JP2001140616A - 2サイクルエンジンにおける潤滑構造 - Google Patents

2サイクルエンジンにおける潤滑構造

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JP2001140616A
JP2001140616A JP32966099A JP32966099A JP2001140616A JP 2001140616 A JP2001140616 A JP 2001140616A JP 32966099 A JP32966099 A JP 32966099A JP 32966099 A JP32966099 A JP 32966099A JP 2001140616 A JP2001140616 A JP 2001140616A
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Japan
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oil
crankcase
chamber
transmission
tight space
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JP32966099A
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English (en)
Inventor
Junji Ando
順二 安藤
Hiroshi Yokota
洋 横田
Kazuo Fujiwara
一夫 藤原
Akira Jitsumatsu
彰 実松
Junichi Ishihara
純一 石原
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】加工工数の増大を回避した簡単な構造で、クラ
ンク室および補機室間でクランクケースおよびクランク
シャフト間に設けられる軸受にオイルを供給可能とす
る。 【解決手段】変速機Mの一部を構成するとともに変速機
室53内のオイルをかき上げ可能なミッションギヤ69
の上方に配置されるオイル受け部70が、ミッションギ
ヤ69でかき上げられたオイルを受けることを可能とし
てクランクケース24に一体に突設され、変速機室53
に開口する一端開口部の下縁をオイル受け部70の上面
に連ならせるとともに油密空間66に他端を開口したオ
イル供給孔71と、油密空間66に一端を開口するとと
もに変速機室53内の底部に他端を開口したオイル排出
孔72とがクランクケース24に設けられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変速機を収納する
とともにオイルが貯溜される変速機室ならびに該変速機
室とは隔絶した補機室に両端を突出させるクランクシャ
フトと、前記変速機室および前記補機室とは隔絶したク
ランク室を形成して前記クランクシャフトを回転自在に
支承するクランクケースとの間に、クランク室および変
速機室間でクランク室側から順に配置される第1オイル
シールおよび第1軸受と、クランク室および補機室間で
クランク室側から順に配置される第2オイルシール、第
2軸受および第3オイルシールとが設けられ、第2およ
び第3シール間でクランクケース内に形成されて第2軸
受を収納せしめる油密空間にオイルを供給可能な2サイ
クルエンジンに関し、特にクランク室および補機室間に
配置される第2軸受を潤滑するための構造の改良に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、かかる潤滑構造は、たとえば特開
昭62−20612号公報等により知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のものでは、
第2軸受にオイルを供給するためのオイル通路がクラン
クシャフトに設けられているが、該オイル通路は、クラ
ンクピンおよびクランクウエブの部分で複雑な経路とな
らざるを得ない。このためクランクシャフトへの加工が
煩雑であり、加工工数の増大を招くことになる。
【0004】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであり、加工工数の増大を回避した簡単な構造で、ク
ランク室および補機室間でクランクケースおよびクラン
クシャフト間に設けられる軸受にオイルを供給し得るよ
うにした2サイクルエンジンにおける潤滑構造を提供す
