その直後の
流動状態の液体をあらかじめ300mlの水を入れたポ
リカップに素早く入れて、水中での発泡状態を観察す
る。その際に、ポリカップの水が白濁したものを「不
良」と判定し、透明であるものを「良好」と判定した。
【0071】実施例10 破砕帯を有するトンネル切羽先端の天盤部にトンネルア
ーチの中心から左右に60°、合計120°の扇状範囲
内で、ジャンボ機で直径42mmビットにより1m間隔
で削孔角度15°(トンネル掘削方向に対しての角度)
で10個削孔し、得られた孔内に炭素鋼製(JIS G
3445、STKM 17C)の注入ボルト(外形2
7.2mm、内系15mm、長さ3m、静止ミキサー及
び逆止弁内装)を挿入し、口元部分約30cmを2液硬
質発泡ウレタン樹脂を含浸させたメリヤス製ウエスを鉄
棒で押し込みシールした。
【0072】A液として表1におけるA3を20kg薬
液タンクAへ、B液として表2におけるB1を20kg
薬液タンクBへそれぞれ入れ、A液、B液各々につき約
1〜2分間ポンプ循環を行なった。
【0073】次にA液及びB液の各吐出ホース先端をT
字型ユニットに接続後、前記地山に固定した、各注入孔
のボルトにジョイントし、注入圧0.1〜4MPa(ゲ
ージ圧)、注入スピード5〜12kg/分で1孔あたり
約50〜180kgをスムーズに注入することができ
た。
【0074】薬液を注入してから約120分間後に、掘
進により地山の改良状態を調査したところ、固結範囲は
半径50cmの半球状であり、固結安定化していた。
【0075】注入固結部分をサンプラーで直径5cm×
10cmの円柱形状にサンプリングし、一軸圧縮強度を
測定すると24MPaであった。なお、未改良部は破砕
帯のためサンプリングが不可能であった。この結果、本
発明の注入薬液組成物は、その有効性が充分に証明さ
れ、固結安定化層が形成されることが判明した。
【0076】実施例11 不安定なトンネル切羽先端の天盤部(大きな空隙を有す
る花崗岩破砕帯)の空隙充填及び安定化を図るために、
表1における製造例1の薬液注入による安定化を行なっ
た。施工方法は以下のようにして行なった。
【0077】すなわち、トンネル切羽先端の天盤部にト
ンネルアーチの中心から左右に60°、合計120°の
扇状範囲内で、ジャンボ機で直径42mmビットにより
80cm間隔で深さ3mの注入孔を10個削孔した。削
孔角度は20°であった。得られた孔内に実施例1と同
様の炭素鋼製(JIS G 3455、STKM 17
C)の注入ボルトを挿入し、口元部を実施例1と同様に
してシールした。なお、各注入孔のボルトは、掘削方向
に対して左60°の位置のものから右60°の位置のも
のへ向かってNo.1〜5とした。
【0078】A液として表1におけるA2を40kg薬
液タンクAへ、B液として表2におけるB1を40kg
薬液タンクBへそれぞれ入れ、A液、B液各々につき約
1〜2分間ポンプ循環を行なった。
【0079】次にA液及びB液の各吐出ホース先端をT
字型ユニットに接続後、前記地山に固定した、各注入孔
のボルト(No.1〜5)にジョイントし、No.1、
3、5、2、4の順で注入圧0.1〜1MPa(ゲージ
圧)、注入スピード5〜12kg/分で1孔あたり約1
20kg、No.1〜5で合計600kg注入した。
【0080】注入薬液組成物を注入してから約90分間
経過後に地山の安定化状況を確認するために注入孔周辺
を掘進し調査したところ、No.1〜5の左側天盤部
は、固結範囲が半径約40cmで半球状に固結してお
り、かつ大きな空隙部も高密度でよくシールされてい
た。また、掘削時にも天盤部からの崩落はなく、よく安
定化されていた。
【0081】本発明の注入薬液組成物は注入ボルトより
大きな空隙を有する花崗岩破砕帯部に注入することによ
り空隙を完全にシールしかつ破砕帯部にもよく浸透固結
し、岩盤の安定化を図ることができ、トンネル掘削工事
において非常に有益であることが立証された。
【0082】実施例12 鉄筋コンクリート3階建ビルの屋上スラブの立上がりコ
ーナー部にクラックが発生し、降雨時に階下に漏水して
いた。この漏水部に表1におけるA2と表2におけるB
1からなる注入薬液組成物を注入し、止水工事を行なっ
た。
【0083】まずクラックに沿って直径10mmのドリ
ルを用いて約30cmピッチで深さ約5cmの孔を35
個削孔し、孔内の削りくずや粉塵を圧縮空気で吹き飛ば
したのちに削孔上に脱脂綿を約5mm厚にのせ、その上
から外径約10mmの注入パイプを木製ハンマーで打ち
込んだ。
【0084】次にA2を10kg手押ポンプ付薬液タン
クAへ、B1を15kg手押ポンプ付薬液タンクBへ入
れた。
【0085】タンクA及びタンクBの吐出ホースの先端
を静止ミキサーを内装したY字管に継ぎ、各注入パイプ
にワンタッチジョイント形式でセットし、成分Aと成分
Bとの配合割合(質量比)約1/1.5で手押ポンプを
上下に作動させて1孔あたり約1kg注入した。約1.
