JP2001148477A - 窒化物半導体 - Google Patents

窒化物半導体

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JP2001148477A
JP2001148477A JP32923899A JP32923899A JP2001148477A JP 2001148477 A JP2001148477 A JP 2001148477A JP 32923899 A JP32923899 A JP 32923899A JP 32923899 A JP32923899 A JP 32923899A JP 2001148477 A JP2001148477 A JP 2001148477A
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gan
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nitride semiconductor
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Toshiki Makimoto
俊樹 牧本
Kazuhide Kumakura
一英 熊倉
Naoki Kobayashi
小林  直樹
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Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドライエッチング法を用いて加工したp型の
窒化物半導体の表面に欠陥が発生し、金属を蒸着して
も、p型の窒化物半導体と金属の間には良好なオーミッ
ク性接触が形成されない。 【解決手段】 サファイア基板4上にAlN低温バッファ
ー層3を設け、このAlN低温バッファー層3上にGaNバ
ッファー層2を設け、このGaNバッファー層2上に厚さ
700nmのMg−GaN層1を設けたサンプルを窒素雰囲
気で熱処理を行い、Mg−GaN層1の上面を約200nm
だけエッチングする。エッチングした面に電子ビーム蒸
着による2つのNi/Au電極5を設ける。この2電極間の
電流−電圧測定結果から電流が流れやすく、オーミック
特性が大幅に改善されていることが分かる。これは上記
の厚さ700nmのMg−GaN層1に1×1019cm-3
In原子をドーピングすることにより得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】窒化物半導体をベースとした
青色発光デバイスや高出力電子デバイス等を作製する加
工プロセスには、ドライエッチング法が用いられる。本
発明は、このドライエッチング法を用いて加工するのに
適した窒化物半導体に関する。
【0002】
【従来の技術】まず、窒化物半導体にIn原子をドーピン
グした研究について紹介する。(例えば、C.K.Shu,J.O
u,H.C.Lin,W.K.Chen,and M.C.Lee,Appl.Phys.Lett.73
(1998)641,C.T.Foxon,S.E.Hooper,T.SW.Cheng,J.W.Orto
n,G.B.Ren,B.Ya.Ber,A.V.Merkulov,S.V.Novikov,and V.
V.Tret'yakov,Semicond. Sci.Technol.13(1998)1469,F.
Widmann,B.Daudin,G.Feuillet,N.Pelekanos,and J.L.Ro
uviere,Appl.Phys.Lett.73(1998)2642 、X.Q.Shen,P.Ra
mvall,P.Riblet and Y.Aoyagi,Jpn.J.Appl.Phys.38(199
9)L411 など)。これらの文献によると、GaNなどの窒
化物半導体に1019cm-3程度のIn原子をドーピングす
ることにより、 ・フォトルミネッセンスの発光強度が増加したり、 ・ドーピングしていないGaN層の電子移動度が増加す
る、ことが報告されている。
【0003】その原因として、In原子がGaN中で等電子