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、オイルが貯溜される変速機
室に一端を突出させるとともに変速機室とは隔絶した補
機室に他端を突出させるクランクシャフトと、前記変速
機室および前記補機室とは隔絶したクランク室を形成し
て前記クランクシャフトを回転自在に支承するクランク
ケースとの間に、クランク室および変速機室間でクラン
ク室側から順に配置される第1オイルシールおよび第1
軸受と、クランク室および補機室間でクランク室側から
順に配置される第2オイルシール、第2軸受および第3
オイルシールとが設けられ、第2および第3シール間で
クランクケース内に形成されて第2軸受を収納せしめる
油密空間にオイルを供給可能な2サイクルエンジンにお
いて、前記変速機の一部を構成するとともに前記変速機
室内のオイルをかき上げ可能なミッションギヤの上方に
配置されるオイル受け部が、前記ミッションギヤでかき
上げられたオイルを受けることを可能としてクランクケ
ースに一体に突設され、前記変速機室に開口する一端開
口部の下縁を前記オイル受け部の上面に連ならせるとと
もに前記油密空間に他端を開口したオイル供給孔と、前
記油密空間に一端を開口するとともに前記変速機室内の
底部に他端を開口したオイル排出孔とが前記クランクケ
ースに設けられることを特徴とする。
【0006】このような構成によれば、変速機室内でミ
ッションギヤによりかき上げられたオイルをオイル受け
部からオイル供給孔を経て油密空間に供給して第2軸受
を潤滑することができ、さらに油密空間から変速機室内
にオイルを戻すことができる。しかもクランクケースに
はオイル供給孔およびオイル排出孔を穿孔加工するだけ
でよく、クランクシャフトにオイル通路が設けられる従
来のものと比べて、加工工数の増大を回避した簡単な構
造とすることができる。
【0007】また請求項2記載の発明は、上記請求項1
記載の発明の構成に加えて、前記オイル供給孔の他端な
らびに前記オイル排出孔の一端が、前記第2軸受を相互
間に挟む位置で前記油密空間に開口されることを特徴と
し、かかる構成によれば、油密空間内でオイルは第2軸
受を必ず通過して流通することになり、第2軸受の潤滑
が確実になされる。
【0008】さらに請求項3記載の発明は、上記請求項
1または2記載の発明の構成に加えて、前記オイル供給
孔が、リード弁をクランクケースに締結するために該ク
ランクケースにねじ込まれるボルトと平行な軸線を有し
て前記クランクケースに設けられることを特徴とし、か
かる構成によれば、ボルトをねじ込むためのねじ孔と、
オイル供給孔とを、同一方向からクランクケースに穿孔
加工を施して形成することができるので、加工性がよ
く、生産性を向上することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明す
る。
【0010】図1〜図7は本発明の一実施例を示すもの
であり、図1は自動二輪車の側面図、図2は2サイクル
エンジンの一部切欠き側面図、図3はサイドスタンドの
使用状態での図2の3−3線に沿う拡大断面図、図4は
排気系の一部を切欠いて示す縦断側面図、図5は図3の
5−5線拡大断面図、図6はオイル回収タンクの一部切
欠き側面図、図7は図6の7矢視方向から見た切欠き正
面図である。
【0011】先ず図1において、この自動二輪車の車体
フレームFが備えるメインフレーム11の前端には、フ
ロントフォーク12を操向可能に支承するヘッドパイプ
13が設けられ、フロントフォーク12の下端に前輪W
Fが軸支され、フロントフォーク12の上端には操向ハ
ンドル14が連結される。
【0012】メインフレーム11の中間部には後上がり
に延びる左右一対のシートレール15…の前端が連設さ
れ、メインフレーム11の後端部には前記シートレール
15…よりも下方で後上がりに延びる左右一対のステー
16…の前端が連設される。メインフレーム11の前部
および両シートレール15…の前部には燃料タンク17
が支持されており、両シートレール15…上にはシート
18が設けられる。
【0013】前記燃料タンク17の下方で前記メインフ
レーム11には2サイクルエンジンEが搭載される。ま
たメインフレーム11の後部には、後方に延びるリヤフ
ォーク19の前端が揺動可能に支承されており、該リヤ
フォーク19の後端に、前記エンジンEの出力で回転駆
動される後輪WRが軸支され、ステー16…およびリヤ
フォーク19間にクッションユニット20が設けられ
る。
【0014】前記メインフレーム11の後部下端には、
