JP2001138349A - ポリプロピレン系樹脂発泡シートの成型方法および成形体 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂発泡シートの成型方法および成形体

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JP2001138349A
JP2001138349A JP31953699A JP31953699A JP2001138349A JP 2001138349 A JP2001138349 A JP 2001138349A JP 31953699 A JP31953699 A JP 31953699A JP 31953699 A JP31953699 A JP 31953699A JP 2001138349 A JP2001138349 A JP 2001138349A
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molding
polypropylene resin
sheet
temperature
foamed
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JP31953699A
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English (en)
Inventor
Tatsuro Fushimi
達郎 伏見
Fumiyasu Sezaki
文康 瀬崎
Kenji Mogami
健二 最上
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形にお
いて、外観美麗で、耐熱性、剛性に優れた成形体および
それを得るための成形方法を提供する。 【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂からなる発泡シー
ト26を、ヒーター14,16を配置した加熱炉18内
にて加熱した後、成形金型30,32の所定位置に導
き、成形金型30,32にて所望の形状に成形し、成形
体を得る方法において、加熱炉18における加熱時間が
5〜30秒であり、成形直前におけるポリプロピレン系
樹脂発泡シート26の上下の表面温度差が10℃以下と
なるように、加熱されたポリプロピレン系樹脂発泡シー
ト26を成形金型30,32の成形位置に導き、成形す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリプロピレン系樹
脂からなる発泡シート(以下、PP系樹脂発泡シートと
いう。)を加熱成形して成形体を得る成形方法および成
形体に関する。詳しくは、PP系樹脂発泡シートをヒー
ターを配置した加熱炉内にて加熱した後、成形金型の所
定位置に導き、成形金型にて成形し、成形体を得る方法
および、それによって得られる外観美麗な、耐熱性、剛
性に優れた成形体に関する。更に詳しくは、ポリプロピ
レン系樹脂が改質ポリプロピレン系樹脂組成物であり、
その組成物からなるPP系樹脂発泡シートから得られる
成形体の成形方法および成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリプロピレン系樹脂の押出発泡
によるシート化は困難とされてきたが、近年、技術の躍
進により、押出発泡シートを得ることが可能となってき
た。しかし、得られたPP系樹脂発泡シートを用いて良
好な成形体が得られ難いという問題があった。それは、
PP系樹脂発泡シートの基材樹脂が結晶性樹脂であるこ
とに起因する。結晶性樹脂は融点以下においては粘度が
非常に高く、成形による延伸がし難い。また、結晶性樹
脂は融点以上においては十分に軟化するが、逆に溶融粘
度が低いため、温度が上がりすぎるとセル膜の強度が低
下し、セルの内圧による破泡が進行する。その結果、発
泡シートの厚みが低下し、成形による型決まりが悪くな
るとともに剛性が低くなり、良好な成形体を得ることが
困難となる。以上の理由により、PP系樹脂発泡シート
は、その適正な成形温度巾が小さく成形は困難なもので
あった。
【0003】そのようなPP系樹脂発泡シートの成形方
法を開示したものとしては特開平6−218805号が
ある。この発明は、発泡ポリプロピレンシートをオーブ
ン内で加熱して成形可能な状態に軟化させた後に、次の
成形ゾーンにて所望形状に成形する方法において、上記
オーブン内の雰囲気温度を155℃以上で200℃以下
の温度範囲に保った状態で上記発泡ポリプロピレンシー
トを徐々に昇温させつつ、その表面温度を160℃±5
℃の温度範囲に保持しながら上記成形ゾーンにて成形す
る成形方法を開示している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、PP系樹脂発
泡シートは前述したように溶融させた際の溶融粘度が低
いため、加熱時にシートが下へ垂れ下がる現象(以後ド
ローダウンという)が見られる。そのため、この発明に
よっては、ドローダウンしたシートが加熱炉のヒータ
ー、加熱炉のシャッター、あるいは金型等に接触し、良
好な成形が行えない恐れがある。
【0005】また、PP系樹脂発泡シートの加熱におい
て、加熱炉にて充分な加熱を行った場合でも、成型時の
延びが不十分であったり、無理に延伸させられたりし
て、部分的に成形体の厚みが薄くなる恐れがある。この
理由として、加熱炉から発泡シートを成形位置までに導
く際に、発泡シートの表面温度の低下が予想される。P
P系樹脂発泡シートの基材樹脂であるポリプロピレン系
樹脂は結晶性樹脂であるため、温度の低下に伴い溶融粘
度が急激に上昇する、つまり伸びにくくなる。そのた
め、成型時にPP系樹脂発泡シートの延びが不十分であ
ったり、無理な延伸のため、部分的に成形体の厚みが薄
くなると考えられる。特に発泡シートの上面において
は、シートを加熱炉から出し成形位置に導き成形するま
での間シートの上側は開放状態であるため、熱が空気の
対流により逃げやすく、そのため表面温度が低下しやす
い。また、PP系樹脂発泡シートにおいては、スキン層
