JP2001145923A - 人工石成形品及び/又は人工石板の製造方法並びに人工石成形品及び/又は人工石板 - Google Patents

人工石成形品及び/又は人工石板の製造方法並びに人工石成形品及び/又は人工石板

Info

Publication number
JP2001145923A
JP2001145923A JP2000273399A JP2000273399A JP2001145923A JP 2001145923 A JP2001145923 A JP 2001145923A JP 2000273399 A JP2000273399 A JP 2000273399A JP 2000273399 A JP2000273399 A JP 2000273399A JP 2001145923 A JP2001145923 A JP 2001145923A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
artificial stone
mold
artificial
meth
stone
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000273399A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaaki Fundou
正昭 分銅
Nobuhiko Yugawa
伸彦 湯川
Koji Takahata
耕治 高畠
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2000273399A priority Critical patent/JP2001145923A/ja
Publication of JP2001145923A publication Critical patent/JP2001145923A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Finishing Walls (AREA)
  • Panels For Use In Building Construction (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 充分な基本性能を有し、しかも、意匠性に優
れ、高級感を有する人工石成形品及び/又は人工石板を
生産コストを抑制して製造する方法を提供する。 【解決手段】 マトリックス樹脂及び充填剤を含むマト
リックス材と粒状天然石とを混練機中に投入して人工石
用組成物を得る混練工程、並びに、該人工石用組成物を
金型にチャージして成形する成形工程、を含む人工石成
形品及び/又は人工石板の製造方法であって、該金型
は、その表面が、ビッカース硬度900以上のものであ
る人工石成形品及び/又は人工石板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人工石成形品及び
/又は人工石板の製造方法並びに人工石成形品及び/又
は人工石板に関する。
【0002】
【従来の技術】人工石成形品及び/又は人工石板は、多
数の粒状天然石をマトリックス中に分散させた成形物で
あり、大理石、御影石等の高級感あふれる天然石板と見
紛うばかりの外観を有することから、高級住宅建材とし
て汎用されている。人工石成形品及び/又は人工石板
は、天然石板とは異なり、耐熱性が優れ、圧縮強度や曲
げ強度等の強度、耐衝撃性及び表面硬度が高く、吸水率
が低く、傷つきにくいといった基本性能を有し、システ
ムキッチン天板、カウンター、洗面化粧台、壁、床、仕
切り板等の用途に好適に用いられている。
【0003】このような人工石成形品及び/又は人工石
板は、マトリックス樹脂及び充填剤を含むマトリックス
材と粒状天然石とを混練して人工石用組成物を得る混練
工程、並びに、該人工石用組成物を予備成形して得た人
工石用組成物予備成形物を金型にチャージして成形する
成形工程、により板状成形物を得、更に、必要に応じ
て、この板状成形物の表面を研磨する表面研磨工程を行
うことにより得ることができる。
【0004】特開平3−150244号公報では、熱硬
化性樹脂と、充填剤と、20mm以下の粒状天然石とを
含有するコンパウンドに対して硬化触媒、低収縮化剤、
25mm以下の繊維補強材及び増粘剤の群からなる添加
剤の少なくとも1種を含有した人工石板用組成物を予備
成形して得た人工石板用組成物予備成形物を成形し、硬
化して得られる人工石板が開示されている。この人工石
板は、熱硬化性樹脂、低収縮化剤、充填剤等が硬化して
マトリックスとなり、その中に粒状天然石を分散させた
成形物であり、人工石板用組成物予備成形物を成形する
にあたって、増粘剤を用いて人工石板用組成物予備成形
物の粘度を高めることにより、成形性を向上させて得ら
れたものである。
【0005】しかしながら、このような人工石板の製造
においては、ステンレス鋼材等で形成された一般的な金
型を用いて成形を行うと、金型の表面の摩耗が激しくな
り、金型のメンテナンスが頻繁に必要となり、成形工程
における生産コストが上昇することとなる。また、金型
が摩耗されるときに金属の微粉が生じ、これが人工石板
用組成物予備成形物の表面部分に取り込まれ、成形工程
により得られる板状成形物の表面が黒く汚れてしまい、
得られる人工石板の意匠性と高級感とが損なわれたもの
となる。更に、この表面の汚れを除去するために、板状
成形物の板厚を余分に厚く成形して、表面研磨工程にお
いて通常以上に表面を研磨する必要が生じる。そのた
め、材料コストや表面研磨工程における生産コストも上
昇することとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑みてなされたものであり、充分な基本性能を有し、し
かも、意匠性に優れ、高級感を有する人工石成形品及び
/又は人工石板を生産コストを抑制して製造する方法を
提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、マトリックス
樹脂及び充填剤を含むマトリックス材と粒状天然石とを
混練機中に投入して人工石用組成物を得る混練工程、並
びに、上記人工石用組成物を金型にチャージして成形す
る成形工程、を含む人工石成形品及び/又は人工石板の
製造方法であって、上記金型は、その表面が、ビッカー
ス硬度900以上のものであることを特徴とする人工石
成形品及び/又は人工石板の製造方法である。本発明は
また、上記人工石成形品及び/又は人工石板の製造方法
により製造されてなる人工石成形品及び/又は人工石板
でもある。以下に本発明を詳述する。
【0008】本発明の人工石成形品及び/又は人工石板
の製造方法は、マトリックス樹脂及び充填剤を含むマト
リックス材と粒状天然石とを混練機中に投入して人工石
用組成物を得る混練工程、並びに、上記人工石用組成物
を金型にチャージして成形する成形工程、を含むもので
ある。
【0009】上記マトリックス材とは、人工石板のマト
リックスを形成するための組成物を意味し、上記組成物
は、後に詳述するように粒状天然石と混練された後に成
形されることによりマトリックスを形成するものであ
る。上記マトリックス材は、マトリックス樹脂と充填剤
とを含むものである。
【0010】上記マトリックス樹脂は、熱硬化性樹脂と
必要ならば低収縮化剤とを含むものである。
【0011】上記熱硬化性樹脂としては、成形材料とし
て用いることができるものであれば特に限定されず、例
えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂
(エポキシアクリレート樹脂)、ウレタンアクリレート
樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、(メ
タ)アクリルシラップ、ジアリルフタレート樹脂等のラ
ジカル重合型樹脂;エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン
樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。これらの中でも、人工石成形
品及び/又は人工石板の強度や表面硬度等の基本性能が
向上することから、より具体的には、ラジカル重合型樹
脂が好ましく、さらに好ましくは、不飽和ポリエステル
樹脂、ビニルエステル樹脂(エポキシアクリレート樹
脂)、ウレタンアクリレート樹脂、(メタ)アクリルシ
ラップから選択される少なくとも1以上のラジカル重合
型樹脂が好ましく、より好ましくは不飽和ポリエステル
樹脂である。本発明の好ましい形態において、マトリッ
クス材中に含まれるマトリックス樹脂としては、ラジカ
ル重合型樹脂を、マトリックス材中に含まれるマトリッ
クス樹脂を100重量%として、50〜100重量%の
範囲で含有させることが好ましい。すなわち、本発明の
マトリックス材の硬化形態として、主なマトリックス樹
脂として、ラジカル重合型樹脂を主成分としたマトリッ
クス材を使用することが好ましい。その好ましい含有量
は、60〜100重量%の範囲である。さらに好ましく
は70〜100重量%の範囲である。すなわち、本発明
で使用できるマトリックス材の硬化形態としては、ラジ
カル重合型硬化形態を採用するラジカル重合型樹脂を主
成分として採用することが好ましい。例えば、上記マト
