JP2001136688A - 回転電機 - Google Patents

回転電機

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和雄 西濱
Miyoshi Takahashi
身佳 高橋
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祐司 山本
Tetsuro Fujigaki
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Abstract

(57)【要約】 【課題】大事故が生ずることを充分防止することが可能
な回転電機を提供する。 【解決手段】内周部に複数の巻線スロットを有する固定
子1と、この固定子の内周部に配置され、かつ外周部に
複数の半閉巻線スロットを有する回転子2とを備え、前
記回転子の巻線スロット11の数が、前記固定子巻線ス
ロット3の数より多く形成されている回転電機におい
て、前記回転子の隣接巻線スロットの間に形成される鉄
心歯部の外周部から前記巻線スロット側に突出し、巻線
スロットを半閉状に形成する突出部材14aの径方向厚
みを、前記固定子と回転子間のギャップ長gよりも大き
く形成するとともに、前記鉄心歯部外周部における周方
向幅W2を、前記固定子巻線スロットの開口幅W1より
も大きく形成するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は回転電機に係わり、
特に回転子が半閉状の巻線スロットを有し、かつその巻
線スロットの数が、固定子の巻線スロット数より多く備
えている回転電機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来一般に採用されているこの種の回転
電機,例えば三相誘導電動機は、図3および図4に示さ
れているように、固定子巻線4を有する固定子1と、こ
の固定子の内側に配置され、かつ外周部に回転子巻線1
2を有する回転子9とを備えている。回転子9は、固定
子1の内周側にギャップ8を介して配置され、かつシャ
フト15を介して回動自在に軸支されている。
【0003】固定子1は、巻線スロット3を有する固定
子鉄心2、およびこの開放巻線スロット内に収納された
固定子巻線4を備えている。なお、開放巻線スロット3
のスロット開口部5には、固定子巻線4が脱落すること
を防ぐため支持材6が挿入されている。一方、回転子9
は、半閉巻線スロット11を有する回転子鉄心10、お
よびこの半閉巻線スロット内に収納された回転子巻線
(バー)12を備えている。
【0004】前記固定子1の鉄心2は、軸方向に複数の
パケット2a、2b、2cにわけられ、このパケット間
に電動機周方向に所定の間隔をおいて複数のダクトピー
ス16(16a、16b)が介在されて鉄心間に冷却風
が流通するように通風ダクト17(17a、17b)が
形成されている。また回転子9も同様に、回転子鉄心1
0を軸方向に複数のパケット10a、10b、10cに
わけ、このパケット間にダクトピース16(16c、1
6d)が介在されて鉄心間に冷却風が流通するように通
風ダクト17(17c、17d)が形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように誘導電動機
(誘導電動機に限らず回転電機)は、充分な冷却が行わ
れるように構成されており、定格以上の過負荷運転や過
速度運転がなされた場合であっても、熱的にも機械的に
もそれらに耐えうるように構成されているのが普通であ
る。例えば、電気学会電気規格調査会標準規格・誘導機
JEC−37では、一定の超過トルク耐力や過速度耐力
を保証することが規格化されている。また、通常は規格
以上の安全率を有するように設計されるため、耐用年数
の間であればほとんど故障は生じないのが普通である。
【0006】しかしながら、これらの通常起こりうる過
負荷運転や過速度運転以外に、例えば落雷や地震等のご
くまれな事故により、安全率をはるかに越える過負荷運
転や過速度運転となってしまった場合には、電動機の破
壊からその周辺の設備に悪影響を及ぼし大事故にいたる
恐れがある。
【0007】この事故にいたる故障の1つとして、回転
子鉄心歯部(隣接巻線スロット間)の根元からの折損が
挙げられる。すなわち、図3に示されているように、こ
のような場合には、固定子鉄心2から回転子鉄心10へ
と流れる正規の磁束に加えて、固定子巻線4の端部によ
