JP2001138669A - 書き換え可能なロイコ染料層を備える帳票 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 消去し切れない情報痕が目立たない書き換え
可能なロイコ染料層を備える帳票を提供する。 【解決手段】 帳票基材２に形成された書き換え可能な
ロイコ染料層３上に、消去し切れない情報痕を視認困難
とする偽装層４を形成し、該偽装層４によって消去し切
れない情報痕をカムフラージュして、見た目には情報痕
が消失した状態を得ることができるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、書き換え可能なロ
イコ染料層を備えるリライトカード等の帳票に関する。

【０００２】

【従来の技術】可逆顕色剤等を混合したロイコ染料は、
リライタブル記録材料として、帳票基材上に被覆され、
熱制御のみにより可逆的に書き込み及び消去を可能とす
るリライトカード等として利用される。

【０００３】すなわち、ロイコ染料は、酸性雰囲気下で
分子内のラクトン環が開環することにより発色する性質
がある。そこで、このような特性を利用して、長鎖アル
キル基をもつフェノール系化合物等を可逆顕色剤として
用いて混合することにより、可逆的に発色するロイコ染
料層が構成される。すなわち、これを加熱すると、ロイ
コ染料と顕色剤の両者が溶融して酸性雰囲気が形成さ
れ、これにより、ロイコ染料が発色し、これを急冷する
と溶融状態に近い状態で固化し、この発色状態が固定さ
れる。一方、徐冷するとロイコ染料と可逆顕色剤が相分
離して、消色状態となる。而して、基材上の書き換え可
能なロイコ染料層を部分的に熱制御することにより、該
染料層に随意に情報の書き込み、及び消去ができること
となる。

【０００４】このような書き換え可能なロイコ染料層を
備える帳票は、リライトカード等として、ポイントカー
ドや診察券等の各種利用券，会員券等に用いられてい
る。また、カード状のみならず、各種の帳票への応用が
期待される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のロイ
コ染料層を備える帳票にあっては、情報の書き込み及び
消去を行う印字面を構成するロイコ染料層が白色に仕上
げられており、この白色の印字面に文字，数字，記号等
からなる情報を黒，青等で発色させて表示するようにし
ている。而して、前記印字面への情報の書き込み及び消
去は、熱制御印字方式の印字装置を用いて行われるが、
印字面に表示された情報を消去する場合に、熱制御が適
正でない等の何らかの理由により、消去不良が生じる
と、印字面の情報が完全に消去されずに薄く残ってしま
う。例えば、汎用されている黒色発色のロイコ染料層で
は、薄い灰色で文字，数字，記号等の情報が印字面に情
報痕として残ることとなる。そして、この消去し切れな
い薄い灰色の情報痕は、印字面が白色であるので、よく
目立ち、容易に視認できるため、見栄えが悪く、さら
に、この状態で再書き込みを行うと、印字面に残ってい
る情報痕と重なって、新規に書き込まれた情報の視認性
が悪くなってしまうという問題点があった。

【０００６】本発明は、印字面の消去し切れない情報痕
を目立たなくして、上述の問題点を解消し得るようにし
た書き換え可能なロイコ染料層を備える帳票を提供する
ことを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、帳票基材に形
成された書き換え可能なロイコ染料層上に、消去し切れ
ない情報痕を視認困難とする偽装層を形成したことを特
徴とする書き換え可能なロイコ染料層を備える帳票であ
る。

【０００８】かかる構成にあって、偽装層によって見る
者の目をごまかす偽装作用、即ち、カムフラージュ作用
が得られ、消去し切れない情報痕を偽装層がカムフラー
ジュして容易に視認できないようにすることができる。

【０００９】ここで、上記偽装層を、薄色のインキで印
刷された偽装地紋によって形成する構成が提案される。

【００１０】このように、薄色のインキで偽装地紋を印
刷して偽装層を形成することにより、ロイコ染料層に書
き込まれた情報を消去した場合に、消去し切れない情報
痕が生じても、該情報痕が偽装地紋に紛れて殆ど目立た
なくなり、見た目には情報痕が消失した状態を得ること
ができる。尚、偽装地紋の印刷に使用する薄色のインキ
は、偽装地紋による情報痕の偽装作用を助長し、かつ表
示情報を明瞭に視認し得る色相が好ましい。この薄色の
インキの色相としては、一般的な黒色又は青色発色のロ
イコ染料層の場合、黒色発色のロイコ染料層には、黄色
系が好適であり、また、青色発色のロイコ染料層には、
黄色系，ペパーミントグリーン系が好適である。