リックス樹脂が、ラジカル重合型樹脂を含む場合、その
硬化形態は特に限定されるものではないが、例えば、熱
(常温やそれより低い温度、あるいは、熱プレス)や光
によりラジカル硬化させる形態をとることが好ましい。
より具体的には、熱ラジカル硬化での硬化形態が好まし
い。
【0012】上記不飽和ポリエステル樹脂としては特に
限定されず、例えば、酸成分と、アルコール成分とを縮
合させて得られる重量平均分子量(Mw)が数百〜数万
程度の重合体をビニルモノマーに溶解してなるラジカル
重合型樹脂等が挙げられる。上記酸成分としては特に限
定されず、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ
ル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、メサコン酸、シト
ラコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和二塩基酸;フタ
ル酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒ
ドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ハロゲ
ン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハ
ク酸、アジピン酸、セバシン酸、ヘット酸、メチルテト
ラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無
水フタル酸等の飽和二塩基酸;トリメリト酸、トリメリ
ト酸無水物、ピロメリト酸、ピロメリト酸二無水物等の
三官能以上の多塩基酸等が挙げられる。これらは単独で
用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0013】上記アルコール成分としては特に限定され
ず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、
トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、
1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素化
ビスフェノールA、ビスフェノールAのプロピレンオキ
サイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド
付加物等のグリコール;グリセリン、トリメチロールプ
ロパン、ペンタエリスリトール等の三官能以上のアルコ
ール;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エピク
ロルヒドリン等のエポキシド等が挙げられる。これらは
単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0014】上記ビニルモノマーとしては、反応性モノ
マーであり、成形時に上記重合体が有する不飽和基と架
橋反応するものであれば特に限定されず、例えば、スチ
レン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルス
チレン、酢酸ビニル、アリルアルコール、エチレングリ
コールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノ
アリルエーテル、アクリロニトリル、マレイミド類;ア
クリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカ
ルボン酸、及び、これら不飽和モノカルボン酸のモノエ
ステル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸等の不飽和ジカルボン酸、及び、これら不飽和ジカ
ルボン酸のモノエステル;エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペ
ンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多
官能(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン、ジアリ
ルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルシ
アヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられ
る。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用して
もよい。
【0015】上記不飽和ポリエステル樹脂における上記
酸成分、上記アルコール成分及び上記ビニルモノマーの
種類や使用量としては特に限定されず、人工石成形品及
び/又は人工石板に要求される基本性能等に応じて適宜
設定すればよい。また、上記酸成分、及び、上記アルコ
ール成分を縮合させる方法としては特に限定されず、例
えば、反応温度や反応時間等の反応条件も上記と同様に
適宜設定すればよい。上記重合体は、例えば、ジシクロ
ペンタジエン等のジエン化合物、末端官能性ブタジエン
−アクリロニトリル共重合体等のゴム成分等の種々の成
分により変性されてもよい。
【0016】上記ビニルエステル樹脂としては特に限定
されず、例えば、エポキシ樹脂の末端に、具体的にはエ
ポキシ基に、ビニル系不飽和カルボン酸を付加重合させ
て得られる反応物をビニルモノマーに溶解してなるラジ
カル重合型樹脂等が挙げられる。
【0017】上記エポキシ樹脂としては特に限定され
ず、例えば、ビスフェノールタイプ、ノボラックタイ
プ、環状脂肪族タイプ、エポキシ化ポリブタジエンタイ
プ等のものが挙げられる。
【0018】上記ビニル系不飽和カルボン酸としては特
に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等が
挙げられる。上記ビニルモノマーとしては特に限定され
ず、例えば、スチレン、ビニルトルエン、メチルメタク
リレート、酢酸ビニル、クロルスチレン、ジアリルフタ
レート、トリアリルイソシアヌレート;エチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アク
リレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリ
レート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレ
ート等の多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用
してもよい。
【0019】上記ビニルエステル樹脂における上記エポ
キシ樹脂、上記ビニル系不飽和カルボン酸及び上記ビニ
ル系単量体の種類や使用量としては特に限定されず、人
工石成形品及び/又は人工石板に要求される基本性能等
に応じて適宜設定すればよい。また、上記エポキシ樹
脂、及び、上記ビニル系不飽和カルボン酸を付加反応さ
せる方法としては特に限定されず、例えば、反応温度や
反応時間等の反応条件も上記と同様に適宜設定すればよ
い。
【0020】上記(メタ)アクリルシラップとしては特
に限定されず、例えば、単量体である(メタ)アクリル
酸エステル、(メタ)アクリル酸エステルの重合体、及
び、架橋剤を含んでなる混合物であり、必要に応じて、
上述したビニルモノマーを更に含んでなるラジカル重合
型樹脂等が挙げられる。
【0021】上記(メタ)アクリル酸エステルとしては
特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)ア
クリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル
ヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アク
リレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリ
シジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、
(メタ)アクリルアミドを用いることもできる。これら
は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。こ
れらの中でも、人工石成形品及び/又は人工石板の耐候
性、表面の光沢等の基本性能、外観、安全性等をより一
層向上させることができることから、メチルメタクリレ
ート、又は、メチルメタクリレートを主成分とする(メ
タ)アクリル酸エステルが好ましい。また、例えば、カ
ルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合体に(メ
タ)アクリル酸グリシジルエステル類を反応させて得ら
れるような、側鎖に不飽和基を有する(メタ)アクリル
系重合体等も用いることができる。これらは単独で用い
てもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】上記(メタ)アクリル酸エステルの重合体
は、上記(メタ)アクリル酸エステルや必要に応じてビ