使用位置および格納位置間での回動を可能としてサイド
スタンド21が設けられており、図1で示すように、使
用位置にあるサイドスタンド21を路面に接地せしめた
ときに、自動二輪車の車体は、走行方向前方を向いた状
態で左側に傾斜した姿勢となる。
【0015】図2および図3において、2サイクルエン
ジンEは、シリンダブロック22と、シリンダブロック
22に結合されるシリンダヘッド23と、シリンダブロ
ック22に結合されるクランクケース24とを備え、シ
リンダブロック22に設けられるシリンダボア25に摺
動可能に嵌合されるピストン26が、クランクケース2
4で回転自在に支承されるクランクシャフト28にコン
ロッド29およびクランクピン30を介して連結され
る。
【0016】シリンダブロック22およびシリンダヘッ
ド23間にはピストン26の頂部を臨ませる燃焼室31
が形成され、この燃焼室31の中央部に臨む点火プラグ
32がシリンダヘッド23に取り付けられる。またクラ
ンクケース24内に形成されるクランク室33をピスト
ン26の下降により燃焼室31に通じさせる掃気ポート
34…がシリンダブロック22およびクランクケース2
4に設けられるとともに、ピストン26の下降により燃
焼室31に通じる排気ポート35がシリンダブロック2
2に設けられ、クランクケース24には、クランク室3
3に開口する吸気ポート36が設けられる。
【0017】クランクケース24には吸気ポート36内
に配置されるリード弁37が取付けられており、リード
弁37の開弁時にクランク室33内に通じる吸気系38
が吸気ポート36に接続される。この吸気系38は、ク
リーナ素材39を内蔵したエアクリーナ40と、スロッ
トル弁41を備えて前記エアクリーナ40に接続される
気化器42と、気化器42および吸気ポート36間を結
ぶ吸気管43とを備え、吸気管43の下流端はリード弁
37とともに複数のボルト44…によりクランクケース
24に締結される。また吸気管43の中間部には上方に
延びる分岐管45の下端が接続されており、該分岐管4
5の上端には吸気騒音を低減するためのチャンバ46が
接続される。
【0018】また排気ポート35に連なる排気系47
は、排気ポート35から2サイクルエンジンEの下方を
通って後輪WRの右側まで延出される排気管48と、該
排気管48の下流端に接続される排気マフラー49とを
備える。
【0019】しかも図4で示すように、排気管48の途
中には触媒装置50が内蔵されており、該触媒装置50
は、排気管48の内面に複数の取付部材52…を介して
固定されるパンチングパイプ51の表面に触媒が担持さ
れて成るものである。
【0020】図5を併せて参照して、クランクシャフト
28の一端はクランク室33とは隔絶した変速機室53
に突出されるものであり、この変速機室53は、クラン
クケース24と、該クランクケース24に結合される変
速機ケース54とで形成され、変速機室53内には、図
5で示す液面レベルLまでオイルが貯溜される。
【0021】変速機室53内には、クランクシャフト2
8と平行な軸線を有して変速機ケース54で回転自在に
支承されるメインシャフト55と、該メインシャフト5
5と平行な軸線を有して変速機ケース54で回転自在に
支承されるカウンタシャフト56との間に、択一的に確
立可能な複数段のギヤ列が設けられて成る多段の変速機
57が収容されており、変速機ケース54から突出した
カウンタシャフト56の一端からドライブチェーン58
(図1参照)を介して後輪WRに動力が伝達される。ま
たクランクシャフト28の一端には駆動ギヤ59が固定
されており、この駆動ギヤ59からメインシャフト55
に動力が入力される。
【0022】一方、クランクシャフト28の他端は、前
記クランク室33および変速機室53とは隔絶した補機
室60に突出されており、この補機室60内でクランク
シャフト28の他端には、たとえば発電機が連結され
る。
【0023】クランク室33と変速機室53との間でク
ランクシャフト28およびクランクケース24間には、
第1オイルシール61と、第1オイルシール61よりも
変速機室53側に配置される第1軸受としての第1ボー
ルベアリング62とが設けられる。またクランク室33
と補機室60との間でクランクシャフト28およびクラ
ンクケース24間には、第2オイルシール63と、第2
オイルシール63よりも補機室60側に配置される第3
オイルシール64とが設けられるとともに、第2および
第3オイルシール63,64間に配置される第2軸受と
しての第2ボールベアリング65が設けられる。