る多くの漏れ磁束が回転子鉄心10aおよび10cの端
部に入射することによって、電動機の軸方向中央部の回
転子鉄心10bよりも磁束密度が高くなり、損失増加に
起因した温度上昇による熱疲労や電磁力による応力集中
が、規定条件を大きく越える運転条件となり、比較的弱
体なこの回転子鉄心歯部根元部の折損に至ってしまう恐
れがあるということである。
【0008】この回転子鉄心歯部の折損が回転電機の運
転中に生じた場合、折れた回転子鉄心歯部は、遠心力に
よって固定子の開放巻線スロットの開口部5にその一部
が侵入し、固定子巻線の破損による巻線短絡あるいはギ
ャップ間でその歯部部材が固渋状態となり回転子の回転
あるいは慣性回転力により回転子および固定子が破壊さ
れ、大事故に至る恐れがあるということである。
【0009】なお、この種の漏れ磁束による温度上昇防
止の対策としては、例えば特開昭58−6060号公報
にも開示されているように、エンドリング(鉄心端部
材)の表面に溝を設け、固定子巻線の端部からの漏れ磁
束が回転子鉄心に影響を及ぼさないようにしたものなど
があるが、規定条件を越える過負荷運転や過速度運転が
される場合までは考慮されておらず、前述したような事
故を充分防ぐものとはいえない。
【0010】本発明はこれに鑑みなされたもので、その
目的とするところは、このような大事故が生ずることを
充分防止することが可能なこの種の回転電機を提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、内周
部に複数の巻線スロットを有する固定子と、該固定子の
内周部に配置され、かつ外周部に複数の半閉巻線スロッ
トを有する回転子とを備え、前記回転子の巻線スロット
の数が、前記固定子巻線スロットの数より多く形成され
ている回転電機において、前記回転子の隣接巻線スロッ
トの間に形成される鉄心歯部の外周部から前記巻線スロ
ット側に突出し、巻線スロットを半閉状に形成する突出
部材の径方向厚みを、前記固定子と回転子間のギャップ
長よりも大きく形成するとともに、前記鉄心歯部外周部
における周方向幅を、前記固定子巻線スロットの開口幅
よりも大きく形成するようにし所期の目的を達成するよ
うにしたものである。また、この場合、前記固定子にお
ける毎相毎極当りの固定子巻線スロット数を2.5以下
としたものである。
【0012】すなわちこのように形成された回転電機で
あると、半閉巻線スロットを形成する突出部材の径方向
厚みが、固定子と回転子間のギャップ長よりも大きく形
成されていること、また、鉄心歯部外周部における周方
向幅が、固定子側の開放巻線スロットの開口幅よりも大
きく形成されていることから、万一、回転子鉄心歯部が
折損した場合においても、折れた回転子鉄心歯部が、遠
心力によって固定子の巻線スロット開口部に侵入するこ
とはなく、また、ギャップ間でその部材が固渋状態とな
ることもなく、回転子および固定子の破壊を充分防止す
ることができる、すなわち大事故に至るのを未然に防ぐ
ことができるのである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下図示した実施例に基づいて本
発明を詳細に説明する。図1にはその回転電機の要部が
断面で示されている。1が固定子であり、2が固定子鉄
心、3が固定子巻線スロット、4が固定子巻線、9が回
転子、10が回転子鉄心、11が回転子巻線スロット、
12が回転子巻線である。
【0014】固定子1は、固定子鉄心2に設けられた開
放スロット形状をなす固定子巻線スロット3内に、絶縁
が施された固定子巻線4が収納され、そして固定子巻線
スロット3の開口部5には、固定子巻線の脱落を防止す
る支持材6が設けられている。回転子9は、回転子鉄心
10に設けられた半閉状のスロット,すなわち鉄心歯部
外周部から巻線スロット側に突出して突出部材が設けら
れて形成された半閉状の回転子巻線スロット11内に、
回転子巻線12が収納され形成されている。なお、この
場合、回転子巻線スロット数が固定子巻線スロット数よ
りも多い構成となっている。
【0015】ここで、本発明による回転電機は、回転子
の隣接巻線スロットの間に形成される鉄心歯部の突出部
材の厚み,すなわち回転子9の外径表面から回転子巻線
12位置(巻線外周面)までの回転子巻線スロット開口
部13を構成する回転子鉄心歯部14aの径方向高さ
(厚み)Hbが、ギャップ8の長さgよりも大きく形成
されている。また、さらに次のようにも形成されてい
