JP2001140662A - 電磁駆動弁の制御装置 - Google Patents

電磁駆動弁の制御装置

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JP2001140662A
JP2001140662A JP32960999A JP32960999A JP2001140662A JP 2001140662 A JP2001140662 A JP 2001140662A JP 32960999 A JP32960999 A JP 32960999A JP 32960999 A JP32960999 A JP 32960999A JP 2001140662 A JP2001140662 A JP 2001140662A
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electromagnet
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armature
driven valve
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Hiroyuki Hattori
宏之 服部
Takashi Deo
隆志 出尾
Masahiko Asano
昌彦 浅野
Tatsuo Iida
達雄 飯田
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Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】機関始動時における電磁駆動弁の正常な動作を
確保して始動性の悪化を抑制することのできる電磁駆動
弁の制御装置を提供する。 【解決手段】吸気弁20及び排気弁60は、吸気ポート
11を開閉する弁体22、この弁体22に固定されたア
ーマチャ25、一対のスプリング23,24、及び各ス
プリング23,24の付勢力に抗してアーマチャ25を
吸引することで弁体22を開閉駆動する一対の電磁石3
0,31とを備える。これら各電磁石30,31は電子
制御装置70によって通電制御される。電子制御装置7
0は、機関始動動作を開始する前に弁体22の開閉駆動
に先立って所定期間通電を行うことにより、各電磁石3
0,31を温度上昇させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、内燃機関の機関
燃焼室に通じる通路を開閉する電磁駆動弁の制御装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】カムシャフトの回転に基づいて吸気弁や
排気弁を開閉駆動するようにした従来の動弁機構に代
え、これら吸気弁や排気弁を電磁駆動弁によって構成す
るようにした内燃機関が知られている。
【0003】この種の電磁駆動弁は一般に、吸気ポート
或いは排気ポートを開閉する弁体、その弁体とともに変
位するアーマチャ、このアーマチャを吸引する電磁石、
アーマチャを電磁石から離間させるように付勢するバネ
等を備えて構成されている。そして、電磁石の通電制御
を通じてアーマチャが所定のタイミングで変位させられ
ることにより、弁体が開閉駆動されるようになってい
る。
【0004】また、こうした電磁駆動弁を備える内燃機
関では、従来の動弁機構を備える内燃機関とは異なり、
その機関始動以前において、電磁駆動弁の弁位置が一
旦、初期位置としての全閉位置或いは全開位置に保持さ
れる。そして、このように電磁駆動弁の弁位置が初期位
置に保持された後に始動動作が開始され、電磁駆動弁が
クランクシャフトの回転と同期するように開閉駆動され
る。
【0005】例えば、特開平11−93711号公報に
記載される内燃機関では、機関始動の要求があるとき或
いは機関始動以前に、電磁駆動弁の弁位置を強制的に全
閉位置或いは全開位置に移行させるための処理(初期駆
動)を行うようにしている。また、特開平10−148
110号公報に記載される内燃機関では、機関停止に際
して電磁駆動弁の弁位置を全閉位置或いは全開位置に予
め保持しておくことにより初期駆動を省略し、速やかな
機関始動を可能にしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
に吸気弁や排気弁を電磁駆動弁によって構成するように
した場合には、従来の動弁機構と比較して弁の開閉駆動
力が小さく制限されるため、以下のような問題も無視で
きないものとなる。
【0007】即ち、冷間始動時において電磁駆動弁の可
動部が氷結していると、その可動部における駆動抵抗が
大きくなるため、同弁が開閉不能になるか、所定のタイ
ミングで開閉駆動することができなくなることがある。
このため、可動部が氷結しているときに機関始動が開始
されると、電磁駆動弁を正常に動作させることができ
ず、吸気の導入や排気の排出を適正なタイミングで行う
ことができなくなるおそれがある。更に機関始動の以前
に上記初期駆動を行う場合にあっては、その初期駆動を
行うことができずに機関始動の開始が遅れるおそれがあ
る。
【0008】また、こうした可動部の氷結の他、電磁駆
動弁の内部に潤滑用として供給されている油がアーマチ
ャと電磁石との間に多量に滞留することがあると、その
潤滑油によってアーマチャの移動が阻害され、同弁の開
閉動作が不安定になることがある。このため、こうした
潤滑油の滞留が生じているときに機関始動が開始された
場合も上記と同様に、電磁駆動弁が正常に動作せず、吸
排気を適正なタイミングで行うことができなくなるおそ
れがある。
【0009】従って、上記のように可動部に氷結が生じ
ている場合や潤滑油の滞留が生じている場合にはいずれ
も、機関始動時において電磁駆動弁の正常な動作を確保
することができず、始動性の悪化も避けきれないものと
なる。
【0010】この発明はこうした実情に鑑みてなされた
ものであり、その目的は機関始動時における電磁駆動弁
の正常な動作を確保して始動性の悪化を抑制することの
できる電磁駆動弁の制御装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の手段及びその作用効果について以下に記載する。請求