トラップとして働くためにフォトルミネッセンス発光強
度が強くなる、あるいは、成長中にIn原子が表面に存在
することによって結晶性が改善する(In原子がサーファ
クタントとして働く:F.Widmann,B.Daudin,G.Feuillet,
N.Pelekanos,and J.L.Rouviere,App.Phys.Lett.73(199
8)2642.) 、ためと考えられている。しかしながら、こ
れらの従来の報告では、成長した結晶自体に関するIn原
子の効果に留まっている。従って、窒化物半導体をエッ
チングすることによって発生する欠陥に対して、結晶中
のIn原子がどのような効果を及ぼすか、については全く
調べられていなかった。
【0004】この窒化物半導体は、塩酸、硫酸、フッ酸
などの酸でエッチングされないという性質を持つ。従っ
て、窒化物半導体を加工して各種のデバイスを作製する
際には、通常、反応性イオンエッチング(Reactive Ion
Etching:RIE)法に代表されるドライエッチング法が用
いられる。しかしながら、このドライエッチング法を用
いて窒化物半導体を加工すると、エッチングした表面に
欠陥が発生することが知られている。
【0005】この欠陥は、窒素原子が不足した状態を生
み出すので、電子を発生させる性質がある。このため、
p型の窒化物半導体をエッチングした後に金属を蒸着し
ても、p型の窒化物半導体と金属の間には良好なオーミ
ック性接触が形成されない。
【0006】図7は、AlGaN/GaNヘテロ接合バイポー
ラトランジスタ(Heterojunction Bipolar Transistor:
HBT )を作製する際のプロセスの例を示す図である。
【0007】まず、エミッタ層21部分をエッチングし
て除去し、p型GaN層であるベース層22の表面を露出
させる。その後、露出したp型GaNのベース層22の表
面に金属を蒸着してベースコンタクトとしてのNi/Au電
極5を形成する。しかしながら、エッチングして露出さ
せたp型GaN層の表面には多数の欠陥が発生するため
に、露出したベース層22とNi/Au電極5の間には良好
なオーミック性接触が形成されない。
【0008】例えば、p型GaN中のMgアクセプタ濃度を
1×1019cm-3程度に高くしても、良好なオーミック
性接触が形成されない。従って、ドライエッチングによ
って発生した欠陥濃度は、Mgアクセプタ濃度と同程度、
つまり、1×1019cm-3程度であると考えられる。
【0009】ここで、露出したp型GaN層と金属の間に
良好なオーミック性接触を形成するために、次のような
二つの工夫が施されている。
【0010】一つ目は、結晶成長法である有機金属気相
成長法(Metalorganic Vapor PhaseEpitaxy:MOVPE )に
よる選択成長を用いて、エッチングによって露出したp
型GaNべース層の上に新たなp型GaN層を形成する方法
である。この新しく選択成長したp型GaN層と金属の間
には良好なオーム性接触を形成することが出来る(L.S.
McCarthy,P.Kozodoy,S.P.Denbaars,M.Rodwell,and U.K.
Mishra,25thInternational Symposium on Compound Sem
iconductors,Nara,Japan,Oct.1998.)。この方法では、
選択成長を行なわなければならないので、HBT 作製プロ
セスが複雑になるという欠点がある。
【0011】二つ目は、ドライエッチングを途中で停止
し、欠陥の発生した層を酸化した後に除去する方法であ
る。つまり、ドライエッチングを行なう際に、p型GaN
ベース層の上の約10nmでエッチングを停止し、p型
GaN層を完全には露出させない。そして、この欠陥の多
い表面をオゾンで酸化させる。この酸化物は塩酸などで
除去することが可能であるので、欠陥の無いp型GaN表
面に金属を接触させることが出来る(F.Ren,C.R.Aberna
thy,J.M.Van Hove,P.P.Chow,R.Hickman,J.J.Klaasen,R.