る。すなわち、回転子9における回転子巻線スロット1
1の最大幅位置で、かつ回転子9の最外径側位置におけ
る回転子鉄心歯部14の幅W2が、固定子巻線スロット
3における開口部5の幅W1よりも大きくなるように設
定されている。
【0016】回転電機の巻線における絶縁に破損が生じ
た場合、最悪のケースでは短絡電流による回転電機自体
の焼損や駆動電源の故障などにつながることもある。し
たがって、万一、前述したような回転子鉄心歯部の折損
が生じた場合にも、折損した鉄心歯部が巻線に影響を与
えないようにすることは重要といえる。
【0017】ところで、回転子巻線スロット数が固定子
巻線スロット数よりも多い構成となる回転電機の場合、
回転電機の周方向に対する固定子および回転子のスロッ
トピッチは、必然的に固定子の方が長くなる。一方、1
スロットピッチ当りの鉄心歯部の周方向にわたる幅とス
ロットの幅(巻線の幅)の比は、固定子と回転子の間で
ほぼ等しくなるように設定される。これは、損失集中や
力率低下を避けるために、固定子および回転子における
電気装荷と磁気装荷の割合が極端にアンバランスを生じ
ないようにするためである。この結果、回転子巻線スロ
ット数が固定子巻線スロット数よりも多い場合は、回転
子鉄心歯部の周方向にわたる幅が固定子巻線スロットの
幅よりも細くなる。すなわち、図4を用いていえばW1
>W2の関係になり、回転子鉄心歯部根元14bに折損
が生じ、かつ回転子鉄心歯部先端14aの強度が不十分
な場合は、回転子鉄心歯部先端14aが固定子1に触れ
ることで飛散し、回転子鉄心歯部14は固定子巻線スロ
ット開口部5に飛び込んで支持材6や固定子巻線4を破
壊する可能性がある。このとき、回転子鉄心歯部先端1
4aにおける径方向高さHbがギャップ8の長さgより
も短い場合は、折損した回転子鉄心歯部14の遠心力に
よる飛び出し方向の自由度に加え、回転方向の自由度も
増すことから、回転子鉄心歯部先端14aが固定子巻線
スロット開口部5に接触し、飛散する確率が高くなると
いえる。
【0018】これに対し、前述したように、回転子9に
おける回転子巻線スロット11の最大幅位置でかつ回転
子9の最外径側位置における回転子9の鉄心歯部14の
幅W2が、固定子巻線スロット3における開口部5の幅
W1よりも大きくなるように設定することで、回転子鉄
心歯部根元14bに折損が生じ、回転子鉄心歯部先端1
4aが飛散した場合でも、回転子鉄心歯部14が直接固
定子巻線スロット開口部に飛び込むことを避けることが
できる。
【0019】さらに、回転子鉄心歯部先端14aにおけ
る径方向高さHbをギャップ8の長さgよりも大きく設
定することで、折損した回転子鉄心歯部14の遠心力に
よる飛び出し方向の自由度および回転方向の自由度を抑
制できる。また、回転子鉄心歯部先端14aの強度が増
すために、回転子鉄心歯部先端14aが固定子巻線スロ
ット開口部5に接触したとしても、折損して飛散する確
率を低くすることが可能となる。
【0020】なお、回転子鉄心歯部先端14aが折損を
生じた場合においても、回転子鉄心歯部先端14aにお
ける径方向高さHbがギャップ8の長さgよりも大きい
ことにより、ギャップ8内に折損片が侵入する可能性を
低減することができる。よって、折損を生じた回転子鉄
心歯部14が、固定子巻線4や支持材6に損傷を与える
ことを避けることが可能となる。
【0021】ところで、固定子に多相交流巻線が施され
る場合は、電源周波数の基本波周波数を1次とし三相巻
線を例とすれば、6m±1次(ここで、6m+1の場
合、m=0、1、2、…であり、6m−1の場合、m=
1、2、…である)として表される空間高調波磁束が発
生する。これらの空間高調波磁束は図3に示す漏れ磁束
中にも含まれており、回転子側では高周波成分として観
測される。このため、回転子鉄心端部10a、10cで
は高調波電磁力による繰り返し応力の影響も無視できな
い。
【0022】図2に示す分布巻係数は空間高調波磁束の
量を表す1つの指標であり、この値が大きいほど空間高
調波磁束が多くなることを意味する。この図2におい
て、前述した空間高調波次数の最低次となる第5次の分
布巻係数は、毎相毎極当りの固定子巻線スロット数が
2.5以下になると急激に上昇することが示されてい
る。したがって、毎相毎極当りの固定子巻線スロット数
が2.5以下で、かつ規定条件を越える過負荷運転や過
速度運転がなされた場合には、前述した回転子鉄心歯部
の折損に対し、十分な注意が必要といえる。しかしなが