ニルモノマーを含んだものを単量体成分として重合する
ことにより得られる。上記(メタ)アクリル酸エステル
の重合体における重合度としては特に限定されない。
【0023】上記架橋剤としては特に限定されず、例え
ば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコー
ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレー
ト;ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリル
イソフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリル
イソシアヌレート等が挙げられる。これらは単独で用い
てもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】上記(メタ)アクリルシラップにおける上
記(メタ)アクリル酸エステル、上記(メタ)アクリル
酸エステルの重合体、架橋剤、及び、必要に応じて用い
られるビニルモノマーの種類や使用量としては特に限定
されず、人工石成形品及び/又は人工石板に要求される
基本性能等に応じて適宜設定すればよい。
【0025】本発明で使用することのできる、ウレタン
(メタ)アクリレート樹脂とは、例えば、ポリイソシア
ネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレート化合
物、必要に応じ、ポリオール化合物とをウレタン化反応
させることにより得ることができる。ポリイソシアネー
ト化合物として、例えば、トルエンジイソシアネート、
ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソ
シアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート等が挙げられる。水酸基含有(メ
タ)アクリレート化合物としては、分子内に少なくとも
1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物であ
れば良く、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、ヒドロキプロピル(メタ)アクリレート、ポリエ
チレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロ
ピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げら
れる。ポリオール化合物としては、例えば、エチレング
リコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオ
ール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール
等のアルキルポリオール類;ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプ
ロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、トリメチロールプロパンのアル
キレンオキシド付加物、ビスフェノールAのアルキレン
オキシド付加物、フェノールノボラックのアルキレンオ
キシド付加物等であるポリエーテルポリオール類;トリ
メチロールプロパンモノアリルエーテル、ペンタエリス
リトールジアリルエーテル等のアリルエーテル基を有す
るアルコール類;マレイン酸、アジピン酸、フタル酸等
の多塩基酸とポリオールのエステル化反応により得られ
るポリエステルポリオール類等が挙げられ、さらに、ア
リルアルコール、トリメチロールプロパンジアリルエー
テル等の1価のアルコール類;エチレンオキシド、プロ
ピレンオキシド、ブチレンオキシド、グリシジル(メ
タ)アクリレート、アリルグリシジエーテル等のオキシ
ラン化合物も併用することができる。ポリイソシアネー
ト化合物と水酸基含有(メタ)アクリレート化合物、必
要に応じ、ポリオール化合物をウレタン化反応させるた
めには、水酸基とイソシアネート基がほぼ当量となる量
を用い、40〜140℃の範囲で加熱することにより、
反応は進行する。該ウレタン化反応を促進させるために
は、公知のウレタン化触媒を用いることができ、例え
ば、3級アミン類、ジブチル錫ジラウレート、塩化錫等
の錫化合物類が挙げられる。
【0026】本発明で使用することのできるポリエステ
ル(メタ)アクリレート樹脂のポリエステル(メタ)ア
クリレートとは、(メタ)アクリル酸類と多価アルコー
ルとのエステル反応により得られるものであり、必要に
応じて(メタ)アクリル酸類以外の塩基酸を原料の一部
に用いてもよい。ポリエステル(メタ)アクリレートの
原料として用いられる上記の(メタ)アクリル酸類と
は、特に限定されるものではないが、具体的には、例え
ば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキル
エステル、(メタ)アクリル酸ハライド等の、水酸基と
のエステル結合を生成しうる(メタ)アクリル酸及びそ
の誘導体である。
【0027】上記の多価アルコールとしては、特に限定
されるものではないが、具体的には、例えば、不飽和ポ
リエステル樹脂やウレタン(メタ)アクリレートに用い
られる多価アルコールが挙げられる。必要に応じて用い
られる上記(メタ)アクリル酸類以外の塩基酸として
は、特に限定されるものではないが、具体的には、例え
ば、不飽和ポリエステル樹脂の原料として例示したα,
β−不飽和二塩基酸、脂肪族飽和多塩基酸、芳香族多塩
基酸、脂環式多塩基酸等が挙げられる。
【0028】上記熱硬化性樹脂が二種以上の樹脂を含有
し、混合物となる場合、各々の樹脂の含有量としては特
に限定されない。また、上記熱硬化性樹脂としてラジカ
ル重合型樹脂を用いる場合には、上述したラジカル重合
型樹脂以外のラジカル重合型樹脂を含有してもよい。
【0029】上記マトリックス樹脂における上記低収縮
化剤としては、得られる人工石成形品及び/又は人工石
板の寸法安定性を向上させるものであれば特に限定され
ず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチ
レン、三次元架橋ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチ
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、セルロースブチレート、アセテート(アセチルセル
ロース)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカプ
ロラクトン、飽和ポリエステル等が挙げられる。これら
は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。こ
れらの中でも、飽和ポリエステルが好ましい。
【0030】上記マトリックス樹脂は、更に必要に応じ
て、添加剤を含有してもよい。上記添加剤としては特に
限定されず、例えば、硬化剤、増粘剤、内部離型剤、着
色剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、減粘
剤、カップリング剤、抗菌剤等が挙げられる。これらは
それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。
【0031】上記硬化剤としては特に限定されず、例え
ば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサ
イド、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパ
ーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエ
ート、クメンヒドロパーオキサイド、シクロヘキサノン
パーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(4−
t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネー
ト、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン等の有機過酸化物;
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2−フェニル
アゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル
等のアゾ化合物等のラジカル重合開始剤等が挙げられ
る。硬化剤の量を、マトリックス樹脂100重量部に対
して、0.1〜10重量部、より好ましくは、0.3〜
7重量部含有させることが好ましい。0.5〜5重量部
がより好ましい。
【0032】上記増粘剤としては特に限定されず、例え
ば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等の
多価金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウ
ム、水酸化アルミニウム等の多価金属水酸化物;多官能