【0024】第2および第3オイルシール63,64間
でクランクケース24内には油密空間66が形成され
る。この油密空間66内でクランクシャフト28には駆
動ねじギヤ67が設けられ、クランクシャフト28の軸
線と直交する軸線を有する被動ねじギヤ68が駆動ねじ
ギヤ67に噛合される。而して被動ねじギヤ68は図示
しないオイルポンプに連結されるものであり、該オイル
ポンプはクランクシャフト28で駆動される。
【0025】前記変速機57の一部を構成するミッショ
ンギヤ69は、クランクケース24の変速機室53に臨
む面に外周を近接させて図5の矢印で示す方向に回転す
るものであり、このミッションギヤ69により変速機室
53内のオイルをかき上げられる。一方、クランクケー
ス24には、前記ミッションギヤ69の上方で変速機室
53内に突出するオイル受け部70が一体に設けられて
おり、このオイル受け部70は、前記ミッションギヤ6
9でかき上げられたオイルの一部を受けることが可能で
ある。
【0026】またクランクケース24には、変速機室5
3に一端を開口するとともに油密空間66に他端を開口
したオイル供給孔71と、油密空間66に一端を開口す
るとともに変速機室53内の底部に他端を開口したオイ
ル排出孔72とが設けられ、オイル供給孔71は、その
一端開口部の下縁をオイル受け部70の上面に連ならせ
るように形成される。
【0027】ところでオイル供給孔71は、リード弁3
7をクランクケース24に締結するために該クランクケ
ース24にねじ込まれるボルト44…と平行な軸線を有
してクランクケース24に設けられるものであり、オイ
ル供給孔71の一端から間隔をあけた位置でクランクケ
ース24に設けられる開口部は閉塞部材73で閉塞され
る。またオイル排出孔72の他端開口部から間隔をあけ
た位置でクランクケース24に設けられる開口部も閉塞
部材74で閉塞される。
【0028】さらにオイル供給孔71の他端は、第2オ
イルシール63および第2ボールベアリング65間で油
密空間66に開口され、オイル排出孔72の一端は、第
3オイルシール64および第2ボールベアリング65間
で油密空間66に開口される。すなわちオイル供給孔7
1の他端ならびにオイル排出孔72の一端が、第2ボー
ルベアリング65を相互間に挟む位置で油密空間66に
開口されることになる。
【0029】ところで2サイクルエンジンEでは、混合
気とともに供給されるオイル、またはエンジンEの潤滑
部に供給されたオイルがクランク室33内の底部に溜ま
るので、溜まったオイルをクランク室33から回収して
吸気系38に戻すようにしており、2サイクルエンジン
Eの下方には、クランク室33の底部に連通するオイル
回収室75を備えるオイル回収タンク76が配置され
る。
【0030】図6を併せて参照して、オイル回収タンク
75は、タンク主体77と、該タンク主体77の側面に
複数本たとえば4本のボルト79,79…で締結される
カバー板78とから成るものである。しかもタンク主体
77には、上方に延びる2つの支持腕80,81が一体
に設けられており、それらの支持腕80,81の上端が
2サイクルエンジンEにおけるクランクケース24に締
結される。すなわちオイル回収タンク75は、2サイク
ルエンジンEに支持されて該エンジンEの下方に配置さ
れる。
【0031】オイル回収室75は、タンク主体77に設
けられる円形の凹部の開口端をカバー板78で塞ぐこと
によって形成されるものであり、前記凹部を囲む環状の
シール部材82がタンク主体77およびカバー板78間
に介装される。
【0032】このオイル回収室75は、タンク主体77
に設けられている仕切り壁83により、上部室75aお
よび下部室75bの2室に仕切られる。しかも仕切り壁
83は、下方に向かうにつれてオイルの流通面積を減少
せしめる漏斗状に形成されている。仕切り壁82の最下
端には上部室75aおよび下部室75b間を連通する連
通孔84が設けられるのであるが、サイドスタンド21
を使用状態として自動二輪車を駐車したときに、該自動
二輪車の車体は、図3で示すように、鉛直方向から角度
αだけ側方に傾斜するものであり、その傾斜状態で前記
連通孔84が仕切り壁83の最下端位置となるように、
連通孔84がたとえばカバー板78側の端部で仕切り壁
83に設けられる。
【0033】またクランクケース24には、前記サイド
スタンド21の使用による車体傾斜状態で最下端となる
位置でクランク室33内の底部に通じる接続管85が取
付けられており、その接続管85に一端が接続されるオ