が形成しづらいため、発泡シート表層の膜厚みが小さ
い。つまりPP系樹脂発泡シートにおいては表層部の樹
脂量が少なくその結果、熱容量が小さいため、上記の様
な熱の逃げの影響による温度の低下が大きくなる。以上
のように、加熱炉内で充分な加熱を行っている場合で
も、良好な成形体が得られないことがある。
【0006】また、他の問題点としてPP系樹脂発泡シ
ートを成形した際に、成形体表面にしわが発生する場合
がある。この現象は、成形体を成形し、その成形体を成
形金型から離型させた後に主に生じる。その理由は、P
P系樹脂発泡シートは前記したように基材樹脂が結晶性
樹脂であり、結晶性樹脂はその結晶化に伴い樹脂の収縮
が生じる。そのため、PP系樹脂発泡シート又はその成
形体が固定されていない状態で結晶化が生じると、その
表面に結晶収縮のため、しわが発生する。その結果、外
観が悪くなると同時に、成形体の剛性が低下する場合が
ある。
【0007】本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意
検討した結果、PP系樹脂発泡シートの成形において、
発泡シートの加熱時間、成形直前の発泡シートの表面温
度、成形金型の温度を規定することによって、外観美麗
で、剛性、耐熱性に優れた成形体を得られることを見い
だし、本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係るPP系樹脂
発泡シートの成型方法の要旨とするところは、ポリプロ
ピレン系樹脂からなる発泡シートを、ヒーターを配置し
た加熱炉内にて加熱した後、成形金型の所定位置に導
き、成形金型にて所望の形状に成形し、成形体を得る方
法において、加熱炉における加熱時間が5〜30秒であ
り、成形直前におけるポリプロピレン系樹脂発泡シート
の上下の表面温度差が10℃以下となるように、加熱さ
れたポリプロピレン系樹脂発泡シートを成形金型の成形
位置に導き、成形することにある。
【0009】このポリプロピレン系樹脂発泡シートの成
型方法において、成形金型のポリプロピレン系樹脂発泡
シートと接触する面の温度を60℃以下とすることが、
さらに有効な手段である。また他に、本発明の要旨とす
るところは前記ポリプロピレン系樹脂が、ポリプロピレ
ン系樹脂、ラジカル重合開始剤、及びイソプレン単量体
を溶融混練して得られる改質ポリプロピレン系樹脂組成
物であることにある。
【0010】さらに、かかるポリプロピレン系樹脂発泡
シートの成型方法において、加熱炉におけるポリプロピ
レン系樹脂発泡シートの上面を加熱するヒーターの設定
温度が、該下面を加熱するヒーターの設定温度より少な
くとも高いことにある。あるいは、成形金型によるポリ
プロピレン系樹脂発泡シートの型合わせの保持時間を、
3秒以上としたことにある。
【0011】次に、本発明に係る成形体の要旨とすると
ころは、上述のポリプロピレン系樹脂発泡シートの成型
方法によって成形されたことにある。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係るPP系樹脂発
泡シートの成型方法および成形体の実施形態を詳しく説
明する。
【0013】本発明のPP系樹脂発泡シートの成型方法
は、ポリプロピレン系樹脂からなる発泡シートをヒータ
ーを配置した加熱炉内にて加熱した後、成形金型位置に
導き、成形金型にて成形し、成形体を得る方法におい
て、加熱時間が5〜30秒であることを特徴としてい
る。
【0014】PP系樹脂発泡シートは、通常加熱された
際にドローダウンが生じる。このドローダウンが生じる
1つの原因として、PP系樹脂発泡シートが溶融し、軟
化させられた際に、PP系樹脂発泡シートの自重により
垂れ下がることが挙げられる。溶融したPP系樹脂発泡
シートにおいては、自重による垂れ下がりは時間ととも
に大きくなる。そのため、加熱時間が長くなればなるほ
どドローダウン量が大きくなる。したがって、PP系樹
脂発泡シートの成形時の加熱においては、5〜30秒の
短時間での加熱が好ましい。加熱時間が5秒未満の場合
は、加熱が不十分になり、成形時にPP系樹脂発泡シー
トが伸びず、シートがさけたりして、良好な成形体が得
られない場合がある。また、加熱時間が30秒以上の場
合は、ドローダウン量が大きくなる傾向にある。
【0015】PP系樹脂発泡シートを加熱しすぎた場合
においては、発泡シートのセルの破泡が進行し、そのた
め厚みが減少し、成型時の型決まりが悪くなり、良好な
成形体が得られない場合がある。そのため、PP系樹脂
発泡シートの成形においては、加熱によって表面がケロ
イド状になる前後に成形を行うのが好ましい。このケロ
イド状の表面は加熱により膨張したセルによって形成さ
れるものであり、そのセルの膨張は基材樹脂が溶融した
ために生ずるものである。従って、ケロイド状の状態に
おいては、基材樹脂が溶融し、成形における延伸が可能
であることを示すものである。例えば、ケロイド状が発
生する加熱秒数より+5秒長く加熱した場合において
は、セルの破泡が進行し、独立気泡率の低下、厚みの低
下が生じ、良好な成形体が得られない傾向にある。ま
た、ケロイド状が全く発生しない状態においては、成型
時に発泡シートが十分に延伸されず、シートがさけた
り、部分的に薄くなったりし、良好な成形体が得られな
い傾向にある。
【0016】ケロイドが発生するような加熱秒数は、ヒ
ーター温度、ヒーター容量、発泡シートとヒーターの距
離、加熱炉の構造等により、調節することが出来る。
【0017】また、本発明のPP系樹脂発泡シートの成
型方法は、ポリプロピレン系樹脂からなる発泡シートを
ヒーターを配置した加熱炉内にて加熱した後、成形金型
位置に導き、成形金型にて成形し、成形体を得る方法に
おいて、成形直前における発泡シートの上下の表面温度
差が10℃以下となるように、加熱された発泡シートを
成形金型の成形位置に導き、成形することを特徴として
いる。
【0018】前述したように、PP系樹脂発泡シートを
加熱して、その表面温度が所望の温度に到達した後、加
熱炉から成形金型の成形位置へ導くが、加熱後、成形直
前までの間の放冷により、PP系樹脂発泡シートの上面
の方が下面より温度の低下が大きい。その結果、成型時