項1に記載した発明では、機関燃焼室に通じる通路を開
閉する弁体と、該弁体とともに変位するアーマチャと、
前記弁体を閉弁側若しくは開弁側に付勢する付勢手段
と、該付勢手段の付勢力に抗して前記アーマチャを吸引
することで前記弁体を開弁駆動若しくは閉弁駆動する電
磁石とを備えた電磁駆動弁の制御装置において、機関始
動以前に前記弁体の開閉駆動に先立って前記電磁石に所
定期間通電を行う通電制御手段を備えるようにしてい
る。
【0012】上記構成によれば、機関始動以前において
電磁石を所定期間通電することにより、電磁石が発熱し
て電磁駆動弁の可動部が温度上昇するようになる。しか
も、こうした電磁石への通電を弁体の開閉駆動に先立っ
て行うようにしているため、その通電態様を、弁体の開
閉駆動とは無関係に、電磁石をより高温に発熱させる上
で好適な態様に設定することができる。このため、可動
部をより速やかに温度上昇させることができるようにな
る。
【0013】そして、このように可動部を温度上昇させ
ることにより、機関始動以前において可動部が氷結して
いたとしても、その氷結を除くことができる。従って、
機関始動時における電磁駆動弁の正常な動作を確保し、
可動部の氷結に伴う始動性の悪化を抑制することができ
るようになる。
【0014】請求項2に記載した発明では、請求項1に
記載した電磁駆動弁の制御装置において、前記通電制御
手段は前記電磁石の通電に際して同電磁石に大きさの変
動する電流を供給するものとしている。
【0015】上記構成によれば、請求項1に記載した発
明の作用効果に加えて、電磁石に大きさの変動する電流
を供給することで、電磁石の鉄心に渦電流を発生させ、
この渦電流損によって電磁石における発熱量を増大させ
ることができるため、可動部の氷結をより速やかに除く
ことができるようになる。
【0016】請求項3に記載した発明では、請求項1又
は2に記載した電磁駆動弁の制御装置において、前記通
電制御手段は、前記電磁駆動弁の温度を検出する検出手
段と、その検出温度に基づいて前記電磁駆動弁が低温状
態にあるか否かを判断する判断手段とを備え、該判断手
段により前記電磁駆動弁が低温状態にある旨判断される
ことを条件に前記電磁石に対する通電を開始するもので
あるとしている。
【0017】上記構成によれば、電磁駆動弁がその可動
部に氷結の生じ得ない温度状態にあるときには電磁石の
通電が行われなくなる。従って、請求項1又は2に記載
した発明の作用効果に加えて、電磁石に対する不必要な
通電が行われることによる消費電力の増大を抑制するこ
とができるようになる。
【0018】請求項4に記載した発明は、請求項3に記
載した電磁駆動弁の制御装置において、前記通電制御手
段は前記検出温度に基づいて前記所定期間を設定するも
のであるとしている。
【0019】上記構成によれば、上記所定期間、即ち電
磁石に通電する際の通電期間を電磁駆動弁の検出温度に
基づいて設定するようにしているため、この通電期間を
氷結を確実に除く上で必要且つ十分な期間に設定するこ
とができるようになる。従って、請求項3に記載した発
明の作用効果に加えて、消費電力の増大を更に抑制しつ
つ、可動部の氷結をより確実に除くことができるように
なる。
【0020】請求項5に記載した発明は、機関燃焼室に
通じる通路を開閉する弁体と、該弁体とともに変位する
アーマチャと、前記弁体を閉弁側若しくは開弁側に付勢
する付勢手段と、該付勢手段の付勢力に抗して前記アー
マチャを吸引することで前記弁体を開弁駆動若しくは閉
弁駆動する電磁石とを備えた電磁駆動弁の制御装置にお
いて、機関始動以前に前記アーマチャと前記電磁石とが
繰り返し衝突するように前記電磁石の通電制御を通じて
前記弁体を開閉駆動する駆動手段を備えるようにしてい
る。
【0021】上記構成によれば、機関始動以前にアーマ
チャと電磁石とが繰り返し衝突するように弁体を開閉駆
動することにより、アーマチャと電磁石との間に滞留す
る潤滑油がこれら両者の間から排出されるようになる。
従って、機関始動時における電磁駆動弁の正常な動作を
確保し、アーマチャと電磁石との間に潤滑油が滞留する
ことに伴う始動性の悪化を抑制することができるように
なる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて図1〜7を参照して説明する。図1は、電磁駆動弁
として構成される吸気弁20及び排気弁60を備えた車
両用内燃機関10の断面構造、並びにこれら各弁20,
60の開閉動作を制御する制御装置の概略構成を示して
いる。
【0023】まず、吸気弁20及び排気弁60の構成に
ついて説明する。尚、排気弁60は、その弁体が燃焼室
14に通じる排気ポート12を開閉する点を除き、吸気
弁20と同様の構成を備えているため、以下では、吸気
弁20の構成についてのみ詳細に説明する。
【0024】吸気弁20は、シリンダヘッド13に固定
されたハウジング21、弁体22、この弁体22を開閉
駆動するための一対のスプリング23,24及び電磁石
30,31等を備えて構成されている。
【0025】弁体22は、シリンダヘッド13によって
往復動可能に支持された弁軸22aと、その弁軸22a
の下端部に固定され、弁軸22aの往復動に伴って燃焼
室14に通じる吸気ポート11を開閉する傘部22bと
を備えている。
【0026】弁軸22aの上端部には、アッパリテーナ
26が固定されている。このアッパリテーナ26とハウ
ジング21との間にはアッパスプリング23が配設され
ており、このアッパスプリング23によって弁体22は
開弁側に常時付勢されている。一方、弁軸22aの略中
央部には、ロアリテーナ27が固定されている。このロ
アリテーナ27とシリンダヘッド13との間にはロアス
プリング24が配設されており、このロアスプリング2
4によって弁体22は閉弁側に常時付勢されている。
【0027】また、弁軸22aにおいて各リテーナ2
6,27の間に位置する部分には、磁性材料からなる円
板状のアーマチャ25が固定されている。そして、ハウ
ジング21内には、このアーマチャ25とアッパリテー
ナ26との間に位置する第1の電磁石30と、アーマチ
ャ25とロアリテーナ27との間に位置する第2の電磁
