JP2001139584A - スルホニル基を有するホスファゼン誘導体およびその製造方法 - Google Patents

スルホニル基を有するホスファゼン誘導体およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、優れた難燃性と電気特性を保持し
たスルホニル基を有するホスファゼン誘導体およびその
製造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 下記一般式(1); 【化1】 (式中、R1は、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の
アルキル基、炭素数1〜10のエーテル結合を有する基
で置換されたアルキル基、ハロゲン原子で置換されたア
ルキル基を示し、R1は同一でも異なってもよい。)又
は、下記一般式(2);
【化2】 (式中、R2は、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の
アルキル基、炭素数1〜10のエーテル結合を有する基
で置換されたアルキル基、ハロゲン原子で置換されたア
ルキル基を示し、R2は同一でも異なってもよい。)で
表されることを特徴とするスルホニル基を有するホスフ
ァゼン誘導体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解液、潤滑油等
の難燃化に有用な新規なスルホニル基を含有するホスフ
ァゼン誘導体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ホスファゼンは、難燃剤、耐油性
エラストマー、ガス分離膜、電解質などに用いられてき
た。近年、非水電解液二次電池は、高電圧、高エネルギ
ー密度という優れた自己放電性を有することから、特に
パソコン、VTR等の情報機器やAVのメモリーのバッ
クアップやそれらの駆動電源用電池として注目され、特
開平06−13108号公報には、非水電解質二次電池
の電解質に、(NPR2)n (式中、Rは一価の有機基、
nは3〜15)で表される環状ホスファゼン誘導体又は
3(P=N)m - PR4 ( 式中、mは1〜20、Rは一
価の有機基、O、又はCの中から選ばれる。)で表され
る鎖状型ホスファゼン誘導体を含有させることにより、
短絡時における破裂、発火の危険性を取り除いた非水電
解質二次電池が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このホ
スファゼン誘導体を電解質に含有させることにより、電
解質の難燃性をある程度改善できるものの、その反面電
池性能が低下するという問題がある。ホスファゼン化合
物においても、難燃性を付与する機能と共に、優れた電
気特性を持つ新規なホスファゼン化合物の出現が望まれ
ていた。
【0004】従って、本発明の目的は、優れた難燃性と
電気特性を保持したスルホニル基を有するホスファゼン
誘導体およびその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明が提供しようとす
るスルホニル基を有するホスファゼン誘導体は、下記一
般式(1);
【0006】
【化5】
【0007】(式中、R1は、炭素数1〜10の直鎖状
又は分岐状のアルキル基、炭素数1〜10のエーテル結
合を有する基で置換されたアルキル基、ハロゲン原子で
置換されたアルキル基を示し、R1は同一でも異なって
もよい。)又は、下記一般式(2);
【0008】
【化6】
【0009】(式中、R2は、炭素数1〜10の直鎖状
又は分岐状のアルキル基、炭素数1〜10のエーテル結
合を有する基で置換されたアルキル基、ハロゲン原子又
はフッ素原子で置換されたアルキル基を示し、R2は同
一でも異なってもよい。)で表されることを構成上の特
徴とする。
【0010】本発明が提供しようとする前記一般式
(1)で表されるスルホニル基を有するホスファゼン誘
導体の製造方法は、一般式PX5(Xはハロゲン原子を
示す。)で表されるハロゲン化リンとスルファミン酸と
を反応させて、下記一般式(3)
【0011】
【化7】
【0012】(式中、Xは前記と同義。)で表されるハ
ロゲン化ホスファゼン誘導体を得、次いで、得られたハ
ロゲン化ホスファゼン誘導体と一般式R1−OM(式
中、R1は前記と同義。Mはアルカリ金属を示す。)で
表されるアルコラート類とを反応させることを構成上特
徴とする。
【0013】更に、本発明が提供しようとする前記一般
式(2)で表されるスルホニル基を有するホスファゼン
誘導体の製造方法は、一般式PX5(Xは前記と同
義。)で表されるハロゲン化リンとスルファミドとを反
応させて、下記一般式(4)
【0014】
【化8】
【0015】(式中、Xは前記と同義。)で表されるビ
スハロゲン化ホスファゼン誘導体を得、次いで、得られ
たビスハロゲン化ホスファゼン誘導体と一般式R2−O
M(式中、R2、Mは前記と同義。)で表されるアルコ
ラート類とを反応させることを構成上の特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
前記一般式(1)及び(2)で表されるスルホニル基を
有するホスファゼン誘導体の式中、R1、R2は、炭素数
1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、炭素数1〜
10のエーテル結合を有する基で置換されたアルキル