には先にシート上面の固化が生じるため、シートが延伸
せず、良好な成形体が得られない場合がある。PP系樹
脂発泡シートの成形直前の表面温度差が10℃の範囲を
超える場合は、下面の表面温度が適正であるとき、上面
が軟化しておらず、シートが延伸せず、成形体に割れが
発生することがある。また逆に、上面の表面温度が適正
であるとき、下面の加熱が大きくなり、セルの破泡が進
行し、その結果良好な成形体が得られないことがある。
【0019】成形直前におけるシートの表面温度の調整
は、加熱炉のヒーター温度、ヒーターとシート表面まで
の距離、成形位置の周辺を囲い空気の流れを抑制するこ
とによる上面の放冷抑制、等の方法によって行える。特
に、PP系樹脂発泡シートの上面の方が下面より温度の
低下が大きいことから、予め、加熱炉でPP系樹脂発泡
シートを加熱するとき、PP系樹脂発泡シートの上面の
加熱温度を下面の加熱温度より高くすることも好まし
い。その温度差は、成形金型における成形位置でPP系
樹脂発泡シートの両面の温度がほぼ同じになるように設
定されるのが好ましい。
【0020】また、表面温度の測定は非接触温度計(例
えばオプテックス社製THERMO−HUNTER P
T−3LF)を用いて行うことができる。但し、非接触
型の温度センサーにおいては、被温度測定物からの距
離、角度によって、測定温度が異なる場合がある。その
ため、PP系樹脂発泡シートの上下面の表面温度測定に
際しては、同程度の距離、同程度の角度から、その上下
面の温度測定を行うことが好ましい。また、温度測定に
際しては、成形直前の温度を測定することが好ましい。
加熱炉内、加熱炉から出た直後や、成形金型の成形位置
に導いている最中に測定した場合においては、その後、
成形位置に導かれ成形するまでの間に、シート表面の冷
却が進行し、上下面の温度差が大きくなる傾向にある。
【0021】加熱炉からPP系樹脂発泡シートを成形金
型の成形位置に導き、成形を開始するまでの時間(以
後、成形遅れ時間という)は8秒以下、好ましくは5秒
以下、更に好ましくは3秒以下である。成形金型等の雰
囲気温度、雰囲気の空気の流れによって異なるが、8秒
以上になると、加熱されたPP系樹脂発泡シートの表面
温度が低下し、成型時に延伸されず、良好な成形体が得
られない場合がある。
【0022】さらに、本発明においては、ポリプロピレ
ン系樹脂からなる発泡シートをヒーターを配置した加熱
炉内にて加熱した後、成形金型位置に導き、成形金型に
て成形し、成形体を得る方法において、成形金型の発泡
シートと接触する面の温度が60℃以下であるときにさ
らに好ましい結果が得られる。
【0023】ポリプロピレン系樹脂は結晶性樹脂であ
り、溶融させられたポリプロピレン系樹脂が結晶化する
際、樹脂の収縮が大きい。そのため、成形金型での成型
時に、金型内における冷却が不十分の場合、成形体を金
型から離型させた後に、成形体の放冷に伴い結晶収縮が
生じ、成形体の表面にしわが発生することがある。その
ため、金型での保持の間に充分な冷却を行う必要があ
る。
【0024】以上の点より、金型の表面温度は60℃以
下が極めて好ましく、さらに40℃以下が最も好まし
い。金型の温度の調節は、空気、水、油、ヒーター等に
よる温調によって可能である。
【0025】また、成形金型での成形体の保持時間は3
秒以上、好ましくは5秒以上、更に好ましくは8秒以上
である。3秒未満の場合、成形体の冷却が不十分で、成
形体表面にしわが発生する場合がある。
【0026】次に、本発明の成型方法および成形体は、
ポリプロピレン系樹脂からなる発泡シートの基材樹脂が
改質ポリプロピレン系樹脂組成物であることを特徴とし
ている。
【0027】改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリ
プロピレン系樹脂とイソプレン単量体とラジカル重合開
始剤とを溶融混練させて得られる樹脂組成物からなり、
発泡性が著しく改良されているものである。本発明で用
いられる改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロ
ピレン系樹脂(以下、このポリプロピレン系樹脂のこと
を「原料ポリプロピレン系樹脂」ということもある)と
イソプレン単量体とラジカル重合開始剤とを樹脂が溶融
する温度のもとで混練する方法等により得られる。
【0028】原料ポリプロピレン系樹脂としては、プロ
ピレンの単独重合体、プロピレンとほかの単量体とのブ
ロック共重合体またはプロピレンとほかの単量体とのラ
ンダム共重合体などの結晶性の重合体が挙げられる。な
かでも、剛性が高く、安価であるという点からは前記ポ
リプロピレン単独重合体が好ましく、剛性および耐衝撃
性がともに高いという点からは前記プロピレンとほかの
単量体とのブロック共重合体であることが好ましい。原
料ポリプロピレン系樹脂がプロピレンとほかの単量体と
のブロック共重合体またはプロピレンとほかの単量体と
のランダム共重合体である場合、ポリプロピレン系樹脂
の特徴である高結晶性、高い剛性および良好な耐薬品性
を保持する点から、含有されるプロピレン単量体成分が
全体の75重量%以上であることが好ましく、全体の9
0重量%以上であることがさらに好ましい。
【0029】原料ポリプロピレン系樹脂において、プロ
ピレンと共重合し得るほかの単量体としては、エチレ
ン、α−オレフィン、環状オレフィン、ジエン系単量体
およびビニル単量体よりなる単量体の群から選ばれた1
種または2種以上の単量体が挙げられる。これらの単量
体のうち、エチレンまたはブテン−1が安価な点などか
ら好ましい。
【0030】原料ポリプロピレン系樹脂の分子量(重量
平均分子量)は工業的に入手しやすいという点から、5
万〜200万の範囲内にあることが好ましく、安価であ
るという点から、10万〜100万の範囲内にあること
がさらに好ましい。
【0031】原料ポリプロピレン系樹脂には、必要に応
じて、ほかの樹脂またはゴムを本発明の効果を損なわな
い範囲内で添加してもよい。添加し得るほかの樹脂また
はゴムとしては、たとえばポリエチレン;ポリブテン−
1、ポリイソブテン、ポリペンテン−1、ポリメチルペ