5時間で35個全部の注入作業が完了した。
【0086】注入後、注入パイプを取り除き、コルク栓
を打ち込み、モルタルを塗布して仕上げた。約2週間後
に激しい降雨があったが、以前のような漏水はまったく
発生せず、クラックシール及び止水に大変有効なことが
立証された。
【0087】
【発明の効果】本発明の地盤や人工構造物等の安定化用
注入薬液組成物及びそれを用いた安定強化止水工法は、
以下に述べる効果を奏する。
【0088】(A)成分であるアルカリ珪酸塩水溶液及
び(B)成分である有機ポリイソシアネート組成物によ
って、更に必要に応じて用いられる(D)成分であるポ
リオール成分を用いた場合には、かかる(D)成分によ
って確実な尿素−無水珪酸複合体、ウレタン−無水珪酸
複合体及び網状の無水珪酸ゲル体を主体とする発泡状の
複合固結体が形成される。したがって、固結硬化性能が
高く確実に岩盤ないし地盤の安定強化を達成することが
でき、かつ漏洩部では確実な止水効果が奏される。
【0089】(A)成分、(B)成分、及び(C)成
分、並びに(D)成分ともに粘性が低く、更に(A)成
分と(C)成分との相溶性が良好であり、確実に発泡固
結するため浸透性に優れている。
【0090】確実に発泡硬化し、固結体強度が大きいた
め、空隙が大きい又はクラックが多い、強度が要求され
る不安定岩盤、地盤、構造物等の充填、安定強化に有効
である。
【0091】(C)成分が水に溶解しやすいことから、
注入薬液組成物が取扱い者の皮膚や衣服に付着した場合
でも、簡単に水洗して除去することができ、安全性が極
めて高い。また(A)成分は、疎水性であるので、地下
水層にしみ出る可能性は小さい。
【0092】このように本発明の工法は優れた特徴を有
しており、一般山岳トンネルはもちろんのこと、大断面
トンネル掘削工事や大深度地下土木工事等において要求
される、より確実かつ高強度で、経済的であり、安全性
に優れた不安定岩盤ないし地盤の安定強化、封止及び止
水を達成するのに極めて有効な工法である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 107:00 C09K 107:00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)アルカリ珪酸塩水溶液、(B)有
    機ポリイソシアネート組成物、及び(C)分子量が12
    0未満のイミダゾール系触媒、からなる地盤や人工構造
    物等の安定化用注入薬液組成物。
  2. 【請求項2】 (D)ポリオールを含有してなる請求項
    1記載の安定化用注入薬液組成物。
  3. 【請求項3】 (B)有機ポリイソシアネート組成物
    が、ジフェニルメタンジイソシアネート(B1)及びジ
    フェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体(B2)
    からなるポリイソシアネートとポリ(オキシプロピレ
    ン)ポリオールを反応させて得られるイソシアネート基
    末端プレポリマーを含有するものであることを特徴とす
    る、請求項1又は2記載の安定化用注入薬液組成物。
  4. 【請求項4】 (C)分子量が120未満のイミダゾー
    ル系触媒が、1,2−ジメチルイミダゾールであること
    を特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の
    安定化用注入薬液組成物。
  5. 【請求項5】 (D)ポリオールが、ポリ(オキシプロ
    ピレン)ポリオールであることを特徴とする、請求項2
    から4のいずれか1項に記載の安定化用注入薬液組成
    物。
  6. 【請求項6】 岩盤ないし地盤に所定間隔で複数個の孔
    を穿設し、前記孔内に中空の注入ボルトを挿入し、ボル
    トの開口部より請求項1から5のいずれか1項に記載の
    安定化用注入薬液組成物を、岩盤ないし地盤に注入し、
    固結ないし封止させることを特徴とする、岩盤ないし地
    盤の安定強化止水工法。
  7. 【請求項7】 人工構造物に注入パイプを挿入し、該注
    入パイプを介して請求項1から5のいずれか1項に記載
    の安定化用注入薬液組成物を、人工構造物及び/又はそ
    の背面に注入し、固結ないし封止させることを特徴とす
    る、人工構造物の安定強化止水工法。
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