石31とがそれぞれ設けられている。
【0028】ハウジング21内において、第1の電磁石
30の上方には、アッパリテーナ26及びアッパスプリ
ング23が配設されるアッパ空間51が区画形成され、
各電磁石30,31との間には、上記アーマチャ25が
配設されるアーマチャ空間52が区画形成されている。
このアーマチャ空間52を区画するハウジング21と、
アーマチャ25の外周部との間には、所定の大きさを有
した隙間41が形成されている。また、シリンダヘッド
13内には、第2の電磁石31の下方に位置してロアリ
テーナ27が配設されるロア空間53が区画形成されて
いる。
【0029】上記各電磁石30,31は、弁軸22aを
その中心として配置される環状のコイル32,35と、
磁性材料からなるコア33,36とを備えてそれぞれ構
成されている。また、各コア33,36には、弁軸22
aをその中心として配置される環状の第1の永久磁石3
4及び第2の永久磁石37がそれぞれ設けられている。
【0030】そして、弁体22は、第1の電磁石30に
生じる電磁力と第1の永久磁石34の磁力とによってア
ーマチャ25が吸引されることで閉弁駆動され、第2の
電磁石31に生じる電磁力と第2の永久磁石37の磁力
とによってアーマチャ25が吸引されることで開弁駆動
される。
【0031】因みに、上記各電磁石30,31に対する
通電がいずれも停止されている場合、アーマチャ25
は、第1の永久磁石34の磁力により吸引されて第1の
電磁石30の下面に吸着された状態、第2の永久磁石3
7の磁力により吸引されて第2の電磁石31の上面に吸
着された状態、及びアッパスプリング23及びロアスプ
リング24の付勢力が釣り合う中立位置、即ちここでは
第1の電磁石30と第2の電磁石31との間の略中間位
置に保持された状態、のうちのいずれかの状態をとるよ
うになる。
【0032】図2は、吸気弁20の断面構造において各
電磁石30,31の近傍を拡大して示している。同図に
示されるように、各コア33,36の中央部には貫通孔
38,39がそれぞれ形成されており、弁軸22aはこ
れら貫通孔38,39に挿通されている。また、各貫通
孔38,39は、その孔径が弁軸22aの軸径よりも僅
かに大きく設定されている。従って、各貫通孔38,3
9の内壁と弁軸22aとの間には、潤滑用の油が通過す
ることのできる微小な隙間40,42がそれぞれ形成さ
れている。尚、図1及び図2では説明の便宜上、これら
隙間40,42の大きさを誇張して図示している。
【0033】ここで、吸気弁20の可動部分に対して潤
滑用の油を供給するための給油機構について説明する。
図1に示されるように、ハウジング21には、オイルポ
ンプ(図示略)に接続される給油ポート28が形成され
ている。一方、シリンダヘッド13内には、オイルパン
(図示略)に接続される排油通路15が形成されてい
る。
【0034】機関運転が開始されると、オイルパンの潤
滑油がオイルポンプから給油ポート28に供給される。
このように給油ポート28に供給された潤滑油は、上記
弁軸22aと貫通孔38との間の隙間40を通過してア
ッパ空間51からアーマチャ空間52に導入される。そ
して、このようにアーマチャ空間52に導入された潤滑
油は、ハウジング21とアーマチャ25との間の隙間4
1及び弁軸22aと貫通孔39との間の隙間42をそれ
ぞれ通過してロア空間53に導入される。更に、潤滑油
は排油通路15を通じてロア空間53からオイルパンに
排出される。
【0035】このようにアッパ空間51からアーマチャ
空間52を経てロア空間53に移動する際に、潤滑油は
弁軸22aと各貫通孔38,39との間やシリンダヘッ
ド13において弁軸22aを支持する部分の潤滑に供さ
れるようになる。
【0036】次に、上記のように構成される吸気弁20
及び排気弁60の開閉動作を制御する制御装置について
説明する。この制御装置は、各弁20,60の開閉動作
にかかる制御の他、内燃機関10の各種制御も併せて実
行する電子制御装置70と、機関運転状態や各弁20,
60の温度状態等を検出する検出系とによって構成され
ている。
【0037】電子制御装置70は、演算処理を実行する
演算処理装置、各種関数データが記憶されるメモリ、検
出系からの信号が入力される入力回路、並びに各電磁石
30,31に電流を供給する駆動回路(いずれも図示
略)等々を備えている。
【0038】また、電子制御装置70の入力回路には、
上記検出系としてのキースイッチ80、温度センサ8
1、及び変位センサ82が接続されている。キースイッ
チ80は、その操作位置が「オフ」、「オン」、及び
「スタート」の間で切り替えられる。例えば、キースイ
ッチ80の操作位置が「オン」にある場合には、内燃機
関10の始動が完了していることを条件に点火や燃料噴
射が実行され、同操作位置が「スタート」にある場合に
は、所定の条件が満たされるときに始動動作(クランキ
ング動作)が開始される。更に、キースイッチ80の操
作位置が「オフ」にある場合には、点火や燃料噴射が停
止され、内燃機関10の運転が停止される。電子制御装
置70は、こうしたキースイッチ80の操作位置を同ス
イッチ80の出力信号に基づいて判断する。
【0039】温度センサ81は、サーミスタ等からな
り、吸気弁20の第1の電磁石30(例えばコア33)
に取り付けられている。電子制御装置70は、この温度
センサ81の出力信号に基づいて吸気弁20及び排気弁
60の温度、詳しくはそれら各弁20,60の可動部の
温度を検出する。尚、排気弁60の温度は、温度センサ
81により検出される吸気弁20の温度と同じであると
仮定している。
【0040】また、変位センサ82は、各弁20,60
のハウジング21において上記アッパリテーナ26の近
傍にそれぞれ取り付けられている。電子制御装置70
は、この変位センサ82の出力信号に基づいて吸気弁2
0及び排気弁60における各弁体22のリフト量を検出
する。
【0041】次に、吸気弁20及び排気弁60を開閉駆
動する際における各電磁石30,31の通電態様につい
て説明する。尚、以下の説明では、吸気弁20及び排気
弁60を特に区別する必要がない場合には、これらを
「電磁駆動弁」と記載する。