ンテン−1などのポリα−オレフィン;プロピレン含有
量が75重量%未満のエチレン/プロピレン共重合体、
エチレン/ブテン−1共重合体、プロピレン含有量が7
5重量%未満のプロピレン/ブテン−1共重合体などの
エチレンまたはα−オレフィン/α−オレフィン共重合
体;プロピレン含有量が75重量%未満のエチレン/プ
ロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体
などのエチレンまたはα−オレフィン/α−オレフィン
/ジエン系単量体共重合体;エチレン/酢酸ビニル共重
合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタ
クリル酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合
体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/
メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/無水マレイン
酸共重合体、エチレン/アクリル酸金属塩共重合体、エ
チレン/メタクリル酸金属塩共重合体、エチレン/メタ
クリル酸グリシジル共重合体などのエチレン/ビニル単
量体共重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの
ポリジエン系共重合体;スチレン/ブタジエン/スチレ
ンブロック共重合体などのビニル単量体/ジエン系単量
体/ビニル単量体ブロック共重合体;アクリロニトリル
/ブタジエン/スチレングラフト共重合体、メタクリル
酸メチル/ブタジエン/スチレングラフト共重合体など
のビニル単量体/ジエン系単量体/ビニル単量体グラフ
ト共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸
エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチ
ル、ポリスチレンなどのビニル重合体;塩化ビニル/ア
クリロニトリル共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重
合体、アクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリ
ル酸メチル/スチレン共重合体などのビニル系共重合体
などが挙げられる。
【0032】原料ポリプロピレン系樹脂に対するこれら
添加し得るほかの樹脂またはゴムの添加量は、この樹脂
の種類またはゴムの種類により異なり、前述のように本
発明の効果を損なわない範囲内にあればよいものである
が、通常、25重量%程度以下であることが好ましい。
【0033】本発明の改質ポリプロピレン系樹脂は、ポ
リプロピレン系樹脂とイソプレン単量体とこのイソプレ
ン単量体に共重合可能なほかのビニル単量体とラジカル
重合開始剤とを溶融混練することにより製造されてもよ
い。
【0034】イソプレン単量体に共重合可能なほかのビ
ニル単量体としては、たとえば塩化ビニル;塩化ビニリ
デン;スチレン;アクリロニトリル;メタクリロニトリ
ル;アクリルアミド;メタクリルアミド;酢酸ビニル;
アクリル酸;メタクリル酸;マレイン酸;無水マレイン
酸;アクリル酸金属塩;メタクリル酸金属塩;アクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アク
リル酸ステアリル、アクリル酸グリシジルなどのアクリ
ル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ステアリル、メ
タクリル酸グリシジルなどのメタクリル酸エステルなど
が挙げられる。
【0035】イソプレン単量体とこのイソプレン単量体
に共重合可能なほかのビニル単量体とを併用する場合、
イソプレン単量体に共重合可能なほかのビニル単量体の
添加量が、イソプレン単量体100重量部に対して、1
00重量部以下であることが好ましく、平均して75重
量部以下であることがさらに好ましい。イソプレン単量
体に共重合可能なほかのビニル単量体の添加量が前記の
範囲を超えると、得られる改質ポリプロピレン系樹脂の
粘度が著しく低下し、発泡性が低下する場合がある。
【0036】溶融混練されるイソプレン単量体の添加量
は、原料ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、
0.1〜20重量部であることが好ましく、0.3〜1
0重量部であることがさらに好ましい。イソプレン単量
体の量が前記の範囲より少ない場合、改質ポリプロピレ
ン系樹脂の発泡性が低下する場合があり、一方、前記の
範囲を超える場合は、ポリプロピレン系樹脂の特徴であ
る耐熱性や剛性などを損なう場合がある。
【0037】また、ラジカル重合開始剤としては、一般
に過酸化物またはアゾ化合物などが挙げられる。ラジカ
ル重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、パーオ
キシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパ
ーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジ
カーボネート、パーオキシエステルなどの有機過酸化物
の1種または2種以上が挙げられる。これらのうち、と
くに水素引き抜き能が高いものが好ましく、そのような
ラジカル重合開始剤としては、たとえば1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)
シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチル
パーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール;ジクミ
ルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α´−ビス(t−
ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−
ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキ
サイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ
ーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイ
ド;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキ
サイド;t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチル
パーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウ
レート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチ
ルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピル
カーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾ
イルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセ
テート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−
ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエス
テルなどの1種または2種以上が挙げられる。
【0038】ラジカル重合開始剤の添加量は、改質ポリ
プロピレン系樹脂の発泡性が良好で、かつ経済的観点か
ら、原料ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、
0.1〜10重量部の範囲内にあることが好ましく、
0.2〜5重量部の範囲内にあることが、更に好まし
い。
【0039】さらに、原料ポリプロピレン系樹脂には必
要に応じて、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定
剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石
鹸、制酸吸着剤などの安定剤、または架橋剤、連鎖移動
剤、造核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染
料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を本発明の効果を
損なわない範囲内で添加してもよい。
【0040】これらの原料ポリプロピレン系樹脂、イソ
プレン単量体、ラジカル重合開始剤およびそのほか添加
される材料の混合や溶融混練の順序および方法はとくに
制限されるものではない。たとえば原料ポリプロピレン
系樹脂、イソプレン単量体、ラジカル重合開始剤および
必要に応じて添加されるそのほかの添加材料を混合した
のち溶融混練してもよい。あるいは、原料ポリプロピレ
ン系樹脂、ラジカル重合開始剤および必要に応じて添加
されるそのほかの添加材料を溶融混練した後にイソプレ
ン単量体を溶融混練してもよい。さらに、前記手法によ
り改質ポリプロピレン系樹脂を得た後に、必要に応じて
添加される添加剤や他の樹脂と溶融混練しても良いし、
さらに原料ポリプロピレンの一部を改質してマスターバ
ッチとした後に残余の原料ポリプロピレン系樹脂と溶融
混練しても良い。
【0041】溶融混練時の加熱温度は、樹脂の種類など
により異なるが、通常、130〜400℃であること
が、原料ポリプロピレン系樹脂が充分に溶融し、かつ熱
分解せず、充分な発泡性を得ることができるという点で
好ましい。また、溶融混練の時間(ラジカル重合開始剤
およびイソプレン単量体を混合してからの時間)は、一
般に30秒間〜60分間である。
【0042】また、前記の溶融混練の装置としては、コ
ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダー、単軸押
出機、2軸押出機などの混練機、2軸表面更新機、2軸
多円板装置などの横型攪拌機またはダブルヘリカルリボ
ン攪拌機などの縦型攪拌機など高分子材料を適宜の温度
に加熱し得、適宜の剪断応力を与えながら混練し得る装
置が挙げられる。これらのうち、とくに単軸または2軸
押出機が生産性の点から好ましい。また、各々の材料を
充分に均一に混合するために、前記溶融混練を複数回繰
返してもよい。
【0043】以上のようにして、本発明における改質ポ
リプロピレン系樹脂組成物を得ることができる。
【0044】また、本発明における改質ポリプロピレン
系樹脂組成物からなる発泡シートは、例えば次のように
して得られる。まず、押出機内で改質ポリプロピレン系
樹脂組成物と発泡剤を溶融混練後、押出機内において発
泡最適温度に調節し、環状のリップを有するサーキュラ
ーダイスを用い、そのダイスのリップから大気圧中に押
し出して円筒状の発泡体を得る。次いで、その円筒状発
泡体を引き取りながら、冷却筒(マンドレル)による成
形加工によって、延伸・冷却後、切り開いて、シート状
にする方法がある。あるいは、改質ポリプロピレン系樹
脂と加熱により気体を発生する分解型発泡剤を溶融混練
させてシート状に整形した後、該発泡剤を分解させて気
体を発生させ発泡させる方法等がある。これらの方法に
よって、改質ポリプロピレン系樹脂組成物からなる発泡
シートは容易に製造される。また、改質ポリプロピレン
系樹脂組成物の製造と連続して押出発泡・成形発泡を行
っても良い。
【0045】改質ポリプロピレン系樹脂と分解型発泡剤
を混練するための装置としては、ロール、コニーダー、
バンバリーミキサー、ブラベンダー、単軸押出機、2軸
押出機などの混練機、2軸表面更新機、2軸多円板装置
などの横型撹拌機、ダブルヘリカルリボン撹拌機などの
縦型撹拌機、などが挙げられる。これらのうち、とくに
ロール、押出機が生産性の点から好ましい。
【0046】前記発泡剤としてはたとえばプロパン、ブ