イル導管86の他端が、上部室75aに接続される。
【0034】図7を併せて参照して、オイル回収タンク
76のタンク主体77には、該タンク主体77との間に
仕切り板87を挟むカバー88が複数たとえば4本のボ
ルト89,89…により締結される。タンク主体77お
よび仕切り板87間には、タンク主体77に設けられた
通路90を介してオイル回収室75の下部室75bに通
じる入口室91が形成され、仕切り板87およびカバー
88間には出口室92が形成される。またタンク主体7
7および仕切り板87間には、入口室91を囲むシール
部材93が介装され、仕切り板87およびカバー88間
には出口室92を囲むシール部材94が介装される。
【0035】仕切り板87の上部にはチェック弁95が
配設され、該チェック弁95は、入口室91および出口
室92間にわたって仕切り板87の上部に設けられる取
付け孔96に圧入される保持筒97と、該保持筒97内
に収納される円盤状の弁体98とを備える。
【0036】有底円筒状に形成される保持筒97は、そ
の閉塞端を入口室91側に配置して取付け孔96に圧入
されるものであり、この保持筒97の閉塞端中央部に弁
孔99が設けられる。弁体98は、保持筒97の閉塞端
に着座して前記弁孔99を閉塞することを可能として保
持筒97内に収納されており、保持筒97の開口端側に
は、弁体98が保持筒97から離脱することを阻止する
複数の規制突部100…が、保持筒97の内面から内方
に突出するようにして設けられる。
【0037】このようなチェック弁95により、入口室
91から出口室92側へのオイルの流通は許容される
が、出口室92から入口室91側へのオイルの流通は阻
止される。
【0038】図2に特に注目して、前記チェック弁95
に対応する部分でカバー88には接続管101が取付け
られており、該接続管101に戻し管路102の一端が
接続され、戻し管路102の他端は吸気系38に接続さ
れる。しかも戻し管路102の途中には制御弁103が
設けられる。
【0039】この制御弁103は、第1、第2および第
3ポート104,105,106を有する電磁切換弁で
あり、第1ポート104を第2ポート105に連通せし
めるとともに第3ポート106とは遮断する状態と、第
1ポート104を第3ポート106に連通せしめるとと
もに第2ポート105とは遮断する状態とを切換え可能
である。
【0040】制御弁103の第1ポート104には、戻
し管路102の一部を構成するとともに一端が接続管1
01に接続される第1管路部102aの他端が接続さ
れ、第2ポート105には、第1管路部102aと共働
して戻し管路102を構成する第2管路部102bの一
端が接続され、この第2管路部102bの他端は、スロ
ットル弁41およびリード弁37間の吸気系38すなわ
ち吸気管43に接続される。
【0041】また制御弁103の第3ポート106に
は、該制御弁103から上方に立上がる開放管路107
の一端が接続されており、この開放管路107の他端
は、エアクリーナ40内においてクリーナ素材39より
も上流側で大気に開口される。
【0042】制御弁103は、図示しない制御手段によ
り制御されるものであり、2サイクルエンジンEが始動
後に所定の暖機状態に達するまでの期間ならびに2サイ
クルエンジンEの停止状態では、オイル回収室75から
吸気系38へのオイルの戻しを阻止するように、第1ポ
ート104を第3ポート106に連通せしめるとともに
第2ポート105とは遮断する状態とされ、2サイクル
エンジンEが所定の暖機状態に達してからは、第1ポー
ト104を第2ポート105に連通せしめるとともに第
3ポート106とは遮断する状態とされる。
【0043】すなわち2サイクルエンジンEが始動後に
所定の暖機状態に達するまでの期間ならびに2サイクル
エンジンEの停止状態では、戻し管路102が遮断され
ており、オイル回収室75はチェック弁95を介してエ
アクリーナ40内に接続される。
【0044】しかも上記所定の暖機状態は、2サイクル
エンジンEの排気系47に設けられる触媒装置50の触
媒が活性化した状態として設定されるものであり、その
触媒の活性化判断は触媒装置50内の温度検出によるも
のであってもよく、また2サイクルエンジンEの回転数
が設定回転数(たとえば3000rpm)以上である時
間が設定時間(たとえば1分)以上持続することをもっ
て触媒が活性化したと判断するようにしてもよい。
【0045】次にこの実施例の作用について説明する
と、相互に隔絶したクランク室33および補機室60間