【0042】図3は、電磁駆動弁を開閉駆動する際にお
いて、電子制御装置70の駆動回路を通じて第1の電磁
石30に供給される電流値Ia(同図(a))、第2の
電磁石31に供給される電流値Ib(同図(b))、並
びに電磁駆動弁の弁位置P(同図(c))の変化態様を
この例としてそれぞれ示している。
【0043】同図に示されるように、電磁駆動弁を全閉
状態に保持する場合には(タイミングt0〜t1、タイ
ミングt6以降)、上記各電流値Ia,Ibはいずれも
「0」に設定され、各電磁石30,31に対する通電は
停止される。更にこの場合、アーマチャ25は、第1の
永久磁石34の磁力によって吸引され、第1の電磁石3
0の下面に吸着された状態に保持される(図1参照)。
【0044】また、電磁駆動弁を全開状態に保持する場
合(タイミングt3〜t4)にも同様に、上記各電流値
Ia,Ibはいずれも「0」に設定され、各電磁石3
0,31に対する通電は停止される。更にこの場合、ア
ーマチャ25は、第2の永久磁石37の磁力によって吸
引され、第2の電磁石31の上面に吸着された状態に保
持される。
【0045】これに対して、電磁駆動弁を全閉状態から
全開状態に移行させる際には、まず、第1の永久磁石3
4の磁界方向と逆向きの磁界が形成されるように、第1
の電磁石30に対し電子制御装置70の駆動回路を通じ
て所定の電流が供給される(タイミングt1〜t2)。
こうした電流(以下、「開放電流」という)が供給され
ることにより、第1の永久磁石34の磁界が第1の電磁
石30により形成される磁界によって打ち消され、第1
の永久磁石34の磁力が消失する。その結果、弁体22
はアッパスプリング23によって付勢されて下方に移動
し、電磁駆動弁の開度が徐々に増大するようになる。
【0046】更に、第1の電磁石30に対する開放電流
の供給が停止されると同時に(タイミングt2)、第2
の電磁石31には、第2の永久磁石37の磁界方向と同
じ向きの磁界が形成されるように、上記駆動回路を通じ
て開放電流とは逆向きに流れる電流が供給される(タイ
ミングt2〜t3)。こうした電流(以下、「吸引電
流」という)が供給されることにより、第2の永久磁石
37の磁界が第2の電磁石31により形成される磁界に
よって強められるようになる。そして、アーマチャ25
は、第2の永久磁石37の磁力と第2の電磁石31に生
じる電磁力とによって吸引され、上記中立位置よりも更
に下方に移動して第2の電磁石31の上面に吸着された
状態となる。その結果、電磁駆動弁は全開状態となる。
【0047】一方、電磁駆動弁を全開状態から全閉状態
に移行させる際には、まず、第2の永久磁石37の磁界
方向と逆向きの磁界が形成されるように、第2の電磁石
31に対し上記駆動回路を通じて開放電流が供給される
(タイミングt4〜t5)。このように開放電流が供給
されることにより、第2の永久磁石37の磁界が第2の
電磁石31により形成される磁界によって打ち消され、
第2の永久磁石37の磁力が消失する。その結果、弁体
22はロアスプリング24によって付勢されて上方に移
動し、電磁駆動弁の開度が徐々に減少するようになる。
【0048】更に、第2の電磁石31に対する開放電流
の供給が停止されると同時に(タイミングt5)、第1
の電磁石30には、第1の永久磁石34の磁界方向と同
じ向きの磁界が形成されるように、上記駆動回路を通じ
て吸引電流が供給される(タイミングt5〜t6)。こ
のように吸引電流が供給されることにより、第1の永久
磁石34の磁界が第1の電磁石30により形成される磁
界によって強められるようになる。そして、アーマチャ
25は、第1の永久磁石34の磁力と第1の電磁石30
に生じる電磁力とによって吸引され、上記中立位置より
も更に上方に移動して第1の電磁石30の下面に吸着さ
れた状態となる。その結果、電磁駆動弁は全閉状態とな
る。
【0049】ところで、電磁駆動弁が全開状態或いは全
閉状態となっており、アーマチャ25が第1の電磁石3
0の下面或いは第2の電磁石31の上面に吸着されてい
る状態から、何らかの要因によってアーマチャ25が第
1の電磁石30或いは第2の電磁石31から離間するこ
とがあると、同アーマチャ25は振動しながら徐々に上
記中立位置にまで移動して停止するようになる。このよ
うにアーマチャ25が中立位置において停止すると、電
磁駆動弁の通常の開閉動作ができなくなる。このため、
このような場合には、機関運転が一旦停止され、電磁駆
動弁を全閉状態にまで移行させるための処理、即ち初期
駆動が行われる。
【0050】図4は、電磁駆動弁を初期駆動する際にお
いて、電子制御装置70の駆動回路を通じて第1の電磁
石30に供給される電流値Ia(同図(a))、第2の
電磁石31に供給される電流値Ib(同図(b))、並
びに電磁駆動弁の弁位置P(同図(c))の変化態様を
この例としてそれぞれ示している。
【0051】同図(a),(b)に示されるように、初
期駆動を行う場合には、第1の電磁石30に対して上記
開放電流及び吸引電流を一組とした交番電流が所定の周
期Tmkをもって供給される。また、第2の電磁石31
には、上記と同様の交番電流が第1の電磁石30に対す
る供給電流よりも半周期Tmk/2分だけ位相がずれた
状態で供給される。
【0052】ここで、この周期Tmkは、弁体22を自
由振動させたときの固有振動数fmkに対応する周期
(=1/fmk)として設定されている。従って、初期
駆動の際には、弁体22に対して、これを開弁側に変位
させようとする力と閉弁側に変位させようとする力とが
上記固有振動数fmkをもって交互に加わるようにな
る。その結果、同図(c)に示されるように、弁体22
は共振状態となってその振幅が徐々に増大し、電磁駆動
弁は全閉状態にまで移行するようになる。
【0053】そして、このように電磁駆動弁が全閉状態
に移行したことが上記変位センサ82の出力信号に基づ
いて検出されると(タイミングt1)、各電磁石30,
31に対する通電がいずれも停止される。
【0054】尚、本実施形態における内燃機関10で
は、機関運転を停止する際に電磁駆動弁を全閉状態に移
行させ、同状態に保持するようにしている。従って、機
関始動に際して、通常、電磁駆動弁の初期駆動が必要と
される場合はない。
