JP2001139551A - 2,3,5,6−テトラフルオロピリジンの製造方法 - Google Patents
2,3,5,6−テトラフルオロピリジンの製造方法Info
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- JP2001139551A JP2001139551A JP32444199A JP32444199A JP2001139551A JP 2001139551 A JP2001139551 A JP 2001139551A JP 32444199 A JP32444199 A JP 32444199A JP 32444199 A JP32444199 A JP 32444199A JP 2001139551 A JP2001139551 A JP 2001139551A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 2,3,5,6−テトラフルオロピリジンを高
収率・高純度で合成する工業的に有用な方法の提供。 【解決手段】 ペンタフルオロピリジンを、1〜15重
量%のアルカリ金属水酸化物水溶液中、−5〜25℃の
温度で、亜鉛粉末と反応させることにより4位のフッ素
原子を脱フッ素化還元して2,3,5,6−テトラフルオ
ロピリジンを製造する。
収率・高純度で合成する工業的に有用な方法の提供。 【解決手段】 ペンタフルオロピリジンを、1〜15重
量%のアルカリ金属水酸化物水溶液中、−5〜25℃の
温度で、亜鉛粉末と反応させることにより4位のフッ素
原子を脱フッ素化還元して2,3,5,6−テトラフルオ
ロピリジンを製造する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種農薬、医薬等の中
間原料として有用な2,3,5,6−テトラフルオロピリ
ジンを高収率で製造する方法に関する。
間原料として有用な2,3,5,6−テトラフルオロピリ
ジンを高収率で製造する方法に関する。
【0002】
【従来技術】一般に、フルオロピリジンの製造方法とし
ては、ハロゲノピリジンを無水フッ酸と反応させてハロ
ゲン交換を行なう方法、ハロゲノピリジンを相間移動触
媒の存在下にアルカリ金属フッ化物と反応させる方法、
アミノピリジン類のジアゾニウム塩分解を経由する方法
(シーマン反応)等が代表的である。
ては、ハロゲノピリジンを無水フッ酸と反応させてハロ
ゲン交換を行なう方法、ハロゲノピリジンを相間移動触
媒の存在下にアルカリ金属フッ化物と反応させる方法、
アミノピリジン類のジアゾニウム塩分解を経由する方法
(シーマン反応)等が代表的である。
【0003】しかし、ハロゲノピリジンを用いる上記方
法では、芳香環のフッ素を導入しようとする位置にハロ
ゲンを有するピリジン誘導体を予め合成ないし準備する
必要がある。また、シーマン反応では多数のフッ素原子
を有するフルオロピリジンの合成は困難である。そこ
で、下記式(II)の2,3,5,6−テトラフルオロピリジ
ンについては、ペンタフルオロピリジン(下記式I)の4
位のフッ素を脱フッ素化還元して製造する方法が提案さ
れている。
法では、芳香環のフッ素を導入しようとする位置にハロ
ゲンを有するピリジン誘導体を予め合成ないし準備する
必要がある。また、シーマン反応では多数のフッ素原子
を有するフルオロピリジンの合成は困難である。そこ
で、下記式(II)の2,3,5,6−テトラフルオロピリジ
ンについては、ペンタフルオロピリジン(下記式I)の4
位のフッ素を脱フッ素化還元して製造する方法が提案さ
れている。
【0004】
【0005】例えば、米国特許第3317542号に
は、このタイプの3種類の合成方法が記載されている。
具体的には、(i)ヒドラジン水化物を用いてペンタフル
オロピリジンから2,3,5,6−テトラフルオロ−4−
ヒドラジノピリジンを合成し、その後、硫酸銅で処理し
て2,3,5,6−テトラフルオロピリジンを合成する方
法、(ii)プロぺニルリチウムを用いてペンタフルオロピ