タン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化
水素類;シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサ
ンなどの脂環式炭化水素類;クロロジフルオロメタン、
ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、トリクロロフ
ルオロメタン、ジクロロメタン、ジクロロフルオロメタ
ン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメ
タン、クロロメタン、クロロエタン、ジクロロトリフル
オロエタン、ジクロロフルオロエタン、クロロジフルオ
ロエタン、ジクロロペンタフルオロエタン、テトラフル
オロエタン、ジフルオロエタン、ペンタフルオロエタ
ン、トリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタ
ン、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロジフ
ルオロエタン、クロロペンタフルオロエタン、パーフル
オロシクロブタンなどのハロゲン化炭化水素類;二酸化
炭素、チッ素、空気などの無機ガス;水などの1種また
は2種以上が挙げられる。
【0047】発泡剤の添加量(混練量)は発泡剤の種類
および目標発泡倍率により異なるが、ポリプロピレン系
樹脂組成物100重量部に対して、0.5〜10重量部
の範囲内にあることが好ましい。
【0048】また、発泡シートの気泡径を適宜の大きさ
にコントロールするために、必要に応じて、重炭酸ソー
ダ−クエン酸またはタルクなどの発泡核剤を併用しても
よい。必要に応じて用いられる該発泡核剤の添加量は、
通常、改質ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し
て、0.01〜3重量部であることが好ましい。
【0049】また、本発明における改質ポリプロピレン
系樹脂組成物からなる発泡シートは、所望の気泡構造を
得る目的で、例えば、押出発泡した後に、空気の吹き付
けなどにより、冷却を促進したり、マンドレルへの引き
取り時に延伸してもよい。
【0050】本発明における改質ポリプロピレン系樹脂
組成物からなる発泡シートの密度は0.5〜0.05g
/cm3 、好ましくは0.3〜0.06g/cm3 、さ
らに0.2〜0.08g/cm3 であることが好まし
い。0.05g/cm3 より小さい場合には、剛性に劣
り、0.5g/cm3 より大きい場合には、断熱性に劣
る場合がある。
【0051】本発明の改質ポリプロピレン系樹脂組成物
からなる発泡シートにおいては、加熱し成形する際、成
形金型内での2次発泡厚みを確保しなければ、金型での
型決まりが悪く、良好な成形体が得られない。この2次
発泡は発泡シートの独立気泡の膨張によって生ずる。以
上の点より、独立気泡率は60%以上、好ましくは70
%以上、さらに80%以上が好ましい。60%以下の場
合には、加熱成型時の2次発泡倍率が小さくなり、金型
の型決まりが悪く、良好な成形性が得られない場合があ
る。
【0052】また、本発明における改質ポリプロピレン
系樹脂組成物からなる発泡シートは、プラグ成形や真空
成形、圧空成形など加熱成形性に優れることから、厚み
ムラの少ない、外観美麗な成形体を得ることができる。
【0053】加熱成形の例としては、プラグ成形、マッ
チド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、
プラグアシスト成形、プラグアシス・トリバースドロー
成形、エアスリップ成形、スナップバック成形、リバー
スドロー成形、フリードローイング成形、プラグ・アン
ド・リッジ成形、リッジ成形などの方法が挙げられる。
【0054】また、加熱成形は、発泡シートを予備加熱
した後に成形するものであるが、予備加熱の際に発泡シ
ートの二次発泡などにより、密度や厚み、独立気泡率が
変化する場合がある。
【0055】次に、本発明に係るPP系樹脂発泡シート
の成形方法および成型装置を概略図を参照しながら以下
に説明する。
【0056】本発明に係るPP系樹脂発泡シートの成型
方法を実施する成型装置は、図1に示すように、加熱装
置10と金型装置12とを備えて構成されている。加熱
装置10は、内部の上部と下部にそれぞれヒーター1
4、16を備えた加熱炉18と、その加熱炉18の内部
を上下に仕切る仕切板20と、その仕切板20をスライ
ドさせて加熱炉18の内部と外部に出し入れするシリン
ダ22と、加熱炉18を開閉するシャッター24とを備
えて構成されている。加熱炉18は、所定の大きさのP
P系樹脂発泡シート26の端部をクランプするクランプ
枠28が収納され得る大きさとされている。また、シリ
ンダ22は例えば、空気圧プランジャーなどによって構
成される。
【0057】一方、金型装置12は、成形金型30、3
2と、成形金型30、32をそれぞれ取り付けるテーブ
ル34、36と、テーブル34、36をそれぞれ上下方
向に駆動させるシリンダ38、40を備え、さらに、成
形金型30、32を冷却するための水を取り入れるため
の水温調節用ライン42がテーブル34、36に設けら
れている。また、この金型装置12には、必要に応じ
て、成形金型30、32によって成型する直前のPP系
樹脂発泡シート26の表面温度を測定するための非接触
式温度センサー44、46が図示しないフレームに取り
付けられ、これらの非接触式温度センサー44、46に
よって、加熱炉18のヒーター14、16による加熱温
度を制御するように構成してもよい。なお、テーブル3
4、36を駆動させるシリンダ38、40は、例えば油
圧プランジャーなどによって構成されるのが好ましい。
【0058】以上の構成に係る成形装置を用いた成型方
法は、まず図に示すセット位置AでPP系樹脂発泡シー
ト26をクランプ枠28に固定する。そして、成型装置
の成形スタートと共に、シャッター24が開き、仕切板
20がシリンダ22により引き出される。次いで、PP
系樹脂発泡シート26がクランプされたクランプ枠28