【0055】本実施形態の制御装置では、機関始動動作
を開始する前に、電磁駆動弁を温度上昇させる処理(弁
加熱処理)と、アーマチャ空間52に滞留している潤滑
油を同空間52から強制的にロア空間53へと排出する
処理(潤滑油排出処理)とを所定の条件のもとに実行す
ることにより、機関始動時における電磁駆動弁の正常な
開閉動作を確保するようにしている。
【0056】以下、こうした弁加熱処理並びに潤滑油排
出処理の詳細について説明する。図5は、これら各処理
の実行手順を示すフローチャートである。このフローチ
ャートに示される一連の処理は、電子制御装置70によ
り所定周期毎の割込処理として実行される。
【0057】この一連の処理に際しては、まず、キース
イッチ80の操作位置が「オン」又は「スタート」に切
り替えられているか否かが判断される(ステップ11
0)。ここで肯定判断された場合(ステップ110:Y
ES)、電磁駆動弁の温度Taが読み込まれる(ステッ
プ120)。
【0058】次に、電磁駆動弁が低温状態にあるか否
か、即ち、電磁駆動弁がその可動部において氷結が生じ
得る温度状態にあるか否かが判断される(ステップ13
0)。この判断に際しては、電磁駆動弁の温度Taと所
定の判定温度Tlowとが比較され、同温度Taがこの
判定温度Tlowを下回っている場合に、電磁駆動弁が
低温状態にあると判断される。
【0059】そして、このように電磁駆動弁が低温状態
にある旨判断されると(ステップ130:YES)、上
記弁加熱処理が実行される(ステップ135)。従っ
て、この弁加熱処理は、電磁駆動弁の温度Taが上記判
定温度Tlowを下回っていることを条件に開始される
こととなる。
【0060】図6は、この弁加熱処理において、電磁駆
動弁の第1の電磁石30に供給される電流値Ia(同図
(a))、第2の電磁石31に供給される電流値Ib
(同図(b))、並びに電磁駆動弁の温度Taの変化態
様をそれぞれ示している。
【0061】同図に示されるように、この弁加熱処理に
おいては、電磁駆動弁が低温状態にある旨判断される
と、その時点(タイミングt1)から所定期間(タイミ
ングt1〜t2)、電磁駆動弁の各電磁石30,31が
通電制御される。
【0062】この通電に際して各電磁石30,31に供
給される電流値Ia,Ibはいずれも、上記吸引電流と
同方向に流れる直流成分と、この直流成分に重畳され、
所定の周波数facをもって変動する交流成分とを含ん
でいる。この周波数facは、弁体22の共振周波数領
域よりも高い周波数領域の振動数、即ち上記固有振動数
fmkよりも十分に高く設定されている。尚、第1の電
磁石30に供給される電流値Iaは上記のようにその大
きさが変動するものの、上記吸引電流と常に同方向に流
れている。このため、上記各電磁石30,31に対する
通電に際して、アーマチャ25は第1の電磁石30の下
面に吸着された状態のまま保持されており、弁体22が
変位することはない。
【0063】そして、このように各電磁石30,31が
通電されることにより、各電磁石30,31のコイル3
2,35が発熱し、図6(c)に示されるように、電磁
駆動弁の温度Taが徐々に上昇するようになる。その結
果、例えば弁軸22aと各貫通孔38,39との間の隙
間40,41や、アーマチャ25と第1の電磁石30の
下面との間において氷結が生じていたとしても、こうし
た氷結が除かれるようになる。
【0064】また、上記各電流値Ia,Ibは交流成分
を含んでいるため、各コイル32,35のインピーダン
スが増大して各コイル32,35における発熱量が増大
するようになる。更に、こうした交流成分により各電磁
石30,31のコア33,36には渦電流が発生し、各
コイル32,35に加え、これらコア33,36もこの
渦電流損によって発熱するようになる。従って、電磁駆
動弁の温度Taをより大きく上昇させることができ、弁
軸22aやアーマチャ25といった電磁駆動弁の可動部
に生じた氷結が速やかに除かれるようになる。
【0065】しかも、各電磁石30,31への通電を弁
体22の開閉駆動に先立って行うようにしているため、
上記直流成分の大きさや交流成分の変動幅等を弁体22
の開閉駆動とは無関係に、各電磁石30,31をより高
温に発熱させる上で好適な大きさに設定することができ
る。
【0066】更に、上記交流成分の周波数facは、弁
体22の固有振動数fmkよりも十分に高い振動数に設
定されているため、上記のように各電磁石30,31が
通電制御されても、その通電に伴って弁体22に共振現
象が発生してしまうことがない。従って、こうした共振
現象の発生によって弁体22が不必要に変位してしまう
こともない。
【0067】また、こうした弁加熱処理は、各電磁石3
0,31の発熱によって電磁駆動弁の温度Taが上昇
し、同温度Taが上記判定温度Tlowに達するように
なるまで継続される(図6のタイミングt2)。その結
果、この弁加熱処理が実行される期間は、電磁駆動弁の
温度Taに基づいて可変設定されることとなる。
【0068】一方、図5に示す一連の処理において、電
磁駆動弁が低温状態にはない旨判断された場合には(ス
テップ130:NO)、今回の機関始動に際して潤滑油
排出処理の実行が既に終了しているか否かが判断される
(ステップ140)。そして、潤滑油排出処理が未だ終
了していない旨判断された場合(ステップ140:N
O)、同処理が実行される(ステップ150)。
【0069】図7は、この潤滑油排出処理において、電
磁駆動弁の第1の電磁石30に供給される電流値Ia
(同図(a))、第2の電磁石31に供給される電流値
Ib(同図(b))、並びに電磁駆動弁の弁位置P(同
図(c))の変化態様をそれぞれ示している。
【0070】同図に示されるように、この潤滑油排出処
理においては、同処理が未だ実行されていない旨判断さ
れると、その時点(タイミングt0)から所定期間(タ
イミングt0〜t7)、電磁駆動弁の弁位置Pが全閉状
態と全開状態との間で繰り返し変動するように、各電磁
石30,31が通電制御される。
【0071】この通電に際して各電磁石30,31に
は、初期駆動を実行する場合と略同様に、上記開放電流
及び吸引電流を一組とした交番電流が所定の周期Tmk
をもって供給される。