【００１１】また、上記偽装層を、消去し切れない情報
痕と同一または類似の色相及びトーン（明度，彩度）の
インキで形成された無地の偽装インキ層とする構成が提
案される。

【００１２】この構成にあっては、無地の偽装インキ層
が、消去し切れない情報痕と同一または類似の色相及び
トーンであることにより、消去し切れない情報痕は、偽
装インキ層に融合され、見た目には情報痕が消失した状
態を得ることができる。ここで、偽装インキ層の色相及
びトーンとしては、黒色発色のロイコ染料層には、薄い
灰色系が好適に用いられ、青色発色のロイコ染料層に
は、薄い青色系が好適に用いられ得る。尚、黒色又は青
色の発色で表示される情報は、偽装インキ層と同一また
は類似の色相であっても、色が濃く、トーン（明度，彩
度）が相違するため、明瞭に視認することができる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る書き換え可
能なロイコ染料層を備える帳票の第一実施例を添付図面
について説明する。図１，図２は、リライトカードとし
て用いられる書き換え可能なロイコ染料層を備える帳票
１を示す。このロイコ染料層を備える帳票１は、ポリエ
チレンテレフタレート（ＰＥＴ）製の帳票基材２上に、
ロイコ染料と長鎖アルキル基をもつフェノール系化合物
等からなる可逆顕色剤とを混合してなるロイコ染料層３
が被覆形成されており、さらに該ロイコ染料層３上に
は、消去し切れない情報痕を視認困難とするための偽装
層４が印刷形成されている。そしてこの偽装層４の表面
が印字面５となっている。尚、前記ロイコ染料層３は、
その上面に樹脂系の透明な耐熱保護層７を備えており、
偽装層４上にはＯＰニス等からなるクリアーコート層８
が形成される。また、帳票基材２の下面には、磁気記録
層９が形成され、さらに該磁気記録層９をシルバーコー
ト層１０で被覆するようにしている。

【００１４】この帳票１の印字面５には、熱制御によっ
てロイコ染料層３を発色させることにより、消色可能な
情報６が印字される。即ち、図示しない熱制御印字方式
の印字装置によって、ロイコ染料層３を所要の情報６の
文字形態に沿って加熱急冷し、ロイコ染料層３を発色さ
せて情報６を書き込むことにより、該情報６が偽装層４
を透過して印字面５に表出し、印字状態となる。また、
この状態で加熱徐冷することにより情報６が消去され、
再書き込み可能となる。

【００１５】上記のように、印字面５に表示された情報
６を消去する場合に、熱制御が適正でない等の何らかの
理由により、消去不良が生じると、印字面５の情報が完
全に消去されずに情報痕として薄く残ってしまう。

【００１６】そこで、前記偽装層４によって、この消去
し切れない情報痕をカムフラージュして容易に視認でき
ないようにしている。第一実施例では、この偽装層４が
薄色のインキで印刷された偽装地紋によって構成されて
いる。該偽装地紋のデザインは、種々考えられるが、情
報痕が偽装地紋と重なった状態において、見る者の目を
ごまかして情報痕を目立たなくするデザインが望まし
い。図３に適用可能な偽装地紋のデザイン例を示す。こ
れらの偽装地紋を薄色のインキで印刷して偽装作用を目
視により試験した結果、「No.28 」，「No.59 」等の比
較的緻密で隙間が少ないデザインのものが特に有効であ
ることが確認された。また、「No.2」の細かい数字，文
字を重ねてなるデザインも優れた偽装作用を生ずること
が認められた。

【００１７】また、偽装層４を構成する偽装地紋の印刷
に使用する薄色のインキは、偽装地紋による情報痕の偽
装作用を助長し、かつ印字面５に表示される情報６を明
瞭に視認し得る色相が好ましい。この薄色のインキの色
相としては、一般的な黒色又は青色発色のロイコ染料層
の場合、黒色発色のロイコ染料層３には、黄色系が好適
であり、また、青色発色のロイコ染料層３には、黄色
系，ペパーミントグリーン系が好適であることが試験に
より確認された。