基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基を示し、前記
一般式(1)の式中、R1は同一でも異なってもよく、
また、前記一般式(2)の式中、R2は同一でも異なっ
てもよい。かかるアルキル基としては、例えば、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ヘキ
シル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチ
ル基、イソオクチル基、n−デシル基、イソデシル基等
が挙げられる。エーテル結合を有する基のエーテル結合
は1又は2以上を有していてもよい。また、ハロゲン原
子としては特に制限されないが、塩素原子又はフッ素原
子が好ましい。
【0017】次いで、前記一般式(1)で表されるスル
ホニル基を有するホスファゼン誘導体の製造方法につい
て説明する。本発明の前記一般式(1)で表されるスル
ホニル基を有するホスファゼン誘導体の製造方法は、基
本的に一般式PX5(Xはハロゲン原子を示す。)で表
されるハロゲン化リンとスルファミン酸とを反応させ
て、前記一般式(3)で表されるハロゲン化ホスファゼ
ン誘導体を得る第一工程、次いで、得られたハロゲン化
ホスファゼン誘導体とR1−OM(式中、R1は前記と同
義。Mはアルカリ金属を示す。)で表されるアルコラー
ト類とを反応させて、目的とする前記一般式(1)で表
されるスルホニル基を有するホスファゼン誘導体を得る
第二工程からなるものである。
【0018】第一工程の反応原料となるハロゲン化リン
の式中、Xは塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子であ
り、この中、反応性の面で塩素原子が好ましい。このハ
ロゲン化リンとスルファミン酸との反応は、下記反応式
(1)
【0019】
【化9】
【0020】(式中、Xはハロゲン原子を示す。)に従
って進行し、ハロゲン化リンとスルファミン酸を有機溶
媒中で反応させる。ハロゲン化リンに対するスルファミ
ン酸のモル比は、通常0.4〜1.0、好ましくは0.
5〜0.6、反応温度は、通常80〜150℃、好まし
くは90〜110℃であり、反応時間は、通常3〜24
時間、好ましくは6〜12時間である。反応溶媒として
は、ハロゲン化リン及びスルファミン酸が溶解するもの
で、かつ不活性なものであれば特に制限されないが、例
えばトルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素
類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル
類、クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素及び
塩化メチレン、クロロホルム等のハロアルカン類等が挙
げられ、これらは1種又は2種以上を組合わせて用いる
ことができる。反応終了後は乾燥して前記一般式(3)
で表されるハロゲン化ホスファゼン誘導体を得ることが
出来るが、本発明では、更に、常法の精製手段により精
製を行うことが出来る。
【0021】第二工程は、第一工程で得られた前記一般
式(3)で表されるハロゲン化ホスファゼン誘導体と、
1−OM(式中、R1は前記と同義。Mはアルカリ金属
を示す。)で表されるアルコラート類とを反応させて、
目的とする前記一般式(1)で表されるスルホニル基を
有するホスファゼン誘導体を得る工程である。
【0022】反応原料となるR1−OMで表されるアル
コラート類の式中、R1は、前記一般式(1)で表され
るスルホニル基を有するホスファゼン誘導体の式中のR
1に相当し、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアル
キル基、炭素数1〜10のエーテル結合を有する基で置
換されたアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキ
ル基を示し、Mは、ナトリウム、カリウム等のアルカリ
金属を示す。このハロゲン化ホスファゼン誘導体とアル
コラート類との反応は、下記反応式(2)
【0023】
【化10】
【0024】(式中、Mはアルカリ金属を示し、X及び
1 は前記に同じ。)に従って進行し、前記一般式
(3)で表されるハロゲン化ホスファゼン誘導体とアル
コラート類とを有機溶媒中で反応させる。ハロゲン化ホ
スファゼン誘導体に対するアルコラート類のモル比は、
通常0.5〜6、好ましくは3.6〜4.4である。反
応温度は、通常−50〜50℃、好ましくは−40〜−
20℃、反応時間は、通常0.5〜24時間、好ましく
は3〜12時間である。反応溶媒としては、ハロゲン化
ホスファゼン誘導体とアルコール類が溶解でき、かつ不
活性な溶媒であれば特に限定はなく、例えば、炭化水
素、ハロゲン化芳香族炭化水素、ハロアルカン、ジオキ
サン、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル等のエー
テル類、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げら
れ、このうち、1種又は2種以上を組合わせて用いるこ
とができる。反応終了後は抽出、脱水、乾燥等の常法に
より目的物を得る。
【0025】次いで、前記一般式(2)で表されるスル
ホニル基を有するホスファゼン誘導体の製造方法につい