【0072】そして、こうした電流が各電磁石30,3
1にそれぞれ供給されることにより、電磁駆動弁のアー
マチャ25は第1の電磁石30の下面に繰り返し衝突し
(タイミングt2,t4,t6)、また第2の電磁石3
1の上面に繰り返し衝突するようになる(タイミングt
1,t3,t5)。このようにアーマチャ25と各電磁
石30,31との衝突が繰り返されることにより、アー
マチャ空間52内に多量の潤滑油が滞留していたとして
も、その潤滑油は同空間52から強制的に排出されるよ
うになる。
【0073】例えば、先に示した図2(a)において、
アーマチャ25が同図の二点鎖線によって示される位置
にまで移動し、同アーマチャ25が第2の電磁石31の
上面に衝突することにより、第2の電磁石31とアーマ
チャ25との間にある潤滑油は、同図(a)に矢印にて
示されるように、第2の電磁石31の貫通孔39と弁軸
22aとの間の隙間42に流れ込むようになる。
【0074】また、図2(b)において、アーマチャ2
5が同図の二点鎖線によって示される位置にまで移動
し、同アーマチャ25が第1の電磁石30の下面に衝突
することにより、第1の電磁石30とアーマチャ25と
の間にある潤滑油は、同図(b)に矢印にて示されるよ
うに、アーマチャ25とハウジング21との間の隙間4
1を通じて同アーマチャ25よりも下方に流れ落ちる。
【0075】尚、このようにアーマチャ25が第1の電
磁石30の下面に衝突する際、アーマチャ空間52にあ
る一部の潤滑油は、第1の電磁石30の貫通孔38と弁
軸22aとの間の隙間40を通じてアッパ空間51に移
動しようとするが、この移動は鉛直方向の上方への移動
であり、また、この隙間40内にはアッパ空間51から
アーマチャ空間52に向かう潤滑油の流れが形成されて
いるため、こうしたアッパ空間51側への潤滑油の移動
は抑制される。
【0076】このようにアーマチャ25が各電磁石3
0,31に繰り返し衝突することにより、アーマチャ空
間52内の潤滑油は徐々にロア空間53に排出され、同
アーマチャ空間52内における潤滑油の量が減少するよ
うになる。尚、この潤滑油排出処理を実行する期間(図
7においてタイミングt0〜t7の期間)は、アーマチ
ャ25と各電磁石30,31との衝突によって、アーマ
チャ空間52内の潤滑油量をアーマチャ25の移動に対
する潤滑油の影響が無視できる量にまで減少させること
のできる期間として、例えば実験等に基づいて予め設定
されている。
【0077】図5に示すステップ140において、潤滑
油排出処理が既に終了している旨判断された場合、即ち
同潤滑油排出処理の開始時から上記所定期間が経過した
旨判断された場合(ステップ140:YES)、次にキ
ースイッチ80の操作位置が「スタート」に切り替えら
れているか否かが判断される(ステップ160)。そし
て、ここでキースイッチ80の操作位置が「スタート」
に切り替えられている旨判断されると(ステップ16
0:YES)、機関始動動作が実行される(ステップ1
70)。
【0078】ここで、このように機関始動動作が開始さ
れても、潤滑油排出処理を通じてアーマチャ空間52内
の潤滑油はロア空間53側に排出されているため、アー
マチャ25と各電磁石30,31との間の潤滑油によっ
て同アーマチャ25の移動が阻害されて電磁駆動弁の開
閉動作が不安定化するようなことはない。このため、例
えば、潤滑油によってアーマチャ25を各電磁石30,
31に確実に吸着させることができないために、同アー
マチャ25が各電磁石30,31から離間して上記中立
位置に移動する結果、機関運転を一旦停止させて上記初
期駆動の実行が必要になるようなこともない。
【0079】一方、先のステップ135,150におい
て弁加熱処理或いは潤滑油排出処理が実行された後、又
はステップ110においてキースイッチ80の操作位置
が「オフ」である旨判断された場合(ステップ110:
NO)や、ステップ160において同操作位置が「オ
ン」である旨判断された場合には(ステップ160:N
O)、いずれもこの一連の処理が一旦終了される。
【0080】以上説明したように、本実施形態にかかる
電磁駆動弁の制御装置によれば、 (1)弁加熱処理を通じて電磁駆動弁の可動部を温度上
昇させるようにしているため、機関始動以前において可
動部が氷結していたとしても、その氷結を除くことがで
きる。従って、機関始動時における電磁駆動弁の正常な
動作を確保し、可動部の氷結に伴う始動性の悪化を抑制
することができるようになる。更に、こうした通電を電
磁駆動弁の開閉駆動に先立って行うようにしているた
め、その通電態様を、その開閉駆動とは無関係に、各電
磁石30,31をより高温に発熱させる上で好適な態様
に設定することができ、電磁駆動弁の可動部をより速や
かに温度上昇させることができるようになる。
【0081】(2)更に、この通電に際して各電磁石3
0,31に供給する電流値Ia,Ibを一定ではなく、
その大きさを変動させるようにしているため、各コア3
3,36に渦電流を発生させ、これら各電磁石30,3
1における発熱量を増大させることができる。従って、
電磁駆動弁の可動部における氷結をより速やかに除くこ
とができるようになる。
【0082】(3)しかも、上記のように電流値Ia,
Ibを変動させる際の周波数facを弁体22の固有振
動数fmkよりも十分に高い振動数に設定しているた
め、共振現象によって弁体22が不必要に変位してしま
うのを抑えながら、電流値Ia,Ibの直流成分の大き
さや交流成分の変動幅を極力大きく設定することができ
る。従って、弁体22を全閉状態に保持しつつ、電磁駆
動弁の温度Taをより大きく上昇させることができるよ
うになる。
【0083】(4)また、上記弁加熱処理を電磁駆動弁
の温度Taが上記判定温度Tlowを下回っていること
を条件に開始するようにしているため、電磁駆動弁がそ
の可動部に氷結の生じ得ない温度状態にあるときに電磁
石に対する不必要な通電が行われ、それによって電磁駆
動弁における消費電力が増大してしまうのを抑制するこ
とができるようになる。
【0084】(5)この弁加熱処理の実行期間を、電磁
駆動弁の温度Taに基づいて設定するようにしているた
め、この期間を氷結を確実に除く上で必要且つ十分な期