F.Kopf,H.Cho,K.B.Jung,J.R.La Roche,R.G.Wilson,J.Ha
n,R.J.Shul,A.G.Baca,and S.J.Pearton,MRS Internet
J.Nitride Semicond.Res.3,41(1998))。
【0012】この方法では、p型GaNベース層の上の約
10nmでエッチングを停止する必要があるために、精
密なエッチング制御が必要となる。さらに、オゾンによ
る酸化プロセス、および、その除去プロセスも必要であ
るので、HBT 作製プロセスが複雑になるという欠点があ
る。
【0013】また、AlGaN層をエッチングした場合に
も、エッチングによる欠陥が発生する。ドーピングを行
っていないAlGaN層は高抵抗であるのに対して、AlGaN
層をエッチングすると、エッチングした表面付近はn型
の伝導を示す。このような欠陥はトランジスタでは漏れ
(リーク)電流となって現れるため、トランジスタの特
性を劣化させる。従って、欠陥の密度を少なくする、あ
るいは、少なくとも、欠陥が生じても表面にn型伝導層
が形成されないような工夫が望まれるのである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、従来は、エ
ッチングして露出した表面付近ではエッチングにより誘
発された欠陥の密度が高いために、p型窒化物半導体で
は良好なオーム性接触が得られなかったり、抵抗の高い
Al原子を含む窒化物半導体では漏れ電流が大きい、とい
う問題があった。更に、露出したp型GaN層と金属の間
に良好なオーミック性接触を形成するための工程は、作
製プロセスが複雑になる、という問題があった。
【0015】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
のであり、本発明の目的は、複雑でない作製プロセス
で、エッチングをしても欠陥密度の少ない、あるいは、
欠陥による電気的影響の少ない窒化物半導体を提供する
ことにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、エッチングを
行うことにより露出した窒化物半導体表面の近傍にIn原
子が含まれていることを最も主要な特徴とする。従来の
技術とは、窒化物半導体へIn原子をドーピングするとエ
ッチングによって発生した欠陥の影響が少なくなるとい
う新たな効果を発見した点、および、p型の窒化物層に
対してはデバイス作製プロセスを簡略化させるため、あ
るいは、Al原子を含む窒化物層に対しては漏れ電流を抑
制するために、エッチングして露出させた窒化物半導体
の表面近傍にIn原子が含まれている点、が異なる。
【0017】エッチングして露出したp型GaN層にIn原
子がドーピングされていると、エッチングにより誘発さ
れる欠陥の密度、あるいは、欠陥による電気的影響が少
なくなる。このため、エッチングして露出したp型窒化
物半導体と金属の間に良好なオーム性接触を形成するこ
とが出来るようになる。また、エッチングして露出した
AlGaN層にIn原子がドーピングされていると、エッチン
グにより誘発される欠陥の密度、あるいは、欠陥による
電気的影響が少なくなる。このため、エッチングして露
出したAlGaN層の表面にはn型伝導層が形成されないの
で、漏れ電流の少ない高抵抗のAlGaN層を形成出来るよ
うになる。
【0018】
【発明の実施の形態】上記課題を解決するために本発明
の窒化物半導体は、反応性イオンエッチング法に代表さ
れるドライエッチング法を用いて加工される窒化物半導
体において、エッチングを行うことにより露出した表面
近傍は1×1019cm-3以上のIn原子が含まれている層
であることに特徴を有している。また、本発明の窒化物
半導体は、前記In原子が含まれている層の厚さは10n
m以上であることに特徴を有している。更に、本発明の
窒化物半導体は、前記In原子が含まれている層にはアク
セプタもドーピングされており、伝導型がp型であるこ
とに特徴を有している。また、本発明の窒化物半導体
は、前記In原子が含まれている層にはAl原子も含まれて
おり、抵抗が高い層であることに特徴を有している。
【0019】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。 (実施例1)図1は、本実施例のサンプルの構造および