リジンから2,3,5,6−テトラフルオロプロペニルピ
リジンを合成し、これに濃硝酸を作用させて4位のプロ
ペニル基をカルボン酸に転化し、さらに高温に加熱し、
脱炭酸して2,3,5,6−テトラフルオロピリジンを合
成する方法、(iii)エーテル中、水素化アルミニウムリ
チウムによりペンタフルオロピリジンを還元し、2,3,
5,6−テトラフルオロピリジンを合成する方法が記載
されている。
は、このタイプの3種類の合成方法が記載されている。
具体的には、(i)ヒドラジン水化物を用いてペンタフル
オロピリジンから2,3,5,6−テトラフルオロ−4−
ヒドラジノピリジンを合成し、その後、硫酸銅で処理し
て2,3,5,6−テトラフルオロピリジンを合成する方
法、(ii)プロぺニルリチウムを用いてペンタフルオロピ
リジンから2,3,5,6−テトラフルオロプロペニルピ
リジンを合成し、これに濃硝酸を作用させて4位のプロ
ペニル基をカルボン酸に転化し、さらに高温に加熱し、
脱炭酸して2,3,5,6−テトラフルオロピリジンを合
成する方法、(iii)エーテル中、水素化アルミニウムリ
チウムによりペンタフルオロピリジンを還元し、2,3,
5,6−テトラフルオロピリジンを合成する方法が記載
されている。
【0006】しかし、上記(i)の方法では全過程につい
て収率約41%、上記(ii)の方法の収率は約17%であ
り、何れも収率が低い欠点がある。また、上記方法(ii
i)は使用する水素化アルミニウムリチウムが高価である
上、反応が非常に激しく、しかも2位のフッ素原子まで
が還元されたトリフロオロピリジンが副生するため高純
度品を得るのが困難であり、収率も70%程度にとどま
る。
て収率約41%、上記(ii)の方法の収率は約17%であ
り、何れも収率が低い欠点がある。また、上記方法(ii
i)は使用する水素化アルミニウムリチウムが高価である
上、反応が非常に激しく、しかも2位のフッ素原子まで
が還元されたトリフロオロピリジンが副生するため高純
度品を得るのが困難であり、収率も70%程度にとどま
る。
【0007】また、英国特許第1,134,651号に
は、Pd−C触媒を用いてペンタフルオロピリジンの接
触水素化を行ない、2,3,5,6−テトラフルオロピリ
ジンを合成する方法が記載されている。しかし、この方
法は高温を必要とし、工業的に実施するのは困難であ
る。また、310℃の反応でも転換率が40%と低く、
60%程度の出発原料が未反応のまま残るという問題が
ある。
は、Pd−C触媒を用いてペンタフルオロピリジンの接
触水素化を行ない、2,3,5,6−テトラフルオロピリ
ジンを合成する方法が記載されている。しかし、この方
法は高温を必要とし、工業的に実施するのは困難であ
る。また、310℃の反応でも転換率が40%と低く、
60%程度の出発原料が未反応のまま残るという問題が
ある。
【0008】さらに、アンモニア水中に亜鉛粉末とペン
タフルオロピリジンとを添加し、室温で撹拌混合して反
応させ、2,3,5,6−テトラフルオロピリジンを合成
し、反応液を水で希釈した後に加熱して目的化合物を蒸
留し、留出物から目的化合物を得る方法が報告されてい
る(Tetrahedron Letters, vol.38, No.21, p.3765-376
8,1997)。しかし、この方法では収率は70%程度であ
り、また4−アミノ−2,3,5,6−テトラフルオロピ
リジンが副生し、高純度の2,3,5,6−テトラフルオ
ロピリジンを回収するのが難しい。
タフルオロピリジンとを添加し、室温で撹拌混合して反
応させ、2,3,5,6−テトラフルオロピリジンを合成
し、反応液を水で希釈した後に加熱して目的化合物を蒸
留し、留出物から目的化合物を得る方法が報告されてい
る(Tetrahedron Letters, vol.38, No.21, p.3765-376
8,1997)。しかし、この方法では収率は70%程度であ
り、また4−アミノ−2,3,5,6−テトラフルオロピ
リジンが副生し、高純度の2,3,5,6−テトラフルオ