間に設定することができるようになる。従って、消費電
力の増大を更に抑制しつつ、可動部の氷結をより確実に
除くことができるようになる。
【0085】(6)また、潤滑油排出処理を通じて、機
関始動以前にアーマチャ25と各電磁石30,31とを
繰り返し衝突させてアーマチャ空間52の潤滑油をロア
空間53側に強制的に排出させるようにしているため、
機関始動時において、アーマチャ25と各電磁石30,
31との間の潤滑油により同アーマチャ25の移動が阻
害されて電磁駆動弁の開閉動作が不安定化するようなこ
とがない。従って、機関始動時における電磁駆動弁の正
常な動作を確保し、アーマチャ25と各電磁石30,3
1との間に潤滑油が滞留することに伴う始動性の悪化を
抑制することができるようになる。
【0086】(7)更に、上記弁加熱処理を潤滑油排出
処理に先立って実行するようにしているため、弁加熱処
理を通じてアーマチャ空間52内における潤滑油を温度
上昇させ、その粘度を低下させた状態で潤滑油排出処理
が実行されるようになる。その結果、アーマチャ空間5
2の潤滑油を同空間52からロア空間53に速やかに排
出することで潤滑油排出処理に要する時間を短く設定す
ることができるようになり、ひいては機関始動動作をよ
り早期に開始することができるようになる。
【0087】等々の作用効果を奏することができるよう
になる。尚、以上説明した本発明の実施形態は、以下の
ようにその構成を変更することもできる。
【0088】・上記実施形態では、弁加熱処理及び潤滑
油排出処理の双方を実行するようにしたが、弁加熱処理
のみ、或いは潤滑油排出処理のみを実行するようにして
もよい。
【0089】・上記実施形態では、電磁駆動弁の温度T
aが判定温度Tlowを下回っていることを条件に弁加
熱処理を実行するようにしたが、この弁加熱処理を機関
始動以前において常に実行するようにしてもよい。ま
た、この場合には、例えば、同処理の継続時間が所定時
間に達したときに同処理を終了するようにする。
【0090】・上記弁加熱処理において各電磁石30,
31の通電態様は、図6に示されるような態様のみなら
ず、電磁駆動弁の弁体22を変位させないものであれ
ば、任意に設定することができる。例えば、各電磁石3
0,31への供給電流を交流成分を含まない直流電流と
するようにしてもよい。また、その周波数facが弁体
22の固有振動数fmkよりも極めて高く設定され、或
いはその振幅が十分に小さく設定されることで、弁体2
2を変位させるものでなければ、上記供給電流を直流成
分を含まない交流電流とすることもできる。更に、供給
電流を変動させる際の波形に関しても、図6に示される
ような三角波状に限られず、正弦波状、矩形波、鋸波状
等々の任意の形状に設定することができる。
【0091】・上記潤滑油排出処理においては、アーマ
チャ25を第1の電磁石30及び第2の電磁石31の双
方に衝突させるようにしたが、同アーマチャ25を第2
の電磁石31にのみ繰り返し衝突させるようにしてもよ
い。
【0092】・上記潤滑油排出処理における各電磁石3
0,31の通電態様は上記実施形態において示した態様
に限定されず、アーマチャ25を各電磁石30,31に
確実に衝突させることができるものであれば任意に設定
することができる。
【0093】・上記実施形態では、電磁駆動弁の温度を
同弁(具体的には吸気弁20)に取り付けられた温度セ
ンサ81によって検出するようにしたが、例えば、電磁
駆動弁の温度と相関を有するパラメータ、例えば内燃機
関10の冷却水温等に基づいて電磁駆動弁の温度を推定
し、これを検出するようにしてもよい。
【0094】・上記実施形態では、キースイッチ80の
操作位置が「オン」又は「スタート」に切り替えられて
いること(図5に示すステップ110)を、弁加熱処理
或いは潤滑油排出処理を開始する条件の1つに設定する
ようにしたが、これら各処理は機関始動以前であれば任
意の時期に開始することができる。但し、電磁駆動弁の
確実な開閉動作を保証する上では、これら各処理が終了
してから機関始動が開始されるまでの期間は短いほうが
好ましい。このため、例えば、車両のドア(特に運転席
側のドア)が開閉されたこと、車両の座席(特に運転
席)に乗員が着座したこと、キースイッチ80にキーが
挿入されたこと、といった、その後に機関始動が開始さ
れる蓋然性が高い状態にあることを、上記各処理を開始
する条件に設定するようにしてもよい。
【0095】・上記実施形態では、機関停止の際に電磁
駆動弁を全閉状態に移行させて保持するようにしたが、
例えば上記永久磁石34,37を省略した構成を備える
電磁駆動弁を採用するようにした場合等には、機関停止
時において同弁を例えば上記中立位置に停止させるよう
にしてもよい。この場合には、機関始動に際して初期駆
動の実行が必要になるため、例えば上記弁加熱処理を初
期駆動以前に実行するようにする。また、上記潤滑油排
出処理については、これを初期駆動に続いて実行するよ
うにする。即ち、初期駆動によって電磁駆動弁が全閉状
態に移行した後も各電磁石30,31に対する通電を継
続して行い、アーマチャ25を各電磁石30,31に繰
り返し衝突させるようにする。
【0096】・図8に示されるように、第2の電磁石3
1のコア36に形成される貫通孔39を、その孔径が上
端部において部分的に拡大するように形成するようにし
てもよい。このように構成すれば、潤滑油排出処理にお
いて、上記隙間42に流入する潤滑油の量を増大させて
アーマチャ空間52からロア空間53側に速やかに潤滑
油を排出させることができるようになる。また、上記貫
通孔39の孔径を第1の電磁石30のコア33に形成さ
れる貫通孔38の孔径よりも大きく設定することによ
り、こうしたアーマチャ空間52からロア空間53への
潤滑油の移動を促進させるようにしてもよい。
【0097】上記実施形態から把握できる技術思想につ
いて以下にその効果とともに記載する。・請求項2に記
載した電磁駆動弁の制御装置において、前記通電制御手
段は機関が停止する際に前記弁体を全閉位置或いは全開
位置に保持するとともに、前記電磁石に供給する電流の
大きさを前記弁体の共振周波数領域よりも高い周波数領