ら、本発明によれば、このような場合においても十分適
用が可能であり、固定子巻線を保護することができる。
【0023】さらに、図3における固定子鉄心2から回
転子鉄心10へギャップ8を介して流れる磁束中に含ま
れる高調波成分に対しては、回転子鉄心歯部先端14a
における径方向高さHbをギャップ8の長さgよりも大
きく設定したことで、回転子鉄心歯部先端14aで表皮
効果による高調波磁束の減衰が生じるため、回転子巻線
12まで到達しにくくなる。すなわち、回転子巻線12
に生じる高調波損失が低減し、回転子9の温度上昇を抑
制できるため、熱疲労による回転子鉄心歯部の折損を防
止する効果もある。
【0024】以上のような回転電機の構成とすることに
より、万が一に回転子鉄心歯部が折損した場合において
も、折損した歯部が固定子における支持材や固定子巻線
に到達しないようにすることで、損害を最小限に抑える
ことのできる回転電機とすることができる。
【0025】以上説明してきたようにこのように形成さ
れた回転電機であると、半閉巻線スロットを形成する突
出部材の径方向厚みが、ギャップ長よりも大きく形成さ
れ、かつ鉄心歯部の周方向幅が、固定子側の開放巻線ス
ロットの開口幅よりも大きく形成されているので、回転
子鉄心歯部が折損した場合においても、折れた回転子鉄
心歯部が、遠心力によって固定子の巻線スロット開口部
に侵入することはなく、また、ギャップ間でその部材が
固渋状態となることもないので、回転子および固定子の
破壊を充分防止することができ、かつ大事故に至るのを
未然に防ぐことができ、また損害を最小限に抑えること
ができる。
【0026】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明によれ
ば、大事故が生ずることを充分防止することが可能なこ
の種の回転電機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る回転電機の径方向断面
における要部を示した概略図である。
【図2】回転電機の固定子における毎相毎極当りのスロ
ット数に対する分布巻係数の推移図である。
【図3】従来の三相誘導電動機を示す縦断側面図であ
る。
【図4】図3のA−A’線に沿う断面図である。
【符号の説明】
1…固定子、2…固定子鉄心、3…固定子巻線スロッ
ト、4…固定子巻線、5…固定子巻線スロット開口部、
6…支持材、7…固定子鉄心歯部、8…ギャップ、9…
回転子、10…回転子鉄心、11…回転子巻線スロッ
ト、12…回転子巻線、13…回転子巻線スロット開口
部、14…回転子鉄心歯部、14a…突出部材、15…
シャフト、16…ダクトピース、17…通風ダクト、1
8…エンドリング。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 身佳 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 山本 祐司 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立事業所内 (72)発明者 藤垣 哲朗 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立事業所内 Fターム(参考) 5H002 AA02 AA10 5H013 FF01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周部に複数の巻線スロットを有する固
    定子と、該固定子の内周部に配置され、かつ外周部に複
    数の半閉巻線スロットを有する回転子とを備え、前記回
    転子の巻線スロットの数が、前記固定子巻線スロットの
    数より多く形成されている回転電機において、 前記回転子の隣接巻線スロット間の鉄心歯部外周部から
    巻線スロット側に突出し、巻線スロットを半閉状に形成
    する突出部材の径方向厚みを、前記固定子と回転子間の
    ギャップ長より大きく形成するとともに、前記鉄心歯部
    外周部における周方向幅を、前記固定子巻線スロットの
    開口幅よりも大きく形成するようにしたことを特徴とす
    る回転電機。
  2. 【請求項2】 前記固定子における毎相毎極当りの固定
    子巻線スロット数が2.5以下である請求項1記載の回
    転電機。
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