て説明する。本発明の前記一般式(2)で表されるスル
ホニル基を有するホスファゼン誘導体の製造方法は、基
本的に一般式PX5(Xはハロゲン原子を示す。)で表
されるハロゲン化リンとスルファミドとを反応させ、前
記一般式(4)で表されるビスハロゲン化ホスファゼン
誘導体を得る第一工程、次いで、得られたビスハロゲン
化ホスファゼン誘導体とR2−OM(式中、R2、Mは前
記と同義。)で表されるアルコラート類とを反応させて
目的とする前記一般式(2)で表されるスルホニル基を
有するホスファゼン誘導体を得る第二工程からなるもの
である。
【0026】この第一工程の反応原料となるハロゲン化
リンの式中、Xは塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子
であり、この中、反応性の面で塩素原子が好ましい。こ
のハロゲン化リンとスルファミドとの反応は、下記反応
式(3)
【0027】
【化11】
【0028】(式中、X はハロゲン原子を示す。)に従
って反応は進行し、ハロゲン化リンとスルファミドとを
有機溶媒中で反応させる。ハロゲン化リンに対するスル
ファミドのモル比は、通常0.4〜1、好ましくは0.
4〜0.6、反応温度は、通常80〜120℃、好まし
くは100〜120℃であり、反応時間は、通常1〜6
時間、好ましくは2〜4時間である。反応溶媒として
は、ハロゲン化リン及びスルファミドが溶解するもの
で、かつ不活性なものであれば特に限定はないが、例え
ばトルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素
類、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリ
クロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン及
び1,1,2,2−テトラクロロエタン等のハロアルカ
ン類等が挙げられ、これらは1種又は2種以上組合わせ
て用いることができる。反応終了後は乾燥して、前記一
般式(4)で表されるビスハロゲン化ホスファゼン誘導
体を得ることが出来るが、本発明では、更に、常法の精
製手段により精製を行うことが出来る。
【0029】第二工程は、第一工程で得られた前記一般
式(4)で表されるビスハロゲン化ホスファゼン誘導体
と、R2−OM(式中、R2は前記と同義。Mはアルカリ
金属を示す。)で表されるアルコラート類とを反応させ
て、目的とする前記一般式(2)で表されるスルホニル
基を有するホスファゼン誘導体を得る工程である。
【0030】反応原料となるR2−OMで表されるアル
コラート類の式中、R2は、前記一般式(2)で表され
るスルホニル基を有するホスファゼン誘導体の式中のR
2に相当し、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアル
キル基、炭素数1〜10のエーテル結合を有する基で置
換されたアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキ
ル基を示し、Mは、ナトリウム、カリウム等のアルカリ
金属を示す。このビスハロゲン化ホスファゼン誘導体と
アルコラート類との反応は、下記反応式(4)
【0031】
【化12】
【0032】(式中、M 及びX は前記に同じ、R2は前記
と同義である。) に従って進行し、前記一般式(4)で
表されるビスハロゲン化ホスファゼン誘導体とアルコラ
ート類とを有機溶媒中で反応させる。前記一般式(4)
で表されるハロゲン化ホスファゼン誘導体に対するアル
コラート類のモル比は、通常5〜7、好ましくは5.6
〜6.6である。反応温度は、通常−50〜0℃、好ま
しくは−40〜−20℃、反応時間は、通常2〜24時
間、好ましくは3〜12時間である。反応溶媒として
は、前記ハロゲン化ホスファゼン誘導体と前記アルコラ
ート類が溶解でき、かつ不活性な溶媒であれば特に限定
はなく、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジ
ブチルエーテル等のエーテル類、アセトニトリル、プロ
ピオニトリル等の1種又は2種以上が挙げられ、このう
ち、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ
る。反応終了後は抽出、脱水、乾燥等の常法により目的
物を得ことができる。
【0033】本発明の前記一般式(1)及び前記一般式
(2)で表されるホスファゼン誘導体は、ホスファゼン
化合物自体の難燃性機能とともに、スルホニル基を有す
ることから優れた電気性能を有する。従って、例えば、
リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、ポ
リマー電池、ポリマー二次電池等の非水電解液電池、電
解コンデンサー等の電池の電解液に含有させることによ
り、優れた難燃性能と電気特性を付与することができ
る。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
が本発明はこれらに限定されるものではない。次に、実
施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これ
は単に例示であって、本発明を制限するものではない。
【0035】実施例1 攪拌機を付けた四つ口フラスコに五塩化リン639.5
g(3.06モル)、スルファミン酸97.1g(1.