【００１８】かかる構成にあって、上記のように、ロイ
コ染料層３上に、薄色のインキで偽装地紋を印刷して偽
装層４を形成することにより、ロイコ染料層３に書き込
まれた情報６を消去した場合に、印字面５に消去し切れ
ない情報痕が生じても、該情報痕が偽装地紋に紛れて殆
ど目立つことがなく、見た目には情報痕が消失した状態
を得ることができる。また、このように、印字面５の情
報痕が消失状態となるため、再書き込みされる情報６の
視認性が低下することがない。

【００１９】次に、本発明に係る書き換え可能なロイコ
染料層を備える帳票１の第二実施例について説明する。
この第二実施例は、ロイコ染料層３上に形成される偽装
層４を、消去し切れない情報痕と同一または類似の色相
及びトーン（明度，彩度）のインキで形成された無地の
偽装インキ層によって構成したものである。ここで、一
般的な黒色又は青色発色のロイコ染料層３にあって、黒
色発色のロイコ染料層３では情報痕が薄い灰色となり、
青色発色のロイコ染料層３では情報痕が薄い青色とな
る。従って、偽装インキ層を形成するインキの色相及び
トーンとしては、黒色発色のロイコ染料層３には、薄い
灰色系が好適に用いられる。また、青色発色のロイコ染
料層には、薄い青色系が好適に用いられる。そして、こ
のような色相及びトーンのインキをロイコ染料層３上に
塗布することにより、無地の偽装インキ層からなる偽装
層４を形成するようにしている。

【００２０】かかる構成にあって、無地の偽装インキ層
が、消去し切れない情報痕と同一または類似の色相及び
トーンであることにより、ロイコ染料層３に書き込まれ
た情報６を消去した場合に、印字面５に消去し切れない
情報痕が生じても、該情報痕は、偽装インキ層に融合さ
れ、見た目には情報痕が消失した状態を得ることができ
る。また、このように、印字面５の情報痕が消失状態と
なるため、再書き込みされる情報６の視認性が低下する
ことがない。さらに、印字面５に表示される情報６は、
偽装インキ層と同一または類似の色相であっても、色が
濃く、トーン（明度，彩度）が相違するため、明瞭に視
認し得るものとなる。

【００２１】尚、実施例にあっては、リライトカードに
用いた帳票１について説明したが、本発明に係る書き換
え可能なロイコ染料層を備える帳票は、カード状のもの
だけでなく、各種帳票への適用が可能である。

【００２２】

【発明の効果】本発明は、上述したように、帳票基材に
形成された書き換え可能なロイコ染料層上に、消去し切
れない情報痕を視認困難とする偽装層を形成したもので
あり、該偽装層を、薄色のインキで印刷された偽装地紋
で構成したり、または消去し切れない情報痕と同一また
は類似の色相及びトーンのインキで形成された無地の偽
装インキ層で構成するようにしたから、偽装層によって
消去し切れない情報痕がカムフラージュされ、見た目に
は情報痕が消失した状態を得ることができる。これによ
り、従来のものと比較して、消去し切れない情報痕が生
じた場合における印字面の美観性が向上し、また再書き
込みされる情報の視認性を向上させ得る等の優れた効果
がある。

【００２３】また、本発明にあって、ロイコ染料層上に
形成された偽装層は、ロイコ染料層が光により変褪色し
た場合にあっても、これをカムフラージュし、目立たな
くする効果もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第一実施例に係る書き換え可能なロイ
コ染料層を備える帳票の平面図である。

【図２】同上の帳票の縦断面図である。

【図３】偽装地紋のデザイン例である。

【符号の説明】

１ 帳票 ２ 帳票基材 ３ ロイコ染料層 ４ 偽装層 ５ 印字面 ６ 情報

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】帳票基材に形成された書き換え可能なロイ
   コ染料層上に、消去し切れない情報痕を視認困難とする
   偽装層を形成したことを特徴とする書き換え可能なロイ
   コ染料層を備える帳票。
2. 【請求項２】偽装層が、薄色のインキで印刷された偽装
   地紋であることを特徴とする請求項１に記載した書き換
   え可能なロイコ染料層を備える帳票。
3. 【請求項３】偽装層が、消去し切れない情報痕と同一又
   は類似の色相及びトーンのインキで形成された無地の偽
   装インキ層であることを特徴とする請求項１に記載した
   書き換え可能なロイコ染料層を備える帳票。