でクランクケース24およびクランクシャフト28間に
は第2および第3オイルシール63,64が設けられ、
それらのオイルシール63,64間でクランクケース2
4内には油密空間66が形成され、その油密空間66内
に、クランクケース24およびクランクシャフト28間
に設けられる第2ボールベアリング65が収納されてい
る。而して第2ボールベアリング65の潤滑を行なうた
めに、変速機室53内のオイルをかき上げ可能なミッシ
ョンギヤ69の上方でクランクケース24には、ミッシ
ョンギヤ69でかき上げられたオイルを受けることが可
能であるオイル受け部70が一体に突設され、変速機室
53に開口する一端開口部の下縁をオイル受け部70の
上面に連ならせるとともに油密空間66に他端を開口し
たオイル供給孔71と、油密空間66に一端を開口する
とともに変速機室53内の底部に他端を開口したオイル
排出孔72とがクランクケース24に設けられている。
【0046】したがって変速機室53内でミッションギ
ヤ69によってかき上げられたオイルが、オイル受け部
70からオイル供給孔71を経て油密空間66に供給さ
れて第2ボールベアリング65を潤滑することができ、
さらに油密空間66から変速機室53内にオイルを戻す
ことができる。しかもクランクケース24にはオイル供
給孔71およびオイル排出孔72を穿孔加工するだけで
よく、クランクシャフト28にオイル通路が設けられる
ものと比べて、加工工数の増大を回避した簡単な構造で
第2ボールベアリング65の潤滑を行なうことができ
る。
【0047】またオイル供給孔71の他端ならびにオイ
ル排出孔72の一端は、第2ボールベアリング65を相
互間に挟む位置で油密空間66に開口されているので、
油密空間66内でオイルは第2ボールベアリング65を
必ず通過して流通することになり、第2ボールベアリン
グ65が確実に潤滑される。
【0048】さらにオイル供給孔71は、リード弁37
をクランクケース24に締結するために該クランクケー
ス24にねじ込まれるボルト44…と平行な軸線を有し
てクランクケース24に設けられており、ボルト44…
をねじ込むためのねじ孔と、オイル供給孔71とを、同
一方向からクランクケース24に穿孔加工を施して形成
することができるので、加工性がよく、生産性を向上す
ることができる。
【0049】ところでクランク室33内の底部に溜まっ
たオイルをクランク室33から回収して吸気系38に戻
すべく、2サイクルエンジンEの下方には、クランク室
33の底部に連通するオイル回収室75を備えるオイル
回収タンク76が配置されており、オイル回収タンク7
6には、オイル回収室75内を、クランク室33の底部
に通じる上部室75aと、吸気系38に接続される下部
室75bとの上下2室に仕切る仕切り壁83が設けられ
ており、仕切り壁83は、下方に向かうにつれてオイル
の流通面積を減少せしめる漏斗状に形成され、上部室7
5aおよび下部室75b間を連通する連通孔84が仕切
り壁83の最下端に設けられている。
【0050】したがってクランク室33からオイル回収
室75に導かれるオイルは、上部室75aから連通孔8
4を経て下部室75bに導入されることになる。しかも
仕切り壁83が漏斗状に形成されており、連通孔84を
比較的小径に設定することが可能であるので、吸気負圧
によりオイルを吸気系38側に戻すのに伴なうクランク
室33の圧力損失を小さく抑えてエンジン性能の低下を
防止しつつ、クランク室33およびオイル回収室75間
を結ぶ接続管85およびオイル導入管路86の流通面積
を比較的大きく設定してクランク室33からのオイルの
回収性を高めることが可能となる。またクランク室33
の圧力脈動や、走行路面からの振動もしくはエンジンE
の振動によってオイル回収室75からクランク室33側
に逆流するオイルの量を、仕切り壁83および連通孔8
4で最少限に抑えてオイルの回収性を高めることができ
る。
【0051】しかもサイドスタンド21の使用による車
体傾斜状態で最下端となる位置でクランク室33内の底
部にオイル導管86の一端が接続され、該オイル導管8
6の他端が前記上部室75aに接続されるので、サイド
スタンド21を使用して車体を傾けた状態で車体の傾き
を利用してクランク室33からオイルを効果的に回収す
ることができる。
【0052】またオイル回収室75に回収されたオイル
を吸気系38に導く戻し管路102の途中に、2サイク
ルエンジンEが始動後に所定の暖機状態に達するまでは
オイル回収室75から吸気系38へのオイルの戻しを阻