ロピリジンを回収するのが難しい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、ペンタフ
ルオロピリジンの脱フッ素化還元プロセスを利用した
2,3,5,6−テトラフルオロピリジンの合成法が種々
提案されているが、何れも工業的実施には難点がある。
本発明は、従来技術の上記問題を解決したものであり、
2,3,5,6−テトラフルオロピリジンを高収率・高純
度で合成する工業的に有用な方法を提供することを目的
とする。
ルオロピリジンの脱フッ素化還元プロセスを利用した
2,3,5,6−テトラフルオロピリジンの合成法が種々
提案されているが、何れも工業的実施には難点がある。
本発明は、従来技術の上記問題を解決したものであり、
2,3,5,6−テトラフルオロピリジンを高収率・高純
度で合成する工業的に有用な方法を提供することを目的
とする。
【0010】
【課題を解決する手段】本発明は、亜鉛粉末を混入した
特定濃度のアルカリ金属水酸化物水溶液にペンタフルオ
ロピリジンを滴下させ低温度で反応させることにより、
4位の水素置換反応(脱フッ素化還元)を選択的に効率良
く進行させて、高純度の2,3,5,6−テトラフルオロ
ピリジンを収率良く製造できるようにしたものである。
特定濃度のアルカリ金属水酸化物水溶液にペンタフルオ
ロピリジンを滴下させ低温度で反応させることにより、
4位の水素置換反応(脱フッ素化還元)を選択的に効率良
く進行させて、高純度の2,3,5,6−テトラフルオロ
ピリジンを収率良く製造できるようにしたものである。
【0011】すなわち、本発明は、(1)ペンタフルオ
ロピリジンを亜鉛粉末によって還元し、テトラフルオロ
ピリジンを製造する方法において、1〜15%濃度のア
ルカリ金属水酸化物水溶液中で、ペンタフルオロピリジ
ンと亜鉛粉末を−5〜25℃の温度下で反応させること
によって4位のフッ素原子を還元し、2,3,5,6−テ
トラフルオロピリジンを得ることを特徴とするテトラフ
ルオロピリジンの製造方法に関する。
ロピリジンを亜鉛粉末によって還元し、テトラフルオロ
ピリジンを製造する方法において、1〜15%濃度のア
ルカリ金属水酸化物水溶液中で、ペンタフルオロピリジ
ンと亜鉛粉末を−5〜25℃の温度下で反応させること
によって4位のフッ素原子を還元し、2,3,5,6−テ
トラフルオロピリジンを得ることを特徴とするテトラフ
ルオロピリジンの製造方法に関する。
【0012】本発明の上記製造方法は、好ましくは、
(2)亜鉛粉末を混合した1〜15%濃度のアルカリ金
属水酸化物水溶液中にペンタフルオロピリジンを滴下し
て反応させる方法、(3)ペンタフルオロピリジン1mo
lに対して、1〜50molの亜鉛粉末および1mol以上〜
10mol以下のアルカリ金属水酸化物を用いる方法、
(4)アルカリ金属水酸化物水溶液の濃度が3〜10重
量%、ペンタフルオロピリジン1molに対するアルカリ
金属水酸化物が2〜5molである方法、(5)反応液を
中和した後に蒸留して2,3,5,6−テトラフルオロピ
リジンを回収する方法である。
(2)亜鉛粉末を混合した1〜15%濃度のアルカリ金
属水酸化物水溶液中にペンタフルオロピリジンを滴下し
て反応させる方法、(3)ペンタフルオロピリジン1mo
lに対して、1〜50molの亜鉛粉末および1mol以上〜
10mol以下のアルカリ金属水酸化物を用いる方法、
(4)アルカリ金属水酸化物水溶液の濃度が3〜10重
量%、ペンタフルオロピリジン1molに対するアルカリ
金属水酸化物が2〜5molである方法、(5)反応液を
中和した後に蒸留して2,3,5,6−テトラフルオロピ
リジンを回収する方法である。
【0013】
【発明の実施の態様】以下、本発明を実施態様に基づき
詳細に説明する。本発明の製造方法は、ペンタフルオロ
ピリジンをアルカリ金属水酸化物水溶液中、温度制御下
で、亜鉛粉末と反応させる。好ましくは、亜鉛粉末を分
散させたアルカリ金属水酸化物水溶液中にペンタフルオ
ロピリジンを滴下して亜鉛粉末と反応させる。脱フッ素