イソシアネート等が挙げられる。
【0033】上記内部離型剤としては特に限定されず、
例えば、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン
酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン
酸バリウム、ステアリン酸アミド、ラウリル酸、トリフ
ェニルホスフェート、アルキルホスフェート等が挙げら
れる。また、一般に用いられているワックス類、シリコ
ーンオイル等の離型剤を用いることもできる。上記着色
剤としては特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂に使
用することができる無機顔料、有機顔料、及び、トナー
等が挙げられる。
【0034】上記連鎖移動剤としては特に限定されず、
例えば、α−メチルスチレンダイマーや四塩化炭素等、
チオール化合物として、t−ブチルメルカプタン、n−
オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等の
アルキルメルカプタン;チオフェノール、チオナフトー
ル等の芳香族メルカプタン;チオグリコール酸;チオグ
リコール酸オクチル、エチレングリコールジチオグリコ
レート、トリメチロールプロパントリス−(チオグリコ
レート)、ペンタエリスリトールテトラキス−(チオグ
リコレート)等のチオグリコール酸アルキルエステル;
β−メルカプトプロピオン酸;β−メルカプトプロピオ
ン酸オクチル、1,4−ブタンジオールジ(β−チオプ
ロピオネート)、トリメチロールプロパントリス−(β
−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラ
キス−(β−チオプロピオネート)等のβ−メルカプト
プロピオン酸アルキルエステル等が挙げられる。
【0035】上記重合禁止剤としては特に限定されず、
例えば、p−t−ブチルカテコール、p−メトキシフェ
ノール、ヒドロキノン、p−ベンゾキノン、クロラニ
ル、m−ジニトロベンゼン、ニトロベンゼン、p−フェ
ニルジアミン、硫黄、ジフェニルピクリルヒドラジル、
ジ−p−フルオロフェニルアミン、トリ−p−ニトロフ
ェニルメチル等が挙げられる。
【0036】上記紫外線吸収剤としては特に限定され
ず、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系
等の熱硬化性樹脂に使用することができるものを用いる
ことができる。上記減粘剤、上記カップリング剤及び上
記抗菌剤としては特に限定されず、例えば、熱硬化性樹
脂に使用することができるものを用いることができる。
【0037】本発明における充填剤としては、人工石成
形品及び/又は人工石板の強度等の基本性能が向上する
ことから、水酸化アルミニウムを必須成分とするもので
あることが好ましく、その他の成分を含んでもよい。上
記その他の成分としては特に限定されず、例えば、炭酸
カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミ
ナ、クレー、タルク、ミルドファイバー、シリカ(珪
砂)、川砂、珪藻土、雲母粉末、石膏、ガラス粉末等の
無機充填剤;有機充填剤、繊維補強材等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。
【0038】上記繊維補強材としては特に限定されず、
例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック
からなる繊維等の無機繊維;アラミド、ポリエステル等
からなる有機繊維;天然繊維等が挙げられる。また、こ
れらの繊維の形態としては特に限定されず、例えば、ロ
ービング、チョップドストランド、マット、クロス(織
物)等が挙げられる。
【0039】本発明における粒状天然石としては、天然
石を粒状にしたものであれば特に限定されない。また、
陶器、磁器、ガラス、ステッドガラス等を粒状にしたも
のも用いることができる。
【0040】上記天然石の材質としては特に限定され
ず、例えば、花崗岩、安山岩等の火成岩類;砂岩、凝灰
岩等の堆積岩類;大理石、粘板岩、蛇紋岩等の変成岩
類;寒水石、ケイ石等が挙げられる。これらは単独で用
いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中で
も、人工石成形品及び/又は人工石板が表面硬度や耐薬
品性に優れたものとなることから、花崗岩が好ましい。
花崗岩としては特に限定されず、例えば、藤岡御影や万
成御影等の御影石、マホガニー、ベルファースト、ベル
デフォンタン等が挙げられる。
【0041】上記粒状天然石の粒度範囲としては特に限
定されず、30mm以下が好ましいが、更に好ましく
は、1〜15mmである。15mmを超えると、混練工
程において、粒状天然石の破損や磨滅を抑制することが
できなくなるおそれがある。また、混練機を傷めてしま
うおそれがある。更に、人工石用組成物の流動性が劣る
こととなるため、製造時の作業性が低下するうえ、成形
工程において、金型への充填が不充分となるおそれがあ
る。また、最大粒度は20mm以下が好ましい。更に好
ましくは、13mm以下である。
【0042】上記粒状天然石の粒度分布としては特に限
定されないが、例えば板厚13.5mmの板を成形する
場合は以下に記載するような粒度分布が好ましい。 6mm以上の粒度の粒子:0〜15重量% 5mm以上6mm未満の粒度の粒子:0〜30重量% 4mm以上5mm未満の粒度の粒子:5〜30重量% 3mm以上4mm未満の粒度の粒子:5〜50重量% 2mm以上3mm未満の粒度の粒子:10〜50重量% 1mm以上2mm未満の粒度の粒子:5〜50重量% 1mm未満の粒度の粒子:0〜10重量% 尚、これらの粒子の合計量は100重量%である。
【0043】5mm以上の粒度の粒子の分布が、上記の
範囲を超えると、混練工程において、粒状天然石の破損
や磨滅を抑制することができなくなるおそれがある。ま
た、混練機を傷めてしまうおそれがある。更に、人工石
用組成物の流動性が劣ることとなるため、製造時の作業
性が低下するうえ、金型への充填が不充分となるおそれ
がある。1mm未満の粒度の粒子の割合が10重量%を
超えると、人工石成形品及び/又は人工石板に黒ずみが
発生するおそれがある。1mm以上5mm未満の粒度の
粒子の分布が上記の範囲を超えると、粒度分布が均一に
近くなるため、人工石成形品及び/又は人工石板の表面
に形成される粒状天然石の柄が、天然石に近似しにくく
なるおそれがある。
【0044】上記粒状天然石の平均粒度としては特に限
定されないが、3〜8mmであることが好ましい。3m
m未満であると、粒度分布が均一に近くなるため、人工
石成形品及び/又は人工石板の表面に形成される粒状天
然石の柄が、天然石に近似しにくくなるおそれがある。
8mmを超えると、混練工程において、粒状天然石の破
損や磨滅を抑制することができなくなるおそれがある。
また、混練機を傷めてしまうおそれがある。更に、人工
石用組成物の流動性が劣ることとなるため、製造時の作
業性が低下するうえ、成形工程において、金型への充填
が不充分となるおそれがある。より好ましくは、4〜7
mmである。上記粒状天然石の種類と粒子の状態とは、
本発明の人工石成形品及び/又は人工石板の外観と基本
性能とを決定づける要素であり、得られる人工石成形品
及び/又は人工石板の用途に応じて適宜選択することが
できる。
【0045】本明細書中において、粒状天然石の最大粒
度とは、目開き(b+d)mm〔但し、d>0〕のふる
いを通過し、bmmのふるいに残ったものを最大粒度b
mmという。本発明における目開きとは、JIS Z
8801−1966で規定された目開きである。本明細
書中において、平均粒度とは、代表粒子径を意味する。
上記代表粒子径とは、横軸に粒度をとり、縦軸に各粒度
を有する粒子の重量割合(重量%)をとって粒状天然石
の粒度分布を表す場合において、最小粒度から粒度が大
きくなる方向へ各粒度の重量割合(重量%)を累積し、
その合計が50重量%となる粒度である。
【0046】人工石成形品及び/又は人工石板の製造方
法において、上記マトリックス樹脂における各成分、上
記充填剤及び上記粒状天然石の種類並びに使用量として
は、それらの組み合わせ、人工石成形品及び/又は人工
石板を成形するための成形条件、又は、人工石成形品及
び/又は人工石板に要求される基本性能やその用途等に
応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
【0047】上記マトリックス樹脂における上記低収縮
化剤の使用量においては、熱硬化性樹脂100重量部に
対して、0〜50重量部となるようにすることが好まし
い。50重量部を超えると、人工石成形品及び/又は人
工石板の強度等の基本性能が低下するおそれがある。ま
た、上記マトリックス樹脂における上記増粘剤の使用量
においては、熱硬化性樹脂の重量平均分子量や粘度によ
って適宜設定することができる。
【0048】上記充填剤の使用量においては、マトリッ
クス樹脂100重量部に対して、30〜300重量部と
なるようにすることが好ましい。30重量部未満である
と、人工石成形品及び/又は人工石板の強度等の基本性
能が低下するおそれがあり、300重量部を超えると、