実験プロセスを示す図である。準備した2種類のサンプ
ルは有機金属気相成長法によって成長させた。サファイ
ア基板4上に厚さ20nmのAlN低温バッファー層3設
け、このAlN低温バッファー層3上に厚さ1100nm
のGaNバッファー層2を設け、このGaNバッファー層3
上に厚さ700nmのMg−GaN層1を設けたものであ
る。一つのMg−GaN層1は、本発明によるドライエッチ
ングを用いて加工するのに適した窒化物半導体であり、
他のMg−GaN層1は従来例における窒化物半導体であ
る。
【0020】Mg−GaN層1の結晶中のMg原子を活性化し
てアクセプタとするために、成長後に窒素雰囲気におい
て700℃で10分間の熱処理を行った。また、全ての
サンプルに対してMg原子濃度は2×1019cm-3と一定
にしているので、アクセプタとなるMg原子の濃度(アク
セプタ濃度)は一定であり、このアクセプタ濃度は1×
1019cm-3程度であると考えられる。
【0021】本発明によるドライエッチングを用いて加
工するのに適した窒化物半導体であるIn原子を含んだp
型GaN中のIn濃度は1×1019cm-3である。この値
は、オージェ分析法およびIn濃度の成長温度依存性から
求めた。ここで、室温(摂氏23℃)におけるホール測
定によって、エッチングを行う前のp型GaNのキャリア
濃度、および、移動度を求めた。In原子を含まないMgド
ープGaN層の正孔キャリア濃度および移動度は、それぞ
れ、2.2×1017cm-3および9.5cm2 /Vsで
ある。これに対して、In原子を含んだMgドープGaN層の
正孔キャリア濃度および移動度は、それぞれ、2.2×
1017cm-3および3.3cm2 /Vsである。正孔濃
度は変化していないが、ド−プしたIn原子が散乱センタ
ーとなるために移動度が減少している。従って、エッチ
ングを行う前は、p型GaNへIn原子をドーピングするこ
とにより、電気的特性が劣化している。
【0022】成長したサンプルを窒素雰囲気で熱処理を
行った後、厚さ約700nmのMg−GaN層1(本発明に
よるドライエッチングを用いて加工するのに適した窒化
物半導体であるIn原子を含んだp型GaN、および、従来
例における窒化物半導体であるp型GaN)をドライエッ
チング法を用いて約200nmだけエッチングする。エ
ッチングはRIE法を用いて行ない、マイクロ波出力は
50W,引き出し電圧は500V,コイル電流は16A
である。
【0023】このエッチングによる欠陥の影響をI−V
(電流−電圧)特性で調べるために、エッチングを行う
ことにより露出した表面に2つのドット状のNi/Au電極
5を電子ビーム蒸着を用いて形成した。NiおよびAuの膜
厚は、それぞれ、40nmおよび100nmである。Ni
/Au電極5の直径は0.5mmであり、2つのNi/Au電
極5間の距離は4mmである。
【0024】図2(a),(b)は、エッチングしたMg
−GaN層1(In原子を含んだp型GaN、および、p型Ga
N)の表面に蒸着した2つのNi/Au電極5間のI−V特
性を示す。横軸は電圧を1[V]刻みで示しており、縦
軸は電流を0.01[mA]刻みで示している。グラフ
の中央が原点Oである。
【0025】エッチングを行った後では、(b)に示す
I−V特性からわかるように、In原子を含まないp型Ga
Nでは電圧を高くしても電流は流れにくく、オーム性接
触が得られない。この現象は、従来の報告と同じであ
る。オーミック特性が得られないために、ホール測定を
行ってキャリア濃度や移動度を測定することができなか
った。これに対して、(a)に示すように、p型GaNに
1×1019cm-3のIn原子をドーピングすることによ
り、電流が流れやすくなり、オーミック特性が大幅に改
善されている。
【0026】このことは、図2で示した2つのサンプル
では、エッチングにより誘発された欠陥濃度が異なる、
あるいは、欠陥による電気的影響が異なることを示して
いる。「In原子を含まないGaNで良好なオーム性接触が
得られなかった。」ということは、「In原子を含まない
GaNでは、表面近傍における欠陥濃度はアクセプタ濃度
と同程度、あるいは、それ以上である。つまり、エッチ
ングによって発生した欠陥濃度は1×1019cm-3以上
である。」ということを示している。さらに、欠陥が無
い場合の表面からの空乏層領域の厚さは、以下の式で表