化還元との競争反応として4位のヒドロキシル化が考え
られるが、反応溶液にペンタフルオロピリジンを滴下す
ることによって反応系中のペンタフルオロピリジン濃度
を低水準に維持すると、ヒドロキシル化反応が相対的に
抑えられ、目的の2,3,5,6−テトラフルオロピリジ
ンが高収率で得られる。また、脱フッ素化還元は発熱を
伴うが、ペンタフルオロピリジンを滴下することにより
温度条件の制御がより容易になる。
詳細に説明する。本発明の製造方法は、ペンタフルオロ
ピリジンをアルカリ金属水酸化物水溶液中、温度制御下
で、亜鉛粉末と反応させる。好ましくは、亜鉛粉末を分
散させたアルカリ金属水酸化物水溶液中にペンタフルオ
ロピリジンを滴下して亜鉛粉末と反応させる。脱フッ素
化還元との競争反応として4位のヒドロキシル化が考え
られるが、反応溶液にペンタフルオロピリジンを滴下す
ることによって反応系中のペンタフルオロピリジン濃度
を低水準に維持すると、ヒドロキシル化反応が相対的に
抑えられ、目的の2,3,5,6−テトラフルオロピリジ
ンが高収率で得られる。また、脱フッ素化還元は発熱を
伴うが、ペンタフルオロピリジンを滴下することにより
温度条件の制御がより容易になる。
【0014】アルカリ金属水酸化物溶液の最適な濃度は
1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。ア
ルカリ金属水酸化物の全量は、ペンタフルオロピリジン
1molに対して1mol以上であればよいが、反応の全過程
を通してアルカリ金属水酸化物水溶液が上記の濃度範囲
から外れないことが必要である。このため、ペンタフル
オロピリジン1molに対して1mol以上〜10mol以下、
好ましくは2〜5molのアルカリ金属水酸化物を含み、
ペンタフルオロピリジンの1〜100重量倍、好ましく
は5〜20重量倍のアルカリ水溶液を使用することが好
ましい。溶媒としては水を用いればよい。アルカリ濃度
が上記範囲を外れると亜鉛が凝集しやすくなる。亜鉛が
凝集すると還元反応の速度が著しく低下し、副生成物が
増加して目的の2,3,5,6−テトラフルオロピリジン
の収率が低下する。
1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。ア
ルカリ金属水酸化物の全量は、ペンタフルオロピリジン
1molに対して1mol以上であればよいが、反応の全過程
を通してアルカリ金属水酸化物水溶液が上記の濃度範囲
から外れないことが必要である。このため、ペンタフル
オロピリジン1molに対して1mol以上〜10mol以下、
好ましくは2〜5molのアルカリ金属水酸化物を含み、
ペンタフルオロピリジンの1〜100重量倍、好ましく
は5〜20重量倍のアルカリ水溶液を使用することが好
ましい。溶媒としては水を用いればよい。アルカリ濃度
が上記範囲を外れると亜鉛が凝集しやすくなる。亜鉛が
凝集すると還元反応の速度が著しく低下し、副生成物が
増加して目的の2,3,5,6−テトラフルオロピリジン
の収率が低下する。
【0015】アルカリ金属水酸化物としては、水酸化カ
リウム、水酸化ナトリウムを用いることができる。な
お、アルカリ金属水酸化物水溶液に代えてアンモニア液
を用いた場合には、既に述べたように、90%以上の高
収率で目的化合物を得ることができない。また、反応の
進行中にアンモニアが揮発してアルカリ濃度の管理が困
難であるため、工業的規模での実施には問題がある。
リウム、水酸化ナトリウムを用いることができる。な
お、アルカリ金属水酸化物水溶液に代えてアンモニア液
を用いた場合には、既に述べたように、90%以上の高
収率で目的化合物を得ることができない。また、反応の
進行中にアンモニアが揮発してアルカリ濃度の管理が困
難であるため、工業的規模での実施には問題がある。
【0016】亜鉛粉末は、ペンタフルオロピリジン1mo
lに対して1mol以上用いればよく反応溶液の容量及びア
ルカリ濃度にもよるが、一般には50mol以下、好まし
くは2〜5mol使用する。