人工石用組成物の流動性が劣るため製造時の作業性が低
下するおそれがある。上記充填剤においては、上記水酸
化アルミニウムが充填剤全量に対して、50〜100重
量%であることが好ましい。50重量%未満であると、
人工石成形品及び/又は人工石板の強度等の基本性能が
低下するおそれがある。より好ましくは、70〜100
重量%である。本発明のマトリックス材重量100%に
対する、マトリックス樹脂の含有量は、25重量%から
77重量%である。より好ましくは、25重量%から7
5重量%である。充填材の含有量は、75重量%から2
3重量%である。75重量%から25重量%がより好ま
しい。この数量範囲になる様に、マトリックス樹脂と充
填材とを配合し、また、上記のマトリックス樹脂100
重量部に対する充填剤の量の様な、割合で、さらに詳し
くマトリックス樹脂と各成分の含有割合を決定すること
ができる。
【0049】上記粒状天然石の使用量においては、マト
リックス樹脂100重量部に対して、50〜1000重
量部となるようにすることが好ましい。50重量部未満
であると、人工石成形品及び/又は人工石板の強度や表
面硬度等の基本性能と意匠性とが低下するおそれがあ
り、1000重量部を超えると、人工石用組成物の流動
性が劣るため成形時に充填性が低下するおそれがある。
より好ましくは、300〜800重量部である。
【0050】人工石成形品及び/又は人工石板の製造
は、マトリックス樹脂及び充填剤を含むマトリックス材
と粒状天然石とを混練機中に投入して人工石用組成物を
得る混練工程、並びに、上記人工石用組成物を金型にチ
ャージして成形する成形工程、更に、必要に応じて、成
形品の表面を研磨する表面研磨工程を経るものである。
上記人工石用組成物を金型にチャージして成形するにあ
たって、必要ならば予備成形工程することにより、人工
石用組成物を予備成形して得た人工石用組成物予備成形
物を用いて金型にチャージして成形することが好まし
い。
【0051】上記混練工程は、上記マトリックス材を構
成する各成分と粒状天然石とを充分に混練することによ
り、粒状天然石をマトリックス材中に分散させて人工石
用組成物を得るために行われる。上記人工石用組成物
は、上記混練工程により得られるものであり、上述した
各成分が混練された組成物である。
【0052】上記混練工程は、例えば、まずマトリック
ス樹脂の一部又は全部をディスパー等の撹拌機で調製し
てからニーダー等の混練機へ投入、混練し、次いで残り
の成分を順次ニーダー等の混練機で混練して行うことが
できる。
【0053】上記ニーダー等の混練機の形式としては特
に限定されず、例えば、シグマブレード型、バンバリー
型等が挙げられるが、粒状天然石がニーダーの混練翼や
容器の内壁を削ることによりマトリックス材が黒ずむこ
とを抑制するために、セラミックチップを混練翼と容器
の内壁に貼り付けたもの等が好ましい。上記ニーダー等
の混練機の好ましい形態としては、その混練機の内面
が、ビッカース硬度900以上のものであることが好ま
しい。より好ましくは、上記ビッカース硬度が1000
以上である。さらに好ましくは、1100以上である。
本発明の人工石成形品の製造方法にあっては、使用する
材料が、粒状石を含んだ成形材料であるので、より好ま
しくは、上記の様な特定の混練機を使用して得られた成
形材料を特定表面硬度の金型を使用して成形することに
より、さらに好ましい外観の人工石成形品を得ることが
できる。
【0054】上記混練機の内面がビッカース硬度900
未満であると、混練機の内面の摩耗が生じることとな
る。上記混練機の内面がビッカース硬度900未満であ
る場合に混練機の内面の摩耗が生じる理由としては以下
のことが考えられる。即ち、混練される粒状天然石の表
面硬度が高いことや、混練機中に投入されたマトリック
ス材と粒状天然石とを含んだ組成物の流動性が本質的に
良くないために充分に混練された人工石用組成物を得る
ために混練力が必要であることを原因として、混練機中
に投入されたマトリックス材と粒状天然石とを含んだ組
成物が混練機中で混練されるときに、粒状天然石が混練
機の内面を摩耗することとなる。上記混練機の内面の摩
耗がより生じにくくなるためには、上記混練機の内面
が、ビッカース硬度1000以上となるようにすること
が好ましい。更に好ましくは、ビッカース硬度1100
以上である。
【0055】本明細書中において、混練機の内面とは、
混練機中に投入されたマトリックス材と粒状天然石とを
含んだ組成物が混練される部分の表面のことを意味す
る。上記混練される部分とは、混練機における容器の内
面;混練翼等のことを意味する。上記表面は、その全体
であってもよく一部であってもよいが、混練機の内面の
摩耗をできる限り抑制するために、その全体であること
が好ましい。また、一部である場合には、特に摩耗が起
こりやすい箇所として、例えば、大きな混練力がかかる
箇所であることが好ましい。上記大きな混練力がかかる
箇所としては、例えば、混練機における容器の内面にお
いて混練翼との間隙が狭くなる箇所;混練翼の先端部等
が挙げられる。
【0056】また、上記の、混練機の内面をビッカース
硬度900以上とする手段としては、特に限定されず、
例えば、下記で示される、金型の表面をビッカース硬度
900以上とする手段を、同様に採用することができ
る。また、本発明の上記成形工程で、材料の予備成形が
必要な場合、その押し出し機の内面も金型表面や、混練
機内面と同様に、ビッカース硬度900以上としたもの
を使用することが好ましい。押し出し機内面をビッカー
ス硬度900以上とする方法は、例えば金型表面を、ビ
ッカース硬度900以上とする方法を採用することがで
きる。本発明の粒状天然石を含む人工石成形品及び/又
は人工石板の製造方法において、人工石用組成物を、押
出し予備成形する工程を含む場合、押し出し機の内面を
ビッカース硬度900以上とした押し出し機を使用して
行う押し出し工程を含むことにより、材料の混練、予備
成形、金型成形といったトータル的な人工石成形品の成
形システムにおいて、材料と接触する金属面等からの汚
れや摩耗といった現象から発生する、材料の黒汚れを少
なくした非常に好ましいトータル成形システムを実現す
ることができる。
【0057】上記ニーダー等の混練機における混練の回
転速度及び温度としては特に限定されないが、マトリッ
クス材と粒状天然石とを充分に混練するために、回転速
度は20〜50rpm、温度は10〜60℃に設定する
ことが好ましい。より好ましくは、温度が15〜40℃
である。上記混練工程においては、上述した各成分の混
練機への投入順序等やその他の混練方法等は特に限定さ
れない。
【0058】本発明における上記成形工程は、上記人工
石用組成物を、必要ならば予備成形して得た上記人工石
用組成物予備成形物を金型にチャージして成形すること
により、板状成形物を得るために行われる。
【0059】本明細書中において、予備成形とは、金型
へのチャージを容易とし、また、人工石用組成物の充填
性を向上させるために、混練工程で得られた人工石用組
成物の形状を整えることであり、例えば、人工石用組成
物を容器等に梱包するプリフォーム梱包により行うもの
や、押出機により押出することにより行うもの等であ
る。
【0060】上記人工石用組成物予備成形物とは、上記
予備成形により得られるものである。上記人工石用組成
物や上記人工石用組成物予備成形物は、通常、バルクモ
ールディングコンパウンド(BMC)ともいう。上記プ
リフォーム梱包の方法としては特に限定されず、例え
ば、常温で熟成してもしなくてもよい。
【0061】上記成形工程は、例えば、人工石用組成物
予備成形物を加熱された金型にチャージした後、加圧す
ることにより下側の金型(下型)と上側の金型(上型)
とを型締めし、人工石用組成物予備成形物が展延されて
金型内に充填され、所定時間保持するプレス成形(圧縮
成形)等の加圧成形等により行うことができる。
【0062】上記金型の材質としては特に限定されず、
例えば、オーステナイト系ステンレス鋼材、マルテンサ
イト系ステンレス鋼材、サブゼロ硬化型ステンレス鋼材
等のステンレス鋼材;S55C等の鋼材等が挙げられ
る。また、これらの鋼材により形成された金型の表面を
クロムメッキしてもよい。
【0063】本明細書中において、人工石用組成物予備
成形物を金型にチャージするとは、下側の金型(下型)
上に人工石用組成物予備成形物を配置することをいう。
上記人工石用組成物予備成形物の配置方法としては特に
限定されない。上記金型へのチャージは、BMCチャー
ジ機等により行うことができ、成形された板状成形物の
金型からの取り出しは、製品取り出し機等により行うこ
とができる。上記金型の加圧は、例えば、圧力4.90
〜19.61MPaで行うことができる。
【0064】上記金型の加熱温度としては特に限定され
ないが、100〜170℃が好ましい。また、上型と下
型とが同じ温度であっても、異なる温度であってもよ
い。上記金型が加圧されている成形時間としては特に限
定されないが、180〜700秒であることが好まし
い。加熱温度が100℃未満であったり、成形時間が1
80秒未満であったりすると、人工石用組成物の硬化が
充分でなくなるおそれがあり、700秒を超えると経済
的ではない。加熱温度が170℃を超えると、人工石成
形品及び/又は人工石板の基本性能、意匠性及び高級感