される。 (厚さ)=(2・ε・V/(q・N)1/2 ここで、qは電荷素量(1.6×10-19 クーロン)、
εはGaNの誘電率(9×8.85×10-14 ファラッド
/センチメートル)、Nはアクセプタ濃度(1×1019
個/立方センチメートル)、Vは金属とGaN間の障壁の
高さ(1V程度)である。この関係から、現在の場合で
は、10nmである。エッチングを行った場合には、こ
の厚さ以上の領域に欠陥が存在していると考えられてい
る。
【0027】エッチングによって発生した欠陥によって
表面付近のアクセプタが補償された(アクセプタの放出
する正孔キャリアが欠陥にトラップされた)、あるい
は、欠陥によってアクセプタが正孔キャリアを放出する
ことができなくなったと考えられる。このため、エッチ
ングによって露出した表面は高抵抗となり、オーミック
特性が得られなくなったのである。これに対して、In原
子を含むGaNに対するI−V特性は、露出した表面には
正孔キャリアが存在しており、「表面近傍における欠陥
濃度が減少している、あるいは、欠陥が存在しても電気
的影響を及ぼさない。」ことを示している。
【0028】(実施例2)次に、Mg−GaN層1中のIn組
成を増加させて同様の実験を行った。Mg−GaN層1中の
In濃度は、1×1021cm-3から8×1021cm-3まで
変化させた。ここでは、X線回折法を用いてIn原子の組
成を測定して、1cm3 中にGa原子が4×1022cm-3
個あると仮定してIn原子の濃度を算出した。これらは、
3%から20%In原子を含むInGaN層に相当している。
この実験でも、Mg原子濃度は2×1019cm-3と一定と
しており、アクセプタ濃度は約1×1019cm-3であ
る。そして、このアクセプタ濃度は、In組成を変化させ
ても変化しないと考えられる。
【0029】図3は、In組成の異なるp型InGaNをエッ
チングした表面にNi/Au電極5を蒸着した場合のI−V
特性を示す。図において、(a) はIn組成が3%,(b) は
In組成が5%,(c) はIn組成が10%,(d) はIn組成が
20%である。図3において、In組成が変化するのに伴
ってI−V特性の傾きが急になっている、つまり、抵抗
が低くなっている理由を次に示す。p型GaNの正孔キャ
リア濃度は、室温(摂氏23℃)において、2.2×1
17cm-3であるのに対して、1×1021cm -3以上の
In原子を含むp型GaN,つまり、In組成が3%以上のp
型のInGaNでは、正孔キャリア濃度が上昇することが明
らかになっている。これは、In原子濃度と共にGaN中の
Mgアクセプタのエネルギーが減少するために、室温にお
ける正孔キャリア濃度が増加するためである。
【0030】この正孔濃度は、活性化エネルギー(E)
と測定温度(T)を用いると、 (正孔濃度)=a・exp(−qE/kT) で表される。ここで、aは比例定数であり、アクセプタ
濃度に比例すると考えて良い。また、qは電荷素量
(1.6×10-19 クーロン)、kはボルツマン定数
(1.38×10-23 ジュール/ケルビン)である。例
えば、GaNの活性化エネルギーはE=170meVであ
るので、T=296K(摂氏23℃,室温)では上記の
式の値は0.0013aとなる。これに対して、3%の
In原子を含むInGaNでは活性化エネルギーがE=100
meVへ減少するので、上式から正孔濃度は0.019
aとなる。従って、室温における正孔濃度は、GaN中よ
りもInGaN中の方が15倍高くなる。ここで、アクセプ
タ濃度は同一であることから、aの値は等しくなるの
で、p型InGaNでの抵抗が低くなるのである。
【0031】ここで、実施例1で示したp型GaNをエッ
チングした実験から、「GaNをエッチングすることによ
って生じる表面近傍における欠陥濃度は1×1019cm
-3以上である。」ことが明らかになっている。もし、p
型InGaNでも1×1019cm -3以上の欠陥が発生してい
れば、表面付近には正孔キャリアが存在しなくなる(上
の式で、a=0を代入した場合に相当する)ので、オー
ミック特性が得られないはずである。
【0032】しかしながら、実際には、図3で示したよ
うにオーミック特性が得られている。従って、エッチン
グした後でもp型InGaN表面には正孔キャリアが存在し
ていることを示している。つまり、実施例2の実験結果