54モル)及びクロロベンゼン1Lを仕込み、窒素雰囲
気中で12時間、100〜105℃で反応させた。反応
終了後、常法により、乾燥、蒸留精製して、トリクロロ
ホスファゾスルホニルクロライド265.7g(収率6
8.8%)を得た。次いで、攪拌機を付けた四つ口フラ
スコに上記で得たトリクロロホスファゾスルホニルクロ
ライド185.3g(0.74モル)とTHF700m
Lを仕込み、ジエチレングリコールモノメチルエーテル
のアルコラート溶液1066.5g(2.96モル)
を、窒素雰囲気中で、−22〜−20℃で一昼夜攪拌下
に反応させた。反応終了後、濃塩酸で中和した。次い
で、水洗後、クロロホルムで抽出して得られた有機相を
脱水、濃縮して、次式; (CH3OCH2CH2OCH2CH2O)3P=N-SO2-OCH2CH2OCH2CH2OCH3 で示されるホスファゼン誘導体を325.9g(収率7
5.2%)得た。 (同定データ) 分子式:C2044NO14PS(分子量585.59) 元素分析:計算値;H:7.57%,C:41.02%,N:2.39%,S:5.47% 実測値;H:8.46%,C:40.45%,N:2.47%,S:5.63%1 H−NMR(CDCl):3.37ppm(s,12H) 、3.53〜
3.55ppm(m,8H) 、3.64〜3.66ppm(m,8H) 、3.75〜3.78pp
m(m,8H) 、4.22〜4.29ppm(m,2H) 、4.36〜4.41ppm(m,6
H) MASS(FAB):586 m/z(M +1)
【0036】実施例2 攪拌機を付けた四つ口フラスコに五塩化燐66g(0.
317モル)、スルファミド15g(0.156モル)
を仕込み、窒素雰囲気中で1時間、120℃で反応させ
た。反応終了後、過剰の五塩化燐を昇華で除去し、ビス
(トリクロロホスファゾ)スルホン57g(収率100
%)を得た。次いで、攪拌機を付けた四つ口フラスコに
上記で得たビス(トリクロロホスファゾ)スルホン4 6
g(0.126モル)とTHFを仕込み、THF0.4
Lにエチレングリコールモノメチルエーテルのアルコラ
ート溶液84g(0.86モル)を溶液させたTHF溶
液を、窒素雰囲気下で滴下し、−20〜−15℃で一昼
夜攪拌下に反応させた。反応終了後、濾過、乾燥して次
式; (CH3OCH2CH2O)3P=N-SO2-N=P(OCH2CH2OCH3)3 で示されるホスファゼン誘導体Bを45g(収率59
%)得た。 (同定データ) 分子式:C18422 142 S(分子量604.5
3) 元素分析:計算値;H:7.00%,C:35.76%,N:4.63%,S:5.30% 実測値;H:7.87%,C:35.39%,N:4.58%,S:5.42%1 H−NMR(CDCl):3.38ppm(s,18H) 、3.61〜
3.65ppm(m,12H) 、4.35〜4.41ppm(m,12H) MASS(FAB):605 m/z(M +1)
【0037】実施例3 攪拌機を付けた四つ口フラスコに五塩化燐639.5g
(3.06モル)、スルファミン酸97.1g(1.5
4モル)及びクロロベンゼン1Lを仕込み、窒素雰囲気
中で4時間、100〜105℃で反応させた。反応終了
後、常法により、乾燥、蒸留精製して、トリクロロホス
ファゾスルホニルクロライド265.7g(収率68.