が低下するおそれがある。
【0065】上記成形工程において、金型の表面の摩耗
が激しくなると、金型が摩耗されるときに金属の微粉が
生じ、これが人工石用組成物の表面部分に取り込まれ、
成形工程により得られる板状成形物の表面が黒く汚れる
ため、得られる人工石成形品及び/又は人工石板の意匠
性と高級感とが損なわれたものとなる。また、金型のメ
ンテナンスが頻繁に必要となるため、成形工程における
生産コストが上昇することとなる。更に、この表面の汚
れを除去するために、板状成形物の板厚を余分に厚く成
形して、表面研磨工程において通常以上に表面を研磨す
る必要が生じるため、材料コストや表面研磨工程におけ
る生産コストも上昇することとなる。これを解消するた
めには、上記成形工程において、金型の表面の摩耗が生
じないようにすることが必要である。
【0066】本発明者らは、鋭意検討の結果、上記成形
工程において、上記金型の表面が、ビッカース硬度90
0以上となるようにすることにより、充分な基本性能を
有し、しかも、意匠性に優れ、高級感を有する人工石成
形品及び/又は人工石板を生産コストを抑制して製造す
ることができることを見いだし、本発明を完成させたも
のである。
【0067】本明細書中において、「意匠性に優れる」
とは、マトリックス中に分散されている粒状天然石が、
種々の色、形状、模様等を呈することにより、表面に形
成された模様や柄等の人工石成形品及び/又は人工石板
の外観が、見る者に良好な印象を与えることを意味す
る。また、本明細書中において、「高級感を有する」と
は、マトリックス中に分散された粒状天然石と、充分な
透明性があるマトリックスとにより、粒状天然石が本来
有する御影石や大理石等の天然石と同様な高級感が、人
工石成形品及び/又は人工石板の表面に現れていること
を意味する。
【0068】上記金型の表面がビッカース硬度900未
満であると、金型の表面の摩耗が生じることとなる。上
記金型の表面がビッカース硬度900未満である場合に
金型の表面の摩耗が生じる理由としては以下のことが考
えられる。即ち、人工石用組成物予備成形物中に含まれ
る粒状天然石の表面硬度が高いことや、人工石用組成物
予備成形物の流動性が本質的に良くないために人工石用
組成物予備成形物を金型内に充分に展延させるために金
型にかける圧力が必要であることを原因として、人工石
用組成物予備成形物が金型内に展延されるときに、人工
石用組成物予備成形物中に含まれる粒状天然石が金型の
表面を摩耗することとなる。上記金型の表面の摩耗がよ
り生じにくくなるためには、上記金型の表面が、ビッカ
ース硬度1000以上となるようにすることが好まし
い。更に好ましくは、ビッカース硬度1100以上であ
る。
【0069】本明細書中において、金型の表面とは、人
工石用組成物予備成形物が充填される金型のキャビティ
部分の表面のことを意味する。上記表面は、その全体で
あってもよく一部であってもよいが、金型の表面の摩耗
をできる限り抑制するために、その全体であることが好
ましい。また、一部である場合には、特に摩耗が起こり
やすい箇所であることが好ましい。
【0070】本明細書中において、ビッカース硬度と
は、JIS Z 2244に準拠して、荷重30kgで
測定したビッカース硬度を意味する。通常使用される一
般的な金型の表面は、オーステナイト系ステンレス鋼材
で形成された金型ではビッカース硬度200程度であ
り、マルテンサイト系ステンレス鋼材で形成された金型
ではビッカース硬度200〜250程度である。また、
サブゼロ硬化型ステンレス鋼材で形成された金型ではビ
ッカース硬度350〜500程度である。更に、クロム
メッキされた金型ではビッカース硬度850程度であ
る。従って、これらの金型では、その表面をビッカース
硬度900以上とすることができない。
【0071】上記金型の表面をビッカース硬度900以
上とする手段としては特に限定されず、例えば、ビッカ
ース硬度900以上である材料を金型の表面に形成させ
ることにより達成することができる。上記ビッカース硬
度900以上である材料としては特に限定されず、例え
ば、セラミック、超硬金属等が好ましい。これらは単独
で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの
中でも、ビッカース硬度が向上し、金型の使用寿命が長
くなることから、超硬金属がより好ましい。
【0072】上記セラミックとしては特に限定されず、
例えば、TiN、TiCN、TiAlN、ZrN等の窒
化物;TiC、SiC、WC等の炭化物;SiO2 等の
酸化物;アルミナチタニア等のアルミナ;DLC(Di
amond Like Carbon)、C(ダイヤモ
ンド)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、
2種以上を併用してもよい。これらの中でも、TiC、
TiN、TiCN、WC、アルミナチタニア等が好まし
い。より好ましくは、アルミナチタニアである。
【0073】上記超硬金属としては特に限定されず、例
えば、WC、TiC等の炭化物にCo、Ni等の金属を
共焼結させたサーメット等が挙げられる。これらは単独
で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの
中でも、WCにCo等の金属を共焼結させたWCサーメ
ットが好ましい。
【0074】上記ビッカース硬度900以上である材料
を金型の表面に形成する方法としては特に限定されず、
例えば、溶射方法、PVD(物理的蒸着方法)、CVD
(化学的蒸着方法)等の金型の表面に被膜を形成する方
法;タイル状やチップ状にしたものを金型の表面に貼り
付ける方法等が挙げられる。また、セラミックや超硬金
属を併用して、無電解ニッケルメッキの一種であるカニ
ゼン法により金型の表面をメッキすることにより行うこ
ともできる。これらの中でも、形成される被膜が金型と
強固に密着し、金型の使用寿命が長くなることから、溶
射方法が好ましい。
【0075】上記溶射方法としては特に限定されず、例
えば、ジェットコート溶射、プラズマ溶射等による方法
が好ましい。より好ましくは、ジェットコート溶射によ
る方法である。上記ジェットコート溶射による方法とし
ては特に限定されず、例えば、極超音速ジェット燃焼ガ
スにより金型の表面に粉末溶射する方法等の高エネルギ
ーのガス溶射による方法等が挙げられる。上記プラズマ
溶射による方法としては特に限定されず、例えば、溶射
する粉末をプラズマトーチの中に落下させ、金型の表面
に吹き付ける方法等が挙げられる。
【0076】上記金型は、その表面に、例えば、WCサ
ーメット等の超硬金属やアルミナチタニア等のセラミッ
クを溶射することにより被膜が形成されたものであるこ
とが好ましい。より好ましくは、その表面に、WCサー
メット等の超硬金属を溶射することにより被膜が形成さ
れたものである。
【0077】上記被膜の厚みとしては特に限定されず、
例えば、20〜300μmであることが好ましい。20
μm未満であると、金型のメンテナンスが頻繁に必要と
なるおそれがある。被膜が厚くなるほど好ましいが、3
00μmを超えると、本発明の奏する効果が同様なもの
となる。より好ましくは、30〜200μmである。
【0078】上記成形工程は、粒状天然石として、ダイ
ヤモンドを10とするモース硬度3〜9のものを含む場
合に、金型の表面の摩耗が抑制されるという作用が充分
に発揮されるため、好適に適用することができるもので
ある。
【0079】本発明における表面研磨工程は、例えば、
天然石の表面研磨工程と同様に、湿式研磨機により連続
研磨又は単軸研磨することにより行うことができる。上
記表面研磨工程により、成形工程により得られる板状成
形物の表面が0.5〜2.0mm程度研磨され、得られ
る人工石成形品及び/又は人工石板におけるマトリック
ス中の粒状天然石の柄が表面研磨工程前のものよりも明
確となり、意匠性が向上することとなる。
【0080】本発明の人工石成形品及び/又は人工石板
は、湿式ダイヤモンドカッター、面取り機、ウォーター
ジェット等の一般の天然石加工用の工具や、天然石に用
いることができる接着剤等を使用して、切断、穴あけ、
接合、接着等を行う加工工程や施工工程を施すことがで
きるものである。
【0081】本発明の人工石成形品及び/又は人工石板
は、上述した本発明の人工石成形品及び/又は人工石板
の製造方法により製造されてなるものである。本発明の
人工石成形品及び/又は人工石板において、マトリック
ス中に分散された上記粒状天然石は、人工石成形品及び
/又は人工石板全量に対して、30〜90重量%である
ことが好ましい。30重量%未満であると、人工石成形
品及び/又は人工石板の表面硬度等の基本性能が低下す
るおそれがあったり、人工石成形品及び/又は人工石板
の表面に形成される粒状天然石の柄が少なくなることか
ら、意匠性が低下するおそれがあり、90重量%を超え
ると、人工石用組成物の流動性が劣るため成形時の充填
性が低下し、人工石成形品及び/又は人工石板の強度等
の基本性能が低下するおそれがある。
【0082】本発明の人工石成形品の1例である人工石
成形品及び/又は人工石板は、例えば、その製造におけ
る成形工程において、金型の摩耗が抑制されたものであ
ることから、耐熱性に優れ、圧縮強度や曲げ強度等の強
度、耐衝撃性及び表面硬度が高く、吸水率が低く、傷つ