が、加熱炉18内の加熱位置Bに導かれ、停止すると同
時にシャッター24が閉じ、PP系樹脂発泡シート26
が加熱される。この際、加熱炉18内は、その内部のヒ
ーター14、16により、所望の温度に温調されてい
る。
【0059】PP系樹脂発泡シート26は加熱炉18内
で所望の時間加熱された後、シャッター24が開き、ク
ランプ枠28と共にPP系樹脂発泡シート26が成形金
型30、32の成形位置Cに導かれ、停止する。その
後、成形金型30、32を固定したテーブル34、36
がシリンダ38、40によって閉じ、成形金型30、3
2によりPP系樹脂発泡シート26が成形される。所望
の時間、成形金型30、32を閉じた後、テーブル3
4、36が開き、成形されたPP系樹脂発泡シート26
とともにクランプ枠28が初期のセット位置Aに導かれ
る。その後、容器形状に成形されたPP系樹脂発泡シー
ト26より、容器を切り出し、容器を得ることが出来
る。
【0060】本発明に係る成型方法の成形装置として
は、上述の単発成形機に限定されず、連続成形機などの
成形装置を用いることができる。
【0061】以上、本発明に係るPP系樹脂発泡シート
の成型方法および成形体並びに成形装置について種々例
示して説明したが、本発明はそれらの例示に限定される
ものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者
の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様
で実施し得るものである。
【0062】
【実施例】上述の成形装置を用いて、試験のために、テ
ーブル34、36を動かさずに加熱のみを行うように構
成した。ここで、クランプ枠28が加熱炉18内に停止
してから加熱が終了し、シャッター24が開くまでの時
間を加熱時間、シャッター24が開き、クランプ枠28
が成形金型34、36の成形位置Cに導かれ、停止する
までの時間を移動時間、クランプ枠28が成形位置Cに
停止し、テーブル34、36が動き出すまでの時間を金
型遅れ時間、テーブル34、36が完全に閉じ、成型
後、開き始めるまでの時間を金型時間と称す。
【0063】また、非接触式距離測定器48は下のテー
ブル34に脱着出来るようになっており、テーブル3
4、36を動かさずに、PP系樹脂発泡シート26を加
熱のみすることにより、加熱直後のPP系樹脂発泡シー
ト26のドローダウン量を測定することが可能とされて
いる。さらに、非接触式温度センサー44、46が図示
しないフレームに固定されており、成形位置Cに導かれ
たPP系樹脂発泡シート26の上下の表面温度を測定で
きるようになっている。成形金型30、32の温度調節
は水温により温度調節したテーブル34、36からの伝
熱によって行うことが可能とされている。ヒーター1
4、16は遠赤外線ヒーターが配置されており、数カ所
に分割して温度調節し得るように構成されている。これ
により、加熱炉18の各部の温調を調節することによ
り、PP系樹脂発泡シート26を加熱むらが無いように
加熱することが可能である。
【0064】実施例・比較例に用いたPP系樹脂発泡シ
ート製造方法を以下に示す。プロピレン単独重合体(グ
ランドポリマー社製 J103)100重量部、ラジカ
ル重合開始剤(日本油脂社製 パーブチルI)0.5重
量部を、リボンブレンダーで攪拌混合した配合物を計量
フィーダで(株)日本製鋼所製、二軸押出機(TEX4
4XCT−38)に供給し、液添ポンプを用いて押出機
途中からイソプレンを前記プロピレン単独重合体100
重量部に対して1.0重量部となる速度で供給した。そ
して、前記二軸押出機中で溶融混練し、溶融押出するこ
とにより、改質ポリプロピレン系樹脂のペレットを得
た。
【0065】前記二軸押出機は、同方向二軸タイプであ
り、スクリュー径が44mmφであり、最大スクリュー有
効長(L/D)が38であった。この二軸押出機のシリ
ンダー部の設定温度を、イソプレン単量体圧入までは1
80℃、イソプレン圧入以降は200℃とし、スクリュ
ー回転速度を150rpmに設定した。
【0066】改質ポリプロピレン系樹脂100重量部、
ブレンドオイル0.05重量部、気泡核形成剤(永和化
成社製セルボンSC/K)0.1重量部を、リボンブレ
ンダーで撹拌混合した配合物を65−90mmφタンデ
ム型押出機に供給し、200℃に設定した第1段押出機
(65mmφ)中にて溶融させたのち、発泡剤としてイ
ソブタンを改質ポリプロピレン系樹脂100重量部に対
し1.7重量部となる速度で圧入混合し、162℃に設
定した第2段押出機(90mmφ)中で冷却し、サーキ
ュラーダイ(100mmφ)より大気圧下に吐出し、口
径205mmの冷却筒にて成形しながら4.8m/mi
nで引き取りつつ延伸・冷却し円筒型発泡体を得、これ
をカッターで切り開くことにより635mm幅の発泡シ
ートを得た。得られた発泡シートの物性は、倍率5.5
倍、独立気泡率75%、厚み1.7mm、厚み方向のセ
ル数8個/厚み、であった。
【0067】成形性の評価は以下とした。容器を成形す
る条件にて5回測定し、その平均値をドローダウン量と
した。 ○:ドローダウン量が30mm以下 ×:ドローダウン量が30mmよりも大 得られた成形体の評価は以下とした。
【0068】○:得られた成形体10個のいずれにも割
れ、しわ、2重打ちが認められない。 △:得られた成形体10個の内いずれかに割れ、しわ、
2重打ちが認められる。または、得られた成形体10個
の内いずれかに部分的に薄い部分が認められる。
【0069】×:得られた成形体10個の内いずれにも
割れ、しわ、2重打ちが認められる。または、得られた
成形体10個の内いずれにも部分的に薄い部分が認めら
れる。また、その際に測定された表面温度の平均値を成
形直前の表面温度とした。
【0070】
【実施例1】ヒーターの中央部におけるヒーターの設定
温度は上/下は220℃/200℃、その際の炉内温度
は上/下=140/205℃であった。加熱秒数は20
秒、移動時間を1秒、金型遅れ時間1秒、金型時間を1
0秒とした。金型はクリアランス1.5mm、金型深さ
30mm、開口部115×115mm、底部80×80
mmの金型を用いた。金型温調温度を20℃とした。雰