8%)を得た。次いで、攪拌機を付けた四つ口フラスコ
に上記で得たトリクロロホスファゾスルホニルクロライ
ド97.3g(0.39モル)とTHF700mLを仕
込み、エチレングリコールモノメチルエーテルのアルコ
ラート溶液867.2g(1.62モル)を、窒素雰囲
気中で、−40〜−35℃で一昼夜攪拌下に反応させ
た。反応終了後、酢酸で中和した。次いで、水洗後クロ
ロホルムで抽出して得られた有機相を脱水、濃縮して、
次式; (CH3OCH2CH2O)3P=N-SO2-OCH2CH2OCH3 で示されるホスファゼン誘導体Cを129.2g(収率
81.3%)得た。 (同定データ) 分子式:C1228NO10PS(分子量409.38) 元素分析:計算値;H:6.89%,C:35.20%,N:3.42%,S:7.83% 実測値;H:7.45%,C:34.88%,N:3.51%,S:8.02%1 H−NMR(CDCl):3.20ppm(s,12H) 、3.43〜
3.49ppm(m,8H) 、4.07〜4.10ppm(m,2H) 、4.16〜4.22pp
m(m,6H) MASS(FAB):410 m/z(M +1)
【0038】実施例4 攪拌機を付けた四つ口フラスコに五塩化燐66g(0.
317)モル、スルファミド15g(0.156モル)
を仕込み、窒素雰囲気中で1時間、120℃で反応させ
た。反応終了後、過剰の五塩化燐を昇華で除去し、ビス
(トリクロロホスファゾ)スルホン57g(収率100
%)を得た。次いで、攪拌機を付けた四つ口フラスコに
上記で得たビス(トリクロロホスファゾ)スルホン56
g(0.156モル)とTHFを仕込み、THF0.1
5Lにナトリウムエトキシドを溶解させたTHF溶液4
37g(0.96モル)を、窒素雰囲気下で滴下し、−
25〜−20℃で一昼夜攪拌下に反応させた。反応終了
後、濾過、乾燥して次式; (CH3CH2O)3P=N-SO2-N=P(OCH2CH3)3 で示されるホスファゼン誘導体Dを38g(収率57
%)得た。 (同定データ) 分子式:C12302 82 S(分子量424.3
7) 元素分析:計算値;H:7.13%,C:33.96%,N:6.60%,S:7.56% 実測値;H:7.56%,C:33.51%,N:6.42%,S:7.95%1 H−NMR(CDCl):1.02−1.07ppm(m,18H) 、
3.93〜4.03ppm(m,12H) MASS(FAB):425 m/z(M +1)
【0039】
【発明の効果】上記したとおり、本発明のスルホニル基
を有するホスファゼン誘導体は、優れた難燃性と電気特
性を有する新規なホスファゼン誘導体であり、例えば、
リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、ポ
リマー電池、ポリマー二次電池等の非水電解液電池、電
解コンデンサー等の電池の電解液に含有させることによ
り、優れた難燃性能と電気特性を付与することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鎌田 智久 東京都江東区亀戸9丁目11番1号 日本化 学工業株式会社研究開発本部内 Fターム(参考) 4H028 AA36 BA05 4H050 AA01 AA02 AB80 BD70 WA15 WA23 WA27

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1); 【化1】 (式中、R1は、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の
    アルキル基、炭素数1〜10のエーテル結合を有する基
    で置換されたアルキル基、ハロゲン原子で置換されたア
    ルキル基を示し、R1は同一でも異なってもよい。)又
    は、下記一般式(2);
    【化2】 (式中、R2は、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の
    アルキル基、炭素数1〜10のエーテル結合を有する基
    で置換されたアルキル基、ハロゲン原子で置換されたア
    ルキル基を示し、R2は同一でも異なってもよい。)で
    表されることを特徴とするスルホニル基を有するホスフ
    ァゼン誘導体。
  2. 【請求項2】 一般式PX5(Xはハロゲン原子を示
    す。)で表されるハロゲン化リンとスルファミン酸とを
    反応させて、下記一般式(3) 【化3】 (式中、Xは前記と同義。)で表されるハロゲン化ホス
    ファゼン誘導体を得、次いで、得られたハロゲン化ホス
    ファゼン誘導体と一般式R1−OM(式中、R1は前記と
    同義。Mはアルカリ金属を示す。)で表されるアルコラ
    ート類とを反応させることを特徴とする請求項1記載の
    前記一般式(1)で表されるスルホニル基を有するホス
    ファゼン誘導体の製造方法。
  3. 【請求項3】 一般式PX5(Xは前記と同義。)で表
    されるハロゲン化リンとスルファミドとを反応させて、
    下記一般式(4) 【化4】 (式中、Xは前記と同義。)で表されるビスハロゲン化
    ホスファゼン誘導体を得、次いで、得られたビスハロゲ
    ン化ホスファゼン誘導体と一般式R2−OM(式中、
    2、Mは前記と同義。)で表されるアルコラート類と
    を反応させることを特徴とする請求項1記載の前記一般
    式(2)で表されるスルホニル基を有するホスファゼン
    誘導体の製造方法。
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