きにくいといった基本性能を充分に有し、優れた意匠性
を有し、しかも、マトリックスにおける透明性が高いも
のであるため、粒状天然石として、御影石や花崗岩、大
理石、その他どのような天然石を粒状天然石として用い
たとしても、当該天然石のもつ高級感をその表面に現す
ことができ、タイル、壁用パネル等の建築用装飾材;浴
槽(バスタブ)、洗面化粧台(カウンター)、流し台
(シンク)、浴室パネル、システムキッチン天板(キッ
チンカウンター)、テーブル天板等の住設機器;各種装
飾品、表札等に好適に適用することができるものであ
る。
【0083】特に本発明の成形方法、混練方法が対象と
なる成形品や成形用材料の最終成形品の形態は、上記の
板状成形品だけではなく、バスタブや洗面ボールカウン
ター、流し台、立ち上がり面のあるキッチンカウンター
や、湾曲部、凹凸部のあるドア等の建築材料や壁材、他
の成形品とそして食器、洗面器、等も挙げられとくにそ
の形状は限定されるものではない。例えば具体的には、
成形品として、上記の板状の成形品である。勿論板状で
あっても強度等の関係で、多少のリブ構造や凸凹構造が
あってもかまわない。板状であると、本発明の成形方法
や材料の混練方法を採用して得た材料を成形して得た成
形品であっても、本発明の材料が含有する粒状天然石
が、成形時に意匠面に均一に分布しやすく、優れた外
観、意匠面になり易いので、好ましい形態である。
【0084】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。なお、「部」は、「重量部」を示す。
【0085】調製例1 温度計、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた反応器
としての四ツ口フラスコに、α,β−不飽和二塩基酸と
しての無水マレイン酸980部、及び、多価アルコール
としてのビスフェノールAのエチレンオキシド2付加物
3360部を仕込んだ後、フラスコ内を窒素ガス置換し
た。次に、この混合物を撹拌しながら最高温度が215
℃となるように加熱し、脱水反応を所定時間行った。こ
れにより、酸価が17の不飽和ポリエステルを得た。そ
して、この不飽和ポリエステル70部、ビニル単量体と
してのスチレン30部、及び、安定剤としてのハイドロ
キノン0.02部を混合することにより、樹脂A−1を
得た。
【0086】調製例2 温度計、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた反応器
としての四ツ口フラスコに、飽和二塩基酸としてのイソ
フタール酸1660部、及び、多価アルコールとしての
ジプロピレングリコール1380部を仕込んだ後、フラ
スコ内を窒素ガス置換した。次に、この混合物を撹拌し
ながら最高温度が215℃となるように加熱し、脱水反
応を所定時間行った。これにより、酸価が12の飽和ポ
リエステルを得た。そして、この飽和ポリエステル60
部、ビニル単量体としてのスチレン40部、及び、安定
剤としてのハイドロキノン0.02部を混合することに
より、樹脂B−1を得た。
【0087】実施例1 熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステル樹脂であるA−
1 85部、低収縮化剤として飽和ポリエステル樹脂で
あるB−1 15部、カップリング剤としてKBM−5
03(商品名、信越化学工業社製)2.0部、連鎖移動
剤としてα−メチルスチレンダイマー0.5部、紫外線
吸収剤としてチヌビン320(商品名、チバ・スペシャ
ルティ・ケミカルズ社製)0.5部、重合禁止剤として
パラベンゾキノン0.1部、及び、着色剤としてトナー
であるAT−3(商品名、大日精化株式会社製)0.3
部を容器に仕込み、ディスパーにより10分間撹拌し
た。その後、硬化剤としてパーヘキサTMH(商品名、
日本油脂株式会社製)2.0部を添加して更にディスパ
ーにより10分間撹拌してマトリックス樹脂を調製し
た。
【0088】次いで、調製したマトリックス樹脂全量、
充填剤として水酸化アルミニウムであるハイジライトH
−320(商品名、昭和電工社製)200部、粒状天然
石としてモース硬度7である藤岡御影250部を、SU
S304で形成されたニーダー(MSオープンニーダ
ー;100L、商品名、モリヤマ製)の内面全体に、ア
ルミナ(Al23 )タイルを隙間なく貼り付け、その
内面をビッカース硬度1300としたニーダーに投入
し、ニーダーを29〜38rpm回転させて1分間混練
した後、ニーダーを回転させた状態で、充填剤として強
化ガラス繊維であるチョップドストランドECS06B
−144/P(商品名、日本電気硝子社製)20部、及
び、内部離型剤としてステアリン酸亜鉛であるSZ−2
000(商品名、堺化学工業社製)2.0部を投入して
1分間混練した後、ニーダーを停止させ、上記と同じ粒
状天然石250部を投入した後、再びニーダーを回転さ
せ1分間混練した後、ニーダーを回転させた状態で、上
記と同じ強化ガラス繊維20部を投入して更に2分15
秒間混練して混練を終了した。ニーダーを回転させて混
練した合計時間は、5分15秒であった。この混練物を
ニーダーから取り出して混練工程を終了し、400mm
×400mm(約8kg)の寸法にプリフォーム梱包す
ることにより予備成形したBMCを得た。用いた藤岡御
影の粒度分布は、6mm以上の粒度の粒子が4重量%で
あり、5mm以上6mm未満の粒度の粒子が16重量%
であり、4mm以上5mm未満の粒度の粒子が24重量
%であり、3mm以上4mm未満の粒度の粒子が28重
量%であり、2mm以上3mm未満の粒度の粒子が20
重量%であり、1mm以上2mm未満の粒度の粒子が7
重量%であり、1mm未満の粒度の粒子が1重量%であ
った。
【0089】次いで、得られたBMCを、2500トン
の大型油圧プレス機を用い、135/130℃に設定し
た寸法670mm×2470mmの金型に、プリフォー
ムしたBMC6枚をBMCチャージ機によりチャージし
た。金型は、Superkote 508(商品名、ト
ーカロ社)により、ジェットコート溶射による方法で、
サブゼロ硬化型ステンレス鋼材で形成された金型の表面
全体にWCサーメットの被膜を形成したものを用いた。
その表面は、ビッカース硬度1150であった。
【0090】BMCのチャージパターンは、6枚のBM
Cを金型の長尺側の辺に沿って中央に横1列として、B
MCの一辺と金型の一辺とが平行となるように配置する
ものとした。その後、圧力7.85MPaで420秒間
プレス成形し、厚さが約13.5mmの板状成形物を得
て成形工程を終了した。
【0091】この成形工程を5回行い、得られた板状成
形物の表面が黒く汚れているか否かを以下に示す方法に
より評価した。その結果を表1に記載した。次いで、天
然石用湿式平面研磨装置により、成形工程により得られ
た板状成形物5枚すべてについて、表面を約1mm研磨
して表面研磨工程を行った後、人工石板を得た。以下に
示す方法により、得られた人工石板を評価した。その結
果を表1に記載した。
【0092】評価方法 (1)板状成形物の目視評価試験 得られた板状成形物の表面が黒く汚れているか否かを以
下の基準により目視評価した。得られた板状成形物5枚
すべてについて目視評価を行い、平均点数で表した。 5点:黒い汚れが観察されない。 4点:目視では確認しにくい微小な黒い汚れが僅かに観
察される。 3点:目視では確認しにくい微小な黒い汚れが所々に観
察される。 2点:小さな黒い汚れが所々に観察される。 1点:大きな黒い汚れが所々に観察される。 0点:黒い汚れが全面的に観察される。
【0093】(2)意匠性及び高級感の官能試験 得られた人工石板の外観の意匠性及び高級感について、
天然の御影石及び大理石を研磨したものを基準として、
意匠性に優れるか否かと、高級感を有するか否かを、2
1人(奇数人)により目視観察を行い評価した。尚、得
られた人工石板すべてについて目視観察を行い評価し
た。その結果を、意匠性に優れると評価した人の人数、
及び、高級感を有すると評価した人の人数の平均値で表
した。
【0094】得られた人工石板について行った意匠性及
び高級感の官能試験において、天然の御影石及び大理石
を研磨したものを基準として、評価した人の半分以上が
「意匠性に優れる」と評価した場合は、人工石板が意匠
性に優れるものであると考えられ、評価した人の半分以
上が「高級感を有する」と評価した場合は、人工石板が
高級感を有するものであると考えられる。
【0095】実施例2 実施例1において、金型として、S55Cの材質のもの
を用い、プラズマ溶射による方法で、金型の表面全体に
アルミナチタニアの被膜を形成したものを用いたこと以
外は同様にして人工石板を得た。金型の表面は、ビッカ
ース硬度1000であった。得られた板状成形物と人工
石板とについて実施例1に示す方法により評価した結果
とを表1に記載した。
【0096】実施例3 また、実施例1において、使用した押し出し機の内面
を、プラズマ溶射による方法で、アルミナチタニアの被
膜を形成したものを使用し、押し出し機の内面をビッカ
ース硬度1000とした以外は、同様にして、材料を予
備成形し、引き続いて、熱成形で、人工石板を得た。ま
たこの実施例においては、さらに長時間の連続成形工程
における、材料への黒ずみの発生の有無を検証するため