は、「p型InGaN表面近傍における欠陥濃度がp型GaN
の場合に比べて減少している、あるいは、欠陥が存在し
ても電気的影響を及ぼさない。」ことを示しているので
ある。このように、p型InGaNをエッチングした後でも
オーミック特性が得られているのは、室温におけるキャ
リア濃度が高いためではなく、In原子が含まれているこ
とにより「欠陥濃度が減少している、あるいは、欠陥が
存在しても電気的影響を及ぼさない。」ためである。
【0033】以上のような効果は、少なくとも、In原子
濃度が1×1019cm-3以上の場合に観測された。ま
た、InAlGaN,InBGaNなどのような4種類以上の原子
から構成される窒化物半導体に関しても同様な効果が期
待できる。
【0034】(実施例3)有機金属気相成長法によって
成長したAlGaNの表面をRIE法によリエッチングを行
った。実施例1で示した条件と同様に、エッチング時の
マイクロ波出力は50W、引き出し電圧は500V、コ
イル電流は16Aである。このエッチングによる欠陥の
影響を調べるために、電子ビーム蒸着法によって2つの
ドット状のAl/Au電極6を蒸着してAl/Au電極6間のI
−V特性を測定した。AlおよびAuの膜厚は、それぞれ、
70nmおよび100nmである。Al/Au電極6の直径
は500nmであり、2つのAl/Au電極6間の距離は4
mmである。成長したAlGaN層の厚さは1000nmで
あり、Al組成は3%から43%まで変化させた。エッチ
ングして削った厚さは200nmである。
【0035】図4は、Al組成は5%であるAlGaN層のエ
ッチング前とエッチング後のI−V特性の一例を示す。
(a)は、In原子をドーピングしていない場合のエッチ
ング前は電流が流れず、AlGaN層は高抵抗であることを
示している。これに対して、(b)は、In原子をドーピ
ングしていない場合のエッチング後は電流が流れるよう
になり、オーミック特性を示すようになる。エッチング
によってAlGaN層の表面に欠陥が発生したために、この
欠陥が放出したキャリアによって伝導が生じたものと考
えられる。
【0036】次に、Al原子を5%含むAlGaN層に1×1
19cm-3のIn原子をドーピングして同様な実験をおこ
なった。エッチング前は、AlGaNへIn原子をドーピング
しても、AlGaN層は高抵抗であった。エッチングした後
のI−V特性を(c)に示す。エッチング前のI−V特
性と同様に、電流が流れず、エッチング前の高抵抗の性
質を維持していることが明らかとなった。この効果は、
少なくとも、In原子濃度が1×1019cm-3以上の場合
に観測された。また、Al組成に関しても、少なくとも、
3%以上のAlGaNで観測された。
【0037】(実施例4)図5は、高抵抗のアンドープ
AlGaN層を二つのSiドープAlGaN層で挾んだ構造を示し
ている。図で示したように、Si−AlGaN層(1) 11およ
びアンドープAlGaN層12をエッチングしてSi−AlGaN
層(2) 13を露出させ、Si−AlGaN層(1)11とSi−AlG
aN層(2) 13の表面にAl/Au電極6を形成した。この
場合では、アンドープAlGaN層12の側壁にエッチング
による欠陥が存在するので、Si−AlGaN層(1) 11とSi
−AlGaN層(2) 13の表面に形成したAl/Au電極6の間
には漏れ電流が存在することになる。
【0038】しかしながら、アンドープAlGaN層12を
InドープAlGaN層14に置きかえることにより、Inドー
プAlGaN層14の側壁には伝導層が存在しなくなるの
で、Si−AlGaN層(1) 11とSi−AlGaN層(2) 13の表
面に形成したAl/Au電極6の間には漏れ電流が無くな
る。このように、エッチングして露出したAlGaN層の側
壁に対しても、In原子をドーピングしていることによ
り、漏れ電流が無く、高抵抗化を行うことができる。
【0039】(実施例5)本発明をヘテロ接合バイポー
ラトランジスタ(HBT)ヘ応用した実施例について述
べる。まず、前述の図7のHBT作製プロセスに従っ
て、AlGaN/GaNで構成されるHBTを作製した。すな
わち、 エミッタ層21,ベース層22,コレクタ層23から
なるHBT構造の結晶を成長させる。 このHBT構造の結晶を窒素雰囲気での熱処理(70
0℃、10分間)を行う。 エミッタ層21をエッチングして除去し、ベース層2