止する制御弁103が設けられているので、2サイクル
エンジンEが暖機状態に達する前にスナッピング操作を
行っても、オイルが吸気系38に戻されることはなく、
白煙が生じることを確実に防止することができる。
【0053】しかも制御弁103は、オイル回収室75
にチェック弁95を介して接続される第1ポート104
を、吸気系38に接続される第2ポート105と、第3
ポート106とに択一的に切換えて連通させる電磁切換
弁であり、第3ポート106に一端が接続されて制御弁
103から上方に立上がる開放管路107の他端がエア
クリーナ40内で大気に開放されている。
【0054】したがって第1および第2ポート104,
105間を遮断し、第1および第3ポート104,10
6間を連通してオイルの吸気系38への戻りを阻止して
いる状態で、オイル回収室75を密閉状態とせずにオイ
ル回収室75へのクランク室33からのオイルの回収を
良好とすることができる。しかも第3ポート106に通
じる開放管路107が制御弁103から上方に立上がる
ものであるので、開放管路107側にオイルが流通する
ことを回避することができる。
【0055】またオイル回収室75が、スロットル弁3
9およびリード弁37間の吸気系38に戻し管路102
を介して接続されるので、吸気系38に戻したオイルが
スロットル弁39に付着することを防止し、スロットル
弁39の作動性を向上することができるとともに、リー
ド弁37の働きによってクランク室33側に供給される
戻しオイルの霧化が促進され、オイルの燃焼性を高めて
白煙の発生をより一層効果的に防止することができる。
【0056】さらに前記所定の暖機状態が、2サイクル
エンジンEの排気系47に設けられる触媒装置50の触
媒が活性化した状態であると設定されるので、触媒にオ
イルが付着することを防止して該触媒の活性化を早める
ことができ、それにより白煙の発生防止により一層寄与
することができる。
【0057】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の
範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計
変更を行なうことが可能である。
【0058】
【発明の効果】以上のように請求項1記載の発明によれ
ば、ミッションギヤによりかき上げられたオイルをオイ
ル受け部からオイル供給孔を経て油密空間に供給して第
2軸受を潤滑することができ、さらに油密空間から変速
機室内にオイルを戻すことができる。しかもクランクケ
ースにはオイル供給孔およびオイル排出孔を穿孔加工す
るだけでよく、クランクシャフトにオイル通路が設けら
れる従来のものと比べて、加工工数の増大を回避した簡
単な構造とすることができる。
【0059】また請求項2記載の発明によれば、油密空
間内でオイルが第2軸受を必ず通過して流通するように
して、第2軸受を確実に潤滑することができる。
【0060】さらに請求項3記載の発明によれば、ボル
トをねじ込むためのねじ孔と、オイル供給孔とを、同一
方向からクランクケースに穿孔加工を施して形成するこ
とができるので、加工性がよく、生産性を向上すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動二輪車の側面図である。
【図2】2サイクルエンジンの一部切欠き側面図であ
る。
【図3】サイドスタンドの使用状態での図2の3−3線
に沿う拡大断面図である。
【図4】排気系の一部を切欠いて示す縦断側面図であ
る。
【図5】図3の5−5線拡大断面図である。
【図6】オイル回収タンクの一部切欠き側面図である。
【図7】図6の7矢視方向から見た切欠き正面図であ
る。
【符号の説明】
24・・・クランクケース 28・・・クランクシャフト 33・・・クランク室 37・・・リード弁 44・・・ボルト 53・・・変速機室 57・・・変速機 60・・・補機室 61・・・第1オイルシール 62・・・第1軸受としての第1ボールベアリング 63・・・第2オイルシール 64・・・第3オイルシール 65・・・第2軸受としての第2ボールベアリング 66・・・油密空間 69・・・ミッションギヤ 70・・・オイル受け部 71・・・オイル供給孔 72・・・オイル排出孔 E・・・2サイクルエンジン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16C 9/02 F16C 9/02 F16H 57/04 F16H 57/04 N (72)発明者 藤原 一夫 