lに対して1mol以上用いればよく反応溶液の容量及びア
ルカリ濃度にもよるが、一般には50mol以下、好まし
くは2〜5mol使用する。
【0017】反応温度は−5℃〜25℃が適当であり、
0℃〜5℃が好ましい。亜鉛粉末を混合したアルカリ金
属水酸化物水溶液のスラリーを冷却しながらペンタフル
オロピリジンを滴下することによって上記温度範囲に調
整し、反応速度を制御すると良い。上記温度範囲を外れ
ると副生成物が増加し、目的の2,3,5,6−テトラフ
ルオロピリジンの収率が低下する。
0℃〜5℃が好ましい。亜鉛粉末を混合したアルカリ金
属水酸化物水溶液のスラリーを冷却しながらペンタフル
オロピリジンを滴下することによって上記温度範囲に調
整し、反応速度を制御すると良い。上記温度範囲を外れ
ると副生成物が増加し、目的の2,3,5,6−テトラフ
ルオロピリジンの収率が低下する。
【0018】以上のように、−5℃〜25℃の反応温度
下で、1〜15重量%のアルカリ金属水酸化物水溶液を
用い、ペンタフルオロピリジン1molに対して、1〜5
0molの亜鉛粉末および1mol以上〜10mol以下のアル
カリ金属水酸化物を用いることによって概ね80%以上
の収率で2,3,5,6−テトラフルオロピリジンを得る
ことができる。特に、アルカリ金属水酸化物水溶液の濃
度が3〜10重量%、ペンタフルオロピリジン1molに
対するアルカリ金属水酸化物が2〜5molの範囲では9
0%以上の高収率で2,3,5,6−テトラフルオロピリ
ジンを得ることができる。
下で、1〜15重量%のアルカリ金属水酸化物水溶液を
用い、ペンタフルオロピリジン1molに対して、1〜5
0molの亜鉛粉末および1mol以上〜10mol以下のアル
カリ金属水酸化物を用いることによって概ね80%以上
の収率で2,3,5,6−テトラフルオロピリジンを得る
ことができる。特に、アルカリ金属水酸化物水溶液の濃
度が3〜10重量%、ペンタフルオロピリジン1molに
対するアルカリ金属水酸化物が2〜5molの範囲では9
0%以上の高収率で2,3,5,6−テトラフルオロピリ
ジンを得ることができる。
【0019】反応後、目的の2,3,5,6−テトラフル
オロピリジンを溶媒抽出や蒸留等で単離し回収する。こ
こで、蒸留によって目的物を単離回収する場合、液性が
アルカリのままで加熱すると、生成物の一部が、2−ヒ
ドロキシ−3,5,6−トリフロオロピリジン、またはそ
の互変異性体である2−ピリドン化合物に転化する可能
性がある。そこで、反応液を希硫酸または希硝酸等の鉱
酸で中和した後、反応液を蒸留することが好ましい。本
発明によれば、このような簡単な分離法によって、高純
度の目的物を取り出すことができる。
オロピリジンを溶媒抽出や蒸留等で単離し回収する。こ
こで、蒸留によって目的物を単離回収する場合、液性が
アルカリのままで加熱すると、生成物の一部が、2−ヒ
ドロキシ−3,5,6−トリフロオロピリジン、またはそ
の互変異性体である2−ピリドン化合物に転化する可能
性がある。そこで、反応液を希硫酸または希硝酸等の鉱
酸で中和した後、反応液を蒸留することが好ましい。本
発明によれば、このような簡単な分離法によって、高純
度の目的物を取り出すことができる。
【0020】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に示
す。実施例1 撹拌機と温度計を備えた四口フラスコ(容量2リットル)に水
684gを入れ、水酸化カリウム36g(0.64mol)を加え
て溶解し、均一な溶液とした。これに亜鉛粉末69.9g
(1.07mol)を加えて反応液を0℃まで冷却し、ペンタフ
ルオロピリジン50.7g(0.30mol)を0〜2℃の温度範
囲で5時間かけて滴下し、滴下終了後さらに上記温度範
囲で18時間撹拌を続けた。この反応液を10%濃度の
希硫酸で中和した後、加熱して常圧蒸留を行った。沸点
80℃〜100℃の留分を集め、留分から水を分離除去
し41.5gの液体を得た。これをガスクロマトグラフィ
ーにより分析し、純度98.2%の2,3,5,6−テトラ