2の表面を露出させる。 ベース層22をエッチングして除去し、コレクタ層2
3の表面を露出させる。 露出したベース層22の表面に金属を蒸着してベース
コンタクトとしてのNi/Au電極5を形成する。 エミッタ層21の表面および露出したコレクタ層23
の表面に金属を蒸着して、エミッタコンタクトおよびコ
レクタコンタクトとしてのAl/Au電極6を形成する。
【0040】図6は、前述の図7のHBT作製プロセス
に従って作製したHBTの層構造を示す図である。図に
おいて、サファイア基板24上に低温AlNバッファー層
26(厚さ20nm:高抵抗),GaNバッファー層25
(厚さ1000nm:高抵抗)を設け、その上にn型コ
レクタ電極層23b(Si−GaN:厚さ1000nm:電
子濃度5×1018cm-3),n型コレクタ層23a(Si
−GaN:厚さ500nm:電子濃度1×1017cm-3
からなるコレクタ層23を設け、その上にp型ベース層
(2) 22b(Mg−GaN:厚さ150nm:正孔濃度2×
1017cm-3),p型ベース層(1) 22a(Mg&In−Ga
N:厚さ50nm:正孔濃度2×1017cm-3)からな
るベース層22を設け、その上にn型エミッタ層21b
(Si−AlGaN:厚さ100nm:電子濃度1×1019
-3),n型エミッタ電極層21a(Si−GaN:厚さ1
00nm:電子濃度3×1019cm-3)からなるエミッ
タ層21が設けられている。さらに、n型コレクタ電極
層23bの表面にはAl/Au電極6、p型ベース層(1) 2
2aの表面にはNi/Au電極5が設けられている。
【0041】ベース層22にはアクセプタとなるMg原子
がドーピングされている。さらに、エッチングプロセス
による欠陥の影響を抑えるために、ベース層には1×1
19cm-3のIn原子も一緒にドーピングされている。た
だし、実施例1で述べたように、In原子はベース中で散
乱センターとなるために、正孔キャリアの移動度が減少
する。このため、少数キャリアである電子に対しても移
動度も低下する可能性がある。
【0042】従って、厚さ200nmのベース層22の
中で、エッチングをして表面を露出する部分、つまり、
Ni/Au電極5とのコンタクトを取る表面にIn原子がドー
ピングされている構造としている。言いかえると、20
0nmのベース層22全体にIn原子をドーピングするの
ではなく、ベース層22の表面側の50nmだけにIn原
子をドーピングしてp型ベース層(1) 22a(Mg&In−
GaN:正孔濃度2×1017cm-3)を形成している。作
製したHBTのベース領域でのオーミック特性は良好で
あった。
【0043】さらに、室温における電流利得は20が得
られており、従来報告されていた電流利得(約3)より
も大きな値が得られている。また、比較サンプルとし
て、In原子を一様にドーピングした構造も作製した。こ
の構造でも良好なオーミック特性が得られたが、電流利
得が10であった。In原子をドーピングした層の厚さを
50nmと狭くした場合に比べて、In原子を一様にドー
ピングした場合は、In原子によって電子が散乱を受け
る。このため、ベース中の少数キャリアである電子の寿
命が短くなり、In原子を一様にドーピングした場合には
電流利得が小さくなったと考えられる。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、In原子を含むp型
の窒化物半導体の表面でエッチングを終了して、このエ
ッチングによって露出した表面に金属を接触させた場合
には、良好なオーム性接触が形成できるという利点があ
る。また、Al原子を含む窒化物半導体へIn原子をドーピ
ングした場合には、このAl原子を含む窒化物半導体をエ
ッチングしても、リーク電流が無く、高抵抗を維持でき
るという利点がある。そして、In原子を、少なくとも、
1×1019cm-3以上含む場合に上記の効果が現れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における窒化物半導体のサン
プルの構造および実験プロセスを示す図である。
【図2】エッチング後のp型GaNのI−V特性を示す図
であり、(a)はIn原子とMg原子をドーピングしたp型
GaNであり、(b)はMg原子だけをドーピングしたp型
GaNである。
【図3】エッチング後のp型GaNのI−V特性を示す図