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 実松 彰 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 石原 純一 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 3G013 AA02 AA12 AA16 AB02 BB04 BB12 BB18 BC01 BC10 BD06 BD24 BD41 BD47 CA01 CA17 EA04 EA05 3G015 AA02 AA12 AA16 AB02 BA05 BC01 BC03 CA06 CA14 CA18 DA02 DA10 DA11 FA02 FA03 FB08 FC03 FC05 3G024 AA48 BA23 BA29 DA12 DA22 EA04 FA07 FA14 GA10 3J033 AA05 GA08 GA11 3J063 AA06 AB02 AC03 AC14 BA01 BA03 BA11 CA01 CB13 CD02 CD41 CD53 XA03 XA37 XD03 XD17 XD33 XD47 XD62 XD73 XE15 XE22 XF14

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変速機(57)を収納するとともにオイ
    ルが貯溜される変速機室(53)ならびに該変速機室
    (53)とは隔絶した補機室(60)に両端を突出させ
    るクランクシャフト(28)と、前記変速機室(53)
    および前記補機室(60)とは隔絶したクランク室(3
    3)を形成して前記クランクシャフト(28)を回転自
    在に支承するクランクケース(24)との間に、クラン
    ク室(33)および変速機室(53)間でクランク室
    (33)側から順に配置される第1オイルシール(6
    1)および第1軸受(62)と、クランク室(33)お
    よび補機室(60)間でクランク室(33)側から順に
    配置される第2オイルシール(63)、第2軸受(6
    5)および第3オイルシール(64)とが設けられ、第
    2および第3シール(63,64)間でクランクケース
    (24)内に形成されて第2軸受(65)を収納せしめ
    る油密空間(66)にオイルを供給可能な2サイクルエ
    ンジンにおいて、前記変速機(57)の一部を構成する
    とともに前記変速機室(53)内のオイルをかき上げ可
    能なミッションギヤ(69)の上方に配置されるオイル
    受け部(70)が、前記ミッションギヤ(69)でかき
    上げられたオイルを受けることを可能としてクランクケ
    ース(24)に一体に突設され、前記変速機室(53)
    に開口する一端開口部の下縁を前記オイル受け部(7
    0)の上面に連ならせるとともに前記油密空間(66)
    に他端を開口したオイル供給孔(71)と、前記油密空
    間(66)に一端を開口するとともに前記変速機室(5
    3)内の底部に他端を開口したオイル排出孔(72)と
    が前記クランクケース(24)に設けられることを特徴
    とする2サイクルエンジンにおける潤滑構造。
  2. 【請求項2】 前記オイル供給孔(71)の他端ならび
    に前記オイル排出孔(72)の一端が、前記第2軸受
    (65)を相互間に挟む位置で前記油密空間(66)に
    開口されることを特徴とする請求項1記載の2サイクル
    エンジンにおける潤滑構造。
  3. 【請求項3】 前記オイル供給孔(71)が、リード弁
    (37)をクランクケース(24)に締結するために該
    クランクケース(24)にねじ込まれるボルト(44)
    と平行な軸線を有して前記クランクケース(24)に設
    けられることを特徴とする請求項1または2記載の2サ
    イクルエンジンにおける潤滑構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101907008A (zh) * 2009-06-02 2010-12-08 铃木株式会社 摩托车发动机的通气装置
CN110792521A (zh) * 2018-08-03 2020-02-14 北汽福田汽车股份有限公司 发动机齿轮室、发动机和车辆

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