フルオロピリジンであることを確認した。この単離収率
は92%であった。また、ガスクロマトグラフィーの結
果によれば、トリフロオロピリジンおよび4−ヒドロキ
シ体は実質的に含まれていないことが確認された。
す。実施例1 撹拌機と温度計を備えた四口フラスコ(容量2リットル)に水
684gを入れ、水酸化カリウム36g(0.64mol)を加え
て溶解し、均一な溶液とした。これに亜鉛粉末69.9g
(1.07mol)を加えて反応液を0℃まで冷却し、ペンタフ
ルオロピリジン50.7g(0.30mol)を0〜2℃の温度範
囲で5時間かけて滴下し、滴下終了後さらに上記温度範
囲で18時間撹拌を続けた。この反応液を10%濃度の
希硫酸で中和した後、加熱して常圧蒸留を行った。沸点
80℃〜100℃の留分を集め、留分から水を分離除去
し41.5gの液体を得た。これをガスクロマトグラフィ
ーにより分析し、純度98.2%の2,3,5,6−テトラ
フルオロピリジンであることを確認した。この単離収率
は92%であった。また、ガスクロマトグラフィーの結
果によれば、トリフロオロピリジンおよび4−ヒドロキ
シ体は実質的に含まれていないことが確認された。
【0021】実施例2 水27g、水酸化ナトリウム2.1g(53mmol)、亜鉛粉末
5.82g(89mmol)、ペンタフルオロピリジン4.22g(2
5mmol)を用い、滴下時間4時間、反応後の攪拌時間14
時間とした他は実施例1と同様にしてペンタフルオロピ
リジンを滴下して反応させ、反応後、実施例1と同様の
操作を行い、純度98.3%の2,3,5,6−テトラフル
オロピリジン3.43gを得た(単離収率:91%)。
5.82g(89mmol)、ペンタフルオロピリジン4.22g(2
5mmol)を用い、滴下時間4時間、反応後の攪拌時間14
時間とした他は実施例1と同様にしてペンタフルオロピ
リジンを滴下して反応させ、反応後、実施例1と同様の
操作を行い、純度98.3%の2,3,5,6−テトラフル
オロピリジン3.43gを得た(単離収率:91%)。
【0022】実施例3〜5 表1に示す条件とした他は実施例1と同様にしてペンタ
フルオロピリジンを反応させて2,3,5,6−テトラフ
ルオロピリジンを生成させた。この結果を表1にまとめ
て示す。何れの場合も高純度の2,3,5,6−テトラフ
ルオロピリジンを90%以上の収率で得ることができ
た。
フルオロピリジンを反応させて2,3,5,6−テトラフ
ルオロピリジンを生成させた。この結果を表1にまとめ
て示す。何れの場合も高純度の2,3,5,6−テトラフ
ルオロピリジンを90%以上の収率で得ることができ
た。
【0023】
【表1】
【0024】比較例1〜3 表2に示す条件とした他は実施例1と同様にしてペンタ
フルオロピリジンを反応させて2,3,5,6−テトラフ
ルオロピリジンを生成させた。この結果を表2にまとめ
て示す。
フルオロピリジンを反応させて2,3,5,6−テトラフ
ルオロピリジンを生成させた。この結果を表2にまとめ
て示す。
【0025】比較例4 撹拌機と温度計を備えた四口フラスコ(容量200ml)に水
57gを入れ、水酸化カリウム3g(53mmol)を溶解させて
均一溶液とした。これに亜鉛粉末5.82g(89mmol)とペ
ンタフルオロピリジン4.22g(25mmol)とを加え、25
℃〜35℃で25時間反応を行った。反応後、実施例1
と同様の操作を行い、純度98.0%の2,3,5,6−テ
トラフルオロピリジン2.29g得た(単離収率:60
%)。
57gを入れ、水酸化カリウム3g(53mmol)を溶解させて
均一溶液とした。これに亜鉛粉末5.82g(89mmol)とペ
ンタフルオロピリジン4.22g(25mmol)とを加え、25
℃〜35℃で25時間反応を行った。反応後、実施例1
と同様の操作を行い、純度98.0%の2,3,5,6−テ
トラフルオロピリジン2.29g得た(単離収率:60
%)。
【0026】比較例5 撹拌機と温度計を備えた四口フラスコ(容量200ml)に水