であり、(a)はIn組成=3%、(b)はIn組成=5
%、(c)はIn組成=10%、(d)はIn組成=20%
とした場合である。
【図4】エッチング前後のAlGaN層に対するI−V特性
を示す図であり、(a)はアンドープAlGaN層に対する
エッチング前、(b)はアンドープAlGaN層に対するエ
ッチング後、(c)はInドープAlGaN層に対するエッチ
ング後である。
【図5】AlGaN層が横方向に露出した場合の構造を示す
図である。
【図6】AlGaN/GaNで構成されるHBTの層構造を示
す図である。
【図7】HBT作製プロセスの例を示す図である。
【符号の説明】
1 Mg−GaN層 2 GaNバッファー層 3 AlN低温バッファー層 4 サファイア基板 5 Ni/Au電極 6 Al/Au電極 11 Si−AlGaN層(1) 12 アンドープAlGaN層 13 Si−AlGaN層(2) 14 InドープAlGaN層 21 エミッタ層 21a n型エミッタ電極層 21b n型エミッタ層 22 ベース層 22a p型ベース層(1) 22b p型ベース層(2) 23 コレクタ層 23a n型コレクタ層 23b n型コレクタ電極層 24 サファイア基板 25 GaNバッファー層 26 低温AlNバッファー層
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/331 H01L 29/14 29/73 21/302 N 33/00 29/72 H01S 5/323 (72)発明者 小林 直樹 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 Fターム(参考) 4M104 AA04 BB02 BB05 CC01 DD22 DD26 DD35 FF13 GG06 HH15 5F003 AP04 BA92 BB02 BB04 BB08 BE04 BE90 BF03 BF06 BH99 BM03 BP12 BP23 BP32 5F004 AA16 BA14 DB19 DB28 EB02 5F041 AA21 CA34 CA40 CA65 5F073 CA07 CB05 DA05 DA24 HA10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応性イオンエッチング法に代表される
    ドライエッチング法を用いて加工される窒化物半導体に
    おいて、エッチングを行うことにより露出した表面近傍
    は1×1019cm-3以上のIn原子が含まれている層であ
    ることを特徴とする窒化物半導体。
  2. 【請求項2】 前記In原子が含まれている層の厚さは1
    0nm(ナノメートル)以上であることを特徴とする請
    求項1記載の窒化物半導体。
  3. 【請求項3】 前記In原子が含まれている層にはアクセ
    プタもドーピングされており、伝導型がp型であること
    を特徴とする請求項1記載の窒化物半導体。
  4. 【請求項4】 前記In原子が含まれている層にはAl原子
    も含まれており、抵抗が高い層であることを特徴とする
    請求項1記載の窒化物半導体。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003023011A (ja) * 2001-07-05 2003-01-24 Matsushita Electric Ind Co Ltd バイポーラトランジスタ装置及びその製造方法
KR100519753B1 (ko) * 2002-11-15 2005-10-07 삼성전기주식회사 GaN계 화합물 반도체가 사용된 발광소자의 제조방법
JP2007142365A (ja) * 2005-11-22 2007-06-07 National Central Univ p型ひずみInGaNベース層を有するGaNヘテロ接合バイポーラトランジスタとその製造方法
WO2017181167A1 (en) * 2016-04-15 2017-10-19 Massachusetts Institute Of Technology Gan devices fabricated via wafer bonding
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