に、24時間連続で、材料混練し、材料押し出し予備成
形をし、熱成形を行い、同様な人工石板成形品を100
枚成形した。その結果であるが、長時間の連続成形で
も、黒汚れのない、良好な外観の人工石板成形品を得
た。評価結果は、得られた100枚の成形品はいずれ
も、表1の実施例1の結果と同様な良好な外観評価であ
った。
【0097】比較例1 実施例1において、金型として、マルテンサイト系ステ
ンレス鋼材(SUS304)で形成されたものをそのま
ま用いたこと以外は同様にして人工石板を得た。金型の
表面は、ビッカース硬度250であった。得られた板状
成形物と人工石板とについて実施例1に示す方法により
評価した結果とを表1に記載した。
【0098】比較例2 実施例1において、金型として、サブゼロ硬化型ステン
レス鋼材で形成されたものをそのまま用いたこと以外は
同様にして人工石板を得た。金型の表面は、ビッカース
硬度460であった。得られた板状成形物と人工石板と
について実施例1に示す方法により評価した結果とを表
1に記載した。
【0099】比較例3 実施例1において、金型として、サブゼロ硬化型ステン
レス鋼材で形成された金型の表面全体にクロムメッキし
たものを用いたこと以外は同様にして人工石板を得た。
金型の表面は、ビッカース硬度850であった。得られ
た板状成形物と人工石板とについて実施例1に示す方法
により評価した結果とを表1に記載した。
【0100】
【表1】
【0101】表1から明らかなように、実施例1及び2
においては、充分な基本性能を有し、しかも、意匠性に
優れ、高級感を有する人工石板を得ることができた。ま
た、成形工程を終了した後に、金型の表面を目視で観察
した結果、金型が摩耗された痕が観察されなかった。一
方、比較例1〜3においては、板状成形物の表面が黒く
汚れ、得られた人工石板は、実施例1及び2において得
られた人工石板と比較して、意匠性と高級感とに劣るも
のであった。また、成形工程を終了した後に、金型の表
面を目視で観察した結果、金型が摩耗された痕が観察さ
れた。
【0102】
【発明の効果】本発明の人工石成形品及び/又は人工石
板の製造方法は、上述の構成よりなるので、充分な基本
性能を有し、しかも、意匠性に優れ、高級感を有する人
工石成形品及び/又は人工石板を生産コストを抑制して
製造することができるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 105:16 B29K 105:16 B29L 31:10 B29L 31:10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マトリックス樹脂及び充填剤を含むマト
    リックス材と粒状天然石とを混練機中に投入して人工石
    用組成物を得る混練工程、並びに、該人工石用組成物を
    金型にチャージして成形する成形工程、を含む人工石成
    形品及び/又は人工石板の製造方法であって、該金型
    は、その表面が、ビッカース硬度900以上のものであ
    ることを特徴とする人工石成形品及び/又は人工石板の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記金型は、その表面に、超硬金属及び
    /又はセラミックを溶射することにより被膜が形成され
    たものであることを特徴とする請求項1記載の人工石成
    形品及び/又は人工石板の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の人工石成形品及び
    /又は人工石板の製造方法により製造されてなることを
    特徴とする人工石成形品及び/又は人工石板。
JP2000273399A 1999-09-08 2000-09-08 人工石成形品及び/又は人工石板の製造方法並びに人工石成形品及び/又は人工石板 Pending JP2001145923A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000273399A JP2001145923A (ja) 1999-09-08 2000-09-08 人工石成形品及び/又は人工石板の製造方法並びに人工石成形品及び/又は人工石板

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11-254760 1999-09-08
JP25476099 1999-09-08
JP2000273399A JP2001145923A (ja) 1999-09-08 2000-09-08 人工石成形品及び/又は人工石板の製造方法並びに人工石成形品及び/又は人工石板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001145923A true JP2001145923A (ja) 2001-05-29

Family

ID=26541831

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000273399A Pending JP2001145923A (ja) 1999-09-08 2000-09-08 人工石成形品及び/又は人工石板の製造方法並びに人工石成形品及び/又は人工石板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001145923A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100704729B1 (ko) * 2005-08-18 2007-04-06 김동욱 천연질감의 패턴형성이 용이한 고강도 내충격성 인조대리석 및 그 제조방법
CN114213059A (zh) * 2021-12-01 2022-03-22 广东中旗新材料股份有限公司 一种室内装饰用石英石板材及其制备方法和应用

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100704729B1 (ko) * 2005-08-18 2007-04-06 김동욱 천연질감의 패턴형성이 용이한 고강도 내충격성 인조대리석 및 그 제조방법
CN114213059A (zh) * 2021-12-01 2022-03-22 广东中旗新材料股份有限公司 一种室内装饰用石英石板材及其制备方法和应用
CN114213059B (zh) * 2021-12-01 2023-08-25 广东中旗新材料股份有限公司 一种室内装饰用石英石板材及其制备方法和应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100840096B1 (ko) 유리질 및 반결정질 중합체로부터 형성된 성형 조성물
KR100554187B1 (ko) 열가소성수지성형품
CN101265336A (zh) 能热塑成型、特别是用来生产洁具的自增强半成品、其生产方法和由其生产的模塑品
US20130116363A1 (en) Artificial marble containing chips of plate-shaped waste glass and method for fabricating the same
US6221300B1 (en) Method for manufacturing artificial stone
JP2001145923A (ja) 人工石成形品及び/又は人工石板の製造方法並びに人工石成形品及び/又は人工石板
KR100642769B1 (ko) 고경도 연질복합재
JP2001071368A (ja) 人工石板の製造方法及び人工石板
KR100658103B1 (ko) 상용화제, 라디칼 공중합성 수지 조성물, 성형재료, 및성형품
JP2001146452A (ja) 人工石板
JP4989187B2 (ja) プレス成形品
JP4686094B2 (ja) 熱可塑的に成形可能な自己強化ポリ(メト)アクリレートシート、該シートの製造方法および該シートで製造されたサニタリー製品
EP0697954B1 (en) Reinforced moulded articles and method of producing same
JPH05124844A (ja) 人工大理石の製造方法
JP2001080944A (ja) 人工石板の製造方法及び人工石板
JP2001080945A (ja) 人工石板
JP2572434B2 (ja) 御影石調人工石およびその製造方法
JP4439830B2 (ja) プレス成形品
JP2001145928A (ja) 人工石板の製造方法及び人工石板
JP2000053838A (ja) 人工大理石用樹脂組成物、その成形体及び成形体の接着方法
JP4457289B2 (ja) 高意匠性ボウル付きカウンターの製造方法
JP2001071387A (ja) 人工石板の製造方法及び人工石板
JP2001145918A (ja) 人工石板の製造方法及び人工石板
JP2001145927A (ja) 人工石板の製造方法及び人工石板
ITTO20000847A1 (it) Procedimento per la produzione di pietra artificiale e lastra di pietra artificiale.