21gを入れ、水酸化カリウム9g(160mmol)を溶解させ
て均一溶液とした。これに亜鉛粉末5.82g(89mmol)と
ペンタフルオロピリジン4.22g(25mmol)とを加え、2
5℃〜30℃で20時間反応を行った。反応後、実施例
1と同様の操作を行い、純度97.2%の2,3,5,6−
テトラフルオロピリジン1.07gを得た(単離収率:2
8%)。
21gを入れ、水酸化カリウム9g(160mmol)を溶解させ
て均一溶液とした。これに亜鉛粉末5.82g(89mmol)と
ペンタフルオロピリジン4.22g(25mmol)とを加え、2
5℃〜30℃で20時間反応を行った。反応後、実施例
1と同様の操作を行い、純度97.2%の2,3,5,6−
テトラフルオロピリジン1.07gを得た(単離収率:2
8%)。
【0027】
【表2】
【0028】これらの結果に示されるように、本発明の
アルカリ金属水酸化物水溶液の濃度範囲および温度範囲
を外れるもの(比較例1,2)は高純度の2,3,5,6−テ
トラフルオロピリジンを収率良く得ることができない。
また、アルカリ金属水溶液に代えてアンモニア水を用い
るもの(比較例3)も同様である。さらに、原料のペンタ
フルオロピリジンを滴下せずに、全量を一時にアルカリ
金属水酸化物水溶液スラリーに添加するもの(比較例4,
5)も、2,3,5,6−テトラフルオロピリジンの収率が
大幅に低い。
アルカリ金属水酸化物水溶液の濃度範囲および温度範囲
を外れるもの(比較例1,2)は高純度の2,3,5,6−テ
トラフルオロピリジンを収率良く得ることができない。
また、アルカリ金属水溶液に代えてアンモニア水を用い
るもの(比較例3)も同様である。さらに、原料のペンタ
フルオロピリジンを滴下せずに、全量を一時にアルカリ
金属水酸化物水溶液スラリーに添加するもの(比較例4,
5)も、2,3,5,6−テトラフルオロピリジンの収率が
大幅に低い。
【0029】
【発明の効果】本発明では、アルカリ金属水酸化物水溶
液中、反応温度とアルカリ濃度を制御しつつ脱フッ素化
還元反応を進行させることにより、2,3,5,6−テト
ラフルオロピリジンを高収率で得ることができる。生成
物は、従来法から予想される副生成物である4−ヒドロ
キシ体及びトリフルオロ体を実質的に含まない。すなわ
ち反応混合物は水と目的化合物からなるため、蒸留によ
り容易に高純度品を得ることができる。また、用いる試
薬はアルカリ金属水酸化物と亜鉛粉末のみであることか
ら、アルカリ濃度などの反応条件の制御が容易であり、
穏やかに反応を進行させることができる。従って、高純
度品が要求される医薬・農薬製造分野での工業的製造方
法として極めて有利である。
液中、反応温度とアルカリ濃度を制御しつつ脱フッ素化
還元反応を進行させることにより、2,3,5,6−テト
ラフルオロピリジンを高収率で得ることができる。生成
物は、従来法から予想される副生成物である4−ヒドロ
キシ体及びトリフルオロ体を実質的に含まない。すなわ
ち反応混合物は水と目的化合物からなるため、蒸留によ
り容易に高純度品を得ることができる。また、用いる試
薬はアルカリ金属水酸化物と亜鉛粉末のみであることか
ら、アルカリ濃度などの反応条件の制御が容易であり、
穏やかに反応を進行させることができる。従って、高純
度品が要求される医薬・農薬製造分野での工業的製造方
法として極めて有利である。
Claims (5)
- 【請求項1】 ペンタフルオロピリジンを亜鉛粉末によ
って還元し、テトラフルオロピリジンを製造する方法に
おいて、1〜15%濃度のアルカリ金属水酸化物水溶液
中で、ペンタフルオロピリジンと亜鉛粉末を−5〜25
℃の温度下で反応させることによって4位のフッ素原子
を還元し、2,3,5,6−テトラフルオロピリジンを得
ることを特徴とするテトラフルオロピリジンの製造方
法。 - 【請求項2】 亜鉛粉末を混合した1〜15%濃度のア
ルカリ金属水酸化物水溶液中にペンタフルオロピリジン
を滴下して反応させる請求項1の製造方法。 - 【請求項3】 ペンタフルオロピリジン1molに対し