域の振動数をもって変動させるものであることを特徴と
する電磁駆動弁の制御装置。
【0098】上記構成によれば、機関が停止する際に弁
体が全閉位置或いは全開位置に保持されるため、同弁体
の初期駆動が不要になり、速やかな機関始動を行うこと
ができるようになる。ところが、次の機関始動以前にお
いて、電磁石の通電に際し同電磁石に大きさの変動する
電流を供給するようにすると、電磁石に発生する電磁力
の変動によって弁体が共振状態となり、弁体が上記全閉
位置或いは全開位置から変位してしまうことがある。こ
のため、こうした弁体の変位を抑える上では、供給電流
の変動幅を相対的に小さく設定するのが望ましい。しか
しながら、このように供給電流の変動幅を小さく設定す
ると、電磁石の鉄心に発生する渦電流の大きさが小さく
なり、こうした渦電流の発生に伴う電磁石の発熱量の増
大も自ずと制限されてしまうこととなる。
【0099】この点、上記構成によれば、弁体の共振現
象を抑えながら、供給電流の変動幅を極力大きく設定す
ることができる。従って、弁体を全閉位置或いは全開位
置に保持しつつ、電磁石の発熱量をより大きく増大させ
ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電磁駆動弁を備える内燃機関の断面構造並びに
同弁の制御装置を示す構成図。
【図2】電磁駆動弁の断面構造において電磁石の近傍を
示す部分断面図。
【図3】電磁駆動弁を開閉駆動する際の通電態様等を示
すタイミングチャート。
【図4】電磁駆動弁を初期駆動する際の通電態様等を示
すタイミングチャート。
【図5】弁加熱処理並びに潤滑油排出処理の処理手順を
示すフローチャート。
【図6】弁加熱処理を実行する際における電磁駆動弁の
通電態様等を示すタイミングチャート。
【図7】潤滑油排出処理を実行する際における電磁駆動
弁の通電態様等を示すタイミングチャート。
【図8】第2の電磁石の構成変更例を示す部分断面図。
【符号の説明】
10…内燃機関、11…吸気ポート、12…排気ポー
ト、13…シリンダヘッド、14…燃焼室、15…排油
通路、20…吸気弁、21…ハウジング、22…弁体、
22a…弁軸、22b…傘部、23…アッパスプリン
グ、24…ロアスプリング、25…アーマチャ、26…
アッパリテーナ、27…ロアリテーナ、28…給油ポー
ト、30…第1の電磁石、31…第2の電磁石、32,
35…コイル、33,36…コア、34…第1の永久磁
石、37…第2の永久磁石、38,39…貫通孔、40
〜42…隙間、51…アッパ空間、52…アーマチャ空
間、53…ロア空間、60…排気弁、70…電子制御装
置、80…キースイッチ、81…温度センサ、82…変
位センサ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅野 昌彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車 株式会社内 (72)発明者 飯田 達雄 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車 株式会社内 Fターム(参考) 3G018 AB09 AB19 CA12 DA35 DA43 DA45 DA68 EA17 EA21 FA16 GA02 GA11 GA24 3G092 AA11 DA01 DA02 DA07 DG09 EA08 EA21 EA25 EB04 FA11 FA31 FA41 GA01 HA12X HA13Z HE08Z HF19Z 3H106 DA08 DA13 DA23 DB26 DB32 DC05 DD09 EE06 EE08 EE09 FB02 FB04 FB27 GC04 KK18

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】機関燃焼室に通じる通路を開閉する弁体
    と、該弁体とともに変位するアーマチャと、前記弁体を
    閉弁側若しくは開弁側に付勢する付勢手段と、該付勢手
    段の付勢力に抗して前記アーマチャを吸引することで前
    記弁体を開弁駆動若しくは閉弁駆動する電磁石とを備え
    た電磁駆動弁の制御装置において、 機関始動以前に前記弁体の開閉駆動に先立って前記電磁
    石に所定期間通電を行う通電制御手段を備えることを特
    徴とする電磁駆動弁の制御装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載した電磁駆動弁の制御装置
    において、 前記通電制御手段は前記電磁石の通電に際して同電磁石
    に大きさの変動する電流を供給することを特徴とする電
    磁駆動弁の制御装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載した電磁駆動弁の制
    御装置において、 前記通電制御手段は、前記電磁駆動弁の温度を検出する
    検出手段と、その検出温度に基づいて前記電磁駆動弁が
    低温状態にあるか否かを判断する判断手段とを備え、該
    判断手段により前記電磁駆動弁が低温状態にある旨判断
    されることを条件に前記電磁石に対する通電を開始する
    ことを特徴とする電磁駆動弁の制御装置。
  4. 【請求項4】請求項3に記載した電磁駆動弁の制御装置
    において、 前記通電制御手段は前記検出温度に基づいて前記所定期
    間を設定することを特徴とする電磁駆動弁の制御装置。
  5. 【請求項5】機関燃焼室に通じる通路を開閉する弁体
    と、該弁体とともに変位するアーマチャと、前記弁体を
    閉弁側若しくは開弁側に付勢する付勢手段と、該付勢手
    段の付勢力に抗して前記アーマチャを吸引することで前
    記弁体を開弁駆動若しくは閉弁駆動する電磁石とを備え
    た電磁駆動弁の制御装置において、 機関始動以前に前記アーマチャと前記電磁石とが繰り返
    し衝突するように前記電磁石の通電制御を通じて前記弁
    体を開閉駆動する駆動手段を備えることを特徴とする電
    磁駆動弁の制御装置。
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