囲気温度は17℃であった。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【実施例2】実施例1に使用した発泡シートを用い、ヒ
ーター設定温度を上/下=250/230℃とし、加熱
秒数を10秒とする以外は、実施例1と同様の方法にて
成型をおこなった。結果を表1に示す。
【0073】
【実施例3】実施例1に使用した発泡シートを用い、金
型の温度を40℃とする以外は実施例1と同様の方法に
て成型を行った。結果を表1に示す。
【0074】
【実施例4】実施例1に使用した発泡シートを用い、金
型温度を70℃とする以外は、実施例1と同様の方法に
て成型をおこなった。結果を表1に示す。
【0075】
【比較例1】実施例1に使用した発泡シートを用い、ヒ
ーター設定温度を上/下=200/180℃とし、加熱
秒数を50秒とする以外は、実施例1と同様の方法にて
成型をおこなった。結果を表1に示す。
【0076】
【比較例2】実施例1に使用した発泡シートを用い、ヒ
ーター設定温度を上/下=200/200℃とし、加熱
秒数を10秒とする以外は、実施例1と同様の方法にて
成型をおこなった。結果を表1に示す。
【0077】実施例1〜3の様に加熱時間、表面温度、
金型温度を規定数値内にすることによって、成形性が良
好で、良好な成形体が得られることがわかる。また、比
較例1の様に、加熱秒数が長い場合においては、表面温
度、金型温度を規定数値内にすることにより、良好な成
形体が得られるが、成形性においては劣ることがわか
る。
【0078】
【発明の効果】本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シー
トの成型方法によれば、成形性が良好であり、また、か
かる成型方法によって加熱成形して得られた成形体は、
外観美麗であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るPP系樹脂発泡シートの成形方法
を実施する成形装置の概略図である。
【符号の説明】
10:加熱装置 12:金型装置 14,16:ヒーター 18:加熱炉 20:仕切板 24:シャッター 26:PP系樹脂発泡シート 28:クランプ枠 30,32:成形金型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 最上 健二 大阪府摂津市鳥飼西5−1−1 鐘淵化学 工業株式会社大阪研究所 Fターム(参考) 4F204 AA11 AC03 AG03 AR06 AR11 FA01 FB01 FF01 FG04 FN15 4J002 AC063 BB032 BB062 BB072 BB082 BB121 BB141 BB152 BB172 BB212 BC032 BC072 BD032 BD082 BD102 BF042 BG042 BG062 BG102 BL023 BN152 BN162 DE026 EA016 EB026 EB066 FD326

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレン系樹脂からなる発泡シー
    トを、ヒーターを配置した加熱炉内にて加熱した後、成
    形金型の所定位置に導き、成形金型にて所望の形状に成
    形し、成形体を得る方法において、加熱炉における加熱
    時間が5〜30秒であり、成形直前におけるポリプロピ
    レン系樹脂発泡シートの上下の表面温度差が10℃以下
    となるように、加熱されたポリプロピレン系樹脂発泡シ
    ートを成形金型の成形位置に導き、成形することを特徴
    とするポリプロピレン系樹脂発泡シートの成型方法。
  2. 【請求項2】 前記成形金型のポリプロピレン系樹脂発
    泡シートと接触する面の温度が60℃以下であることを
    特徴とする請求項1に記載するポリプロピレン系樹脂発
    泡シートの成型方法。
  3. 【請求項3】 前記ポリプロピレン系樹脂が、ポリプロ
    ピレン系樹脂、ラジカル重合開始剤、及びイソプレン単
    量体を溶融混練して得られる改質ポリプロピレン系樹脂
    組成物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に
    記載するポリプロピレン系樹脂発泡シートの成型方法。
  4. 【請求項4】 前記加熱炉におけるポリプロピレン系樹
    脂発泡シートの上面を加熱するヒーターの設定温度が、
    該下面を加熱するヒーターの設定温度より少なくとも高
    いことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに
    記載するポリプロピレン系樹脂発泡シートの成型方法。
  5. 【請求項5】 前記成形金型によるポリプロピレン系樹
    脂発泡シートの型合わせの保持時間が、3秒以上である
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記
    載するポリプロピレン系樹脂発泡シートの成型方法。
  6. 【請求項6】 前記請求項1乃至請求項5のいずれかに
    記載するポリプロピレン系樹脂発泡シートの成型方法に
    より成形されたことを特徴とする成形体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101879241B1 (ko) * 2016-10-27 2018-07-17 주식회사 가람매트 플로어 양면 매트의 제조방법 및 그로부터 제조되는 플로어 양면 매트
KR102151215B1 (ko) * 2020-03-27 2020-09-02 현 동 장 성형 발포체 제조용 다층 시트 및 이를 성형하여 형성한 성형 발포체
KR102151214B1 (ko) * 2020-03-27 2020-09-02 현 동 장 성형 발포체 제조용 다층 시트 및 이를 성형하여 형성한 성형 발포체

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