て、1〜50molの亜鉛粉末および1mol以上〜10mol
以下のアルカリ金属水酸化物を用いる請求項1または2
の製造方法。 - 【請求項4】 アルカリ金属水酸化物水溶液の濃度が3
〜10重量%、ペンタフルオロピリジン1molに対する
アルカリ金属水酸化物が2〜5molである請求項3の製
造方法。 - 【請求項5】 反応液を中和した後に蒸留して2,3,
5,6−テトラフルオロピリジンを回収する請求項1,2
または3の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32444199A JP2001139551A (ja) | 1999-11-15 | 1999-11-15 | 2,3,5,6−テトラフルオロピリジンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32444199A JP2001139551A (ja) | 1999-11-15 | 1999-11-15 | 2,3,5,6−テトラフルオロピリジンの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001139551A true JP2001139551A (ja) | 2001-05-22 |
Family
ID=18165857
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32444199A Pending JP2001139551A (ja) | 1999-11-15 | 1999-11-15 | 2,3,5,6−テトラフルオロピリジンの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001139551A (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5452082A (en) * | 1977-09-14 | 1979-04-24 | Dow Chemical Co | Manufacture of 2*3*55trichloropyridine |
US4783536A (en) * | 1985-02-07 | 1988-11-08 | The Dow Chemical Company | Selective reduction of pentachloropyridine to 2,3,5,6-tetrachloropyridine with zinc dust in basic media |
JPH0665144A (ja) * | 1991-05-22 | 1994-03-08 | Hoechst Ag | 3,4,6−トリフルオロフタル酸およびその無水物の製造方法 |
-
1999
- 1999-11-15 JP JP32444199A patent/JP2001139551A/ja active Pending
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5452082A (en) * | 1977-09-14 | 1979-04-24 | Dow Chemical Co | Manufacture of 2*3*55trichloropyridine |
US4783536A (en) * | 1985-02-07 | 1988-11-08 | The Dow Chemical Company | Selective reduction of pentachloropyridine to 2,3,5,6-tetrachloropyridine with zinc dust in basic media |
JPH0665144A (ja) * | 1991-05-22 | 1994-03-08 | Hoechst Ag | 3,4,6−トリフルオロフタル酸およびその無水物の製造方法 |
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